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オーエスジーのIT戦略部がオフィス移転を機に働き方改革を実行
フリーアドレス制を導入し、固定電話の一部を除き一掃。またペーパーレスにより、作業効率の向上と環境配慮を行い、「多様性の効率的な融合 ~わくわく(Woku Woku)スペース~」をコンセプトに、新しいアイデアを生みだすための働き方改革を実行している。
よりクリエーティブに働きやすい環境
新オフィスの準備にあたっては、多くの社員の声を反映してコンセプトづくり、レイアウト検討、配色や什器の選択を行っており、働き方改革は、会社主導のものが多い中、社員自らに、「働き易さ」や「仕事への”わくわく”」を考える機会を与えることも、また重要であると考えている。
三菱マテリアルが難削材旋削加工用インサート材種「MP9000/MT9000シリーズ」にチップブレーカを追加
三菱マテリアル 加工事業カンパニー(カンパニープレジデント=鶴巻二三男氏)は、難削材旋削加工用インサート材種「MP9000/MT9000シリーズ」にチップブレーカを追加し、このほど販売を開始した。
難削材加工用インサート材種「MP9000/MT9000シリーズ」は、航空機や医療器具などを中心としたチタン合金、耐熱合金、耐食合金などの難削材といわれている旋削加工用のインサート材種。
耐摩耗性、耐欠損性、耐溶着性を向上させ、突発欠損や切りくずトラブル対策としてユーザーから高い評価を得ていることを受け、メインブレーカのアイテム追加と補間ブレーカとなる「MJブレーカ」を追加し、用途の拡大を図る。
「LSブレーカ」「MSブレーカ」「RSブレーカ」「MAブレーカ」「MJブレーカ」の主な特長は以下の通り。
① 「LSブレーカ」は、軽切削領域でのコーナR以下の切込み量において、切りくずコントロール性能が大幅に向上。
② 「MSブレーカ」は、大きな2段すくい角により、中切削領域での切りくず絡みを防止。
③ 「RSブレーカ」は、荒切削領域用として、ポジランド採用により耐溶着性を高め、低速加工時に発生しやすい溶着チッピングを抑制。
④ 「MAブレーカ」は、汎用切削領域に対応する切りくず処理性で、ポジランド刃形により切れ味が良好。
⑤ 「MJブレーカ」は、軽切削領域用メインブレーカの「LSブレーカ」と中切削領域用「MSブレーカ」の補間ブレーカとして、軽切削領域から中切削領域に対応し、難削材切削加工時に見られる境界損傷を抑制。
標準価格(いずれも税抜価格)
CNMG120402-LS MT9015:760円
(代表型番)DNMG150404-MJ MP9005:1,180円
SNMG190612-MS MP9015:2,400円
ダイジェット工業が好評の「マックスマスター」に刃先強化形インサートをラインナップ
ダイジェット工業(社長=生悦住 歩氏)がこのほど、両面4 コーナ仕様の高能率荒加工用工具「マックスマスター」に、刃先強化形の「PH ブレーカインサート」をラインナップした。炭素鋼、工具鋼、プリハードン鋼、焼入れ鋼、鋳鉄、高強度ステンレス鋼などの平面・ポケット、ヘリカル、曲面、溝削り加工に威力を発揮する。
この製品は、金型加工ユーザーをはじめとした、高負荷条件におけるより一層の安定加工の要望に応え、さらなる性能向上を実現したもの。
特長は以下の通り。
●刃先強化形のPHブレーカにより耐欠損性に優れ高負荷切削に対応。
●小型インサートながらインサート厚みを4mmと厚くし、断面強度をアップ。また刃先形状を最適化し、幅広い切削条件下で安定加工が可能。
●3次元ブレーカインサートにより、刃先強度は保持しつつも切削抵抗は従来品とほぼ同等を実現。両面4コーナ仕様で経済的。
●φ50の炭素鋼加工で切りくず排出量Q=317cm3/minを実現。
●インサート材種は新PVDコーティングJC8118とJC7560を採用。炭素鋼からプリハードン鋼、焼入れ鋼、高強度ステンレス鋼など幅広い被削材に対応。
■サイズ・価格
インサート形番:ENMU100412ZER-PH インサート材種:JC8118、JC7560
標準価格 1,180 円(税抜)
三菱日立ツールが続々と新製品を投入! ~GALLEAシリーズ第6弾 刃先交換式のレンズ工具「GF3L形」、金型加工用ヘッド交換式エンドミル「EHXエンドミルシリーズ」~
三菱日立ツール(社長=増田照彦氏)が、続々と新製品を市場投入している。このほど発売した新製品は、GALLEAシリーズ第6弾の刃先交換式のレンズ工具「GF3L形」、金型加工用ヘッド交換式エンドミル「EHXエンドミルシリーズ」の2製品。いずれも金型業界に貢献する工具だ。
GALLEAシリーズ「GF3L形」
従来工具で高能率加工を行う場合、送り速度を上げて高能率加工を行う方法が一般的だったが、加工形状が複雑な場合などでは機械の送り速度が追従せず、狙い通りの高能率加工を実現できないケースがあった。近年では異形工具を使用し、5軸加工プログラムの作成可能なCAD/CAMソフトウエアの登場で加工することが可能になっている。
「GF3L形」は、このような最新のCAD/CAMを活用し、GALLEAシリーズの特徴である「加工するピッチを大きくすることで加工能率を大幅に向上する」ことが可能な製品として今回、ユーザーの期待に応える形で開発された製品だ。また、3コーナーのインサートを採用し経済性を向上させている。
金型の緩曲面の中仕上げや仕上げ加工、金型構造部の勾配面(緩斜面)の加工、タービンブレード翼面の仕上げ加工に威力を発揮する。
特長は以下の通り。
1.GF3L形は緩曲面・緩斜面の仕上げ加工に適したレンズ工具。
2.切れ味良好な3枚刃のポジ刃形設計で高能率な仕上げ加工を可能にする。
3.ユニークなインサート拘束面が強固なインサートのクランプを実現した。
4.最新のTH3コーティング、PN2コーティングを採用し、さまざまな被削材に対し長寿命な加工が行える。
5.GALLEAシリーズ(GF3L形とGP1LB形)を合わせて使用することで中仕上げから仕上げ加工をより高能率に行なうことができる。
仕様
●モジュラーヘッド:全3アイテム
●超硬インサート:全6アイテム
価格(税別)
●モジュラーヘッド:42,700~45,300円
●超硬インサート:1,880~ 2,800円
金型加工用ヘッド交換式エンドミル「EHXエンドミルシリーズ」
金型製作で使用される超硬ソリッドエンドミルは、特に工具径の大きなものや、深彫り加工に使用されるロングシャンクのものは高価でユーザーの大きな負担となっていた。刃先交換式エンドミルの小径化や高精度化が進んでいるが、「より高精度の超硬ソリッドエンドミルで加工を行いたい。」というユーザーの要望を受け、同社では金型加工用として、超硬ソリッドエンドミルの刃形と刃先交換式エンドミルの経済性を併せ持つ「EHXエンドミルシリーズ」を開発した。
製品の特長は以下の通り。
1.「超硬」+「超硬」の2面拘束のモジュラーシステムを採用し、ソリッド工具に近い剛性と高精度を確保した。
2.金型加工に好評な「エポックターボミル」「エポック21」「エポックパワーミル」刃形の超硬ヘッドをラインナップした。
3.アプリケーションに対応したヘッド交換が可能で、経済性に優れている。
4.超硬ヘッドには、耐熱性、耐摩耗性に優れたTHコーティングを採用している。
5.EHXエンドミルシリーズにより金型の部品加工や深彫り加工などの、同社ソリッドエンドミルの適用範囲を広げることができる
仕様
■超硬ヘッド
・EHX-(H)-ETM4-TH:(φ12~φ20) 全6アイテム
・EHX-CEPR6-TH:(φ12~φ20) 全3アイテム
・EHX-EPP4-TH:(φ12~φ20) 全16アイテム
■超硬ホルダ
・EHX-ASC:(φ12~φ20) 全21アイテム
(アンダーカットタイプ、ストレートタイプ、ペンシルネックタイプ)
価格(税抜)
■超硬ヘッド
・EHX-(H)-ETM4-TH:(φ12~φ20) :16,800~39,300円
・EHX-CEPR6-TH:(φ12~φ20) :16,800~35,600円
・EHX-EPP4-TH:(φ12~φ20) :14,600~35,100円
■超硬ホルダ
・EHX-ASC:(φ12~φ20):57,600~128,000円
DMG森精機が「MASTER」シリーズ主軸の3年間無償保証サービスを開始
同社では、これまでも日本国内で販売する機械の修理・保守サービスは2年間の無償保証を提供しているが、主軸についてはさらに1年長い3年間の無償保証とした。これによりユーザーはより安心して使用できる。
今回対象となるDMG森精機製の工作機械に搭載されている主軸「MASTERシリーズ」には、重切削に最適なpowerMASTER、高速マシニング加工用のspeedMASTER、複合加工機専用のcompactMASTER、ターニングセンタ用のturnMASTERの4種類がある。
「MASTERシリーズ」は、全世界で培った技術力やノウハウを結集して全て自社開発し、それぞれの機械のもつ加工内容に合わせて最適な設計をしている。また、高精度ターニングセンタ(旋盤)の製造開始以来培ってきた主軸内製の経験を活かして、「MASTERシリーズ」も全て同社で内製しており、その品質には「自信をもっております。」としている。
イスカルジャパンがセルフセンタリング機能付き「スモウカムIQ HCPヘッド」を好評発売中!
イスカルジャパンがヘッド交換式穴あけ工具、スモウカムシリーズにセルフセンタリング機能を備えた「スモウカムIQ HCPヘッド」を好評発売中である。
HCPヘッドは、炭素鋼・合金鋼・ステンレス鋼・鋳鉄等の加工に対応し、セルフセンタリング機能を備えるため、下穴加工なしで、最大加工深さ12×Dまでの深穴加工が可能となる。
先進のTiAlN PVDコーティング材質、IC908を採用したHCPヘッドは、標準スモウカムドリルボディ、DCNタイプに装着可能。また、ホルダーにはツイストクーラント穴を備え、フルート断面積が大きな、耐久性と安定性に優れたボディ構造を採用している。
さらに、ホルダー先端のクーラント穴がワーク侵入時のクーラント効果を最大に発揮する。ハイレーキ化と適切な内部給油により、工具の長寿命化と加工穴精度向上に貢献、良好な切屑排出性を実現している。また、ホルダー寿命を延ばし、錆にも強い銀白色ホルダー(HRC50)を採用している点も注目されており、好評を博している。
■レパートリー
・ヘッド
HCP (炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、鋳鉄用) ヘッド径:Φ6.0-Φ32.0mm
・ホルダー
DCN 加工深さ:1.5 / 3 / 5 / 8 / 12×D
「今年はダブル記念年」日本歯車工業会が賀詞交歓会を開く
第一部の新春特別記念講演会は、1921年に姫路市で創業し、2020年に100周年を迎える本田商店の四代目蔵元の本田眞一郎 本田商店 社長が、「ものづくりの精神」をテーマに講演をしたあと、会場をうつして第二部の賀詞交歓会が開かれた。
あいさつに立った栄野会長は、「当歯車協会は今年度創立80周年の節目を迎えることになった。昭和13年に創立して80年、その後昭和33年に現在の名称の日本歯車工業会として社団法人化されて60年、ダブルで記念すべき年となった。11月に記念式典を開催する企画をしている。この会は長年当工業会のことを支えて頂いた会員各位に対する感謝の会であるとの趣旨で開催したい。」と述べたあと、今年度の展望と今後について説明した。それによると、「昨年の工業会の生産状況は内外需とも用途業種により若干の差はあるが2年振りに前年比プラスに推移した。今年度を通してもこの傾向は継続するだろうと見込まれている。時代は変化のスピードも速く、IoT、ロボット、自動化設備等がわれわれのものづくり現場に必須の時代となっている。当会はこれにも目を向け、タイミングを失うことなく、3つの原則で進みたい。」とした。具体的には、(1)歯車に関するJIS、ISOの制定と改定に深く関与していく。(2)新技術を踏まえた調査・研究、紹介。(3)生産活動を支える人造り――と3つの点を挙げた。
栄野会長は、「技術についていうと、会員各社が使っている歯車用鋼材の品質評価装置を国からの補助事業を頂戴し2年間進めてきた。このコンセプトは自ら容易に高速で高度な品質評価ができることがキーワードである。着実に成果をあげており、世界にもまだ殆ど例のない世界初の装置になるのではないかと期待している。さらに今年以降、実用化を目指し、この装置で培われた評価法を工業標準の規格化に繋げていきたい。従来、技、眼力といった暗黙知をデーター化することができ、これにより信頼性の向上に繋げていくことができる。また、人づくりについては、当会が継続的に主催しているJGMA(ジグマ)ギヤカレッジで、歯車技術を将来にわたって担う技術者を対象に大学レベルの講座を開設・継続しているが、受講者は現在500名を超え、会員各社はもとより一般企業にも解放し取り組みとして評価を頂いている。」とした。
新規入会企業の紹介のあと、乾杯の発声を植田昌克 副会長(植田鉄工所 社長)が行った。宴もたけなわの頃、松波俊宣 副会長(岐阜ギヤー 会長)の中締めで散会した。
「自社の技術を大切にしながら仲間の力を借りる」日本金型工業会東部支部が賀詞交歓会を開く
第一部の特別講演では、「ビッグデータとは何か、それをモノ作りに役に立てるためにどうすべきか?」をテーマに、佐藤敏明 リコー研究開発本部 技師長が講演した。
第二部の新年懇親会で、あいさつに立った加藤支部長は、「人工知能のAIやIoT等はわれわれの金型業界では直接関係ないので飛びつくのは考えものだ、もっと地に足をつけた経営をしよう、という話を数年前にしたのだが、最近はセンサーの発達でかなりIoTも身近になってきた。AIだけでなく、車の自動運転や様々な分野の展示会が併設されている。こうした展示会を見学するとITの進展の速さに今更ながら驚いている状態だ。今後は自分の会社にはない特長をもった会社と一緒に協業することが必要になるのではないか。自社の技術を大切にしながら仲間の力を借りてこの1年をぜひ乗りきっていこうではないか。」と活況あるあいさつをした。
新入会員の紹介があったあと、乾杯の音頭を井上真一 牧野フライス製作所社長が行い、宴もたけなわの頃、散会した。
2017年12月分工作機械受注総額は1,659.0億円 日工会
2017年12月分工作機械受注総額は、1,659.0億円(前月比+4.7% 前年同月比+48.3%)となった。初の1,600億円超。過去最高額を2カ月連続で更新。国内外の需要は依然旺盛。1,000億円超は14カ月連続。 内需は633.8億円(前月比+16.7% 前年同月比+37.8%)で、3カ月ぶりの600億円超。リーマンショック以降の最高額(従来:17年9月610.1億円) 外需は1,025.3億円(前月比▲1.6% 前年同月比+55.6%)で、2カ月連続の1,000億円超。前月に次ぐ過去2番目の高水準。アジアは前月比減少するも、欧米は期末要因などもあり前月比増加。 国内外ともに今後も堅調に推移するものと期待。他方、各種海外リスクや部品調達難に関連した動きなどを注視。
12月分内需
633.8億円(前月比+16.7% 前年同月比+37.8%)。・3カ月ぶりの600億円超。10カ月連続の500億円超。・前月比3カ月ぶり増加。前年同月比11カ月連続増加。・3カ月ぶりにリーマンショック以降の最高額を更新。国内需要は堅調持続。① 一般機械 272.6億円(前月比+19.7% 前年同月比+57.4%) うち金型 20.4億円(前月比Δ12.1% 前年同月比Δ25.0%)② 自動車 184.2億円(前月比+3.2% 前年同月比+14.5%) うち部品 132.1億円(前月比+3.7% 前年同月比+23.1%)③ 電気・精密 65.8億円(前月比+18.6% 前年同月比+23.⒌%)④ 航空機・造船・搬送用機械 24.9億円(前月比+62.5% 前年同月比+84.3%)
12月分外需
1,025.3億円(前月比▲1.6% 前年同月比+55.6%)・2カ月連続の1,000億円超で前月に次ぐ過去2番目。・前月比2カ月ぶり減少。前年同月比13カ月連続増加。・アジアは高水準の受注が継続。欧米も前月比増加し、高水準の受注。①ア ジ ア:529.3億円(前月比Δ7.0% 前年同月比+96.6%)・東アジア:318.8億円(前月比Δ12.4% 前年同月比+103.3%)〈韓 国〉 53.9億円(前月比+17.3% 前年同月比+55.9%)〈中 国〉345.3億円(前月比Δ16.2% 前年同月比+125.3%)・その他アジア:102.2億円(前月比+25.5% 前年同月比+72.7%)〈イ ン ド〉44.1億円(前月比+82.5% 前年同月比+217.0%) ②欧 州:211.3億円(前月比+7.2% 前年同月比+18.1%)〈ド イ ツ〉45.8億円(前月比△20.4% 前年同月比+32.4%) 〈イタリア〉33.9億円(前月比△2.4% 前年同月比+59.7%) ③北 米:262.9億円(前月比+2.2% 前年同月比+31.6%)〈アメリカ〉226.2億円(前月比+2.4% 前年同月比+28.2%)〈メキシコ〉 24.3億円(前月比+18.1% 前年同月比+63.6%)
「1兆7000億円を目指す」 日本工作機械工業会が賀詞交歓会を開く
日本工作機械工業会(会長=飯村幸生 東芝機械会長)が1月11日、都内のホテルニューオータニで賀詞交歓会を開いた。
「世界の工作機械産業を巡る環境は大きな技術的変革期を迎えている」
2017年の工作機械受注額については、「年初から内外需ともに総じて順調に推移した。年間受注額は暦年修正見通し、9月に修正を行っているが1兆5500億円程度を上回り、2007年に記録した過去最高である1超5900億円をも超えて1兆6000億円をゆうに達したものと見込まれる。」とした。
2018年の受注額見通しについて、「世界の市場環境は総じて好調に推移するものと見込まれるが、先述のとおり地政学的等のリスクを内包した、好調ながら脆弱な展開になると予想される。内需については、ものづくり補助金をはじめとする政策の後押しもありIoT関連需要による半導体分野への投資や、自動車の環境対応や電動化に、自動運転に関連した投資の盛り上がりが見込まれる。自動化ニーズを背景としたロボット等、各種自動機器の生産需要もさらに高まると思っている。外需については、10年間で1.5兆ドルの減税法案が承認された米国で、製造業の国内回帰に伴う投資や、大型インフラ投資が見込まれる。欧州では、リーマンショック以降停滞していた投資の顕在化やインダストリー4.0への対応需要が期待をされる。中国では、中国製造2025を受けた高度化投資や、自動車のEVシフトに関連した投資が出てくると考えている。」とし、これらの背景を踏まえて、2018年の日工会受注額は、「1兆7000億円の見通しとしたい。業界各社におかれては、受注獲得に向け鋭意邁進していただきたい。」と力強く述べた。また、賀詞交歓会に先立って臨時理事会を開催し、適正な下請け取引の推進と、取引先の生産性、付加価値向上を支援するための自主行動計画を審議し、了承したことを報告した。
飯村会長は工作機械業界を取り巻く環境の変化についても、「世界の工作機械産業を巡る環境は大きな技術的変革期を迎えている。」とし、「様々な繋がりによって、新たな付加価値の創出や、社会課題の解決を目指す、我が国のコネクテッドインダストリーズをはじめ、ドイツのインダストリー4.0、アメリカの インダストリアルインターネット、中国の中国製造2025などIoTを活用して、スマート・マニュファクチャリングの実現を図る取組みが、世界各国で競われている」と話した。「3次元積層造詣装置の技術も、積層プロセスの選択肢広がり、実用化の段階に入ってきている。自動車の電動化の進展や、航空機産業の成長に伴う難削材需要の増加によって需要構造面でも大きな変化が展望される。生存競争では、強い者が勝ち残るとは限らない、環境変化に適応できたものが生き残れる、とはよくいわれるところである。工作機械業界各社におかれては、ユーザーニーズに応えた製品、技術を積極的に市場投入して市場投入することにより、この環境変化をビジネスチャンスに結びつけていただきたい」と期待を込めた。
今年の日工会に活動については、「環境変化に対応し、将来にわたって日本の工作機械の国際競争力を強化しあっていくための方策を積極果敢に展開していきたい。」としたうえで、日工会が2012年に取りまとめた“工作機械産業ビジョン2020”で中期的視点から課題として抽出されたわが国工作機械産業が対処すべき、(1)JIMTOFの求心力の強化、(2)産学官連携の強化、(3)標準化戦略の強化、(4)人材の確保・周知策の徹底――の4つの課題を深化発展させるとした。
具体的には、本年の工作機械最大のイベントであるJIMTOF・Tokyo2018を国際性豊かに開催すべく間断なく万全な準備をすすめる。今回のJIMTOFは11月初めに東新展示棟を含めた東京ビッグサイト全館を使用して開催する。テーマは、コネクテッドインダストリーズの構想を念頭に“つなぐ”をキーワードにして最先端の工作機械技術、製品を世界に発信していく。併せて全国から学生を招待する“工作機械トップセミナー”や最先端のものづくりを紹介する企画展示をはじめ、社会一般の工作機械産業への認知度向上を促す施策を展開する。技術分野については、産学官が連携して、研究開発や国際標準化に関する戦略的活動を展開し、その成果については会員企業に対して幅広く情報提供に努める。
人材事業では、少子高齢化に対応した人材確保策の展開に加え、専門領域の多様化に対応した人材育成や研修事業についても体制づくりを進めていく。
飯村会長は、「当会では、市場調査、国際、経営、環境、輸出管理等多くの委員会・研究会で事業を展開している。これらの活動を通じて、業界に共通する付加価値の高い情報を発信していきたい。また、2021年に創立70周年を迎えるが、これに向けて、技術や需要構造、国際競争環境の変化に対応した2020年代の、我が国工作機械産業の、新たな展望を描いていかねばならない。本年は、その戦略策定に向けて、IoTに関連する技術分野や自動車の電動化といった需要構造分野の情報収集を進め、2020年代の、工作機械業界の戦略を策定するための体制整備に着手していきたい」と将来の工作機械業へ向けて意気込みを示した。
「2018年は大きな変革とチャレンジの年」
あいさつの概要は以下の通り。
「全体として好調な業況の中で新しい2018年に将来を見据えた次の一手、次の次の一手を着実に打っていく年にしたいと願う。政府全体としては生産性革命、人づくり革命を柱に、先般の補正予算、投資予算、税制改正といった新メニューをつくっている。ぜひ皆様方にはこれらを有効に活用していただき、将来に向けた投資をお願いしたい。一口に投資といっても、皆様方の業界に関係ある設備投資もあるが、研究開発投資、人材投資、様々な次の一手の幅があろうと思われる。現在、製造業を取り巻く状況は、デジタル革命、地球環境、温暖化の問題、さらには自動車業界を巡る様々な問題など環境変化が伴っているとこであり、次の一手は何が正しいのか、は非常に難しいところであろう。こうした中でわれわれが提案しているのはコネクテッドインダストリーズの考え方である。単独の会社のみ、ひとつのリソースだけで全ての問題の解決を望んでいくのは難しいかもしれない。同時にIoT、AIの世界の中で、新しいデータの蓄積、ビッグデータの存在が出てきている。これらをどう活かして競争力に繋げていくのか。私は工作機械業界について、ずいぶん前からハードとソフトと一体となった様々な開発を進めている先端的な業界だと思っている。まさに新しい工作機械を伴ったサービスを世界に発信していただきたい。こうした中で工作機械業界の発展もあり、マザーマシンを使っている日本の製造業あるいは世界の製造業全体の底上げになっていくと信じる次第である。
TPP11も日EU・EPAもある。早期の発行に向けて対外交渉もしっかりやっていく。併せて最近懸念が高まっている中国の輸出管理においても懸念が実際のものにならないよう、国際ルールを逸脱したものにならぬようしっかりと関係国と連携して対処していきたいと考えている。
2018年は大きな変革とチャレンジの年にしていただきたい。
実は年末に本屋に立ち寄ったところ、ある経済誌の表紙が目に止まった。表紙には日本語と英語があったが、日本語では“日本人よ、まだまだクレイジーさが足りない”と書いてあった。時間がなかったのでそのまま立ち去ったが、推察すると、日本の産業・社会、あるいは国民といってもいいかもしれないが、これまでの成功体験に基づいて従来の延長線上で少しずつ良い改善をしていくことはうまくいったが、突然アッと驚かせるような取り組みがやや少ないのではないか。それをクレイジーさが足りないという表現がいいかどうかは私には分からないが、私は当たらずとも遠からずかな、と思っている。これまで成功のベースとなってきた様々な前提や諸条件をもう一度疑ってかかってみる。これが本当に5年後に本当に同じようになっているだろうか。そういったことをぜひ考えていただけたらと思う。
3つお願いしたいことがある。1つ目はスピードあるアクション。答えが分かりにくい、何が勝ち筋か分からないからといって議論ばかりをしてアクションが伴わなければ前に進まない。2つ目はこれまでの前提を疑ってかかった大胆な挑戦。3つ目は、事業にはそれぞれ歴史がある。個性ある経営をお願いしたい。
日本の製造業について、様々なことがいわれているが、私は創業の精神に思いを致して先人達が奮闘した歴史に最大限の敬意を払いながら、新しい時代でなにが求められているのか、なにが売れるのか、と正面から取り組み、新しい提案をすることができれば日本の製造業、工作機械業界の将来は必ずや明るいものになるだろうと信じている。」
