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年頭所感(日本建設機械工業会/日本フルードパワー工業会/日本金型工業会)
「豊かな社会の実現に向け、環境・省エネルギーなど社会的要請に積極的に取り組む」
●日本建設機械工業会 会長 竹内紀行
新年あけましておめでとうございます。
昨年の国内の建設機械需要は、公共投資・民間投資の増大、震災復興需要、さらには排出ガス規制の生産猶予機関終了に伴う旧規制機の駆け込み需要等により、大幅に伸長しました。その反動から、本年は一定の買い控えが出ることが想定されますが、堅調な建設投資や震災復興の本格化等により、機種によって異なるものの、全体としては高いレベルの需要を見込んでおります。
今後も、小型クラスの2011年排出ガス規制対応機の生産猶予期間終了や2014年排出ガス規制の導入等が控えており、建機業界としては、この先数年が正念場となります。最新の排出ガス規制対応機の普及促進に努めることはもとより、会員各社の不断の努力により建機産業力を強化していくことが重要であると考えております。
一方、海外需要は、北米向けの需要が堅調に推移するものの、資源開発国向けのほか、アジア、欧州向けが減少しました。本年には、こうした傾向も底を打ち、緩やかに回復すると見込んでいます。
こうした需要環境のもと、豊かな社会の実現に向け、環境・省エネルギーといった社会的要請に積極的に取り組むとともに、環境負荷低減技術やICTといったさまざまな最新技術の導入を推進し、より効率的かつ利便性の高い製品・サービスの提供に努めていきたいと考えています。
さて、当工業会では、設立理念として「調和と発展による世界への貢献」ならびに「共生と競争」を掲げ、さらに①良き企業市民としての社会への貢献、②ステークホルダーとの共存共栄、③公正・透明な競争と適正な取引の推進、④世界の一員としてのグローバル化の推進、⑤安心・安全の追求と人間中心の経営の志向、⑥環境保護、省エネルギー、省資源の推進、⑦新しい商品および分野の開拓の7項目からなる「経営パラダイム」を策定しております。本年も、この理念・パラダイムの実現に向け、建設機械産業を取り巻く変化に柔軟かつスピード感覚をもって活動を推進してまいります。
本年が、皆様にとりまして、健康で幸多き一年となりますよう祈念し、新年の挨拶といたします。
「企業は社会の公器としての公正さも求められている」
●日本フルードパワー工業会 会長 脇 憲一
新年明けましておめでとうございます。平成26年の年頭に当たり一言ご挨拶を申し上げます。
「東日本大震災」、それに伴う東電の「福島第一原発事故」の発生から早くも3年の歳月が過ぎようとしています。昨年の11月に30~40年の長期戦を覚悟しなければならない廃炉に向けた未知との闘いが漸く始まりましたが、国内外の技術と英知を結集し、あらゆる手立てを尽くし、国も全力を挙げて支援し、復旧・復興が加速されることを願って止みません。
さて、昨年の我が国の経済環境を顧みますと、所謂「アベノミクス」は円安や株高を齎らし、昨年の11月に内閣府が発表した月例経済報告でも、「国内景気は緩やかに回復しつつある」との基調判断が示されています。実際に、円安による輸出環境の改善という追い風に加え、公共投資による押し上げ効果、消費増税による駆け込み需要などの内需の回復で上場企業の平成25年4~9月期の経常利益(連結)は前年同期に比べ42%増加し、平成26年3月期も前期に比べ28%増加すると予想されています。
このように、新興国の景気減速などで下方修正した企業もありますが、企業全体では業績回復が鮮明になってきています。然し、先行きは海外景気の下振れが国内景気を下押しすることも懸念されていますので、民需の回復力には未だ不安が残され、「輸出や生産が拡大して企業収益も改善し、設備投資や雇用が増加して賃金も上昇する」という成長サイクルが確立されつつあるとは言い切れません。このような懸念を払拭し、民需主導の景気回復を本格化させ、成長の恩恵を企業から家計に波及させるためには、財政出動や金融緩和などの各種政策だけではなく、成長戦略の第2弾、即ち日本の立地競争力を高める法人税の実効税率引き下げに加え、企業の投資を促す設備等投資促進税制の創設、研究開発税制の拡充・延長などの「税制の改革」、雇用条件を柔軟に設定できる労働法制などの「規制の緩和」、そして関税を撤廃することで広域・多国間の自由化を促進するだけではなく、開放することで日本の産業を強化・再生する構造改革にもつながる環太平洋経済連携協定(TPP)の締結などを始めとする「通商政策の転換」が必要であります。同時に、昨年の10月に閣議決定された消費税増税による反動減を緩和するための5兆円規模の対策とともに、消費税の円滑且つ適正な転嫁を確保するための実効性のある対策も不可欠でありますが、これらの諸施策の早期の実現と確実な実行を大いに期待するところであります。
ところで、昨年は著名なホテル、レストラン等の虚偽表示で消費者の信頼を裏切り、日本が世界に誇る「おもてなし」を揺るがせる不祥事が相次ぎました。経営者は「意図的に表示を偽って利益を得ようとした事実はない」と釈明していますが、価格競争が激化する中で企業の本来の目的や公正さを忘れ、目標の利益を達成しようとする余り、安価な食材を使いながらも、故意にメニューの表示を偽ったとしか誰の目にも映りません。
企業は常に利益の最大化を追求していかなければなりませんが、利益は企業にとって人体の血液のようなものであり、存続し成長していくためには欠くことのできないものであります。然し、利益は飽くまでも目標であって目的ではありません。二宮尊徳翁は「経済なき道徳は寝言である」と述べている一方、「道徳なき経済は罪悪である」とも述べていますが、企業は利益だけを追求するのではなく社会の公器としての公正さも求められています。
中国の戦国時代の著名な儒学者であった荀子の「義を先にして利を後にする者には栄えあり、利を先にして義を後にする者には辱めあり」という名言がありますが、これは正しい理念で経営に当たれば、利益は自ずとついてくるということを示しています。
フルードパワーは社会の「安全」や「安心」などの一翼を担う重要な産業であります。このフルードパワー産業に携わる企業は、変化が激しく混沌として先行きが不透明な状況にあっても、品質を重視するなどの変えてはならない普遍的な価値を「義」として守りながら、時代や社会の求めに応じて変えるべきものは革新し、新たな付加価値を持続的に創出することで長期的な成長を実現し、公正さにも配慮しながら企業価値を高めることで顧客、従業員、取引先、株主、被災した地域など、より広範なステークホルダーの要請に応え社会に貢献していくという本来の目的を希求していく使命と責任があります。利益に囚われ過ぎ本来の目的や公正さを失えば、企業は必ずや社会からの信頼を失墜し存亡の危機に直面することになります。
最後になりますが、本年(平成26年)は午年であります。「人間万事塞翁が馬」の諺のように、先行き何が起きるかを予測できたとしても、それが「いつ」起きて「どう」転ぶかを予想することは殆ど不可能であると言っても過言ではありません。日本フルードパワー工業会の会員各社様には、厳しい現実に確りと向き合い、環境を冷徹に見つめ、不測の事態に備えながらも内部留保を厚くするだけではなく、投資すべきものは投資し、健全な競争と協調のなかで共に成長・発展し、雇用の増加や賃金の上昇などを齎す本格的な景気の好循環に寄与することが望まれています。
これを実現するためには、各需要業界の皆様方のご支援が必要不可欠でございますので、更なるご協力を切にお願い申し上げ新年のご挨拶とさせていただきます。
「緊急事態が続く今年も“元気な業界”として乗り越えていく」
●日本金型工業会 会長 牧野俊清
平成26年の新春を迎えるにあたり、謹んで会員の皆様、関連官公庁、関連業界の皆様にお慶び申し上げます。
‘08年9月のリーマンショック、円高、‘11年3月の東日本大震災が、日本経済を苦しみ続けておりました。特に円高は’07年6月1ドル124円だったのが、政治の無策か大震災後も続き、’12年2月には76円と163%も高くなりました(対中国135%、対韓国196%)。日本製品が6割も高くなったのです。各国の物価上昇率との差異があるにせよ、日本のものづくりの競争力が落ちるのが当然です。その結果、自国通貨ベースのGDPは、’12を’07と比較すると、日本93%、中国198%、韓国131%、米国112%となってしまいました。幸。アベノミクスによって経済環境は好転しつつあります。昨年は103円くらいに戻しており、製造大企業は高収益を得始めています。
金型業界においては、金型の昨年10月までの1年間の生産額は、一昨年とほぼ同様ですが、リーマンショック前2007年の7割と緊急事態が続いております。型種、需要業界の違いもあり、会社によって、業績は様々のようです。機械統計では、鍛造専業金型がリーマンショック前の1.7倍であり、大型プレス専業金型も現在活況のようです。
大企業の新製品開発が円高・大震災等により停滞していたかもしれませんが、好業績をあげられたことにより、顧客は、その利益を新製品開発(金型発注)、価格見直しに振り向けていただきたく思います。2020年の東京オリンピック招致の決定もあり、今年の金型業界、製造業界、日本経済が良いことを期待します。
昨年3月、経済産業省で「新素形材産業ビジョン」が作成され、工業会でも「新金型産業ビジョン」の作成を、3月完成を目処に進めています。金型業界の将来を担い、将来のあり方に最も影響される、若手を中心に議論をしていただいており、金型業界に密接に関与されている有識者の応援もいただき、皆様にお役にたつものになると確信しております。
「新金型産業ビジョン」として、①技術力、②営業力(発信力)、③新分野への展開と付加価値向上、④海外市場とグローバル展開、⑤人材(経営者・社員)等が検討されています。
日本金型工業会は、事務局員数が昨年より少なくなりましたが、東京・名古屋・大阪の3事務所にて、ウエブ環境の活用による役割分担した一体化を進め、会報・ホームページのリニューアル等、サービスの拡充を進めており、会員も若干ではありますが増加しております。また、さらに新たなご入会が増えることを期待しております。
緊急事態が続く今年においても、会員、賛助会員、顧客、経済産業省素形材産業室始めとした監督官庁、学会の大きな応援により、この難局を、「元気な業界」として乗り越えていきたく思う所存でございます。皆様のご理解ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせて頂きます。
年頭所感(DMG森精機/オーエスジー/日立建機)
「工作機械の新しい価値と無限の可能性を追求していく」
●DMG森精機 取締役社長 森 雅彦
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、TPP交渉参加、消費増税決定、2020年東京五輪開催決定など、日本の今後を方向づける出来事が数多くありました。
そのような中、当社も10月1日に「株式会社森精機製作所」から「DMG森精機株式会社(以下、DMG森精機)」へ社名を変更しました。同じく、2009年より業務提携しております「GILDEMEISTER AKTIENGESELLSCHAFT」も「DMG MORI SEIKI AKTIENGESELLSCHAFT(以下、DMG MORI SEIKI AG)」に社名を変更し、協業関係を加速させ、「DMG MORI」ブランドのさらなる強化を図っています。
9月にドイツ・ハノーバーで開催されたEMOでは出展企業中最大のブースを設け、新操作盤「CELOS」を搭載した新デザインコンセプトの機種15台を世界初披露しました。
協業効果に加え、欧米での受注環境好転、円高是正にも後押しされ業績が改善しました。
本年は、「DMG MORI」の日本でのグローバル本社と位置づける東京ソリューションセンタと、スイス・チューリッヒにも同様にヨーロッパにおけるグローバル本社の開設を予定しているほか、ロシアでウリヤノフスク工場の稼動も予定しています。(名古屋本社は、従来どおりDMG森精機の本社としての機能を維持します。)また、IMTS・AMB・BIMU・JIMTOFなど世界最大級の国際工作機械見本市も控え、世界中のお客様へ、製品・サービス・イノベーションをお届けするため、DMG森精機とDMG MORI SEIKI AGでの共同開発と相互生産体制をさらに強化します。特に共同開発においては、外観だけでなく部品においても共通化を進め、原価低減を行います。
「DMG MORI」として企業活動を続けていくためには、これまで以上に広い知識と視野を持ち、多様性を受け入れて互いに理解を深め、ともに努力することが必要です。少なくとも2020年までの中長期的視点に立ち、個人の目標を定めそれに向かって成長しなければなりません。具体的には、営業・開発・製造各分野におけるDMG MORI SEIKI AGとの交換研修を推進します。また、今後の当社を担う人材育成のため、20代から30代の若手社員に対する研修を特に強化します。
本年も、世界中のお客様に、最適な製品を最適な納期とサービスでお届けするべく、工作機械の新しい価値と無限の可能性を追求してまいります。
本年も、変わらぬご支援、ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
「ステップアップへの投資」
●オーエスジー 代表取締役社長 石川則男
2014年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
日本経済は円高是正と株高によって輸出企業を中心に業績が回復してまいりました。また市場での購買意欲も高まり、明るい年頭を迎えることが出来たことを大変喜ばしく思います。しかしながら4月の消費税の増税、今後のTPP交渉の行方、一向に改善しない日中、日韓関係など不透明な要因も数多く、特に中小企業にとっては景気の改善感は乏しく国内の製造業の空洞化の影響をまともに受けています。
このような状況下、オーエスジーは機械加工の普遍的なニーズは時間短縮にあると考え、より高能率な加工を実現する製品とサービスを総合的に提供してまいります。消費者のニーズは多様化が進み、この傾向はグローバルに拡大しています。部品、ユニットの共通化は進んでも最終的には顧客のニーズが最優先される時代です。多様化に応えるモノづくりとは新技術導入による高能率化と、種々のデータの解析力に裏付けされた信頼のモノづくりであると考えます。2014年は日本企業が世界市場でステップアップする飛躍の年です。当社もステップアップのための投資を国内外で増やし世界のモノづくりに貢献したいと考えます。目標は高く、世界一の穴加工用切削工具メーカーを目指します。
最後になりますが、日本経済の益々の発展と皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。
「激しい競争に打ち勝っていくため自己変革を図る」
●日立建機 執行役社長 辻本雄一
新年あけましておめでとうございます。2014年の年初に当たりご挨拶申し上げます。
昨年2013年の世界経済は、アベノミクスによる日本経済の回復や低迷していた中国経済に改善の動きが見られるものの、資源価格の下落や為替の影響により、東南アジアやインドなど新興国経済に陰りが見られました。建設機械市場を見ると、日本市場は震災の復興需要や排ガス規制に対応した前倒し需要も一部あり好調に推移し、低迷していた中国の需要も4月から緩やかな回復傾向にあります。一方、資源価格低迷に対応した鉱山会社の投資抑制により、マイニング機械需要が大幅に減速するとともに、東南アジア、インド等新興国の建設機械需要には減速感があります。
このような状況の中、新しい年2014年を迎えましたが、世界経済は依然として不透明で、建設機械需要も大きく回復することは期待できません。しかし、中長期的には今後も成長していくことは間違いないと思っています。一方、グローバルな競争環境は年々激しさを増していきます。
世の中や環境は急速に変化しており、市場のグローバル化に伴い、我々建設機械市場でもお客様や地域のニーズはますます多様化しています。
我々日立建機グループは、この激しい競争に打ち勝っていくため、変化に柔軟に対応できる体制に自己変革を図るとともに、製品、販売、サービス等、建設機械ビジネスのバリューチェーンすべての分野において、お客様のニーズを的確に反映し、良い製品、良いサービスを提供してまいります。
干支では昨年は巳年、今年は午年です。巳年と午年は干支の中間に当たり、巳年は新たな命が芽生える新生の年、午年は状況が変化する反転の年といわれています。日立建機グループもお客様視点での価値創造のため種々施策をスピード上げて推進し、さらなる飛躍を図っていきたいと思います。
最後になりましたが、2014年が平和で明るい年であることを祈念しまして、年初のご挨拶とさせていただきます。
日立ツールが金型三次元形状部の仕上げ精度向上のための『アルファ ボールプレシジョンF形 ABPF形にSC,STタイプインサート』を追加発売!
日立ツール(社長=田中啓一氏)が、このほど『アルファ ボールプレシジョンF形 ABPF形にSC,STタイプインサート』を追加し発売した。刃先交換式のアルファ ボールプレシジョンF形ABPF形は、金型の仕上げ加工用途向けに販売をしているが、このABPF型用インサートとして先般発売した、強ねじれ刃形 (図2) のSFタイプは、金型の三次元形状部の仕上げ精度の向上と長寿命化が図れると評価も高く、強ねじれ刃形 (図2) プラ金型用のSCタイプと高硬度材用STタイプのインサートを新たに追加発売するに至った。既に発売済みのSFタイプと合わせると、プレス金型、プラスチック金型、高硬度材分野の全ての仕上げ加工に対応可能となる。
特長は以下のとおり。

(1)強ねじれ刃形
・切削抵抗低減によって、工具の振動を抑えることができ、仕上げ面性状・仕上げ精度が向上する。
・切削時の衝撃緩和により工具寿命が向上する。
・ネガ刃型を採用したSTタイプにおいても、強ねじれ刃形で低抵抗を実現した。
(同社従来品に対し50%削減)
(2)新コーテイングインサート PN08M
・耐摩耗性に優れると共に耐欠損性も高い超微粒子超硬合金素材と、AlCrSi系のマルチレイヤー構造で、密着強度、被膜硬度、耐熱性、耐溶着性を高めたPNコーテイングを組み合わせることで、プラスチック金型(炭素鋼、プリハードン鋼)の高速切削および高能率加工に性能を発揮する。
●価 格
インサート
・材種:PN08M、ATH80D
・サイズ:ZDFG080-SC(φ8)~ZDFG300-SC(φ30)、 ZDFG080-ST(φ8)~ZDFG300-ST(φ30)
\ 6,164 ~ \ 10,301 (消費税込み)
■商品仕様
アルファ ボールプレシジョンF形 ABPF形 強ねじれ刃形インサート
★印:新商品の標準庫品。
●印:標準在庫品。
※φ10以上のインサートは再研磨が可能。φ16以上では最大2回まで再研磨が可能。
ダイジェット工業が中国・成都支所を開設
ダイジェット工業(社長=生悦住 歩氏)が、このほど中国西部地方の販売拠点として、中国・成都支所(四川省)を開設した。自動車、重機、航空機等の大手ユーザーや金型メーカーが集積する成都市(四川省)において、さらなる販売拡大を図るのが狙い。●名称:成都支所●住所:中華人民共和国四川省成都市高新区天府大道北段1480高新孵化園1号楼A-B座2015室Rm.No.2015,No.1BLDG.A-B Stand,Hi-Tech Incubation Garden,No.1480 Tianfu Avenue North,Hi-Tech District,Chengdu City,Sichuan,P.R.CHINA●支所長:謝 軍(シャ グン)
NSKが「モジュール化対応高機能電動パワーステアリング」を開発
日本精工(社長=大塚紀男氏)は、グローバルに展開される複数の車種に対して、共通の設計で対応可能な「モジュール化」に最適な電動パワーステアリング(以下EPS)を開発した。この製品はグローバルに生産される車種において、各地域で要求される様々な高機能なニーズに対して幅広く対応可能であり、更に軽量化と安全性の向上を大幅なコストアップを抑えている。同社ではこの製品の売上を2017年に350 億円を目指すとしている。特長は以下のとおり。
(1)高機能化に対応
EPS を制御するECU には、従来の2 倍以上の高い演算性能を持たせ、パーキング・アシストやレーンキープから将来を見据えた自動運転の支援までを想定したグローバルに多様化する高機能なニーズに対応できるソフトウェアである。
(2)機能安全の確保
ECU には2 つのプロセッサを持つマイコンを採用し、相互の状態をモニターすることで、高精度で高速な故障検知機能を実現し、EPS の安全性を高めた。
(3)軽量化
放熱ヒートシンクなどの小型化、部品点数の削減、シンプルな構造などにより、ECU を従来品に比べ24%軽量化、さらには小型化も実現。このほか、モータの小型化も含め、全体で約10%の軽量化を実現した。
(4)大幅なコストアップを回避
既存のEPS の構成部品を活用し、多様な高機能ニーズにソフトウェアの仕様変更で対応可能にしたことで、コストアップを抑え、開発期間の短縮も可能にした。
「高防塵 新V1 シール付きローラガイド」が高防塵 新V1 シールで異物環境下の長寿命化に貢献! NSK
日本精工(社長=大塚紀男氏)はこのほどシール部の潤滑が枯渇する環境や異物に曝されるなどの過酷環境下での耐久性を向上させた、NSKリニアガイドTM「高防塵 新V1 シール付きローラガイド」を開発した。2014 年4 月から製品の販売を開始し、2015 年に高防塵 新V1 シール付ローラガイドで3 億円の販売を目指す。
ローラガイドは、転動体にころを用いたリニアガイドで、工作機械など高い剛性や負荷容量が求められる様々な用途に使用されるが微細な粉末が発生する生産現場では、ローラガイドの内部に異物が侵入することで、軌道面の異常摩耗や循環不良が発生し、短期間で破損する場合もあった。このため、カバーなどでローラガイドを覆い、異物が侵入しないように防塵対策を用いても完全に防ぐことができなかった。このような背景を受け、同社が開発した「高防塵 新V1 シール」を装着することにより、ローラガイドの防塵性能を飛躍的に高めるとしている。
ケナメタルが画期的なスピンドルコネクションKM4X100™を発表
ケナメタルがチタンや硬合金の加工で最大の切り屑除去率が得られ、工作機械のパワーを最大限に引き出すスピンドルコネクションKM4X100™をこのほど発表した。
スピンドルコネクションは、工作機械のスピンドルとツールホルダーとの接合部であり、重要なつなぎ目。この重要なコンポーネントは、工作機械の動作仕様に適合するトルクを伝え、曲げ負荷への耐性を発揮することが必要である一方、チタンやその他の合金のような高強度材の加工においては、切削抵抗によって曲げモーメントが発生し、工作機械のトルクのしきい値に達する前に接合部分の限界値を超えてしまうことがある。
高いクランプ力と最適化された干渉レベルの両立が特長のケナメタルの新製品KM4X100™は、極めて高い剛性と曲げ負荷への耐性を備え、高強度合金や他の被削材の機械加工における性能が大幅に向上し、極めて高い切り屑除去率とシフト当たりの生産数量増大が実現する。
「ほとんどの場合、ある加工作業でどれだけの切り屑除去率が得られるかは工具とスピンドルのコネクションで決まります。」と話すのは、Kennametal社のツーリングシステム、グローバル製品管理担当役員であるDoug Ewald氏。「したがって、このコネクション分は高い負荷に耐えつつ、剛性も維持しなければなりません。切削工具やマシニングセンターの継続的な進歩とともに、利用可能な力を最適に活用するKM4X 100™のようなスピンドルコネクションが、生産計画の初期段階で検討するべき重要な項目となっています」と述べている。
三菱マテリアルが“溝入れバイト” GYシリーズに多機能加工用精密級インサートMFブレーカを追加
三菱マテリアルツールズ(社長=滝沢俊夫氏)はこのほど三菱マテリアルが開発、製造する“溝入れバイト”GYシリーズに多機能加工用精密級インサートMFブレーカを追加、販売開始した。
GYシリーズは、独自の締結技術トライロックにより、モジュラー型工具の弱点である本体剛性を大幅に高め、高能率加工が可能な溝入れ工具として好評を博していたが、溝入れバイトを使用して高精度な溝加工のニーズに対応するため、多機能加工用精密級インサートMFブレーカを追加するに至った。
“溝入れバイト” GYシリーズ 多機能加工用精密級インサートMFブレーカの主な特長は以下のとおり。
① 溝幅2mm~6.35mmを商品化。さらにC形止め輪(サークリップ)に対応可能な刃幅を標準化。
② M級インサートの刃幅公差(±0.03-±0.04)に比べ、外周研磨品である精密級インサートMFブレーカは、刃幅公差±0.02となり高精度。
③ 精密級インサートMFブレーカはモールデットブレーカならではの良好な切りくず分断性を発揮。
④ 外径用/端面用/内径用モジュラーブレードおよび内径用モジュラーホルダへ搭載可能。一種類のインサートで、外径加工、端面加工および内径加工を実現。
⑤ サーメット材種「NX2525」、PVDコーテッド超硬材種「VP10RT」「VP20RT」、超硬材種「RT9010」の4材種を規格化。
タンガロイが新発想小型旋削用外径工具『DoMiniTurn/ExternalLine』(ドゥ-ミニターン・エクスターナルライン)を発売
タンガロイ(社長=上原好人氏)がこのほど、新世代、小型旋盤加工に対応する外径加工用工具『DoMiniTurn/External Line』(ドゥ-ミニターン・エクスターナルライン)の発売を開始した。
DoMiniTurnは、両面仕様インサート形状により、ポジインサートと同等の低抵抗化を実現、両面仕様インサートにより大幅な工具費の削減に寄与する次世代工具として期待される。
インサートは既に発売済みのDoMiniTurn/BoreLine工具にも使用可能なチップブレーカTS/SS形に加え、低切込み時の切りくず処理性に優れるチップブレーカJTS/JSS形を設定。このJTS/JSS形は、小物部品の高精度なワーク隅R指示に対応するためにインサート刃先のコーナ半径をR0.1から設定、コーナ半径公差もマイナス公差としている。
材種には、耐摩耗性能に優れるAH725を汎用材種として設定し、鋼、ステンレス鋼および鋳鉄などの多様な被削材に対応する。また鋼の高速加工や仕上げ面粗さの向上用としてNS9530とGT9530(コーティングサーメット)も設定している。
ホルダは、インサートポケット部をダブテール構造にすることで、切削時におけるインサートクランプの安定性を向上、G級インサートとの組み合わせで高精度加工の安定化も図っている。また、自動盤での容易な工具交換が可能な背面クランプ型バイトも揃えている。
セコ・ツールズが旋削用途で最高のパフォーマンスを発揮する M6 チップブレーカを発表
セコ・ツールズがこのほど新しいネガタイプM6 チップブレーカを発表した。この製品は旋削用途における鋼および鋳鉄の粗加工と中仕上げ加工用に設計されており、生産性、汎用性ともに優れている。
さまざまな両面形状が揃っている M6 には、広いポジ形状保護面、ポジブレーキ、広い溝が備わっており、高い刃先強度、低エネルギー消費量、効率的な切り屑排出を実現。また、チップブレーカ形状は、切り屑、クレーター磨耗、フランク摩耗に対する耐性が高く、工具の寿命を延ばすことができる。 生産性をさらに向上させるため、このシリーズには両面の高送りチップがある。M6 に採用されているワイパー設計は、送り速度を向上させると同時に、確実なチップコントロール、低切削力、安定した摩耗挙動を実現、これらのメリットから、優れたパーツ品質とスムーズな仕上げ面が得られ、一部の用途では仕上げ加工が不要になる。
