日工会が「EMO2023」の開催結果概要をまとめました

日本工作機械工業会が本年9月18日(月)~23日(土)の6日間、ハノーファー国際見本市会場で開催された「EMO2023」(主催=ドイツ工作機械工業会)の開催結果の概要を次のとおり、まとめました。これを読むと業界のトレンドが分かると思います。

今回は42カ国、地域から1,850社が集まりました。来場者数は92,000人。ちなみに前回展(2019年)は116,706人だったので若干減少しています。

主な展示概要と今回の特徴

●欧州
・EV 関連の部品加工に適した複合加工機にAGV やロボットを組み合わせた自動化を意識した展示が目立ちった。
・前回ハノーファーで開催したEMO 2019 に比べ、ドイツだけでも大手、中小を合わせて約100 社が出展を見合わせた。

●アジア
・欧州でニーズの多い多軸機の出展が多く見られた(台湾)
・1社で広いスペースで多数の機械を展示PR する企業が目立つ(韓国)
・小規模でコンパクトブースを有効活用し、展示会を出展(中国)
・ロボットと連携し自動化を意識した展示、環境に配慮した省電力な機種を展開した他、EV や航空機部品向けのモデルを展示(日本)

トピック

(1)開会式
Heinz Jürgen Prokop CECIMO 会長挨拶に続き、Stephan Weil 州知事等が開会式に登壇、祝辞を述べた。また、Carl Martin Welcker ゼネラルコミッショナーがスピーチでEMO 2023 の見どころについてふれた。要旨は以下の通り。

①EMO 2023 はテクノロジー、対話、ネットワーキングに重点を置き、「ビジネスの未来」、「接続の未来」、「生産における持続可能性の未来」という3つのトピックを詳しく取り上げる。

②EMO 2023 は工作機械本体の他に工作機器、ソフトウェアを含めた総合展示を行っており、会期中には360を超えるセミナーやイベントが開催され、製造業が直面するあらゆる課題を解決したい。

③生産設備に対する世界的な需要低迷の中で、工作機械産業は中長期的には成長が期待できる。環境対応車のコンサルあるDr.マイケル ウィトラー氏によれば、BEVとFCVの販売台数は2040年までに8,500万台に増え、市場シェアの75パーセントを占めると予想している。

④今後、電気モータ・バッテリ・燃料電池は、重要なコンポーネントになりつつある。また環境への負荷を軽減する電動車の発展が工作機械産業の回復に寄与する。

(2)出展傾向
①ロボットの活用や、工具・工作物関連の自動化システムとの連携によるスマート化を意識した展示を広く展開。労働力不足等を背景に、各企業とも自動化を強く進めている模様。

②多軸・複合工作機械が引き続き増加。複合機能のラインナップも多岐にわたり、工程集約ニーズの高まりが窺われた。

③欧州メーカの自動化展示には、現地の自動化システム専業メーカが採用されているケースが目に留まった。Hall9に搬送用ロボットを集約した展示エリアを設け、自動化ニーズに応じた内容を展示。

(3)その他
①次回EMO展は2025年9月2 2日(月)~27日(土)、ドイツ・ハノーファーにて開催予定。