年別アーカイブ 2023年
無造作淑女
今年もお世話になりました
2023年は激動の年でした。
コロナ禍があけ、経済活動が活発化した一方、約3年にもおよぶ停滞からの目覚めに、皆様、調子が狂ったようです(笑)。その一方で、働き方の見直しが進み、一気にシステム化が進んだように思えました。
ネットを活用して距離によるデメリットを払拭し、ビジネスを円滑にするため、各社も会議室が大幅に増えたように見え、素早く時流に合わせてフレキシブルに対応する皆様を見て、「さすがだなあ~」と心の中で感じた次第です。
世界に目を向けると、ロシアによるウクライナの侵攻はもう2年近くにおよんでいます。さらに10月にはイスラエルとハマスの武力衝突は世界に波紋を広げました。
地球温暖化の影響なのか、本年6月、日本国内は相次ぐ線状降水帯の発生により大雨に見舞われたと思うと、今度は記録的な高温が続きました。最近では12月とはいえ、今まで感じたことのない春の陽気を感じる日もあり、寒暖の変化に中年の肉体はついていくのがやっとでした。
われわれをとりまく情勢は、現在、つかみ所がなく予測困難ですが、想像力を働かせて、前を向いていきたいと思います。
ところで話はクルリンパと変わり、個人的なことですが今年は呪いをかけられたように散々な目に遭いました。2年前の穿孔性虫垂炎の手術がもとで夏に巨大化した腹壁瘢痕ヘルニアの回復手術を行い、その後、メッシュ感染を起こし、再度開腹手術。わたしの夏がぶっ飛んでしまいました。それでも滞りなく製造現場ドットコムを更新ができたのは、関係する皆様方のお陰であります。ありがとうございました。
深く感謝申し上げます。
なお、2023年の最後をしめくくる12月31日のこの日、FAXが壊れてしまったようです。来年こそは、ハッピーなアクシデントが立て続けに起きることを願ってやみません。
三菱マテリアル ロングセラー製品を充実させ参考出品
メカトロでは、三菱マテリアルの小物高精度部品内径加工用工具「ステッキィツイン」が展示されていましたが、実はこの製品、ず~っと売れていているロングセラーなんですね。そこで、「じゃあもっと展開しようよ!」と考えた同社。「ステッキィツイン用スリーブSLV」が参考出品として展示していましたよ。
夢の国に住んでいるねずみに似たこの形状からクーラントが出るとのこと。
これがロングセラーの「ステッキィツイン」
もうひとつ注目したのは、同社の超硬工具リサイクルシステムについて。超硬工具はタングステンが使用されていますが、このタングステンが含有されているスクラップを回収して、再度、高品質なタングステンとしてリサイクルするというもの。
近年、循環型社会の構築も製造業としては重要な取り組みとなりました。
三菱マテリアルの子会社である日本新金属の秋田工場は、回収したタングステン含有スクラップからタングステン粉末及びタングステンカーバイド粉末を一貫生産できる国内唯一の工場です。
レアメタルであるタングステンは、いつ何時、日本に入りにくい状態になるか分からない側面を持っています。「国内で利用したタングステンを回しましょう!」という意気込みを感じます。さすが総合素材メーカーの三菱マテリアルですね☆
まだまだたくさんネタはあります。
ちょこちょこ勝手にブログにて掲載していきます(●∀―)
【取材こぼれ写真】1000穴加工の違い
不二越さんの注目工具であるバリレスシリーズですが、1000穴加工の違いをレイアウト上、掲載できなかったので、ブログに掲載いたします。
写真左は汎用ドリル。右がアクアREVOドリルバリレスです。
陣笠バリのすごいこと!
美しく穴があいています
工具はここまで進化した! というのを目の当たりにして驚きました。
バリ取り工程が削減できれば、製造現場におけるタイムパフォーマンスが高くなります。
画期的な工具の誕生に期待も膨らみます。
バリレスシリーズを生み出した開発の経緯や、加工デモの様子やコチラの記事へ↓
https://seizougenba.com/node/13590
2023グッドデザイン賞を受賞したユキワ精工の「ワークハンドリングホルダ」
しばらくメカトロネタが続きます☆
新型コロナウィルスが猛威を振るってからというもの小千谷に位置するユキワ精工の酒巻社長とお会いする機会がめっきり減少していたのですが、MECTでお会いするチャンスに恵まれ、お話しを聞くことができました。
あらっ!
マテリアルハンドリング ワークホルダが「2023年グッドデザイン賞」を受賞しました。
ちなみに今年度のグッドデザイン賞は5,447件が審査対象になっています。
酒巻社長によると、「製造業では労働人口の減少から人手不足も深刻な問題で、解消するために自動化が推進され、大企業では搬送ロボットを設置するなど取り組みが進んでいますが、工作機械とともに設置するわけですから広いスペースが必要。ティーチングやプログラムの作成などシステムを構築するのは中小企業ではハードルが高く、自動化を進めたくても進まないのが現状です。そこで、搬送用途として工具ホルダをデザインしました。」とのこと。
マシン内のワークストッカーから自動でワークの供給、排出を可能にしたこのハンドリングホルダのメリットは、搬送ロボットの導入に比べ安価で簡単に設置することができ、複数個のワークの機械加工を自動化することができること。夜間運転なども可能になるので機械の稼働率を向上することができるのです。搬送ロボットの電力不要となるので省エネ!
色はシルバーとゴールドの2種類。それぞれ違いがあります。
多種多様なワークに対応するため、外径把握用をゴールド、内径把握用をシルバーに色分けしたんですって。
同社では2012年にも、速くキレイに削れるecoなホルダ「グリーンG1チャック」でグッドデザイン・ものづくりデザイン賞を受賞していますから、今回で2度目の受賞となりました。
ワークハンドリングホルダ加工動画(youtubeで見るをクリックしたら再生します)↓
栄工舎 世界初の樹脂専用リーマ ~やっぱり展示会はリアルがいい~
師走時です。今年はコロナ禍があけ、一気にリアル取材が爆増中でてんてこ舞い。
人材不足が身に染みる今日この頃です。(←最近、毎日言ってるような・・・)
今年の大きなイベントといえば、ギョーカイでご活躍されている方ならご存じのとおり、「メカトロテックジャパン(通称:MECT)」。
この展示会で久々に栄工舎さんの製品を拝見しました。このメーカーはリーマ生産量日本一!
それというのも、同社はもともとリーマから出発した会社なので、この分野ではトップシェアを誇っており、溝加工や面取り加工など、痒いところに手が届くような工具が揃っています。
久々に同社の商品群を拝見したので、ちょっと嬉しくなってしまった筆者。
あらっ! 樹脂用リーマが展示されていましたよ。
同社では昨年、樹脂専用のリーマを市場に提供し始めたのですが、それまでは樹脂専用とうたっているリーマがなかったとのことで、樹脂専用のリーマは世界初! さすがリーマから出発した会社だけあって、目の付け所が違います。
この製品は、3穴オイルホール採用で止り穴でも加工熱の発生を防ぎ、切りくずの排出性を向上させ、独自の刃形状でギャッシュ面も大きく切削性をアップさせているとのこと。
工具の質がよろしくないとアクリルに濁りが発生し、汚く見えてしまいますが、ごらんのとおりピカピカです。
やっぱり展示会はリアルが良いですね☆
オーエスジー「IPF Japan2023」に出展 時代に合致したセミナーも盛況!
現在〈11月28日(火)~12月2日(土)〉幕張メッセで開催されている「IPF Japan2023 国際プラスチックフェア」。この展示会は3年に1度開催されていますが、2020年度はコロナ禍のため中止となっています。
最近よく聞く〝SDGs〟ですが、製造業は関わりが深く、ものをつくる現場では、環境配慮への貢献が必要不可欠とされています。コロナ禍が過ぎれば、世界中がカーボンニュートラルやDXの取り組みも急速に進展し、製造現場では、少子高齢化に伴う労働人口の減少を改善するため、省人化や自動化による加工効率改善と同時に品質向上も目指さなければならず、悩みは尽きないと思われます。
オーエスジーは、現在、「IPF Japan2023」に出展中ですが、昨日(11月30日)、『切削加工からみたモノづくりの未来~複合材料・ロボット加工・樹脂加工~』をテーマにセミナーを開きました。内容は、アルミ合金と比較し剛性の向上や軽量化による燃費改善が可能なCFRP等の「複合材料」、働き手不足や加工の自動化に貢献する「ロボット切削」、金属の代替材料として需要が高まっている「樹脂加工」の3つの分野についてでしたが、時代に合致したテーマが旬でしたね。
そういえば、オーエスジーは、10月に開催されたMECT2023で発表した「GREEN TAP」も従来と比較しタップ製作時の消費電力量を削減することでタップ製造時1本あたりのCO2排出量を約50%削減するとして注目を浴びていました。
今回の「IPF Japan2023」では、同社が長年培ってきたノウハウを活かした最適な工具と加工方法について提案しましたが、聴講者は時代の流れを掴んだようです。展示会のセミナーは各社が培った加工ノウハウを知るきっかけにもなりますから、要チェックですね。
この展示会は、明日までですが、オーエスジーは幅広い切削工具を展示しています。加工現場で活躍される皆様にとっても展示会は付加価値の高い製品を見つけるチャンス!
「IPF Japan2023」は明日までなので、お時間のある方はぜひ足を運んでみてください☆
悲しみが止まらない
一気に寒さを感じる季節になりました。
日照りの街をオロオロ歩いていたと思いきや、秋を飛ばして身震いしながら駅のホームに佇む今日この頃。一体、日本の気候はどうなっちゃったんだろう?
気持ちが季節に追いつかないほど多忙な日々に突入。
メカトロが終わったあと取材が爆増し、重たい荷物を引きずりながら、日本全国津々浦々、移動の毎日を送っていますが、どこの駅に行っても、人、人、人でコロナ明けを強烈に実感しますなあ。
新幹線に乗ってもローカル線に乗っても地下鉄に乗っても人だらけ。新幹線では、狙っている時間に乗れないこともあり、ますます疲労度が増すけれど、そんな疲れは新幹線内でプシッとハイボールで吹き飛ばすのが私流。
ところが。
東海道新幹線の車内販売が中止となり悲しみが止まりません。グリーン車ではQRを読み取ると、車内販売担当者が来てくれるのですが、品数が少なく缶ハイボールがない!
ないないなーーーーーーい!
購入する時間がない場合は、我慢を強いられることになるってことね。
労働者の楽しみがひとつ減ったことに深い悲しみを覚えます。
これは最近の北陸新幹線内。車内販売ありでホッ!↓
時間に追われる毎日ですが、負けてたまるか。
己の敵は己。
【お知らせ】「工作機械検定(MT検定)」締め切り迫る! ~受験料無料~
日本工作機械工業会(以下日工会)が主催する「工作機械検定(MT検定)」の1級・2級の応募期間は11月17日までということで締め切りが迫っています! 3級は応募期間の後でも受験可能で、合格者には認定証と、抽選で下記の賞品が贈呈されます。
【賞品】
1級:月刊「機械技術」1年分(5名)
2級:トコトンやさしい工作機械の本(10名)
3級:画像で学ぶ工作機械の仕組みDVD(10名)
この検定は、日工会が主催する検定試験で、機械をはじめ製造業界に従事する方だけでなく、幅広く一般の方々に工作機械業界の認知度の向上を目指して実施するのが狙いです。各級ごとの概要は以下のとおりです。
〈1級〉
学生や機械系、工作機械業界の企業に従事されている方を対象に難易度を上げた出題内容。受験者自ら調べて回答することで、「ものづくりへの興味や理解を深めて頂きたい」との願いが込められている。工作機械について知見を深める参考資料としては、「工作機械設計学(基礎編・応用編)」がある。
〈2級〉
高専や工業高校・大学などで機械工学の勉強をしている方や一般の方々を対象に工作機械の役割や種類、歴史や市場など、幅広い観点から工作機械への知見を深めて頂くことを目的に、サイト内のヒント集を見て回答ができる内容となっている。
〈3級〉
工作機械を全く知らない方を対象に、工作機械やものづくりに興味を持って頂くための問題を用意している。その場で答え合わせができて合否がわかる。
では、受験される皆様は頑張ってくださいね☆
日工会が「EMO2023」の開催結果概要をまとめました
日本工作機械工業会が本年9月18日(月)~23日(土)の6日間、ハノーファー国際見本市会場で開催された「EMO2023」(主催=ドイツ工作機械工業会)の開催結果の概要を次のとおり、まとめました。これを読むと業界のトレンドが分かると思います。
今回は42カ国、地域から1,850社が集まりました。来場者数は92,000人。ちなみに前回展(2019年)は116,706人だったので若干減少しています。
主な展示概要と今回の特徴
●欧州
・EV 関連の部品加工に適した複合加工機にAGV やロボットを組み合わせた自動化を意識した展示が目立ちった。
・前回ハノーファーで開催したEMO 2019 に比べ、ドイツだけでも大手、中小を合わせて約100 社が出展を見合わせた。
●アジア
・欧州でニーズの多い多軸機の出展が多く見られた(台湾)
・1社で広いスペースで多数の機械を展示PR する企業が目立つ(韓国)
・小規模でコンパクトブースを有効活用し、展示会を出展(中国)
・ロボットと連携し自動化を意識した展示、環境に配慮した省電力な機種を展開した他、EV や航空機部品向けのモデルを展示(日本)
トピック
(1)開会式
Heinz Jürgen Prokop CECIMO 会長挨拶に続き、Stephan Weil 州知事等が開会式に登壇、祝辞を述べた。また、Carl Martin Welcker ゼネラルコミッショナーがスピーチでEMO 2023 の見どころについてふれた。要旨は以下の通り。
①EMO 2023 はテクノロジー、対話、ネットワーキングに重点を置き、「ビジネスの未来」、「接続の未来」、「生産における持続可能性の未来」という3つのトピックを詳しく取り上げる。
②EMO 2023 は工作機械本体の他に工作機器、ソフトウェアを含めた総合展示を行っており、会期中には360を超えるセミナーやイベントが開催され、製造業が直面するあらゆる課題を解決したい。
③生産設備に対する世界的な需要低迷の中で、工作機械産業は中長期的には成長が期待できる。環境対応車のコンサルあるDr.マイケル ウィトラー氏によれば、BEVとFCVの販売台数は2040年までに8,500万台に増え、市場シェアの75パーセントを占めると予想している。
④今後、電気モータ・バッテリ・燃料電池は、重要なコンポーネントになりつつある。また環境への負荷を軽減する電動車の発展が工作機械産業の回復に寄与する。
(2)出展傾向
①ロボットの活用や、工具・工作物関連の自動化システムとの連携によるスマート化を意識した展示を広く展開。労働力不足等を背景に、各企業とも自動化を強く進めている模様。
②多軸・複合工作機械が引き続き増加。複合機能のラインナップも多岐にわたり、工程集約ニーズの高まりが窺われた。
③欧州メーカの自動化展示には、現地の自動化システム専業メーカが採用されているケースが目に留まった。Hall9に搬送用ロボットを集約した展示エリアを設け、自動化ニーズに応じた内容を展示。
(3)その他
①次回EMO展は2025年9月2 2日(月)~27日(土)、ドイツ・ハノーファーにて開催予定。
プロフィール
業界新聞社の取締役編集長を経て、インダストリー・ジャパンを設立。製造現場は日本の底力!をスローガンに製造業専門ニュースサイト「製造現場ドットコム」を運営している産業ジャーナリスト兼フリーライターです。霞ヶ関から錦糸町まで守備範囲が広いのが特長。現場取材は数知れず。些細なことや泥臭いことに真実が隠れているのを知り、今では何より本当のことを言うのが大好き。いつも働く女性と頑張るオヤジたちの味方よ。
ブログでは取材のこぼれ話やお知らせのほか、日常のことを綴っています。
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