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「自動化とE-モビリティに焦点」 GROB Japan 松元シニアセールスマネージャーに聞く

100年近くにわたり革新的な生産と自動化システムの設計を行ってきたGROB。同社の永い歴史に裏打ちされたマシン・システムは世界各地の生産拠点でドイツ本社の厳しい基準を採用し、最高レベルの品質を維持している。2019年には販売・サービス拠点として日本支社であるGROB Japanが横浜のみなとみらいに開設。拡販に注力している松元康平シニアセールスマネージャー(以下松元氏)にお話しを伺った。
GROBは来年で100周年!

GROBは1926年、エルンスト グロブ氏によってミュンヘンで創業されて以来、4世代にわたるファミリー企業としてグローバルに展開してきた歴史ある企業だ。2016年には3代目のクリスチャン・グロブ氏がオーナーとなり、システムや工作機械分野で絶えず成長を続けている。4代目にあたるフローリアン・グロブ氏も会社の発展に寄与し、順当に4代続けて事業を継承する方針を打ち出している。
従業員数は全世界で約9,600人。売上高約3,000億円の企業規模であり、ドイツ本社以外に、世界に6つ工場と15の営業サービス拠点がある。他にもブラジル、米国、中国、イタリアに電気モータの生産及び生産設備工場があり、最近ではインドのバンガロールに工場を設立、2024年に稼働している。
松元氏は、「ワールドワイドにそれぞれローカル・トゥ・ローカルの形で製品をご提供できます。お客様のなかには、〝ドイツ製が欲しい〟というご要望のある方もいらっしゃいますが、その場合、ドイツの工場から出荷することも可能であり、お客様がなにを求めているかに合わせて柔軟に対応しています。また、ブラジルのサンパウロ、アメリカのブラフトン、中国の大連で製造している製品ラインナップに関してはドイツとほぼ同じであり、現地現調化をかなり進めています。インドは、まだ開設したばかりですので、今はインド内向けにマシニングセンタを安定的につくれるようにすることと、メンテナンスの拠点として発展させることを主力にしています。」と話す。

GROBの製品は、ドイツ本社で開発・設計しており、それぞれの工場での違いがないよう仕組みをつくっているのも特長だ。現在、同社のホットな話題について尋ねると、「2007年に横形同時5軸のマシニングセンタを販売し始めたら、非常に好評で、様々なお客様にご愛用されており、現在では第2世代に更新したマシニングセンタとして活躍しています。他には、電気モータの組立設備の生産を始めており、電気モータ向けマシニングソリューション、組立ユニットおよびシステムは、自社開発した最新の技術を常に取り入れて、フレキシブル生産やデジタルネットワーク化といった最新の市場の要求に応えています。2019年には日本支社を設立して本年7年目を迎えましたが、日本のお客様にはマシニングセンタをはじめ、こうした自動化プラスアルファの組立機、測定器含めた設備ソリューションをご紹介しています。」と述べた。
E―モビリティ関連に貢献

同社では、ソフトの部分も内製化している。同社製のマシニングセンタだけでなく、例えばドイツ他社の機械やファナックのNCを搭載した日本製の機械も接続でき、Webのプラットフォームで状態を確認することが可能なソフトウエア、クラウドソリューションを提供している。
現在、同社が特に注目しているのは、トレンドでもあるE―モビリティ関連。モータやバッテリの組み立て設備を販売し、最近では燃料電池のセルスタック組立にも取り組んでいる。 「これらについては、E―モビリティの組立設備で自動化において、どういったことが自動車関連産業に対して量産に適用できるかと研究開発を重ねてきた結果です。」と松元氏。
最近は自動車業界に特化した〝システムマシニングセンタ〟の販売に注力しているという。松元氏は、「エンジンのシリンダブロックやギアボックスケース、足回り部品もそうですが、特に注力しているのは、メガ・ギガキャスティング用のマシニングセンタの販売です。近年、自動車のボディフレームを一体成形する動きが加速しています。この機械はギガキャストでの一体型ボディフレームだけでなく、バッテリケースなどにも使えますので、既に海外市場では両方のワーク加工用に多く受注いただいております。今後、電動化の観点からEVだけでなくプラグインハイブリッド車なども増加してくると見込まれていますので、バッテリ部品は大きなものが車内に搭載されるニーズを踏まえ、日本でもこういうものに対応できるマシニングセンタを中心に販売していきたい。」と意気込みを示した。
柔軟でありながらダイナミックな生産を実現! メガ&ギガキャスティング用Fシリーズ

特に松元氏が販売に注力しているのは、メガ&ギガキャスティング用Fシリーズ。バッテリからボディコンポーネントまでの要求が叶うよう特別に設計されたマシンだ。
このマシンの優位性は、作業エリアおける機台の急な傾斜と最適な軸構成によって〝途切れないチップ排除と最適な熱放散〟が実現すること。また、最適化され調整された軸駆動により、工具交換時間が短縮できるといったメリットも有している。また、従来のGROBのマシニングセンタと軸構成が共通であるため、Fシリーズマシニングセンターでも高速加工性と高い剛性を発揮し、バッテリケースのような大きなワークでも加工時間をより早くすることが可能だ。さらに2つスピンドルがついたマシニングセンタもあり、量産加工に非常に向いている。
松元氏は、Fシリーズについて、加工機単体だけではなく、自動化設備と一緒に提案したいと話した。「GROBではマシニングセンタ本体だけでなく、ガントリーやコンベア、ロボット用のステーションなども内製しています。自動化含めて垂直統合で提供できるのがGROBの強みです。ドイツでは、金型、航空宇宙、半導体部品製造の分野でも自動化が非常に進んでいますが、ドイツ流の自動化を推進し続ける所存です。」と力強い。
ドイツ流の自動化にある背景
〝ドイツ流の自動化〟をなぜ重要視しているのかを尋ねたところ、「人手不足についてドイツは既に深刻ですが、日本も数年後同じような状況になるのではと考えているからです。現在、ドイツの人件費は非常に高いです。私が2019年初めてドイツに行った時のケバブ1個の値段が、大体4、5ユーロだったのです。当時ユーロ、円が130円ぐらいでしたので、ちょっと高いなと思いつつ、ひとつ購入しました。昨年尋ねたときには、ケバブが8、9ユーロに値上がりしていて、かつ1ユーロ170円でしたので約2倍になっていました。もともと700円、800円ほどでも少々高いな、と感じていたのに、さらにその2倍の1,600円です。普通のレストランでこの値段だと、労働者は少しでも高い給料を求めて大手などに人が流出してしまいます。そうすると企業規模の小さい部品メーカーの中には、〝どうしても人が足りない〟という悩みを抱えてしまう。こうした社会的背景もあり、非熟練者でもモノをセットするだけで、あとはロボットなどを活用しながら自動化率を高めて生産していくのが現在、ドイツ流の製造現場であり、ドイツの自動化の進化は、人間をほぼ頼りにしないための背景があるのだと思います。人間はポカミスもありますし、パレットチェンジャをいざセットしてみたら段取りの工程が順番逆になってしまいうまくいってなかったというアクシデントもあります。機械だったら、プログラミングをしておけば間違いようがありません。」と自動化のメリットを話した。
また、地球環境保全の観点から同社では、エネルギー効率と再生可能な駆動システムをベースにしており、産業分野に合わせた適切なコンセプトを打ち出している。同社の5軸ユニバーサルマシニングセンタは、多様な素材からなるワークの切削加工において幅広い用途に対応している。GROBは顧客のプロジェクトに応じて柔軟に対応する姿勢で、顧客にとっても力強いパートナーとして存在感を強めている。
日本工作機械輸入協会が創立70周年記念祝賀会を開く

日本工作機械輸入協会(会長=金子一彦 三宝精機工業社長)が、去る4月24日、インターコンチネンタルホテル東京ベイで創立70周年記念パーティを開いた。
あいさつに立った金子会長は、あいさつの中で同協会の歴史を振り返り、「当協会は太平洋戦争終結の10年後、1955年4月20日に、輸入工作機械協会として当時の大阪電気倶楽部にて第1回の総会を開催し、創立された。創立当初の会員数は輸入業者を中心とした29社で、うち4社は現在も会員として活躍されている。1955年といえば経産省が国民車構想を発表した年で、日本の自動車産業は来るべきモータリゼーション時代に対応して、エンジン、トランスミッションを含めた自動車の大量生産のために、設備投資が行われ始めた頃。しかし大量生産を実現するには国産の機械がまだまだ発展途上であり、主力設備が欧米諸国から大量に輸入される時代だった。そんな中、欧米の最新の生産設備、生産技術の紹介と、輸入関税緩和の具申を主なミッションとして当協会は創立された。また日本の工作機械各社も技術の革新を迫られ、欧米の工作機械メーカーとの間で技術提携が行われ始めたことで、その橋渡し役としてのミッションもあり、多くの製造業の生産技術の発展と生産設備としての工作機械、機器、測定器の輸入促進に著しく貢献した。1962年に大阪で、第1回日本国際工作機械見本市が開催されたが、これについては大量の輸入工作機械、機器を展示し、その開催に大いに貢献した。またEMO、IMTS等の海外工作機械見本市や、海外メーカーの製造現場の視察を国内のユーザーを連れてツアーを行い、本場の工作機械、機器を直接見ていただき、輸入促進を図ってきた。現在、日本の製造業は、さまざまな苦難を乗り越え世界最高レベルのものづくり大国に成長したことは非常に喜ばしいことで、当協会も微力ながらそれに貢献できたと思う次第である。」と述べたあと、「ここに70周年の節目を迎え、われわれの先輩たちがビジネスの基礎を築いた偉大な功績に大きな感謝と敬意を表すために、未来に向けて引き継いでいくことが、重要な使命であると改めて考えたい。ぜひこれからも世界最先端の工作機械の技術を日本のユーザーに紹介し、日本のものづくりに貢献していきたい。」と力強く思いを示した。

来賓を代表して経済産業省の田中一成 審議官が、「日本工作機械輸入協会は日本の工作機械産業の発展に多大な貢献をされてきた。特に、優れた輸入機械の導入、促進については国内の工作機械産業の技術革新、品質向上に貢献するとともに、自動車産業機械、ユーザー環境の競争力を高めることに重要な役割を果たしてきた。工作機械産業は製造業の基盤であり、この役割はデジタル化、自動化という新しい流れの中で増大している。AI、IoTなどの実現に向けて、貴協会が果たす役割はますます大きくなっていく。ぜひ今後とも最新の技術動向などを会員内外に積極的に共有していただき、業界全体の発展、わが国の製造業の発展につなげていただければと思う。」と声援を送った。
続いてUNITED GRINDING Management AG、Stephan Nell CEOが祝辞を述べた。
乾杯の発声は、日本工作機械工業会の稲葉善治会長(ファナック会長)が行った。
DMG森精機 奈良事業所が世界最大級のシステムソリューション工場へ!


DMG森精機(社長=森 雅彦氏)が、かねてより改装工事を行っていた奈良事業所の稼働を4月より開始した。4月14日(月)には開所式を執り行った。あいさつに立った森社長から、改修の目的などの説明があり、山下 真 奈良県知事、須賀千鶴 経済産業省製造産業局産業機械課課長、稲葉善治 ファナック会長がお祝いの言葉を述べた。

同社の前身、森精機製作所は1948年に奈良県大和郡山市で創業した。大和郡山市にある 奈良事業所では、長らく工作機械の製造を行い、2016年には約5,000㎡のシステムソリューション工場を新設した。
自動化需要の高まりにより、工作機械製造を伊賀事業所(三重県伊賀市)に集約し、従来、工作機械の組み立てを行っていたエリアを改修し、このほど奈良事業所の自動化システム構築エリアは従来比4倍の約20,000㎡となり、業界で世界最大級のシステムソリューション工場として生まれ変わった。
なお、これまでのシステムソリューション工場には、AIおよびEV向け実装基板自動外観検査装置を手掛ける同社グループ 会社のサキコーポレーション奈良事業所が移転し、2025年2月より稼働している。また、近隣には グループ会社のマグネスケールのレーザスケール工場が2026年に稼働予定。

自動化システムは顧客の加工ワークだけでなく、工場環境、勤務形態、生産数などに応じて多種多様な生産形態をとるため、顧客ごとに最適化されたソリューションが必要となる。奈良事業所では、パレットハンドリングシステム、ワークハンドリングシステムなど、多彩な自動化システムの設計から組み立て、出荷前のお客様の立ち会いまでを同社エンジニアが連携し、一貫した生産体制で高品質な自動化システムをワンストップで提供している。
長さ100メートル以上の自動化システムラインも構築可能で、操作盤の組み立てや制御盤の試作品組み立ても実施している。奈良事業所で自動化システムを構築し、精度やシステム動作を確認した後、顧客の工場で再構築する。事前に課題を解決してから出荷するため、顧客の工場での立ち上げまでのリードタイムを大幅に短縮できる。また、厳格な入室規制や監視カメラの設置など、高度なセキュリティ体制を確立しており、機密性が高い案件にも対応している。

奈良事業所は北工場、制御盤工場、南工場の3つの工場と、6階建ての事務所棟があり、約220名の社員が働いている。3、4階は主に自動化開発部門のオフィスフロアがあり、5、6階には100名が収容可能なセミナールーム、社員の憩いの場であるカフェと1,200冊以上の書籍を設置している。また、工場屋根には大規模な太陽光発電パネルを設置し、再生可能エネルギーを活用したサステナブルな生産を実現し、工場内で使用する全ての空調と照明の電力をカバーしている。
奈良商品開発センタ内に「AMイノベーションセンタ」も開所

また、4月より、第二本社である奈良商品開発センタ(奈良市)の1階に、同社最新のAM(Additive Manufacturing)機を設置し、新たに「AMイノベーションセンタ」も開所した。世界最大級のシステムソリューション工場の奈良事業所(大和郡山市)とともに、最先端の技術を顧客に提供する。
金属積層造形技術は、従来の切削加工では困難な形状を造形できるため、世界的に急速な進化を遂げて おり、航空・宇宙、医療、自動車などの分野での応用が拡大している。一から部品を作り上げるだけでなく、 修理や補修の用途でも活用が進んでおり、廃棄物やエネルギー消費の削減にも貢献している。同社は、2022年に伊賀グローバルソリューションセンタ、東京グローバルソリューションセンタ内に「AM Lab & Fab」を開設し、 顧客の金属積層造形の活用をサポートする受託加工サービスを行っているが、受託加工にとどまらず、積層造形技術に基づいて構想設計を行い、同社製工作機械の内製部品の量産に活用するまで、適用範囲が拡大しており、この知見を用いて、顧客の部品の機能向上や技術革新への展開が狙い。
同施設では、DED方式とSLM方式の2種類の金属積層造形機を5台設置している。顧客の多様なニーズに対して、同社エンジニアがDfAM (Design for Additive Manufacturing)により、革新的で創造的な形状の最適設計から積層条件の提案、実際の造形まで行う。また、積層造形の前後工程で必要な粉末保管庫や3Dスキャナーなどの周辺機器も設置しており、AMのショールームとしての役割だけでなく、実際に最先端の金属積層技術を用いて、顧客の製品開発から生産準備、検証までの一連のプロセスを体感できる。
さらに、この施設にはAMの基礎から最先端技術までを学ぶことができる動画・コンテンツや、実用事例として30種類以上のワークを展示している。また、産学連携の取り組みとして、慶応義塾大学との共同開発 プロジェクトも紹介している。
なお、本年年4月1日付けでAM事業のさらなる強化を目的に、DMG森精機Additive株式会社を設立した。設立したAMイノベーションセンタをグローバルのAM技術開発の中心拠点として、さらなる普及・ 発展に寄与し、お客様の生産性向上とビジネスの拡大をサポートしていくとしている。
サンドビック コロマント会ストラテジックカンフアレンス(東日本・中日本・西日本)がオンラインで配信
サンドビックの「コロマント会ストラテジックカンファレンス」が、4月14日にオンラインで配信され、戦略が発表された。今回のストラテジックカンファレンスは名古屋にあるサンドビック・コロマント・センターで行われ、同センター内の主な設備も紹介された。

1階には2台の機械があり、最新工具の展示やハードウエア、ソフトウエアを含めた最新のソリューションを体験できるエリアがある。産業に特化した機械の使用により、顧客の設備に近い環境で加工デモンストレーションが行われる。大型ディスプレーモニターが設置されており、機械内に設置したカメラの加工映像も見ることができる。また、モニターはタッチパネル仕様となっており、同社のソフトウエア関連製品やさまざまな機能を持ったウェブサイトをご体験いただけます。
2階の設備は、顧客などが来所された際に休憩できるラウンジスペース、講習や打ち合わせに使用できるトレーニングルーム、スタッフ用の事務所がある。スカンディナビアデザインを意識した家具を設置し、白やナチュラルカラーを基調とした北欧デザインを取り入れている。空調管理のしやすい環境に配慮したレイアウトで、SDGsに配慮した設計となっており、断熱効果の高い建材の採用や日差しを考慮した間取りなどで、電気代の節約やCO2の削減、地球温暖化の抑制に貢献している。

コロマント会の役員の紹介のあと、サンドビック・コロマントカンパニーの髙宮真一カンパニープレジデントが、「自動車、航空機、防衛、宇宙、工作機械、半導体製造装置など、景況感は確実に上向いている。本年後半に向けて日本の製造業の復活と再生に期待し、それに向けて常に業界の最先端をいく活動・提案を、強化・推進して、皆さまと共に持続可能な組織・会社を目指していく。」と意気込みを示したあと、昨年度の世界的なトレンドについて説明があった。
それによると、コロマントはアメリカ、ノース・セントラル・ヨーロッパ、サウス・ウエスト・ヨーロッパ、ノースアジア、サウス・アンド・イースト・アジアの5つのセールスエリアがあり、日本は、インド、東南アジア、オセアニアと共に、サウス・アンド・イースト・エリアに属している。アメリカは、昨年度は一服感があったが、航空、防衛を中心に非常に高いレベルで好況を維持している。
ヨーロッパエリアは、イギリスのエネルギー関連やフランスの航空機関連の好調はあったが、ドイツを中心とした自動車業界の低迷が足を引っ張り、厳しい状況だったが、少しずつ回復基調になっている。
ノースアジア、中国、韓国、台湾は、回復基調にあったが、非常に回復スピードが遅い状況である。
日本が属するサウス・アンド・イースト・アジアでは、インドは絶好調、オーストラリアも航空機がけん引、シンガポールもオイル・アンド・ガス関連で好調だったが、東南アジアは日系自動車関連の影響を受け、一部のマーケットを除き厳しい状況だった。日本においては、航空、防衛、造船、エネルギー関連は堅調でしたが、自動車、一般産業分野は厳しい状況だった。
髙宮カンパニープレジデントは成長へのシフトについて、「既存事業のさらなる拡大と企業買収による成長の2つの柱を掲げている。既存事業においては、自動車EV化への対応、戦略的に重要な航空・宇宙産業、機械搭載事業をより強化し、同時にソリッド工具、自動車用アルミ加工製品、デジタル製品などを強化し、また旋削工具、フライス工具、ソリッド工具分野の新製品を投入し続け、集中的にマーケティング活動、営業活動を実行し、マーケットシェアを獲得しながら、引き続き超硬工具メーカーとして成長していく。」と意気込みを示した。また、同社が戦略的に注力する分野については、積極的なM&A活動を行い、さらに持続可能な会社への成長を加速していく。」と述べた。

田中流通部長から、営業戦略について説明があった。この中で、田中流通部長は、「競争力が高い新製品を市場にいち早く浸透させるための積極的なプロモーション活動を行う。従来どおりターゲット顧客への戦略的取り組みへも傾注しつつ、M&Aによる新たなソリューションを活用した新規機会創出、新規ビジネスエリアへの展開などにより、ビジネス拡大を目指す。CAMを使える人材を昨年からさらに増やし、従来の刃先からツーリングまでのトータルソリューション提案に最適な加工プログラムを加えた付加価値の高い提案を強化し、他社にはない体系的なトレーニングコースや、コロマントセンターからの最新情報発信など、サンドビックにしかできない顧客サービスを提供する。また、本年もギアセミナーや機械メーカーとのコラボイベントなど、非常にさまざまなイベントを実施する予定だ。」と述べた。
また、「本年もわれわれの強みである高い生産性を持ったフォーカス製品をいち早く市場に浸透させることが非常に重要であると考え、今年もフォーカス製品の〝お試しキャンペーン〟を6月と11月に実施する予定だ。流通市場で非常に拡販いただきやすいCoroDrill Dura 462をはじめ、競争力が高い製品が続々と導入される予定になっている。」と述べた。
芝浦機械 プラスチック成形品仕上げに新提案! 射出成形後工程の省人化を実現する「樹脂成形品バリ処理システム」を開発

芝浦機械は、このほどプラスチック成形部品の生産効率向上と不良率低減を目的に、メトロ電気工業の「オレンジヒート®」をベースに開発したプラスチック専用カーボンヒーターとロボット技術を組み合わせた「樹脂成形品バリ処理システム」を開発した。
これまで自動車外装部品をはじめとするプラスチック成形品のバリ除去は、バーナーやカッターを使った手作業が一般的でした。しかし、時間と労力がかかるうえに、不良品発生や防災上のリスク、作業者の安全面で課題があったことを受け、同社では、「オレンジヒート®」を含む新たなヒーター技術とロボット制御を組み合わせ、後工程の自動化による作業効率向上と品質向上を図った。
樹脂成形品バリ処理システムの主な特長
このシステムは、射出成形品のパーティングラインに生じる糸バリや外観不良を自動で高精度に処理するソリューション。特許技術を活用した専用カーボンヒーター「オレンジヒート®」とロボット技術を組み合わせることでバリ除去工程の無人化が可能となる。手作業を無くすことで作業者の負担軽減及びフルオートメーションを実現する。高効率で局所高速加熱が可能なカーボンヒーターは加工時間を短縮し、省エネルギーに貢献する。幅広い種類のプラスチックに適用できるため、自動車用各種部品、家電、玩具などのプラスチック製品の安全性と品質を向上させる。

■導入メリット
•特許技術を活用した正確な照射制御
高精度の加熱制御によりパーティングラインのバリ処理や外観不良を低減し、製品品質を向上させる。
•安全性の向上
直火を使用しないため作業現場の安全性が高まり、設備災害リスクを最小化する。
•作業の自動化と省人化
ロボットによる安定した加工により、高品質な仕上げと作業負担軽減を同時に実現する。
•環境負荷の低減
エネルギー消費を抑えた高効率加熱技術により、CO₂排出量削減に貢献する。
なお、このシステムは、2025年6月4日(水)~6日(金)まで、同社沼津工場、御殿場工場で開催する「第19回芝浦機械グループソリューションフェア2025」に出展する。
アマダグループ 「アマダ・グローバルイノベーションセンター(AGIC)」で特別イベント開催中!

アマダグループは伊勢原本社内の「アマダ・グローバルイノベーションセンター(AGIC)」で特別イベントとして新たなマシンとソリューションを披露するとともに各種セミナーを開催中である。同イベントは5月15日から約1カ月半実施する。
「製造業は慢性的な人手不足にあり、自動化やスキルレス製造業は慢性的な人手不足にあり、自動化やスキルレスへの対応が急務となっている。」と同社。これらの対応に向けた最新のマシンとテクノロジーを体感するとともに、顧客へ最適なソリューションを紹介している。
今回は、全工程の自動化と工場全体の見える化の提案として、AMRによるマシンや工程間の自動化と、製造 DXを組み合わせたソリューションを紹介。昨年の JIMTOFで初披露した、26kW高出力自社製ファイバーレーザ発振器を搭載したファイバーレーザマシン「 REGIUS-3015AJe」を展示。棚システムとテイクアウトローダーを接続し、素材供給から製品仕分けまで自動化している。さらに仕分けされた製品は自律搬送型ロボット「 AMTES-500」がバッファー ステーションを経由し、ベンディング自動化システム「 EGB-1303ARse」に自動配膳する。これらに加え、製造DXソリューション「 LIVLOTS」がマシン間のデータ連携を可能とし、工場全体の見える化と高効率な自動化運用を提案している。
見どころは、厚板の安定・高品質切断のご提案として、9kW高輝度、高品質、高出力ファイバーレーザ発振器を搭載した「VENTIS-3015AJe」を国内初披露。アマダ独自の軌跡ビームコントロール技術であるLBCテクノロジーの高出力化により、厚板レーザ加工のパフォーマンスを向上。さらに、棚システムの接続により長時間連続運転を実現する。
他にも溶接の省力化、スキルレス化の提案として、協働ロボットから産業ロボットまで、段階的なレーザ溶接自動化システムを一堂に展示。高精度・高品位な加工を実現 する最新の溶接技術で、変化の大きいモノづくりのニーズに応えている。
主な見どころ

マザック財団 2024事業年度 研究助成・優秀論文表彰・国際会議助成の対象決定 表彰式を行う

マザック財団(理事長:棚橋祐氏)がこのほど、2024事業年度(2024年4月~2025年3月)の研究助成・優秀論文表彰・国際会議助成の対象が決定したと発表した。2024年9月1日~11月30日の募集期間に大学や研究機関などからの応募を受付け、審査を経て研究助成21件、優秀論文表彰18件、国際会議助成3件の計42件を選定した。
(1)研究助成
申請総数45 件の中から21 件を研究助成対象に選定した。
<代表例:名古屋大学 助教 李 炅耆(イ キョンキ)>
■研究テーマ
『工具動剛性を用いた新たなびびり振動抑制技術の提案』
■内容
旋削加工での再生びびりを抑制する新たな技術の提案である。再生びびり抑制の従来技術として、主軸の回転数を変動させる方法があったが、短時間での主軸の加減速は難しく、そのため高速加工時には対応できなかった。その問題点を解決するべく、その抑制原理に着目して工具側で対応しようとするもので、工具ホルダのクランプ部に応答性能の高い圧電素子を組み込み、クランプ力を変動することで工具の動剛性を変化させびびりを抑制するという手法の研究である。
(2)優秀論文表彰
応募総数25 件の中から18 件を優秀論文表彰に選定した。
<代表例:東京大学 大学院生 手嶋 勇太(テシマ ユウタ)>
■論文のテーマ
『工作機械における熱的誤差の推定のための低次元モデルに基づくセンサ配置戦略』
■内容
熱変位補正のための温度センサの位置を決める手法を提案している。機械の特性を変化させずに構造モデルを簡略化する有限要素モデルの低次元化に基づいて、各測温点が機械の熱変位に与える影響を定量的に定義した。これにより、多数のセンサを実際に取り付けることなく、解析のみによって影響度の高い測温箇所を同定できる。そして実際に検証を行い、センサ数を302 個から150 個に半減しても熱変位を精度よく推定できた。
(3) 国際会議助成
8件の申請の中から、3件を国際会議助成対象に選定した。
遊びのオリンピック「「WAZA-One GP(ワザワングランプリ)2025」

遊びのオリンピック「WAZA-One GP(ワザワングランプリ)2025」が6月21日(土)、福山市総合体育館「エフピコアリーナふくやま」(広島県福山市千代田町1-1-2)で開催される。対象は小学生以下およびその保護者。入場料・参加は無料(当日別途材料を購入)。
WAZA-One GPとは、昔の遊び(ビー玉、紙ヒコーキ、めんこ、ベーゴマ、紙とんぼ)活性度の高いルールで統一し、遊びの〝技〟を競う大会で、2008年より開催し、今回で15回目を迎える。例年1000名以上が来場している。
競技種目は、①ビー玉、②ベーゴマ、③めんこ、④紙とんぼ、⑤折り紙ヒコーキ、⑥ペーパーロケット(ペーパーロケットは技-1検定と体験チャレンジのみ)となっている。
【名称】遊びのオリンピック2023「WAZA-One GP」
【日時】2025年6月21日(土)9:00~15:00
【場所】福山市総合体育館「エフピコアリーナふくやま」(広島県福山市千代田町1-1-2)
DMG森精機 米国関税は軽微、欧州の需要回復に期待!
DMG森精機(社長:森 雅彦氏)は、2025年12月期第1四半期(1月~3月)の連結決算を発表した。 当第1四半期連結業績は、売上収益1,140億円、営業利益18億円、税引前四半期利益4億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益2億円となった。 当第1四半期の連結受注額は、1,207億円となり、前四半期(2024年10~12月)比で5.4%増と回復した。顧客からの引合いは一定数あり、需要は底打ちから徐々に回復しつつある。特に、大手企業のプロジェクトは計画どおり進んでおり、機械1台当たりの受注単価が、2024年度平均の71.0百万円から78.5百万円へと大きく伸長した。また、スペアパーツ、メンテナンス・リペア・オーバーホール、エンジニアリング部門の受注額は、連結受注額の25%と前年度同水準で安定的に推移している。 地域別受注額は、ドイツを除くEMEA(欧州・中東・アフリカ)が前四半期(2024年10~12月)比13%増と順調に増加した。その他の地域は、概ね同等水準を確保した。産業別の需要は、民間航空機、宇宙、発電機器、エネルギーを含むインフラ関連向けが堅調に推移している。 当年度の連結受注見通しについては、期初計画どおり前年度比6.9%増の5,300億円を見込んでいる。機械本体の受注残高は、2024年12月末の2,180億円から、2025年3月末には2,235億円へと増加した。この受注残を計画どおり納入・売上計上し、当年度の売上計画を確実に達成していく。 同社は、工程集約・自動化・DX・GXにより、顧客へより付加価値の高いソリューションを提供し生産性を向上させること、これにより環境負荷を低減させ持続可能な社会にも貢献するといった、MX(マシニング・トランスフォーメーション)を推進している。MX推進をさらに加速させ、サステナブルな社会へ貢献すると同時に、顧客とともに持続的成長を目指す。 2025年度(2025年1~12月)の連結業績予想については、「2024年12月 決算短信」で公表したとおり、売上収益5,100億円、営業利益380億円、親会社の所有者に帰属する当期利益200億円である。なお、米国による相互関税の当期業績への影響は軽微と判断している。
ダイジェット工業 増収増益!
ダイジェット工業(社長:生悦住 歩氏)は、2025年3月期(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結決算を発表した。 同社グループを取り巻く経営環境は、地政学リスクの高まり、中国経済の減速懸念、円安進行による物価上昇が及ぼす影響などで先行き不透明な状況が続いている。さらには米国による関税引き上げの影響により、自動車産業等で輸出や生産の減速懸念が高まり、注視していく必要がある。 このような情勢下で同社グループは、国内外の展示会に積極的に出展するとともに、超硬シャンクアーバー「頑固一徹」を使用する顧客を対象とした会員制クラブ「頑固クラブ」に多数の加入があり、顧客ニーズの吸い上げに注力した。 切削工具では、小径・多刃仕様荒加工工具SKSエクストリーム「EXSKS05形」の低抵抗PLインサート、高能率アルミ加工用工具エアロチッパーミニ「MAM/AMX形」のDLCコートインサート、刃先交換式ドリル「TAEZドリル」のプリハードン鋼用インサート、モジュラーヘッドタイプ等、顧客ニーズに応えたラインナップを追加し、販売の拡大に努めた。また、耐摩耗工具については、同社独自の開発材料である高硬度・高抗折力合金素材において、高硬度と高強度の両立を実現し、耐摩耗性・耐衝撃性の両分野での特長を活かして、従来の金型素材では対応しづらい、EVやHEV用電池ケース金型等で成果を挙げ、販路を拡げた。 その結果、連結売上高は前年同期比5.4%増の8,793百万円となった。収益面では、売上高の増加や売上原価率が改善したことなどにより、営業利益は前年同期比95.5%増の219百万円、経常利益は同12.3%増の195百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は205百万円(前年同期の親会社株主に帰属する当期純損失130百万円)となった。 製品別売上高は、焼肌チップが前年同期比5.0%増の556百万円、切削工具は同5.6%増の7,269百万円、耐摩耗工具が同4.6%増の922百万円となった。 地域別売上高は、国内が前年同期比4.5%増の3,748百万円、北米向けが同0.1%減の1,078百万円、欧州向けが同1.4%減の1,339百万円、アジア向けが同13.0%増の2,589百万円、その他の地域向けが同39.1%増の36百万円で、輸出割合は前年同期に比べ0.4ポイント増加して57.4%となった。 今後の見通しは、長期化するロシア・ウクライナ情勢や中東問題、原材料やエネルギー価格の高騰、米国の関税政策の変化等による急激な為替変動や世界的な景気後退が懸念され、不透明な経営環境が続くものと予想される。 このような中で同社グループは、EV化がもたらす自動車産業の構造変革に一層注視するとともに、流通チャンネルを通じて顧客ニーズをつかみ、集めた情報を活かした戦略的な営業活動を行っていく。また、国内外の市場・顧客の新規開拓に向け、海外子会社や国内販売店等との連携も密にし、販売拡大を図るとともに継続的な品質改善、経費削減に向けた取組みを推進し、さらなる収益性の向上に努める。 これらにより、次期連結売上高は9,200百万円、営業利益500百万円、経常利益450百万円、親会社株主に帰属する当期純利益350百万円を予想している。為替レートは、1米ドル145円、1ユーロ160円を想定。