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三菱マテリアル 加工事業カンパニー 事業変革を推進するチーフ・ストラテジー・オフィサーを採用

三菱マテリアル 加工事業カンパニー(カンパニープレジデント=小原和生氏)は、このほどミルコ・メルロ氏(Mirko Merlo 以下「メルロ氏」)をチーフ・ストラテジー・オフィサーとして採用した。
メルロ氏は、多岐にわたる産業基盤での豊富な経験と、切削工具分野における高度な専門知識を持ち、世界有数の超硬工具メーカーで、マルチファンクショナルな経営幹部として成功を収めてきた。同社カンパニープレジデント直轄として、事業戦略部門と営業部門を統率し、グローバル市場で新たなビジネスチャンスを創出しながら、戦略的・業務的な変革を通じて、より顧客中心のアプローチに向けた会社の進化を支援する。
メルロ氏は、「社会的、環境的、経済的に厳しい時代において、企業は最新のトレンドに対応した優れた顧客価値を提供しなければなりません。これらの課題に対応するためには、変革が必要です。」とコメントしている。

小原カンパニープレジデントは、「技術の進歩、デジタル化、持続可能性は、国際的なビジネスを成功させる上で重要な役割を果たします。メルロ氏の現実的で実践的なビジネス・アプローチは、当社を真のグローバルビジネス企業へと変貌させ、世界の金属加工業界におけるリーダーとしての地位を確立するのに役立つでしょう。」と期待を込めている。
三菱マテリアル スペイン バレンシア超硬工具工場の拡張完工 ~欧州における切削工具インサート生産能力を増強~

三菱マテリアルはスペインバレンシアにある工場の拡張工事を進めていたが、当初の予定通り、拡張を完工し、5月から稼働を開始した。この拡張完工により、スペイン バレンシア工場におけるインサートの生産能力は従来の2~5倍に増強する。
スペイン、バレンシアにある超硬工具製造工場は、同社の連結子会社であるスペイン三菱マテリアル社が運営する、同社における欧州で唯一の製造拠点。欧州の自動車や航空機メーカーなどへ、ドリル、エンドミルおよびインサートを提供している。
欧州市場は規模が大きく、今後も航空機市場や東欧などで需要の伸びが見込まれることから、生産能力増強を進めていた。消費者に近い製造拠点から出荷することで、サプライチェーンを最適化するとともにBCP対応強化も図る。

なお、拡張したインサート工場では、今後プレス機、研削加工機および検査のオートメーション化を進めた最新の設備を導入していく予定。最新の技術を活かし製造現場の改善に努めながら生産能力の向上を目指す。
同社グループは「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを私たちの目指す姿と定めており、目指す姿の実現に向け、資源循環の拡大、高機能素材・製品供給の強化を進めていく方針。
ダイジェット工業 「エアロチッパーミニ」にボアタイプを新規ラインナップ!

ダイジェット工業は、このほど好評を博しているアルミ加工用刃先交換工具「エアロチッパーミニ」に、より多刃仕様のボアタイプ(AMX形)を追加発売した。これによりさらなる加工の高能率化を図る。アルミニウム合金の平面加工、ポケット加工、肩削り、溝削り、曲面加工、ヘリカル加工、座ぐり加工に威力を発揮する。
〈特長〉
① 従来品エアロチッパー(ALX/MAL形)に比べ、小型インサート採用で、小径多刃仕様とすることで、さらなる高速高能率な加工を可能とした。
② 全周研削による高精度な3次元ブレーカ形状のインサートにより切削抵抗を低減し、高能率加工を可能とした。
③ 高精度な本体設計で刃先精度に優れ、優れた立て壁加工精度と正面加工精度が得られる。
■サイズ
Φ40、Φ50、 Φ63(全3形番)
■標準価格
25,900円~56,000円(税抜き)
【注目の技術】故障の予兆を早期発見し、ダウンタイムを大幅に短縮するヘルスモニタリングサービス「WALC CARE」

DMG森精機は、グループ会社のWALCが提供する、工作機械の予知保全を行うヘルスモニタリングサービス「WALC CARE(ウォルク ケア)」を工作機械に搭載することで、機械故障時のダウンタイムの最小化を実現している。
WALCは2022年に設立され、AI・IoT・クラウドコンピューティングを中心とした先端技術を用いて、製造業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するソフトウェアサービスを開発・提供している。同社では顧客の生産性向上を通して、サステナブルな社会を実現するために、マシニング・トランスフォーメーション(MX)を推奨している。
MXにおいては、工程集約・自動化を通してグリーン・トランスフォーメーション(GX)を実現し、その一連の工程をDXすることが非常に重要として捉え、今回開発したWALC CAREは、主軸や送り軸の異常予知診断を定期的に行い、レポートする機能により、 故障の早期発見や予知保全を行い、機械のダウンタイムを短縮することが可能となった。
同社の設備機の事例では、定期的な診断をすることにより、作業者が異常に気づく5ヵ月以上前に、ボールねじのサポートベアリングの異常を検出した。ベアリングの不具合がボールねじの故障の原因となる場合もあるが早期発見の結果、最適な部品交換によりコスト削減が可能になった。また、既存の工作機械への搭載も1時間以内に完了するため、既存の設備でもすぐに利用できる。
WALC CAREを活用することで保全作業をDXすることができ、工作機械を正常な状態でより長く使用できるため、顧客の生産性向上やサステナブルな社会の実現をサポートする。
主な特長

(1)主軸・送り軸の異常予知診断
●簡単な診断で機械の状況を把握し、故障の予兆を早期発見
・WALC CAREは作業者が異常に気付く5ヵ月以上前の予兆を検出可能で早期発見および予知保全によりダウンタイムを短縮。
●収集したデータに基づき正確な診断を実施
・WALCクラウドにデータを収集し、診断結果の膨大なデータをもとに機械の異常を検知。出荷前の機械データと比較した診断も可能。
●Webアプリケーションにて診断結果を確認
・故障発生前後の状況を比較できるため、生産プロセスの改善に貢献
・定期的な診断結果レポートにより、故障の予兆を確認
(2)導入作業も簡単
●WALC CARE KITを既存の工作機械に取り付けるだけなので、1時間以内にセッティングが完了。
●お客様はプログラムを実行するだけで機械の状況を診断可能、診断用プログラムは同社から提供。
●シーメンスNC、ファナックNC搭載機であれば他社製の工作機械にも対応可能。
(搭載可能機種:2024年5月現在)
工作機械技術振興財団「第45次工作機械技術振興賞および試験研究助成」の対象を選定
工作機械技術振興財団(理事長=安達俊雄氏)は、5月21日、第45次工作機械技術振興賞と試験研究助成の対象を選定した。
同財団は、工作機械関連技術の向上促進を目的に、牧野フライス製作所創業者故・牧野常造の私財を基金として、1979年に設立されたもので、今回は、工作機械技術振興賞・論文賞3件、同・奨励賞6件ならびに試験研究助成10件を選定した。
その他、同財団では、海外国際会議の参加・開催支援も行っており、2024年6月期は7件の助成を行っている。今回の選定を含め、贈賞・助成は累計1,155件(2,995名)、総額11億9,471万円となる。
同財団では6月18日に贈賞式を第一ホテル東京(東京都港区)で開催し、各賞の授与ならびに工作機械技術振興賞・論文賞を受賞した高野昌宏氏(石川県工業試験場主任研究員)および村上洋氏(北九州市立大学教授)による講演を予定している。
マザック財団 「2023事業年度 研究助成・優秀論文表彰・国際会議助成」を発表

マザック財団(理事長=棚橋祐治氏)は、2023事業年度(2023年4月~2024年3月)の研究助成・優秀論文表彰・国際会議助成の対象が決定したことを発表し、5月22日に表彰式を行った。
2023事業年度 研究助成/優秀論文表彰/国際会議助成の内容
2023年9月1日~11月30日の募集期間に大学や研究機関などからの応募を受付け、審査を経て研究助成23件、優秀論文表彰17件、国際会議助成2件の計42件を選定した。
(1) 研究助成
申請総数50 件の中から23 件を研究助成対象に選定した。
■代表例:名古屋大学 助教 李 炅耆(イ キョンキ)
【研究テーマ】
『サーボ情報による工具-工作物間接触検知を利用した工作機械の幾何誤差同定方法の
提案』
【内容】
工作機械での加工高精度化のための幾何誤差の同定には、ミクロン単位の位置を測定する必要があり、現状では高価な測定器具や装置が必要である。そこで、工具-工作物間の接触検知技術に着目し、工具が工作物に接触する瞬間の機械サーボ情報より接触位置を推定することで、機械位置を高精度に測定する手法を研究する。さらに、それにより得られた複数の機械位置情報から工作機械の幾何誤差を高精度に同定する手法につなげていく。
(2)優秀論文表彰
応募総数24 件の中から17 件を優秀論文表彰に選定した。
■代表例:名古屋大学 准教授 早坂 健宏(ハヤサカ タケヒロ)
【論文のテーマ】
『超多刃エンドミルと高速高出力工作機械を用いた新しいびびりレスミリング戦略の提案』
【内容】
超多刃エンドミルと高速高出力主軸を有する工作機械を利用した新しいびびり振動抑制方法を提案している。具体的には、安定限界線図の無限安定領域を利用した加工方法である。刃数の多い工具ほど無限安定領域がより低い回転速度に移動することを利用し、超多刃である20枚刃のエンドミルを想定して、計算および実験により無限安定領域が23,300min-1 以上となることを求めた。そして、20枚刃の超多刃エンドミルを高速高出力主軸を搭載している5 軸加工機に取り付け、航空機部品を想定しA7075に対する切削実験を行い、軸方向切込み110mm、径方向切込み2mm、送り速度13200mm/min、回転速度33000min-1 において、びびり振動を起こさずに加工能率2904cc/min の高能率な加工を実現した。
(3)国際会議助成
2件の申請の中から2件を国際会議助成対象に選定した。
ドーマー・プラメット アジア太平洋地区での事業を強化

金属切削工具の大手プロバイダーであり、サンドビック・グループの一員であるドーマー・プラメットは、アジア太平洋地区での事業を強化し、顧客の需要にシームレスに対応するために、昨年参入した日本に加え、2024年4月17日付で新たにアジアの主要4市場であるタイ、ベトナム、韓国、インドネシアに現地法人を設立したと発表した。また、各市場への物流効率向上のため、シンガポールのアジア太平洋物流センターからの配送・出荷業務を開始した。
今回、タイ、ベトナム、韓国、インドネシアの現地法人設立により、これまですべて英国法人が行っていた東南アジア、オセアニア地域関連の業務をそれぞれの現地法人に移管した。タイの現地法人は、オーストラリア、ニュージーランド、スリランカ、フィリピン、シンガポール、香港、台湾、マレーシアを含む市場にて、ドーマー・プラメット社のアジア事業運営の主要拠点となる。
シンガポールを拠点とするサンドビック・グループのアジア太平洋物流センターは、アジア太平洋全域におけるドーマー・プラメットの主要な物流拠点としての役割も果たすことになる。同センター活用により、納期は大幅に改善される。これまではオランダの物流センターから日本への輸送に最長5日を要していたが、これが最短1日に短縮される。国内主要都市で翌日配送が可能になり、その他の地域でも2日以内の迅速な配送が可能となる。その他アジア地域では、2~3日以内の配達が可能であり、迅速で確実な製品の提供を目指す。
ダイジェット工業 戦略的営業に邁進!

ダイジェット工業(社長:生悦住 歩氏)は、5月15日、シェラトン都ホテル大阪で、2024年3月期の決算(連結)説明会を開いた。
同社グループの企業環境は、自動車産業では半導体不足の解消や円安による改善がみられたものの、一部自動車メーカーの工場停止やリコール等の影響もあり、販売の伸びは徐々に縮小し、工作機械についても世界的な需要の落ち込みから低調な状況が続いた。
このような状況下で同社グループは、海外向けの販売は円安の影響もあり増加したが、国内向けの販売は製品納入先の在庫調整等により落ち込み、前年度より販売は低調となった。
切削工具についは、金型業界向けに小径・多刃仕様で高能率荒加工を実現する「SKSエクストリームEXSK 05形」を販売し、航空機産業やEV化で近年加工需要が急増しているアルミ加工向けでは、小径・多刃仕様で高速加工が可能な「エアロチッパーミニMAM形」を販売する等、顧客のニーズに応える新たな工具を発売してきた。また、耐摩耗工具については、同社独自の開発材料であるサーメタルに関して、これまで製作上問題のあった形状の加工精度をクリアすることで、新たな用途に向けた展開が可能となり、その特長を活かして従来の金型では対応できなかった領域で成果を挙げた。
その結果、連結売上高は前年同期比5.2%減の8,344百万円となった。収益面では、売上高の減少や売上原価率が悪化したなどにより、営業利益は前年同期比61.1%減の112百万円、経常利益は同44.2%減の174百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は130百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益362百万円)となった。
製品別売上高は、焼肌チップが 前年同期比21.9%減の529百万円、切削工具は同3.1%減の6,886百万円、耐摩耗工具が同11.5%減の881百万円となった。
地域別売上高は、国内が前年同期比12.6%減の3,588百万円、北米向けが同1.8%増の1,080百万円、欧州向けが同7.6%増の1,358百万円、アジア向けが同2.0%減の2,291百万円、その他の地域向けが同29.0%減の26百万円で、輸出割合は前年同期に比べ3.6ポイント増加して57.0%となった。
今後の見通しについては、長期化するロシア・ウクライナ情勢や中東問題、原材料やエネルギー価格の高騰、世界的な金融引き締め等による急激な為替変動や世界的な景気後退が懸念され、不透明な経営環境が続くものと予想されるが、同社グループは、EV化がもたらす自動車産業の構造変革に一層注視するとともに、流通チャンネルを通じて顧客ニーズをつかみ、集めた情報を活かした戦略的営業を行うとしている。また、国内外の市場・顧客の新規開拓に向け、海外子会社や販売店等との連携も密にし、販売拡大を図るとともに継続的な品質改善、経費削減に向けた取組みを推進して収益性の向上に努めるという。
このような情勢を踏まえ、通期連結売上高は8,800百万円、営業利益300百万円、経常利益300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益250百万円を見込んでいる。次期の為替レートは、1米ドル145円、1ユーロ155円を想定している。
2024年4月分工作機械受注総額は1,209.0億円
日本工作機械工業会がこのほどまとめた2024年4月分の受注実績は以下の通り。
2024年4月分工作機械受注総額は、1,209.0億円(前月比△10.9% 前年同月比△8.9%)となった。受注総額は、内外需で3月の期末効果の反動減がみられるも、2カ月連続の1,200億円超。慎重姿勢は続くも、年初の水準から一段高いレベル。
内需は363.7億円(前月比△26.2% 前年同月比△12.8%)で、期末効果の反動減で2カ月ぶりの400億円割れも、350億円超を確保。前年同月比は善11業種中8業種で増加も、一般機械、自動車は弱含み。
外需は845.3億円(前月比△2.2% 前年同月比△7.1%)で、主要3極では、欧州、北米が減少もアジアが増加し、850億円に迫る受注を維持。6カ月連続で800億円超と横ばい圏内の動きが継続。
内需は底打ちの気配がある一方、欧米はやや力強さに欠ける展開で、受注の回復時期等について今後の動向を注視。
4月分内需
363.7億円(前月比△26.2% 前年同月比△12.8%)。
・2カ月ぶりの400億円割れ。2カ月連続の350億円超。
・前月比3カ月ぶり減少。前年同月比20カ月連続減少。
・期末効果の反動減も本年1、2月より高い水準。一方、主要業種は力強さに欠ける。
(出所:日本工作機械工業会)
4月分外需
845.3億円(前月比△2.2% 前年同月比△7.1%)
・2カ月連続の850億円割れ。800億円超は6カ月連続。
・前月比3カ月ぶり減少。前年同月比16カ月連続減少。
・主要3極はアジアのみ前月比増加。欧米はやや力強さに欠けるがアジアは底堅い。
(出所:日工作機械工業会)
日本機械工具工業会 2024年4月分 会員統計生産額まとまる
日本機械工具工業会がこのほどまとめた2024年4月分の機械工具生産額は次のとおり。〈( )内は対前年比〉。
■生産額
切削工具 341億円(96%)、耐摩耗工具 31億円(104%)、総合計 379.7億円(96%)。
■ドリル生産額
特殊鋼工具 12.2億円(77%)、超硬工具 37.4億円(105%)、ダイヤ・CBN 1.1億円(85%)、総合計 50.7億円(96%)。
■エンドミル生産額
特殊鋼工具 4.1億円(96%)、超硬工具 36億円(98%)、ダイヤ・CBN 1.3億円(102%)、総合計 41.4億円(98%)。
■カッタ生産額
特殊鋼工具 0.9億円(110%)、超硬工具 5.3億円(112%)、ダイヤ・CBN 0.3億円(72%)、総合計 6.5億円(108%)。
■ギヤカッタ生産額
総合計 6.6億円(95%)。
■ブローチ生産額
総合計 7.8億円(116%)。
■ねじ加工工具生産額
特殊鋼工具 33.9億円(103%)、超硬工具 3.8億円(117%)、総合計 37.7億円(105%)。
■バイト生産額
特殊鋼工具 0.1億円(99%)、超硬工具 7.8億円(96%)、総合計 7.9億円(97%)。
■リーマ生産額
特殊鋼工具 1.3億円(91%)、超硬工具 2.1億円(88%)、総合計 3.5億円(89%)。
■鋸刃カッタ生産額
特殊鋼工具 1.2億円(77%)、超硬工具 0.4億円(76%)、総合計 1.5億円(77%)。
■インサート生産額
超硬工具 129.4億円(93%)、ダイヤ・CBN 19.9億円(96%)、総合計 149.2億円(93%)。
■ボディ関係生産額
総合計 16.1億円(94%)。
■超硬合金生産額
切削用 117.8億円(99%)、耐摩耐触用 14.4億円(108%)、総合計 133.9億円(100%)。