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KELK 世界初500mデータ送信可能な熱電発電センサーデバイスを発表

コマツの100%子会社であるKELKは、このほど工場などで生産設備のモニタリングに用いるセンサーデバイスに関し、電源・電池が不要なセンサーデバイスとして世界で初めて通信距離 半径約500mを達成した新製品「KSGD-SV10」と専用のソフトウェアである「KELGEN swift」を10月より販売を開始すると発表した。
「KSGD-SV10」は、熱電素子を用いた熱電発電により、設備機器に設置したデバイス自体の底面と空気に接する上面の温度差がわずか3℃から動作するため、電池交換や配電などの手間が不要。また、旧製品「KSGD-SV8」に比べ発電効率の向上と低消費電力化を実現したことで、熱電発電を用いたセンサーデバイスにおいて世界で初めて920MHz帯無線通信に対応した。これにより、通信距離が旧製品の50mから10倍の約500mへと伸長した。
障害物が多く、通信距離が必要な工場やプラント、社会インフラなどでも電池レス・無給電で設備機器の振動の状態を測定しデータを無線で送信できる。
同時発売のソフトウェア「KELGEN swift」は、オンプレミスのパソコン上で「KSGD-SV10」のデータをすばやく分析して設備の状況をグラフやマップで表示したり、長期間のデータから設備の故障予兆を解析できる。
日本工作機械工業会 2024年6月分工作機械受注総額は1,338.2億円
日本工作機械工業会がこのほどまとめた2024年6月分の受注実績は以下の通り。
2024年6月分工作機械受注総額は、1,338.2億円(前月比+7.5% 前年同月比+9.7%)となった。受注総額は、3カ月ぶりの1,300億円超で2カ月連続の前年同月比増加。中国中心に増加が見られ、3、9月の期末を除くと1年以上ぶりの高水準。
内需は408.1億円(前月比+17.1% 前年同月比△0.1%)で、主要業種を中心に前月比で増加した。まとまった受注が寄与し3カ月ぶりの400億円超となるも、前年比でみると横ばい展開となるなど慎重姿勢が続く。
外需は930.1億円(前月比+3.7% 前年同月比+14.6%)で、主要3極は、北米のみ前月比減少も14カ月ぶりの900億円超。アジアのうち、中国 国務院の政策投入効果もあってか大幅増加。
6月の受注は増加傾向がみられるものの、局地的な増加であり、本格的な受注の回復時期等について今後の動向を注視。
6月分内需
408.1億円(前月比+17.1% 前年同月比△0.1%)。
・3カ月ぶりの400億円超。
・前月比3カ月ぶり増加。前年同月比22カ月連続減少。
・まとまった受注により前月比増加も全体として力強さに欠ける状況が継続。
(出所:日本工作機械工業会)
6月分外需
930.1億円(前月比+3.7% 前年同月比+14.6%)
・2023年4月(909.7億円)以来、14カ月ぶりの900億円超。
・前月比2カ月連続増加。前年同月比2カ月連続増加。
・欧州、北米が横ばい圏内の動きの中、アジアの特に中国で増加傾向が顕著。
(出所:日本工作機械工業会)
日本ロボット工業会 2024年4~6月期 マニピュレータ ロボット統計 受注・生産・出荷実績まとまる
ロボット工業会がこのほどまとめた2024年4~6月期のマニピュレータ ロボット統計 受注・生産・出荷実績は次のとおり。■業況 2024年4~6月期は、受注額が対前年同期比8.6%の減少、生産額が同12.9%の減少となった。受注状況をみると、実装機は底打ち感が出てきており、一部用途向けでも復調の兆しがあることで、受注の減少割合は6四半期ぶりに10%を下回った。その一方で、垂直多関節ロボットを中心に依然として低迷している状況下にあるが、世界的な自動化需要が益々高まる中で、今後の受注回復が期待される。 出荷実績をみると、国内向けは、電気機械製造業向けが主要用途で減少した一方、自動車製造業向けは主要用途で増加した。輸出はマテハン用やスポット溶接用がアジア、欧米含めて大幅に減少したものの、実装用がアジア向けで中国向け中心に増加となった。同用途での輸出額が増加となったのは10四半期ぶりとなる。半導体用も5四半期ぶりに増加に転じている。受注・生産・出荷の各状況は以下の通り。■受注 ・受注台数(台) : 41,696(前年同期比▲13.1%) 【7四半期連続の減少】 ・受注額(億円) : 1,798(同▲8.6%) 【7四半期連続の減少】■生産 ・生産台数(台) : 39,081(前年同期比▲27.5%) 【6四半期連続の減少】 ・生産額(億円) : 1,763(同▲12.9%) 【5四半期連続の減少】■出荷 ・総出荷台数(台) : 37,777(前年同期比▲29.4%) 【6祖半期連続の減少】 ・総出荷額(億円) : 1,669(同▲18.3%) 【5四半期連続の減少】 ―国内出荷台数(台): 8,665(同▲3.2%) 【5四半期連続の減少】 ―国内出荷額(億円): 416(同▲1.6%) 【2四半期連続の減少】 ―輸出台数(台) : 29,112(同▲34.7%) 【6四半期連続の減少】 ―輸出額(億円) : 1,253(同▲22.6%) 【5四半期連続の減少】■国内出荷内訳[業種別]電気機械産業向け ・国内出荷台数(台) : 2,831(前年同期比▲10.7%) 【4四半期連続の減少】 ・国内出荷額(億円) : 133(同▲12.3%) 【4四半期連続の減少】[業種別]自動車産業向け ・国内出荷台数(台) : 2,759(前年同期比+25.1%) 【5四半期ぶりの増加】 ・国内出荷額(億円) : 129(同+14.7%) 【2四半期ぶりの増加】■輸出内訳[用途別]電子部品実装用 ・輸出台数(台): 3,327(前年同期比+11.0%) 【11四半期ぶりの増加】 ・輸出額(億円): 529(同+10.2%) 【10四半期ぶりの増加】[用途別]溶接用 ・輸出台数(台): 4,976(前年同期比▲52.1%) 【3四半期連続の減少】 ・輸出額(億円): 126(同▲52.4%) 【3四半期連続の減少】
日本機械工具工業会 2024年6月分 会員統計生産額まとまる
日本機械工具工業会がこのほどまとめた2024年6月分の機械工具生産額は次のとおり。〈( )内は対前年比〉。■生産額 切削工具 347.7億円(95%)、耐摩耗工具 31.4億円(99%)、総合計 387.5億円(95%)。■ドリル生産額 特殊鋼工具 11.5億円(71%)、超硬工具 37.1億円(100%)、ダイヤ・CBN 1億円(108%)、総合計 49.6億円(92%)。■エンドミル生産額 特殊鋼工具 4.3億円(107%)、超硬工具 34.3億円(91%)、ダイヤ・CBN 1.3億円(97%)、総合計 39.9億円(93%)。■カッタ生産額 特殊鋼工具 1億円(119%)、超硬工具 4.9億円(91%)、ダイヤ・CBN 0.4億円(75%)、総合計 6.2億円(93%)。■ギヤカッタ生産額 総合計 6.6億円(96%)。■ブローチ生産額 総合計 7.8億円(106%)。■ねじ加工工具生産額 特殊鋼工具 29.6億円(99%)、超硬工具 3.7億円(110%)、総合計 33.3億円(100%)。■バイト生産額 特殊鋼工具 0.1億円(114%)、超硬工具 8.3億円(83%)、総合計 8.4億円(84%)。■リーマ生産額 特殊鋼工具 1.2億円(90%)、超硬工具 2.1億円(80%)、総合計 3.3億円(83%)。■鋸刃カッタ生産額 特殊鋼工具 1.1億円(87%)、超硬工具 0.4億円(71%)、総合計 1.6億円(82%)。■インサート生産額 超硬工具 140.5億円(96%)、ダイヤ・CBN 21.1億円(95%)、総合計 161.6億円(96%)。■ボディ関係生産額 総合計 16.6億円(92%)。■超硬合金生産額 切削用 118.4億円(93%)、耐摩耐触用 15.5億円(105%)、総合計 135.7億円(94%)。
経産省・2024年5月度機械統計 機械工具生産動態調査
経済産業省の2024年5月度 機械工具生産動態調査(機械統計)は以下のとおり。

*機械工具(機械統計)との差はダイヤモンド工具のダイヤモンドドレッサー、グライディングホイール、カッティングソー、セグメント工具、その他ダイヤモンド工具。
*耐摩工具の一部はその他超硬工具に含まれる。
(表出所:日本機械工具工業会)
中部最大の産ロボ展に4.6万人が来場 240超の企業・団体が出展、最新技術を愛知で披露
産業用ロボットの展示会「ロボットテクノロジージャパン2024」が7月4日から6日までの3日間、愛知県常滑市の愛知県国際展示場で開催された。開催は2022年に次ぐ2度目で、前回から2割増の240を超える企業や団体が出展し、国内外から4万6,000人が来場した。産業用ロボットの展示会としては中部地区最大で、東京で隔年開催される国際ロボット展に次ぐ規模。製造業や物流の現場で人手不足が課題となるなか、各社が省人化につながるロボットや周辺機器を披露した。(文・写真=是州煩太)
ロボット各社が最新技術を披露

展示会には産業用ロボットメーカー各社の展示のほか、ロボットのシステム構築などを担うシステムインテグレーター(SIer)のブースや、自動化システムを構成する機器、ソフトウェアなどが出展された。ロボットメーカーの“東の雄”ファナックは年内に発売予定の塗装現場で使用する世界初の防爆協働ロボットを目玉に据え、来場者の注目を集めた。対する“西の雄”安川電機は生産現場の複数のロボットが作業に応じて場所や作業内容を変えながら、製品を組み立てる自動化コンセプト「i³(アイキューブ)メカトロニクス」の実演に人だかりができた。
ヤマハのブースではロボットはもちろん、モビリティーメーカーとしての本領を発揮し、自動運転技術を持つティアフォーとの合弁会社イヴ・オートノミーが開発した自動搬送サービス「eve auto」を出展して実際に走行させた。工場の敷地内を自動運転で資材などを無人搬送できる。デンソーウェーブは、工場で使われる「通い箱」にカンバンを挿入するデモを披露。特許出願中のロボットハンドで通い箱を搬送し、その通い箱のカンバンを差し替え、上ぶたをかぶせる作業を協働ロボット「COBOTTA PRO」1台で担う。Mujinは工場内の物流業務をテーマにシステムを展示した。
工作機械各社は現場想定の実演

ロボットテクノロジージャパンは生産現場や物流拠点の自動化や省人化をテーマ掲げており、工作機械メーカーの大規模な出展が目を引く。DMG森精機は自律走行ロボット「WH-AMR10」を出展。変種変量生産への対応や、既存の工場や設備への対応をアピールした。

ヤマザキマザックは協働ロボットセル「Ez LOADER 30」と複合加工機「INTEGREX i-200H S」と組み合わせ、多品種少量生産向けの自動化ソリューションを提案し、径が違う大小2種類のワークの加工を実演した。自社製コントローラー「MAZATROL」からロボットの動作設定ができるソフトウェア「イージーローダー アプリケーション」の使い勝手も来場者に訴えた。オークマは5軸制御立型マシニングセンタ(MC)「mu-500VⅢ」と移動式協働ロボット「omr20」と組み合わせ、工程集約とフレキシブルに対応できる自動化システムを実演した。omr20はプログラミングが不要で必要な時に最大10台まで加工機を自動化できる。幅広いワークに対応したストッカーを採用したのも特徴だ。

牧野フライス製作所は5軸制御立形MC「DA300」と同社エディションのツールプリセッターとの間を製造支援モバイルロボット「iAssist」が行き来し、ツールやワークの交換を実演した。またiAssistの体験コーナーを設けて使いやすさをアピールした。

芝浦機械は双腕の協働ロボット「RIDRSシリーズ」を出展。ヒト型のRIDRS-Hは全16軸あり、前かがみの姿勢が可能で既存の双腕ロボットに対し作業の自由度を高めた。ブースでは2台のロボットが共同で作業する実演を披露した。最新型のロボットと比べ動作性を高め、作業の一連の動作にかかる時間を3分の1程度にまで短縮したという。

安田工業は実機を展示せず、大型モニターを使ったプレゼンテーション方式で、金型向けでは同社の微細加工向けマイクロセンターとジグボーラー、部品加工向けには同社のプレシジョンセンターを例に、現場の自動化に向けた解決方法を紹介した。
機器メーカーは自動化と省人化を訴求

ロボットを使った自動化システムの構築には、用途に応じた機器や装置も欠かせない。周辺機器メーカーのブースを周ってみた。北川鉄工所はロボットを使った自動ジョー交換システム「BR-AJCシステム」を今回展の目玉にした。旋盤のチャックで、実際にワークをつかむジョー(爪)部分を自動交換するというもの。標準のBRチャックと標準タイプのジョーがそのまま使え、従来の人の手による脱着では装着後の精度調整が必要だったが、システムでは把握精度を0.01mmT.I.R.以下に抑え、ジョーの再成形も不要になった。時間とコストの削減になり、長時間の無人運転にも対応できる。

大昭和精機は切削工具やゲージなどの在庫と寿命の管理システムを搭載した工具収納棚「Tool Cellar GENESIS/SWEEP」を展示した。一見するとごく普通の工具収納棚だが、棚のロック機能はもちろん、棚の上に設置したモニター画面を操作し、必要な工具を指定すれば、該当する工具が収納された引き出しだけロックが解除される仕組み。モニター画面に搭載されたカメラで、引き出しのロックを解除した人物を録画するため、誤って別の工具を取り出した場合にも、誰がどの工具と間違えたのかが特定できる。操作法はシンプルで、収納棚内の工具やゲージの在庫管理も可能で、在庫が少なくなったものの発注や棚卸し機能も備える。データを一元管理することで、現場の自動化や効率化につながる。
工具各社も提案さまざま

工具メーカーからもシステムの提案があった。イワタツールとトライエンジニアリングのブースでは、ロボットを使った複数の切削加工を実演した。一つはロボットで付加製造したワークを、もう一台のロボットで切削加工して仕上げるシステムで、宇宙産業での導入事例もあり、サンプルワークも展示した。もう一つは切削工具を交換しながら複数の切削加工を可能にしたシステムで、ロボットの先端軸を回転させてワークに穴開けやねじ山を切るタップ加工など、複数の加工ができる。両社は開幕日の7月4日に記者会見し、ロボット加工技術研究会の発足を発表した。

オーエスジーはめねじの合否判定をする協業ロボットを参考出品した。
新東工業との協業により搭載した力覚センサーはワーク形状に合わせてねじ穴位置を検知し、ねじゲージを挿入する。今後、製品化につなげられるか実証実験を重ねていく。

MOLDINOは、高性能な工具を使う事で加工能率を高め、長寿命の特徴を生かし、加工コストの削減や短納期化、コスト削減によるユーザーの競争力強化を掲げる。ロボットを使った自動化システムを導入した加工現場でこそ、MOLDINOの切削工具の強みが発揮できるとして、来場者にアピールした。
愛知での開催に納得の理由
ロボットテクノロジージャパンの会場となった愛知県国際展示場は、人工島の中部国際空港島内にある。知多半島の中ほどに位置する常滑市からは鉄道と自動車の連絡橋で結ばれており、一部の船便を除き、連絡橋を使わなければ島内に入れない。その連絡橋で会期中、普段では見られない異様な光景を見た。連絡橋を通行するための自動車道料金所のひとつが、来場者が運転するクルマで埋まったのだ。
つまり、愛知県国際展示場の駐車場への入場を待つクルマが、信号のある交差点を超え、セントレア東インターチェンジ(IC)を超え、長さ1.4kmの連絡橋をも超え、料金所を超えるまでの5kmほどで、数珠つなぎの渋滞が発生したのだ。一部の来場者はこの渋滞に業を煮やし、空港の駐車場を利用する来場者もみられた。同展示場ではこれまでにも多くの展示会を取材したが、これほどまでの渋滞は初めて目にした。いかに多くの来場者が詰めかけたのかが分かる。会期3日で4.6万人の来場者の多くが、作業着姿でやって来た。
意外に思われるだろうが、自動車産業や鉄鋼業など、第2次産業の印象が強い東海地方だが、第1次産業(農林漁業)も盛ん。愛知県の農業産出額は全国8位(農林水産省2021年農業産出額と生産農業所得)。愛知県は、自動車産業を中心とした工業県のイメージが強くあるが、農業でも全国有数の地域で、産出額が毎年トップ10に入る農業県でもある。仮に、東京で開催される国際ロボット展のように、出展の対象を製造業に絞らなかったら、空港島と連絡橋の渋滞は、この程度では済まなかったはずだ。
日本ロボット工業会は今年6月、2024年の受注額と生産額の見通しを今年1月の公表値から400億円引き下げ、いずれも8,600億円とした。設備投資の環境は、一部で回復の兆しを見せているものの、未だ調整局面にある。しかし、生産現場での自動化と省人化への要望は強く、冷めていないのが、今回の取材でも垣間見えた。
昼どきに立ち寄った会場内のフードコートでは、2台の券売機で食券を買い求める長蛇の列があった。食券を買うと次は注文の列、番号が印字された半券を持って次は調理を待つ列に並ぶ。注文した料理を受け取り、空席を探す…と、ここまで20分ほどかかった。厨房では10人ほどが調理し、カウンターでは女性が血相を変え、大声で番号を呼ぶ。「あそことあそこにロボットを入れて、配膳をこう。ドリンクはセルフに変えて、モニター画面で番号を表示したら、最低限必要な人員は……」と、自動化と省人化に向けたプランを妄想する自分がいた。
サンドビック・コロマント・センターが開所

サンドビック コロマントカンパニーが去る6月12日、サンドビック・コロマント・センター(名古屋市中川区北江町2-2)の開所式を開いた。
開所式では、同社のグローバルセールス&マーケティング担当バイスプレジデントのマイケル・エネベリ氏があいさつした。その中で、エネベリ バイスプレジデントは、「日本は当社にとって重要な市場であり、日本市場において当社の地位を強化することはサンドビック・コロマントにとって戦略的にとても重要なことだ。グローバルで約15のセンターを持っているが、デジタルを通じて世界中のサンドビック・コロマント・センターとつながることで、お客さまやパートナーの皆さまにカスタマーエクスペリエンス(顧客体験価値)を提供することができる。当社の最新テクノロジーとイノベーションを楽しんでいただき、このセンターを一緒に活用することで共通のビジネスをさらに大きくすることを願っている。」と意気込みを示した。

続いて、山本雅広サウス・アンド・イースト・アジア ジェネラル・マネージャーが、「サンドビックは2022年8月に本社を名古屋に移転したが、日本産業の中核となる自動車、航空機、工作機械産業が集結している名古屋の中心地にセンターを新設し、あらゆる幅広い産業でグローバルに活躍している日本のお客様に限らず、東南アジア、オセアニアのお客様にも最新のデジタルソリューション、機械加工デモンストレーション、トレーニング、加工テストを提供していく。本日お集まりの日本の重要販売店、代理店の皆様にもこのセンターを最大限活用していただきたい。」と思いを述べた。
続いて青木雅彦 山善 執行役員 ツール&エンジニアリング事業部長が、「愛知県は日本の製造業における延べ床面積が日本最大と聞いている。この地に新たな挑戦をされることに経緯を表したい。現在、円安と歴史的なインフレ局面で日本経済やものづくりの価値が問われている。サンドビックは生産性の向上に寄与されるためにコロマント・センターを設立され、グローバルカンパニーらしい新製品や新技術、加工ソリューション、情報を発信されており、われわれも共に取り組んで参りたい。」と声援を送った。
ブランドロゴも一新 ~基本はマニュファクチャリング・ウェルネス~
同社は昨年10月、コロマントのブランドアイデンティティーが刷新され、同社のブランドロゴが変更されている。色使いも大きく変更し、シンプルなデザインになっている。また、新しいブランドアイデンティティーはマニュファクチャリング・ウェルネスの考えが基となっており、同社によると、「皆が幸せになれる経営活動方針」を指す。同社では革新的なソリューションを提供しながら顧客と共に社会や環境にも貢献しながら、持続可能な未来を共に創造していこうという願いが込められている。
同社ではマニュファクチャリング・ウェルネスを達成するため以下の8つの習慣を掲げ、顧客と共に未来へつながる企業活動をサンドビック・コロマント・センターがサポートするとの方針を示した。
(1)広い視野を持つこと。
(2)革新的なテクノロジーの導入
(3)常に持続可能な道を選択して進む
(4)無駄の排除
(5)データからあらゆる可能性を引き出す
(6)パートナーからの強力な援助を受ける
(7)人材開発に徹する
(8)成功に向けた自動化

今回、名古屋に開所したコロマント・センターは、同等の施設が世界に15ヶ所ある。各センターでは基本的に同じような作り、コンセプトを基につくられており、対面、オンライン問わずにたくさんの人々が結びつくような重要な役割をそれぞれになっている。
現在世界中でコロマント・センターのリニューアルや新センターの開所が次々と行われており、今後も増加していく予定だ。
同センターの役割は、主に、①イベント、②トレーニング、③プロジェクトに注力しており、イベントでは、テーマに沿った各種イベントを実施する予定で、例えば最先端技術を実機で体験する、あるいは世界中のセンターと中継したオンライン型の実作イベント、または航空機やEV加工セミナーなどトレンドや産業に特化した特別イベントを行っていく。

トレーニングでは、同社の豊富な知識と経験に基づいた教材を使用したトレーニングを各種用意しており、オーダーメイド型の切削加工トレーニングや、eラーニングなど、デジタル教材を用いたトレーニングや体験型トレーニングもある。同社独自のデジタルツールの使い方を学ぶ、〝コロプラス・マスターコース〟の実施も現在行っている。ユーザーや販売店、代理店専用のトレーニングも用意している。
プロジェクトでは、顧客のニーズに沿ったカスマイズソリューションの提案の総称を指しており、最適な加工方法と工具の提案をするもので、一般的な切削加工やフライス加工に加えて5軸制御を必要とする複雑な加工にも対応している。また、遠方の顧客向けには、機内カメラを設置した中継システムを利用可能であり、オンラインで対応することが可能になる。
開所式では、実機による加工デモも行われ、場所をうつして懇親会が開かれた。
芝浦機械 射出成形機等拡販に向けインドに第2工場開設 ~生産能力が3倍に~

芝浦機械がこのほど、インド市場における自動車、IT、医療分野を中心とした射出成形機の設備投資需要増加への対応や、今後も持続的な成長が見込まれるインド市場およびその周辺諸国への販売拡大を目的にインドチェンナイにある同社の海外関係会社(SHIBAURA MACHINE INDIA PRIVATE LIMITED:シバウラマシンインド)の現工場の隣接地に約40億円の投資を行い第2工場を開設したと発表した。
新工場の面積は現工場の約2倍となる約16,000㎡で、最新の大型クレーン、塗装ライン、自動倉庫を完備した芝浦機械グループ最大級の工場となる。ライン生産とセル生産のハイブリッド工程の導入や最新の生産管理システムの導入により生産効率が改善し、既存工場と合わせ射出成形機の生産能力が年間1,200台から年間4,000台と約3倍に拡大した。新工場は超大型の射出成形機に加え、芝浦機械グループの他の製品も生産可能となるシンプルでフレキシブルな工場。
新工場にはテクニカルセンターも併設し、同社の最新鋭のテスト設備を設置、最新の成形技術、制御技術、IoTを活用した成形テストや、自動化、省人化を促進するシステム設計の検討も可能となっているうえ、Co2排出量削減等の環境負荷低減を目的とした太陽光発電設備も順次導入予定で、グリーンビルディング認証の取得も予定している。
〈今後の展望〉

同社の射出成形機は、自動車、家具家電、医療器具、生活雑貨、玩具、筆記用具など、人々の生活基盤を支える様々な産業で活躍し、北米、中東、東・西アフリカ、アセアン地域を中心とした全世界45か国以上の国や地域で活用されている製品で、今回の第2工場開設によってインド国内外での販売・サービス体制をさらに強化するとともに、テクニカルセンターを通じて、顧客に同社の最新技術を提供していく方針。
三菱マテリアル ヘッド交換式エンドミル“iMXエンドミルシリーズ”にBT30一体型ホルダを追加

三菱マテリアル 加工事業カンパニーは、このほどヘッド交換式エンドミル“iMXエンドミルシリーズ”に、BT30一体型ホルダを追加し、販売を開始した。
ヘッドとホルダの拘束面を超硬合金製とすることで、ソリッド工具に近い高剛性を発揮する“iMXエンドミルシリーズ”は、アプリケーションに応じた多彩なヘッド交換が可能。経済性に優れ、高精度・高剛性・高能率加工の実現により、多くのユーザーから高い評価を博していることを受け、このほど部品加工で広く使われているBT30一体型の鋼ホルダをラインアップに追加し、販売するに至った。
〈特長〉
① BT30一体型ホルダは、工具の突出し量が大幅に減少できることから、小さいサイズの主軸で大径エンドミルを安定加工することが可能となり、高能率加工を実現。
② ミーリングチャックが不要となりコスト削減に貢献。
③ 首下のアンダーカット設計で立壁加工に対応。
■標準価格(税抜き)
・IMX16-S16GL38-BT30:89,700円
・IMX25-S43GL65-BT30:108,000円
・IMX20-A42GL64-BT30:98,000円
(ストレートタイプ 6アイテム、テーパタイプ 3アイテム 計9アイテム)
アマダ 2023年度(第54回)日本溶接協会賞 「技術賞(本賞)」および「溶接注目発明賞」を受賞
アマダ(社長=山梨貴昭氏)がこのほど、2023年(第54回)日本溶接協会賞において、「FLW-ENSISe」シリーズの開発で「技術賞(本賞)」、加工条件に応じたレーザビームプロファイル可変技術の発明により「溶接注目発明賞」を受賞した。
日本溶接協会賞は、日本溶接協会が日本の溶接界に多大な貢献があった者を顕彰するもので、その中で「技術賞(本賞)」は、日本の溶接技術の発展に寄与した技術を開発した者に、「溶接注目発明賞」は、日本の工業の発展と国民生活向上に寄与した「注目に値すると
認められる特許発明」の発明者に与えられる。
技術賞(本賞)

技術名 :レーザ溶接ロボットシステム「FLW-ENSISe」シリーズの開発
(レーザ溶接ロボットのDX化、自動化)
受賞者 :株式会社アマダ
齋藤 準一
小野 育康
金子 昌史
福島 涼太
織部 喜之
板金業の製造現場において、少子高齢化による人手不足に加え熟練技能の継承が大きな課題となっており、顧客ニーズの多様化に伴い製品バリエーションが大幅に増加し、比例し
て溶接指示や品質も高度なものが要求されている。これらの課題に対しては、多関節ロボットによる自動化とファイバーレーザ溶接のデジタル化が有効だが、単に各モジュールを組み合わせても「①多品種少量生産への対応」「②製品ロットごとの寸法誤差、すき間への対応」「③様々な材質、継ぎ手形状などの対応」といった特有の課題が発生することを受け、「FLW-ENSISe」シリーズは、自社製のファイバーレーザ発振器・加工ヘッド・NC制御システム・ソフトウエアを組み合わせることで、以下のようにそれらの課題を解決した。
開発技術①
6軸多関節ロボットに、走行台車と2軸ポジショナーテーブルを含む最大9軸協調動作システムとして標準化し、広範囲でフレキシブルかつ高精度なシステムを構築。オフラインプログラミングには、3次元CADや溶接CAMを用いて9軸協調動作のプログラミングを視覚的に生成。
開発技術②
3次元CAD、画像処理、AI技術を応用したAI-TAS(ティーチングアシストシステム)によりロボットプログラムの補正を完全自動化。さらに板金特有の「仮止め痕」「せん断
面」など予測できないノイズを除去でき、ロバスト性を向上。
開発技術③
6kWシングルモジュール発振器と、ビームプロファイル可変技術、ビームウィービング機構により様々な材質や板厚、溶け込み形状、継ぎ手形状などに対してビームパワーを落とさず安定した溶接を実現。これらの技術開発により、現場オペレーターの労働負荷を軽減しながら溶接工程における労働生産性を3倍から6倍改善した。
溶接注目発明賞

発明の名称 :レーザ加工機およびレーザ加工方法(特許第 6764976号)
発明の概要 :加工条件に応じたレーザビームプロファイル可変技術の発明
受 賞 者 :株式会社アマダ
齋藤 準一
織部 喜之
ファイバーレーザ溶接加工では材料に照射するビームプロファイル(光強度分布)によって加工プロセスが大きく変動するため、「材質」「溶け込み深さ」「ビード幅」に応じて適正なビームプロファイルに変更する必要がある。従来は、ファイバー出射端からのビームの拡がり角とビームプロファイルが固定なため、主に集光レンズを交換する方法が主流だった。同発明は、NC制御により任意のビームプロファイル形状とビームスポット径(パワー密度)に、瞬時に変更することを可能にした。光ファイバーコアへの入射位置を制御し、出射ビーム拡がり角を可変する。また、NC位置制御可能な非球面の集光レンズとの組み合わせにより、様々なプロファイル形状を得ることができる。これにより、高速・深溶け込み溶接からフィラー溶接まで、NC指令により1プログラム内で切り替えを可能にした。
アマダグループでは、「今回の賞を励みに、今後も次世代のモノづくりを探求することで、社会課題に貢献できるイノベーション創造に取り組んでまいります。」とコメントしている。