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アマダが日本鍛圧機械工業会主催「MF技術大賞」を受賞 ~「サーボプレスとインデックス装置によるキャリアカバー加工」~
アマダ(社長=岡本満夫氏)は、このほど、日本鍛圧機械工業会が主催する「MF技術大賞2014-2015」において、アイシン・エィ・ダブリュと共同で『MF技術大賞』を受賞した。
受賞製品は「サーボプレスとインデックス装置によるキャリアカバー加工」で、アマダのMF技術大賞の受賞は、2010-2011年、2012-2013年に続いて3回連続となった。MF技術大賞は、鍛圧機械を使った鍛圧塑性加工技術の実力を高め、Metal Forming(MF)に不可欠な鍛圧機械、製品加工、金型、システム、素材、組立、研究の7要素を組み合わせた「ものづくり総合力」を顕彰し、鍛圧塑性加工技術の発展に寄与することを目指した賞。特に鍛圧機械の良さを最終製品の良さで証明するため、鍛圧機械メーカーと加工メーカーの連合体で表彰される。今回はMF技術大賞が3製品、新設されたMF技術優秀賞が6製品受賞している。
今回の受賞製品「サーボプレスとインデックス装置によるキャリアカバー加工」は、アマダのデジタル電動サーボプレスSDE/SDEWシリーズと、そのデジタル電動サーボプレス独自のモーションを活用し、アイシン・エィ・ダブリュが加工されたキャリアカバーである。
デジタル電動サーボプレスSDE/SDEWシリーズは、低速高エネルギーを確保できる専用サーボモーターを搭載。多彩なモーションコントロールを有しており、パルス成形による高精度加工や工程短縮、複合加工や難加工材の成形など、高付加価値成形加工を実現したマシンである。
受賞製品
「サーボプレスとインデックス装置によるキャリアカバー加工」
受賞理由
ワークを回転させながら1カ所ずつの加工を採用することで、従来工法では4工程分の金型が必要であったものを1つの金型に集約することに成功し、必要荷重が従来の1/10となりプレス機の大幅な小型化をもたらした。サーボプレスの特長を活かしたインデックス装置と同期させながらの加工は、設備費、段取り時間等を削減。
写真右:デジタル電動サーボプレスSDE/SDEWシリーズ 左:キャリアカバー
日立ツールが『刃先交換式工具アルファ高送りラジアスミル4コーナASRF形 mini』を発売
日立ツールがこのほど、『刃先交換式工具アルファ高送りラジアスミル4コーナASRF形 mini』を発売した。
金型や大型機械部品の荒加工では、その加工時間を如何に短縮するかが工具メーカの1つのテーマとされているが、同社ではアルファ高送りラジアスミルによる低切り込み・高送りの高能率加工を提案することで加工時間の短縮を実現してきた。
今回の新製品について同社では、「この高能率加工のコンセプトに磨きをかけ、インサートの多コーナ化、切削抵抗の低減をすることでより多くのお客様にご使用頂ける工具を開発し、商品化いたしました」とコメントしている。
特長は以下のとおり。
(1) 特長あるブレーカを採用(計3タイプ)
LFブレーカは汎用タイプに比較して最大20%の切削抵抗を低減し、チタン合金やステンレス鋼の加工、工作物のクランプ剛性が弱い場合や小型のマシニングセンター等での高能率加工を可能した。
(2) 多刃設計
多刃設計を採用することで、超高送り加工によるさらなる能率向上が可能である。
(2) 4コーナ形状インサート
4コーナの使用が可能な経済的なインサート形状を採用、工具費を低減する。
(3) AJコーティング
最新のAJコーティングを適用した新材種JP4105,JP4120,JM4160及びJS4045、CVDコーティング材種GX2140により、多様な被削材に対応し、長寿命化を実現する。
(4) 優れた切くず処理
ホルダに硬質表面処理を採用することで、切くず擦過によるホルダ損傷を軽減した。
さらに、ホルダ本体にはスピンドルスルー対応のクーラント穴を設けており、効果的な切くず除去と高能率な加工が可能である。
●用途:金型や大型部品の荒加工
●仕様:ホルダ:7アイテム/インサート:10アイテム
●価格;ホルダ¥29,268~¥74,304 (消費税込み)/インサート:\864 (消費税込み)
タンガロイが 高精度仕上げ加工用刃先交換式エンドミル『TungFineBall』を新発売
タンガロイ(社長=木下聡氏)は、このほど高精度仕上げ加工用刃先交換式エンドミル『TungFineBall』を全国で発売を開始した。
『TungFineBall』は、金型および航空機部品加工に最適な工具である。クランプ機構は、インサート底面を左右非対称にすることで、高精度な着座安定性と高剛性クランプを実現し、優れた仕上げ面精度と安定した長寿命加工を可能にする。インサートにはボールタイプとラジアスタイプを標準設定し、同一ホルダに2種類のインサートを取り付けることができる。ホルダには鋼シャンク、超硬シャンクおよびモジュラタイプを標準設定し、加工用途に合わせた使い分けが可能である。また、『TungFineBall』はインサートに新クーラント供給溝を設けたことで、加工点にクーラントを供給でき、優れた切りくず排出性と長寿命加工を実現する。
インサート材種には、鋼、ステンレス鋼など多種多様な被削材に対応する『AH725』と、高硬度鋼や鋳鉄加工に最適な『AH710』を設定する。
『TungFineBall』は、金型部品などの高精度な加工品位を要求されるお客様の生産性向上に大きく貢献する工具である。
主な特長は以下のとおり。
●金型および航空機部品の加工に最適
●新クランプ機構により、高精度な着座安定性と高剛性クランプを実現
●インサートに新クーラント供給溝を設けたことにより、優れた切りくず排出性と長寿命加工が可能
●インサートはボールタイプとラジアスタイプ、ホルダは鋼シャンク、超硬シャンクおよびモジュラタイプを標準設定
■主な形番と標準価格
●シャンク:
EBFM16T20S13018,100円(税込み19,548円)
EBFM16S16C22074,000円(税込み79,920円)
HBFM16M0818,100円(税込み19,548円)
●インサート:
ZFBM160R00-MJ AH7255,400円(税込み5,832円)
ZFRM160R10-MJ AH7256,030円(税込み6,513円)
全アイテム:シャンク13型番、インサート20形
2014年(暦年)工作機械受注実績
日本工作機械工業会がこのほどまとめた2014年(暦年)工作機械受注実績の概要は以下のとおりとなった。
受注額
・概要2014年の工作機械受注額は、前縁比+35.1%の1兆5,094億円となり、3年ぶりに増加した。4年連続で1兆円を超え、史上最高額の2007年(1兆5,000億円)以来、7年振りの1兆5,000億円超えで、過去2番目の受注となった。うちNC機は1兆4,742億円(同+35.7%)で総額同様3年ぶりの増加となった。内訳をみると、内需は4,964億円で同+23.8%、外需は1兆130億円の同41.4%となり、内外需ともに増加した。外需比率は67.1%となり、前年から3.0Pt上昇した。・内需の動向内需は、円安の進展による企業収益の改善から、更新需要が高まり、生産性向上設備投資促進税制やものづくり補助金などの各種政策効果も加わって、前年比+23.8%の4,964億円と2年連続の増加となった。業種別にみると、全11業種中、9業種で前年実績を上回った。主要業種では、一般機械向けが同+22.7%、(1,999億円)、自動車向けが同+35.7%(1,677億円)、電気機械向け同+37.4%(274億円)、精密機械向けが同+21.4%(172億円)となり、一方で航空機、・造船・輸送用機械向けは同△8.8%(206億円)と減少した。・外需の動向外需は、前年比+41.4%の1兆130億円で史上初の1兆円超えとなった。アジアで電気機械向けのスポット受注が年間を通して継続したほか、欧州は緩やかながら回復し、高水準の受注が続く北米でもさらに増加を示した。アジアでは、東アジアが前年比+83.1(3,777億円)、その他アジアが同+49.0%(1,408億円)となり、アジア計は同+72.4%(5,184億円)と3年ぶりに増加した。国別にみると、中国(3,102億円)は、年初から年央にかけて電気機械向けの特需が発現し、同+101.6%と倍増した。また、年後半からは、その他アジアの「その他」地域(ベトナムやインドネシア含む)でも電気機械向けの特需がみられ、同+172.6%(750億円)と急伸した。その他、円安により価格競争力がついたこともあって韓国(同+32.2%)や台湾(同26.8%)等多くの国・地域で前年を上回る受注が見られた。一方、タイは、長引く政治の混乱の影響もあって3年連続減少となった。欧州は、同+30.8%(1,896億円)と2年連続で増加し、欧州債務危機問題やウクライナ問題等のリスク要因を抱えながらも、緩やかな回復が続いた。国別では、欧州の最大受注国であるドイツ同+30.2%(565億円)をはじめ、イギリス同70.9%(276億円)、イタリア同+59.2%(244億円)、フランス同+15.7%(160億円)などのEU主要国のほか、「その他東欧」を除く全ての国・地域で前年実績を上回った。リーマンショック以降回復が続く北米は、同+11.5%(2,861億円)となった。国別にみると、米国は、エネルギー、自動車、航空機向けなど幅広い業種から引き続き受注がみられ、同+10.9%(2,489億円)となった。また、メキシコでも、自動車関連投資が継続し、同+10.3%(224億円)となった。この結果、外需に占める各地域のシェアはアジア51.2%(前年比+9.2Pt)、欧州18.7%(同△1.5Pt)、北米28.2%(同△7.6Pt)と、欧州と北米のシェアが低下し、アジアが上昇した。また、外需全体に占める国別シェアについては、1位が中国の30.6%8前年比+9.1Pt)、2位がアメリカ24.6%(同△6.7Pt)、3位がその他アジアの「その他」7.4%(同+3.67Pt)の順となった。外需の業種別における各地域のシェアは、一般機械向け(2,773億円)で、アジア37.1%、欧州21.2%、北米39.4%、自動車向け(2,424億円)でアジア55.0%、欧州12.7%、北米21.3%となった。電気・精密向け(2,758億円)はアジア87.2%、欧州6.4%、北米6.2%とアジア地域の電気機械向けの特需によりアジアの割合が25.3Pt上昇した。また、航空機・造船・輸送用機械(640億円)ではアジア9.0%、欧州32.3%、北米56.5%と欧米で約9割を占めた。・機種別の動向受注額を機種別(含むNC機)にみると、全11機種中9機種が前年比増加となった。主な機種では旋盤が前年比+29.2%、マシニングセンタ計は同+60.0%(立て形同+104.6%、横形同+8.6%、その他同+44.7%)となった。機種別構成比では、受注総額に占める割合が最も高いマシニングセンタは前年から7.1Pt上昇し46.0%となった。機種別のNC比率では、全11機種のうち9機種で上昇し、合計では前年から+0.4Ptの97.7%となった。
販売額
販売額は前年比+29.9%の1兆4,222億円で、うちNC工作機械も同+30.1%の1兆3,884億円となり、総額、うちNC工作機械とともに2年ぶりの増加となった。機種別(含むNC機)にみると、全11機種中、専用機(同△5.0%)を除く10機種で前年比増加し、販売総額の4割を占めるマシニングセンタが同+48.6%(立て形同+76.8%、横形同+10.0%、その他同+65.3%)、3割を占める旋盤も同+22.2%となった。
受注残高
2014年末の受注残高は、前年比+15.2%の6,522億円となり、3年ぶりに6,000億円台を回復した。当該年末の受注残高を直近3カ月(14年10~12月期)の販売平均(1,178億円)で除した「受注残持ち月数」は5.5カ月で前年末と比べ0.8カ月減少した。また、NC工作機械の受注残高は同+15.8%の6,243億円となった。
「メカトロテックジャパン(MECT)2015」が満小間で出展申し込み受付終了! 最終規模は1800小間に
メカトロテックジャパン2015(以下:MECT2015)を主催するニュースダイジェスト社(社長=樋口八郎氏)は、MECT2015の出展申し込み小間数が予定した募集定数に達したため、2015年4月30日の出展募集受け付け期間を前倒し、1月13日(火)をもって出展募集の受け付けを締め切った。今回展の最終小間数は2013年10月に開催した前回展(1,747小間)を約50小間上回る1,800小間規模となる見込み。<(注)小間数の最終確定は9月中旬となる。>今年10月に名古屋市で開催されるMECT2015は、2年に一度東京で開催される日本国際工作機械見本市(JIMTOF)に次ぐ国内で2番目の規模の工作機械・技術の専門見本市。通算14回目となった前回のMECT2013では、464社・団体(1,747小間)が出展し、93,741人が来場した。15年展は、昨年10 月1日に出展募集を開始して以来、過去最速のペースで出展申し込みが進んでいた(2013年展の同時期の申し込みは116社、365小間)。
セスクワがAutomatic CAD/CAM 最新版 『WorkNC V23』 をリリース
セスクワがこのほど Automatic CAD/CAMシステムの最新バージョン『 WorkNC V23 』 の出荷を開始した。 最新バージョン『 WorkNC V23 』 では、新ツールパスの追加だけでなく、自動化に焦点をあて、パフォーマンス・信頼性・新機能の3本の矢で、ユーザーの生産性向上の実現を支援する。
主な強化ポイントは以下の通り。
・NEW形状定義によるCAM事前準備時間大幅短縮(Max-70%)
・ワーク+工具+ホルダー+治具+加工機の干渉チェック一元管理
・複数方向からの固定5軸加工パスをAssemblyしコントロール
・STLデータの平面を自動認識し加工するCADフィーチャ機能追加
・2軸・3軸・同時5軸パスの機能強化(全11種類)
●クランプを認識したホルダー干渉チェック
クランプ(治具)を実加工に合わせて設定(配置)することが出来る。実際の配置ズレを考慮したクリアランスを設定することも可能。ホルダー干渉チェック機能では、干渉チェック対象にクランプを設定することができる。
12月分工作機械受注総額は1,442.5 億円 日工会
日本工作機械工業会がまとめた12月分の受注実績は以下の通り。2014年月12月分工作機械受注総額は、1,442.5億円(前月比+3.7%・前年同月比+33.9%)となった。受注総額は、6年9カ月ぶりの1,400億円超え。07年9月(1,420.0億円)を上回り過去最高額。1,000億円超えは16カ月連続。内需は7カ月連続の400億円超。前月比では減少したが、本年3番目の高水準。各種政策効果や展示会効果が継続し、堅調持続。外需は前月比7カ月連続増加で、14年3月(904.2億円)を超え過去最高額。スポット受注が続くアジア、堅調な北米で増加。今後も内需、外需とも回復基調で推移すると見込まれるが、国内景気やアジアの電気・精密向けスポット受注の動向を注視。
12月分内需
481.5億円(前月比△1.9% 前年同月比+31.1%)。・前月比2カ月ぶり減少、前年同月比18カ月連続増加。・7カ月連続の400億円超で本年3番目の高水準。・展示会効果、政策効果が継続し、中小企業でも設備投資に前向き。① 一般機械 175.4億円(前月比△11.3% 前年同月比+17.4%) うち金型 19.8億円(前月比△28.1% 前年同月比△15.6%)② 自動車 172.7億円(前月比+8.3% 前年同月比+48.8%) うち部品 123.4億円(前月比+16.4% 前年同月比+51.1%)③ 電気・精密 45.8億円(前月比+19.4% 前年同月比+42.1%)④ 航空機・造船・搬送用機械 23.8億円(前月比△25.2% 前年同月比+40.1%)
12月分外需
961.0億円(前月比+6.8% 前年同月比+35.3%)。・前月比は7カ月連続増加、前年同月比は14カ月連続増加。・本年3月(904億円)以来9カ月ぶりの900億円超えで,過去最高額を記録。・欧州はほぼ横ばいながら、アジア・北米でポット受注が寄与し増加。・アジア:492.5億円(前月比+6.4% 前年同月比+52.9%)・東アジア:259.8億円(前月比+6.0% 前年同月比+4.1%)〈中国〉:206.2億円(前月比+15.8% 前年同月比△0.3%)・その他アジア:232.7億円(前月比+6.9% 前年同月比+219.9%)〈タ イ〉15.8億円(前月比△38.6% 前年同月比△53.1%)〈その他〉:183.8億円(前月比+11.1% 前年同月比12.4倍)① 欧州:175.5億円(前月比△0.7% 前年同月比+20.8%)〈ドイツ〉:45.5億円(前月比△12.8% 前年同月比+9.3%)② 北米:278.0億円(前月比+11.6% 前年同月比+23.7%)〈アメリカ〉:239.9億円(前月比+12.5% 前年同月比+21.2%)■2014年受注累計受注総額は、1兆5094.0億円(前年比+35.1%)となった。・内需:4,963.9億円(前年比+23.8%)・外需:1兆130.1億円(同+41.4%)*外需比率67.1%
11月分超硬工具主要統計
超硬工具協会がまとめた2014年11月分超硬工具主要統計は以下の通り。【超硬合金重量】481トン(前年比107.0)。【超硬工具生産額】切削工具204億6600万円(前年比108.2)、耐摩工具33億250万円(同109.4)、鉱山土木工具8億2000万円(同113.3)、その他工具4億6500万円(同112.0)、焼結体・工具20億4000万円(同109.2)、合計271億1600万円(同108.6)。【輸出入】輸出99億5200万円(前年比112.2)、輸入56億900万円(同120.1)。【超硬工具出荷額】切削工具217億2500万円(前年比107.9)、耐摩工具32億5600万円(同108.9)、鉱山土木工具9億300万円(同117.3)、その他工具3億9200万円(同99.2)、焼結体・工具23億5700万円(同107.1)、合計286億3300万円(同108.1)。【刃先交換チップ】生産2739万8000個(前年比106.0)、出荷2874万1000個(同105.1)。
「1兆5500億円の見通し」 日本工作機械工業会が賀詞交歓会を開催
日本工作機械工業会(会長=花木義麿 オークマ社長)が1月8日、東京千代田区内のホテルニューオータニで新春賀詞交歓会を開催した。
花木会長のあいさつの概要は以下のとおり。
昨年は世界市場における日本の工作機械の高いプレゼンスを示した
昨年の工作機械業界をとりまく環境は、月を追うごとに回復基調が強まり、年間の受注額は当初の見通しの1兆3000億円を大幅に上回った。週末に情報修整をした1兆4500億円を超え、1兆5000億円ほどに到達し、2007年に記録した史上最高の1兆5900億円に次ぐ史上第2位の受注額になった。世界市場における日本の工作機械の高いプレゼンスを示した結果であると言える。
2015年の工作機械の受注動向についてはアメリカの金融緩和縮小による影響や新興国の成長鈍化、原油価格の急激な低下などの懸念材料もみられるが、海外の主要資料をみると、米国を中心として工作機械の市況は底堅く推移していくと見込まれる。日本においても昨年4月の消費税引き上げ後の反動を乗り越え、景気は緩やかに拡大していくものと見込まれる。工作機械の内需は為替の安定による企業収益の改善に加え、投資減税やものづくり補助金等により老朽設備の更新需要が期待され堅調な設備投資が続くものと見込まれる。
このような背景から本年は高水準であった昨年と同水準か、またはそれ以上の需要が期待できるのではないか。そこで本年の日工会受注総額は、1兆5500億円を見込みたい。これをなんとして達成したく、ご協力をお願いしたいと思う。
短期的な視点では、工作機械需要がその時々の経済環境の影響により増減するが、新興国の台頭や世界の人口増加により、自動車やスマートフォンなどの消費財生産などをはじめとして、工業製品の需要規模は着実に増加を続けている。これら工業製品の生産は製造業のグローバル化を促し、工作機械の需要もグローバル規模で増加をしている。膨大な潜在需要を獲得すべく、世界の工作機械メーカーが競い合っている。各社におかれてはこの競争に打ち勝つべく、得意とする5軸マシニングセンタや複合加工機の一段の高度化、知能化技術等に磨きをかけて頂きたいと思う。
また、新たな生産手段の動向として、アディティブマニファクチャリングと工作機械の融合や工作機械とロボット技術を組み合わせた無人化自動化技術等が進んでいる。販売サービス面では生産性向上や技術革新などのソリューション提案を積極的に推し進めていく販売体制の確立、迅速且つ丁寧な顧客の立場に立ったアフターサービスを提供するネットワークの準備も進めて頂きたいと願う。世界には多種多様のユーザーが存在し、求められる製品やサービスのニーズも様々である。そのような顧客ニーズに応えるため、工作機械産業は前進し続けていく。
一昨年5月、私が日工会の会長に就任して以来、『工作機械産業ビジョン2020』で示された産学官連携の強化、標準化戦略の強化、JIMTOFの求心力強化、人材の確保等、中長期的な視点でわが国工作機械産業が克服すべき諸課題に取り組んできた。関係委員会の皆様をはじめとして多くの業界関係者のご尽力によってこれらの事業は遅滞なく進められ、大きな成果を上げている。産学官連携と国際標準化戦略については、産学の英知を結集して、先端技術の研究や規格化に取り組む加工システム研究開発機構、これの立ち上げに向けてちゃくちゃくと準備を進めている。
JIMTOFの求心力強化については、昨年開催したJIMTOF2014年の来場者数が前回比5.8%増の13万6000人ほどで史上2番目となる大変盛況なものとなった。うち海外来場者数ははじめての1万超えとなり過去最高を記録するなど国際化の面でも大いに前進をしたかと思う。人材の確保などは、JIMTOFの会期中に開催した恒例の工作機械トップセミナーに過去最高となる621名の参加を得て大変盛況であった。このように日工会事業は幸い高い成果を上げてきているが、まだまだ多くの課題を抱えている。
日本の産学官連携は、欧州主要国のように工作機械メーカー、ユーザー、大学・研究機関などとの共同研究が活発に行われる状況に至ったか。私ども加工システム研究開発機構に関する研究と準備を一段と強力に進めていかなければならない。また、当業界とあまり馴染みのない一般の方々に工作機械とはどんなものかと理解して頂いているか。日本の工作機械産業の未来を次の世代に託して行くには世間一般の幅広い層の方々に工作機械の果たす役割について認識を深めていただく必要がある。まだまだ心配無用という状況には至っていないと感じている。
次回のJIMTOFは、来年11月に拡張される東京ビッグサイトで開催されるが、業界各社の最新技術を世界のユーザーへ発信していくことはもとより、一般の方々への訴求力を高め、一段と業界のPRを強化していかなければならないと思っている。本年10月に開催されるメカトロテックジャパン2015の会期に合わせて開催する工作機械トップセミナーにおいても工作機械産業の魅力を大いに発信していきたい。
日工会の内外比率は2000年代初頭は概ね半々であったが、その後、外需比率が上昇し、2010年以降は概ね7割レベルに達している。その背景には中国をはじめ、アジア新興国市場の急成長がある。一方で、日本企業の生産の海外移転は着実に進んでおり、研究開発などの機能移転に関する動きも進んでいる。私ども日本の工作機械産業は外需7割時代にあって、日本と世界のものづくりにどう貢献していくか、業界活動をどのようにグローバル化していくかといった課題への取り組みが今後一段と重要となる。
日工会活動には、税制改正など制度インフラ改善に向けた取り組みや地球環境問題への対応など様々な活動がある。世界における日本の工作機械業界の役割を強く意識した活動を展開していきたい。安倍内閣の発足以来、即効性の高い政策が間断なく打ち出されてきた。歴史的高水準であった円高は大きく修整が進み、アベノミクスの第三の矢とされる成長戦略の一環としての民間投資を喚起する政策により日本の製造業は活力を取り戻しつつある。私ども日工会会員各社も常に最新鋭かつ最高の工作機械を供給しつづけ、わが国の経済の根幹である製造業復活のお役に立てるよう頑張っていく。同時に広く世界のものづくり産業の反映に貢献すべく努力を続けていく所存である。
世界的に新しい動きがある製造業 どう切り返していくか
来賓を代表して黒田篤郎 経済産業省製造産業局長が、「過去2年間のアベノミクスの経済政策の効果があり有効求人倍率が22年ぶりの高さになり、企業収益全体も過去最高になるなど経済の好循環が見えてきた。今年はこの経済の好循環をより確実にしっかりしたものにしていく。そしてさらに全国津々浦々地方にも中小企業にも広げていくのが今年の目標になる。さて、工作機械はマザーマシンと呼ばれ製造業の高度な技術力の根幹である。業界の皆様にはこれまでもこれからも日本経済を支えていく大変大事な役目を担っている。昨年私はJIMTOF2014を見学したが、日進月歩の工作機械の世界を拝見し、大変驚いたが、年の最後に高い伸びがあったとのこと。大変おめでたいことであり、このペースで今年も大きな受注を獲得されることを願っている。他方、IT技術の革新により、データ社会が進むが、工作機械も大きな変革の嵐の中に入っていくのだろうと思われる。アメリカではITが顧客から得たビッグデータを活用してIT企業が製造業に参入していくというIMTの世界が始まっており、ドイツではインダストリー4.0のコンセプトのもと、製造設備のネットワークがM to Mで機械同士が自動的に連絡を取り合いながら工場間、企業間で最適生産をし、ロット数が1からの変量生産というコンセプトの新しい動きがをつくっている。このような流れに対してわれわれも危機感を持っている。この動きをどう捉えて切り返していくかということを考えることが今年最大の機械産業のテーマではないかと感じている。これに関連して昨年9月に私どもでは安倍総理のイニシアティブでロボット革命実現会議を官邸に設置した。ロボット企業のみならず、関連業界の皆様、有識者の皆様と議論を開始している。ロボット産業は日本の産業にとって力のある産業で、この1月議論の成果を発表したいと思い、準備中である。今後、官民あげて工作機械・産業機械発展の絵姿を描いていきたい。経済産業省全体としては、なんといっても稼ぎ頭である製造業の皆様の競争力強化策を今年も引き続きとっていきたい。昨年の12月30日に税制改正大綱がまとまったが、来年度の法人税については2.51%の引き下げ、そして来年度については併せて3.3%以上の引き下げをすると決定した。これらを踏まえ、皆様の応援を力一杯していきたい。また、アベノミクスの効果を隅々まで行き渡るように皆様に賃上げのご協力とお取引先の価格転嫁が円滑にいくようご協力をお願いしたいと思っている」とあいさつをした。
「統合に向けた友好の第一弾」 超硬工具協会と日本工具工業会が合同で賀詞交歓会を開く
超硬工具協会(理事長=増田照彦 三菱マテリアル 常務執行役員 加工事業カンパニープレジデント)と、日本工具工業会(理事長=堀 功 不二越 常務取締役)が1月8日、東京・丸の内の銀行倶楽部にて統合に向けた友好の第一弾として、合同で新年賀詞交歓会を開催した。超硬工具協会からは62社115名、日本工具工業会からは39社61名、来賓、OB、報道関係者を含めた総勢300人が出席し、親睦を深めた。
「メイドインジャパンのものづくり力を国内外に発信したい」
増田超硬工具協会理事長があいさつをした。この中で増田理事長は、「放っておくと惰性になりがちな日常に、新年は格別なリセットの仕掛けがある。まわりはなにも変わっていなくても気持ちを切り替えるだけで見える景色がまったく違う。人間がつくった仕掛けとしての新年は素晴らしいものだな、と思っている。目の前で展開しているすべてのことは、旅の途中でプロセスである。常にどんな状況であっても日々新たな喜びの朝、幸せの1日を迎えることができれば、その積み重ねで1年が繋がっていくと感じている。さて、疑問文のひとつとして、“何しに来たの”という言葉がある。この疑問文は時と場合によって意味合いが変化する。猪というのは国によって猪であったり豚であったりする。お酒は、百薬の長ともてはやされたり、命を削る艱難として毛嫌いされたりと、同じ言葉であっても使う人、聞く人、時代によっても意味合いが変わる。木へんの木と書いて右側に冊と書くと柵(サク)と読むが、この柵は“しがらみ”と読むんだ、ということを昨年知った。柵と(シガラミ)という言葉を耳にすると、断るに断れない、腐れ縁といったマイナスのフレーズが思い出されるが、その一方で、川では雨や風により大きな流木から橋を守るための上流の杭のことを“柵(サク)”というそうである。何でもないときは、柵は穏やかな流れの中で役に立たないでくの坊であるが、ところがひとたび嵐になると、木避けの杭になる。身体を張って橋を守るとても頼りになる陰の力となる。柵にとって橋を守っているプライド、橋げたからすると、柵の存在を承知して感謝している、お互い敬愛し合って生きているということであろうかと感じている。柵も橋げたもモノであるのにお互いに敬愛し合う気持ちで対峙している。まさに“モノに心あり まして人”ということだと思っている。新しい2015年はそういった橋の命を預かるんだ、という柵の気持ちで物事を進めたいと思っている。それぞれが備えを万全にし、流れる雲のごとく、自然体に天にも地にも我一人変わるものがないというプライドで取り組むとしたら、それぞれが大きな流れになっていくんだろう。本年6月には超硬工具協会の理事長として日本工具工業会様との統合をぜひとも実現したいと願っている。従来はハイス、超硬と刃先になる材料で組織を分けていたが、お客様にとってはどちらの材料も用途によっては必ず必要なものである。ふたつの会員各位が融合して学び合い、情報を補完し合い、日本ならではのこだわりをきめ細かく発揮できるのならば、メイドインジャパンのものづくり力を国内外に発信していけると思っている。大きなうねりを起こしたい。慌てることなく汗をかいて、また、汗を拭き取って、果てなき頂上を目指して共に一歩一歩向かっていきたい」と統合に向けて意欲を示した。
「機械工具産業は日本を支えているとても楽しい業界。世界に向けて情報発信を!」
続いて日本工具工業会を代表して堀理事長が、「増田理事長からお話しがあったとおり、今回初めて、日本工具工業会、超硬工具協会が合同で盛大な賀詞交歓会ができたのも両推進統合委員会をはじめとした関係各位のご努力のお陰だとこの場を借りて御礼を申し上げたい。私が工具工業会の理事長を引き受けた2013年の日本工具工業会の年間出荷高は約1000億円強だった。今年度の工業会の推定金額は1080億円を超えるとのことで、超硬工具協会と合わせると約4500億円という、統合すれば非常に大きな機械工具の工業会が誕生することになる。昨年の話をするとJIMTOF2014では16万人以上が来場した。私どももたくさんの新商品を世界に発信することができた。機械もかなり進歩しており、3Dの積層技術を紹介したり、すでに5軸の機械も当たり前になっている。日本の機械工具の工業会が世界の産業界をリードしていると情報発信出来たのではないか。統合を推進するに当たっては、情報発信力の強化が最も大きな目標になっている。ISOを牛耳っているのは残念ながらヨーロッパの企業が多いが、それに負けない力をつけていくことで、この統合が実現した際には、日本の産業界が一丸となって戦っていけると考えている。さて、日本の将来を考えることがよくある。私事だが、産学連携の一貫として大学で授業を持たせてもらっている。私の工具や人生35年間の話をしているが、彼らの目がどんどん輝きを増してくるのを強く感じる。機械工具の産業は『日本を支えている、とても楽しい業界』であるということを伝えたくて、私は一生懸命喋るわけだが、それに応えて若者の目が輝いてくる。最近、大学教育の学力低下が懸念されているが、それは教える方に情熱があってこそ、うまく伝わるんだ、と強く感じている。自分たちがやってきたことをきちんと伝えて、この業界は非常に魅力があるということを伝えきらないと日本の産業界を支える我々に将来はないと思うので、統合したあかつきにはそれらの魅力を十分発揮できる工業会になれればいいなと思っている。未年の未は未熟の未だが、将来大きくなった工業会で世界に情報発信ができるよう大きく成長することを祈念している」と期待を込めたあいさつをした。
「成長戦略のためにはエンジンの積み替え作業が大切」
来賓を代表して佐脇紀代志 経済産業省 製造産業局 産業機械課長が、「経済の好循環が本格化し、さらに全国津々浦々、この果実を実感頂けるよう方針に従って全力をあげていきたい。課題も多く、デフレの脱却については本格的に力強く道筋をつけることや消費についてももう少しの取り組みも必要であると感じている。今年はエネルギーが注目を浴びる年。最高水準の安全性を確保した原発の再稼働、地球温暖化対策も話題が沸騰している。環境問題といえばこの業界ではコバルト問題のように克服すべき問題もまだ残ってはいるが、私どもも皆様のご商売にとっていい方向にいくよういろんな仕組みをもって引き続き協力していきたい。宮沢大臣が年頭所感で示していたアベノミクス第三の矢は成長戦略のためのエンジンの積み替え作業であるという話をされている。薄利多売から利益があがるビジネスの仕組みをどうつくるか、という改革をしながら本筋を見据えてしっかり前に進むと壁もあるかもしれないが、政府としてもいろんな壁を取り払うことも必要だと思っている。安倍総理も年頭所感で“今年は日本の将来を見据えた改革断行の1年”にしたいとしていた。私どもも様々な改革を進めていきたく、また、新しいものに向けてエンジンを積み替える作業も大切だと感じている。新しい成長力を蓄える時期だからこそ、行政としてはなんとか先を見据えた課題を地に足のついた会話を重ねながら皆様方に協力していきたい」とあいさつをした。
石川則男 日本工具工業会副理事長(オーエスジー社長)が乾杯の発声を行った。