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【令和7年 年頭所感】 日本産業機械工業会/日本工作機械工業会/日本機械工具工業会
「GXに関する技術の開発・実証・社会実装を後押し」
■日本産業機械工業会
会長 金花芳則
2025年という新しい年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
皆様には、気分も新たに新年を迎えられたことと思います。
昨年は世界中がポストコロナ経済再生の実質的スタートの年となりました。政治的には、台湾の総統選挙に始まり、ロシアの大統領選挙、インドの総選挙、日本の総理交代及び総選挙、米国の大統領選挙と選挙イヤーでありました。さらに、米中対立の常態化や東アジアの緊迫化、ロシアのウクライナ侵攻の継続、中東での緊張の高まりなど、地政学的リスクはいや増し経済安全保障の徹底・強化の必要性の認識が強まりました。
こうした中、世界経済を振り返りますと、経済協力開発機構(OECD)が昨年12月に公表した世界経済予測では、インフレ率低下、雇用拡大及び金利引下げなどを背景に、世界経済は今後2年間安定的に成長するとの見通しが示されました。一方で、貿易摩擦と保護主義の高まりでサプライチェーンが混乱し、消費者物価を押し上げ、成長に悪影響を及ぼす恐れも懸念されており下振れのリスクを感じるところであります。
日本経済動向を見ると、昨年12月の内閣府月例経済報告では「一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」と5ヶ月連続で景気判断が据え置かれ、設備投資や輸出、個人消費の各項目についての判断も同様となりました。一方で、企業収益については21ヶ月ぶりに下方修正されるなど、景気回復のテンポは緩やかになってきているとのことです。
産業機械業界の状況ですが、当工業会の受注統計では、昨年4月~9月(年度上半期)の受注総額が前年同期比1・7%増の2兆8162億円となり、年度上半期の受注金額としてはコロナ禍以降で最高を記録しました。官公需と外需が伸びており、官公需は環境装置およびポンプ等の増加、外需は中東や北アメリカがけん引役となりました。
さて、2025年ですが、我々産業機械業界が更なる成長を遂げ、また、日本経済の活性・発展に貢献するため、次の課題に対し、より積極的な取り組みが必要と考えます。まず、GX(グリーントランスフォーメーション)への対応です。次期エネルギー基本計画の着実な実行を支えるためにも、当工業会会員の皆様が製造・供給する製品・サービスは不可欠なものであります。原子力発電の活用、更なる再生可能エネルギーの導入拡大の他、徹底した省エネの推進や、CCUSの導入、次世代エネルギーである水素・アンモニアの社会実装の加速が不可欠です。産業機械業界は、グリーン産業を目指し、GXに関する技術の開発・実証・社会実装を後押しします。
本年は第30回を数える海外貿易会議の実施年となっており、スウェーデンとイタリアでの開催を考えています。水素利用の取り組みが目覚ましくイノベーションの盛んな北欧と、スマートファクトリーへの転換が進む一方で新エネルギーにかかる取り組みも積極的なイタリアについて、その実情を調査し現地関係者との意見交換を実施します。
次に、我が国の経済安全保障への対応です。世界規模でのサプライチェーンの再整備は、日本経済を支える根幹に当たります。我々産業機械業界は、サプライチェーンを構成する製造装置・部素材・原料等の製造能力の強化に資する技術を開発し、生産設備の提供に取り組んでいく必要があります。
日本産業機械工業会は、こうした社会の変化や課題に応え、地球環境保全、国際交流、標準化などの各種事業を推進し、また、政策提言を積極的に行うなど、産業機械業界並びに会員企業の皆様の事業発展に向けた活動に力強く取り組んでまいります。
政府におかれましては、昨年12月に成立した補正予算に盛り込まれた「日本経済・地方経済の成長」などへの対応を速やかに実施していただくとともに、水素・アンモニアなどの新エネルギーの活用を含むGX事業の推進・実装に取り組まれますことを期待しております。
年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましてはなお一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
「世界の産業界はDX・GXを核とする技術革新を加速」
■日本工作機械工業会
会長 稲葉 善治
2025年の新春を迎え、謹んで年頭の御祝詞を申し上げます。
さて、昨年を振り返りますと、ロシアのウクライナ侵攻の行方が益々深刻化する中で中東での軍事衝突もパレスチナから周辺諸国へと拡大の様相を呈するなど、地政学的リスクが世界各地域で懸念されております。また、欧米の高金利による経済活動の低迷や中国での不動産不良債権問題に端を発した経済の混迷などが続いており、世界情勢は混沌とした中で不透明・不確実な状況が続いた1年でした。
一方で、日本の工作機械業界は日工会を中心に、デジタル・グリーン・レジリエンスをキーワードに新製品・新技術の開発を力強く進めて参りました。この結果、工作機械の受注総額は昨年の年初に発表した1兆5千億円には僅かに届かなかったものの、高水準を維持する事が出来ました。
さて、昨年11月には「技術のタスキで未来へつなぐ」をコンセプトに、我が国工作機械業界最大のイベントであるJIMTOF 2024を東京ビッグサイトで開催し、日本が誇る最先端の工作機械技術・製品を世界に向けて発信致しました。来場者数は前回比13.0%増となる12.9万人、うち海外からの来場者数は前回比2倍強の1万人余を記録する盛況でした。また、今回のJIMTOFでは南展示棟において、特別併催展としてAdditive Manufacturing Area in JIMTOFを催しました。更に、同館において出展者と学生を繋ぐアカデミックエリアを設置する事により学生と現役世代の交流の場を設け、来場者参加型の企画展示も実施致しました。また、国内外の技術者が集う「国際工作機械技術者会議」や全国の学生を招待して実施する「工作機械トップセミナー」など、盛り沢山の併催行事を開催することにより、モノづくりの醍醐味、工作機械産業の魅力を学生諸君に力強く発信致しました。こうした数々の企画を通して、来場者の皆様に工作機械と製造業の明るい未来を感じていただけたと存じます。
本年につきましても、世界各地の地政学的リスクや、国際社会の分断により、通商環境は一層不安定かつ複雑化していくと思われます。そのような状況の中でも、世界の産業界はDX・GXを核とする技術革新を加速させております。日本の工作機械業界としても、世界の先頭に立ってIoT・環境・自動化等の技術を搭載した高付加価値な工作機械を開発して参ります。一方で、我が国においては、ビンテージの古い老朽設備の更新、少子高齢化による労働力人材の不足といった課題を抱えており、その対応を進めて行かねばなりません。
日本の工作機械業界は、世界最高の性能と信頼性を誇るモノとしての工作機械の供給を通じてコトづくりを支え、社会課題の解決に貢献する活動を積極的に展開して参ります。関係各位には当工業会の事業に対する一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。
「万博で新たに発表される技術や製品に期待」
■日本機械工具工業会
会長 松本克洋
令和7年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
平素から、関係各位のご支援、ご協力に対し、心から感謝申し上げます。
昨年秋の衆院総選挙において、政権与党が過半数を下回り、野党勢力が議席を増やしました。また、米国でも今月には、第二次トランプ政権が発足する予定です。現在、報道により言われているのは米国政府による関税の引上げ政策で、円安ドル高の状況が続くと思われます。この状況下で、昨年度の当工業会の生産額は4,641億円であり、一昨年度の4,915億円を超える事ができませんでした。
今年度生産額の当初見通しを約4,950億円としておりましたが、昨年10月の秋季総会で、4,703億円への改訂をご報告いたしました。昨年度比で増加しておりますが、一昨年度実績を超える事ができない状況です。これは、国内の電機・情報通信機器等ハイテク関連向け工具の生産増加と、世界的な半導体需要の回復により関連工具が伸びたものの、国内自動車関連の回復遅れによる為と推測します。そこで、令和7年度の目標としましては、冒頭の米国の政策で厳しい状況ではありますが、生産額5,000億円の達成です。
昨年9月に3社の会員企業の方々が、初めてIMTSの工業会共同ブースにて出展されました。3社の皆様がどの様にお感じになられたかは、興味深いところですが、米国でのお客様との会話から生まれた種は、必ずや実を結ぶと思っております。今年も次の市場として期待される、インドのIMTEXへの視察ツアーや、前回同様にEMOでの共同出展を工業会としても企画しております。皆様がそれらに参加し、そこから販路を見つけ、それにより生産がアップし、少しでも5,000億円に到達する為に努力される事を期待しております。
ところで、今年の干支は巳(蛇)です。巳年は復活と再生を意味する年であり、金運上昇、商売繁盛、また蛇はしばらく食べなくても生きていられる事から忍耐強く、長寿、子宝でも良い年と言われています。まずは、景気の浮揚に伴い、我々の業界の生産額が復活する事を切に願っております。
また、今年は4月13日~10月13日にかけて、大阪・関西万博が開催されます。前回大阪で開催された日本万国博覧会大阪が、約半世紀以上前の1970年に開催されております。その当時、動く歩道、モノレール、リニアモーターカー、電気自転車、電気自動車、テレビ電話、携帯電話等、21世紀の現代社会で普及している製品やサービスが初めて登場しました。
当時、夢の製品と思われていたものが50年後には、もはや当たり前のものとなり、それが無くては生活に支障が出るものになっている事に少なからず驚きを隠せません。今年の万博でも新たに発表される技術や製品が、50年後にはどの様な形で世界に浸透しているのか、また、どの様に発展するのか楽しみで仕方ありません。
空飛ぶクルマや、人工多能性幹細胞(iPS細胞)技術を応用した、生きる心臓モデルなど、私達のイマジネーションが及びもつかないようなインフラや、医療における治療技術など50年後の世界を垣間見る事ができるかもしれません。そういった意味では、先日、JIMTOFの寄稿文でも書きましたが、工具の刃先が石器、青銅器、鉄器、特殊鋼、超硬、セラミックと変化してはいるものの、約3,000年以上基本的には回転して切削する事自体は変わっていないと記載しました。加工はこのまま、回転し切削し続けるのか、そうであればどの様に進化していくのか、万博で技術の種が見つかるかもしれません。
最後になりましたが、皆様の一層のご活躍と、巳年に復活の年となり、商売繁盛となるよう祈念いたしまして、年初のご挨拶とさせていただきます。
【令和7年 年頭所感】日本工作機器工業会/日本精密機械工業会/日本フルードパワー工業会/日本工作機械販売協会
「積極的果敢なリスクテイクが必要」
■日本工作機器工業会
会長 寺町彰博
昨年の世界経済は、ウクライナや中東情勢をはじめとする地政学リスクの高まり、インフレの進行、そして不動産不況などに揺れる中国経済の低迷など、多くの懸念材料がある中で、先行きに対する不透明感がさらに増すこととなりました。日本においては元日に能登半島地震が発生し、そこから復興途上にあった能登地方を記録的な豪雨が襲い甚大な被害に見舞われました。
一方、夏にはパリオリンピック・パラリンピックが開催され、パリオリンピックでは日本勢が海外開催としては過去最多となるメダルを獲得し、米国MLBにおいては、大谷翔平選手をはじめとする日本人選手が活躍するなど、多くの人々に勇気と感動がもたらされた年でもありました。
当工業会に関連する動きを見ると、半導体関連においては需要の牽引役が多様化する中で、生成AIなどの新たな成長ドライバーや自国生産拡大の動きなどを背景に今後も大きな拡大が見込まれます。さらに先進国を中心とする自働化・ロボット化の進展、自動車業界における環境対応車へのシフトや再生可能エネルギー関連の投資の拡大など、私たちのビジネスチャンスは大きな広がりを見せています。
そのような中、私たちがこれらのチャンスをしっかりと掴み、大きな成長を成し遂げるには「積極果敢なリスクテイク」が必要だと感じています。日本は高度成長期において、どちらかというとリスクヘッジよりリスクテイクによって成長してきたといえるでしょう。しかしながら、その後のバブル崩壊により財務の健全性がより重視される中、企業はリスクヘッジへと走り、リーマン・ショックでさらにその傾向に拍車がかかったと思われます。その過度な慎重さの表れとして、これまでの当工業会に関連する需要の拡大期には欧米や中国が先行し、日本が追いつく頃には需要のピークを迎えてしまっているように感じます。さらに、日本において今まさに人手不足が深刻化しているにも関わらずロボットの販売が振るいません。
しかしながら、日本において産官学が一体となってこのテーマに真摯に取り組み、再びリスクテイクを積極化させることができれば、必ずや私たちはグローバル競争の中で打ち勝ち、世界の製造業をリードしていくことができるものと考えております。
従いまして、このように環境が激変する中で、当工業会といたしましても、会員の皆様と強い信念を共有するとともに、各社の積極果敢なリスクテイクを後押しできるような工業会となるべく引き続き尽力してまいりたいと存じます。
結びになりますが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
「若者取り込みに知恵を出し合う」
■日本精密機械工業会
会長 北井正之
明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては輝かしい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
今年は2025年。「2025年問題」が起こる年です。いわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上、つまり後期高齢者となり、超高齢社会が訪れることで生じるさまざまな影響が出てくることが予想されております。
我々の業界でも、高齢化、若者離れが進んでおります。高齢化につきましては、非常に技術力のある方がこの業界にはたくさんいらっしゃいますので、健康の続く限り一緒に働いていただきたいと思いますが、若者につきましてはなかなか門戸を叩いてくれません。
弊工業会では、昨年のJIMTOF2024で学生対象のスタンプラリーを行いました。弊社のブースにも学生が来ました折りに、ものづくりの楽しさ、奥深さを楽しく語ったところ、目を輝かせて聞いてくれました。その時に感じたことは、日本のお家芸であり、この国になくてはならない工作機械業界について、学生に対して、楽しくやりがいがあり、誇りの持てる業界ということをうまく発信できていないのではないかということでした。
今年は巳年。ギリシャ神話で、医療と知恵の神であるアスクレピオスの杖には、蛇(へび)が巻き付いています。これは蛇(へび)の再生能力や知恵を象徴しているとの事。知恵を出し合い、大手企業だけではなく中小企業にも若者を取り込める仕組みづくりを考え、工作機械業界全体の活性化に繋げていければと思います。
また、蛇(へび)は弁財天の使いとされています。巳年が皆様にとりましてたくさんの福をよび込む年になりますよう心よりお祈り申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。
「海外関連団体との交流を強化」
■日本フルードパワー工業会
会長 川瀬正裕
2025年の年初にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
昨年は、国内外で多くの選挙が行われ、大きな変化が起こる年となりました。我が国では、岸田内閣から石破内閣へ政権交代が行われ、衆議院の与野党逆転が起きました。米国では、次期大統領にトランプ氏が決定し、各国がその対応に追われています。
東アジアでは、韓国で戒厳令が一瞬発令されるなど、政治的混迷が深まりました。中国では住宅関連産業の低迷や若者の就職難などが続いており、デフレの懸念が高まる中で、成長鈍化が懸念されております。また、ロシア・ウクライナ戦争が続く中、シリアのアサド政権崩壊というニュースも入り、世界情勢はますます厳しさを増しています。
今年1月には米国で第二時トランプ政権が発足します。米国は対中、メキシコ、カナダに一律関税を課すとの話もあり、中国からの部品調達や海外に進出する中国企業からの部品調達にも影響を及ぼすことが懸念されます。このような状況下で、サプライチェーンの再構築と「経済安全保障」の確保が求められています。
さて、我が国の経済状況についてですが、昨年12月に発表された日銀短観では、業況判断DIが大企業・製造業で+14%と若干改善しました。特に生産用機械や化学、自動車などの業種が改善し、効率化投資やデジタル化、脱炭素化、サプライチェーン強靭化への投資の必要性が高まっていることが示されています。
当業界の2024年の出荷額(推定値)は、油圧機器が約3千6百億円、空気圧機器が約5千3百億円となり、対前年比約4.2%減の約8千9百億円となりそうです。このような、厳しい経済環境下、工業会としては、効率的な会議の推進や海外関連団体との交流強化、新しい課題への対応などを進めていきます。また、カーボンニュートラルやデジタル社会への対応、若手技術者の育成にも力を入れてまいります。
今年は巳年です。蛇は再生や永遠の象徴と言われ、我々にとっても、これまでの努力が実を結び、新たな成長や変革の年となることを期待しています。
「教育事業の充実を図る」
■日本工作機械販売協会
会長 髙田研至
皆様、新年明けましておめでとうございます。
健やかに新春を迎えられました事、謹んでお慶び申し上げます。
昨年を振り返りますと、元旦に能登半島を中心に大きな地震が発生し、多くの方が被災され復興道半ばの被災地で9月には集中豪雨により、またしても多くの尊い人命が失われました。早期に社会を挙げての支援により復興される事を願っております。
世界情勢はロシアのウクライナ侵攻はまだまだ着地点が見えない現状、中東でのイスラエルの戦闘、米国の大統領がトランプ氏に代わるなど、自国第一主義の台頭、米中の覇権争い、中国経済の失速、円安、物価上昇、人件費高騰など、多くの問題が山積しております
昨年11月JIMTOF、7月にはロボットテクノロジージャパンが大盛況の内に開催され、自動化、高効率化、知能化、デジタル化といった技術革新、工程集約や同時5軸複合加工機など構造的な大変革が求められている中、日本の製造業は生産性を向上させ世界で競争力を回復させることが緊急の課題となっております。
しかし、残念ながら日本の製造業は理解をしながらも遅々として変化を嫌い、将来に向けての展望が開けていない状況であります。とくに中小の製造業においては、現状のままでは多くの会社が淘汰されるのではないかと危惧しております。この様な中、国のバックアップの元、需要の喚起と共に生産性向上、生産現場の改善など商社は積極的に関与できるスキルを身につける事の重要性を感じており、教育事業の充実を図ってまいります。
さて、日工販における最大ユーザーである自動車業界様ですが、昨年は認証問題により生産台数が上がらない上に、一昨年にはBEV(電気自動車)に自動車業界全体が大幅に移行される様な状況で有りましたが、世界の自動車メーカーは一変し、投資の見直しが発表されております。トヨタ自動車様においても新たにエンジン開発がされ、BEV(電気自動車)を2026年に150万台と計画されていましたが2027年に100万台と変更される事により、設備投資がされるかと期待していましたが、現実は既存の設備の改造が中心であり、また、BEVの遅れにより新たな投資が先延ばしとなり非常に厳しい一年となってしまいました。では、本年が期待できるかですが、現実的には、トランプ大統領の再登板により、世界のどこに投資をするかの判断が難しくBEVの遅れにより昨年同様に非常に厳しい一年になることが予想されます。
この様な状況の中、期待できる投資は、自動化、DX化、生産性向上、カーボンニュートラルなど、現場での改善活動を中心に現場主義に徹した活動が重要な営業活動となってまいります。
最後になりますが、日工販として昨年、日工会様の受注予測の⅓以上を内需で受注したいと5,500億円を目指しましたが、残念ながら昨年も5,000億円に達しない状況です。是非、本年は1/3以上を目指して参ります。
【令和7年 年頭所感】日本建設機械工業会/日本光学測定機工業会/日本金型工業会/全日本機械工具商連合会
「社会の持続的発展に貢献」
■日本建設機械工業会
会長 山本 明
新春を迎え謹んでお慶びを申し上げます。
会員各社ならびに関係省庁、関係団体の皆様には平素より、日本建設機械工業会の活動に格別のご支援とご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年は元日の能登半島地震、8月の日向灘地震及び南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」の発令、9月の能登半島豪雨と全国各地で大規模な災害が発生いたしました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、現在まで復旧・復興に向けご尽力されているすべての方々に感謝申し上げます。当工業会としても被災された方々が一日でも早く日常を取り戻されるよう力を尽くしていくことをお誓い申し上げます。
本年も工業会の設立理念である「調和と発展による世界への貢献」ならびに「共生と競争」のもと、工業会の活動の変革・発信を通じ、社会の持続的発展に貢献して参りたいという思いを新たにしております。
こうした中、建設機械の市場動向に目を転じますと、当工業会が昨年8月に公表した需要予測では、令和6年度(2024年度)の需要は、国内が微減、輸出は減少に転じ、2024年度通年の出荷金額は3兆1,610億円(前年度比5%減)となり、4年ぶりの減少を見込んでおります。また、令和7年度(2025年度)については、国内、輸出ともに底堅く推移し、2025年度通年の出荷金額は過去2番目の出荷金額となる3兆2,033億円(前年度比1%増)を見込んでおります。
この数年の好調の背景には、アフターコロナによる経済活動の再開・活発化や、停滞していた部品・部材の納品の改善、船舶需給の緩和などの影響が考えられますが、他方で、為替水準の急激な変動や、米国の政治経済動向、ロシア・ウクライナ紛争、イスラエル・中東情勢など直面する懸念材料も山積しております。
また、中長期的にも自然災害の激甚化・頻発化への対応、GX対応、DX対応、国際的な環境規制強化、サプライチェーンの不安定化、人材の確保・育成、取引適正化、物流問題など課題も数多くあるため、担当の委員会・部会を中心に業界を挙げ検討を行い、関係省庁への働きかけを含め実行に移しています。
我々工業会の使命は世界のインフラを担う日本の建設機械産業を支えることでありますが、従前に増して、上記の課題に対し積極的に取り組んでまいりますので、ご支援・ご協力の程よろしくお願いいたします。
最後になりますが、令和7年が皆様にとって安全で素晴らしい一年となりますように
祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。
「光学式ならではの利点を生かした測定ソリューションを迅速に開発」
■日本光学測定機工業会
会長 濱谷 正人
明けましておめでとうございます。
謹んで新春のご挨拶を申し上げます。平素より関係者の皆様には日本光学測定機工業会の活動に、ご理解とご支援を賜り、厚くお礼申し上げます。
昨年は、前半、半導体や電子部品業界において設備投資が抑制される動きがあり、光学測定機の出荷額もスローなスタートとなりましたが、後半から盛り返し、通期ではほぼ前年並みの水準を維持しました。
現在、光学測定機の市場は、自動車の電動化需要拡大やパワー半導体開発の進展および生成AI向けチップをはじめとした先端パッケージ技術の進化に伴い大きな変化点を迎えています。測定のアプリケーションも多様化し、より複雑な形状や高精度な測定が求められるようになっています。それゆえ、高速・非接触という光学式ならではの利点を生かした測定ソリューションを迅速に開発・提案することが肝要と考えております。
一方で、日本国内では労働人口の減少が進む一方、海外では人件費の高騰が課題となっています。このような背景から、製造プロセスでは省力化や自動化が不可欠なものとなっており、作業現場において、サンプルの形状や寸法、表面性状を高速に取得するニーズも高まっています。光学式の測定機は、この点においても有効な技術として注目されています。
今年秋に東京ビッグサイトにて開催する測定計測展2025には、「計測で創る、ものづくりの未来 ― 測定のDX化、省人省力化、高精度化、最新計測ソリューションで未来を創る!―」をキャッチフレーズに、産業界の生産性向上に資する次代の検査・計測装置や関連サービスを多数出展します。是非、足をお運びくださいますようお願い申し上げます。
ダイナミックでスピード感のある大きな時代変化の流れの中、それに呼応する形で、光学に基づく切り口を武器に非破壊・非接触型測定機を主としたリアルタイムな光学測定技術を深化させます。
あらゆる課題を見える化・顕在化させることによって素晴らしいモノづくり、コトづくりを実現し、価値の共創へ貢献して参りますので、今年もよろしくお願い申し上げます。
「『稼ぐ力』と『ワンボイス』で積極的に仕掛ける」
■日本金型工業会
会長 山中雅仁
令和7年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
会員の皆様ならびに関係省庁、関係団体の皆様には平素より、日本金型工業会の活動に格別のご支援とご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年は、大規模地震や極端な気象による豪雨や洪水などの気象災害が発生し、高まる自然災害リスクを改めて認識させられる一方で、ウクライナ、イスラエル・パレスチナの紛争状況や変貌する政治体制や国際秩序など 先行きが見通せない地政学・政治的リスクが露になった一年でした。これらの環境変化に加えて、産業界では、グローバル化、デジタル革命、少子高齢化の進行による労働力不足、生産性と賃金水準向上の両立など まさに大転換期を迎えており、そのトレンドに素早く、かつ柔軟に先回りして対応できる企業が生き残れる時代と痛感しております。
工業会では、そのような厳しい環境にあっても、「金型業界は、多くの社会課題やお客様のお困りごと解決のツールを提供できる持続可能な企業集団」として、社会的な使命感を胸に、会員相互のネットワークとシナジーを高め、研鑽を深めてまいりました。
さて、今年の干支は、乙巳(きのとみ)です。「乙」は未だ発展途上の状態を表し、「巳」は植物が最大限まで成長した状態を意味し、この組み合わせは、これまでの努力や準備が実を結び始める時期を示唆しているそうですが、転じて、実りの時期はさまざまなことから、常に発展途上である意識を持って、絶えず仕掛けることの重要さを述べたものと解することもできます。
報道などを見ると、令和7年もメガトレンドは変わらず、主要顧客の自動車産業の構造変化など 企業を取り巻く環境は、依然厳しいものがありますが、このようなVUCA時代を生き抜くためには、積極的に仕掛けることがとても大事と思う次第です。
そこで、私の新年の抱負として、“「稼ぐ力」と「ワンボイス」で積極的に仕掛ける” を掲げました。
「稼ぐ力」は、付加価値を生み出す力とされるのが一般的ですが、それを「成長戦略」と置き換え、「商品企画開発力アップ」「業界の魅力度アップ」「価格交渉力アップ」「市場拡大施策の推進」などのキーワードから、皆さまと議論を進めていければと考えています。たとえば、商品企画や開発面では、ビックデータの収集・分析の活用、個社の技術力強化にとどまらない産学・数社連携のオープンイノベーションやシナジー連携などもこれにあたります。
また、一昨年に日本金型工業会より発信した「金型取引ガイドライン」は、公正取引の政府指針もあり、関係先様から理解を得られるものになりました。これを緒とした「ワンボイス」活動ですが、今年は、更に時代の流れに則したコンプライアンスや経済安全保障の観点、関係先様との共存共栄・イコールパートナーシップの考えの基、引き続き推進していく所存です。
一方で、これからも金型業界が変わらぬ社会的使命を果たす企業集団であり続けるには、何よりも人財力の結集があっての賜物です。一人ひとりが、ワクワクする魅力ある業種でヤリガイ感、働きがいをもって仕事に従事している、こんな姿を目指していきたいと考えています。そこで、工業会では、教育プログラムの更なる充実や個性ある支部活動を通じて「人づくり」に尽くしてまいります。
最後になりましたが、本年も会員企業の皆様ならびに関係省庁、関係団体の皆様のなお一層のご指導、ご鞭撻を賜ります様、お願い致しますとともに 皆々様の益々のご発展、ご健勝を祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。
「新時代に適応した発展を」
■全日本機械工具商連合会
会長 坂井俊司
新年、明けましておめでとうございます。
昨年を振り返りますと、世界は引き続き大きな変化と不安定な状況に直面しました。地政学的な緊張、気候変動による異常気象、そしてエネルギー価格の変動が、私たちの日常生活や経済に多大な影響を及ぼしました。これらの世界的な不安定要因がある中で、国内の製造業においては①DX化の加速、②カーボンニュートラルへの取り組み、③サプライチェーンの再構築、④労働生産人口減少への取り組み、⑤グローバル競争力への維持・強化を進めてきています。困難に直面する中で技術革新とDXへのさらなる取り組みが日本のものづくり企業の新しい成長の機会を見出す鍵となっているのではないでしょうか。
そのような状況の中で昨年度は全日本機械工具商連合会としては大きな行事はありませんでしたが、各地区、各組合の中で個別に展示会、講演会また見学会等の行事に意欲的に取り組んでいただきました。また、組合員の情報交換や懇親を深めるだけでなく仕入先各社様との交流も活発に行っていただきました。
先に述べました我が国の製造業が5つのポイントの取り組みを引き続き強化する中で我々機械工具業界もその大きな潮流に追従していかなければならず、各組合の会社様においても取り組みの強化が必要であります。仕入先各社様とも情報交換、情報共有のご協力をお願いするとともに、全機工連としてもできる限りの情報発信をしていきたいと思います。
さて今年は11月4日(火曜日)に東京国際フォーラムにて全国大会を開催いたします。東京都機械工具商業協同組合様を中心に関東ブロックの組合の皆様のご協力もいただきながら検討いただいています。皆様にとって実りある大会となるように願っております。会員の皆様、仕入先・賛助会員の皆様のご出席を是非ともよろしくお願い申し上げます。
最後になりますが、会員各社、メーカー会員、賛助会員の皆様がこれからの新しい時代に適応して、ますますご発展されることを祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
【令和7年 年頭所感】オーエスジー/アマダ/コマツ/日立建機
「『Beyond the Limit 2027』持続的な成長を目指して」
■オーエスジー
代表取締役社長兼COO 大沢伸朗
2025年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
2024年度は日本の自動車産業の認証不正問題に始まり、航空機産業においても米ボーイング社で主力機の品質検査の不正が報告されるなど、製造業の根幹である「品質」が問われた年でした。自動車産業に関しては、これまでのEV化の流れに一服感が見受けられるようになりましたが、中国のBYDをはじめとした中国メーカーの攻勢により日系、欧米系メーカーがシェアを大きく落としました。さらに中国内需の長期低迷に伴い供給過多の状況がデフレ輸出によって東南アジアなど周辺国での競争の変化をもたらし、サプライチェーンに大きく負の影響を及ぼしています。
このような経営環境の中、25年度から27年度の3ヶ年における中期経営計画ステージ2の「Beyond the Limit 2027」がスタートします。ステージ1から取り組んでいる収益・事業効率の改善やタップグローバル40などは継続し、その中でもステージ2では微細精密加工向けの成長産業の開拓にさらに力を入れてまいります。7月にはレンズ業界に広い販路をもつContour Fine Tooling BV社がM&AでOSGグループに加わりました。眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、光学レンズなど、これまで全く持っていなかった販路を新たに獲得しました。そこにOSGの超硬製品を合わせることで総合力を高めて微細精密加工分野における売上の拡大を目指します。
新製品では11月に開催された日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)に合わせて、環境配慮型製品「GREEN TAP」の発売を開始しました。昨今、製造工程におけるCO2排出量の削減の取組みが重視される時代のなかで、性能・品質プラスアルファの付加価値をお客様に提供していくことで、OSGとしてカーボンニュートラルの社会の実現に貢献してまいります。
中期経営計画にはAブランド、微細精密、タップグローバル40、収益改善に加えて圧造、コーティング、ダイヤモンド工具など多岐に渡るワーキンググループがありますが、どの活動においても中計の達成には社員全員の参加が不可欠です。昨日までの自分と違った取り組みで ”はじめの一歩”からスタートする意識を持ち「脱マンネリズム」を図ります。
そして25年度からは執行体制が大きく変わります。部門を超えて更に変革を進めていくステージ2です。外部環境にとらわれず素晴らしい25年度となるよう社員一丸となって努力してまいります。
最後になりますが、モノづくり産業の益々の発展と皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。
「グローバル全社員のエンジニアリング力を強化」
■アマダ
代表取締役社長執行役員 山梨貴昭
2025年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、欧米での金利の高止まりやウクライナ問題の長期化、中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりから、依然として先行きが不透明な状態が継続しております。そのような中、高水準の受注残高の消化が進んだことで売上収益は、第2四半期の3カ月として過去最高を更新、上期としても前年同期に次ぐ2番目の水準となりました。
中期経営計画の最終年度となる本年は、計画達成の具体的アクションと長期的な成長に向けた取り組みを推進してまいります。具体的なアクションとしては、グローバルにシームレスでの提案を進め、シェア拡大による利益率向上にむけた活動をより一層強化してまいります。第2四半期より、新商品の投入による販売価格の改善が利益面へプラスに寄与してきています。昨年開催された国内外の展示会では、各事業が一体となった提案を行い新たなニーズを開拓しました。さらに、昨年発表したDXを活用した製造改革により、フレキシブルなグローバル生産体制を構築するとともに、各地域の市場ニーズに合わせた商品の投入を進めていきます。
中長期の活動としては既存事業の拡大のみならず、成長産業である医療、半導体、e-Mobilityといった市場へ、他社との提携やM&Aなどを視野に入れながら拡大いたします。グローバルに目を向けると、アマダグループの連結売上における海外比率は63%に達しています。グローバル化のさらなる推進も重要な活動の一つと考えています。
これらの取り組みを推進するためには「人材」の育成が欠かせません。昨年11月にオープンした「アマダ・テクニカルエデュケーションセンター」は、お客さま工場の未来に貢献する次世代型エンジニア育成の場です。お客さまと社会の課題解決に向けて、セールス・サービスエンジニアの教育にとどまらず、グローバル全社員のエンジニアリング力を強化します。
今年の干支は乙巳(きのとみ)です。乙(きのと)は成長し広がりを見せ、殻を突き破り芽が出る状態を意味します。「まだないモノを、アマダとつくる。」をスローガンに、お客さまとともにさらなる伸長につながる一年にしたいと考えています。
本年も皆さまの一層のご指導、ご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
「挑戦する」「やり抜く」「共に創る」「誠実に取り組む」
■コマツ
代表取締役社長(兼)CEO 小川啓之
謹んで新年のご挨拶を申しあげます。
昨年は、令和6年能登半島地震に始まり、大型の台風や豪雨など、数々の自然災害に見舞われました。亡くなられた方々に心からご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧・復興を心より祈念いたします。
2022年度にスタートした3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value - Together, to “The Next” for sustainable growth」は本年3月で締め括りとなります。本中期経営計画では、安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場をお客さまと共に実現するため、新たな顧客価値の創造を通じ、収益向上とESG課題解決との好循環を生み出し、持続的な成長を目指しています。
安全性・生産性の向上や環境負荷低減などのお客さまの現場の課題解決に貢献するため、デジタル技術を活用した施工管理やフリート管理のソリューションを生み出し、それらと親和性が高く、安全性や環境性に優れた高効率な製品を提供することで、お客さまとともに未来の現場を実現する挑戦を続けています。
一般建機では、昨年12月に土木分野のフラッグシップである機械質量20トンクラスの油圧ショベルをフルモデルチェンジし、3D施工機能を標準装備した新世代油圧ショベル「PC200i-12」を日本で発売しました。施工の見える化・最適化を図るデジタルソリューションのスマートコンストラクション®と組み合わせることで、お客さまのICT施工導入を容易にし、建設現場の生産性向上により一層、貢献していきます。本年からは同機種を順次、欧米や豪州でも展開していきます。
鉱山機械では、露天掘り鉱山で使用される無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数が790台(2024年10月末時点)となり、本年度の目標である790台を前倒しで達成いたしました。
昨年7月には独鉱山機械メーカーGHH Group GmbHがグループに加わり、坑内掘りハードロック分野の主力商品であるロードホールダンプやマイニングトラックの商品ラインアップが充実しました。同分野における当社のプレゼンスを一層、拡大させていきます。
本中期経営計画において、2050年にカーボンニュートラルを実現することをチャレンジ目標として掲げました。
コマツは建設・鉱山機械のフルラインメーカーとして、お客さまの多様な環境対応ニーズを踏まえ、あらゆる選択肢を提供するため、内燃機関の更なる高効率化、ハイブリッドから、カーボンニュートラル燃料やバッテリー、水素活用に至るまで、全方位での研究・開発を進めています。一般建機では、すでに7機種の電動機を市場導入しており、今後もラインアップを拡大していきます。鉱山機械では、資源大手顧客11社とのGHGアライアンスを通じ、あらゆる動力源に対応するパワーアグノスティック・ダンプトラックの開発に取り組んでいます。一昨年に買収した米バッテリーメーカーAmerican Battery Solutionsの活用や、米General Motorsとの超大型ダンプトラック向け水素燃料電池モジュールの共同開発などの取り組みも、加速させていきたいと考えています。
また、本年1月に、私たちの価値観を行動様式で表現した「コマツウェイ」の改訂を予定しています。
コマツウェイは、2006年に明文化され、2019年3月以来、 今回で4回目の改訂となります。コマツの連結社員数は6.5万人を超え、その約7割が海外で我々のビジネスに携わっています。コマツがさらにグローバルに発展し、強い企業として成長するために、文化や習慣の異なる全世界の社員がコマツウェイを理解することが不可欠です。
「挑戦する」「やり抜く」「共に創る」「誠実に取り組む」 という私たちの価値観をグローバルに共有し、顧客視点による新たな価値創造に向けて、全社員が総力を結集して取り組む姿勢を強調しています。
本年4月には新たな中期経営計画がスタートします。外部環境の不確実性が高まる中で、さまざまなリスクを想定した備えを着実に実行していきます。また、これまでの活動の成果を活かしつつ、未来の現場の実現に向けたロードマップの歩みをさらに前進させ、コマツがお客さまのパートナーとして選ばれ続けるように、コマツならではの顧客価値を創造する活動に挑戦していきます。
コマツは今後も、「品質と信頼性の追求」と、「ものづくりと技術の革新」を通じ、新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓くことを目指してまいります。
最後になりましたが、皆さまにとって素晴らしい1年になりますように、心より祈念いたします。
「最前線にすべての企業活動の源泉がある」
■日立建機
執行役社長兼COO 矢崎正文
あけましておめでとうございます。年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。
「最前線にすべての企業活動の源泉がある」という信念のもと、私は昨年も建設機械の稼働現場を訪問し、世界中に足を運び、Kenkijinの皆さんをはじめ、お客さまや販売代理店と対話してきました。そして7月に私たちは、あらゆるステークホルダーに革新的なソリューションを提供したい日立建機グループの想いを象徴するニューコンセプト「LANDCROS」を掲げました。私たちの先進的な製品とともに、お客さまに革新的なソリューションを提供し課題を解決するという方向性、そして、社外のパートナーと連携してオープンに進めるスタイルについて、LANDCROSと共に、ステークホルダーの皆さんに賛同いただいていると実感できた事は大きな成果です。
昨年は日本で元旦に能登半島地震が発生し、今も被災地では復旧・復興に向けた支援が進められています。世界ではロシア・ウクライナ情勢は厳しい局面が続き、イスラエル・パレスチナの問題も緊迫した状態です。また、インドネシアやインド、日本、そしてアメリカ合衆国など多くの国々での選挙、さらに欧米での金利の高止まりなどが、建設機械の需要にも影響を及ぼした一年でした。
しかし、そのような状況下でも、私たち日立建機は、お客さまに革新的なソリューションを提供する真のソリューションプロバイダーとなるべく、第2の創業期の歩みを着実に進め、中長期的な成長に向けた体制強化に注力してきました。業績の面では、新車需要が減少する中でも、部品・サービス事業などのバリューチェーン事業が事業全体を下支えできており、私たちが推進する中期経営計画が正しい方向に向かっている実感を得ることができつつあります。これは、Kenkijinの皆さんの努力のたまものであり、心より感謝と敬意を表したいと思います。
さて、2023年4月から始まった中期経営計画「BUILDING THE FUTURE 2025」も折り返し地点を迎えました。4つの経営戦略「顧客に寄り添う革新的ソリューションの提供」「バリューチェーン事業の拡充」「米州事業の拡大」、「人・企業力の強化」を軸に、それぞれのビジネスユニット、地域、コーポレート部門で掲げた施策の進捗を確認し、必要な追加施策を実施していきましょう。
2025年の年頭にあたり、皆さんには日立建機グループのビジョン「豊かな大地、豊かな街を未来へ 安全で持続可能な社会の実現に貢献します」にもう一度立ち返ってもらいたいと思います。私たちの企業活動はまさにこのビジョンを体現しており、皆さんの日々の活動が安全で持続可能な社会の実現に貢献していることに思いを馳せてください。
最後になりましたが、世界で活躍する日立建機グループのKenkijinとそのご家族のご健康とご多幸を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。「LANDCROS」を実現するのは皆さん一人ひとりです。一緒に今年2025年を最高の一年にしましょう。
日本金型工業会 「第51回金型の日」記念式典を開く


日本金型工業会(会長=山中雅仁 ヤマナカゴーキン社長)が11月25日、「第51回金型の日」記念式典を開いた。
2024年6月の総会で第11代会長に就任した山中会長があいさつをした。この中で山中会長は、「今年の記録的な猛暑の影響なのか、全国各地で季節外れの花が開花する現象が見られ、日本の四季に異変が起きている。また政府より2020年代に最低賃金の全国平均を時給1,500円に引き上げる目標が示され、人への積極投資の実現には、生産性向上や高付加価値向上、適正な取引環境の維持など覚悟して取り組まなければならない。さて、本日の金型の日は金型工業の認知度の向上と今後のさらなる発展を期して設立されたものだが、金型産業業界は厳しい環境下にあってもわくわくする魅力ある業種と確信している。産業界においては社会課題を解決できるツールを提供できる存在として金型技術は必要不可欠であり、さらにはAI、IOT、ビッグデータがつくるイノベーションの潮流は、金型産業の成長には追い風になると考えている。これからの技術革新は、金型作りを大きく変える可能性があることは言うに及ばず、今後、金型工業業界が考える社会的使命を果たし魅力ある社会集団であり続けるには、何よりも日本金型工業会の経営者の皆さま、業界の宝である本日のご参加の従業員一人一人の力の結集があってのことだと思っている。」と述べた。
永年勤続優良従業員表彰式のあと、国家褒章者への記念贈呈が行われた。

来賓を代表して経済産業省製造産業局素形材産業室の星野昌志 室長があいさつをした。この中で星野室長は、「政府としてのこの金型の普及、さらなる発展に向けた取り組みもしっかり進めていく。10年ぶりに政府の素形材の国家戦略、経済理論の見直しを行っている。この10年の変化というのは、本当に著しいものがあった、特に私が感じているのはデジタル化である。30年前の私がまだ学生時代はデジタル通信できるのは文字が精いっぱいで1行送るのに何秒もかかっていた。30年が経ち、今や5Gの時代、映像が簡単に送れるようになった。30年で1億倍の通信速度になったそうだ。この変革の時代に、ものづくりのさらなる進化を目指して、皆さま自身、それから後進の育成を進めて、さらなる金型、素形材の発展にお力添えをいただけたら嬉しい。」と声援を送った。
横田悦二郎 日本金型工業会学術顧問を招き「経済安保の基は金型にあり! ~国民の生命を維持する必需品生産金型は国内自給せよ~」をテーマに基調講演が行われた。
場所を移して懇親会が開かれ、宴もたけなわのころ散会した。
天田財団 2024年度(令和6年度)助成式典を開く

去る11月30日、天田財団(代表理事理事長=伊藤克英氏)が「2024年度(令和6年度)天田財団助成式典」をAMADA FORAM(神奈川県伊勢原市)で開催した。
伊藤理事長はあいさつのなかで、「金属加工というものづくりを通じて、継続して世界の人々の豊かな未来を実現することが、アマダグループの責任と考えている。その思いから、天田財団は、金属加工に関する研究・開発への助成により、産業・経済の発展に寄与することを目的として、1987年企業財団として設立され、今年で37年目を迎える。本年度の助成は108件、総額2億9,211万円となった。設立から1,200名を超える研究者の皆さまへ助成させていただき、累計助成金額はついに40億円を超え、42億8,018万円、累計助成件数は2,342件となった。」と説明したあと、「資源のないわが国にとって、私はいつの時代も科学技術のイノベーションこそが、課題を解決して次の時代を切り開く原動力ではないかと考えている。昨年、自然科学分野における日本の地盤沈下ということが顕著だとの指摘もあり、大学院の博士号取得者が減少傾向にあるとも言われている。文部科学省によると、大学院博士課程の入学者数は2023年度に1万5,014人となり、ピークだった03年から2割、特に修士から博士に進学した学生は4割減ったそうだ。日本の博士号の取得者数は21年度に126人で、イギリスの342名、ドイツの338名、韓国の317名と比べ、4割以下に沈んでいる。天田財団が目指しているには、1つに若手研究者を育成することであり、2つ目は研究成果を産業界へ普及啓発し、社会実装につなげることである。公益事業の使命は、より多くの人々の利益に資することである。日本が持続的に発展し、これからも世界で主導的な役割を果たすためには、絶えず科学技術のイノベーションを起こすことが必要になる。 私が現役時代から常に発信していた言葉があります。2番じゃ駄目なんです。2番を目指しちゃ駄目なんです。常に1番を目指してください。天田財団は常に1番を目標にする研究者に助成を行いたいと思っている。」と声援を送った。

続いてアマダの山梨貴昭社長が祝辞を述べた。この中で山梨社長は、「私たちを取り巻く環境は、環境問題に対して技術力でいかに解決していくか、不足する人手をDX、AIなどでどこまで補えるかなど、世界のものづくりの環境は大きく変動し、世界中でさまざまな社会課題やニーズに対して解決策を模索する技術競争が起きていると考える。われわれ、社会で最も身近にある自動車のEV化、DX、AIに欠かせない半導体などは、最たる例だが、その地域を占めていたEVは、一服感があり、ハイブリッド技術が再び着目を浴び、再生燃料や水素の利用も研究が進んでいる。半導体はより高性能で、製造もより効率を追求するために、さまざまな技術が模索され、どのような技術がブレークスルーとして効果を発揮するか、どの国の技術がイニシアチブを取るか、まさに国家、産業、研究機関が関わるグローバルコンペティションが起きている。その一方で、技術を追求する中でも、環境への配慮、労働不足を補う自動化技術やDX、AIをフルに活用することも考慮に入れなければならない。しかし、こういう技術だけでは社会課題を解決するには不十分です。われわれものづくりに携わる関係者が必要としているのは、さまざまな課題を解決するブレークスルーを起こす圧倒的な技術である。これにより、より良い技術で自然環境と共生をしながら、持続可能的な社会活動を構築することへ貢献することが、われわれものづくり企業やさまざまな研究開発に携わる方の使命であり、目的とするところではないか。」と祝辞を述べた。
続いて文部科学省 産学連携・地域振興課 産業連携推進室の迫田健吉 室長から祝辞が述べられたあと、「イノベーションの現状と今後について」をテーマに講演が行われた。
招待講演会として、渡邊一弘 創価大学名誉教授 天田財団評議員が総評を述べ、贈呈式が行われたあと、久保木 孝 電気通信大学 機械知能システム学専攻 教授、寺川 光洋 慶應義塾大学 理工学部 教授がそれぞれ講演した。
場所を移して交流会が開かれ、宴もたけなわのころ散会した。
日本工作機械販売協会 東部地区が忘年懇親会

去る12月10日、日本工作機械販売協会 東部地区(会長=髙田研至 井高社長、東部地区委員長=豊田直樹 兼松KGK取締役)が、KKRホテル東京(東京都千代田区大手町)で忘年懇親会を開いた。第一部の講演会では講師に元吉本興業専務取締役の竹中 功氏を招き、「よしもと式ビジネスの見つけ方、育て方」をテーマに講演会が開かれた。
第二部の懇親会で、あいさつに立った髙田会長は日頃の感謝の意を表したあと、「時代の流れをしっかり掴み、スピード感をもって対応していきたい。11月はJIMTOFが開催され、非常に活況だった。多くのお客様にご来場頂き、技術的な革新、また工程集約、複合加工機など豊富な展示がなされ、皆様興味深くご覧になられたようだ。日本の製造業は世界の中でも遅れているように感じているが。JIMTOFを契機に改めて日本の製造業を様々な方向に導いていくことが必要ではないかと感じている。」と述べた。

乾杯の発声は豊田東部地区委員長が行った。この中で、豊田東部地区委員長は、「わたしが東部地区委員長に就いてから3年が経過した。その前はコロナ禍で活動ができなかった時期もあったが、会員、賛助会員の皆様のご支援の賜で2年前から活動ができるようになった。日工販にかかわる皆様にとって様々な情報交換や勉強会などを実行させていただいている。2025年2月には工場見学会も企画しているので、盛り上げていきたい。」とあいさつをした。
参会者は懇親を深め、宴もたけなわのころ散会した。
芝浦機械 米国スタートアップ企業AM Batteries Inc. へ出資
芝浦機械(社長=坂元繁友氏)がこのほど、低コスト・低環境負荷を特徴とする新たな 電極製造プロセスの開発を手掛ける 米国スタートアップ 企業 AM Batteries Inc. (以下 AMB )への出資を行ったと発表した。 同社では、スマートフォンやノートPCなど小型の民生品向けから、 PHEV(プラグインハイブリッド車)・BEV(電気自動車)などの車載用向け、住宅用電源装置や基地局向けの大型電源装置向けなど、リチウムイオン電池市場は今後も様々な分野 において、世界規模で拡大していくことが見込まれることから、市場の拡大を背景に、電池の製造設備についても活発な投資が続くと見られるなか、製造工程におけるコストやエネルギー消費量の削減、有機溶剤の使用や CO2排出などの 環境負荷の 低 減 に対する要請も高まりつつあることを見込んでいる。 一方、AMBは、静電スプレー方式を用いた独自の粉体塗装技術により、有機溶剤を使用せずに電極を製造する事が可能な「ドライ電極製法」の開発に取り組む米国のスタートアップ企業であり、2024年には米国TIME誌のAmerica's Top Greentech Companies 2024やThe Best Inventions of 2024にも選ばれるなど注目を集めている。「ドライ電極製法」は、従来の湿式による製法と比較して、製造工程の簡略化やCO2排出量の削減に繋がるだけでなく、電池そのもののコストダウンに貢献することが可能となる。同社はこれまでも、リチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置の製造・販売を通じ、国内外の電池製造装置市場において重要な役割を果たしてきたが、将来需要が拡大すると想定されるドライ電極市場への参入や、更にその技術を活用した全固体電池への展開も見据え、今回の出資を決定した。 AMBのLie Shi CEOは、「ドライ電極技術のリーダーとして、AM Batteries Inc.は電池製造方法の変革に取り組んでいる。芝浦機械による出資と両社の協業は貴重な専門知識とリソースをもたらし、当社の規模拡大と世界中の電池メーカーに向けたターンキー・ソリューションの提供を加速することでしょう。私たちは共に、蓄電池産業における新たなスタンダードの確立を目指していく。」とコメントしている。
ヤマザキマザック 加工能力を強化し複雑な多面形状部品の高効率加工を実現する複合加工機「INTEGREX j-200 NEO」シリーズを新たに開発

ヤマザキマザックは、このほど加工能力を強化し、複雑な多面形状部品の高効率加工を実現した複合加工機「INTEGREX j-200 NEO」シリーズを開発、販売を開始した。
同社は複合加工機のエントリーモデルとして2010 年に「INTEGREX j-200」を発表、長年に渡り多くの顧客より高い評価を博しているが、今回開発した「INTEGREX j-200 NEO」(テールストック仕様)と「INTEGREX j-200S NEO」(第二主軸仕様)は、従来機から各仕様を強化することで、生産性や複雑な多面形状の加工ワークへの対応力を向上させた高能率な複合加工機だ。
INTEGREX j-200 NEO シリーズは、旋削主軸の出力・トルクを向上させたことにより、高い生産性を実現している。また、標準仕様よりもさらに性能を強化したハイパフォーマンス仕様では、従来機から大幅に出力・トルクを向上させつつ、全長を短縮したコンパクトミル主軸を採用している。標準仕様・ハイパフォーマンス仕様とも、ミル主軸のB 軸割出し範囲を従来機よりも拡大、さらに割出し角度も標準仕様で1°単位、ハイパフォーマンス仕様では0.0001°単位で可能としている。外径・端面・斜め加工など多面加工により、さまざまな形状の加工ワークに対応することがでる。
環境性能では、CNC装置に搭載された「エナジーセーバー」により、機械稼働中の消費電力を見える化する。また、省エネ機器を採用したことで消費電力の削減にも貢献する。
INTEGREX j-200 NEO の特長
(1)旋削主軸、ミル主軸の能力向上による高生産性
<標準仕様>
旋削主軸の出力・トルクが向上し、優れた加工能力を発揮する。
<ハイパフォーマンス仕様>
旋削主軸は標準仕様を上回る出力・トルクを備え、ミル主軸も性能を強化した。加工時間を短縮し、高い生産性を実現する。
旋削主軸、ミル主軸の比較
(2)B軸割出し範囲の拡大と、最小割出し角度の仕様アップにより多面加工へ対応
B軸の割出し範囲を従来機より拡大、最小割出し角度も標準仕様のミル主軸で1°単位と
従来機より向上している。ハイパフォーマンス仕様では全長を短縮したコンパクトなミル主軸を採用し、さらに0.0001°単位の高精度割出しが可能としており、複雑な多面形状の部品加工に対しての対応力を向上させている。
B軸割出し範囲と最小割出し角度の仕様比較
(3)環境性能
・稼働中の消費電力を見える化する「エナジーセーバー」
機械稼働中の消費電力をCNC 装置のモニター上にグラフィカルに表示する。
・省エネ機器採用による消費電力の削減
インバータ式油圧ユニットやチラーユニット(冷却装置)の採用により、消費電力を削減する。
日本初のブザンソン天文台のクロノメーター取得機「TAKANOシャトーヌーベル・クロノメーター」スイスの国際時計博物館(MIH)に収蔵

東京時計精密(社長=浅岡 肇氏)が手掛ける日本初のブザンソン天文台のクロノメーター取得機「TAKANOシャトーヌーベル・クロノメーター」(ホワイト文字盤)が、このほどスイスの国際時計博物館(MIH)に収蔵される。この時計は新生新生TAKANOの1stモデルであり、日本で初めてブザンソン天文台の厳格なクロノメーター検定に合格した時計。
シャトーヌーベル・クロノメーターは世界的にも有名な独立時計師の浅岡氏のデザインと、ザラツ研磨を両立していることが特長だ。ムーブメントは東京時計精密にて調整を施し、ブザンソン天文台のクロノメーターを取得している。文字盤には21世紀の国産時計としては初めてとなるChronometerの表記が刻まれている。
ディテールにおいて、針は浅岡氏のマニュファクチュールウォッチにも見られるスカイスクレーパー針を採用。針先のカーブは、ボンベ文字盤および風防のカーブと呼応している。またケースはザラツ研磨を施している。「近年ではケースにおけるザラツ研磨は鏡面仕上げの面とサテン仕上げの面を組み合わせることが多いが、本作は鏡面仕上げの面同士を組み合わせている。」と同社。
ブザンソン天文台のクロノメーターの検定は、ムーブメント単体を対象にしたスイスの天文台における検定と異なり、ケーシングした状態で行われるため基準がより厳格である。シャトーヌーベル・クロノメーターはブザンソン天文台のクロノメーター検定に合格した時計をクロノメーター証書とともに販売している。
〈スペック〉
・ケース径:37mm
・ステンレススチールケース(ザラツ研磨)
・クロコダイルストラップ
・自動巻 90T(24石、毎時28,800振動、パワーリザーブ約40時間)
・ブザンソン天文台クロノメーター証書付属
■国際時計博物館(MIH)について
国際時計博物館(MIH)は5000点の収蔵品を有する世界最大の時計博物館。ラ・ショー=ド=フォンにある現在の建物は、チューリッヒの建築家ピエール・ゾエリーと地元の建築家ジョージ・J・ヘーフェリの共同作業によるもの。1974年に完成したこの半地下の建物は、時計製造の伝統を安全に収容しながら、博物館の公園とシームレスに融合するように設計された。コンクリートとレンガを組み合わせた建築は、ブルータリズムとテラテクチャーを融合し、訪問者にユニークな洞窟体験を提供する。MIHは建築の質の高さで国際的に認められ、1977年にベトン賞、1978年にサンビューロー賞を受賞し、1978年にはヨーロッパの博物館に選ばれている。