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日本工作機械販売協会 「第56回通常総会」を開催

あいさつをする髙田会長

 日本工作機械販売協会(会長=髙田研至 井高社長)が、去る6月4日、第一ホテル東京(東京都港区新橋)で「第56回通常総会」を開き、井高会長が再任した。総会は議事が滞りなく終了し、第二部は元アサヒビール常務取締役の田中晃氏を講師に招き、記念講演が開かれた。この中で田中氏は、ヒット商品の開発秘話や成功に至るマーケティング戦略を話した。

 第三部の懇親パーティは、中島専務理事の司会進行で行われ、井高会長があいさつをした。この中で井高会長は世界情勢に触れたあと、「今年は1兆6,000億円、内需では4月までの数字は1494億円で前年と同様な受注ではあるが、内需比率は29%減少している状況である。日工販の皆様には3分の1である5350億円を頑張っていきたい。内需における自動車関連の影響は大きく、自動車関連企業の設備投資の回復が大いに期待されるが、残念ながら今年も厳しい予想をせざるを得ない状況である。」と危機感を示したあと、工作機械のビンテージについて触れ、「10年以上の機械が60%、15年以上の機械が50%、日本の生産性が上がらない要因である。古い機械から新しい機械を購入していただく努力を皆様とともに進めていきたい。」と意気込みを示した。

経済産業省 須賀 産業機械課長

 続いて来賓を代表して経済産業省製造産業局の須賀産業機械課長が、「昨今、デジタル化や自動化の進展に伴い工作機械にもAI、IoTを活用したスマートファクトリーへの対応を求められている。また、省エネやリサイクル技術の導入による環境負荷の低減も同じように社会的な要請となっている。こうした事業環境の大きな変化の中で、協会が果たされる役割はますます重要になっている。現在、アメリカによる関税措置の影響などを受け、世界経済の先行き、大変不透明になっている。経産省では、4月に米国安全対策本部立ち上げて、短期の支援策として影響がどこに出ているかを把握するために全国に相談窓口をオープンして聞かれた声を踏まえ、常にモニタリングをしながら躊躇なく支援策を講じていくことを政府全体で合意している。」と声援を送った。

坂元 日工会会長

 業界を代表して日本工作機械工業会の坂元繁友会長(芝浦機械社長)が、「内需の伸び悩みが見え、国内の設備投資が停滞していると認識しているなか、国内製造業で保有されているビンテージが10年以上の割合が6割を占めているといわれ、最新設備への更新が必要な状況である。また、国内は労働人口の減少もあり、人手不足が顕在化している。生産性向上に向上すべく、自動化、工程集約といった機能を備えて、省エネ性能の高い、最新の機械をユーザーの皆様にお届けしなければならないと考えている。是非とも販売のプロである皆様のお力添えをお願いしたい。」と協力を要請した。

 新会員の紹介が行われたあと、日本工作機械輸入協会の金子一彦会長(三宝精機工業社長)が乾杯の発声を行い、宴もたけなわの頃、散会した。

 

日本金型工業会が第13回定時総会を開く

 

あいさつをする山中会長

 日本金型工業会(会長=山中雅仁 ヤマナカゴーキン社長)が、6月13日、ホテル メルパルク名古屋で第13回定時総会を開催した。

 総会は副会長の鈴木教義(鈴木社長)の開会のあいさつで始まり、続いて山中会長が、あいさつをした。この中で山中会長は、日頃の感謝の意を表したあと、「昨年から私が快調になり1年が経とうとしている。足元はレアメタルなどの影響で車の生産が困難な状態が続いている。今後も様々な変化で逆風があると思っている。」と話したあと、本年5月に改正案が可決された下請法に触れ、「われわれはパートナーとしてしっかりとものづくりをしていこうという後押しになるのではないか。また、賃上げ、訂正価格を維持していくためのサポートになる。」と述べた。また、「市場拡大に向け、国内のみならず海外の需要を開拓していく取組みを打ち上げている。市場拡大に向け皆様と一緒に頑張っていきたい。」と意気込みを示したあと、議事進行に移った。

 令和6年度事業報告の承認を求める件、同決算報告の承認を求める件ならびに監査報告の件、令和7年度事業計画案の承認を求める件、令和7年度収支予算案の承認を求める件がそれぞれ承認された。

経済産業省 星野素形材室長

 来賓を代表して経済産業省製造産業局の星野昌志素形材産業室長があいさつをした。この中で星野室長は、「私は金型を通してものづくりの未来を考えることが多かった。最終製品が変わっていく時代の流れに、どう対処して良いのか、あるいは人手不足などの悩みを抱えられている経営者の実態や悩みを伺ってきたが、皆様にヒントを頂いたことを活かして、この3月に12年ぶりに経済産業ビジョンをまとめさせていただいた。金型はものづくりの主役。経済産業省も足並みを揃えて邁進していきたい。」と声援を送った。

 閉会のあと、「中小企業だからできるダイバーシティ経営」をテーマに富士電子工業の渡邊弘子社長が講演をした。

松岡副会長

 懇親会では冒頭、あいさつに立った副会長の松岡寛高 七宝金型工業社長が、「われわれの業界は女性の活躍が足らない。工業会としてもかながた小町などをつくり女性の活躍をなんとか盛り上げようとしている。若い方や女性がこの業界に入ってきやすいような業界になっていくことが大切だ。業界は非常に厳しい状況だが、乗り越えるためにもこうした懇親の場で同業者の皆様と話をさせていただき、横の繋がりをしっかり作る楽しい会にしていければと思っている。」と思いを述べた。

 続いて山中会長が、「今年のインターモールドの出展企業が122社あった。当社は最初から出店していたと思うが当初は10社程度だった。来年はインドで実行するが、まだ3、4社しか問い合わせが来ていない。海外出展も増えることを願っている。そしてそれが継続して出展していくうちに人脈をつくるプロセスになる。ここは頑張っていきたい。」と意気込みを示した。

 乾杯の発声は、牧野フライス製作所の饗場達明 代表取締役専務が行った。宴もたけなわの頃、散会した。

 

「新たな価値創造へ」山中会長 あいさつ 

 第13回定時総会の開会にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
 本日は、ご多用の中、多くの皆さまにご出席を賜り、誠に有難うございます。
昨年6月の総会で会長職を拝命してから、早1年が経ちました。この間、当工業会の
令和6年度事業計画テーマを正会員、賛助会員の皆さまとご一緒に推進してまいりました。5月には、これまで注力してまいりました「業界ワンボイス」メッセージ発信の成果として、国会で下請法等の改正法が成立し、イコールパートナーシップの関係に基づく、サプライチェーン全体での適正な価格取引定着へ明年1月から大きな改定となる運びとなりました。ここに改めて、正会員、賛助会員の皆さま並びに関連諸官庁・諸団体の皆さまに、工業会活動全般に対するご支援・ご協力に厚く御礼を申し上げる次第です。

 さて、経済アナリストによりますと、日本経済は、緩やかな回復基調も、成長率は鈍化する見通しで、注目の企業設備投資は、人手不足対応・デジタル化・脱炭素・サプライチェーン強靱化等のニーズは根強いものの、米国の政策不確実性の高まりから一部に様子見の動きが見られているようです。また、自動車メーカー7社が5月中旬に公表した2025年3月期連結決算ならびに2026年3月期予想では、米国の追加関税措置発動の影響により、厳しい数字が相次いだことはご承知の通りです。

 このような環境を踏まえた令和7年度の工業会活動なりますが、その要点はと言えば、「稼ぐ業界への取組み」に尽きます。近年のAI、IOT、ビッグデータ等の技術革新の潮流は金型産業には追い風になります。それらのICT技術の導入による金型製作の自動化・効率化や高精度金型による新たな価値の創造は、金型産業の成長に繋がるものと考えております。

 また、海外市場への展開や成長産業への参入等 マーケットの拡大も利益創出には重要な要因ですが、概して金型業界は取引先が固定化されている企業が多いため、成功のためには、営業プロセスの見える化や営業体制の見直し等の営業力強化がポイントになります。

 一方、前述の通り、今回の法令改正により、取引環境の改善が促進されましたが、更に進んで、業界として「価格決定力の強化」も必要と考えております。勿論、「お客様の収益の貢献度に応じた適正な価格設定」があってこその実現ですが、企業努力が相殺されてしまうような価格設定はあってはなりません。以上のような内容につきましては、今年度の委員会事業や特別プロジェクト、ワーキンググループ、本部からの情報発信等を通じて、皆さまと議論を深めていきたいと思っています。

 さて、これまで、私は、「本来、金型業界はワクワクできる魅力ある業種、なぜならば、社会課題を解決できるツールを提供できる存在」「もっとワクワクし、面白いことをするには、人材も設備も投資する。そのためには、きちんと稼がなければならない。」と持論を展開してまいりました。「稼ぐ業界への取組み」と合わせて、今年度も「外部への金型業界の魅力発信」に努めたいと考えています。「広報委員会事業」や「かながた小町分科会活動」をはじめ、皆さまと、お客様をはじめ産業界には、「金型業界は、社会課題を解決する」ベストパートー」、働く人々には、「金型業界は、やりガイ・働きガイのある職場」とのメッセージを伝え、業界のステータス向上に努めたいと考えております。

 最後になりますが、今まで以上に会員の皆様方はもちろんのこと、関連諸官庁・諸団体の皆様方にも倍旧のご支援ご協力をいただけますことをお願い申し上げ、私からのご挨拶とさせていただきます。
 

全日本機械工具商連合会 2025年通常総会を開催

 

あいさつをする坂井会長

 全日本機械工具商連合会(会長=坂井俊司 NaITO社長)が、6月11日、トラスコ中山東京本社(東京都港区新橋)で2025年通常総会を開催した。

 あいさつに立った坂井会長は日頃の感謝の意を表したあと、「トランプ大統領の影響で景気が良くないという話を聞く一方、中国、韓国は良いと聞く。最近、ベトナムに行ってきたが、こちらも日本製の良い機械でものを作っている。日本の製造業は決済まで時間がかかるので、こうした点が日本と海外の違う点だ。やはり新しい機械設備を持って製造力で頑張っていかないと日本の競争力が上がっていかないということを意識してわれわれも頑張っていかなければならないと思っている。」と述べたあと、「本年11月4日に全国大会が開催されるが、ぜひ皆様に集客をお願いしたい。」と協力を要請した。

 2024年度事業報告並びに決算承認の件、2025年度事業計画並びに予算承認の件、第45回全国大会について、理事及び監事選出の件、その他が上程され、それぞれ可決された。

講演をする中山副会長

 続いて中山哲也副会長(トラスコ中山社長)が「教科書にない経営 ~教科書通りでうまくいくならば世の中は成功者で溢れている~」をテーマに講演をしたあと、懇親会が開かれた。乾杯の発声は東京都機械工具商業協同組合の山田雅英理事長(山田マシンツール社長)が行った。参加者は親睦を深めた。宴もたけなわのころ散会した。
 

日本金型工業会 取引適正化のため「下請け」の使用自粛を求める

 日本金型工業会(会長=山中雅仁 ヤマナカゴーキン社長)の金型産業戦略会議が、このほど、取引適正化のための第一歩として「下請け」の使用自粛を広く要請した。 同工業会では、時代の変化とともに、「いまこそ発注者・受注者の関係性も見直すべき時」とし、中小受注事業者の賃上げが困難な要因のひとつに、「一部の発注者によって受注価格が厳しく抑えられている。」とし、その背景には、優越的地位の濫用とも言える構造的な問題が横たわっており、「価格転嫁を要請する以前に、相見積もりによって交渉の余地すらない状況が続いている。」という深刻な問題を挙げている。 同工業会では、構造的な上下関係の意識を助長しているのが、「下請け」という言葉であり、「この言葉が長年、何の疑問もなく使われ続けてきた結果、発注者と受注者の間に無意識の差別意識が生まれてしまっている。」としたうえで、発注者・受注者は、上と下の関係ではなく、対等な「パートナー」であるという認識の必要性を強く訴えている。 同工業会では、「今後は、〝パートナー〟〝パートナーシップ〟といった言葉の使用を推奨し、すでに日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会は連名で〝パートナーシップ構築宣言〟の推進を進めており、私たちもこれに倣うべきと考えている。〝下請代金支払遅延等防止法〟が〝パートナーシップ代金支払遅延等防止法〟と名称変更される未来が訪れたら、それは業界にとっても社会にとっても大きな一歩となるはずだ。」としており、業界全体の意識改革として、理解と協力を広く呼びかけている。 

フジムラ製作所 JIS Q 9100(航空宇宙・防衛産業向け品質マネジメントシステム)認証取得

写真左:本社工場  右:第五工場

 

 国内最先端の「デジタル板金」を進める、フジムラ製作所(社長=藤村智広氏、本社:埼玉県川口市領家)は、このほど「航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステム国際規格」である、JIS Q 9100 認証を取得したと発表した。

 取得したのは本社工場ならびに第五工場となり、登録された活動範囲は「半導体関連機器部品の精密板金加工、レーザー加工ならびに溶接加工」となる。

 JIS Q 9100 は、航空宇宙・防衛産業において製品・サービスの安全性を確保し、信頼性を向上させるためのマネジメントシステム規格であり、米国のAS 9100 や欧州のEN 9100 と技術的に同等であり、世界の航空宇宙・防衛産業でグローバルな部品調達基準として国際的に認められている。

 今回の認証取得により、同社ではこれまで培ってきたデジタル板金の高い技術と独自のシステムを活かして、さらなる品質の向上に努めながら航空宇宙産業に向けた板金加工製品の積極的な展開を進めていく方針。
 

ENEOSと三菱ケミカル プラスチック油化の開始に向けてケミカルリサイクル設備を竣工

プラスチック油化事業のサプライチェーン概念図

 

 ENEOSと三菱ケミカルは、2021年7月より三菱ケミカル茨城事業所(茨城県神栖市)においてプラスチック油化事業開始に向けて建設を進めていたケミカルリサイクル設備が完成し、2025年7月2日(水)に竣工式を開催した。

 同設備では、外部から調達した使用済みプラスチックを、英国のMura Technology社の超臨界水熱分解技術によって化学的に分解する油化処理を行うもので、製造されたリサイクル生成油は、両社の既存設備である石油精製装置およびナフサクラッカーの原料として使用され、石油製品や各種化学品・プラスチックへと再製品化されることにより、サーキュラーエコノミーを実現する。

 また、同設備は持続可能な製品の国際的な認証制度のひとつであるISCC PLUS認証の取得を予定しており、このリサイクル生成油を原料とする環境価値を付与した各種製品の提供が可能となる。
 

(株)田島軽金属 社名を(株)TACへ

新ロゴ

 

 アルミ鋳物製造を行う(株)田島軽金属(社長=田島正明氏、本社:埼玉県羽生市)は、7月1日付けで社名を(株)TAC(ティーエーシー)に改称した。なお、住所・電話番号・FAX番号・URLは変更なし。

 変更日: 2025年7月1日
 旧社名: 株式会社 田島軽金属
 新社名: 株式会社 TAC (読み方 ティーエーシー)

 

日立建機ザンビア、再生工場の拡張式典を開催

日立建機ザンビア 再生工場全景

 

 日立建機ザンビア(本社:ザンビア共和国ルサカ、社長=齋藤伸彦氏)は、6月5日、再生工場の拡張に伴い記念式典を開催した。記念式典にはザンビア共和国(以下、ザンビア)のハカインデ・ヒチレマ大統領をはじめ、政府関係者、顧客、パートナー企業など約200名を超える来賓が出席した。

 ザンビアは銅やコバルトなどの豊富な鉱物資源に恵まれており、これらの資源採掘が盛んに行われている。資源開発の進展により、今後も鉱山機械の需要の増加が見込まれる。

日立建機から記念品の贈呈(左からザンビア共和国 ハカインデ・ヒチレマ大統領、日立建機ザンビア 齋藤社長、日立建機 福西 常務 マイニングビジネスユニット長)


 日立建機ザンビアは、ザンビア最大の大規模銅鉱山をはじめとする鉱山会社の顧客向けに、鉱山機械および建設機械のアフターサービスやコンポーネントなどの再生事業を行っている。また、官民連携プロジェクトへの参画を通じて、ザンビアでの建設機械オペレーターの育成に積極的に取り組んでおり、さらに、顧客の鉱山現場でのフル電動ダンプトラックの実証試験も継続的に行うことで技術革新も推進している。

 再生工場の拡張は、2016年以来今回が2回目となる。今回は従来の敷地面積と同規模の20,000㎡の敷地を新たに確保し、再生部品の保管倉庫とエンジン再生ワークショップを新設した。ザンビアやザンビア周辺国の顧客の大型受注により、機械の稼働台数がさらに増加する見込みに伴い、機械の保守・メンテナンスや再生部品のニーズの高まりにも対応していく方針。
 

コマツ Komtraxから取得する建機位置情報を大規模災害時に提供開始

 コマツはこのほど、日本国内で大規模災害が発生した際に、Komtraxから取得している建機の位置情報を、日本建設機械施工協会(JCMA)を通じて国土交通省に提供する取り組みを始めたと発表した。 国土交通省は災害協定に基づき、災害発生時に出動可能な建機の台数や機種、保管場所などの情報を建設会社やレンタル会社から収集している。今回新たに始まった取り組みは、コマツをはじめとする建機メーカーが自社システムを通じて取得した建機の位置情報などを提供するもので、国土交通省は災害現場近辺にある建機の位置などを正確に把握することで、被災現場の早期復旧や被害拡大防止につなげる。 対象は、被災地を中心とする約100キロメートル四方のエリアに位置し、所有者である建設会社が本制度への参加を同意した建機。コマツは建機の緯度・経度、機種・型式、標準バケット容量、データの取得日時などを24時間ごとに集約・更新し、7日間にわたり無償で提供する。 

日本機械工具工業会 新会長に住友電気工業 佐橋稔之常務を選任 第11回定時総会並びに創立10周年記念式典を開く

 

 日本機械工具工業会が去る6月3日、東京マリオットホテル(東京都品川区北品川)とオンライン併用で第11回定時総会並びに創立10周年記念式典を開催し、新会長に佐橋稔之氏(住友電気工業常務取締役アドバンスドマテリアル事業本部長)を選任した。また、小原和生氏(三菱マテリアル 執行役常務加工事業カンパニープレジデント)と、田野井優美氏(田野井製作所代表取締役社長)が新たに副会長に就任した。

 10周年特別記念講演では、東京電機大学 工学部機械工学科 松村 隆教授が「切削加工技術の変遷とこれからの高度化技術」をテーマに講演し、聴講者は熱心にメモを取る様子が見られた。

 2025年度『生悦住賞』『新庄(陰徳の士)賞』各受賞者の表彰が行われたあと、報告事項として、総務委員会、技術委員会、環境委員会、国際委員会からそれぞれ報告があった。また、事務局から「2025年度機械工具当初生産見通し」について説明があった。

 それによると正会員へ実施したアンケート「機械工具観測調査」DI値によると、全体業況は、2024年度末に比べ上期は良くなる回答が多く、機械工具の生産額も増加予測で内需・外需ともに先行きは良化すると見られている。業種別では航空機関連向けが増加傾向、外需地域別ではアジア向けた比較的増加する見方が多い結果となった。また、半導体関連は回復基調だが、工具需要の回復は下期になること、中国の輸出規制、長期化する国際紛争と米国関税問題などを考慮すると経済環境の完全回復は2026年度下期以降になると予測する回答が多くを占めた。

 2025年度当初生産額見通しについては、2024年度下期の生産額は前年同期を上回り、対前年度比103.9%の2,399億円となり2024年度実績は前年度比101.7%の4,720億円となった。今回調査した2025年度見通し調査結果と観測調査のDI値とは必ずしも相関しないが、正会員へ調査依頼した生産種目ごとの対前年同期比見通し集計(生産額見通しの増減やコメント)をもとに、機械関連業界の傾向や観測調査の意向も踏まえた結果、2025年当初生産額見通しは前年度実績を上回る、前年同期比102.5%の484,000百万円とした。

2025年度生悦住賞

 

 生悦住賞は、1978年に生悦住貞太郎ダイジェット工業会長が傘寿を迎えたことを機に、超硬工具協会(現日本機械工具工業会)が同年に創立30周年に当たることを記念して協会に多額の寄付をし、この有効活用を目的として「生悦住基金」が設けられ、①会員で草の根的に功労のあった人、②会員内外を問わず業界発展に貢献された人、を表彰するために設定された表彰制度である。

小谷二郎氏 (元 三菱マテリアル)
〈略歴〉
 2016年11月~2023年6月 総務委員
 2017年 2月~2023年6月 国際委員
 2019年 6月~2021年6月 国際委員長
 2021年 5月~2023年6月 総務委員長

〈功績の概要〉
 小谷氏は、2019年からの2年間、国際委員長として活躍。EMO2019(欧州工作機械見本市)ではJTAブース出展や会員による視察ツアーを行った。翌年からの新型コロナ感染症拡大の影響で委員会活動も厳しい舵取りを強いられたが、先を見据え会員企業の海外進出支援企画を継続させた。

 2021年からの2年間は総務委員長に就任。ウィズコロナとなった社会を認識しWEB併用によるハイブリッド会合開催を常時実施。工業会事業の要となる会員統計では、AWSクラウドを利用した統計システムの運用開始を実現することで、プログラムによる自動集計と会員各社がいつでも統計データを取り込めるJTAデーターベースを国からの補助金でほぼ完成させた。また、2022年10月には任意団体だった同工業会を「一般社団法人日本機械工業会」として法人登記を完了し、世の中において機械工具業界の存在を確かなものとした。

2025年度新庄賞受賞者

新庄賞は新庄鷹義氏が55年在任された冨士ダイス(株)社長職から会長職へ昇格し、併せて米寿の慶事にあたる年に、同氏から多額の寄付をもとに新庄基金が設けられた。需要資格者は、会員企業(正会員)の〝陰徳の士〟的立場にある人(一般には目立たないながら、会社にとって非常に有用なことを実践している人、パート従業員、派遣社員、ボランティアを含む)で、所属企業からの推薦を受け表彰する制度である。

・柿谷幸弘(エフ・ピー・ツール)
・小沢幸夫(MMCリョウテック)
・松井広行(オーエスジー)
・大曽根克枝(田野井製作所)
・塚原正企(富士精工)
・澤田 清(瑞穂工業)
・吉村 彰(MOLDINO)
・我妻弘志(彌満和製作所)

「団結力が重要」

佐橋新会長

 懇親パーティであいさつに立った佐橋会長は、製造業のトレンドでもあるデジタル化について触れ、「デジタル化については、世界の切削工具業界にも負けないようわれわれも進んで行きたい。非常に厳しい環境の中だが、重要なのは団結力だと思っている。この懇親会もお疲れさま会ではなく、皆の親睦をさらに深める場としてしっかりと活用し、この景気の波に負けないよう邁進してまいりたいと思っている。」と意気込みを示した。

 

経済産業省 須賀 産業機械科長

 続いて、来賓を代表して経済産業省製造産業局の須賀千鶴 産業機械課長が、「日本経済はアメリカによる関税措置などの影響を受け、世界経済の先行き、大変不安定になっているが、経産省では、4月に米国完全対策本部を立ち上げ、全国にて対応ができるように、すでに全国1000カ所以上に特別相談窓口開設した。我が国産業や雇用を守り切るために必要となる支援については全力を尽くし、躊躇なくしっかりと対策を講じていく。」とあいさつをした。

 乾杯は、日本機械工具工業会初の女性役員である田野井副会長が行った。この中で田野井副会長は、「乾杯を調べてみたところ、〝いやさか〟という言葉が出てきた。ますます栄えるようにという素晴らしい意味が込められている。」と述べ、元気よく「いやさか」の発声で開宴した。円もたけなわの頃、散会した。