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日本ロボット工業会 2023年暦年 マニピュレータ ロボット統計 受注・生産・出荷実績まとまる
ロボット工業会がこのほどまとめた2023年暦年のマニピュレータ ロボット統計 受注・生産・出荷実績は次のとおり。■業況2023年は、世界経済の先行き不透明感が高まる中、中国の市況悪化などからロボットの需要環境は年間を通して低調となった。会員と非会員を含めた年間受注額は、対前年比24.1%減の8,434億円、生産額は同12.7%減の8,916億円と、それぞれ前年を大幅に下回った。国内外向けで半導体用に減少がみられたほか、輸出ではロボット需要を強くけん引してきた電子部品実装用が中国向けを中心に減少するとともに、溶接用は欧米向けで減少した。受注・生産・出荷の各状況は以下の通り。■受注・受注台数(台) : 198,864(前年同期比▲33.5%) 【4年ぶりの減少】・受注額(億円) : 8,434(同▲24.1%) 【4年ぶりの減少】■生産・生産台数(台) : 220,581(前年同期比▲21.2%) 【4年ぶりの減少】・生産額(億円) : 8,916(同▲12.7%) 【3年ぶりの減少】■出荷・総出荷台数(台) : 227,376(前年同期比▲19.6%) 【3年ぶりの減少】・総出荷額(億円) : 9,226(同▲12.2%) 【3年ぶりの減少】 ―国内出荷台数(台): 48,268(同▲7.9%) 【3年ぶりの減少】 ―国内出荷額(億円): 2,225(同▲4.7%) 【3年ぶりの減少】 ―輸出台数(台) : 179,108(同▲22.3%) 【4年ぶりの減少】 ―輸出額(億円) : 7,001(同▲14.3%) 【4年ぶりの減少】■国内出荷内訳[業種別]電機機械産業向け・国内出荷台数(台) : 17,017(前年同期比▲17.8%) 【3年ぶりの減少】・国内出荷額(億円) : 824(同▲13.7%) 【3年ぶりの減少】[業種別]自動車産業向け・国内出荷台数(台) : 17,017(前年同期比▲17.8%) 【3年ぶりの減少】・国内出荷額(億円) : 824(同▲13.7%) 【3年ぶりの減少】■輸出内訳[用途別]電子部品実装用・輸出台数(台): 11,338(前年同期比▲29.2%) 【2年連続の減少】・輸出額(億円): 1,860(同▲25.7%) 【2年連続の減少】[用途別]溶接用・輸出台数(台): 37,400(前年同期比▲7.0%) 【4年ぶりの減少】・輸出額(億円): 940(同▲0.7%) 【3年ぶりの減少】
2024年見通し
2024年は、世界経済を覆う諸リスクが憂慮され、依然として設備投資環境に調整局面が見られるものの、世界的な自動化要求はなお高い水準にあると見込まれ、足元では一部用途中心に回復の兆しも見せていることなどから、ロボット受注額は対前年比2.0%増の8,600億円、生産額は3.5%減の同じく8,600億円を見通している。
「WCTC2024」牧野フライス精機 清水社長がスポンサースピーチで登壇 ~多くの機能の発明に注力~
工具研削盤は切削工具製造において欠かせないマシンのひとつだが、大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)で開催された「世界切削工具会議(WCTC)2024」2日目の5月22日に、スポンサースピーチとして牧野フライス精機の清水大介社長が登壇した。なお、清水社長は2013年に京都で開催されたWCTCでも講演を行っている。この10年間に、同社が注力してきた技術開発について英語で話をし、会場を盛り上げた。
1965年創業の牧野フライス精機は来年で60周年を迎える。国内には3拠点、海外市場は主にアジアで事業展開している世界最高水準の工具研削盤メーカーだ。創業後はオリジナルの工具研削盤の開発に着手し、1982年に世界初の10軸CNC工具研削盤を開発している。1983年には日本初の5軸CNC工具研削盤を発表し、2009年には画期的なマシン『AGE30』をリリース。このマシンは発売後すぐにベストセラーとなり、現在はビッグマイナーチェンジモデル『AGE30FX』をラインナップしている。
WCTCでは最新技術開発の一部を紹介した。同社の製品ラインナップの幅は幅広く、作業対象物の種類に応じて7種類のシングルチャックマシンを用意し、0.03ミリメートルから25ミリメートルまで研削ができるうえ、特殊用途のマシンも取り揃えている。ほとんどの工具研削盤メーカーがすでに生産中止をしているものも用意できる強みもある。同社は計測分やでは特にZOLLERと日本市場でパートナー提携をしており、ZOLLER社製の工具測定機や工具プリセッターマシンを販売している。
昨年10月にリリースされた最新のマシンであるマイクロ工具研削盤『DB1』について説明があった。このマシンは直線軸が4軸あり、回転軸が2つある。注目したいのは同社史上初リニアモーターをX軸とY軸に採用していることだ。ワークヘッドスピンドルを中心に様々な先進技術を搭載している。ダイレクトドライブモーターを採用することでバックラッシの影響を排除していることに加え、正確なインデキシングも実現している。
ランアウト精度と再現性に優れ、マイクロツールのシャンクサポートに対応するオリジナルアダプター『Neoflat』とコレット『D2』に加え、フルートサポートも取り付けることができると優位性を説明した。
非常に便利なシステムのひとつ、取り外し可能なカメラシステム『easy checker』についても説明があった。このカメラシステムを搭載することで、セットアップ操作をより簡単に便利にすることが可能になる。清水社長はスライドを見せながら、「作業員やオペレーター内部の砥石やワーク状態、形状をチェックすることができる。このシステムはフルートサポート位置を調整するのに非常に便利である。」と強調した。また加工デモについても画像を流して説明し、数々の〝牧野フライス精機ならではのテクノロジー〟を説明した。
この日の昼食会場では、スポンサー企業がブースを展開しており、同社も出展。世界から参加した切削工具メーカーから注目を集め、清水社長はさらなる質問を受けており、丁寧に説明をしていた。
日本金型工業会東部支部 「第12回定時総会」開く
日本金型工業会東部支部(支部長=鈴木教義 鈴木社長)が、5月17日、「第12回定時総会」を上野精養軒(東京都台東区上野公園)で開いた。
第1号議案「令和5年度事業報告の件」、第2号議案「令和5年度決算報告の件と同監査報告の件」、第3号議案「役員改選(案)の件」、第4号議案「令和6年度事業計画(案)の件」、第5号議案「令和6年度収支予算(案)の件」が上程され、それぞれ可決された。
総会終了後、日本電動化研究所 和田憲一郎社長を講師に迎え、「世界のEV車開発動向とe-Mobility新時代到来によるモノづくりの大変革」をテーマに特別講演会が行われたあと、懇親会が開かれた。
懇親会であいさつに立った鈴木東部支部長は、「金型産業は今後かなり機械化が進むが、最後の匠の技術は残ると感じている。最後は人間の点美かかって金型を作り上げるのがものづくりとして大切な分野になるのではないかと思っている。今後も前向きな姿勢で皆様と交流をさせていただきたい。現在、経済動向は厳しい状況であり、この先の見通しが立てづらい中でも、変化はチャンスだと思う。皆様のご活躍を祈念したい。」と声援を送った。
来賓を代表して、経済産業省製造産業局素形材産業室の星野昌志室長があいさつをした。この中で星野室長は、「新年のあいさつで私たちは金型業界をともに元気にしていきたいということを強調した。賃上げと取引の適正化や、省人化への投資と人材育成の確保、エネルギー、環境、物流問題、デジタル化への対応、こうした課題解決が必要と思っている。日本のものづくりの競争力を維持することが大切であり、私たち自身が世の中の変化に対応できることを自ら情報発信していくこともとても大切だと思う。」と述べた。
乾杯の発声を宮崎正太郎 牧野フライス製作所社長が行った。和やかな雰囲気の中、散会した。
三菱マテリアル 加工事業カンパニー 事業変革を推進するチーフ・ストラテジー・オフィサーを採用
三菱マテリアル 加工事業カンパニー(カンパニープレジデント=小原和生氏)は、このほどミルコ・メルロ氏(Mirko Merlo 以下「メルロ氏」)をチーフ・ストラテジー・オフィサーとして採用した。
メルロ氏は、多岐にわたる産業基盤での豊富な経験と、切削工具分野における高度な専門知識を持ち、世界有数の超硬工具メーカーで、マルチファンクショナルな経営幹部として成功を収めてきた。同社カンパニープレジデント直轄として、事業戦略部門と営業部門を統率し、グローバル市場で新たなビジネスチャンスを創出しながら、戦略的・業務的な変革を通じて、より顧客中心のアプローチに向けた会社の進化を支援する。
メルロ氏は、「社会的、環境的、経済的に厳しい時代において、企業は最新のトレンドに対応した優れた顧客価値を提供しなければなりません。これらの課題に対応するためには、変革が必要です。」とコメントしている。
小原カンパニープレジデントは、「技術の進歩、デジタル化、持続可能性は、国際的なビジネスを成功させる上で重要な役割を果たします。メルロ氏の現実的で実践的なビジネス・アプローチは、当社を真のグローバルビジネス企業へと変貌させ、世界の金属加工業界におけるリーダーとしての地位を確立するのに役立つでしょう。」と期待を込めている。
三菱マテリアル スペイン バレンシア超硬工具工場の拡張完工 ~欧州における切削工具インサート生産能力を増強~
三菱マテリアルはスペインバレンシアにある工場の拡張工事を進めていたが、当初の予定通り、拡張を完工し、5月から稼働を開始した。この拡張完工により、スペイン バレンシア工場におけるインサートの生産能力は従来の2~5倍に増強する。
スペイン、バレンシアにある超硬工具製造工場は、同社の連結子会社であるスペイン三菱マテリアル社が運営する、同社における欧州で唯一の製造拠点。欧州の自動車や航空機メーカーなどへ、ドリル、エンドミルおよびインサートを提供している。
欧州市場は規模が大きく、今後も航空機市場や東欧などで需要の伸びが見込まれることから、生産能力増強を進めていた。消費者に近い製造拠点から出荷することで、サプライチェーンを最適化するとともにBCP対応強化も図る。
なお、拡張したインサート工場では、今後プレス機、研削加工機および検査のオートメーション化を進めた最新の設備を導入していく予定。最新の技術を活かし製造現場の改善に努めながら生産能力の向上を目指す。
同社グループは「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを私たちの目指す姿と定めており、目指す姿の実現に向け、資源循環の拡大、高機能素材・製品供給の強化を進めていく方針。
ダイジェット工業 「エアロチッパーミニ」にボアタイプを新規ラインナップ!
ダイジェット工業は、このほど好評を博しているアルミ加工用刃先交換工具「エアロチッパーミニ」に、より多刃仕様のボアタイプ(AMX形)を追加発売した。これによりさらなる加工の高能率化を図る。アルミニウム合金の平面加工、ポケット加工、肩削り、溝削り、曲面加工、ヘリカル加工、座ぐり加工に威力を発揮する。
〈特長〉
① 従来品エアロチッパー(ALX/MAL形)に比べ、小型インサート採用で、小径多刃仕様とすることで、さらなる高速高能率な加工を可能とした。
② 全周研削による高精度な3次元ブレーカ形状のインサートにより切削抵抗を低減し、高能率加工を可能とした。
③ 高精度な本体設計で刃先精度に優れ、優れた立て壁加工精度と正面加工精度が得られる。
■サイズ
Φ40、Φ50、 Φ63(全3形番)
■標準価格
25,900円~56,000円(税抜き)
【注目の技術】故障の予兆を早期発見し、ダウンタイムを大幅に短縮するヘルスモニタリングサービス「WALC CARE」
DMG森精機は、グループ会社のWALCが提供する、工作機械の予知保全を行うヘルスモニタリングサービス「WALC CARE(ウォルク ケア)」を工作機械に搭載することで、機械故障時のダウンタイムの最小化を実現している。
WALCは2022年に設立され、AI・IoT・クラウドコンピューティングを中心とした先端技術を用いて、製造業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するソフトウェアサービスを開発・提供している。同社では顧客の生産性向上を通して、サステナブルな社会を実現するために、マシニング・トランスフォーメーション(MX)を推奨している。
MXにおいては、工程集約・自動化を通してグリーン・トランスフォーメーション(GX)を実現し、その一連の工程をDXすることが非常に重要として捉え、今回開発したWALC CAREは、主軸や送り軸の異常予知診断を定期的に行い、レポートする機能により、 故障の早期発見や予知保全を行い、機械のダウンタイムを短縮することが可能となった。
同社の設備機の事例では、定期的な診断をすることにより、作業者が異常に気づく5ヵ月以上前に、ボールねじのサポートベアリングの異常を検出した。ベアリングの不具合がボールねじの故障の原因となる場合もあるが早期発見の結果、最適な部品交換によりコスト削減が可能になった。また、既存の工作機械への搭載も1時間以内に完了するため、既存の設備でもすぐに利用できる。
WALC CAREを活用することで保全作業をDXすることができ、工作機械を正常な状態でより長く使用できるため、顧客の生産性向上やサステナブルな社会の実現をサポートする。
主な特長
(1)主軸・送り軸の異常予知診断
●簡単な診断で機械の状況を把握し、故障の予兆を早期発見
・WALC CAREは作業者が異常に気付く5ヵ月以上前の予兆を検出可能で早期発見および予知保全によりダウンタイムを短縮。
●収集したデータに基づき正確な診断を実施
・WALCクラウドにデータを収集し、診断結果の膨大なデータをもとに機械の異常を検知。出荷前の機械データと比較した診断も可能。
●Webアプリケーションにて診断結果を確認
・故障発生前後の状況を比較できるため、生産プロセスの改善に貢献
・定期的な診断結果レポートにより、故障の予兆を確認
(2)導入作業も簡単
●WALC CARE KITを既存の工作機械に取り付けるだけなので、1時間以内にセッティングが完了。
●お客様はプログラムを実行するだけで機械の状況を診断可能、診断用プログラムは同社から提供。
●シーメンスNC、ファナックNC搭載機であれば他社製の工作機械にも対応可能。
(搭載可能機種:2024年5月現在)
工作機械技術振興財団「第45次工作機械技術振興賞および試験研究助成」の対象を選定
工作機械技術振興財団(理事長=安達俊雄氏)は、5月21日、第45次工作機械技術振興賞と試験研究助成の対象を選定した。
同財団は、工作機械関連技術の向上促進を目的に、牧野フライス製作所創業者故・牧野常造の私財を基金として、1979年に設立されたもので、今回は、工作機械技術振興賞・論文賞3件、同・奨励賞6件ならびに試験研究助成10件を選定した。
その他、同財団では、海外国際会議の参加・開催支援も行っており、2024年6月期は7件の助成を行っている。今回の選定を含め、贈賞・助成は累計1,155件(2,995名)、総額11億9,471万円となる。
同財団では6月18日に贈賞式を第一ホテル東京(東京都港区)で開催し、各賞の授与ならびに工作機械技術振興賞・論文賞を受賞した高野昌宏氏(石川県工業試験場主任研究員)および村上洋氏(北九州市立大学教授)による講演を予定している。
マザック財団 「2023事業年度 研究助成・優秀論文表彰・国際会議助成」を発表
マザック財団(理事長=棚橋祐治氏)は、2023事業年度(2023年4月~2024年3月)の研究助成・優秀論文表彰・国際会議助成の対象が決定したことを発表し、5月22日に表彰式を行った。
2023事業年度 研究助成/優秀論文表彰/国際会議助成の内容
2023年9月1日~11月30日の募集期間に大学や研究機関などからの応募を受付け、審査を経て研究助成23件、優秀論文表彰17件、国際会議助成2件の計42件を選定した。
(1) 研究助成
申請総数50 件の中から23 件を研究助成対象に選定した。
■代表例:名古屋大学 助教 李 炅耆(イ キョンキ)
【研究テーマ】
『サーボ情報による工具-工作物間接触検知を利用した工作機械の幾何誤差同定方法の
提案』
【内容】
工作機械での加工高精度化のための幾何誤差の同定には、ミクロン単位の位置を測定する必要があり、現状では高価な測定器具や装置が必要である。そこで、工具-工作物間の接触検知技術に着目し、工具が工作物に接触する瞬間の機械サーボ情報より接触位置を推定することで、機械位置を高精度に測定する手法を研究する。さらに、それにより得られた複数の機械位置情報から工作機械の幾何誤差を高精度に同定する手法につなげていく。
(2)優秀論文表彰
応募総数24 件の中から17 件を優秀論文表彰に選定した。
■代表例:名古屋大学 准教授 早坂 健宏(ハヤサカ タケヒロ)
【論文のテーマ】
『超多刃エンドミルと高速高出力工作機械を用いた新しいびびりレスミリング戦略の提案』
【内容】
超多刃エンドミルと高速高出力主軸を有する工作機械を利用した新しいびびり振動抑制方法を提案している。具体的には、安定限界線図の無限安定領域を利用した加工方法である。刃数の多い工具ほど無限安定領域がより低い回転速度に移動することを利用し、超多刃である20枚刃のエンドミルを想定して、計算および実験により無限安定領域が23,300min-1 以上となることを求めた。そして、20枚刃の超多刃エンドミルを高速高出力主軸を搭載している5 軸加工機に取り付け、航空機部品を想定しA7075に対する切削実験を行い、軸方向切込み110mm、径方向切込み2mm、送り速度13200mm/min、回転速度33000min-1 において、びびり振動を起こさずに加工能率2904cc/min の高能率な加工を実現した。
(3)国際会議助成
2件の申請の中から2件を国際会議助成対象に選定した。