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高硬度材加工用「シグマドリル・ハード DH コート」を新発売 ダイジェット工業
ダイジェット工業はこのほど「シグマドリル・ハード」の一部アイテムをリニューアルし、
新コーティング「DH1」コートを採用した「シグマドリル・ハード DH コート」(DHS/DHL 形)として販売を開始した。
この製品は、70HRC の穴あけ加工が可能な高硬度材加工用ソリッドドリル「シグマドリル・ ハード」に、新コーティング「DH1」コートを採用しリニューアルしたもので、耐熱性・ 耐摩耗性を向上させ、さらなる加工能率と加工寿命向上を図った。高硬度材の穴あけ加工用(70HRCまで対応)。
特長は以下の通り。
① 耐高温酸化性・耐衝撃性および密着性に優れた高硬度材用新コーティン グ被膜「DH1」コートおよび高靭性の超微粒子合金母材の採用により、 耐熱性・耐摩耗性に優れ長寿命化を実現。70HRCの高硬度材でも安定した穴あけ加工が可能。
② 心厚が一般超硬ドリルの1.6倍以上でドリルの曲げ剛性・ねじれ剛性が高い。
③ ねじれ角15°および外周肩部にコーナ Rを設け耐チッピング性を向上、高硬度材に適したシンニング形状により切りくず排出性を向上した。
サイズ・価格
レギュラタイプ:φ2~φ12(全 45 形番)
ロングシャンクタイプ:φ3~φ4(全 4 形番)
標準価格:5,470 円~18,900 円(税抜き)
【告知】三菱マテリアル 「DIAEDGEソリューションDAY」開催 ~切削加工の総合ソリューション展~
三菱マテリアルは、2月15日(土)、さいたま市の同社東日本テクニカルセンターにて「DIAEDGEソリューションDAY」と銘打った技術ソリューション展を開催する。好評を博した今年6月の中部テクニカルセンターでのイベントに引き続き、東日本の顧客にも切削加工に関する総合的な切削加工技術ソリューションを紹介するのが狙い。
見どころは、シミュレーション技術を活用したDIAEDGE新製品の切削工具デモンストレーション、最新鋭フル5軸マシニングセンタと工具デジタルデータベースの連携活用事例の紹介の他、パートナー企業や大学、による各種技術セミナーの開催など聴きどころも豊富。切削加工に役立つ情報を多数ご用意している。
会場
三菱マテリアル㈱東日本テクニカルセンター
埼玉県さいたま市大宮区北袋町1-600
イベント情報URL
http://carbide.mmc.co.jp/
〈2020年 年頭所感〉「新しいデジタル社会の構築に貢献」日本機械工業連合会 会長 大宮英明
皆様、新年明けましておめでとうございます。年頭に当たり、平素より日本機械工業連合会にお寄せ頂いております皆様方の温かいご支援とご協力に対し、改めて深く御礼申し上げます。本年は、いよいよ東京でオリンピック・パラリンピックが開催されますが、日本にとって大きな節目となる明るい年となることを祈念したいと思います。
また、本年は「子年(ねどし)」にあたり、再び新しい十二支のサイクルがスタートする年でもあります。「子年(ねどし)」はネズミ年に当たるわけですが、十干十二支(じっかんじゅうにし)の組み合わせでは、「庚子(かのえ・ね)」となります。「庚子(かのえ・ね)」は、相手を強める影響をもたらすという意味合いを持ちます。事業や環境、そして健康など、それぞれが相互に影響をもたらし合うなかで、予測できないものから活路を見いだせることもある年とされています。本年は変化の年、新たな生命が芽吹く年でもあるとのことで、全く新しいことにチャレンジするのに適した年とも言えるそうです。機械産業にとって、また皆様にとって本年が変化と進展の年となることを期待したいと思います。
機械工業生産は、概ね底堅い回復を続けているものの、景気全般に先行き不透明感があり、輸出を中心にやや弱含んでおります。国内では、省力化・自動化ニーズが設備投資を下支えし、交通・物流等の社会インフラ整備、五輪関連工事等の投資が拡大しております。他方、海外情勢不安に伴う調達コストが増加しており、また、人件費の上昇や人手不足も依然深刻であるなど、多くの課題を抱えております。
一方、海外では米国の景気が着実に回復しているものの、欧州ユーロ圏では景気の回復は弱く、中国は緩やかな減速が続いております。今後、国内では、消費税増税の影響、海外では、米中の貿易問題の行方や中国経済の動向、イラン等を巡る中東情勢の緊迫化、Brexitの動向等の下振れリスクを注視していく必要があります。
こうした経済環境下、日機連が昨年12月にとりまとめた2019年度の機械工業生産額は、全体では前年度比0.7%減の75兆9150億円と、残念ながら、2018年度の数字を越えることができない模様です。他方で、昨年の初めから日EU FTA、TPP11が発効し、また日米貿易協定、日米デジタル合意が今年1月から発効するなど明るい環境変化も生まれています。政府のイノベーション促進や5G普及のための政策措置も明るい材料です。変化の年にあたり、本年の機械産業の躍進を期待したいと思います。このような状況のなか、昨年からの日機連の活動についてご紹介いたします。
我が国製造業成長の基礎には、自由貿易と開かれたグローバル・バリューチェーンがありますが、昨今、米中対立や日韓関係、英国のEU離脱など、企業経営に直結する多くの難題が顕在化しています。グローバルなバリューチェーンの変化について、より一層アンテナを高くし、機械工業界としての対応、対策をとるべく、日機連は、昨年、製造業グローバル・バリューチェーン検討部会を立ち上げました。
この検討部会では、製造業を取り巻く環境変化に即した旬なテーマについて、適切な講師と意見交換を行い、機微な内容にも対応すべく、議論を開始しているところです。昨年は付加価値貿易、輸出管理の最新動向・運用の見直しなどを議論し、会員企業にとって事業運営に重要な情報の入手に努めているところであり、今後も活動を強化してまいります。
次に税制改正についての取組みについてご紹介いたします。税制に関しては、機械業界
の要望内容の策定とその実現に向けた要望を中心に活動を行っております。令和2年度の税制改正については、設備投資の促進に向けた税制の創設・整備、連結納税制度改正等、事業環境の変化に対応した納税制度の見直し、新たな国際課税制度への対応、研究開発税制の拡充等の重点要望をとりまとめ、経済産業省、関係機関等に提出、要望いたしました。また、製造業関連8団体連名にて「更なる成長のための基盤整備に向けた令和2年度 税制改正共同要望」を策定し、要望項目の実現に向けて、共同で陳情活動を展開しました。その結果として、令和2年度の税制改正においては、連結納税制度の改正、イノベーション促進税制、消費税の納税手続期間延長等意味のある成果を実現することができました。
次に表彰関連について紹介いたします。日機連は2つの表彰事業を行っております。一つが 「ロボット大賞」です。次回は9回目となり、今年の10月に表彰式を予定しています。もう一つが「優秀省エネ機器等表彰」です。我が国唯一の産業機械の省エネ表彰であり、我が国の省エネの推進に貢献して参りました。昨年は制度見直しのため募集を一時中断しておりましたが、本年度は新たにCO2の排出抑制という表彰分野を加えて、再スタートを切ります。是非両表彰事業に興味を持っていただき、応募いただければと存じます。
RRIの活動支援も日機連の重要な業務です。成長戦略の一環として政府が策定した「ロボット新戦略」に基づき、「ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)」が2015年に発足しましたが、その後順調に活動を展開しており、現在、会員数は約520となり、発足時の226から倍増しております。日機連は、インダストリアルIoT及びロボティクス関連の取組みが機械産業全体にとっても重要な課題であるとの認識のもとで、これまでRRIを全面的に協力支援してきました。今年はRRI が発足して5 年を迎える節目の年となっており、2020 年度以降のRRI のアクションプランの検討、およびその実施体制等の準備も行っている最中であります。ロボット分野におきましては、経済産業省において「ロボットによる社会変革推進会議」が設立され、社会課題の解決につなげるために必要な今後の施策の方向性が示され、引き続きRRIが中心的な役割を担うことが明記されました。これを受けRRIとしては、ロボット分野では、施設管理、小売・飲食店、食品加工などの領域におけるロボット実証事業、また学校教育への産業界からの支援事業などに、新たに取り組んで行くことを検討しているところであります。特に、学校教育への支援事業については、昨年12月にRRIが事務局となることが決まりました。
IoT関連では、一昨年、IECに新設されたスマートマニュファクチャリング分野のシステム委員会における日本の幹事団体として、ドイツをはじめとした諸外国と連携して積極的に活動を行っているところです。また、ハノーヴァーメッセでは、昨年、一昨年とJapan Pavilion for Connected Industriesを出展し、昨年は新たに、5つの講演枠を確保し、標準化やセキュリティなど各テーマに関する講演や今後の情報共有や連携活動に向けたMoUを締結するなど精力的に活動しております。今年も同様に参加の予定です。
昨年12月には、東京で5回目の国際シンポジウムを開催し、ドイツ工学アカデミー(アカテック)のカガーマン会長をはじめとした内外の識者との連携を深めましたが、今年は10月開催の予定で準備を進めております。引き続き日機連はIoTの普及と我が国機械産業の競争力向上に向け、RRIを支援していく考えです。
日機連の最近の事業の一部を紹介いたしましたが、日機連は、引き続きRRIと一体となり、新しいデジタル社会の構築に日本の機械産業が貢献し、また更なる発展を実現できるよう努めて参る所存でございます。日機連、RRI共々、我が国機械産業発展のため、今後とも誠心誠意努力を続けて参りたく、本日ご参集の関係各位の引き続きの御指導、御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。最後になりましたが、皆様の一層のご健勝とご活躍を心から祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
2019年12月分工作機械受注総額は901.1億円 日工会
日本工作機械工業会がこのほどまとめた2019年12月分の受注実績は以下の通り。
2019年12月分工作機械受注総額は、901.1億円(前月比+10.3% 前年同月比△33.5%)となった。受注総額は、3カ月ぶりの900憶円超。1000憶円割れは5カ月連続。国内外とも依然弱含みの状況が継続。
内需は373.1億円(前月比△18.9% 前年同月比△34.7%)で、自動車は低調も、一般機械等で前月比増加し、3カ月ぶりの350億円超。12月としては2013年(367.2億円)依頼6年ぶりの400億円割れ。
外需は528.1億円(前月比+5.0% 前年同月比△32.6%)で、北米で前月比増加も、アジア、欧州で減少し、5カ月連続の550億円われ。12月としては2009年(425億円)以来10年ぶりの550億円割れ。
米中貿易摩擦により、内外需とも設備投資需要は弱含みの状況が続く。今後も通商問題や、中国経済の回復動向、地政学的リスク等を注視。
12月分内需
373.1億円(前月比△18.9% 前年同月比△34.7%)。
・3カ月ぶりの350億円超。12月の400億円割れは、2013年(367.2憶円)以来6年ぶり。
・前月比3カ月ぶり増加。前年同月比13カ月連続減少。
・国内需要は全般的に弱含み。とくに主要4業種では自動車のみ前月比減少と低調。
(出所:日本工作機械工業会)
12月分外需
528.1億円(前月比+5.0% 前年同月比△32.6%)
・5カ月連続の550億円割れ。12月の550憶円割れは2009年(425.9億円)以来10ねんぶり。
・前月比2カ月ぶり増加。前年同月比15カ月連続減少。
・北米は大型案件等で前月から増加したものの、アジア、欧州は低水準横ばい傾向。
(出所:日本工作機械工業会)
ロボット統計受注・生産・出荷実績(2019年10~12月期および年間)
ロボット工業会がこのほどまとめた2019年10~12月期および年間のロボット統計受注・生産・出荷実績は次のとおり。業況について 2019年は特に輸出において、米中貿易摩擦、地政学的リスクなどを起点とする投資先送りが継続された。年後半からは一部業種・用途で下げ止まりの傾向もみられ、今年に向けて底入れに期待がかかる部分をある程度残している。 10~12月期に目を向けると、受注額が対前年同月比0.3%の減少、生産額が同10.1%の減少。 比較的堅調を維持していた国内向け出荷は、主要産業・各用途向けで減少し、トータルとして5四半期ぶりの対前年同月比減少となった。9-10月の推移から、消費税増税によるある程度の下押しも考えられる。 輸出は引続き勢いなく、とくに主要用途である溶接用・ハンドリング用が低調。輸出先では中国に加え、とくに欧米向けで年間を通して勢いを欠く傾向となった。 年間としては受注額が対前年比14.4%減・生産額は同11.4%減と、ともに前年を大きく下回る結果となった。会員と非会員を含めた年間受注額は対前年比約14%減の8,240億円、生産額は同約14%減の7,800億円を見込む。 2019年10~12月期および年間(会員ベース)の受注・生産・出荷の各状況は以下の通り。受注〈10~12月期〉・受注台数(台) : 48,257(前年同期比+5.8%) 【6四半期ぶりの減少】 ・受注額(億円) : 1,642(同▲0.3%) 【5四半期連続の減少】〈年間〉・受注台数(台):180,012(前年比△18.5%)【7年ぶりの減少】・受注額(億円):6,683(同△14.4%)【7年ぶりの減少】生産〈10~12月期〉・生産台数(台) : 44,180(前年同期比▲10.6%) 【6四半期連続の減少】・生産額(億円) : 1,611(同▲10.1%) 【6四半期連続の減少】〈年間〉・生産台数(台):173,477(前年比△19.5%)【6年ぶりの減少】・生産額(億円):6,496(同11.4%)【6年ぶりの減少】出荷〈10~12月期〉・総出荷台数(台) : 43,911(前年同期比▲12.1%) 【6四半期連続の減少】・総出荷額(億円) : 1,605(同▲11.5%) 【4四半期連続の減少】・国内出荷台数(台): 10,133(同▲17.7%) 【3四半期連続の減少】・国内出荷額(億円): 475(同△6.0%) 【5四半期ぶりの減少】・輸出台数(台) : 33,778(同▲10.3%) 【6四半期連続の減少】・輸出額(億円) : 1,130(同▲13.6%) 【6四半期連続の減少】〈年間〉・総出荷台数(台) : 175,702(前年同期比▲18.3%) 【6年ぶりの減少】・総出荷額(億円) : 6,620(同▲11.1%) 【6年ぶりの減少】・国内出荷台数(台): 44,506(同▲5.0%) 【6年ぶりの減少】・国内出荷額(億円): 2,042(同+3.3%) 【6年連続の増加】・輸出台数(台) : 131,196(同▲22.1%) 【2年連続の減少】・輸出額(億円) : 4,578(同▲16.3%) 【6年ぶりの減少】国内出荷内訳〈10~12月期〉■電機機械産業向け・国内出荷台数(台) : 2,796(前年同期比▲13.4%) 【3四半期連続の減少】・国内出荷額(億円) : 139(同▲10.4%) 【2四半期ぶりの減少】■自動車産業向け・国内出荷台数(台) : 3,487(前年同期比▲17.1%) 【3四半期ぶりの減少】・国内出荷額(億円) : 152(同▲6.9%) 【5四半期ぶりの増加】〈年間〉■電機機械産業向け・国内出荷台数(台) : 11,544(前年同期比▲6.3%) 【3年ぶりの減少】・国内出荷額(億円) : 569(同▲5.9%) 【3年ぶりの減少】■自動車産業向け・国内出荷台数(台) : 16,471(前年同期比+1.2%) 【6年連続の増加】・国内出荷額(億円) : 708(同+8.2%) 【6年連続の増加】輸出内訳〈10~12月期〉■電子部品実装用・輸出台数(台): 2,934(前年同期比▲6.3%) 【4四半期連続の減少】・輸出額(億円): 477(同▲5.1%) 【4四半期連続の減少】■溶接用・輸出台数(台): 5,799(前年同期比▲30.4%) 【7四半期連続の減少】・輸出額(億円): 118(同▲46.3%) 【7四半期連続の減少】〈年間〉・輸出台数(台): 11,493(前年同期比▲14.9%) 【4年ぶりの減少】・輸出額(億円): 1,903(同▲11.6%) 【4年ぶりの減少】■溶接用・輸出台数(台): 26,163(前年同期比▲28.2%) 【2年連続の減少】・輸出額(億円): 598(同▲35.6%) 【2年連続の減少】
【年頭所感】経済産業省製造産業局 産業機械課/日本産業機械工業会/日本建設機械工業会
「企業を取り巻く競争環境は劇的に変化」
●経済産業省製造産業局 産業機械課 課長 玉井優子
令和2年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
日本経済は、アベノミクスの進展により、長期にわたる回復を持続させており、GDPは名目・実質ともに過去最大規模に達しています。また、雇用・所得環境も改善し、景況感の地域間のばらつきも小さくなっているなど、地方経済は厳しいながらも前向きな動きが生まれ始めています。他方、製造業を取り巻く環境は大きく変化しており、これに対する対応を進め、イノベーションを続けていく必要があります。
まずは、グローバル経済の変化への対応です。米中対立が顕在化し、保護主義的な動きが広がるなど、通商を巡る国際的な動向の中で、先行きの不透明さに対する懸念が広がっております。
これまで、日本は、TPP11や日EU・EPAを通じて、質の高い通商ルールを構築してまいりました。また、本年から、米国との日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定も発効します。これからも自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく国際経済体制を主導する役割を果たしていきたいと考えております。
また、デジタル経済への急激な進展への対応が不可欠です。AIやIoTといったデジタル技術の進化により、新たな製品・サービスやビジネスモデルが生まれ、競争領域が広がるなど、企業を取り巻く競争環境は劇的に変化しています。
第4次産業革命時代に、日本が勝ち残り、世界をリードしていくためには、様々な業種や企業、人、機械が、データを介してつながる「Connected Industries」によって、様々な社会課題を解決し、新しい価値を生み出す「Society5.0」を世界に先駆けて実現することが重要な鍵となります。
日本の強みはものづくりの現場にあると言われますが、その生産現場においてもデジタル技術の活用は不可欠です。これまでも、産業ロボットの導入や、工場内の見える化等により、世界最高レベルの生産性を誇っていますが、今後は、工場のみならず、開発設計段階と工場、工場と工場、工場と物流も含めた最適化が、競争領域になると考えております。「Connected Industries」の取組を、引き続き皆様と進めてまいりたいと思います。
さらに、少子高齢化に伴う中長期的な人手不足の問題の解決も必要です。特に製造業の現場では、熟練工など技術を持った人材の不足や、事業の後継者不足の問題が指摘されています。
デジタル技術の活用に加え、ロボットや新たな機械の導入は、こういった問題を解決する一つの方策です。ロボットそのものの研究開発やロボットフレンドリーなど、環境の構築に取り組むとともに、中小企業向けの導入補助事業も強化していきます。あらゆる現場へのロボット導入などをサポートする人材育成にも取り組んでまいります。
外国人材の活用にも取り組む必要があります。昨年4月に改正入管法が施行され、製造業では、産業機械製造業分野、素形材産業分野、電気・電子情報関連産業分野において、特定技能外国人の受入れが開始されました。本年は海外での試験も開始予定であり、受け入れの拡大に向けた環境整備にも取り組んでまいります。
サプライチェーン全体での競争力強化を図る上では、企業間の取引の適正化も重要な課題です。産業機械業界では、業種別の自主行動計画の策定や、型管理の問題への対応や、働き方改革に伴うしわ寄せ防止などに向けた取組を進めて頂いておりますが、サプライチェーン全体で付加価値を生み出せるよう、引き続き、幅広い業界の方々とともに議論を深めていきたいと考えております。
また、福島の復興は、経済産業省の最重要課題です。経済産業省では、福島県とともに、「福島イノベーション・コースト構想」の中核となる「福島ロボットテストフィールド(RTF)」の整備等に取り組んでいます。いよいよ今春に全面開所予定であり、産学官の関係者の皆さまに広く活用頂きたいと考えております。
さらに本年は、世界中のロボット関係者が一堂に集まる、「ワールドロボットサミット」を8月に福島、10月に愛知で開催致します。ロボットの研究開発及び社会実装を加速するための国際大会です。福島をロボットのイノベーションの中核地とすべく取り組んでまいります。
日本の製造業は、急速に変化し続ける環境の中で、複雑で困難な課題にも多く直面しています。しかし、それらに果敢に取り組みイノベーションを続けることで、安定した成長を続けられると確信しております。引き続き、皆様の現場の生の声をお伺いし、それを政策に活かしていきたいと考えております。
本年が、皆様にとって素晴らしい1年となることを祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。
「緩やかな回復基調に期待」
●日本産業機械工業会 会長 斎藤 保
2020年を迎えるに当たり、新年のご挨拶を申し上げます。
皆様には、気分も新たに新年を迎えられたことと思います。
昨年を振り返りますと、新天皇が即位され、「令和」の時代がスタートしました。さらに、国内初開催となったラグビー・ワールドカップでは、日本代表が準々決勝で敗れたものの、強豪国を次々に打ち負かすなど、日本列島を興奮させました。なお、経済面においては、長引く輸出の低迷、消費税率の引き上げ、台風に伴う一部工場の操業停止などの影響を受け、10月の鉱工業生産指数が前月比4.5%減と大幅な落ち込みを記録した他、12月の日銀短観では大企業製造業の業況判断指数が4期連続で低下するなど、景気の停滞感が強まりました。
一方、海外では、世界経済の最大のリスクとなっていた米中貿易摩擦がひとまず休戦を迎えることとなり、また、ブレグジットについても、問題の迷走に終止符が打たれました。しかしながら、米・中もイギリス・EUも貿易交渉には曲折が予想されますので、引き続き、注視していく必要があると思われます。
昨年の私ども日本産業機械工業会の受注は、国内では製造業向け、官公需がそろって振るわず、海外では中国や北アメリカ等の需要が低迷したことから、2019年度上半期の受注額が2兆1,613億円、前年同期比89.6%と3年ぶりに前年同期を下回る結果となりました。
さて、2020年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界中の注目が東京、そして日本に集まることになります。この国家イベントの成功に向け、引き続き国を挙げて取り組むと共に、海外へ日本の文化や先端的な技術・産業をアピールする場として大いに生かしていく必要があります。
他方、環境面では、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が今年より始動いたします。今や環境問題への取り組みは、経済成長や様々な産業の将来を見通す上で大きな前提条件となっております。
なお、日本経済においては、海外情勢の変化に留意する必要がありますが、国内では企業の設備投資意欲はなお旺盛であり、人手不足を踏まえた省力化・効率化投資に加え、次世代通信規格「5G」やデジタル革新技術への対応など、成長分野への投資が続くと見られ、緩やかな回復基調へ転換していくことが期待されます。
こうした中、我々産業機械業界は、産業界の一員としての自主行動計画「環境活動基本計画」により地球温暖化対策、廃棄物削減対策を推進しておりますが、再生可能エネルギー機器や省エネ製品・サービスの提供を通じた産業機械ユーザのCO2排出量削減への貢献の他、廃プラスチックの再資源化技術の提供など、イノベーションにより地球規模での環境と成長の好循環の実現に取り組んでいきます。
また、台風や豪雨など多発する自然災害に対応して、社会インフラの老朽化対策に資する新技術・システムを創出するなど、防災・減災と国土強靱化に貢献していきます。
併せて、グローバル化、デジタル化への対応を加速するなど、たゆまないイノベーションにより、他国をしのぐ高付加価値製品・サービスを追求し、世界のニーズに応えていきたいと思います。
政府におかれましては、生産性向上に向けた設備投資の促進や技術開発、デジタル人材の育成等を下支えする各種支援の充実などに加え、日・英の経済連携協定の構築やRCEP交渉などの通商戦略に、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
また、低炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの安定電源化やそのための送電網の整備、安全性確保を大前提とした原子力発電の継続利用を含めた「安定供給、経済効率性、環境適合、安全性(3E+S)」を考慮した最適なエネルギーミックスの実現に向けた取り組みを加速していただきたいと思います。
年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
「持続可能な社会の実現に向けて」
●日本建設機械工業会 会長 小川啓之
謹んで新年のご挨拶を申しあげます。会員各社並びに関係省庁・関係団体の皆様方には、平素より、日本建設機械工業会に格別のご支援とご厚情を賜り、厚く御礼申しあげます。
昨年は、日本国内において、台風19号をはじめとするさまざまな災害が発生し、多くの被害をもたらしました。被害により亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申しあげるとともに、被災された皆さまに衷心よりお見舞い申しあげます。一刻も早い被災地の復旧を心からお祈り申しあげます。
また、海外においても米中貿易摩擦をはじめとする様々な動きがあり、緊張感を持って世界情勢を注視する一年となりました。世界の建設機械の需要は、企業によって差はあるものの、全体的には日本や北米を中心に需要が堅調に推移し、中国やインドネシアを中心としたアジア市場などにおいては需要が想定より減速しました。当工業会がまとめている建設機械出荷金額統計を見ると、1月から10月の海外への輸出総累計は対前年比4.7%減となりました。国内に目を向けると、新排出ガス規制に伴う駆け込み需要の反動減からの回復やインフラ関連工事需要の堅調さに加え、消費税増税前の駆け込み需要の影響等もあり、建設機械出荷金額統計では、1月から10月の国内総累計で対前年比10.9%増という結果となりました。
当工業会では、これまで人々が安全かつ安心に暮らすために必要な基盤づくりに様々な形で寄与してまいりました。今後はさらに国土強靭化の取り組みとして、地震や台風などに起因する予期せぬ災害への迅速な対応なども必要となるでしょう。また、少子高齢化および建設労働人口低下により、特に国内の建設業界では、建設労働者のうち100万人以上が今後 10 年で高齢化等により離職すると想定されており、労働力不足が大きな課題となっています。こうした背景を踏まえて当工業会としては、安全・安心な社会を実現するための一助となるべく、より安全で、より生産性の高く、より環境に優しい建設生産プロセスを目指してICT/IoTを活用したソリューションを提供し続け、国土交通省の推進する情報化施工やi-Constructionのさらなる普及・浸透の一翼を担っていく所存です。またSDGsおよびESGにおいても会員各社の対応を促進し、持続可能な社会の実現に向けて、環境・省エネルギー・安全・法令遵守といった社会的な要請にも引き続き対応してまいります。
最後になりましたが、皆様にとって、より良い一年となりますように祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。
【年頭所感】日本工作機械工業会/日本機械工具工業会/日本工作機器工業会
「あらゆる技術を発展させて、世界の製造業の発展に貢献」
●日本工作機械工業会 会長 飯村幸生
2020年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年2019年の世界情勢を振り返りますと、米中関係悪化の長期化、Brexit問題、中東・アジアをはじめ世界各地での地政学的リスクの顕在化などにより、政治・経済両面で不安定感が増し、不確実性が強まった1年でした。こうした中にあって、我が国工作機械業界の受注は、内外需ともに、一般機械、自動車、電気機械など主要業種で年初の想定を下回る水準で推移しました。
本年につきましても、国際政治・社会情勢等における外部的リスク要因が内在しており、製造業を巡る環境には不透明・不確実性が付きまとう状況が続いていくと思われます。しかしながら、製造業はあらゆる分野において新時代への変化が加速しており、生産技術革新のニーズがいずれ設備投資として顕在化されることが期待されます。
製造業におけるIoTを駆使した技術革新は、5Gの普及につれ更に加速していくと考えられます。また、自動車業界におけるCASEやMaaSといったキーワードに象徴される電動化、自動化、サービス化といった潮流は、サプライチェーンに影響を与えていくと見込まれます。同時に多くの国では製造業における人材不足の問題を抱えており、省人化技術の高度化が求められております。日本の工作機械産業はIoTを活用したスマート・マニュファクチャリング技術、AI(人工知能)技術、三次元積層造形技術、少子高齢化時代に適応した自動化技術、ターンキー技術など、あらゆる技術を進化・発展させて、世界の製造業の発展に貢献して参ります。
東京オリンピック・パラリンピック後に、本年12月7日から12日まで開催致しますJIMTOF・Tokyo 2020では、ユーザーの皆様に世界最先端の工作機械技術・製品を発信させて頂きます。また、全国から学生を招待して工作機械産業の意義や役割りを講義する「工作機械トップセミナー」の開催や企画展示を通じて、工作機械産業の魅力を社会にお伝えさせて頂きます。ぜひご来場頂きたいと存じます。
日工会は、本年につきましても、産学官連携の強化、標準化戦略の強化、JIMTOFの求心力の強化、人材確保・周知策の強化等、業界に共通する課題への取り組みを推進して参ります。2021年の創立70周年に向け、2020年代の戦略策定や過去の業界活動を振り返る年誌編纂作業についても、鋭意検討を進めて参ります。関係各位には当工業会の事業に対する一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。
本年が皆様にとって更なる飛躍の年となることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。
「変化をチャンスに変える2020年」」
●日本機械工具工業会 会長 石川則男
令和2年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年は中国の自動車産業の減速に始まり、世界中の自動車産業、特に部品産業は大きく影響を受けました。航空機産業はまずまずだったものの、半導体、ロボット、自動化といったIoT時代をけん引する産業も一服感が強まり、機械部品産業全体に停滞感が広がりました。機械工具業界も4月以降は需要が減退、市場在庫の調整とも関連し、切削工具と耐摩耗工具の受注は減少しました。当工業会(JTA)の1月から10月までの累計生産金額は4,167億円となっており、年度見通しは5,014億円、対前年同期比96.6%を予定しております。
一方、日本と欧米の貿易協定は一定の成果を上げ、切削工具におきましては相手先国側の関税は下がることが決まっています。ゼロになる地域もあり、機械工具業界としてはポジティブに受け止めています。米中貿易摩擦下においても自由貿易が拡大する方向で多くの国が賛同していることは、大変喜ばしいことと思っております。
さて、2019年6月にドイツ・ミュンヘン近郊のロタッハ-エガーンで第7回世界切削工具会議(WCTC2019)が開催されました。JTAからも35名の方が参加され、プログラムは盛りだくさんで大変勉強になることも多い充実した会議でした。日本の切削工具市場報告の場では、JTAの生産規模(世界シェア19%)と日本の消費市場規模(世界シェア16%)を発表し、JTAの存在感を示すことが出来ました。この場をお借りしてご参加いただいた皆様に厚くお礼申し上げます。
2020年も不透明な経済環境が続くことが予想され、上期においては生産財の景況は世界中で停滞すると思われます。環境対応、5G時代のものづくり、人手不足の中のものづくりはIoTと絡まって中長期的には大変期待される分野です。製造業の投資も、これらの分野ではさらに増えるものと期待しています。切削工具の需要はそれに加えて、航空機産業、医療関連、そして中国市場において少しずつ回復するものと思われ、2020年下期には良い方向に向かうと期待しています。世界中の顧客が日本企業に期待しているものは、他に類を見ない技術力ときめの細かいサービス力です。今まで以上にこれらの得意分野に磨きをかけて「変化をチャンスに変える2020年」にしたいと思います。
最後になりますが、日本経済の益々の発展とJTA会員の皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。
「日本の強みを磨きイノベーションを起こす」
●日本工作機器工業会 会長 寺町彰博
あけましておめでとうございます。年頭に際し、所見を述べさせていただきます。
昨年の世界経済は、米中経済摩擦をはじめとする米国と各国間における経済摩擦や英国のEU離脱協議の難航など、保護主義やポピュリズムの動きが見られる中、先行きに対する不透明感が高まりました。
日本に目を向けますと、令和という新しい時代に入り東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた準備が進む一方で、相次いで発生した台風や豪雨が各地に甚大な被害をもたらしました。しかしながら、そのような中で行われたラグビー・ワールドカップにおいて日本代表が史上初の決勝トーナメント進出を果たしたことにより、多くの希望と勇気がもたらされた1年でもありました。
世界経済の先行きに不透明感が高まり厳しい受注環境が続く中、AI、IoTなどのデジタルテクノロジーや自動化・ロボット化の進展を背景に、私たちのビジネスチャンスは広がっています。そのような中、私たちは萎縮せずイノベーションに徹底的に取り組んでいくことが重要です。ものづくりの世界において、インダストリー4.0などの考え方で重要な「見える化」や「自動化」が進むと、機械装置だけでなく、それを構成する部品やツールなどにも高品質で壊れないことが求められます。それはまさに日本の「強み」であり、私たちには、この「強み」を保持しながらイノベーションを起こしていくことが求められるのではないでしょうか。
しかしながら、日本ではイノベーションが遅れているといわれています。それは新たなものを生み出しても、何か問題が起きると、過去に形成されてきた安全、安心、高品質というような画一的な基準で評価され、そこから外れると非難される風潮にあることも一因と考えます。従って、評価のものさしを多様化させ、これまでの延長線上のものなのか、新たな挑戦なのかを皆で評価し、新たなチャレンジやイノベーションを後押ししていくことも、日本においては必要ではないでしょうか。
これらを実現し、日本の「強み」をさらに磨きながら、イノベーションを起こすことができれば、必ずや私たちはグローバル競争の中で打ち勝ち、世界の製造業を牽引していくことができるものと考えております。
従いまして、当工業会といたしましても、会員の皆様と強い信念を共有するとともに、新たなものを徹底的に開発、提案し、業界の発展に寄与してまいる所存です。
最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
【年頭所感】日本精密機械工業会/日本フルードパワー工業会/日本工作機械輸入協会
「将来のあるべき姿を見据え積極的に推進」
●日本精密機械工業会 会長 髙松 喜与志
新年あけましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。
昨年は天皇陛下が即位され、元号が令和となる歴史の大きな節目で有りました。
今年は景気の牽引役でもあった東京オリンピック・パラリンピックが行われる年であります。
私は会長に就任して2年目となります。初年度は稲葉 前会長、長瀬 元会長が盛り沢山な新規事業を立ち上げていますので、それを消化するのに精一杯でした。
現在我が国を取り巻く経済情勢は、通商問題を巡る緊張、中国経済の先行き、英国のEU離脱の行方など海外の動向や、10月の消費税引き上げによる消費マインドの変化や、深刻さを増す地球規模の環境問題により頻発する大規模自然災害の影響が懸念されています。
また、日本国内では人口減少の問題が有ります。働く人が少なくなって、小規模企業では従業員が集まらないだけで無く、高齢化した経営者の後継者がいないと問題になっています。当然人口が減少すれば需要も減ってしまいます。
上記の情勢により、我が業界の景気は一昨年まではとても良かったのですが、昨年は製造業では受注が減少し景気は悪化し始めました。ただ足元の景気に一喜一憂するのでは無く5年先、10年先の在るべき姿を見据え、今何をすべきか考えるのが経営者だと思います。
生産性の向上、IT・IOTの活用、働き方改革やSDGsなどの課題が有りますが、これを「面倒な事を押し付けられている」と考える経営者もいるでしょうし、積極的に推進して我が社の強みにしようと考える経営者もいると思います。やらなければいけない事柄で有れば私は物事をポジティブに捉え、また楽観的に考えて、自社の強みにして行きたいと思っていますし、そんな経営者を助ける日本精密機械工業会にして行きたいと活動しています。
今年の干支は庚子です。十二支は時刻を表す意味も有ります。子は何時になるかと言うと23〜1時頃を表します。干支のスタートの年です。真っ暗闇、景気の良くない中からのスタートです。暗い夜から陽が出て明るくなって行くように、景気も今が底でこれから良くなって行く年です。
今年も、日本精密機械工業会に格別のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様にとって良い一年となりますよう心からお祈り申し上げまして、新年のご挨拶といたします。
「日本製造業を土台から支える業界へ」
●日本フルードパワー工業会 会長 石川 孝
新年明けましておめでとうございます。令和2年の年頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。昨年は、豪雨、台風などの自然災害により、経済にも大きな影響を与えました。一方、平成から令和に元号が変わり、明日への希望に願いが込められた新しい時代が始まる中に、ラグビーワールドカップでの日本チームの活躍に多くの方々が熱く盛り上がった年になったのではないかと思います。
さて、昨年の経済情勢を振り返りますと、トランプ政権による対中追加関税が一昨年から実施され、中国との貿易戦争が始まり昨年はさらに対象品目が広がりました。この影響もあり、中国経済は、一昨年末以降、輸出以上に輸入の不振が続いており内需の弱さが反映されていますが、政府の景気下支え策により大幅な落ち込みを回避しつつ実質GDPは6%前後を維持しており、本年は景気の底打ちと回復が期待されています。
一方、本年の米国経済は、昨年の市場予測を上回る成長はないものの、昨年同様、堅調な雇用環境に支えられ、やや減速しながらも成長が続くと見られています。また、今年は11月3日の大統領選を控え、選挙モードが本格化する中、一昨年より続いてきた米中貿易戦争が一段落することによって、世界経済が好転に向かうことが期待されます。
このような世界経済状況の中、日本経済は、2019年7~9月期の実質GDPは、4四半期連続でプラスとなり、設備投資が海外経済の減速の影響を受けつつも、国内の緩和的な金融環境のもとで、都市再開発関連投資、人手不足に対応した省力化投資、成長分野への研究開発投資などを中心に、国内需要は緩やかな増加を続けると予想する見解もあります。
また、業界によっては回復が既に始まっているように思います。こうした中、当工業会は、これまで行ってきた、油圧技能士の国家試験対策講座や初心者向け講座等若手技術者育成事業の更なる充実を目指し、また、最近話題となっているIoTやAIなどデジタル社会への本格的に移行への的確な対応を行うために技術企画委員会を新たに設置して、電気電子関連技術への対応策等の検討を開始しました。本年も、内外の関連情報の収集発信、産学連携の下、人材育成等に力を入れ、日本の製造業の強さをしっかりと土台から支えるフルードパワー業界となるよう微力ではございますが、日本フルードパワー産業の発展に貢献してまいりたいと存じます。
最後になりましたが、フルードパワー工業会と皆様方の益々の発展を祈念し、私の年頭の挨拶とさせていただきます。
「ものづくりを通じて日本経済を支え貢献する」
●日本工作機械輸入協会 会長 中川貴夫
2020 年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。旧年中は当協会の事業活動にご支援ご協力を賜りまして、誠にありがとうございました。
輸入工作機械は日本の近代化や工業化の基盤を成すものであり、当協会はその発展と推進において貢献してまいりました。今後も、グローバル時代における「日本人のものづくり」を支えるため、一層の努力をしていく所存です。
昨年2019 年の工作機械の輸入通関実績は、約1100 億円(予想)となり、一昨年2018 年とほぼ横ばいとなりました。
そして、測定装置や部品・工具等の周辺機器類を加えますと、昨年に続き1兆円(予想)を上回る数字となっております。
当協会は、1955 年に発足し、今年2020 年に65 周年を迎えます。
我が国が2 回目のオリンピックを開催する年とも重なり、これを機に「日本の工作機械輸入の歴史―日本工作機械輸入協会・創立65 周年に向けて」という記念誌を発行する運びとなりました。
今年我が国は世界中から注目を浴びますが、当協会では、ものづくりを通じて日本経済をしっかりと支え、世界の注目に恥じない貢献をしてまいる所存です。
最後に、皆様にとりまして、本年が最良の年となりますよう祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
【年頭所感】日本工作機械販売協会/日本歯車工業会/日本光学測定機工業会/日本金型工業会
「ものづくりの発展に貢献していく」
●日本工作機械販売協会 会長 依田智樹
皆様明けましておめでとうございます。
旧年中は当協会に対し一方ならぬご厚情と温かいご支援を賜りありがとうございました。
改めて御礼申し上げますと共に本年も引続きよろしくお願い申し上げます。
さて、昨年は5月1日に元号が「令和」に改まり、新しい時代がスタートしました。
昨年は台風、豪雨、地震等の自然災害が頻発し、被災された方も多く、未だ傷跡が癒えぬ方々もいらっしゃいます。被災された方々へお見舞い申し上げますと共に一日も早い復旧をお祈り申し上げます。これを機に平素からの安全対策・危機管理の大切さを改めて痛感しました。
経済面では米・中の貿易摩擦、英国のEU離脱問題、中国・インド等の成長市場の景気低迷等を原因として世界的に成長が減速しており、政治面では各国が自国第一主義の色を強め、国際協調の足並みが乱れ、ポピュリズム政権も多く生まれて来ています。日本の工作機械業界は中国の景気停滞等による半導体や自動車への投資の陰りから、内需・外需共に前年比で大きく下がり、一昨年1兆8,000億円超あった受注額が3割以上減りました。
我々工作機械業界を取り巻く環境は急速に変化して来ています。自動車業界ではCASE関連の新技術対応への流れが進んでおり、電池、モーター、インバーターなどの需要が拡大し、今後は軽量化された素材の活用も増えると予想されます。また人手不足を背景とする自動化・複合化やAI/IoTを活用した工場の見える化・予防保全等の生産性向上のニーズが今後益々高まると予想されます。更に、切削加工だけでなく今後は積層造形(Additive Manufacturing)の需要も拡大して来ると予想されます。我々日工販会員各社はこうした時代の変化を捉え、ユーザーのニーズを掴んで的確な対応をして行く役割を担っています。
日工販は今年創立50周年を迎えます。正会員・賛助会員のネットワークを強化し、日工会をはじめとする関係諸団体並びにメーカー各社との連携を密にして日本のものづくりの発展に貢献して行くのが日工販の使命です。その為に営業マンのレベルアップの為の教育事業に各種プログラムの一層の充実を図って引続き注力して行くと共に、各種情報の提供や機械メーカー様との情報交換や交流を更に進化させていきたいと考えておりますので引続きのご指導とご支援をよろしくお願い申し上げます。
最後となりますが、本年が皆様にとって明るく素晴らしい年になりますことを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。
「年頭にあたり」
●日本歯車工業会 会長 栄野 隆
新年おめでとうございます。令和2年(2020年)の年頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
旧年中は私ども日本歯車工業会の事業運営に格別のご支援、ご協力を賜りまして、厚く御礼申し上げます。
昨年を振り返りますと、上半期より受注、生産状況に下降気味の傾向が表れるなど変調を来し始め、通年でも重い足取りに終始するのではないかと危惧されます。言うまでもありませんが、大国間の貿易摩擦の長期化が世界経済に影響を与え、ますます不透明な経営環境に変化しております。将来の事業展望に備えるための設備投資環境も下振れする等失速気味の中、先行きの舵取りには状況変化の注視と、俯瞰し目を凝らす経営が求められる年明けになりました。2020オリンピックイヤーは上向く年という期待を込めて、明るい回復の年になるように祈っているところです。
さて、弊会は今年、「国際競争力強化を視野に事業推進」「会員にとって魅力ある企画の実行」「次世代経営者・技術者育成事業」を柱として事業展開して参ります。
グローバルに広がるビジネスを見据えて、弊会ならではの分野として、新技術による歯車製品の品質向上に寄与する鋼材品質評価法他の規格整備と国際感覚豊かな技術者の育成事業が進行中です。又、次世代若手技術者や経営者による歯車業界の活力を高めるひとづくり、教育に引き続き注力して参ります。
第一は、あらゆる分野の“物づくり”を支える、基幹産業としての歯車製造の国際競争力強化を重視した施策を継続して展開します。弊会は1938年に会員企業の技術水準の向上と経営の安定発展を目指して創立された、80年余の歴史を積み重ねた団体ですが、満足することなく、長期的な視点に立ち「ISO国際規格を視野に入れた標準化」、次に「海外の関連企業の最新動向の調査」、又、各会員企業の経営戦略に生かして頂くための具体的な人材、設備調査等を含めた「様々な機会のご提供を主旨とした経営研修会等」の事業を毎年の恒例企画として継続開催して参ります。
第二は、人材教育の包括的な取組みです。「組織は人なり」という経営の根幹に関わり、業界を元気にする仕掛け作りは未だ道半ばですが、その道筋が次第に見えてきたところです。すなわち、歯車技術教育のギヤカレッジは開始以来15年、受講者数600名を超えて、業界関係者の幅広い評価を頂き、盛況のうちに事業が進んでおります。一方で、経営者育成の観点での若手経営者研究会も2年目を迎え、将来世代の若手技術者、経営者のネットワークづくりの力強い一歩を踏み出しました。いくつかの試みを同時進行させて、業界の活性化に役立てることができれば、それが日本歯車工業会の大きな役割につながるものと期待するところです。
第三は、鋼材に起因する製品事故ゼロを図る試みとして、歯車用鋼材の品質評価法の活用を図るべく、日本歯車工業会規格を制定する準備を着々と進めております。歯車製造者が、従来評価が難しかった鉄鋼材料に起因する適・不適判定を、歯車用鋼材の弊会独自の規格に基づいて、自ら評価頂けます。業界の競争力強化にもつながるものと確信しております。
弊会は引き続き歯車産業ひいては日本の機械産業の発展を願い、皆様のお役に立てる工業会をめざし努めて参りたいと存じます。皆様方の温かいご協力をお願い申し上げます。
今年が皆様にとって良い年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
「さらなる企業価値向上の実現へ」
●日本光学測定機工業会 会長 浜田智秀
明けましておめでとうございます。平素より関係者の皆様には日本光学測定機工業会の活動にご理解とご支援を賜り心よりお礼申し上げます。
当工業会は昨年11月で60周年となり新たな気持ちでこの新年を迎えております。「所有する」から「必要な時に利用する」サブスクリプションやリカーリングビジネスなどへの事業形態の変化が更に進む年になるだろうと考えています。技術分野においては、5Gへのシフトが始まっており、至るところでデジタルトランスフォーメーションが加速の一途をたどっています。それらを繋げるIoTなどのプラットフォームは既に無くてはならないものとなってきており、AIの応用も日々身近なものとなってきました。これらを支える電子機器の需要は、ボラティリティこそあるものの今後益々増える方向へと進んでいくのは間違いありません。
世の中のこの大きな変化に対して、電子部品やデバイス分野では高度な技術だけでなく、高い品質が求められます。技術革新のスピードがどんどん加速していく中においては、利用したい時に利用できないのでは大問題となります。品質を支えるためにはリアルタイムに多くの計測を可能とする光学測定技術が核となり今後その重要性も益々高まっていくと考えています。
一方、モノづくりそのものに目を移しますと、その手法自体は大きく変わってきています。種々雑多な材料を前提とした多品種少量製品へ適用するための3Dプリンターなどが生産へ寄与する領域の拡大が顕著となっています。このようなアディティブ・マニュファクチャリング領域に於いても最終部品・製品の高品質を保証することが重要となっています。形になれば良いのではなく、目的とする機能・性能を安定的に実現することが求められます。
過去より度々繰り返される品質問題はより顕在化する可能性があり、歩留り向上やコストダウンといった狭義での品質保証の領域を遥かに超え、問題を起こした製品の評価を単に下げるだけでなく、企業価値そのものを大きく毀損させるリスクがあることを強く認識しておく必要があります。
当工業会では見えないものを見えるようにするだけでなく、定性的なものを定量化できるよう活動を続けております。光学測定機が得意とする可視光領域に加え、近赤外や紫外線、更にはX線などの不可視光を使用することによってこれまで検出困難であったものを数値化し、更に高速かつ大量な計測データを瞬時に取得することを可能としており、これまで見逃していた現象・事象の把握だけでなく評価方法の確立をも推し進めてきています。加えて、検査・測定・計測の自動化、省力化をなお一層進化させ、製品・部品の良否判定だけでなく、スピードディに工程改善へのフィードバックなどを可能とし更なる高品質をも具現化します。
人間の恣意やバラツキ、不確かさの入る余地がない品質保証、信頼性、ひいては安全、安心を実現する世界へ向けて今後も新たな提案を継続していき、皆様の企業価値向上に繋げるためのお役に立てると確信しています。厳しい競争に勝ち抜き社会へ貢献する企業の皆様と共に、更に成長するため精進して参ります。
劇的に変わりゆくこのような時代にめぐりあえたことを幸せだと感じ、産業の発展へ寄与できることをこの上ない喜びと考えております。これまで以上に関係各位の皆様との連携を深め、皆様方の課題解決を進めるだけでなくイノベーションへ寄与できるよう取り組みます。
ダイナミックでスピード感のある大きな時代変化の流れの中、それに呼応する形で、光学に基づく切り口での非破壊・非接触型測定機を主としたリアルタイムな光学測定技術を深化させ、あらゆる課題を見える化・顕在化させることによって素晴らしいモノづくり、コトづくりを実現してゆきますので、今年もよろしくお願い申し上げます。
「金型産業界の将来展望は人材がカギ」
●日本金型工業会 会長 小出 悟
令和2年の新年を迎えるにあたり、会員の皆様を始め関連官公庁、関連団体の皆々様に謹んで新春のお喜びを申し上げます。
新元号がスタートし皇室行事もスムーズに執り行われている中での令和の時代2年目となる本年はオリンピックイヤーでもあり、表面的には華やかな年となるのでしょう。しかし、社会情勢的には見通しのきかない状況が続くものと思われ、とくに世界経済環境面で見ると不安定感がさらに膨らむようにも思えます。一方では新時代に即した新技術の開発が進み大きな進歩が見られるだろうと期待も膨らむところであります。そのうねりの中で一つにはIoT、AI、ロボットなどの新技術の具体的な取組事例などの検証を行いながら、新時代の金型に対応する研究と市場の開拓、また、そこから見えてくる新しい協業ビジネススタイルや新しい組織論の具現化に向けた検証も進むものと思われます。
そのためにも2020年度は「令和の新金型産業ビジョン」を整え、会員の皆様の将来の目指す目標作りの一助として、一社一社にできるだけ即した参考事例を掲げられたらと考おります。皆様からもさまざまなご意見を吸い上げさせていただきながら進めて参りたいと思います。
金型産業界の将来展望は、各社の将来発展も未来をしっかり見据え想像し、目標を立て進めて行く人財がカギとなります。その人財の確保・育成というものは日本金型工業会にとっても主テーマであるといえ、まさにマスター認定制度のさらなる充実が期待されるところであります。昨年第二期生のマスター認定者を輩出し、さらには一期生の中より新たに誕生させたシニアマスター認定者の19名の存在と活躍は、今後大いに期待できるところであります。ただそれを待つのではなく、各社が積極的に社内改革のために彼たちの力を試し、育てていただき、当工業会全体のレベルアップに寄与していただくことを期待します。その活躍の場の提供にも渾身の力を込めた努力が当工業会としても必要であると感じます。
昨年は型取引の適正化推進協議会に参加し、意見具申をさせていただいた結果、型代金回収に付き契約時の前金制度の導入、さらには検収という概念ではなく金型納品という考えでの残金全額支払いという画期的な決議事項を勝ち取ることができました。これまで諦めずに長き期間交渉を続けてきたことに対しての成果であると、つくづく継続こそ力であると痛感いたしたしだいです。しかしながらここからが本当の勝負であり、従来の取引慣行を一新するべく金型工業会が一体となり、見積作成時や、契約を交わす時点での必須事項の照会から、納品後の最終的請求から回収にいたるところまでの注意点などを簡略にまとめた手引書のようなものも準備できればと考えております。
このことだけでなく、まだまだ産官の密な連携により改善できることがたくさんあると思いますが、前述した通り長い時間を必要とすることも事実です。諦めず訴えながら自らが少しずつでも改革の道を推し進める、その努力が必ずいつかは社会をも動かすことになります。そのような心がけで今後も邁進いたしますので宜しくお願いいたします。
本年は全体として低調な中での一年のスタートとなりましたが、昨年のラクビーに見たさわやかな中にも絶対に負けないという強い信念と、全身を惜しみなく使い気持ちよく燃え尽きたことが、未来へ確実につながる何かを民衆の心に残した、そんな生き様をするときが来たようです。将来の種を蒔き育て未来につなげる活動はまさに「ワンチーム」にならなければできないことです。会員企業の皆様のお力添えはもとより、関連官公庁、関連団体の皆様のご協力も得ながら、着実に進めていく所存ですので、皆様のご理解ならびにご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。
【年頭所感】DMG森精機/オーエスジー/アマダホールディングス/日立建機
「ダイバーシティにおける社員の活躍を推進」
●DMG森精機(株) 取締役社長 森 雅彦
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、日本国内で度重なり発生した台風や豪雨の被害により災害復旧に関する対策強化を見直す契機となりました。加えて、米中の貿易摩擦の影響により世界の景気減速が引き起こされ、設備投資の伸び悩みなど、厳しい状況が続いております。しかしながら、リプレイス需要の機会を逃さずに、全世界のお客様のご要望にお答えし、また継続的なアフターサービスを行ってまいります。
9月のドイツ・ハノーバーで開催されたEMO2019では、10,000㎡の面積ホール2全体を貸し切り、世界初披露機を含む45台とデジタルソリューションを出展いたしました。その内29台は自動化システムソリューションでの展示です。前回より高い受注単価を達成することができ、5軸化、自動化、デジタル化による高い生産性の提案強化に対し、お客様のニーズの高まりを感じました。また、10月には工作機械の需要拡大が今後期待されるインドにおいて、現地生産を開始いたしました。インド国内のお客様向けに特化した立形マシニングセンタCMX Viをラクシュミ・マシンワークスに生産委託することで、お客様に納品するまでのリードタイムを短縮します。 さらに、11月には、株式会社ニコンとの業務提携合意を発表し、世界的な光学機器メーカーであるニコンの計測およびカメラに関連する技術を、DMG森精機株式会社(以下、DMG森精機)の工作機械に適用することで合意しました。より高度な製品を両社で開発することで、革新的なソリューションをお客様に提供してまいります。
また、「よく遊び、よく働き、よく学ぶ」をモットーに、コアタイム制の導入や社員教育の強化を行い、国籍・年齢・性別の異なる様々なダイバーシティにおける社員の活躍を推進しております。勤務間インターバル制度により連続10時間以内勤務の徹底と社員の有給休暇20日取得を徹底し、厳密な労働時間管理を行い、生産性の向上に努力します。
本年も、世界中のお客様に、優れた品質の製品を最善の納期とサービスでお届けすべく、尽力して参ります。
引き続き変わらぬご支援、ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
「変化の年をチャンスの年に」
●オーエスジー(株) 代表取締役社長兼CEO 石川則男
2020年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年は中国の自動車産業の減速の影響が世界中に波及し、4月以降は切削工具業界においても需要が減少しました。半導体、ロボット、自動化といったIoT時代をけん引する産業も一服感が強まり機械部品産業全体に停滞感が広がりました。一方日本と欧米の貿易協定は一定の成果を上げて、切削工具に置きましては相手先国側の関税は下がることが決まっています。米中貿易摩擦下においても自由貿易が拡大していくことは大変喜ばしいと思っております。
さて当社の2020年は近年欧米各国で多くのM&Aを進めてきましたが、その成果を出す正念場の一年になりそうです。景気は下降局面ですが、そのような時こそ、シナジー効果を最大化するようなPMIに注力する1年にしたいと思います。また今年3月には愛知県新城市の新工場も完成予定ですので、世界中の顧客に愛されることを目標に、より多くのお客様にお越しいただきたいと思います。
2019年は、生産財の市場が世界中で停滞しましたが、5G時代のものづくり、人手不足の中のものづくり対応といった設備需要は長中期的には継続されますので、切削工具の需要も2020年の下期には回復すると期待しています。
最後になりますが、日本経済の益々の発展と皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。
「今年は新生アマダグループ始動の年」
●(株)アマダホールディングス 代表取締役社長 磯部 任
新年、明けましておめでとうございます。
昨年のアマダグループは、主力の板金事業において独自の光制御技術を搭載したファイバーレーザマシンをはじめとする新商品や自動化ソリューションが好評を得て、第2四半期の売上収益が過去最高となりました。また、グローバルで適地適産を図るために生産体制の整備を進めてきました。
2020 年の世界経済については、米中貿易摩擦や英国のEU 離脱問題などの影響を引き続き注視する必要があると考えています。一方で、私たちのお客さまである金属加工業の現場は、深刻な人手不足や産業構造の変化に直面しており、働き方改革や生産工程の変革に向けた取り組みが加速するでしょう。
こうした中、アマダグループの2020 年は、新たな「挑戦」をスタートさせる年となります。社会や市場の変化を先取りし、モノづくりの変革をリードする会社となることを目指します。そのためには、マシン視点ではなく素材や完成品視点に立ち、加工技術や工法の開発を推し進めることが重要です。また、それらを生産工程全体で最適化するためのプログラムやソフトウエアといったアプリケーション技術を磨くことが、お客さまの新たな価値創造につながると考えています。更に、将来のモノづくりのあり方を見据えAI やIoT といった先端技術の活用を図り、まだ顕在化していないニーズを満たす新規事業の創出に取り組みます。
本年は、日本、北米の計7拠点で板金加工向けマシンや周辺装置などの生産を本格的に開始します。商品開発から製造・販売に至るまでのスピードアップを図り、各地域に応じた商品・サービスをお客さまに提供することが社会の発展にもつながるものと信じています。
こうした新たなチャレンジを実行するために、私たちは2020 年4月1日に「新生アマダ」グループとしてスタートを切ります。新たな経営体制の下、迅速かつ効率的な企業運営に努めていきます。70 年以上に渡り培ってきた強みを時代の変化に応じて活かすことにより、お客さまの発展はもとより、社会課題の解決に貢献していきます。志を新たに、経営理念にある「創造と挑戦」の実践を通じてアマダグループは変革を続けていきます。
「満足いただけるバリューチェーン事業を拡大」
●日立建機(株) 執行役員兼CEO 平野耕太郎
あけましておめでとうございます。新年を迎えるにあたり一言ご挨拶申し上げます。
昨年の建設機械需要は、新興国を中心に一昨年と比較して減少した国もありましたが、全体としては高い水準の状況が続きました。またマイニング市場においても、地域差はあるものの、お客さまの生産高度化に対する投資意欲は依然として高いものがあります。今年も引き続き米中の貿易摩擦や英国の欧州離脱などの問題はありますが、お客さまの工事現場の安全性向上、生産性向上、燃費なども含むライフサイクルコスト低減の要求はさらに強くなり、加えてSDGsなどの対応も含めて日立建機グループに対する期待も一層、大きくなるものと思っています。
日立建機は、今年、建設機械を開発、生産、サービス を始めて70 周年の節目の年です。お客さまの課題解決のために、製品のみならずサービス、サービス部品、レンタル、中古車、ファイナンスなどのバリューチェーン事業の取り組みを強化すると同時に、ConS iteを活用した故障予知などのサービスソリューションをさらに進化させるなど、最先端の取り組みを進めていきます。 建設機械・マイニング機械は、さまざまな環境で使われることが多く、またインフラ 整備 や資源開発などを担う重要な生産財であり、機械の不調や予期しない停止は、お客 さま のみならず多くの方々にご迷惑をおかけします。
日立建機グループは、IoT やICTを駆使し、機械のライフサイクル全体の中で、お客さまに満足いただけるバリューチェーン事業を拡大していきます。
2020年4月からは、新しい中期経営計画を始める重要な年度となります。お客さまの課題の一歩先を見据えて、日立グループの総合力で大きな変化に対応していくと同時に、引き続き収益向上のための施策を進め、ステークホルダーの皆さまのご期待に応えていく所存です。
最後になりましたが、2020年が皆さまにとって平和で穏やか、そして明るい年になることを祈念して、年初のご挨拶とさせていただきます。