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不二越 MZシリーズに中型ロボット「MZ25」 追加ラインナップ

 不二越が、自動化ニーズが高まる自動車部品・一般産業機械分野をターゲットとして、このほど、MZシリーズに中型ロボット「MZ25」(25kg 可搬)をラインナップした。小型ロボットMZシリーズの高速・高精度、高い汎用性の特長をそのままに、中型ロボット市場でのマーケットシェア拡大を進めていく。

 世界的な少子高齢化、労働人口の減少を背景として、ものづくりの現場では、人件費の高騰、人手不足の解消、生産性向上などを目的として、自動車分野だけでなくあらゆる産業分野において、ロボット導入による自動化のとり組みが拡大していることを受け、同社では、今後も、順次、スカラタイプを含めた中小型ロボット、協働ロボットのラインナップを拡げていく方針。ロボットを組み込んだシステム・アプリケーションを提供していくことで、あらゆるFA化ニーズに応えていく――としている。

「MZ25」の特長

(1) 高い汎用性
 同一クラスではトップクラスの作業領域とパワフルな手首トルクで、大型ワーク・ハンドに対応し、ローディングをはじめ、バリとり、部品の組立・搬送等幅広い用途で使用可能。また、防塵防滴(IP67)・防錆機能を標準装備し、粉塵、水滴が飛散する環境にも対応。

(2) 高速・高精度動作
 軽量化と高剛性を両立した設計で、クラストップレベルの高速・高精度動作(位置繰返し精度±0.05mm)を実現、顧客の生産性向上に貢献する。

(3) 豊富なアプリケーション
 不二越独自の中空手首構造に加え、各種アプリケーションで要望される配線・配管を機体内に標準装備することで周辺装置との配線などの干渉リスクを低減させ、信頼性が向上。さらに、大流量のエアーブロー等を可能にする大口径のエアーホースや、複数のアプリ線取出口を標準装備するなど、顧客の利便性が格段に向上。

アマダ 超高速3軸リニアドライブ・ファイバーレーザマシン 「REGIUS-3015AJ」を発表 ~リニア駆動による異次元の超高速加工と多彩な支援機能を搭載~

 アマダがこのほど3 軸リニアドライブを搭載し、高速・高精度加工を実現する新型ファイバーレーザマシン「REGIUS-3015AJ」(レジアス)を、11 月に米国シカゴで開催された「FABTECH 2019」で初めて発表し、2020 年夏に国内で販売を開始すると発表した。

 昨今の板金加工の現場では、働き方改革の影響や人手不足の深刻化を背景に、高生産性や自動化へのニーズが非常に高まっているとともに、加工の高品位化が強く要求されていることを背景に、同社では、板金用のレーザ切断マシンである同機に、レーザ光の軸移動部に新開発のリニアモーターを搭載することで世界最速駆動340m/minを実現。これにより、従来のラック&ピニオン方式と比較し、1.4倍の高速加工が可能となった。また、段取りの自動化、安定加工を追求するため、最先端の支援技術「レーザ・インテグレーションシステム」を初めて搭載している。レーザ発振器には同社独自の光技術と制御技術を組み合わせた高出力ファイバーレーザの搭載により、さらなる高生産性、高精度、低ランニングコストの板金切断加工を実現する次世代ファイバーレーザマシンとなっている。

 なお、日本での販売開始時期は、2020年夏を予定している。

REGIUS-3015AJ 主な特長

(1)世界最速のリニア駆動を実現
 リニア駆動には新開発のリニアモーター、リニアスケールの採用と、最適設計による合理化を行うことで、従来機の1.4倍となる世界最速の送り速度340m/minを実現する。さらに、高剛性サポートブラケットによる高加減速に対応することで位置決め精度が向上し、これまでにない異次元の高速、高精度加工を両立した。

(2)アマダ独自の定評あるビーム制御技術を搭載
 9kW高出力レーザ発振器に、レーザ光を最適なビーム形状にコントロールできる同社独自の定評あるビーム制御技術を搭載し、薄板から厚板まで全板厚領域において極めて優れた安定加工と加工品質を実現した。

(3) 最先端の支援機能「レーザ・インテグレーションシステム」を初搭載
 さらなる安定加工を追求するための、最先端の支援機能を多数搭載。各種監視、検知、診断を行うことで、マシンの状態を最適に保ち、工数がかかる始業前点検の自動化や、加工不良による自動復旧を実現し、ダウンタイムゼロを目指す。これにより、生産性が大幅に向上し、作業練度によるバラツキの低減による究極の安定加工を実現した。

「レーザ・インテグレーションシステム」の主な機能
① 段取り・安定加工を支援する機能を搭載
 ノズルや保護ガラスの状態を定期的に診断、監視し、問題を検知した場合はノズルの交換や焦点調整、芯出しを自動で行う。これらをマシン立ち上げ時に行うことで、始業前点検作業を自動化し、点検にかかっていた時間を80%削減する。

② 加工不良によるダウンタイムを削減
 加工中に発生する光の状態を検知・分析し、万が一加工不良を検知した場合、一時停止することで不良状態の加工継続を防止する。また、自動でマシンの状態を確認、復旧後、再開可能な場合は次経路から加工を再開する。

③ 加工ヘッド干渉時の損傷回避動作および自動復旧が可能
 加工中に加工ヘッド部が障害物との干渉を検知した場合、自動で回避動作を行い復旧する。さらに加工ヘッドの逃げストローク量を従来の2倍に増やし、損傷リスクを低減する。

④ イージーオペレーションを実現
 端材を有効活用する端材加工支援機能を搭載。操作パネル上で、カメラで認識した端材画像を任意の位置に配置するドラッグ&ドロップ機能により、段取り時間を75%削減し、端材加工が誰でも簡単に行える。

マシン仕様

オークマ プレス金型の手仕上げ作業を大幅に削減する「MCR-S (Super)」 新発売

 オークマは、このほど機械精度の安定状態を自己診断する「精度安定診断機能」と誰でも簡単に空間精度を校正できる「3D キャリブレーション」を搭載したプレス金型向け加
工空間全域高精度門形マシニングセンタ「MCR-S (Super)」を開発し、販売を開始した。

 このマシンは、超大型高精度の三次元測定機能を機上で完結し大幅な高精度化、リードタイム短縮を実現するもので、同社は、「プレス金型加工の生産革新を支援していく」と意気込みを見せている。

 同社では、開発の背景について、「自動車のプレス金型の製造において、コスト低減、リードタイム短縮は永遠の課題。一方で自動車デザインの多様化・差別化が進んだことによりプレス金型加工には非常に高い形状精度と加工面品位が求められる。磨き・型合わせなど金型の手仕上げ作業に必要な熟練のノウハウが失われつつある中、金型加工のリードタイム短縮と高品位・高精度加工を高い次元で両立させることが求められている。」という認識のもと、大物プレス金型製造では、「加工機から計測機器へのワーク搬送工程や、修正加工が必要な場合の再セッティングなどに多くの作業時間が必要となり、これらは機上計測を行うことで短縮が可能だが、従来の大型加工機における機上自動計測では、室温変化や季節の変わり目で、工場の床面水平度の変化の影響を受け、安定的に信頼性の高い計測結果を得ることが困難だった。」との課題を解決すべく、経験の少ないオペレータでも簡単に広い加工空間の全域を高い精度で維持できる機能を搭載、高い空間精度を安定して有することで、従来のモデルよりさらに高品位な金型加工と高精度三次元計測までも1 台で完遂できる加工空間全域での高精度門形マシニングセンタ「MCR-S (Super) 」の開発に至った。

「MCR-S (Super) 」の特長

(1) 誰でも簡単に機械の空間精度を点検・校正「3D キャリブレーション」
 ・高精度な機上三次元計測が可能。大物金型の三次元測定機への搬送、測定機での段取り作業を削減、必要に応じてそのまま修正加工が可能。トータルリードタイムを削減。
 ・年間を通して変化する床面水平度の影響を受ける大型加工機の機械精度を校正。
 ・精度マスタとタッチプローブで測定し、自動補正することにより、短時間(最短50 分)で校正が可能。校正により2m 四方の空間において11μm(実測値)の精度を実現。
 ・精度マスタを用いた校正で、異なる機台間の精度ばらつきの低減が可能。
 ・計測した加工結果と加工時の機械状態を紐づけて記録でき、加工改善の分析を容易化。

(2) 空間補正技術と熱変位制御技術「サーモフレンドリーコンセプト」の融合
 ・各軸の6 自由度誤差(X 軸・Y 軸・Z 軸方向の3 つの動きに、さらに各軸周りの回転という3 つの動きを加えた6 つの動き)を含む空間誤差を、独自の空間誤差モデルを用いて高精度に補正。
 ・5 万台の販売実績を誇り、AI 技術を活用した熱変位制御技術「サーモフレンドリー コンセプト」により、環境温度8℃変化におけるコラムの倒れ変化量1.7μm/200mm(従来機比1/5)を実現。
 ・空間補正技術と「サーモフレンドリーコンセプト」を組み合わせることで、加工空間全域での高い機械精度を低コストで維持。高コストな恒温設備は不要。

(3)機械精度の安定度を自己診断、最適状態を機械がアナウンス「精度安定診断機能」
 ・熱変位制御技術の開発過程で蓄積したビッグデータより構築した独自のアルゴリズムで、床面水平度の変化、機械精度の変化を推定。
 ・床面水平度や機械精度の安定状態を数値化して見える化。
 ・加工、計測、校正の最適なタイミングをアナウンス。
 ・診断結果を当社IoT ソリューション「Connect Plan」を用いて分析可能。工場環境の改善を促進。

3Dキャリブレーション

精度安定診断による床面水平度の見える化

【告知】三井精機工業 「MTF2020」が1月29日から本社工場を皮切りにスタート!

 三井精機工業が主催するプライベートショー「MTF2020」が本年1月29日(水)から本社工場を皮切りに、名古屋、大阪で開催する。 今回のテーマは、「技術、技能の継承 ~100周年に向けて~」。毎年好評の特別セミナーでは、本社工場 1月30日 10:30から、「航空機業界の展望と工作機械について」を演題にIHI航空・宇宙・防衛事業領域 生産センター 生産技術開発部 主任調査役 落合宏行氏が、名古屋会場では 2月6日 13:30から「100 年に一度の大改革期におけるエンジン・駆動ユニットの取り組みと方向性」をトヨタ自動車 エンジン生技部長 泉俊宏氏がそれぞれ講演する。なお、大阪会場は(1月1日現在)講師は未定だが、コンプレッサ関係のセミナーを予定している。

展示機

■コンプレッサ ・ZV37AX-R(屋外仕様) 《参考出展》 ・ZV08AX-R ・ZV15AX-R (HACCPシステム) ・Z08AX-R ・Z15AX-R ・ZV22AX-R IoT接続(Z-cloud) ・ZV37AX-R ・ESCAL45A2R ・i-14015AX-R (HACCPシステム)《ココに注目!》 HACCP(ハサップ)とIoTにスポットを当てる。HACCPとは食品製造における食中毒や異物混入などの危険因子を予防することを目的とした衛生管理システム。圧縮空気には、コンプレッサ内のオイル、配管内の錆、カビ、細菌、チリなどさまざまな異物が混入する可能性があり、それを防ぐためのシステムを提案する。■工作機械◎プレシジョン・プロファイル・センタ 「PJ812」 BT50仕様 《新仕様》 JIMTOF2016で公開されたPJ812」は主軸テーパーが40番クラスだったが、50番クラスのテーパーが欲しいとの声に応えて、今回新たにHSK-A100の12000回転主軸を搭載した新バージョンを開発。粗加工から仕上げ加工まで幅広い範囲に対応する。◎5軸立形マシニングセンタ「Vertex55X Ⅲ」 2APC仕様 《新仕様》 今回は初の2APC付き仕様で自動化の提案を行う。機内へのアプローチは構造的に機械前面からしかできないため、パレットの搬出入装置を前面に置くと段取り作業ができな くなってしまうが、今回開発した2APCは段取り作業も考慮した内容となっている。◎ねじ研削盤 「GSH200A」 《本社工場のみの展示》 前回のJIMTOFで初出展した機械。今回はボールねじの加工に焦点を当てる。長尺ボールねじの加工で最も難しいのは有効径の管理であり、従来は熟練の技能が必要であり、こ作業の自動化はボールねじを加工する企業すべてに望まれていることを受け、 開発途中ではあるが、この有効径自動測定&補正機能を「GSH200A」にて紹介する。

各会場と開催日時

◆本社工場 日時:1月29日(水)10:30~16:00、 30日(木)10:00~16:00 場所:三井精機工業本社工場アクセスはこちら↓http://www.mitsuiseiki.co.jp/company/access/tabid/65/Default.aspx◆名古屋会場 日時:2月5日(水)10:30~16:30、 6日(木)10:00~16:00 場所:ポートメッセなごや 3号館◆大阪会場 日時:2月18日(火)10:30~16:30、 19日(水)10:00~16:00 場所:花博記念公園鶴見緑地『水の館』 (ハナミズキホール)

タンガロイ 溝入れ加工用工具「TungCut(タング・カット)」 インサート及びホルダ拡充

 タンガロイはこのほど、溝入れ加工用工具「TungCut(タング・カット)」のインサート及びホルダを大幅に拡充し、発売を開始した。

 今回は汎用性が高く、溝入れと横送り加工が可能なDTE形インサートにコーナR0.2及び0.8を拡充する。溝入れ専用材種AH7025との組合せにより、荒加工から仕上げ加工まで幅広い溝入れ加工に対応する。

 また、兼ねてから好評のTungModularSystem(タング・モジュラー・システム)に外径端面浅溝加工に対応したブレードも拡充した。ブレードは2種類で溝幅2~6mmまでに対応。さらにTungCut(タング・カット)の最大溝深さ違い一体型ホルダを拡充設定した。

 これにより、溝入れ加工で重要である最適な突出し量での加工が可能となり、びびりを抑制し安定した加工を実現する。

■主な特長
 (1)DTE形インサートにコーナR違い仕様を設定。
 (2)TungModularSystem(タング・モジュラー・システム)に溝幅2~6mmに対応した外径端面共通ブレードを拡充。
 (3)最大溝深さのレパートリーを拡充。

■主な形番と標準価格(いずれも税抜)
●インサート
 ・DTE3-020 AH7025:2,080円
 ・DTE4-080 AH7025:2,190円
 ・DTE5-080 AH7025:2,420円

●一体型ホルダ
 ・JCTEL2012H2T18:15,400円
 ・CTER1616-3T12:13,100円
 ・CTER2525-6T16:17,600円
 ・CTER3232-8T32:27,700円

●ブレード
 ・CAEFR-4T04-CHP:18,000円
 ・CAEFR-6T04-CHP:18,000円

三菱マテリアル センタリング・面取り加工用超硬ソリッドドリル “リーディングドリルシリーズ”「DLE」の先端角を追加

 三菱マテリアル 加工事業カンパニーは、センタリング・面取り加工用超硬ソリッドドリル “リーディングドリルシリーズ”「DLE」の先端角度を追加し、このほど販売を開始した。

 この製品は、複合旋盤、小型自動旋盤で使用されるセンタリングや面取り加工などに対応したドリル。今回、先端角60°、120°、145°を追加し、使用用途の拡大を図る。

 主な特長は以下の通り。

 ① 中心部の切りくず排出スペースにより、食い付き性が向上し良好な穴品位を実現。
 ② 良好な食い付き性と切れ味の良い刃先形状は、切削抵抗が低いことにより、動力の小さい小型自動旋盤での加工に最適。
 ③ 二段先端角60°、90°は中心部の強度を確保し、突発欠損を防止。
 ④ 先端角60°、120°は先端角90°以外の面取り角部に対応し、シャフト部品や油圧部品、産業機器部品に最適。
 ⑤ 先端角145°は後工程の先端角143°未満のドリルが中心から食い付くことにより、ドリル肩部が接触せず加工精度が向上。

標準価格
 ・DLE0300S030P060 DP1020: 6,770円
 ・DLE1200S120P060 DP1020:15,580円
 ・DLE0600S060P120 DP1020: 9,310円
 ・DLE0800S080P145 DP1020:11,270円
 (いずれも税抜価格)

2019年11月分工作機械受注総額は816.7億円 日工会 

 日本工作機械工業会がこのほどまとめた2019年11月分の受注実績は以下の通り。
2019年11月分工作機械受注総額は、816.7億円(前月比△6.6% 前年同月比△37.9%)となった。受注総額は、2013年4月(819.6億円)以来79カ月ぶりの850億円割れ。1,000億円割れは4カ月連続。国内外とも厳しい受注環境が継続。

 内需は313.7億円(前月比△6.1% 前年同月比△45.5%)で、一般機械を中心に需要が低迷し、2カ月連続の350億円割れと低調。11月としては2012年(298.6億円)以来7年振りの350億円割れ。  

 外需は503.0億円(前月比△6.9% 前年同月比△32.1%)で、主要3極とも力強さに欠け、4カ月連続の550億円割れ。11月としては2009年(320.5億円)以来10年ぶりの550億円割れ。

 米中貿易摩擦により、内外需とも設備投資需要は弱含みの状況が続く。今後も通商問題や、中国経済の回復動向、地政学的リスク等を注視。

11月分内需

313.7億円(前月比△6.1% 前年同月比△45.5%)。

・2カ月連続の350億円割れ。11月の350億円割れは、2012年(298.6億円)以来7年ぶり。
・前月比2カ月連続減少。前年同月比12カ月連続減少。
・国内需要は一般機械を中心に様子見が続く。


(出所:日本工作機械工業会)

11月分外需

503.0億円(前月比△6.9% 前年同月比△32.1%)

・4カ月連続の550億円割れ。11月の550億円割れは2009年(320.5億円)以来10年ぶり。
・前月比3カ月ぶり減少。前年同月比14カ月連続減少。
・欧州で前月比増加も、主要3極全てで低水準の受注が継続。


(出所:日本工作機械工業会)

ヤマザキマザック プライベートショー「DISCOVER2019」を開催 ~新しい100年へ~

組立エリア
組立エリア
 ヤマザキマザックが11月25日(月)、プライベートショー「DISCOVER2019」を開催し、多くの来場者で賑わった。

 また、今回、美濃加茂製作所の第一工場、第二工場がデジタル統合を果たした。2つの生産拠点のあり方を見直し、「Mazak iSMART Factory」としてスタートする。第一工場を「組立」「管理部品」に、第二工場を「部品加工」にそれぞれ専用化し、IoTやAIの力を活用しながら今後事業を展げていく。最終目標は「生産スピードを1.5倍向上させる」ことだ。新しい100年に向け、就業人口の減少を反映して導入が進むロボットの保守に対する目配りも忘れてはいない。

美濃加茂製作所 iSMART Factory へ進化! 第二工場は部品加工専用に

工場内はAGFが活躍。自動立体倉庫を通じて、機械へ材料を供給したり、加工完了品の収納を行う
工場内はAGFが活躍。自動立体倉庫を通じて、機械へ材料を供給したり、加工完了品の収納を行う
 業務効率を高める上で注目されるのが、ムダ・ムリ・ムラの撤廃である。確か、国内自動車大手も標榜していたように記憶する。例えば、重複する作業内容を見直し、得意の分野で活躍させ、後に集約することが考えられる。そこで、マザックは第二工場を部品加工専用とする英断に達した。特長は次のとおりだ。

 第一に、コントロールセンタと加工現場をつなげ、すべての加工機械のリアルタイムな稼働環視とアラーム情報等の一元管理が可能になったこと。「Mazak AUTO FLEX CELL」の導入も見られ、多品種少量生産の長時間無人運転を可能にする次世代自動化ラインとして、自動化対応複合加工機「INTEGREXi-450HS」4台と多関節ロボット2基で構成している。AGFL(無人フォークリフト)が長大な「MAZATEC SMS」(自動倉庫機能を備えたパレットストッカータイプの大規模自動化システム)や「MPP」(マルチパレットストッカータイプの自動化システム)の間を往き来し、完成品や治具、工具の自動搬入出を行う光景は実に近未来的だ。また、画像処理による段取り支援システム「SMOOTH PHOTO SETUP」の導入により、段取り時間を大きく削減することことができた。段取りはこれまで加工機の中で行ってきたが、新システムは一度セットされた状態を画像で残し、そのアウトラインを次の対象物に応用するもの。機外で段取りを行うため、機内での加工作業はそのまま停止することはない。生産性向上は目に見えて明らかだ。

高精度加工エリア
高精度加工エリア
 第二に、AM(アディティブマニュファクチュアリング)を加工現場に導入し、リードタイムの短縮とコスト削減を図ったこと。従来、切削→焼き入れ→切削→研削の一連の工程をそれぞれのマシン複数台でこなしてきたが、今般ハイブリッド複合加工機「INTEGREX i-200S AM」を導入したことで研削前の3工程に要する時間はわずか1日に。実に10日間のリードタイム短縮を実現し、驚異的な躍進となった。

 第三に、「これがまったく新しい取組み」とするRFID(無線電子タグ)とAGFL(無人フォークリフト)を活用した工場内及び工場間の物流管理と仕掛品の最適化である。RFIDは第一工場にも導入されており、第一第二双方の工場で位置と数量、滞留期間を確認して、個々の部品を適正に配置し、仕掛品の削減を図るものである。部品が適正に配置されていない場合に色分けして知らせるアラーム機能を備え、それぞれの工場内の、あるいは両工場間の的確なデリバリーを約束している。その名を「ID TRACKING PLUS+」という。一方、AGFLは夜間の作業と省人化をねらったシステムで、素材や完成品、切粉を適材適所に搬送するため、今年3月に導入された。現在3台を有し、今後は台数を増やしていきたい考えだ。こうして、第二工場はショールームの役目を果たしつつ、しっかり事業を前進させている。

第一工場はエコ&クリーンな恒温組立専用工場 ZDT on Mazak iCONNECT」がめざすもの

自動化複合ライン。大容量自動倉庫を生産システムに組み込んだ
自動化複合ライン。大容量自動倉庫を生産システムに組み込んだ
 特長の第一は、最新の空調設備とエネルギー管理システムによってCO2排出量を約30%削減し、LED照明化によって照度600lx以上を工場全域で確保している点。クリーンな環境を実現した。第二は、組立エリア全域を±1℃以内に温度管理した大規模恒温工場であること。そして第三に、組立と検査に関する記録をデジタルデータ化することで品質およびトレーサビリティを向上させた点が挙げられる。組立と検査に関するあらゆるデータを作業者がタブレット端末へ入力することで製品情報の検索も容易になり、調査が必要になった場合、その追跡が可能になるほか品質の安定化につながる。
 
 第一工場と第二工場のデジタル統合により、リアルタイムでそれぞれの進捗状況が管理できるようになった。目標は「生産スピード1.5倍向上」、市場の要請に応える。

sss-ph-7 画像処理による段取り支援システム「Smooth Photo SetUP」
sss-ph-7 画像処理による段取り支援システム「Smooth Photo SetUP」
 製造現場では今、労働人口の減少や熟練作業者の不足への対応とさらなる生産の効率化を目指して、ロボットの導入が進んでいる。一方で、ロボット1台のトラブルが生産ライン全体を停止させてしまう懸念から、ロボットに対する保守サービスのニーズが高まっている。

 ファナックとシスコシステムズは2015年、ロボットに対する保守診断機能「ZDT(ゼロダウンタイム)」のクラウド対応を開始した。同年よりマザックもシスコシステムズと工作機械のIoT化に関する協業を進めており、2018年、コネクティッドサービス「Mazak iCONNECT TM」を発表、2019年よりサービスを始めた。「ZDT」と「Mazak iCONNECT TM」はともにシスコシステムズのプラットフォームで構成されていることから、今回機能連携が実現した。

 「ZDT」は壊れる前に知らせる予防保全を重視したシステム。壊れてしまってからの復旧コストと作業者負担の観点からも重要である。「Mazak iCONNECT TM」は不測のマシンダウンを防ぎ、仮にマシンダウンが発生した場合でもプラットフォームを通じてファナック製ロボットに「ZDT」の保守サービスを提供する。

テクノロジーのその先へ

sss-ph-9 「サンダーバード」に夢託す
sss-ph-9 「サンダーバード」に夢託す
 第一工場入口に、技術が織り成す未来に価値を求めるマザックの理念を具現化するような「サンダーバード」が展示されている。TV番組「サンダーバード」はスーパーメカを駆使して、地球規模の災厄から人々を救出する物語。軽快なマーチングに乗って各号機が救出に向かうシーンは感動的で、正義感に燃えるキャラクターたちの活躍ぶりに胸が高鳴ったことを覚えている。CGなど無い時代のこと、各号機が持つ秘密めいた性能の魅力もさることながら、人形の精巧な動きに見入ったものだ。この番組が放映されたしばらく後、「人類の進歩と調和」をテーマに大阪万博が開かれた。夢の未来形として出展された動く歩道やモノレール、リニアモーターカー、電気自動車、携帯電話、缶コーヒーなどはことごとく実現され、テクノロジーによって未来がもたらされた形だ。
 
 今日、ものづくりの現場でIoTやAIをはじめとする新たなテクノロジーが注目されているが、大切なのはテクノロジーそのものではなく、テクノロジーの先にひらけた未来の姿であるだろう。「サンダーバード」も大阪万博も、目指したのは未来であり、人類の幸福だった。マザックも同じ地平を目指す。創業100年。また新しい100年がスタートしたが、「技術で社会や未来に貢献する」姿勢は変わることがない。

(文・写真:ワカバヤシヒロヤ)

日本金型工業会 「第46回金型の日」記念式典を開く

 日本金型工業会(会長=小出 悟 小出製作所社長)が11月25日、東京都内のホテルインターコンチネンタル 東京ベイで「第46回金型の日」記念式典を開いた。

 金型の日は、昭和32年11月25日に日本金型工業会が設立されたことから毎年11月25日を金型の日と定め、毎年、記念式典を開催している。



あいさつする小出会長
あいさつする小出会長
 あいさつに立った小出会長は、「金型の日は、当工業会にとって総会に並ぶ大きなイベントの一つ。中でも本日は、メインと言ってもいい優良従業員表彰がある。常日頃、皆さまの優秀なる技術や協力の下に金型業界が反映されている。企業・組織というものは、人で成り立っていることは紛れもない事実であり、優秀な人材が多く集まって活動している。」と感謝の意を表した。また、世界情勢にも触れ、「私たちは、個別、個の努力だけでは何ともならないような時代に遭遇している。混沌として見えづらい状況下にあることもまた事実だろう。こういう時にこそ、一致団結。一枚岩になった集団こそが、私は突破力のある強い集団だろうと思っている。多くの人たちが力を結集していけば、苦しい状況でも乗り越えていくことができるんではないかと確信している。」と力を込めた。

 続いて、永年勤続優良従業員表彰が行われた。被表彰者代表の答辞のあと、国家叙勲授章者への記念品贈呈、会員増強協力者へ感謝状・記念品贈呈、永年勤続事務局員表彰が行われた。

 来賓を代表して松本真太郎 経済産業省製造産業局素形材産業室長が、「素形材産業は男の産業みたいなイメージがあるが、結構女性も多く活躍している。人材確保が厳しい中でこの工業会は、金型小町という取り組みを熱心にやってこられた。近年、海外との競争が激しさを増しているが、ぜひ皆さま方の技術力と新しい製品提案力をもって、日本産業の要のところを、お支えいただいて、さらに発展していただきたい。」と声援を送った。

 池上正信 池上金型工業社長による記念講演のあと、懇親パーティが開かれ、親睦を深めた。

懇親会は牧野フライス製作所 井上社長の乾杯の発声で開宴した

■第46回金型の日永年勤続優良従業員表彰者
<東部支部>
 イースタン技研(株) 後藤伸一
 イースタン技研(株) 髙橋 悟
 (株)オギハラ 白澤英維
 (株)オギハラ 中田由多佳
 (株)オギハラ 吉田展久
 (株)オギハラ 松島 泉
 (株)オギハラ 阿久津輝夫
キヤノンモールド(株) 冨田 浩
キヤノンモールド(株) 宮田州泰
キヤノンモールド(株) 宮嶋正実
キヤノンモールド(株) 熊野 誠
共和工業(株) 西山正春
(株)クライム・ワークス 河西弘幸
 黒田精工(株) 掘田俊雄
 黒田精工(株) 矢口忠義
 小林工業(株) 伊藤英文
 小林工業(株) 三浦 博
 小林工業(株) 須藤具美
 小林工業(株) 小笠原輝一
 小林工業(株) 阿部 淳
(株)サイベックコーポレーション 中垣善一
(株)サイベックコーポレーション 中村良次
 昭和精工(株) 海老澤紀道
 昭和精工(株) 土肥 充
 昭和精工(株) 林 健一
 昭和精工(株) 山田和義
(株)シンセイ 松下重孝
(株)シンセイ 鷺谷 洋
(株)鈴木 山口清子
(株)鈴木 大峡正史
(株)鈴木 渡辺金司
精技金型(株) 小久保敏美
精技金型(株) 鵜川喜智男
(株)中越製作所 鋤柄義明
(株)中越製作所 諸星公孝
 東洋ガラス機械(株) 杉市 勇
 東洋ガラス機械(株) 関 雄一郎
(株)長津製作所 小野 篤
(株)長津製作所 平本一弘
(株)長津製作所 李 軍
(株)長津製作所 達田康介
 日型工業(株) 三瓶政美
 日型工業(株) 小島由雄
(株)富士テクニカ宮津 佐藤文彦
(株)富士テクニカ宮津 冨岡正義
(株)富士テクニカ宮津 佐藤真彦
(株)富士テクニカ宮津 芳賀基樹
(株)富士テクニカ宮津 金井則之
(株)富士テクニカ宮津 小野博之
(株)富士テクニカ宮津 岩崎 守
(株)富士テクニカ宮津 峰田将充
プロトラブズ合同会社 横田哲哉
マルスン(株) 望月良二
マルスン(株) 望月勇世
マルスン(株) 野村圭佑
マルスン(株) 西脇貴雄
マルスン(株) 松浦弘明
マルスン(株) 木岡孝夫
マルスン(株) 芝木啓人
マルスン(株) 望月信吾
マルスン(株) 永澤裕人
マルスン(株) 清 幸正
マルスン(株) 佐野公俊
(株)三井ハイテック 佐々木勝弘
(株)三井ハイテック 荒川広一
(株)三井ハイテック 三井博之
(株)三井ハイテック 山内鉄平
(株)三井ハイテック 山田昇一
(株)三井ハイテック 野口昌利
(株)三井ハイテック 島本洋二
(株)三井ハイテック 吉田明広
(株)三井ハイテック 松本充永
(株)ミナス精工 宮内英之
(株)ミナス精工 白石泰祥
 (株)明輝 能登祐介
 (株)明輝 林 真人
 (株)米谷製作所 山﨑弘行
 (株)米谷製作所 清水孝良
 (株)米谷製作所 中村義幸

<中部支部>
 魚岸精機工業(株) 浮橋敏彦
 魚岸精機工業(株) 川崎 勝
 魚岸精機工業(株) 森田浩二
 (株)エムエス製作所 海川弘明
 (株)エムエス製作所 堀井 学
 大垣精工(株) 安藤寿康
 大垣精工(株) 浦山凉一
 大垣精工(株) 金子将啓
 大垣精工(株) 沢井 学
 大垣精工(株) 橘 峰広
 大垣精工(株) 田中大補 
 大垣精工(株) 林 隼也
 大垣精工(株) 松平豪俊
 大垣精工(株) 南村洋行
 大垣精工(株) 森山大典
 大垣精工(株) 吉田裕次
 (株)小出製作所 鈴木友貴
 (株)小出製作所 山内和弘
 シミズ工業(株) 石原文夫
 (株)ナガラ 足立光好
 (株)名古屋精密金型 工藤大樹
 (株)名古屋精密金型 國生泰浩
 (株)名古屋精密金型 米光留美
榛原工機(株) 石川幸生
日嶋精型(株) 池田耕司
日嶋精型(株) 佐野淳一
(株)ホーエ 賀久哲義
(株)ホーエ 田村 寛
(株)丸順 今西栄二
 (株)丸順 川辺和仁
 (株)丸順 棚橋ゆかり
 (株)丸順 山北卓治
 (株)三幸 炭谷正義
 (株)明和製作所 小島 亮
 (株)明和製作所 藤島史明
 (株)明和製作所 堀越隆志
 (株)明和製作所 村田 仁

<西部支部>
 (株)伊吹機械 田中治男
 (株)伊吹機械 脇坂仲之
エスバンス(株) 桂田伸隆
エスバンス(株) 金谷冬夏
 (株)タカギ 安達 良
 (株)ヤマナカゴーキン 天野良成
 (株)ヤマナカゴーキン 奥林裕正
 (株)ヤマナカゴーキン 中平亜希子
 (株)ヤマナカゴーキン 深澤政彦

■令和元年度叙勲授章者
〇旭日小綬章 (株)タカギ 代表取締役会長 髙城壽雄
〇旭日単光章 (株)田口型範 代表取締役社長 田口 順
〇旭日単光章 元(株)キメラ 代表取締役 宮﨑秀樹

■令和元年度 会員増強協力者表彰受賞者
 (株)小出製作所 小出 悟

■令和元年度 事務局職員表彰者
 川田明美(永年勤続表彰20年)

「金型の日」を迎えるにあたって
日本金型工業会 会長 小出 悟

 本年は元号が令和に変わり、日本の新たな時代の幕が開き、(一社)日本金型工業会の一大行事である第46回「金型の日」を迎えるに当たり、気も引き締まる思いがいたします。

 一昨年スタートした金型マスター認定制度も、継続は力なりの言葉のごとく第二期生36名を輩出し、さらには一期生71名の中から19名のシニア金型マスター認定者という新たな、業界の宝となりうる人材を創出できましたことは、この上なき喜びであり又それにご尽力いただきました関係者の皆様方には、ただただ頭の下がる思いで一杯です。ありがとう御座いました。

 現在私たちを取り巻く環境は必ずしも良い状況であるとはいえません。グローバルな社会情勢の変化に振り回されるそんな時代であると言えるでしょう。このような時代であるからこそ慎重に構えながらも能動的な行動を積極的にとる必要があり、今まで以上に産・官・学の連携を通し今後を見直すべき時といえるでしょう。今、一つの取り組みとしてまさに官主導で金型取引適正化推進協議が進展しています。私も委員として何度か意見具申をさせていただきましたが、金型代金の前金制度など画期的ともいえる改善がなされようとしています。時代のうねりは激しく容赦なく我々に襲い掛かって来ます。IoT・AI技術はまさに我々の社会を一変させる技術でしょう。働き方改革はさらにその新技術の発展を助長し、そのことが人材不足問題を結果的に改善する糸口にもなることでしょう。このような環境がさらに進む中では法的には「官」の力を知識的には「学」の力を、両者と友好的に連携を組み個社の努力の及ばないことに果敢にチャレンジすることこそが、日本の金型業界の安定と発展に寄与するものと信じ、日本金型工業会として積極的に、そのことを新ビジョンに認め、広く周知のものとし、新元号にふさわしい業界作りを行うことが役割であると考えています。

 (一社)日本金型工業会が中心的存在となり、金型産業を安定的に発展させるためにも会員企業の皆様はもとより、関連団体、官公庁の皆様の更なるご指導・ご鞭撻ご協力をお願い申し上げ、金型の日を迎えるにあたり私のご挨拶とさせていただきます。

天田財団が2019年度助成式典を開催

あいさつする岡本理事長
あいさつする岡本理事長
 公益財団法人 天田財団(代表理事理事長=岡本満夫氏)が11月30日、FORUM246 246ホール(神奈川県伊勢原市)で「2019年度助成式典」を開催した。

 岡本理事長は、「金属加工というモノづくりを通じ、継続して世界の人々の豊かな未来を実現することがアマダグループの責任との思いから、天田財団は金属加工の研究への助成を通じて、産業・経済の発展に寄与することを目的とし、企業財団として設立した。本年度の助成は、95件、総額2億5,333万円。設立から1,000名を超える研究者へ助成し、その総額は、29億5,240万円となった。また本年度より、金属加工に従事される皆さまの技能向上に有益な技能検定に対する助成も開始した。日本の研究者を取り巻く環境は厳しく、“人材”、“資金”、“環境”の改革が強く望まれている。天田財団は、微力ながらこれらの課題に取り組み、助成金の規模だけでなく“研究者の研究に真に有益な助成”や“若手研究者育成の助成”と、その内容向上にも努めている。金属などの加工に関する優れた研究や、国際交流へ助成し、その成果を実際に使えるよう、産業界へ広く普及啓発することは、天田財団の使命である。本日の助成式典は皆様に、天田財団の思いを受け取っていただき、研究に取り組んでいただく大事なスタート。研究が進展されることを、こころより期待している。天田財団は“知の創出と人材の育成”を支援して、その成果を速やかに、社会や産業に還元し、次の研究や経済の発展につながるダイナミックな循環を目指して今後も活動していく。」とあいさつをした。

経産省 松本 素形材産業室長
経産省 松本 素形材産業室長
 来賓を代表して松本真太郎 経済産業省素形材産業室長があいさつをした。この中で松本室長は、「日本の強みは、ものづくりの技術の高さとその応用・実現力。経産省の支援も産業への実益が生まれ、現場のインセンティブを阻害することがないようにしていくことが大切だ。現在、研究と産業を繋げていくことが課題となっており、経産省も支援していく。塑性加工は日本の産業を支えている基幹産業の一つだが、多少の危機感をもっている。何が重要なのか、どこを伸ばしていくべきか、良い材料、新たな加工法・部品、コスト削減、どのように活用していくのかなどニーズに合致した提案になるよう、各企業ではプロセスマネジメントを進めているが、そのうえで産学連携を進めていかなければならない。日本からグローバルスタンダード生み出していくための大きく変わる節目なのかもしれない。行政からも支援を行うことで、業界から日本、世界へ発展に結びつけていくこと、また、若手研究者の獲得にもつながることを期待しています。」と声援を送った。

 

磯部 アマダホールディングス社長
磯部 アマダホールディングス社長
磯部 任 アマダホールディングス社長が「天田財団は創立から32年という長きにわたり、塑性加工並びにレーザプロセッシング分野への研究助成を通して社会へ大きく貢献してこられた。わが国の企業を取り巻く環境は大きく変化している。少子高齢化や人口減少、“働き方改革”に象徴される“労働環境”の変化は、ますます加速することが予想され、加えてIoTやAIといった“技術革新”が著しく、進展への対応は、我々機械メーカーにとっても必須の課題となっている。企業サイドにおいても、一層研究開発投資、人材育成に努めていく覚悟である。研究者の皆様には、研究活動を通じて、日本初の新たな技術革新に取り組んでいただき、企業のイノベーション喚起にもご尽力いただければ幸いである。これまで一貫して産学の連携にも貢献されてきた天田財団ですが、今後ともますます、大学や研究機関への助成を推進していただき、そして研究者皆様の成果が、産業界の“実”となり、結果として社会に貢献していくという構図を思い描いて、ぜひ研究に邁進されることを期待している。私どもアマダグループも、財団が末永く、幅広い助成を続け、創業者の理念でもある“人々の豊かな未来に貢献”していけるよう、ビジネスを人間中心で考える企業として成長し続けていく。」とあいさつをした。

総評

式典の様子
式典の様子
 青山藤詞郎 天田財団理事 慶應技術大学常任理事による総評は以下の通り。
 
 「天田財団は、“金属材料などを対象にした塑性加工とレーザプロセッシング”の分野から、日本の産業と経済の発展に寄与することを目的としている。具体的には、当該分野の研究に対する助成を通じて“学術の振興・科学技術の創出”を目指している。また、本年度より新たに、それらの加工に従事する方の資格取得に対する助成を通じて、“人材の育成と就労”を支援する。

 2019年度 研究助成事業方針について、①助成金総額は約2億7,500万円を予算化(平成30年度の助成実績は2億6,990万円)、②個々の研究の実情に合わせた助成金研究助成金には使途の費用割合を設けない。他助成金や科研費の合算運用も認める—とした。

 研究開発助成の実績について、本年度は、厳正なる選考の結果、81件・2億4,741万円を研究開発助成として採択した。重点研究開発助成は、7件・6,900万円、一般研究開発助成は、53件・1億3,710万円、若手研究者に限定した、奨励研究助成は、21件・4,151万円。

 本年度は、塑性加工の申請がかなり増加した反面、近年増加していたレーザプロセッシングの申請数がやや減少した。

 国際交流助成の実績は、国際交流助成について、14件・572万円を採択した。国際会議の準備や開催への助成は、3件・150万円、国際会議の参加に対する助成は、9件の357万円、若手限定の国際会議参加への助成は、2件・65万円となった。

 目録贈呈式が行われたあと、東京大学生産技術研究所 古島 剛 准教授による「生体吸収性マグネシウム合金の革新的レーザ大レスフォーミングの開発」、鳥取大学大学院 陳 中春 教授による「金属3Dプリンタを駆使した高機能金型やインプラント製品の成形技術の開発」をテーマにした招待講演会が行われた。