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MTTRFが年次総会および Berkeley Instituteグランドオープン

7月1日と2日の2日間、世界各国より工作機械の研究者約90名が集まり、森精機製作所森雅彦社長の「グローバルな工作機械市場へ向けた活動について」の講演に続き、今後の工作機械の開発や加工技術に大きな影響を与える最先端の研究成果が発表された。
年次総会に先立ち、MTTRF Berkeley Institute(バークレー・インスティチュート)のグランドオープニングが開催されたBerkeley Instituteは、産官学における実用的な協力関係を強化し、教育や研究活動を通じて優れたエンジニアを育成するための機関として開設された機関であり、全米だけでなく世界でもトップレベルのカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)が所在する街として有名なバークレー市に位置している。
式典では、森社長が「MTTRF Berkeley Instituteで最新・最高の技術が研究・開発され、アメリカの製造業復活に大きく貢献することを願っています」と述べた。
さらに今回、同社製のNTX2000(複合加工機)、提携先のDMG(ギルデマイスター)のUltrasonic20(超音波加工機)、Lasertec20(レーザー加工機)など最先端の工作機械5台を提供した。同社では、今後も工作機械に関する革新的技術の研究開発を行う大学及び公的研究機関を対象に、工作機械の提供など研究助成活動を世界的な規模で進めていくとしている。
※MTTRF(Machine Tool Technologies Research Foundation:財団法人工作機械技術研究財団)
2002年10月に森精機製作所が基本財源を拠出して設立した米国政府公認の非営利財団法人。理事長はカリフォルニア大学デービス校及びバークレー校の山崎和雄教授、理事を森精機製作所社長の森雅彦氏および常務執行役員の岡田夏生氏が務めている。
【MTTRF年次総会 発表内容】
1. 熱的要因による回転軸の位置誤差の測定、モデリングおよび補正
(チューリッヒ大学 Wegener教授)
2. CFRPのエンドミル加工 (金沢大学 上田教授)
3. 簡素な動作軌道を使用する産業機械の位置決め制御における省エネルギー化
(豊橋技術科学大学 内山教授)
4. カリフォルニア大学デービス校での製造研究と教育プログラム
(カリフォルニア大学デービス校 曽雌教授)
5. NC工作機械における送り駆動系の電力消費の分析
(神戸大学 白瀬教授)
6. FSWツールの形状と切削力および切削トルクとの間の実験に基づいた関係性
(ウィスコンシン大学 Pfefferkorn教授)
7. エネルギー効率の良い製造に向けた工作機械の特性と加工方法
(ルーヴァン・カトリック大学 Lauwers教授)
8. 改良したインボリュート歯車の柔軟な製造 (ブレーメン工科大学 Goch教授)
9. マシニングセンタにおけるタッチトリガプローブを用いた機械上測定についての基礎研究
(大阪工業大学 井原教授)
10. ラピッドプロトタイピングの改善および加工により生じる製品寿命の改善についての定量化
(カリフォルニア大学バークレー校 Dornfeld教授)
11. 5軸ミルを使用したメゾスケール音叉型ジャイロの試作 ― 実物試作による製造誤差感度の研究
(マサチューセッツ工科大学 Chun教授)
12. 時間領域シミュレーションのためのフライス加工面生成モデル
(フローレンス大学 Campatelli教授)
13. 円錐台加工の研究 (ダブリン大学 Byrne教授)
14. フライス加工における自動ビビリ検知と抑制 (ブリティッシュコロンビア大学 Altintas教授)
オーエスジーが新プレミアムブランド「Aタップシリーズ」の販売を開始!

タップ加工においては主なトラブルの原因は、切りくず排出時の不安定さにある。
「Aタップシリーズ」は、安定した切りくず排出性を持ち、さらに柔鋼やステンレスなど様々な被削材や幅広い切削領域・機械で使用できるうえに工具寿命も長いという画期的な切削タップ。
製品の特長は、タップの母材には高い耐摩耗性を誇る粉末ハイスを、さらに表面には高い耐摩耗性のVコーティングを採用していること。さらに刃先には、切りくず形状を安定化させる切れ味重視の刃先使用を採用し、溝は切りくず排出を即す不等リード(PAT.)(A―SFT)が採用されている。
■加工事例:SUS304の2D深穴加工
ステンレスは材料の粘りが強く、加工時の発熱も大きく、難削材に分類される。
工具径の2倍の深さの深い穴へのねじ立て加工で他社品が57穴で折損したのに対し、AタップシリーズのスパイラルタップA-SFTでは、約20倍の1000穴を加工してもなお、加工継続可能という耐久性を実証した。幅広い切削領域、異なる切削速度でもばらつきなく安定した加工が可能である。近年、環境に配慮した塩素フリーの水溶性切削油剤による加工が増えており、良好なテスト結果といえよう。
■マシニングセンタにおける高速加工
被削材は中・高炭素鋼のS45Cを15,30,40m/minの異なる切削速度で加工しているが、結果にばらつきがなく、安定加工を可能にした。
■マシニングセンタの能力を活かす切削領域でも性能を発揮
切りくずのつまりやすい横形マシニングセンタでの30m/minという高速切削加工においても、他社品や同社従来品に対してもトラブルのない高い耐久性を示している。
今回発売のAタップシリーズは、以下の2製品を予定している。

①ポイントタップ A―POT
主に、通り穴に使用されるポイント溝を有するポイントタップ。
サイズは、M3~M24までの全29サイズ。価格は、標準価格で2,340円から23,500円。
②スパイラルタップ A―SFT
主に、止まり穴に使用されるスパイラル状の溝を有するスパイラルタップ。
サイズは、M3~M24までの全29サイズ。価格は、標準価格で2,350円~24,400円。
初年度の販売見込みは、60万本、約25億円。
主力工場である日本の八名工場(愛知県新城市)を中心に、アジア、アメリカ、ヨーロッパに展開するタップ生産工場での量産も視野に置き、自動車産業をはじめとする世界中のものづくりの主要拠点にこのAタップシリーズを展開する。
日立ツールが業界初! 仕上げ用刃先交換式工具の4枚刃化を実現!「アルファ ボールプレシジョン マルチフルート:ABP4F形」
日立ツール(社長=田中啓一氏)は、このほど業界初の仕上げ用刃先交換式工具の4枚刃化を実現した「アルファ ボールプレシジョンマルチフルートABP4F形」を発売した。
金型を始めとした、曲面の仕上げ加工に最適で
近年、自動車業界をはじめとした大物金型加工の技術動向は、リードタイムの短縮や高品質化(磨き・砥石レス化)を目的として、現行の工作機械による高精度切削や高速機械を用いた高速切削の取組に関心が高まっている。一例としてCBNインサート工具による仕上げ加工の例も見られるが、工具費や工具寿命が大きな障壁となり広がりに欠けている。
同社では、このようなユーザー動向を踏まえ、検討した結果、独自のインサート固定方法の考案によりインサート式ボールエンドミルの多刃(4枚刃)化が可能となり、CBNインサート工具の領域をカバーする高能率、長寿命、且つ高品質(良好な加工面)な高性能刃先交換式仕上げ用ボールエンドミルの開発に成功、販売に至った。
現状では刃先交換式ボールエンドミルで多刃を採用している例はなく、主な対象製品は刃先交換式2枚刃タイプやソリッド式モジュラー(4枚刃)、ソリッドボールエンドミル(4枚刃)など。
広報担当者は「刃先交換式の2枚刃タイプより高性能を、ソリッド式モジュラー、ソリッドエンドミルより高性能を実現しました。また、刃先交換式の特長である工具管理や操作性のよさや、費用対効果の優位性が期待できます」と述べている。
特長は以下のとおり。
(1) 独自のインサート固定方法により、仕上げ用刃先交換式ボールエンドミルの4枚刃化を実現した。
(2) 最新・最高速マシニングセンターに対応する。
n=5,000~18,000min-1、vf=4,000~20,000mm/minの範囲内で使用可能。
(3) 切削性能 (従来品2枚刃タイプ比較)
・同一切削速度vcの場合、加工能率:約2倍、寿命:3倍以上が得られる。
・同一送り速度vfの場合、寿命:5~6倍が得られる。
【価 格】
・鋼シャンク (φ20~φ30) :25,620~ 47,040円 (税込み)
・超硬シャンク (φ20~φ30) :59,955~183,750円 (税込み)
・インサート (1セット) (φ20~φ30) :11,288~ 15,446円 (税込み)
ヤマザキマザックがインドネシアに現地法人を設立
ヤマザキマザック(社長=山崎智久氏)が、インドネシア市場のニーズにきめ細かく対応するためサポート体制強化の一環として、このほどインドネシア ジャカルタ市内 KELAPA GADING 地区(市街地より東部)に新たに現地法人を設立し、ショールーム、パーツセンタ、トレーニングルームを設け、7 月2 日(火)(現地時間:7 月2 日13:00)にはオープニング式典を行なった。「高い経済成長率を維持しているインドネシアは、2億4千万人と世界第4位の人口を誇る巨大市場で、おもに、輸送機器(二輪車)産業、エネルギー産業が盛んです。当社は、自動車などの輸送機器、航空機産業、オイル&ガス関連メーカなどへの納入実績があり、今後、それらの産業の成長に伴い高機能マシンへの需要が高まっていくことが見込まれます。また、日系企業を含めた設備投資も拡大傾向にあり、これら多くの産業に向けて最新の製品とテクノロジーソリューションを提供します」とコメントしている。同社は、2004年にヤマザキマザック シンガポールの支店をインドネシアに開設し、顧客のサポートを行ってきた。今回、顧客のニーズにきめ細かく対応するため、現地法人を設立し、ショールーム、パーツセンタ、トレーニングルームを設置した。日系企業へのサポートも行う日本人3名を含む計13名でスタートし、今後さらにサポート体制をより強化していくとしている。1.インドネシア現地法人 概要【所在地】 komplek Ruko Graha Bulevar Blok C no.6Jl. Boulevard Raya, Kelapa Gading TimurJakarta Utra 14240 IndonesiaTel +62-21 2937 5280 Fax +62-21 2937 5281(スカルノ・ハッタ国際空港から車で約1時間)【人員構成】 日本人3 名を含む、サービスエンジニア、営業、営業技術、一般事務など計13 名【設備内容】1F ショールーム、2F オフィス、3F パーツセンタ、4F トレーニングルーム計3 台の工作機械を展示するショールーム2:インドネシア現地法人展示機複合加工機・INTEGREX j-200 (日本製)立形マシニングセンタ・VERTICAL CENTER SMART 430A S (シンガポール製)CNC 旋盤・QUICK TURN SMART 150M S (シンガポール製)
ケナメタルが新たに改良された「Romicron®精密ボーリングシステム」でクローズドループボーリングを実現!
ケナメタルの「Romicron®精密穴あけシステム」がこのほどリリースされた。
この製品は、工具を工作機械に取り付けたままでダイヤル調整によって極めて厳しい公差を満たすことができ、数ミクロンの径公差で(1ミクロン = 0.001 mm)、穴間での変動をわずか10分の1ミクロン単位に抑えて、穴仕上げを行うことができる。
最大のメリットは、「Romicron®精密ボーリングツール」を既存の工作機械に使用すると、径公差が数ミクロンの穴仕上げを自動で行うことができること(1ミクロン = 0.001 mm/0.000039インチ)。どのRomicron®工具でも、カートリッジやボーリングバーを使用することにより、2ミクロンの増分でダイヤルリングによる径の調節を行って極めて厳しい公差を達成することができる。調整に関するフィードバックを即座に提供するため、Romicronにはクリック機構が搭載されているため、機械のオペレータは、スケールを見るだけでなく音と感触でも調整の確認をすることができる。
新しいRomicron® AVS工具は、25~79 mm(0.984~3.11インチ)の径範囲に対応し、最大20,000 RPMの高速スピンドルで使用できる。ケナメタルの最新のBeyond™工具など、標準のISOインサートにも対応し、最大120 barの高圧クーラントシステムとも併用できるため、切り屑排出の向上と切れ刃温度の低下も実現する。
工作機械メーカー初! DMG MORI SEIKI UniversityがNIMSの認証を取得

NIMSとはアメリカの金属加工事業団体(Metalworking Trade Association)が、製造業の国際的競争力の維持発展のために設立した資格。今回、DMSUにて行っている技術者育成のためのプログラムが、業界の最高レベルに達していると評価され、認証取得に至った。これまで246団体がNIMSの認証を取得しているが、そのほとんどが大学や技術訓練施設で、工作機械メーカーとしての取得は同社が初めてとなる。

同社では、「今後も当社は工作機械業界を支える有能な技術者を育成するため、さまざまなトレーニングプログラムを実施し、お客様の人材育成と業界の発展に寄与いたします」としている。
■National Institute for Metalworking Skills(NIMS)
創設 :1995年
主催 :金属加工事業団体(Metalworking Trade Association)
目的 :アメリカにある製造業の国際的競争力の維持発展のため設立
実績 :これまで246団体が認証を取得(うち3社が製造業、他多くは学校や技術訓練施設)
三菱マテリアルが“硬脆材加工用ドリル”ダイヤモンドコーティングシリーズ「DC-BSS」を標準化
三菱マテリアルツールズ(社長=滝沢俊夫氏)は、三菱マテリアルが開発・製造する“硬脆材加工用ドリル”ダイヤモンドコーティングシリーズ「DC-BSS」を追加、このほど販売を開始した。
「DC-BSS」は、ファインセラミックスや石英ガラスなどの硬脆材料への穴加工する受注生産ドリルとして好評を博しているが、「DC-BSSを標準化して欲しい」というユーザーニーズに応えるために、今回DC-BSSを標準在庫品として販売することとした。
“硬脆材加工用ドリル”ダイヤモンドコーティングシリーズ「DC-BSS」の主な特長は以下のとおり。
① 硬脆材加工に最適な工具剛性重視の先端形状を採用。
② 当社独自のプラズマ化学気相蒸着(CVD)ダイヤモンドコーティングを適用し、超硬母材に対する高い密着性と優れた耐摩耗性を両立。
③ 従来ドリルでは加工不可能であった硬脆材の加工に最適。
④ ドリル径 0.1mm~2.5mmの標準在庫32サイズとドリル径0.05mm~3.0mmの受注生産30サイズを商品化。
タンガロイが『NS9530』 溝入れ及びねじ切り加工用インサートシリーズを発売
タンガロイ(社長=上原好人氏)は、鋼旋削加工用新サーメット『NS9530』の溝入れ及びねじ切りシリーズの販売をこのほど開始した。
一般鋼旋削用インサートを先行発売し、好評を得ている新サーメット『NS9530』が、従来のサーメットの常識を打ち破った“欠けないサーメット”として驚異的な耐欠損性を実現しておりユーザーの評価も高いことから、同社では今回溝入れ及びねじ切り加工用インサートへ展開することになった。
『NS9530』は新特殊表面技術「PremiumTec」(プレミアムテック)を採用することで、インサート表面の平滑性を大幅に向上し、かつ硬さを低下させることなく靱性を向上させた強靭層を有している。この新技術により、溝入れ加工やねじ切り加工において驚異的な寿命安定性と美しい加工面を同時に実現している。
主な特長は以下のとおり。
●新特殊表面技術「PremiumTec」を採用
インサート表面の平滑化とインサート表面付近の強靭層により、溝入れ加工及びねじ切り加工において驚異的な耐欠損性と優れた加工面状態を提供している。
●『NS9530』
一般旋削の仕上げ加工から中切削加工、溝入れ、ねじ切り加工に至るまで、非常に幅広い用途において、安定した切削性能を発揮し、コストパフォーマンスに富んだ汎用材種である。
ゼネテックが「Mastercam」の最新バージョン「Mastercam X7」をリリース!
ゼネテック(社長=上野憲二氏)は、このほど3次元CAD/CAMシステム「Mastercam」の最新バージョンとなる「Mastercam X7」をリリースした。
今回の新バージョンでは、複数スピンドル・複数タレット搭載のマルチタスキングマシン用モジュール「Mill-Turn」や机上測定オプション「Productivity+」が追加になったほか、新しい切削シミュレーションの搭載、高速加工ツールパスにおける計算時間の大幅改善など機械性能をフル活用し、加工時間の大幅短縮を実現する数々の機能を追加した。
加工スピンドル・複数タレットを持つマルチタスキングマシンのツールパス作成に特化した新モジュール「Mill-Turn」だが、グラフィックを多用したわかりやすいインターフェイスにより、マルチタスキングマシンの機械特性を考慮した各種初期設定から切削・ミーリングのツールパス作成までを簡単に行う新機能。さらに、独自機能の「シンクロマネージャー」を活用することで、各タレットの同期設定や工具交換・アプローチなどの各種イベントをドラッグアンドドロップのみの簡単操作で設定が行える。製品価格は90万円で、Mastercam mill Level-3(マシニング用モジュール)+Lathe(旋盤用モジュール)+Solids(ソリッドモデリングオプション)上で動作する。
東陽テクニカが「走査電子顕微鏡用標準試料」を発売 ~ユーザー自身で性能評価が可能に~
東陽テクニカ(社長=五味 勝氏)は、このほど高分解能電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)の性能を常時モニターができる標準試料の販売を開始した。この試料はi-SEM Laboratory(アイセム:社長=清水健一氏)が開発したもの。高分解能FE-SEMは表面のナノ観察・分析に不可欠な手法として産業界を中心に広く用いられているが、実際に観察に携わっている多くのユーザーはその性能を十分に生かし切れていないというのが実情だ。とくに試料表面の真の情報を持つ画像を得るためには2 kV以下の加速電圧で観察する必要がある。加速電圧がこのように低くなるにつれ、得られる画像の質は試料表面の汚染の度合い、装置の設置環境、さらに装置を操作するオペレーターの技量など、様々な要因により左右される。このため現場では装置の性能表に記載されている分解能から期待される鮮明な画像が得られない場合がほとんどで、その原因はユーザー側の技量不足や装置の設置環境の劣悪さなどとされ、一方的にユーザー側の責任にされているのが現状だ。その結果、“装置の性能表に記されている分解能での観察は除振や防音対策が万全な装置メーカーなどのデモルームで、高度の専門性を有する熟練したオペレーターが装置を操作しなければ得られない”という考え方がユーザーの間に広く浸透している。同社ではこうした現状を打破し、ユーザーの方々に今お使いの高分解能FE-SEMの性能を常にモニターできるよう、今回、FE-SEM分解能モニター用の標準試料を新たに開発したとしている。