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DMG森精機 工具段取り時間を約50%削減する「マガジン操作パネル」をリリース

211220DMG森精機マガジン操作
操作風景

 DMG森精機がこのほど、工具段取り作業を簡単かつ効率的に行う「マガジン操作パネル」の販売を開始した。

 複雑形状部品をワンチャッキングで加工する5軸・複合加工や、自動化システムによる長時間の連続加工を行うことで、機械稼働率を上げて生産性向上を図る顧客が増加する一方で、これらの加工は使用する工具本数が多くなるため、工具登録や工具交換などの工具段取り作業の回数も増加する。一般的な工具段取り作業は、作業者が工作機械の操作盤から工具番号などの工具データを登録し、工具マガジン側に移動して工具の取り付け作業を行うため、使用する工具本数が増加すると、これに比例して操作盤とマガジン間の移動回数も多くなり、工具段取り作業に時間を要する課題があった。

 同社はこうした加工現場の課題を受けて開発した「マガジン操作パネル」は、工具マガジンに配置した工具マガジン専用の操作パネル。従来のように工作機械の操作盤と工具マガジン間の移動が不要となり、マガジン操作パネルで工具データを登録後、すぐに工具マガジン内に工具の取り付け作業を行うことができる。また、マガジンポットへの工具割り付けや登録済工具の検索・呼び出し、メンテナンスが必要な工具の抽出など、工具段取りに必要な全ての操作をタッチ式のパネルから短時間で行うことができ、従来の仕様より工具段取り時間を約50%短縮する。さらに、マガジン操作パネルは使用中の同社の工作機械へも搭載可能で、既存設備の更なる生産性向上を実現したい顧客にも最適である。

〈主な特長〉

●工具マガジンに配置したタッチ式の操作パネル
 ・工具段取り作業時に工作機械の操作盤と工具マガジン間の移動は不要
●工具段取りに必要な全ての機能を搭載
 ・取り付け済み工具の検索、呼び出し
 ・取り付けする工具データの割り付け
●異常工具フィルタ機能により、メンテナンスが必要な工具を表示
●手袋を付けたまま操作可能
●既存設備への搭載可能

↓↓動画はこちら↓↓
https://www.dmgmori.co.jp/movie_library/movie/id=5943
 

5軸加工機操作の基本をわずか8時間で習得! DMG森精機の「デジタルアカデミー」に新コース

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デジタルアカデミー「5軸加工機ベーシック」受講画面

 DMG森精機がこのほど、オンライン学習コンテンツ「デジタルアカデミー」で、新たにeラーニング「5軸加工機ベーシック」の提供を開始した。

 DMG森精機アカデミーにて提供している対面型スクール「5軸加工機ベーシック」コースは、5軸加工機操作やNCプログラミング、対話プログラミングについて実践的な内容を学ぶことができるもので、好評を博している。新コースは、その最大4日間におよぶ講義部分を凝縮し、8時間のeラーニングで学習が可能となった。加工条件・数式といった具体的な知識について丁寧に解説し、豊富な演習に取り組むことで、5軸加工機の基本操作とシーメンス対話機能(ShopMill)を含む基本的なプログラミングを習得できる。

 同社は、2020年6月に「デジタルアカデミー」の提供を開始し、機械加工の知識がない方を対象としたeラーニング「機械加工ベーシック」、「マシニングセンタベーシック」、「ターニングセンタベーシック」を公開し、これまで約600名の教育機関や企業の顧客が受講している。

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デジタルアカデミーの特徴

 

 「図や動画を交えて学習出来て分かりやすかった」、「スマホやタブレットに対応しておりプライベートな時間に勉強できた」、「NC工作機械を利用する企業への就職に役立った」などの反響が寄せられている。さらに、同社の入社1~4年目の社員全員を含む約500名が受講しており、新人・若手教育のデジタル化にも積極的に取り組んでいる。また、「デジタルアカデミー」は、このほど「第6回IMS Japan賞」の奨励賞を受賞した。この賞は、eラーニング/ICT活用教育分野における国際標準化団体「IMS Global Learning Consortium」の日本版組織である一般社団法人日本IMS協会が主催している賞で、標準化技術を用いて優れたデジタル教材やエコシステムを開発している団体に授与されるもの。工作機械操作を総合的に学ぶことのできるeラーニングコンテンツとして、多数の顧客に高い学習効果をご提供し続けていることが評価された。

 今後、同社では2022年には複合加工機、およびレーザ金属積層技術のアディティブマニュファクチャリング(AM)についても、ベーシックレベルのeラーニング制作を計画している。5軸加工機ベーシックと同様に、専門的な加工について取り扱う内容となっており、従来の対面型スクールと合わせて日本国内の加工技術の発展に寄与する考え。

 なお、受講の申し込みは、顧客の設備に関する様々な情報を一元管理出来る登録無料のポータルサイト「my DMG MORI」から受け付けを行っている。同社Webサイトにデジタルアカデミーの紹介動画を公開している。登録不要で体験版コンテンツも利用可能。

●5軸加工機ベーシック↓

https://www.technium.net/school/detail/ol4/ 

●マシニングセンタベーシック↓

https://www.technium.net/school/detail/ol2/

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新たに5軸加工機ベーシックをeラーニング化した全15コースの豊富な講座ラインナップ



 

コマツ 国土交通省の宇宙無人建設革新技術開発の実施対象に選定

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デジタルツイン技術を活用した月面間接機械への適応(イメージ)

 コマツは、国土交通省が「宇宙開発利用加速化戦略プログラム」(スターダストプログラム)の一環として、本年7月決定した「宇宙無人建設革新技術開発推進事業」(国交省主担当、文科省連携)の公募に応募し、このほど「無人建設(自動化・遠隔化)に係る技術」の実施対象の一つとして、同社の「月面建設機械のデジタルツイン技術構築」が選定された。 今後は、省庁連携「無人建設革新技術開発推進協議会」の体制の下、個別の技術研究開発のひとつとして活動をすすめ、我が国が目指す建設事業の高度化の実現と、近い将来の月面等宇宙開発における建設活動に資する研究開発に貢献する。

 月面では現物へのアプローチが困難なため、現場環境や実機を精度良くサイバー空間に再現する「デジタルツイン技術」が非常に重要となる。今回の技術研究開発では、将来の月面建設機械の基盤技術である精度の高い「デジタルツイン技術」の構築可能性を検証するフィージビリティスタディ(実現可能性検証)を行う。具体的には、サイバー空間上に油圧ショベルを作成・動作させ、地球上の実機との挙動と比較することにより、シミュレータの精度を検証する。また、サイバー空間を月面環境に設定し、シミュレータ上の車体挙動を確認することにより、月面建設機械の課題を抽出する。
 

日立建機日本 茨城県と「災害協力包括協定書」を締結

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茨城県土木部関係者による視察

 日立建機の子会社で国内の建設機械の販売や部品・サービス事業などを担う日立建機日本がこのほど、茨城県と「災害協力包括協定書」を締結した。日立建機グループは、今回の協定に基づき、茨城県域で大規模な地震・風水害・その他災害が発生、あるいは発生する恐れがある場合、県が管理する公共施設の復旧作業に関わる建設機材の提供に加えて、デジタル技術を活用した効率的な復旧作業の実現に向け、ICT(情報通信技術)建設機械などの導入・推進についても連携し、協力する。
 
 今後は、計画・調査・設計段階から3Dモデルの導入を検討して、その後は、施工・維持管理でも3Dモデルを継続して連携させることで、事業全体にわたり関係者間の情報共有を容易にするだけではなく、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化、さらには災害にも強く、レジリエントな街づくりをめざした、さまざまな技術的な協業まで幅広く検討していくとしている。

 なお、同社では、日立建機グループの工場・事業所がある茨城県土浦市、ひたちなか市、龍ケ崎市、かすみがうら市をはじめ、日立グループ発祥の地である日立市などの茨城県各市町村だけではなく、2021年11月時点で国内の自治体などと95件の災害協定を結んでおり、今回の協定は96番目の災害協力協定にあたる。
 

【お知らせ】砥粒加工学会の次世代固定砥粒加工プロセス専門委員会「砥石と工作物の弾性波がいざなう研削の世界 ~AEを用いた砥石評価と研削の効率化~」をテーマに研究会を開催

 砥粒加工学会の次世代固定砥粒加工プロセス専門委員会が2月25日(金)、リアル開催は東京都内の御茶ノ水トライエッジカンファレンスにて、webではCisco Webex Meetingを活用したハイブリッドで「砥石と工作物の弾性波がいざなう研削の世界 ~AEを用いた砥石評価と研削の効率化~」をテーマに研究会を開催する。

 今回の研究会について同委員会は、「材料が変形したり亀裂が発生したりすると材料内部に蓄えられていたひずみエネルギが弾性波として放出されるが、この現象をアコースティックエミッション(AE)と呼ぶ。このAEはAEセンサで検知でき、砥粒と工作物の接触のような極小規模な接触でも検知できる。そのため研削加工においては、砥石と工作物の接触の検知に良く使われている。さらに、砥石表面状態の違いにより放出されるAEにも違いが生じることから、研削状態の検知にも利用できる。一方、砥石が変形した際に発生するAEを利用して砥石の縦弾性係数の算出も可能となっている。このようにAEを用いることにより研削時の情報取得や、砥石の特性を得ることができる。いわば、IoTにおける“もの”から生じる情報を得る切り札である。そこで今回はAEを研削加工に生かしている4つの事例について紹介する」としている。

【日時】2022年2月25日(金)13:00~16:50
【会場】お茶の水トライエッジカンファレンス(リアル)&Cisco Webex Meeting(Web)
【住所】東京都千代田区神田駿河台4-2-5 御茶ノ水NKビル(トライエッジ御茶ノ水)11F

詳 細

●13:00~13:05 開会挨拶

●13:05~13:55 講演1.表面波の伝播速度を用いた超砥粒ホイール砥粒層の評価
芝浦工業大学 澤 武一氏

●13:55~14:45 講演2.センサ内蔵型ホイールによる研削加工の見える化
㈱ノリタケカンパニーリミテド 五十君 智氏

●14:45~15:05 <休 憩>

●15:05~15:55 講演3.AEセンサによる研削加工の状態可視化と生産効率化
 長野県工業技術総合センター 長洲 慶典氏

●15:55~16:45 講演4.AEセンサを用いたインライン計測
㈱東精エンジニアリング 高瀬 康治氏

●16:45~16:50 閉会挨拶・事務連絡
(技術交流会:なし)

■参加費
 専門委員会会員:無料 非会員:15,000円 ※会員は5人まで、非会員は2人まで研究会に参加できる。リアルの参加人数が多い場合には相談の可能性有

■申込締切日
 2022年2月11日(金)
(注:当日キャンセルの非会員にはすでに準備費用がかかっているため参加費が発生する)

■その他
 ※ 講演会場でリアルでの参加する人数は40名(先着順)
 ※ 開催に関する詳細情報は参加希望者に後日通知
 ※ 講演者には開催前の状況により,リアルかWebのどちらでの講演かを選択

【問合せ/申込先】
 専門委員会事務局 田附宙美
 FAX:048-829-7046
 E-mail : sf-office@mech.saitama-u.ac.jp

↓申込用紙はこちらから↓
http://spe.mech.saitama-u.ac.jp/mysite5/application2021hybrid.docx
 

反田恭平氏 奈良県荒井知事を表敬訪問、知事表彰を授受

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表敬訪問の様子

 Japan National Orchestraの代表取締役社長であり、第18回ショパン国際ピアノ・コンクールで第2位を受賞した反田恭平氏が奈良県荒井知事を表敬訪問した。県の文化向上への功績を認められ、このほど荒井知事より表彰状を授与された。

 2021年5月に、森記念製造技術研究財団と、反田氏が代表を務めるNEXUSの出資により、持続的かつ発展的な活動を行い、音楽家の活躍の場を創出することを目的として、奈良県を拠点とするJapan National Orchestraを設立、DMG森精機の創業地である奈良を、クラシック音楽を通して、新たな文化芸術創造の地とし、人々に親しまれ愛されるオーケストラを目指して、引き続き、地域社会に貢献する考え。

■荒井知事コメント
 ご縁があり、Japan National Orchestraは奈良県を拠点に活動されています。奈良県がさらなる活躍の励みとなれば嬉しく思います。今後も奈良県は、反田さんとJapan National Orchestraを支援していきます。

■反田恭平氏コメント
 6年かけて挑んだコンクールでプレッシャーもありましたが、Japan National Orchestraのメンバーにも囲まれて、なんとか乗り切ることができました。将来、奈良県に音楽学校をつくる目標があり、鹿の数以上に楽器を背負って歩く子どもたちがこの街にあふれると良いと思っています。海外からも奈良県に留学に来てもらうためには、自身が有名にならなければと思っていました。ここからが本番です。
 

経産省・2021年10月度機械統計 機械工具生産動態調査

経済産業省の2021年10月度 機械工具生産動態調査(機械統計)は以下のとおり。

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(表出所:日本機械工具工業会)
 

日本建設機械工業会 2021年10月度建設機械出荷金額統計まとまる

 日本建設機械工業会がこのほどまとめた2021年10月度建設機械出荷金額は以下のとおりとなった。

  10月の建設機械出荷金額は、内需は1.5%減少の856億円、外需は52.33%増加の1,583億円となった。その結果、内需は2カ月連続の減少、外需は12カ月連続の増加となった。総合計では27.8%増加の2,439億円となり、12カ月連続の増加となった。

 内需について機種別に見ると、油圧ショベル8.1%増加の292億円、ミニショベル3.0%増加の85億円、コンクリート機械54.4%増加の21億円、基礎機械1.3%増加の25億円、油圧ブレーカ・圧砕機19.1%増加の19億円の5機種が増加したものの、他4機種と補給部品が減少し、内需全体では1.5%の減少となった。

 外需について機種別に見ると、トラクタ76.8%増加の156億円、油圧ショベル52.4%増加の630億円、ミニショベル26.7%増加の272億円、建設用クレー188.8%増加の94億円、道路機械93.7%増加の28億円、コンクリート機械34.9%増加の1億円、油圧ブレーカ・圧砕機121.1%増加の8億円、その他建設機械49.1%増加の187億円の8機種と補給部品45.6%増加の202億円が増加した。地域別に見ると、欧州が13カ月連続で増加、北米が10カ月連続で増加、アジアが8カ月連続で増加するなど全9地域中8地域で増加し、外需全体では52.3%の増加となった。
 

【切削工具・周辺機器編】「メカトロテックジャパン2021」でみた各社の動向

 去る10 月20 日(水)から10 月23日(土)までの4日間、ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)で「メカトロテックジャパン2021(通称MECT) 」(主催=ニュースダイジェスト社)が開催され、業界としては、久しぶりの大型リアル展示会ともあって、大いに賑わいをみせた。切削工具・周辺機器も工作機械同様、自動化・省力化の流れを受け、工程短縮による高能率化に貢献するものが目立った。また、製造現場のデジタル化への加速に伴い、便利な工具管理システムなど工場全体の最適化にも踏み込んだ製品にも注目が集まった。

 

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NEOLOGIQシリーズ

 EV市場の拡大を見据えた展示を行っていたイスカルジャパン。EVモータの主要部品加工について、どんな加工ノウハウが必要なのかも分かりやすく展示してあったので来場者にはありがたい内容だった。軽量、耐久性、表面粗さなどのニーズを満たすための特別なノウハウにも応えてくれるうえ、特に困難とされている部分的な中空形状の加工においてもラインナップを揃えており、工具本数とサイクルタイム削減に貢献する工具で来場者を魅了した。「NEOLOGIQシリーズ」では、従来の金属加工の概念にとらわれず、発想の工夫を組み込むことで、加工の可能性を最大限に広げると打ち出している。

211206メカ2 イワタツールは満を持して新製品「ヘリカルエンドミル」を初披露。同社では性能や用途に特化した切削工具の開発に注力しているが、この新製品は、1本の太さで複数の径の穴をあけられるうえに、従来の3~7倍の加工スピードを可能にした商品だ。薄板に穴をあける場合、パワーの少ないマシンだと径が大きくなれば加工スピードを落とさなければならないが、この「ヘリカルエンドミル」を活用すれば、切りくずが巻き付く問題も回避でき、スピーディーに高精度な穴加工が実現できる。特殊工具に焦点を絞っている同社ならではのユニークな提案だった。

211206メカ3 見どころが満載だったオーエスジー。難削材から非鉄金属まで幅広い被削材に対応する人気の「Aブランド」から新製品がズラリと並んだ。中でも高硬度鋼用底刃付きスレッドミル「AT-2」は、ヘリカル穴あけとねじ切りの2つの加工を1本で同時に加工するもので、先端部に荒刃を付け、不可を分散。特殊刃形設計で工具の倒れを抑制し、切りくずも細かく分断することでスムーズに排出し、嫌な突発折損のリスクを低減してくれる。下穴不要の安定加工を実現し、高難度の高硬度鋼加工に最適だ。

211206メカ4 北川鉄工所は高精度なものづくりを高能率で生産するための豊富な商品群を展示。特に注目したいのは薄型2爪平行グリッパ・スケール仕様「NPGT_Sシリーズ」だ。この製品はスケール内蔵をしており、直接ジョーの開閉移動量を測定でき、外径把持時の測定誤差が±2μm以下という高精度で測定できるスグレモノ! 不良品を判別できるので工程内全数検査が可能になる。また、この製品を使用すれば、カウンターを介して数値データを処理するので、測定データをPCなどに取り込むことでワーク情報の管理ができる。製造現場の省人・省力化を可能にするだけでなく、トータルコスト削減に一役買う製品だ。

211206メカ5 住友電気工業は、人気のアルミニウム合金加工用高能率PCDカッタ「ALNEX(アルネックス)シリーズ」が拡充! ポイントはダイヤモンド含有率が高く、アルミニウム合金や鋳鉄の共削りで安定加工が実現すること。また、同シリーズから拡充予定のCVD単結晶ダイヤモンドワイパーブレード「SCV10」も展示されていた。独自の気相合成技術による高強度単結晶ダイヤモンドを刃先に採用し、優れた耐摩耗性によりバリの発生も抑制し、切削のみで鏡面仕上げを実現する。優れた切りくず処理で超高能率加工に貢献する。

211206メカ6 年間で約60件もの新製品をリリースしているタンガロイ。来場者からの熱い視線を集めていたのは「TUNGFORCE(タングフォース)シリーズ」だ。この製品は同社独自のV字底面インサートが特長。「最大能率を実現する〝万能肩削り〟カッタ」と自信を込める。従来品はバックメタルと心厚が不足し、切り込みを上げるとびびりが生じていたが、この製品は、インサートのV字底面形状が心厚を残しつつバックメタルを厚くさせることで高いボディ剛性を実現している。さらなる加工能率と安定性に大きな期待が寄せられる製品だ。

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 BIGでお馴染みの大昭和精機は、昨今のデジタル変革に対応した最新の工具収納棚「ツールセラージェネシス®」を展示していた。汎用性と利便性を兼ね備えた日本製の工具棚だ。引き出しのロック機能はもちろん、このロックを解除するとカメラによる録画を開始。LEDの案内とともにモニタに収納位置を表示するので入出庫ミスの防止にもなる。入庫、出庫、廃却、発注、乳亜、棚卸しにも対応し、再研磨管理や寿命管理に最適だ。また、発注リストなどのデータはエクセル形式で入出力もできる。スマートな工場運営にもってこい! 

 

211206メカ8 ダイジェット工業で目を引いたのは、5軸加工用工具シリーズの「縦横無尽」。同社の強みは材料設計から最終製品までを一貫生産できることだが、まさに長年のノウハウを結集させた自慢の工具シリーズを展示。近年、複雑形状の加工を高能率に行う5軸加工に注目が集まっているが、今回展示した「縦横無尽シリーズ」は、5軸加工が必要となる金型や航空機向けに様々なタイプの工具をラインナップ。加工物に最適な工具材種を選定できることも優位性のひとつだ。嬉しいことにプログラム作成に必要な工具データも提供してくれる。

211206メカ9 日進工具の目玉となったのは、HRC60以上の高硬度鋼に対して、小径サイズの工具で微細形状加工でも高切込みで長時間高能率に加工ができる「MRBSH330」。その鍵を握るのは、新コーティング〝無限コーティングプレミアム Plus〟の採用と中心刃形状の最適化で、切削負荷を低減することで高切込みを可能にした。不等位分割でびびり防止、荒取り加工でも高切込みを実現しつつ、仕上げ加工も可能な高能率3枚刃エンドミルとなっている。また、製品カタログ「NS TOOL ENDMILL CATALOG」を刷新したVol.19も発刊しており、前巻から工具の検索方法や工具情報などを改善している。

211206メカ10 〝ものづくりの世界に革命を起こす〟をスローガンにした不二越のブースには大勢の来場者で賑わいを見せていた。その中でも注目されていたのは、新製品の「アクアREVOドリル マイクロ」。人気のアクアREVOドリルシリーズに小径サイズが加わった。小径ドリルに求められる、①折れにくい、②長寿命、③バラつきの少ない安定加工――の3つの要素を実現した理由のひとつにマイクロドリル専用の超硬材料を新開発したことにあった。超微粒子超硬合金とオリジナル成分設計により硬さと靱性を両立させた。また、剛性と排出性を重視した溝形状に加え、コーティングも超平滑化処理により切削時の抵抗を低減して切りくず排出性を向上させている。

211206メカ11 30年以上、レーザ測定器販売実績が世界シェアナンバー1を誇るブルーム-ノボテストは、製造現場のデジタル化や自動化による生産性効率アップに貢献する製品を展示し、多くの来場者が足を止めていた。人気製品は、機上で工具を測定する「LC-50-DIGILOG」。工具の長/径、摩耗や振れなどの工具測定や、工具の折損、摩耗、チッピング、振れの検知もクーラント環境下でもより高い信頼性を実現している。迅速かつ高精度な工具測定ができるのは、工具刃先をアナログ信号で評価することによる。工具測定と検知時間を最大60%短縮するので高い効率と信頼性を求めるユーザーに魅力的な製品だ。また、機上測定結果の見える化と解析に役立つ「データロガー」で工具とワークの機上測定結果をPC管理できる。

211206メカ12 三菱マテリアルが展示していた耐熱合金旋削加工用コーテッド超硬材種「MV9005」と転削加工用コーテッド超硬材種「MV1020」は、「2021年超モノづくり部品大賞」(主催=モノづくり日本会議/日刊工業新聞社)を受賞した製品。「MV9005」は、新開発のAl-Richコーティング技術の採用で高いAl含有比率に加え、高硬度を備えた(Al,Ti)N膜を採用し、硬さも耐酸化性も大幅に向上。超耐熱合金の高速加工でも驚くほどの耐摩耗性を実現している。一方の「MV1020」は、極めて熱に強く、乾式切削も熱亀裂の発生しやすかった湿式切削でも優れた加工安定性を実現した製品。切削寿命の常識を覆すほどのコーティング技術が完成したとして大注目!

211206メカ13 MOLDINOの注目製品は、立壁と底面の仕上げ加工を極めるための8枚刃エンドミル「ER8WB-ATH(ラジアスタイプ)/ES8WB-ATH(スクエアタイプ)」。金型加工の課題として、ロング刃長エンドミルで金型の立壁仕上げ加工を行うと精度が出ない、修正に工数がかかる、あるいは等高線加工でピックフィードを小さくすると加工時間が長くなるなどが挙げられるが、これらの課題をこの1本で解決するとして注目が集まった。同社によると、この製品を使うことでゼロカットや補正などを低減し、加工の省人化が狙えるという。たわみや振動を抑制する鍵を握るのは高剛性かつ短刃長、接触ポイントが少ない工具設計にある。これらの独自設計により倒れの少ない狙い通りの加工が可能になった。

211206メカ14 〝ツールホルダーで加工を変える!〟をスローガンにしているユキワ精工。〝ホルダーの違いで切削スピードが変わる〟ことに言及し、ツールホルダーの見直しによるコストダウンを提案していた。同社の展示していた「スーパーG1チャック」は、剛性と把握力が高いのが特長で、切削条件を上げても十分に耐えられる底力を持ち合わせている。回転・送りを上げて加工ができればサイクルタイムの短縮が可能なのだ。また、この製品は、横方向に加工負荷がかかってもホルダーの倒れが少ないのでビビリが少なく、ワークの面粗度が向上する魅力を備えている。嬉しいことに「スーパーG1チャック」は、標準品で総合振れ精度(コレットをホルダーに入れた状態での精度)で5μmを保証している。

アマダマシナリー 厚板シャーリング市場、鉄骨FAB向けに開発した「LC-VALSTER」-AJシリーズで鋼材・鉄骨市場に新風!

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LC-VALSTER-6225AJ

 

 アマダマシナリー(社長=田所雅彦氏)が中厚板大板材の高速ピアス加工と高品位切断加工を実現するファイバーレーザマシン「LC-VALSTER-AJシリーズ」のリリースに伴い、11月18日、アマダ富士宮事業所で会見を開いた。

 中厚板大板材を扱う鋼材の加工現場では人手不足や短納期化だけでなく材料特性によるマシンへの負担や粉塵環境の改善などが課題となっている。2018年12月にはJASSによる建築工事標準仕様が改訂され、レーザによる穴開けが可能になったことに加え、2021年4月にはプラズマ切断などで発生する金属粉塵が法規制の対象となり、構機・鋼材業界ではファイバーレーザマシンによる中厚板大板材の切断加工に大きな期待が寄せられている。今回、リリースした「LC-VALSTER-AJシリーズ」は、フルパーテーションや新集塵システムを搭載することで、切断時に発生する有害物質を外部に飛散させず、加工現場の環境面や安全性を飛躍的に向上させている。

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あいさつをするアマダ 磯部社長

 会見の冒頭で、磯部 任アマダ社長が、「グループ会社のアマダマシナリーが担う鉄骨・FAB業界にもともとアマダの商品であったレーザを投入できる運びになった。レーザビジネスを支えているのがファイバーレーザであり、第三世代、第四世代と進化してきた。出力も大出力になり、新たな市場がみえている。これはアマダとしても非常に期待をする心意気も含んでいる」と述べ、「受注は半年で過去最高の数字を出した」と好調な受注環境と、今回の新製品投入が幅広い業界のニーズに応えるものとして期待を滲ませた。

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意気込みを示すアマダマシナリー 田所社長

 アマダマシナリーが市場に見合った新たなレーザ商品ラインナップで市場に貢献するとした理由に、ファイバーレーザによる技術革新が挙げられた。アマダマシナリーの田所社長は、「従来はプラズママシンで切断していた板厚の領域も、ファイバーレーザマシンによって加工範囲が拡大している。また、2018年、法規制の改訂によりレーザ加工での穴開けが可能になり、本年4月からは法規制の強化によってプラズマ溶断が制約対象になった」ことを説明した。また、レーザ切断のほか、中・厚板市場向けに、曲げ、穴あけ、開先加工、溶接などの二次提案の可能性を示唆した。今後は、鋼材・鉄骨市場に向け、レーザマシンの拡販に注力し、顧客のニーズに応えることでアマダブランドのシェア拡大を図っていく方針。

「LC-VALSTER-AJシリーズ」のココが凄い!

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コンセプトについて説明をするアマダ 山梨常務

 中厚板大板材の高速ピアス加工と高品位切断加工を実現するファイバーレーザマシン「LC-VALSTER-AJシリーズ」は、加工サイズ3.0×1.5×および6.2m×2.5m、発信器出力3kW、6kW、10kWをラインナップ。アマダの山梨貴昭常務は、このマシンのコンセプトについて、(1)鋼材業の中厚板加工をレーザ加工へ、(2)高生産性を実現する機能と自動化周辺装置の拡充(3)作業者に配慮した機械設計、の3つを挙げた。

 

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レーザ出力の調整によりケガキの濃淡が調節可能
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 また生産能力についても、プラズマ、自走式ファイバーレーザと「LC-VALSTER-AJ」を板厚別(6.0mm~25.0mm)で製品300個を加工して比較した場合、12.0mmではLC-VALSTER-AJシリーズが2倍の生産能力があることを示した。これは、アマダが保有する加工技術・フライングオプティクス技術による生産能力の向上によるもので、この技術により、工程統合による省人化、消耗品のコスト低減による加工コストの削減に貢献する。

 具体的には、プラズマ加工機では①外径加工→②穴開け加工の2工程作業が必要でもLC-VALSTER-AJシリーズでは、穴・外径ともに1台の加工で済む。また長尺製品を加工した場合、LC-VALSTER-AJシリーズは歪量が93%も減少し、ひずみを抑えた高品位加工が実現する。さらに、プラズマに比べて熱影響が少なく、さん巾を挟めるうえ、アマダ独自の加工技術により安定加工が可能になり、歩留まりの高い自由な配置が実現する。

〈主な特長〉

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作業性やメンテナンス性を考慮した設計構造

(1)中厚板大板切断用大型ファイバーレーザマシンによる高速・高品位加工を実現
 10kWの高出力発信器と「モードコンバーター」を組み合わせることで、高速ピアス加工と高品位加工を併せて実現する。発信器の高出力化に伴い、アマダグループは中厚板加工向け長焦点レンズ用の加工ヘッドを新たに開発している。また、大板材のパレット上でも、機敏に軸移動が行えるフライングオプティクス方式(光走査式)を採用することで加工時間を短縮し、生産性の向上を実現する。

(2)自動化ソリューションで長時間連続運転を実現
 材料搬出は自由度の高いレーザパレットトランスファー(パレット自動交換装置)の他に、オートストレージシステム(材料棚)などを組み合わせることで、レーザ加工を止めることなく次の材料の搬入から搬出までを長時間自動運転を行う。ノズルチェンジャーを標準装備することで、段取り時間を大幅に削減。さらに加工中でも素材段取りや印字・マーキングを自動化するなど、様々な加工ソリューションの組み合わせが可能。

(3)フルパーテーションによる作業環境の改善、安全性の向上を実現
 材料の搬入を行うパレットに、ロバストデザインを採用することで、粉塵の飛散を防止すると共に、エリア分割集塵により集塵効率を最大化。騒音低減にも効果があり、クリーンな作業環境を確保する。また、自動印字・マーキングは人為的なミスの軽減だけでなく、作業者の安全性を飛躍的に高めることができる。

211206加工サンプル2
丸穴の安定加工が実現

(4)止めない加工支援と最先端のインテリジェント機能
 最新のNC装置「AMNC 3i Plus」を搭載し、さらなる安定加工を追求するための最先端の支援機能「レーザ・インテグレーションシステム」により止めない加工を支援する。工数がかかる始業前点検の自動化や加工不良による自動復旧を実現し、ダウンタイムゼロを目指す。これにより生産性が大幅に向上し、作業練度によるバラツキを提言する。また、アマダのIoT「V-factory」により、加工マシンの稼働・保守の状態をリアルタイムに見える化し、顧客のマシンとアマダをつなぐことでマシンの稼働率向上をサポートでき、工場における課題の顕在化にもつながり、経営に役立つ。