「原爆の悲惨さをいち早く伝えた(はがき)」

今日は8月9日。
昭和20年に原子爆弾が長崎に落とされた日です。2005年当時、三菱重工の相川相談役を取材した際に聞けたお話です。既出記事ですがご紹介したいと思います。原爆の悲惨さ、そして戦況下であっても郵便局が機能していたことに驚きます。
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昭和20年8月9日、新型爆弾(原子爆弾)が長崎に投下された。当時、原子爆弾という知識がなく新型爆弾と呼ばれ、その破壊力に人々はなすすべがなかった。このはがきは当時、熊本の第五高等学校の1年生であった相川相談役が被爆直後の長崎の状況を寮の班長の千地萬蔵氏(元大阪市立自然博物館館長・理学博士)に8月13日に知らせたものである。
「敵機と追ひつ追はれつ肝を冷やしながらも約二十時間の後無事長崎に到着いたしました。新型爆弾の威力を眼前に見せつけられた時自分は思はず戦慄するのを覚えました。これが人類自滅の兇器となるかもしれません。被害の跡たるや焼跡と云ふより寧ろ小さな砂漠と云った方がピンと来る程です。周囲の山は一木草悉く枯れ尽くし、正に死の色を呈して居ます。赤黒い死体は、或いは踊ったやうにし、或いは椅子に掛けたまゝあっちこっちに散見せられ、新型爆弾が如何に大いなる力を瞬間的に発揮するものであるか、如実に物語って居ます。幸いにして自分の家は少々の被害を受けただけで家族一同無事でほっと胸をなで下ろしました。長崎は危険なので今日(13日)早朝徒歩で表記の所に待避して居ます。自分のこのはがきには毫も誇張はありません。真実そのまゝです。五高生は未だ余りにも新爆弾を軽視し過ぎてゐます。もっと〱退避も速く待避壕ももっと完備される様に切に御願ひします。先ずはとりあへず御知らせまで、諸兄に宜敷く。」
このはがきは、翌日大村市内のポストに投函され、2~3日後、熊本の五高習学寮に配達されたもの。大村郵便局消印の日付は、昭和28年8月15日。まさに終戦の日である。原爆と終戦直前の最も激しい戦況下においても、郵便局がしっかりと機能していたことに驚かされる。この墨で書かれた貴重なはがきは逓信総合博物館で「原爆の悲惨さをいち早く伝えた(はがき)」として展示されている。
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プロフィール

業界新聞社の取締役編集長を経て、インダストリー・ジャパンを設立。製造現場は日本の底力!をスローガンに製造業専門ニュースサイト「製造現場ドットコム」を運営している産業ジャーナリスト兼フリーライターです。霞ヶ関から錦糸町まで守備範囲が広いのが特長。現場取材は数知れず。些細なことや泥臭いことに真実が隠れているのを知り、今では何より本当のことを言うのが大好き。いつも働く女性と頑張るオヤジたちの味方よ。
ブログでは取材のこぼれ話やお知らせのほか、日常のことを綴っています。拙著「機械ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)が全国の書店、amazonなどのオンラインで好評発売中。月刊ベルダ(ベストブック)でコラムを連載中。
機械振興会館 記者クラブ加盟
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