【業界こぼれ話】ものづくりソフィア会 新会長に増田照彦氏が就任! ~切削工具業界では有名人~
去る5月28日(日)に上智大学四谷キャンパスで「第14回ものづくりソフィア会会員大会」が開催されました。この日は「『持続可能エネルギー社会とものづくり』 ~理工学部での取り組みと人づくり~」をテーマに上智大学理工学部機能創造理工学科准教授 田中秀岳氏の講演会が開かれました。
ものづくりソフィア会とは、ものづくり産業でご活躍している上智大学卒業生が技術談義を通して産学連携推進の一翼を担うことを目的とした会で、2014年5月25日に設立され、2023年4月現在では135名の会員数を誇っております。業界に貢献している有識者といえば清水伸二先生(上智大学名誉教授/日本工業大学工業技術博物館館長(同大学客員教授)、MAMTEC代表)を思い出す方も多いと存じますが、清水先生が同会の創設に尽力しています。これまで会長を担っていましたが、今回、清水先生は名誉会長に、新会長に増田照彦氏が就任しました。
会が発足した経緯について清水先生のお話しによると、業界の生き字引と呼ばれていたいた商工経済新聞社の編集長だった市原信氏と清水先生、そして増田氏の出会いがあったようです。今では新聞社も市原さんも残念ながらなくなってしまいましたが、わたしたち業界専門記者の大先輩でもありました。
「文理融合で交流できたらもっと楽しいはず」と話が盛り上がり、設立に至ったようです。
新会長に就任した増田氏といえば、切削工具業界では有名人です。三菱日立ツール(現MOLDINO)の社長を務め、当時は「ものに真(こころ)ありて まして人」という名言を残し、独自の感性を炸裂させていたことをつい最近のように感じる方も多いと思います。
増田氏は今まで企業や業界のイベント等であいさつに立つことが多く、その内容も非常に個性的で哲学的な内容で人々の心を掴んでいました。今回のあいさつも、また印象的でしたので、製造業界でご活躍されている皆様にあいさつの要旨をご紹介したいと思います。
増田会長就任あいさつ要旨
2014年に理系も文系もない、減益もOB・OGもない、上も下もない、枠を取っ払ってともに夢をみようよ、と発足しました。
ものづくりとは単なるものをつくる「製造」だけでなく、開発から物流、営業、情報システムまでを含めたもの。「プロセスがものづくり」と清水名誉会長の発信から、ものづくりは人づくり、そして出会いづくり、仲間づくりへと、分と理の融合あってはじめてものづくりは始まる会に――――。マクロの地球を見たなら世界中で今まで経験したことのない人災・天災が次々と起こっています。また、今の時代、多くの企業から哲学が薄れてきていると感じています。今まで皆で気づき挙げてきた土台にプラスして哲学が必要になってきています。
経験させて頂いた会社経営の実践哲学では、ひとりひとりが敬愛して認めあったなら、スタッフひとりひとりが生き生きと輝きをもって働く喜びに――――。哲学とは優しさを実践していくこと。
はじめまして、会えてうれしい、ただいま、お帰りなさい、そんなシンプルな一言を口にすることで心は一瞬で変われる。
自分の歩んできた人背は他に変わるものなし。
あなたにしか歩めなかった人生。
あのときがあって今がある。
振り返ってみたなら、ときの宝はプライド。その自分を褒めてあげよう。
年齢、会社の枠なく、様々なジャンルのその人ならではの「ときの宝」を満っているひとりひとりひとりが集ったらどんな化学変化が起きるか分からない。
根底に優しさがあれば、ときは最高の答えを用意してくれています。上智の理念でもある「他社のために・他社と共に」に重なり偶然ではない。
今の地球の惨状に立ちつくしたり、絶望することなく、ミクロのわたしたちには会社などの枠を超えて、人と人が手と手を繋ぎ合うことでできることがあることを教えてくれている。
流るゝ雲という哲学があります。
今日のような爽やかな初夏の空を見上げると雲が流れています。
誰もが目にしたことのある見飽きない情景。雲は様々に形を変えて流れていきます。
同じ雲を眺めていても、見る人の心で感じるものは違います。
雲が止まって動かないことはない。
止まっているかのように見えても流れている。
形を変える雲、ときも止まらない。自分の視点からだけでなく180°、360°から視点を変えて澄んだ心で人智を尽くしていれば必ず変化してゆきます。
完璧などはない、精一杯の力を尽くしてあとは流るゝ雲、予測を超えた未来がある。
地上からはのんびりしたように見える雲も、雲の中では強い風、暴風雨が吹き荒れていると聞きます。飛行機の機体を大きく揺らすほどの雲の内部。それでも雲はそんなことはおくびにもださず、ただ悠然と泰然と流るゝままに。
「ものづくりソフィア会」は、会員同士ひとりひとりが繋がったならなにが生まれるか分からない。
「ものに真ありて まして人」
ものに真があると思ってみようよ。それをつくる人、使う人がものに宿っている心を深く感じ、愛おしむ。
状況は変わらなくても自分の心次第で、ものを見てみたら、そのものは輝きを増し、見える景色が変わる。
まだまだこんなもんじゃない、まだ見ぬ子孫の笑顔のために共に夢をみようよ。
点と点が繋がったら線になる。三点が繋がると面に、四点が繋がると立体に、1人では叶わないことも繋がることで大きな力になる。
自分にはない発想をもっている。だから楽しい、面白い。夢の実現に繋がる。
お互いに育ち合う、貴ね合う関係を大切に、優しさからの実践をして参りたいと存じます。共に「有芽(ゆめ)」をみましょう 。
プロフィール
業界新聞社の取締役編集長を経て、インダストリー・ジャパンを設立。製造現場は日本の底力!をスローガンに製造業専門ニュースサイト「製造現場ドットコム」を運営している産業ジャーナリスト兼フリーライターです。霞ヶ関から錦糸町まで守備範囲が広いのが特長。現場取材は数知れず。些細なことや泥臭いことに真実が隠れているのを知り、今では何より本当のことを言うのが大好き。いつも働く女性と頑張るオヤジたちの味方よ。
ブログでは取材のこぼれ話やお知らせのほか、日常のことを綴っています。
機械振興会館 記者クラブ加盟
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