「MTF2011」でぶらり

2月8日に三井精機さんの「MTF2011」へお伺いした私。
プライベートショーには周辺機器メーカーさんも出品しています。
あらっ!? 小径工具で有名な日進工具さんがブースを出していました。

これはM0.3×0.05ピッチを切るための工具「高硬度用ロングネックラジアスミル」で加工したものです。とっても小さいですね。

次に本間製作所さんを覗いてみましょう。

これは工作機械用精密位置決め治具「Honma Multi Chuck」です。加工生産の作業・加工効率の向上を目的とした製品。誰でも簡単に0.002mm以下の高精度な位置決めを行うことを可能にするものです。構造は密着度の高い独自の2面拘束である各面リジットシステムを採用(特許出願中)。これにより、高精度な位置再現性、高剛性と安定性を実現しています。

あっ、阿部前社長さんだ!
日工会の新年賀詞交歓会以来です。思わずご挨拶。ここで阿部氏とボーイングの関わりをじっくりとお聞きしました。このお話はすごく勉強になりました。知られざる飛行機産業ってところでしょうか。またひとつお利口さんになってしまった私。うふ。

さて、三井精機さんの工場内を見学させていただきました。ちょうどアメリカ行きの「HS6A-TS」が1週間後の出荷を控え、ドーンとありました。目がくらむほど巨大なマシンです。組み立てはじめて1ヶ月。写真に撮れないのが残念ですが、飛行機向け(エンジンの部品加工)用です。このマシンは薄い羽を加工するので、倒さないよう標準よりも長いストロークを持ちます。

加工部品はチタンとコンポジット。旅客機はジェットエンジン部に鳥が入る「バードストライク」が起ります。どうしてもCFRPだけでは壊れてしまうのでチタンが必要になるということですね。というわけで、チタンを削るためには高トルクが必要になり、このマシンは5軸にありがちな弱点を見事に克服しています。

今回、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の航空プログラムチーム 環境適応エンジンチーム 計画管理チーフマネージャー二村尚夫氏が「クリーンエンジン技術の研究開発」をテーマに講演しました。45年ぶりに日本で旅客機開発が行われていますがMRJのジェットエンジンはとっても画期的。遊星歯車式減速機に技術が詰まっているのですが、遊星歯車そのものは特に新しい技術ではありません。この既存の技術が旅客機で使われる数万馬力を吸収し、しかも歯車なので歯と歯が擦り合うと摩擦が起こったり、圧力が加わると変形するものですが、その問題を全てクリアにし、飛行機に対応することができた技術こそ技術革新だとおっしゃっていました。まさにジェットエンジンは精密加工が支えているんですね。

二村氏によるとジェットエンジンは、①円筒形のケーシング内で、②タービン翼車とファン・圧縮機翼車が軸により前後に繋がった「スプール」に結合され、③潤滑油の軸受で支えられている、④圧縮機とタービンの間でジェット燃料(性状は灯油)を噴霧し、高温高圧の燃焼ガス(15-45気圧、1200℃~1800℃)を発生させる、⑤ファン、圧縮機、燃焼器、高圧タービン、低圧タービンが「モジュール」を構成するんですって。

それにしても三井精機さんの本社工場は夕暮れがよく似合います。