ひぇっ! 日本最大最強動物ヒグマに遭遇

この土日、疲れた身体を癒やしに、北海道へ。
というわけで、道産子のわたくし、昔行っていた温泉へレッツラGO!。
目的は他にも、夜空を撮ること。夏に失敗しちゃったから、そのリベンジもあった。

育成中は自然の中が当たり前だったので、特に感じることはなかったんだけど、今更、自然のありがたみをつくづく感じている今日この頃。健全な肉体と精神を維持するためにも、何も考えず、手負いの熊のように湯に浸かることがわたしには必要よ。それに報道写真もよいけれど、たまには美しい自然を撮りたいわよね。

ところで、わたしの母は山奥育ちなので、熊が大嫌い。
子どもの頃、生徒と先生が熊に襲われ、家畜も襲われたというトラウマが残っている。いつ、熊が襲ってきてもおかしくない環境で育っているので、わたしが写真を撮るため、人気のないところへ行くことに否定的だ。理由は「熊が出るから」。

といっても、わたしが育ったところは、田舎だけど熊が出たことはなかった。ちょっとクルマで走れば、出没してもおかしくない地域だけれど、子どもの頃は山の中に1人で行くこともなかったので、母のように怯えることもない。熊のことは頭からすっかりないわけね。

――というわけで、仕事が終わったあと、フル装備で北海道へ。

向かった温泉は奥深いところにある。ガードレールもない崖っぷちの悪路という、デンジャラスゾーンをひた走らなければ、そこには到着しない。さすがに高齢者には運転をさせられないので、送迎を頼んだ。

しばらく走っていると、運転手さんが突然、クルマを徐行し、道路を指した。

「ほれ、これは熊のうんこだ」

そこには真っ黒いうんこがあった。わたしたちはクルマに轢かれたような痕跡のある熊のうんこを認めた。 

木の実が混じっています

熊は縄張りにうんこをする。通行量が少ないとはいえ、クルマが走る道路に大胆にもマーキング行為とは! 熊はビビリなので人間を避けるというが、なんと強気な熊なんだ。

熊は頭が良い動物だ。崖から石を投げて人間の様子を窺う熊を目撃した者もいる。食べものへの執念もすごい。熊は木の実や昆虫を主に食べているけれど、北海道にしかいないヒグマはツキノワグマに比べると肉食の傾向があるので危険だ。特に新鮮な生肉を覚えたヒグマは恐ろしい。同じ味を求めて何度もやって来る。また、突然道路にやってきた巨大熊にバシッとクルマを叩かれそうになったという体験者もいる。驚いた熊は人を攻撃するので、遭遇しないに越したことはない。恐ろしいこっちゃ!

冬眠に入る前の熊は栄養をつけなければならないので、実りの秋は栄養を摂取する大チャンス! ちなみに冬眠に失敗する熊もたまにいるらしく、そういう熊は「穴持たず」と呼ばれ、凶暴性が増すので要注意なのだ。

↓ちなみに日本最悪の動物による事件。ご参考までに↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E6%AF%9B%E5%88%A5%E7%BE%86%E4%B…

山の谷間にある温泉施設は自然がいっぱい! 源泉掛け流しの湯も嬉しい。自然を感じる露天風呂も懐かしくてサイコー! さあ、あとはご飯を食べて夜空の撮影だ!

静かです

と思ったら、雨が降ってきたじゃありませんか。天気の回復を待っていると、午前3:00にようやく雲の間からチラチラと星が見え始めた。熊に怯える老人たちをたたき起こし、機材の一部を持たせて外に出た。

ホテルの外は街灯があるので撮影には不向きだ。300メートルほど歩くと街灯がなく、真っ暗なので嫌がる一同を引き連れそこまで歩くことにした。じゃらじゃらと音を立てたり、咳払いをしたり変な声で喋ったりする一同。

それが弱った獣のうめき声としか思えず、セッティングに集中できないわたし。

「ああっ! うるさいっ! ちょっと変な声やめてよ! 集中できない! だいたい、弱った獣のうめき声にしか聞こえないし! 弱い獲物を襲うのが熊じゃんか! こっちへ来たらどうすんのさ!」と怒りを露わにしたところ、「人間がいると熊に分からせるのが何故悪い!」と返された。

「熊なんかビビリだから出ないって!」
「熊の恐ろしさを知らないんだ!」
「ああうるさい! もういいっ! 1人でやるから帰っていいよもうっ!」
「熊に食われたって知らんよ!」

とまぁ、場はいっぺんに険悪なムードに。 

しかしながら、雲が邪魔をして星が思ったように撮れない。凍える寒さの中、雲の流れを気にしながら、しばらく星が出るのを待ったけれど、なかなか思い通りにいかず、断念。

もうすぐ日が昇る。東京へ戻らなければならない。
というわけで、気を取り直して冷えた身体を温泉で温め、朝ご飯を食べて、出発。
夜空は撮れなかったけれど、湯を満喫したからヨシとしよう。

クルマの中では、素晴らしい温泉にいかに癒やされたかと話が弾む。そんな和やかな雰囲気の中、突然、1人が声をあげた。

「熊だ! ほらほらっ! あそこ!」

20~30mほど先だろうか。黒光りした物体がなにやら蠢いている、と思った瞬間!
熊がこちらに気付いたようだ。一瞬、直立したではないか!

「ひゃあああっ!」

その肉体は毛艶が良く筋肉が盛り上がりっていた。きっと美味しいものを食べているのだろう。ノソノソと余裕をかまして山の中に消えて行く熊。幸いにも熊のほうから逃げてくれたのだ。

というわけで、震える手で熊が背中を向けて逃げていく瞬間を捕らえました。

出た――――――――――っ!

案外可愛い顔をしています。しかしながら油断はイケマセン! ヒグマはどう猛です。

その一方で、熊にしてみれば、自分の縄張りに人間が入ってきたようなところもあるので、自然と触れ合うには謙虚な姿勢が必要だな、と思いました。

しばらくして親が、「あの熊、夜中に崖の上からみんなを見ていたかもね。あいつ、早く1人にならないかな~ってさ・・・」だって(汗)