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DMG森精機 工作機械で使用するさまざまなオープン通信プロトコルに対応した「IoTconnector」標準搭載開始

210117DMG森精機

 DMG森精機は、このほど工作機械のネットワーク接続で使用されている、さまざまなオープン通信プロトコルに対応する「IoTconnector」を開発し、同社製の工作機械に標準搭載を開始した。

 工作機械技術の進歩に伴い、5軸・複合化といった高度な加工技術が可能となったことで、工程集約などの生産の効率化が実現できるようになり、さらに洗練された生産プロセスを実現するためにセンシング技術やIoTなどを活用したデータの蓄積や分析の必要性が高まっている。こうしたことから近年、製造現場でもデジタル技術の導入が進んでいる。

 今回、リリースした同社製工作機械へ標準搭載する「IoTconnector」は、通信専用のPC機能を持ったデバイス。工作機械の制御盤に組み込むことで、さまざまなオープン通信プロトコルを使ってネットワークに接続が可能となる。工作機械で広く使用されているオープン通信プロトコルに対応するので、同社製の工作機械と他社製品を含めたIoTシステムとのネットワーク接続が可能となり、工場のデジタル化を促進する。

主な特長

①データ接続用ソフトウェアMDC
 ・MTConnectやOPC UA、MQTTといったオープンな通信プロトコルに対応。
 ・他社製を含めたIoTシステムとDMG森精機製の工作機械とのネットワーク接続。
 ・工作機械本体のネットワーク性能が向上し、最高のセキュリティをご提供。
②オンラインサポートNETservice4.0
 ・DMG森精機の修理・復旧センタとオンラインで接続し、機械トラブルを遠隔で解決。
 ・問題解決に必要なデータをオンラインで修理・復旧センタに転送できるファイル転送機能。
 ・SERVICEcameraにより、動画によるサポートが可能(オプション)。
③オンラインアップデート DEVICE MANAGEMENT
 ・最新のセキュリティアップデートをオンラインで実施。
 ・新しいソフトウェアやアプリケーションをオンラインで提供。
 

ダイジェット工業 続々と新製品を投入

 ダイジェット工業が続々と新商品を投入している。今回リリースしたのは、ハード1シリーズの第2 弾となる「ハード1ラジアス」(SFSR 形)と、好評の両面4 コーナ仕様の高能率荒加工用工具「マックスマスター」に幅広い被削材に対応すべく用途別インサートだ。なお、同社では現在、新製品発表を記念したキャンペーン「ダイジェットウィンターキャンペーン2021」を今月から実施中である。

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https://seizougenba.com/node/12598

 


ソリッドラジアスエンドミル「ハード1ラジアス」

210117ダイジェット工業 ハード1ラジアス

この商品は、焼入れ鋼などの高硬度な鋼材の直彫り加工によるリードタイム短縮が求められる中、切削熱の発生を抑える低抵抗な刃形と強靭で耐熱性に優れた高硬度材用新材種を採用し、高能率加工を実現したもので、高硬度材、合金鋼、工具鋼の荒から仕上げに威力を発揮する。

〈特長〉

 ① 荒加工から仕上げ加工まで幅広く対応し、刃長1D のスーパーショートタイプで工具剛性を向上させた、4 枚刃のソリッドラジアスエンドミル。
 ② 高精度なコーナR 切れ刃と外周切れ刃はシームレス形状を採用、不等分割・不等リードで切削抵抗を低減し、良好な仕上げ面と加工時のチッピングを抑制できる。
 ③ 彫り込み加工が可能な広い切りくずポケットを有する中心刃形状で、(L/D=0.2)以下のドリリング加工も可能。
 ④ 高速回転における剛性と精度を有した焼きばめホルダ(シュリンク)やハイドロツーリングに適応可能なシャンク精度を有している。
 ⑤ 超硬コーティング材種に高硬度材加工用新材種「DH110」を採用した。超硬母材は、超微細なWC を用い、優れた刃立ち性が得られる。被膜「DH1」は、ナノ多層膜で構成された耐高温酸化性、耐衝撃性、被膜靭性および密着性において優れた材種である。

■サイズ・価格
 Φ2~Φ12(4枚刃)(全15形番)
 標準価格:5,000円~20,500円(税抜き)

「マックスマスター」に高硬度材用インサート等シリーズ拡張

210117ダイジェット工業マックスマスター

 好評の両面4コーナ仕様の高能率荒加工用工具「マックスマスター」に、幅広い被削材に対応する用途別インサートのシリーズ拡張した商品。高能率な安定加工の要望に応え、様々な加工被削材に対応するブレーカ付きインサートのラインナップ追加により、さらなる性能向上を実現した。炭素鋼から焼入れ鋼・高強度ステンレス鋼・チタン合金などの難削材の平面・ポケット、ヘリカル、曲面、溝削り加工に威力を発揮する。

〈特長〉

①ENMU-PH形 材種JC8050(汎用ブレーカ)
 ・切れ味と刃先強度を兼ね備えたブレーカにより、耐欠損性に優れ高負荷切削に対応し、幅広い被削材及び幅広い切削条件下での安定加工が可能。
②ENMU-SL形 材種JC7518(低抵抗形ブレーカ)
 ・シャープな刃先形状と低抵抗形ブレーカにより、チタン合金や耐熱ステンレス鋼等の難削材の安定加工を実現。
③ENMU-HL形 材種DH102(高硬度材加工用ブレーカ)
 ・フラット刃形と弱ブレーカにより刃先強度を確保し、ダイカスト金型材やプラスチック金型材等の60HRC以下の高硬度材加工に最適。
④ENMQ形 材種DH102(高硬度材加工用ノンブレーカ)
 ・上下面研磨により刃立ち性と刃先強度を両立したノンブレーカ形状で、60HRC以上の高硬度材加工に最適。

■サイズ・価格
 全インサート共通:標準価格 1,180円(税抜)

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DMG森精機 超高速 非接触機上計測システム 販売開始 ~加工機と計測技術の融合~

210,117DMG森精機 非接触機上計測システム
非接触機上計測システムによる計測の様子

 DMG森精機がこのほど、加工ワークの形状計測を自動化する「非接触機上計測システム」の販売を開始した。

 製品を設計通りに作り、品質を保証するために重要なことは、正しく計測を行うことだが、工作機械を使用した加工現場でも加工精度を保つために計測工程があり、例えば、加工ワークが公差内に収まっているか、寸法精度の計測が必要であり、計測作業は、加工精度を維持するために重要な工程の一つとされている。

 この作業には時間が掛かるため作業者の負担も大きく、また全員が正確に計測できる技術がなければ生産性低下やクレームの要因となる。そこで同社では、こうした現場のニーズを背景に、最新のセンシング技術を用いて工作機械上でワークの自動計測を行う「非接触機上計測システム」を開発した。システムに使用する非接触タイプのレーザスキャナは、2019年11月に包括的な業務提携を行うことで基本合意したニコンの製品を使用している。ニコンが持つ計測技術のノウハウと同社の最新のセンシング技術を融合させることで、高速に、より高精度な計測を実現する。

↓Webサイトで動画を公開↓
https://www.dmgmori.co.jp/movie_library/movie/id=5485

主な特長

① 計測作業時間の短縮
 ・工作機械上で計測できるため計測専用機への乗せ換え不要。工程集約により段取り時間を1/10に削減(加工機と測定位置やワークサイズ等の条件により異なる)。
 ・1秒間に70,000点/200,000点の点群データを取得する2種類のレーザスキャナにより短時間で計測を実現。
 ・大型ギヤやタービンブレードなど、大型・複雑形状ワークでも短時間で計測。

② 簡単な計測方法
 ・レーザスキャナを工作機械の主軸に取り付けるだけで、使用している工作機械ですぐに使用可能。
 ・専用計測機と比べて1/5程度のコストで導入が可能(同社調べによる大型歯車測定機の導入と比較した場合の価格比で算出)。
 ・レーザ照射により点群をμm単位で計測。
 ・計測結果はパソコンに即座に表示。
 ・ワーク寸法ではなく、形状をデータ化できるため、CAD図面と重ねて測定結果を確認。
③ 高精度な計測
 ・面で計測を行うため測定時間を短縮、さらに高精度な測定が可能。
 ・同社の主軸制御技術と計測専門メーカーの計測ノウハウにより、専用機と同等の測定精度を実現。
 ・専用のワーク計測評価ソフトウェアにより、計測結果の評価を自動で実施。

日工会 飯村会長 2021年の見通しを示す

 日本工作機械工業会(会長=飯村幸生氏)が、このほど同会員向け年頭所感で2021年の見通しを示した。概要は以下のとおり。

2020年の内外情勢・受注状況

 2020年は米中対立の激化や世界的な新型コロナウイルスの感染拡大によって、国際情勢は、政治・経済両面にわたり極めて厳しくかつ不確実な様相を呈した一年となりました。世界経済は、年前半はリーマンショックを上回るインパクトの不況との見方がされておりましたが、世界各国が自国の感染対策に取り組む中、4-6月期を底に徐々に回復に向かい、その中で中国ではインフラ投資や半導体関連の他、自動車などの設備投資が比較的早期に立ち上がりました。一方、欧米・日本の設備投資は緩やかな持ち直しの動きが続き、年初の想定を大きく下回る水準で推移しました。この結果、2020年の受注総額は、2010年以来10年ぶりに1兆円を下回る水準に止まったと見込まれます。

 このような状況の中、当会ではオンラインを活用して委員会活動やイベント等の主要事業を進めました。昨年11月に開催したJIMTOF2020 Onlineは、WEB開催として初の試みとなりましたが、世界9カ国・地域から約400社に出展頂き、日本が誇る世界最先端の工作機械技術・製品を世界に向けて発信致しました。学生諸君に工作機械産業の魅力を伝える工作機械トップセミナーをオンラインで開催したほか、時流に沿った講演も併催し、参加された多くの方からご好評を得ました。

2021年の受注見通し

 2021年の工作機械市場を展望致しますと、新型コロナウイルス感染症や各国対立による通商や安全保障面の不安が引き続き足かせとなる可能性があるものの、旺盛な需要を背景に、中国では幅広い業種での好況が継続するほか、新政権による経済政策の効果が期待される日米をはじめ、欧州やインド等でも追随して景況改善が進むと思われます。業種別ではデータセンター増設やテレワークの普及、巣ごもり需要、次世代携帯端末の製造等が追い風となって半導体製造装置関連需要が高水準で推移し、また新車販売の回復を受けてCASEやMaaSへの対応等多様なテーマを抱える自動車関連需要も、外需を中心に回復が進むと期待されます。

 以上を総合的に勘案致しまして、私と致しましては、2021年の工作機械受注額は総額で1兆2,000億円(内需:4,500億円、外需:7,500億円)になるものと見通しています。

工作機械業界を取り巻く環境変化

 社会・経済が不確実性を内在している状況にあっても、製造業のイノベーションは着実に進んでおります。製造業の人手不足への対応や生産性向上のため、ロボットや周辺機器との連携が進み自動化技術が進化しております。5Gの普及に伴い高速・大容量通信により多数機器の同時接続が普及していくと見込まれます。また、コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、カスタマートランスフォーメーション(CX)も起きていると考えられます。地球環境問題への対応から、全世界的に2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みが進められており、自動車産業では電動化に拍車がかかっております。一方で、環境に関する規制も強化されており、ライフ・サイクル・アセスメントやカーボンフットプリントへの対応が求められております。

 工作機械業界を巡る競争軸は、加工精度や速度、剛性などの単体の性能的品質から、ユーザビリティの向上、工程の集約化、自動化、生産体制の構築など、生産設備全体のエンジニアリング提案力に変化しつつあります。工作機械業界は、IoT・AIを活用したスマート・マニュファクチャリング技術、三次元積層造形技術、少子高齢化時代に適応した自動化技術との融合を進化させるなど、製造業のイノベーションに対応して需要開拓していかねばなりません。日本の工作機械産業はこれらの急速な時代の変化に柔軟に対処し、世界の製造業の発展に貢献して参ります。

 新型コロナウイルス感染症は、既存の社会秩序やグローバル経済のみならず、人と人との関わり方、生活様式、価値観などにも大きな影響を与える可能性があり、世界は新たな枠組みに向かっていると言えます。業界各社にとって、本年こそ真の忍耐力が試される局面、『ありたい姿』に向けてなすべきことをやり遂げる正念場、との認識を持ち、経営基盤強化への取り組みを進めて頂きたいと存じます。

2021年の日工会活動

 当会は、本年12月1日に創立70周年を迎えます。2012年に「工作機械産業ビジョン2020」を取り纏めました。その中で、中長期的視点から我が国工作機械産業が対処すべき四つの課題として、①JIMTOFの求心力の強化、②産学官連携の強化、③標準化戦略の強化、④人材の確保・周知策の強化、これら普遍的ともいえる四つの課題が指摘されました。本年は、市場、経営、技術、人材の4分野での検討を通じ、業界一丸となって2020年代の業界戦略となる「工作機械産業ビジョン2030(仮称)」を策定し、併せて「70周年誌」の編纂作業を進めて参ります。また、委員会活動が中心となって、当業界の関心事項をはじめ、業界に共通する付加価値の高い情報の発信、及び会員間の共有領域の拡大に極力努めて参ります。

 関係各位には当工業会の事業に対する一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 本年が皆様にとって更なる飛躍の年となることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。
 

コロナ禍でも安心・安全な社会のために! ロボット工業会がサービスロボットの27事例を公開

 新型コロナウイルスの感染拡大の第三波は収まる気配が見られず、さらなる社会の変化、働き方の変化が加速している。感染拡大を防ぐための対策として、非対面、非接触で様々な活動のできるサービスロボットの活用は有効であり、多くの産業分野でサービスロボットのニーズが高まっている。

 こうした状況のもと、日本ロボット工業会では、新型コロナウイルス感染予防対策に苦慮する企業、団体、個人に、安全・安心な社会を築き上げていくために、活用されているサービスロボットを広く紹介している。サービスロボット製造・販売企業19社が協力し、実証段階のものも含めて実用化されているサービスロボットの27事例をホームページに掲載している。

↓コロナ禍におけるロボット活用事例↓
https://robo-navi.com/servicerobot_covid/index.html

【年頭所感】アマダ 代表取締役社長執行役員 磯部 任  

200117アマダ 新年、明けましておめでとうございます。

 昨年は、新型コロナウイルスの影響により、世界の人々の生活が一変しました。収束の目処は立っていませんが、感染拡大の防止策を講じつつワクチンの接種が始まれば、社会経済活動のレベルが上がることが予想されます。今年は明るい方向に転じることを期待しています。

 昨年のアマダグループは、4月にグループ機構改革を行い新生アマダとしてスタートしました。各事業の新商品の展開が始まり、北米や日本に板金事業の商品の新工場が完成するなど、技術開発や生産体制の整備が進展した一年となりました。

 2021年はウィズコロナが続くと見ており、米中関係や英国のEU離脱問題などの影響も引き続き注視する必要があると考えています。一方で、私たちのお客さまである金属加工業の現場は、人手不足への対応に加え、人の接触を伴わない労働環境への変革が急務となるでしょう。

 こうした中、アマダは「デジタルと環境」をキーワードとして「改革の継続」を推進し、来たるアフターコロナを見据えて攻めに転じる準備を着実に実行していきます。

 まず、幅広い領域においてデジタル化を加速させます。営業活動のツールやコンテンツ、業務基盤のデジタル化を軸としたビジネスプロセスの再構築を目指します。また、新たな製造拠点において、IoTやAIを用いた物流・生産の効率化を図るとともに、オフィスなど拠点ありきからテレワークなどを活用した柔軟な働き方への転換を推進し、生産性の向上に取り組みます。

 グローバルで脱炭素社会に向けた動きが広がる中、改めて環境経営を強化します。新たな中長期環境目標を掲げ、商品のライフサイクルおよび工場やオフィスにおける温室効果ガスの排出量削減を目指していきます。特に、省エネルギーと高生産性を特長とするファイバーレーザマシンをはじめとするCO2排出量を大幅に抑制する商品に注力していきます。

 コロナ禍の中で、安心、安全への意識が高まり、企業への信頼やブランドがより重視されていくと考えます。商品・サービスの品質はもちろん、環境面を含めた社会への貢献についても、“アマダなら任せて大丈夫、安心”と言っていただけるよう不断の改革に努めます。
 

シュマルツ バーチャル展示会 「 Schmalz EXPO 」 開催中

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ブース内の様子

 真空機器専門メーカーのシュマルツがオンラインのバーチャル展示会「Schmalz EXPO」を開催中である。

 同社では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、展示会の開催中止や規模の縮小など、従来通りの展示会開催・参加が非常に難しい状況であることを受け、新製品の発表や製品の案内の場として、バーチャル展示会を開催した。

 「Schmalz EXPO」は 2021年春まで公開予定。

来場登録はコチラ↓
 https://expo.schmalz.com/jp/
 

牧野フライス製作所 田島軽金属などと共同で新素材「ATHIUM(アシウム)」を開発 ~従来のねずみ鋳鉄より60%の軽量化を実現~

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写真右から牧野フライス製作所 井上社長、田島軽金属 田島社長、ヒノデホールディングス木塚常務、日之出水道機器 浅井社長

 牧野フライス製作所が12月24日、田島軽金属、ヒノデホールディングス、日之出水道機器と共同で従来のねずみ鋳鉄より60%の軽量化を実現した新素材「ATHIUM(アシウム)」を開発したと発表した。

 持続可能な社会への貢献を目指すにためには素材からイノベーションを起こすことが重要であると考え、今回の共同開発がスタート。ヒノデホールディングスと日之出水道機器は、金属組織の制御手法を研究し、化学成分を最適化することで従来にない高剛性アルミ鋳造合金を、田島軽金属は鋳造法案の最適化を図った方案技術、クリーンな溶湯・注油管理を行う鋳造技術、バラツキを押さえる高度なプロセス管理、牧野フライス製作所は工作機械に活用した具現化技術など、それぞれの強みを融合させたことにより、ATHIUMの実現化に成功した。

共同開発に至った背景

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ATHIUMの名は4社の頭文字から命名(商標を4社共同で出願中)

 

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各種材料(材料提供:ヒノデホールディング、日之出水道機器)

 世界の工作機械市場変化について説明があった。それによると、市場規模約7兆円、国別生産高、国別消費高に関しては中国が世界1位となっている。日本の工作機械生産額は1982年~2008年まで27年間連続世界第1位を誇っていたが、2008年後半からの景気減速の影響を大きく受け、2009年に中国、ドイツに続く第3位にとどまった。その後、中国を中心とした新興国の旺盛な設備投資に支えられ、2010年にはドイツを抜き第2位に回復をしている。

 牧野フライス製作所は、「国の産業別での国際競争力を示す指数の貿易特化係数では、日本の工作機械産業は世界をリードできる国の基幹産業となっているが、工作機械業界は中国の台頭に加え、最大の需要家である自動車産業において100年に1度といわれる大変革期にあるなど大変厳しい競争にもさらされており、日本の重要な輸出産業としてさらに競争力を向上させていく必要があると認識している。加えてSDGsに向け製造業に関わるものとして工作機械の性能と効率を高め、地球環境への負荷を低減することも求められている。こうした中で工作機械の競争力の維持拡大、さらには持続可能な社会への貢献を目指すには、日本の技術を結集させて取り組む必要があるとの視野に立ち、素材から変革を起こそうという志を持って4社の共同開発がスタートした。」と今回の開発背景を述べた。

工作機械の競争力強化と持続可能な社会への貢献に向け日本の技術を結集

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説明をする牧野フライス製作所 土屋技術本部長

 従来、工作機械には〝ねずみ鋳鉄〟が使用されていたが、工作機械は高速で動きながら切削力を受けるため、強い剛性が必要とされている。また短い距離で往復運動をするという特長もあるが、例えばトランスミッションケースだと穴の数が非常に多く、この穴を俊敏に加工するためには加減速を繰り返さなければならず、止まるときのショックが大きい。工作機械にはカバーなど、様々なものがついており、そのため、急減速急加速を繰り返すと機械の信頼性が落ちてしまうという課題があった。

 工作機械にはボールネジがあるが、機械を軽くすることでこれを細くすることができ、そうすればイナーシャ(慣性の力)も小さくなり動かしにくさが軽減される。ところが、軽いと機械がゆられやすくなるため、従来は機械がゆられにくいよう大きなモータを使うことで剛性を確保していた。このように、製造現場で生産性を高めるためには、大きなモータで電力をどんどん使ってきた背景があるが、どうしても機械本体が大きくなるうえ、環境負荷も高くなってしまうが、牧野フライス製作所では〝特別な〟モーションコントロール技術を利用して、この揺られにくさを軽減する技術を有している。今回、4社で共同開発に成功した新素材ATHIUMの登場で、省エネも機械剛性も確保し、イナーシャをトータルで約50%も削減することができた。

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ねずみ鋳鉄とATHIUMの重量比較(材料提供:田島軽金属)

 これは機械の高速性を実現するとともに、社会課題でもある環境負荷低減にも大きく貢献することを意味している。ATHIUMの開発成功で、軽量化、高速性に加え、ピークの電流も45%削減し、環境負荷低減、省エネが実現するとともに、生産性は85%も向上した。

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田島軽金属 サンプル「スポーツカー用クラッチケース」

 

 このようにATHIUMの最大のポイントは、生産性と環境負荷の低減を両立していること。今後、牧野フライス製作所では、持続可能な社会への貢献として、生産性、環境負荷の低減を高度なレベルで組み合わせていくとしており、「グリーンのエコのジーとイノベーションと組み合わせて〝グリーノベーション〟として旗印を掲げ、差別化に取り組んでいきたい。」と意気込みを示した。

 

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意気込みを示す牧野フライス製作所 井上社長

 牧野フライス製作所の井上社長は、「これだけの軽量でねずみ鋳鉄とほぼ同じヤング率(ヤング率=フックの法則が成立する弾性範囲における同軸方向のひずみと応力の比例定数)を実現する夢の技術がついに出来た。弊社の役目はこの技術が工作機械ビジネスを通して世の中に実用化できることを証明していくことだが、この材料は単に工作機械のためだけに開発されたものではない。」と、ATHIUMが持つ潜在能力の高さを滲ませ、「ATHIUMはあらゆる高速移動体に適用できる特別な材料。これから日本がものづくり大国としてもう一度復活をかけ、打って出るための重要な技術要素なる。私たちはこの材料を活用し、工作機械に適用して、日本発のこの技術が非常に付加価値の高いものであり、高速移動体にも適応できるということを証明していく。ビジネスを成功に導くインフレーションの役目を私たちは担っている。これが私たち4社の日本のものづくりを元気のするわれわれからの発信です。」と、ATHIUMの発展性に意気込みを示した。


 

【年頭所感】経済産業省 藤木製造産業局長/玉井産業機械課長

「産業構造や社会システムの転換へ」
●経済産業省 製造産業局 局長 藤木俊光

210101藤木局長はじめに

明けましておめでとうございます。令和3年の年頭に当たり、一言御挨拶申し上げます。

 まず、新型コロナウイルス感染症でこれまでにお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、健康面や生活面などで影響を受けておられる方々に、心からお見舞い申し上げます。また、産業界の皆様からは、医療・生活物資の増産など、様々な形で御協力をいただき、改めて感謝申し上げます。

 この感染症の拡大という未曾有の危機を乗り越えるため、私たちは生活様式のみならず、産業構造や社会システムを転換させていかなければなりません。ウィズコロナ・ポストコロナの時代に向け、我が国製造業においては、特に、①「グリーン社会」への転換、②「デジタル化」、③サプライチェーンの再構築をはじめとする「レジリエンス」の強化について重点的に取り組んでいく必要があります。

2050カーボンニュートラルの実現

 まず昨年、我が国は「2050カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言致しました。

 これを実現するためには、エネルギー分野だけでなく、鉄鋼、化学などの産業分野も、革新的なイノベーションを推進し、製造プロセス等を大きく転換させていくことがカギとなります。これを支援するため、昨年は、第3次補正予算案において、重点分野における技術開発・社会実装に向けた取組を10年間に渡り支援する2兆円基金の創設を決定しました。

 環境対応は、もはや経済成長の制約ではなく、新たなビジネスチャンスにつながる成長戦略そのものです。昨年末にお示ししたグリーン成長戦略と、分野ごとの「実行計画」に基づき、産業界の皆様とともに、経済と環境の好循環を実現してまいります。

デジタル社会の実現

 また、デジタル社会の急激な進展への対応も不可欠です。非接触や非対面といった「新たな日常」の実現や、ポストコロナ時代における我が国製造業の国際競争力強化に向けて、この潮流に乗り遅れぬようアクションを起こしていく必要があります。

 例えば、自動車産業においては「CASE」と呼ばれる大変革を迎えており、対応を加速していかなければなりません。様々なプレイヤーが、インターネットを通じた情報と車の接続、自動走行、シェアリングサービス、電動化などを進めるグローバル競争の中で、我が国の自動車産業が競争力を確保することが重要です。また、MaaSの推進により、少子高齢化といった課題にも対応し、地域・高齢者を含めた移動の自由を確保するためのモビリティサービスの実現にも取り組む必要があります。このため、引き続き、関係省庁とも協力しながら、全国各地の自治体で実証実験を行うなど、地域の交通の課題をMaaSで解決する取組を進めてまいります。

 ロボットやドローンを取り巻く環境も大きく変化しています。これまでは、主に工場の生産性向上のためにロボットが導入されてきましたが、コロナ禍を背景とした自動化・省人化・遠隔化のニーズの高まりから、工場のみならず、小売業や物流分野等でのロボットの導入が重要になっています。これを進めるためには、ユーザー側がロボットを導入しやすい環境、いわゆる「ロボットフレンドリー」な環境を構築することが必要です。また、ドローンは、人手不足の課題を抱えるインフラ点検や離島物流、災害への対応などで、急速に利活用が進んでいます。これをさらに後押しすべく、地域と連携した実証を進めるとともに、セキュリティの確保された安全安心なドローンの普及を進めてまいります。さらに、「空飛ぶクルマ」についても、2023年の事業開始、2025年の大阪関西万博での活用を目標に、制度整備や社会実装を進めてまいります。

 さらに、個々の製造現場においても、デジタル化の重要性はますます高まっています。新型コロナウイルス感染症だけでなく、世界各地での地政学的リスクや自然災害等、サプライチェーン寸断を引き起こす不確実性が高まる中、こうした不測の事態に柔軟・迅速に対応するダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)の強化が喫緊の課題です。近い将来、製造業においても5G等の無線通信技術の本格活用が見込まれる中、生産ラインの柔軟性を高めることで、仮に不測の事態が生じた際にも製品の増産や代替生産等を可能とすべく、研究開発をはじめとした取組を進めてまいります。

サプライチェーンの強靱化

 また、今回のコロナ禍では、生産拠点の集中度が高い製品や、国民が健康な生活を行う上で重要な製品などのサプライチェーンの脆弱性が顕在化しました。

 これを踏まえ、サプライチェーン強靭化のため、令和2年度1次補正及び予備費において国内投資促進事業費補助金を約3,000億円措置し、既に約200件の取組の支援を決定しております。これに加えて、第3次補正予算案では、約2,000億円の追加措置を閣議決定致しました。これにより、サプライチェーンの一層の強靭化を進めてまいります。

 さらに、米中対立を背景とした、米国による輸出管理強化の動きや、昨年12月1日に施行された中国の輸出管理法も注視しなければなりません。自社のサプライチェーン上のリスクを把握するなど、海外市場におけるビジネスが阻害されることのないよう万全の備えをお願いいたします。仮にサプライチェーンが不当に分断されるようなことがあれば、経済産業省が前面に立って産業界の皆様をサポートしてまいります。

下請等取引適正化

 また、サプライチェーン全体での取引適正化や、取引条件の改善も重要な課題です。2016年9月に発表した「未来志向型の取引慣行に向けて」に従い、昨年は、型管理問題や働き方改革に伴うしわ寄せ防止などの取組を精力的に進めてまいりました。具体的には、2月に「素形材産業取引適正化委員会」を設置し、「素形材産業取引ガイドライン」の改正案や普及のための対応策などについて議論を行いました。また、5月には「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、取引先との新たな連携や望ましい取引習慣を遵守することを宣言する「パートナーシップ構築宣言」の仕組みを導入し、大企業と中小企業の共存共栄の関係を構築することで合意しました。産業界の皆様には、引き続き「パートナーシップ構築宣言」を作成・公表していただけるよう、改めて御協力のほどお願い申し上げます。

 福島

 福島の復興は経済産業省の最重要課題です。昨年9月には「福島イノベーション・コースト構想」の中核となる福島ロボットテストフィールドの開所式が執り行われました。福島ロボットテストフィールドは、ドローンの飛行試験や災害ロボットの実証実験を行える場としてニーズが高く、全施設が供用開始されてから研究棟には福島県内外から20の企業・大学等が入居され、既に260件の実証試験が行われております。福島ロボットテストフィールドが立地する地域は、ロボット産業との関わりが深い、機械加工産業が盛んな地域として知られており、福島ロボットテストフィールドが地域の新たな雇用や地元企業の取引拡大を生み出し、新たな産業を育む拠点となることを期待しています。

通商

 また、昨年、我が国は8年間の交渉を終え、RCEPに署名しました。これにより、世界全体のGDP及び貿易総額の約3割を占める巨大な自由貿易圏が成立することとなります。また、日英EPAにも署名し、英国のEU離脱後、日EU・EPAに代わるものとして、日英間のビジネスの継続性が確保されました。これからも自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく国際経済体制を主導する役割を果たしてまいります。

おわりに

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、我が国経済は戦後最大の落ち込みを記録し、「新たな日常」への模索が続くなど、我々は多くの課題に直面しています。こうした中、今年は延長された東京オリンピック・パラリンピックが予定されています。人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、また東日本大震災から復興しつつある姿を世界に発信する場としてこれが開催できるよう、私自身も皆様とともに全力を尽くしてまいります。

 最後に、産業界の皆様の益々の御発展と、本年が素晴らしい年となることを祈念して、年頭の御挨拶とさせていただきます。

「国際競争力強化にデジタル技術は重要なツール」
経済産業省製造産業局 産業機械課 課長 玉井優子

令和3年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルスが全世界に激震をもたらした一年でした。新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、健康面や生活面などで影響を受けておられる方々に、心からお見舞い申し上げます。また、産業界の皆様からは、医療・生活物資の増産など、様々な形で貢献いただいており、改めて敬意を表し、感謝申し上げます。

 この未曾有の危機を乗り越えるため、私たちは、生活様式のみならず、産業構造や社会システムを転換させていかなければなりません。これは大変なことであると同時に、大きなチャンスでもあります。特に、「グリーン社会」への転換、「デジタル化」、サプライチェーンの再構築をはじめとする「レジリエンス」の強化について重点的に取り組んでいく必要があります。

 昨年、我が国は「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言致しました。「グリーン成長戦略」に基づき、洋上風力産業、水素産業、自動車・蓄電池産業などの各分野での取組に加えて、各分野を支える産業機械・装置についても取組を進めていく必要があります。世界でも、先進国を中心に多くの国や地域がカーボンニュートラルの旗を掲げて動き出しています。カーボンニュートラルの実現は、経済成長の制約ではなく、むしろ成長戦略そのものです。あらゆる政策を総動員し、経済と環境の好循環を実現してまいります。

 また、デジタル社会の急激な進展への対応も不可欠です。非接触や非対面といった「新たな日常」の拡大や、地政学的リスクや自然災害等の不確実性の高まりに対応し、我が国製造業の国際競争力を強化する観点からも、デジタル技術は一つの重要なツールです。

 産業機械業界においては、昨年、様々なデジタル技術を活用した動きが見られました。製造現場へのロボット導入やIT活用による工場の自動化や遠隔監視の導入の加速に加え、立ち会いや据え付け業務のオンライン化、遠隔での機械の保守・予防保全サービスの提供、オンライン・ショールームやウェブ展示会の展開など、新たな可能性が拡がりました。

 また、近い将来、製造現場においても、5G等の通信技術の本格活用も見込まれます。生産ラインの柔軟性を高め、仮に不測の事態が生じた場合にも、製品の増産や代替生産等を容易にする可能性が拡大します。これを実現すべく、研究開発をはじめとした取組を進めてまいります。

 さらに、コロナ禍を背景とした自動化・遠隔化へのニーズは、ロボットやドローンを取り巻く環境も大きく変化させています。従来の工場の人手不足や生産性向上に対応したロボット等のデジタル技術の活用のみならず、物流や小売業等でのロボット導入や、インフラ点検や離島物流、災害対応でのドローン活用など、新たな技術の活用の場が拡大しています。より豊かな社会を実現していくためにも、ロボットを導入しやすい環境の構築や、セキュリティの確保されたドローンの普及を進めてまいります。また、「空飛ぶクルマ」についても、2025年の大阪関西万博での活用を目標に、制度整備や社会実装を進めてまいります。

 今回のコロナ禍では、サプライチェーンの脆弱性が顕在化しました。第3次補正予算案で閣議決定された国内投資促進の補助金を活用し、生産拠点の集中度が高い製品などのサプライチェーン強靱化を進めてまいります。

 さらに、米中の技術覇権争いを背景とした米中の輸出管理の動向も注視が必要です。産業界の皆様に、タイムリーに情報を発信してまいりたいと思います。産業界の皆様におかれましては、自社のサプライチェーン上のリスクの把握など、海外市場におけるビジネスが阻害されることのないよう万全の備えをお願いいたします。仮に、サプライチェーンが不当に分断されるようなことがあれば、経済産業省が前面に立って産業界の皆様をサポートしてまいります。

 福島の復興は、継続して経済産業省の最重要課題の一つです。昨年、「福島イノベーション・コースト構想」の中核となる福島ロボットテストフィールドが全面開所致しました。地域の新たな雇用や取引拡大につながり、ロボット産業・ドローン産業を育む拠点となることを期待しております。

 日本の製造業は、急速に変化し続ける環境の中で、複雑で困難な課題に多く直面しています。しかし、それらに果敢に取り組みイノベーションを続けることで、成長を続けられると確信しております。引き続き、皆様の現場の生の声をお伺いし、それを政策に活かしていきたいと考えております。

 本年が、皆様にとって素晴らしい1年となることを祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。
 

【年頭所感】日本機械工業連合会/日本産業機械工業会/日本工作機械工業会

「日本にとって大きな節目となる明るい年に」
●日本機械工業連合会 会長 大宮英明

210101大宮会長皆様、新年明けましておめでとうございます。

 年頭に当たり、平素より日本機械工業連合会にお寄せ頂いております皆様方の温かいご支援とご協力に対し、改めて深く御礼申し上げます。

 本年は、延期となりましたオリンピック・パラリンピックが開催されますが、日本にとって大きな節目となる明るい年となることを祈念したいと思います。

 昨年は、新年早々、新型コロナウィルス感染問題が発生、拡大し、世界経済において波乱の年でありました。我が国機械産業も多大な影響を受けており、今年が回復と成長の年となることを切望しております。

 日機連としては、このような状況下、会員の皆様にコロナ対応を含め、必要な情報を発信し、会員の皆様を支援できるよう、事業を行ってまいりました。会合実開催が困難な状況のなか、WEBを活用しつつ、事業運営してまいりましたが、これまで、時間、距離などの制約により、参加が難しかった会員の皆様に、より多く事業に参加いただけたことは、一つのメリットではなかったかと思っております。

 今後、コロナ感染症の展開は予断を許しませんが、「ニューノーマル」の実態に柔軟に対応し、WEBをとり入れた活動もあわせ、より広く会員の皆様へ最新の情報を提供し、サービスの向上に努めていく考えです。

 機械産業の現況ですが、2020年12月末に日機連は、機械工業生産額見通し調査(改訂版)を発表いたしました。新型コロナウィルス感染拡大により、特に需要面で大きな影響が出ており、リーマンショック以来の厳しい状況になっております。2020年度上期は、特に、自動車を中心に輸送機械の生産が大きく減少するとともに、全業種の生産が減少した結果、全体の生産額は前年度比20.0%減となりました。一方、下期は依然として厳しいものの、自動車等の生産は回復が見込まれ、機械工業として持ち直しの動きが見られることから、前年度比6.1%減まで回復するものと見込まれます。従って、2020年度全体としての機械工業生産額は、7月に行った当初の調査の見通し(65兆3704億円)を下回り、前年度比13.1%減の63兆2441億円となる見通しであります。この生産額は、リーマンショック翌年(2009年)の生産額(約61兆円)を上回るものの、東日本大震災翌年(2012年)の生産額(約65兆円)を下回ります。このように機械工業を取り巻く環境は依然として厳しく、今後も新型コロナウィルス感染の影響が続くと予想されます。

 最近の日機連活動に関しましてご紹介いたします。昨年は新型コロナウィルス感染拡大のなか、委員会活動や講演会の実開催が困難となっておりましたが、WEBシステムの構築により多くの活動を実施できました。講演会に関しましては昨年合計19回開催いたしました。製造業へのコロナ対策、最新のエネルギー政策、デジタルトランスフォーメーション(以下DX)などに関し、政府関係者、有識者等各方面の専門家に講演をいただき、会員の皆様への情報提供を強化してまいりました。各委員会では、WEBを活用しつつ、通年では例年と同程度の開催をいたしました。また、ロボット表彰、CO2排出削減の視点も踏まえて再開した省エネルギー表彰事業についても表彰実施にむけて審査を進めております。

 次に税制改正についての取り組みについてご紹介いたします。税制に関しては、機械業界
の要望内容の策定とその実現に向けた要望を中心に活動を行っております。令和3年度の税制改正については、「ウィズコロナ、ポストコロナの経済・社会基盤を再構築するための重要税制」として、研究開発税制の拡充、設備投資の促進に向けた税制の創設・整備、欠損金の扱いの改善等の重点要望をとりまとめ、要望いたしました。また、製造業関連8団体連名にて「危機克服・イノベーション加速に向けた令和3年度税制改正共同要望」を、電子情報技術産業協会、日本製薬工業協会等と8団体連名にて「令和3年度研究開発税制共同要望」をそれぞれ策定し、要望項目の実現に向けて、共同で陳情活動を展開しました。その結果として、総額型の税額控除限度額引上げやクラウドによるサービス提供の対象化等の研究開発税制の見直し、企業のDX及びカーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設、繰越欠損金の控除上限の特例等、数多くの成果を実現することができました。今後の機械産業の発展のため、是非その活用をお願いしたいと思います。

 ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会事務局(以下RRI)の活動支援も日機連の重要な業務です。成長戦略の一環として政府が策定した「ロボット新戦略」に基づき、「ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)」が2015年に発足しましたが、その後順調に活動を展開しており、現在、会員数は約548となり、発足時の226から約2.5倍となっております。RRIの2020年度の主な活動状況をご紹介いたします。

 RRIのロボット分野の事業(ロボットフレンドリーな環境構築に関する取り組み)に関連し、当会は、2020年度「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に係る補助事業者に選定され、RRIと連携しながら「施設管理」、「小売」、「食品」の3分野での事業推進に着手しております。 

 また、人材育成については、ロボットメーカー7社の産業界、教育機関(高等専門学校、工業高等学校)、職業能力開発施設が連携して、2020年6月、「未来ロボティクスエンジニア育成協議会(CHERSI(チェルシー))」を設立し、RRIの下に事務局を設置しました。今後、CHERSI は、教員向けインターンシップや企業エンジニアの学校への派遣など、「教育機関から産業界へのニーズ」と「産業界の有するシーズ」とをマッチングさせて、オールジャパンでの人材育成を推進してまいります。

 RRIのもう一つの柱であるIoT分野では、ドイツPlattform Industrie4.0、ドイツ工学アカデミー (Acatech) と、アフターコロナの世界に向けたものづくりの課題と方針についての日独有識者会合を2020年5月にWeb形式で開き、共同声明「アフターコロナの世界におけるものづくり」をまとめ、発表しました。

 2020年10月には、経済産業省との共催で、『グローバルトップが語る「製造ビジネスとパラダイムシフト」』と題する「ロボット革命・産業IoT国際シンポジウム 2020」を開催し、コロナ禍対応及び危機後のものづくりのデジタル化・IoT化をどのように進めていくべきか、日・米・独の研究・産業リーダーによる講演・ディスカッションを行いました。
シンポジウムには、ドイツアカテック理事会議長カガーマン博士、米 クレムゾン大学ジョンソン教授他の著名な有識者に登壇いただきました。調査研究・情報共有活動では、2020年2月の米国出張調査内容を踏まえ、「米国のAdvanced Manufacturingの取り組みに関する調査報告書」を6月に発表しました。

 引き続き日機連は、ロボットの社会実装、IoTの普及と我が国機械産業の競争力向上に向け、RRIを支援していく考えです。

 日機連の最近の事業の一部を紹介いたしましたが、日機連は、引き続きRRIと一体となり、DXや環境エネルギー課題への対応、強靭なサプライチェーンの構築等、我が国経済の持続的な成長に向けて、日本の機械産業に貢献し、また更なる発展を実現できるよう努めていく所存でございます。本年も日機連、RRI共々、我が国機械産業発展のため、誠心誠意努力を続けて参りたく、引き続きの御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。最後になりましたが、皆様の一層のご健勝とご活躍を心から祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

「脱炭素化は業界にとって大きなビジネスチャンス」
●日本産業機械工業会 会長 斎藤 保 

210101斎藤会長2021年を迎えるに当たり、新年のご挨拶を申し上げます。

 皆様には、気分も新たに新年を迎えられたことと思います。昨年を振り返りますと、新型コロナウイルスのパンデミックにより国際社会は未曾有の危機に直面し、わが国においても、感染拡大を防止するために、史上初めてとなる緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出自粛や休業要請の他、遠隔・非対面・非接触による業務など、日常を巡る風景が大きく変わりました。

 経済面では、12月に発表した日銀短観によりますと、大企業製造業の業況判断指数は、コロナの影響を強く受けた2020年4~6月期を底として改善傾向となったものの、依然としてマイナス圏を抜け出しておりません。また、感染の再拡大もあり、設備投資計画がマイナスとなるなど、多くの企業が先行きを厳しく見ていると思われます。

 一方、海外では、他国に先駆けて経済活動を再開した中国の景気回復が見られたものの、新型コロナの感染者数が再び増加する欧米では景気の2番底が懸念されるなど、世界経済の腰折れリスクが高まっているのかと思われます。

 私ども日本産業機械工業会としては、政府や自治体の要請・指示を受け、会員各社の協力により、感染防止策の徹底や医療関連物資の提供などに取り組むとともに、事業活動の維持・継続に努めました。

 なお、2020年度上半期の産業機械受注については、国内では官公需が下支えしたものの、外需が減少したことから、受注額が2兆1,157億円、前年同期比97.9%と2年連続で前年同期を下回る結果となりました。

 さて、2021年は、新型コロナウイルスの抑え込みに向けた、大変重要な一年になると思われます。救世主として期待されるワクチンや治療薬の開発が進展しており、わが国でもワクチン接種の準備が始動しております。ただ、多くの人々への接種を実現するためには、今暫く時間がかかるとみられており、それまでは制約の多い環境が続くと思われますが、引き続き国民一人ひとりが危機感を共有し、一丸となって感染防止策に取り組む必要があります。

 こうした中、我々産業機械業界としては、感染拡大防止に細心の注意を払いながら、事業の継続と雇用の維持を最優先に努力を続けていくとともに、先が読めない時代だからこそ、短期的な回復のみならず、コロナ後を見据えた中長期的な成長力を高める取り組みを継続していく必要があると考えます。

 特に、世界の新潮流である脱炭素化については、産業機械業界にとっても大きなビジネスチャンスであり、「グリーン成長」に貢献する革新的イノベーションの創出に取り組んでいくことが益々重要になっております。

 また、我々が長年にわたって蓄積してきた技術や経験を生かし、リモート、非接触、自動化、省力化などの社会や企業が直面している課題を解決し、付加価値の増大につなげていくなど、わが国産業の生産性向上や競争力強化に貢献していく必要があると考えます。

 政府におかれましては、新型コロナの感染「第三波」への対策の拡充を軸に、経済運営に万全を期していただきたいと思います。さらに、コロナ後を見据えた経済構造の転換と好循環の実現に向けて、脱炭素社会の実現やデジタル改革、企業の生産性向上といった重要課題に対して、スピード感をもって取り組んでいただくことを期待しております。

 年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

「世界の製造業発展に貢献」
●日本工作機械工業会 会長 飯村幸生

210101飯村会長2021年の新春を迎え、謹んで年頭の御祝詞を申し上げます。

 さて、昨年を振り返りますと、米中対立の激化や世界的な新型コロナウイルスの感染拡大によって、国際情勢は、政治・経済両面にわたり極めて厳しくかつ不確実な様相を呈した一年となりました。世界各国の経済活動は4-6月期を底に徐々に回復に向かいましたが、その中で中国ではインフラ投資や半導体関連の他、自動車などの設備投資が比較的早期に立ち上がりました。一方、欧米・日本の設備投資は緩やかな持ち直しの動きが続き、年初の想定を大きく下回る水準で推移しました。この結果、2020年の受注総額は、2010年以来10年ぶりに1兆円を下回る見通しです。

 このような状況の中、当会では昨年11月にJIMTOF2020 Onlineを開催致しました。JIMTOFのWEB開催は初の試みとなりましたが、世界9カ国・地域から約400社に出展頂き、日本が誇る世界最先端の工作機械技術・製品を世界に向けて発信致しました。学生諸君に工作機械産業の魅力を伝える工作機械トップセミナーをオンラインで開催したほか、時流に沿った講演も併催し、参加された多くの方からご好評を得ました。

 本年についても、新型コロナウイルス感染症の終息や米中対立の行方など、先行きの不透明感を抱えた状況は暫く続いていくと思われます。

 そのような最中にあっても、AIの進化、5Gの普及に伴う高速・大容量通信によるDX活用やロボット技術との融合による省人化技術により、生産技術革新が加速して参ります。また、自動車産業ではCASE、MaaSへのシフトが進展しております。加えまして全世界的に、地球環境に関する規制が強化されており、製造業にはライフ・サイクル・アセスメントやカーボンフットプリントへの対応が求められております。コロナ禍で産業構造の転換が促され、自動化・見える化・リモート化のニーズ実現を可能にするデジタル変革(DX)により、非対面・非接触型のビジネスモデルの構築が進展していくと見込まれます。日本の工作機械産業はこれらの変化に柔軟に対処し、あらゆる技術を進化・発展させて世界の製造業の発展に貢献して参ります。

 当会は、本年12月1日に創立70周年を迎えます。70周年に向けて、業界一丸となって「工作機械産業ビジョン2030(仮称)」の策定、「70周年誌」の編纂作業を進めて参ります。
関係各位には当工業会の事業に対する一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 本年が皆様にとって更なる飛躍の年となることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。