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2019年10月分工作機械受注総額は874.5億円 日工会
日本工作機械工業会がこのほどまとめた2019年10月分の受注実績は以下の通り。
2019年10月分工作機械受注総額は、874.5億円(前月比△11.6% 前年同月比△37.4%)となった。受注総額は2カ月ぶり900憶円割れ。1,000憶円割れは3ヵ月連続。10月の900憶円割れは、2010年(802.3憶円)以来9年ぶり。
内需は334.2億円(前月比△27.4% 前年同月比△42.0%)で、国内需要が弱含みの中、一般機械や電気・精密当で減少が大きく、2014年4月(348.6憶円)以来66カ月ぶりの350憶円割れ。
外需は540.3憶円(前月比+2.1% 前年同月比△34.1%)で、前月比2カ月連続増加も、3カ月連続の550憶円割れと弱含み。主要3極では、アジア、北米が前月比増加。
米中貿易摩擦により、内外需とも設備歳需要は弱含みの情況が継続。今後も通商問題や中国経済の回復動向、地政学的リスクを注視。
10月分内需
334.2億円(前月比△27.4% 前年同月比△42.0%)。
・66カ月ぶりの350億円割れ。10月の400憶円割れは、2013年(366.5憶円)以来6年ぶり。
・前月比2カ月ぶり減少。前年同月比11カ月連続減少。
・年度反期末の前月からの反動減もあり前月比大幅減。国内需要は依然として弱含み。
(出所:日本工作機械工業会)
10月分外需
540.3億円(前月比+2.1% 前年同月比△34.1%)
・3カ月連続の550憶円割れ。10月の550憶円割れは2016年(525.3憶円)以来3年ぶり。
・前月比2カ月連続増加。前年同月比13カ連続減少。
・アジア、北米で前月比増加も、主要3極全てで受注レベルが低い状況が継続。
(出所:日本工作機械工業会)
日本の産業用ロボット販売台数が21%増加で過去最高に ~国際ロボット連盟(IFR)World Robotics Report~
国際ロボット連盟(以下IFR)の最新World Robotics Reportによると、2018年の日本のロボットの年間販売台数は、21%増の約55,000台で過去最高となった。2018年の世界の年間ロボット販売は、165億米ドルに達し、新記録となった。IFRは、2019年の出荷台数が2018年の記録的なレベルから減少するとの見通しを立てているが、2020年から2022年までの年間平均成長率は12%になると予想している。 2013年以降の日本の平均年間成長率は17%で、すでに高度に自動化された工業生産が行われている市場では顕著なものとなっている。 日本は世界最大の産業用ロボットメーカー国であり、2018年には世界のロボット出荷の52%を占めた。アジア、欧州、米州の概要 アジアは世界最大の産業用ロボット市場。 2018年は、中国と韓国でのロボットの導入が減少した一方で、日本は大幅に増加した。アジア全体では、1%の成長。欧州でのロボットの導入は14%増加し、6年連続で新記録を塗り替えた。米州では、成長率は前年の20%増しで、6年連続の新記録となった。 津田純嗣IFR会長は、「2018年は、ロボットの主要顧客である自動車および電気電子産業にとっては厳しい年であったにもかかわらず、販売新記録によりダイナミックな動きが見られた。」とコメントしている。
【工作機械編】「メカトロテックジャパン(MECT)2019」をレポート! 前編
10 月23 日(水)から10 月26 日(土)までの4日間、ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)で「メカトロテックジャパン2019(通称MECT) 」(主催=ニュースダイジェスト社)が開催された。注目企業の動向を前編「工作機械編」、後編「切削工具・周辺機器編」に分けてレポートする。
(工作機械編:アマダグループ、オークマ、OKK、岡本工作機械製作所、黒田精工、DMG森精機、東芝機械、ナガセインテグレックス、牧野フライス精機、牧野フライス製作所、三井精機工業、安田工業、ヤマザキマザック、碌々産業)
4つのエリアでグループの総合力をアピール!
●アマダグループ(アマダ/アマダマシンツール/アマダオリイ)
アマダグループは、“プレスエリア”、“板金エリア”、“研削盤エリア”、“アマダのIoT V-Factory”エリアに分けて、それぞれの強みをアピールしていた。やはり近年のトレンドは自動化だ。オプティカルプロファイル研削盤「GLS-150GL UP」で、協働ロボットによる自動化で生産性の向上を提案していた。このメリットは砥石やワークの自動交換を実現し、長時間の連続運転ができること。加工品質向上の鍵はシームレス研削機能だ。また第3世代新型サーボプレス「SDE2025iⅢ」が新登場! ダイクッションのデジタル化による安定加工の実現や、加工種別モーション機能選択でスキルスレス加工も実現してくれる。また、“フルードパルス鍛造法”という加工法はアマダホールディングスとアマダオリイがSUBARUの協力のもと、研究開発された新加工法にも要注目! 現在、軽量化ニーズが高まっているが、サーボプレスマシンのモーションコントロール技術を活用したこの技術は、中空材料の新工法。軽量化技術の進展に大いに寄与する画期的なマシンでもあるのだ。簡単ロボットパッケージ! マシンを手軽に自動化!
●オークマ
多くの来場者で賑わいをみせていたオークマのブース。注目されていたのは、簡単にロボットパッケージでベストセラーマシンを手軽に自動化ができるという、ロボットと立形マシニングセンタ「MB-46VA 」が一体化した「MB-46VA STANDROID」だ。設置から立ち上げまで最短1日というから驚きだ。位置決め⇒設置・結線⇒「ROID Navi」の3ステップでSTANDROIDは稼働。しかもシステムインテグレータが必要ないという。一体型ロボットセルなので、フォークリフトでの移設もできるというから嬉しい。また、生産の要求に併せて多くのパッケージユニットを準備しているという。3Dシミュレーションで事前にロボット動作の干渉有無を確認できるので、心配なアクシデントも回避できる。同社が親切なところは、ロボット導入に際して不安を持つ加工現場の悩みを丁寧に聞き入れ、解決に導いてくれること。工作機械とロボットの完全融合の強みを見せつけてくれた。こんなマシンが欲しかった! と言わしめる鋼材用加工機「F300V」
●OKK
おやっ!? 同社の華やかなマシンの傍で、小さいながらも存在感を示していたマシンがあった。硬材用加工機「F300V」だ。これは、剛性と切屑の排出性はもちろん、操作性にもこだわったワンパスのプレート加工機。多くの機能は持たないが、とにかく切削能力のパワーが凄いのだ。現場によっては、「上面だけ加工できればいいんだよね」的な発想を持っている方にもってこい! 3039×1812mmの省スペースでありながら、剛性を上げることで振動を抑制している。そのため、刃物の寿命を向上させるという加工におけるトータルコストを考慮したつくりだ。この剛性を高めるために、コラムを門形にし、3点支持ベッドを採用しているという。しかも、人間工学に基づき、ワークの取り付け・取り外しも簡単! そして、優れた切屑排出性も要注目。片側傾斜カバーで後部チップバケット(オプション)にダイレクトシュート! 自動ドレスサイクル&平面研削の簡易化を実現!
●岡本工作機械製作所
今回、同社の新平面研削盤PSG-SA1シリーズから「PSG63SA1」が展示されていた。このマシンは従来の汎用機と同様の感覚で、自動ドレスサイクル&平面研削の簡易化を実現しているのが特長。従来モデルの「PSG-DX」シリーズの更新に最適だという。新しくなった追加機能は、①自動ドレス機能、②シフトランジ機能、③研削条件一括確認、④各軸負荷検知機能、④サイクルタイム測定、⑤レシピ登録・呼び出し機能、⑥自己診断機能、⑤各種累積時間機能――だ。これらが汎用操作性を残したまま追加されているので、ますます使い勝手が良さそうだ。また、新オプションも、トレンドの自動化に対応し、チャックからの高さを基準としたチャック基準研削や、機上で研削・測定・補正研削ができるようになっている。消費電力約50%ダウン! 伝統と革新を合わせ持つ「GS-30Vs」
●黒田精工
展示されていた精密成形研削盤「GS-30Vs」には匠の技がぎっしり詰まっている。同社の高精度、高品位を支えているのは、熟練工の高精度キサゲによるV-V摺動面。これが高い真直性と耐久性を実現しているのだが、その一方、FFT解析による高剛性本体構造に注目したい。剛性を高めるためのハニカム構造と適切なリブ配置で重心が低く安定性に優れた構造なのだ。コラム上部への気流を計算した鋳物構造が熱変位を抑えてくれる。気になる新技術は、左右送りにACサーボモーターを採用し、自社性精密ボールねじダイレクトドライブ機構によりフリクションロスを低減した高効率駆動を実現していること。これにより消費電力を約50%ダウンさせている。また、油圧ユニットからの発熱がないので周囲の温度影響を最小限に低減、これにより発熱量が大幅にダウンした。また、研削作業姿勢が取りやすいハンドルレイアウトも嬉しい。アディティブマニファクチャリングで新たな製造の可能性を見た!
●DMG森精機
新たな製造の可能性に期待が寄せられているアディティブマニファクチャリング(以下AM)だが、同社ではパウダーヘッド方式のレーザ金属積層造形機「LASERTEC 12 SLM」とともに、このマシンで加工したピッキング予防ができる立体的な鍵を展示していたが、AMの特長といえば、複雑な形状でもほとんどが対応できるという自由度の高い設計にある。しかも消耗品である切削工具を使用しないので、工具コストが大幅に削減できるメリットは見逃すことができない。加えて、不活性ガスのガス流最適化で、ガス消費量を抑えるとともに優れた加工品質を実現している。気になる現場の作業安全性においては、パウダー供給と再利用システムを密閉したカートリッジ内に搭載したことで、“最高レベルの作業安全性”を確保している。ますます新たな製造方法に目が離せなくなった。なんという迫力! 高速5軸門形型彫盤に圧倒される
●東芝機械
とにかく目立った! 爽やかな青のブースに大きいマシンが1台、来場者に迫力と存在感を示している。このマシンは、傾斜穴の高精度加工から仕上げ加工まで1台で実現し、工程集約を可能にしているという高速5軸門形型彫盤「MP-2618(5C)」だ。金型、IT、航空機産業等に貢献する。テーブル旋回とヘッド旋回の新コンセプトは画期的。ラム軸を排除し、クロスレール昇降が安定切削を実現している。また、煩わしい段取りにおいても、5軸任意旋回機能により、傾斜作業も段取りレスになっているうえ、ワンチャッキングで大幅な工程集約を実現している。また、同社では、スマートグラスを利用したNC画面表示補助システムを展示していた。スマートグラスをかけると、作業を支援する画面が見えるのだ。ハンズフリーなので、表示される様々な情報を確認しながら作業を進められる。未来を攻めている展示が楽しかった。広範囲な研削加工ができるのになんと20%以上も省スペース化を実現!
●ナガセインテグレックス
研削の可能性を大きく拡げてくれる同社のマシン。今回の目玉は初出展された高精度平面研削盤「SGS-85」。このマシンは従来機と比較してなんと20%以上の省スペース化を達成している。それでいて、広範囲な研削加工を実現し、精度と能率を叶えてくれるという魅力あるマシンだ。0.1µmのNC指令値を活かせる独自の高剛性T字型ベッド構造を採用していることも特長。砥石軸には標準の高精度ベアリング軸受を採用し、指令値に対して確実な研削を実現してくれる。カスタマイズアイテムも豊富で、油静圧軸受けや極低振動モータの搭載や、生産性を爆発的に向上させるシステム「爆削システム」など、様々な加工や設置環境に合わせたオプションも魅力だ。また、「SGS-85」は新制御システム「Neo」を搭載している。複雑な操作もなく、1画面で加工設定、条件確認ができる。ワークをセットした後は、研削条件を設定して自動ボタンを押すだけで誰でも簡単に高精度加工が可能!マキノと共同で“工具を整する”をテーマに自動搬送
●牧野フライス精機
見どころ豊富だった同社。特に注目したのは、今回、牧野フライス製作所と共同でブースを設け、φ0.1~φ12まで測定できる小径工具に特化した工具測定装置「procam(プロキャム)」を展示していたことだ。φ0.1のものを測定できる装置はそう滅多にないので、これは強み! しかも今回は、ロボットがホルダを持って「procam」に取り付け、工具測定を行い、測定が完了したら、ロボットが勝手にドアを開け、今度は牧野フライス製作所の「D200Z」へ持って行くというデモを行っていた。これが大反響! この展示で未来の現場が想像できるではないか。例えば、牧野フライス製作所の「D200z」で加工し、摩耗した工具を、今度は牧野フライス精機の工具研削盤「SG10」で再研磨をし、測定して供給するという自動化の仕組みを作れば、常に工具は美しい状態であり、面品位も加工能率もアップ! そんな画期的な未来の加工現場をイメージさせる展示内容だった。金型加工に最適な「D200Z」でデモ!
●牧野フライス製作所
3軸機と同等以上の加工面品位を同時5軸加工で追求するマシニングセンタ「D200Z」を用いて、牧野フライス精機の工具測定装置から「D200Z」への工具の搬送を、自社製自動搬送機(AGV)に協働ロボットを搭載した「iAssist」が人に代わって行うデモは大反響を呼んだが、この「D200Z」の優位性は、重心変動の少ないテーブル構造や、回転軸の動作に遅れること無く追従できる軽量化された移動体ユニットに加え、同時5軸動作を最適化するモーションコントロール、機械の静的精度を正しくつくりこむ製造技術が詰め込まれていること。環境温度変化に頑強なブリッジ構造コラムやぶつからない主軸(コリジョンセーフガード)も採用している。他にもクラウドで同時5軸のNCプログラムを迅速に供給できるシステムも紹介していた。複雑で膨大な計算処理を効率的に実行し、機械の軸構成を考慮した食い込みのない同時5軸NCプログラムを作成できる。「Vertex」は頂点・頂上を指す!
●三井精機工業
5軸加工の“粋(すい)”を集めた「Vertex55X Ⅱ」をリニューアルした「Vertex55 Ⅲ」が登場! 進化した点は、高性能になった主軸熱変位補正機能を搭載し、Z軸方向変位量を従来比1/3に改善していたこと。また、ベッド・コラム剛性も向上し、微小線分送りによる3次元形状の面品位が向上している。今回、ヒューマンインターフェースHMI機能を搭載した15″カラーLCD付操作盤もオプションで用意していた。なお、5軸加工機において角度の割り出し精度が重要になるが、同社のVertexは、非常に高い割出精度を持っており、信頼性の高い安心したマシンでもあるのだ。今回は温度センサーを追加し、スピンドルの伸びとヘッドケーシングの変位を捉えて温度変化を瞬時に検知・補正をしてくれる。これによって高速回転域でのZ軸方向変位が安定するまで時間を短縮! 熱変位量に至っては、従来比1/3に抑えているのも見逃せない。Vertexの意味は、頂点・頂上だという。さらなる高みを目指したい加工現場にもってこいのマシンだ。
独創的なメカニズムで驚異の加工能力をアピール
●安田工業
注目を集めたのは、Y軸上に高剛性・高精度BC軸を搭載した「YBM Vi40 Ver.Ⅱ」。このマシンの特長は、各軸移動体の質量差を極力小さくするとともに、質量の大きな移動体を低重心に設定することで、優れた制御性・減衰性を実現していること。剛性の高いシンメトリックな門形構造で、一体化したブリッジ構造の高剛性ボディーが超高精度でありながら、重切削加工領域を極めている。注目すべきは、位置による荷重変化が大きいB軸の駆動には、高減速比のウォームを採用することで外乱に対する安定性、反転時の制御性向上を図り、これらの影響の少ないC軸にはDDモータを採用し、バックラッシュのない高速高精度な位置決めを実現していることだ。また同社独自の独創的なメカニズムは、同社が開発した“プリロード自己調整型スピンドル”にも見られる。これは、低速回転時にはスピンドルベアリングの発熱量に応じて予圧が調整されるメカニズムになっており、低速域における重切削性と高速域における低発熱高精度回転を両立させている。ロボットに関する専門知識がなくても簡単に運用できる!
●ヤマザキマザック
今年で創業100年を迎えた同社のブースはとても華やかだ。サンダーバード人形やフィギュアなど、来場者を楽しませるための工夫と遊び心がいっぱい! 同社では製造コスト削減を睨んで省人化を実現すべく、早くから自動化システムに注力してきたが、そのノウハウの蓄積もあって、システムコントロール・ソフトウェアなどのフレキシブルな拡張性が世界中に認められている。今回、ベストセラー旋盤「QUICKTURN250MY」と「TA-20/270」(ティーチングレス自動化システム)を連結させ、デモを行っていた。特長はロボットに関する知識がなくても簡単に運用が可能ということ。分かりやすい画面表示がさらにラクチン操作を可能にしている。しかもコンパクトで素材の搬入から完成品の搬出までを自動化できる。ロボットと工作機械の連携のメリットは自動連続加工を行えることや、人間特有のポカミスやロスを減らすことで安定品質を保ちつつ、生産性向上に貢献することなのだ。重切削から鏡面仕上げまで1台で実現するマシン!
●碌々産業
マシニングアーティスト普及活動にも力を入れている同社。微細加工機を操る喜びを知っているオペレータをリスペクトしているだけあって、これは芸術品ではないか? と思われるほど超微細で美しい加工サンプルを展示してあった。これには来場者も興味津々。今回はφ16エンドミルによる重切削から鏡面仕上げまでを1台で加工できる「Vision- 300」を展示。中部地区では初出展となった。このマシンは、高品質のものを高能率に加工できるよう、加工機の状態や設置環境を監視し、表示、蓄積して見える化の充実を図っている「M-KIT」を搭載し、さらなる高精度化を後押ししてくれる。つまり、昨今のトレンドである自動化による連続加工でも安心してできるというわけだ。安定した品質を維持することは、信頼を勝ち取ることに等しい。まさに加工現場に心強いマシンであった。(後編の切削工具・周辺機器編は次号掲載)
DMG森精機「第14回切削加工ドリームコンテスト」受賞作品が決定!
DMG森精機(社長=森 雅彦氏)がこのほど、「第14回切削加工ドリームコンテスト」の受賞作品が決定したと発表した。
このコンテストは、日本国内において加工業に携わり、切削型工作機械、先端加工機を使用している企業および学校、研究機関を対象に、業界全体の技術・技能の交流と向上を目的として開催している。
今年は、審査員長の青山英樹 慶應義塾大学 教授 工学博士をはじめ、審査委員に4名の大学教授を迎え、全応募作品60点の中から、産業部品加工部門より4点、試作・テスト加工部品部門より6点、造形加工部門より4点、先端加工部門より2点、アカデミック部門より4点を選出した。
「先端加工部門」は、最先端技術の共有を目的とし、積層造形加工、レーザ加工、超音波加工の技術に特徴のある作品を対象に、今回より新設している。また、昨年新設した主催者表彰「DMG MORI 5軸大賞」を今年も1点選出。
なお、表彰式は、11月21日(木)に東京グローバルヘッドクォータにて開催する。
受賞作品は以下のとおり。
産業部品加工部門
<審査委員による金賞作品の評価ポイント>
・薄肉(0.25mm)の内径精度を±0.005mmで加工している。また、加工時間もSUS303に対して12分で加工している。
・中ぐりによる内径精度が高く、形状の仕上げも素晴らしい。
試作・テスト加工部品部門
<審査委員による金賞作品の評価ポイント>
・材質がアルミナセラミックスであり、薄物に加工することは非常に難しいが、それを実現していることは高く評価できる。加工形状の曲面も綺麗に仕上がっている。
・削りにくいセラミックスで、軸のないスクリュー形状を創出した技術は立派である。CAD/CAMを使わず、マクロで工具経路を作成した点も評価できる。
造形加工部門
<審査委員による金賞作品の評価ポイント>
・ポリカーボネイトの材料で、クモ、糸、枠を一体加工している。クモの加工も足部がよく表現できており素晴らしいが、幅0.05mmのおむすび型の糸は極めて難しいと思われる。
・加工時間が2時間10分と短いことも評価できる。
先端加工部門
<審査委員によるAM造形技術賞の評価ポイント>
・大きくて複雑な形状の車のカットモデルを細部まで正確に表現したCADの素晴らしさと、それから創成したAMモデルは評価できる。
<審査委員によるAM造形アイディア賞の評価ポイント>
・金属材料で異種材料である布や竹を表現した造形アイディアは評価できる。
・どの方向にも自由に動くチェーン構造体を考えている点は評価できる。また、それを実現する精度も素晴らしい。
アカデミック部門
<審査委員による金賞作品の評価ポイント>
・外形が正方形で内接する三角形部品をスムーズに動くようにねじを加工しており、その設計と加工精度は評価できる。
・正方形(内径ねじ)に内接して回転する三角形(外径ねじ)があり、三角形を回転すると、きちんとねじが機能し、加工精度の高いことがわかる。
DMG MORI 5軸大賞
<審査委員によるDMG MORI 5軸大賞の評価ポイント>
・斜めポケット、外周溝の面品位が極上。2工程で全加工した点も評価できる。
・5軸加工機の長所を最大限に表わした加工品で仕上げの質も素晴らしい。
エキスパート・マシニングアーティスト36名が誕生し、全国から名古屋に集結! ~碌々産業~
碌々産業(社長=海藤 満 氏)が、微細加工機をあやつるオペレータに対し、尊敬の念を込めて「Machining Artist(マシニングアーティスト)」と呼び、普及活動を行っているが、10月24日、名古屋市内のキャッスルプラザに全国から認定された“エキスパート・マシニングアーティスト”たちが集結した。自慢の加工サンプルをもちより、親睦を深めた。
海藤社長は、あいさつの中で、「最近の若者はIT業界に流れがちだが、ITはコトづくり。微細加工はものづくり。コトづくりは、ものがあってはじめてコトがつくれ、生産性が上がっていく。したがってものがないとコトづくりは成り立たない。誰も発想しないような素晴らしい微細部品づくりは、日本の強みだと思っている。そのためには若い人たちにどんどん入って貰わなくてはならない。今回、エキスパート・マシニングアーティストの皆様が、こうした未来を担う若者たちの憧れの対象になって欲しいという思いがある。ここに集まった皆様は非常にマニアックで集中力のある方ばかり。お互いに刺激になり、面白いことが起こるのではないか。エキスパートとしての誇りと自己研鑽で、さらに素晴らしいものづくりを行って欲しい。」と期待を込めた。
同社の近況報告にも触れ、海藤社長は、「2019年前半は弊社にとって3つの特需があった。」と述べた。それによると、①半導体メモリが動き始めた、②スマホのモジュールが増え、そのカメラレンズの製作のため、同社の“Android”の受注が増えた。③米国大手企業とのコラボレーションでカスタマイズした機械の受注が増えた――とのことで、目標に対し120%の受注を上げたと報告をした。
今後は毎年3月末に「エキスパート マシニングアーティスト」にエントリーをすると発表した。また、認定証と同じものを、同社のショールームである“マシニングアーティストラボラトリー”にリスペクトの意味を込めて掲載する。
▼マシニングアーティスト 関連記事▼
http://seizougenba.com/node/10817
ブルーム-ノボテストが新技術を提案
ブルーム‐ノボテスト、マーケティングマネージャーのウィンフリート・ウエイランド氏は、「2017年に発表したLC50-DIGILOGを筆頭にDIGILOG技術のおかげで、革新的で幅広い製品の土台を作ることができた。また、DIGILOG技術及び工具測定システムを用いて、1秒に幾千ものの測定値を取得でき、データストリーム評価により今までになかった高速かつ信頼性を備えたアプリケーションの提供ができる。EMOでのプレゼンテーションでは、最新のハードとソフトウェアソリューションに加え、ネットワーク化させた生産環境におけるDIGILOG技術の現在と未来のアプリケーション領域に集点を当て、DIGILOGシステムを使用したワーク輪郭やボアのスキャン測定を行うクローズドループシステムや大量生産品の表面粗さ測定などを紹介した。」とコメントしている。
ユニークな可視化と解析用ソフトウェア「LC-VISION」のアプリケーションはレーザー測定システム用に新たに開発された機上測定を次の段階へ引き上げるもの。史上初めて測定中の記録データをリアルタイムに視覚化し、機械制御装置へ直接解析結果を反映できる。
例えば、「LC-VISION」と新しいオプションのアプリケーションの「スピンドルコントロール」を併用して、DIGILOGレーザー測定システムで異なる回転速度での主軸の状態の記録ができ、加工精度に悪影響を与える主軸ベアリングの不良を早い段階で確認ができる。また取得したデータを使用して故障などの予期せぬ機械の停止期間の発生を抑制、それ以前の都合の良いタイミングで主軸オーバーホールを行う「予防保全」のために使用することもできる。また日常の使用においてもウォーミングアップ時間を最短化でき、「スピンドルコントロール」を用いることにより、ユーザーは常に機械が安定した状態になり、加工を開始することができる。また、判回転数レンジをベースとした主軸の振動解析も可能。データは主軸ベアリングダメージなどの傾向を示すので異常状態を発見することができる。同社は、EMOの会期中に、LC-VISION技術をベースとしたテクノロジーサイクル「3D ToolControl」を発表した。新しいオプションについては、ボールエンドミルの摩耗をモニターに使用し、各圧力角毎に最長、最短の切れ刃をLC-Vision上で一目でわかるよう可視化することが可能になるなど、ユーザーは、どの角度位置に問題が存在するかを見ることができ、複数の評価方法を用いてこのアプリケーションと工作機械に最適な補正方法を選定することができる。「LC-VISION」ではさらに、個々の切り刃の長さの測定並びに棒グラフ表示も実現する。また、この可視化によって、例えば達成可能な加工後の表面品質の断定や、新品工具の品質及び寿命の確認に使用することも可能。
さらに、「LC-VISION」のもう一つの特別な機能は診断画面だ。最初はレーザーの焦点位置、インストールされたハードウェアやソフトウェア等の関連するシステム情報も予防保全のためのデータも制御装置の画面上でオペレータが見ることができる。
また、同社のDIGILOGレーザー測定システムが機械に取り付けられていない場合に対応できる、「ポータブルスピンドルコントロール」(PSC)という、スピンドルモニターの携帯型ソリューションもEMOで発表し、高い評価を得た。これは、コンパクトで使いやすいシステムであり、LC50-DIGILOGブルームレーザーとスピンドルコントロールソフトウェア及びそのアクセサリーパーツで構成される。この“PSC“は実際に機械と接続せずに殆どのスピンドルコントロールの機能を使用することができる。
LC50-DIGILOGレーザーをマシンテーブルにマグネットで固定し、スピンドルコントロールソフトウェアを外部パソコンで実行する仕様。“PSC“は主軸テストベンチでの開発業務から、主軸が機械に組み込まれた状態でのエンドユーザーはもちろん、サービスマンなど幅広い活用ができる携帯型ソリューションである。
タンガロイが、穴あけ・旋削加工用複合工具「TungBoreMini(タング・ボア・ミニ)」を新発売
タンガロイ(社長=木下 聡 氏)はこのほど、穴あけ・旋削加工用複合工具「TungBoreMini(タング・ボア・ミニ)」の発売を開始した。
穴あけ・旋削加工用複合工具「TungBoreMini」は、1本の工具に穴あけ加工用ドリル、外径旋削用バイト、内径旋削用バイトの機能を備えており、工具交換に伴う非加工時間を削減することが可能な複合工具。インサート側面とホルダの結合部に同社独自のダブテール(くさび)形状を採用することで、従来のインサートよりも強固なクランプ剛性を実現し、幅広いアプリケーションで使用可能だ。
ホルダには、工具径10、12、14、16mmの左右勝手8種類を標準設定しており、インサートは各工具径に装着可能な4種類のサイズを標準設定している。
■主な特長
●1本の工具で、穴あけ加工、内外径の旋削加工が可能。
●工具交換時間の削減が、サイクルタイム短縮に貢献する。
●インサート側面とホルダの結合面にダブテール(くさび)形状を採用したことで、従来のインサートよりも強固なクランプ剛性を実現。
■主な形番と標準価格(税抜)
●ホルダ(全8形番)
・工具径φ10用 TBM10LF12-2.25:30,900円
・工具径φ16用 TBM16RF20-2.25:33,200円
●インサート(全4形番)
・工具径φ10用 XOMU05X204-PS:1,590円
・工具径φ16用 XOMU08T304-PS:1,590円
DMG森精機が大型の横形マシニングセンタにスラッジ回収システム「ゼロスラッジクーラントタンク」の標準搭載を開始
DMG森精機(社長=森 雅彦 氏)は、大型の横形マシニングセンタ「NHX 8000」および「NHX 10000」にクーラントタンク内のスラッジを高効率に回収する「ゼロスラッジクーラントタンク」の標準搭載をこのほど開始した。
今回ゼロスラッジクーラントタンクを「NHX 8000」および「NHX 10000」に標準搭載することで、同社の横形マシニングセンタNHXシリーズ全機種に標準搭載となる。
「ゼロスラッジクーラントタンク」は、顧客から要望が多い「効率的な切りくず処理」を実現するために開発した機能。複数のノズルをクーラントタンク内に配置して最適なクーラントの流れを形成し、スラッジを高精度サイクロンフィルタで高効率に回収できる同社の新技術を採用している。通常はスラッジがクーラントタンク内に堆積してしまい、ほとんど回収できないが、この新技術を用いた「ゼロスラッジクーラントタンク」では、複数のノズルでタンク内を攪拌することでスラッジの堆積を抑え、スラッジを効率的に回収し処理することができる。
これにより、クーラントタンク内の鋳物スラッジの場合の回収率は99 %以上を実現しており、従来は定期的に必要であったクーラントタンク内の清掃作業頻度を大幅に低減する。また、配管やクーラントノズルの詰まり、ポンプの能力低下を防止するだけでなく、クリーンなクーラントを使用し続けることができるため、クーラント寿命の延長効果もある。
↓スラッジ回収の動画は同社のWebサイトに公開↓
https://www.dmgmori.co.jp/theme/movie/id=3021
スラッジ回収イメージ
アマダホールディングス 伊勢原事業所が「2019 年度 緑化優良工場等関東経済産業局長賞」を受賞
この賞は、緑化を積極的に推進し、敷地内外の環境整備に顕著な功績があった工場や事業所等を表彰するもので、伊勢原事業所は、約40 年前から緑化活動を積極的に推進してきた。今回の受賞は、「生物多様性への貢献」をデザインコンセプトに据えた生態系ネットワークを構築する活動、「将来に残る緑化」を目指した伝統・文化・芸術と緑化の融合、障がい者の活躍の場として室内緑化や壁面緑化を推進する取り組みが評価されたもの。
同事業所は、緑化優良事業所として2016 年に財団法人日本緑地センター会長賞を受賞している。また、関東経済産業局長賞の受賞は神奈川県内の事業所としては6年ぶりとなった。 同社は2010 年に「アマダグループ環境宣言」を策定し、2020 年までの商品開発、事業活動、生物多様性に関する長期的な環境目標「AMADA GREEN ACTION2020」を設定している。
大澤科学技術振興財団が2019年度助成費贈呈式を開催
大澤科学技術振興財団(理事長=大澤伸朗 オーエスジー専務)は、10月23日、同社ゲストハウス(愛知県豊川市)で、「2019年度助成費贈呈式」を開催した。同財団は、平成3年7月18日に設立され、日本のモノづくりを支える科学技術の振興に寄与したいという趣旨から、国内の大学・研究所等、非営利の研究機関に所属する研究者に助成を行っている。
本年度は、26課題の研究開発助成および、6件の国際交流助成を行い、助成金の合計は8千1百83万円となった。また、設立来29年間の研究開発助成は394課題、国際交流助成も274件となり、助成累計額は8億3千8百62万8千円に達している。
大澤理事長は、「今年ノーベル賞を受賞した吉野彰氏が、基礎研究は10個に1個当たればいい。研究者は自分の好奇心に基づいて9割の無駄な研究をいっぱいしないと新しいことは生まれてこない、と述べられた。大澤科学技術振興財団は大学の研究者の基礎研究に対する助成を継続していくことで、ものづくり産業全体の底上げと未来の発展につながる一助をなるように努めていく。」旨のあいさつを述べ、研究者を激励した。