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「5G時代の到来」 日本機械工具工業会 新年賀詞交歓会を開く

あいさつをする石川会長
あいさつをする石川会長
 日本機械工具工業会(会長=石川則男 オーエスジー社長)が1月15日、都内の第一ホテル東京で新年賀詞交歓会を開いた。

 あいさつに立った石川社長は、日頃の感謝の意を表したあと、業界を取り巻く環境に触れ、「第4次産業革命、5Gが、私たちの生活、私たちのものづくり、販売活動、様々なものに影響を与えるだろうと言われている。今から30年ほど前にインターネットが公開され、私たちの生活を大きく変えた。デジタル化を大前提とした第4次産業革命は、ロボット工学、人工知能、ナノテクノロジー、バイオ、IoT、3Dプリンター、自動運転等、多岐にわたる分野においてデジタル化の後押しをする5G時代の到来でもある。」と述べ、切削工具業界についても、「切削工具、耐摩耗工具も、工具単独では顧客に選んでいただける最重要な要因にはなりにくいのが5G時代ではないか。顧客に選ばれる要因は総合的につながった形での商品とサービスを提供していき、他の業界の皆さまと交流を広げることを考えながら、当工業会として備えていきたい。」と意気込みを述べた。

経産省 玉井 産業機械課長
経産省 玉井 産業機械課長
 続いて来賓を代表して、玉井優子 経済産業省製造産業局産業機械課長が、「世界に目を向けると、地政学的な不確実性や不安定感が非常に高まっている。また、気候変動や地球温暖化、さらに少子高齢化による人手不足や、エネルギー制約など、これから乗り越えていくべき課題が山積している状況ではないか。こうした状況の中で、従来の業種や企業を越えて様々な人やデータを介して、つながるコネクテッド・インダストリーズを、これまで以上に加速させて、新しい発想でイノベーションを生み出し、さまざまな社会課題を解決してくsociety5.0を世界に先駆けて実現していきたい。その鍵となるのが、IoT、AI、5Gといったデジタル技術になる。日本の製造業の現場にも急速にこのデジタル技術が広がり、将来の競争力を大きく決定づけるようなものになると捉えている。」とあいさつをした。

 中村伸一副会長(三菱マテリアル常務)が乾杯の行い、開宴した。宴もたけなわの頃、散会した。

「デジタルテクノロジーの進展をサポート」日本工作機器工業会 賀詞交歓会を開く

あいさつをする寺町会長
あいさつをする寺町会長
 日本工作機器工業会(会長=寺町彰博 THK社長)が1月16日、都内の芝パークホテルで新年賀詞交歓会を開いた。

 あいさつに立った寺町会長は、「2019年を振り返ると特に生産財関係では調整に急ブレーキをかけた時代のように思う。一方、2020年はデジタル化を進めていかざるを得ない。今後は消費財の関係でも、さらにインダストリー4.0、ソサエティー5.0のとおり、デジタルとは共存していかなければいけないということが明確になっている。日本では今年、オリンピック・パラリンピックが開催されるが、われわれ自身が商機を盛り上げていく、また、消費が盛り上がることによって生産財がしっかりとそれを支えていけるようにすることが重要だと思っている。なかなか見通せない時代だが、間違いなく2021年、2022年に向けて、半導体業界やデジタルテクノロジーは進んでいく。それをサポートしながら、私どももこれに対応して、どこにも負けない形にしたいと思う。」と力強いあいさつをした。

経産省 玉井 産業機械課長
経産省 玉井 産業機械課長
 続いて来賓を代表して、玉井優子 経済産業省製造産業局産業機械課長があいさつをした。この中で玉井課長は、「日本の経済は様々な課題を抱えているが、むしろ次に来る大きな変化を見定めて柔軟な発想やスピード感を伴うイノベーションで対処していくことの絶好のチャンス。従来の企業や業界の枠を超えて、様々なものがデータを介してつながっていくというコネクテッド・インダストリーズをさらに加速させて、新しいイノベーションを生み出し、社会課題を解決していくソサエティー5.0を世界に先駆けて実現していきたい。その際、鍵となるのがIoT、AI、5Gといったデジタル技術であり、これが日本の製造業の現場にも急速に広がって、将来の競争力を大きく決定づける状況になっている。」と述べた。

 乾杯の発声を北川祐治 北川鉄工所会長兼社長が行い開宴した。宴もたけなわの頃散会した。

「経済の回復に期待」 日本ロボット工業会 ロボット関連三団体 賀詞交歓会を開く

あいさつをする橋本会長
あいさつをする橋本会長
 日本ロボット工業会(会長=橋本康彦 川崎重工業取締役常務)が、1月10日、東京プリンスホテルで「ロボット関連三団体 新年賀詞交歓会」を開いた。

 三団体を代表してあいさつに立った橋本会長は、昨年開催された2019国際ロボット展について、「出展規模が過去最大規模となり、来場者も過去最大の14万1千余名となった。」と盛況に閉幕したことの報告とお礼を述べたあと、世界情勢について、「昨年は米中貿易摩擦の影響が実体経済にも繁栄するなどにより世界的な景気減速が見られ、また年末には英国の欧州離脱が決定的となった。その一方で、米中通商協議の第一弾が昨年末に合意されるということは、世界経済の回復に期待感を抱かせるものであった。」と振り返った。

 また、わが国のロボット産業について、「需要の約7割を占めている輸出で、依然としてマイナスの傾向が続いたが、年初を底に年後半よりマイナス幅に改善が見られた。このような状況から、2019年の受注額は対前年度比14%減の8,240億円、生産額においても同様に約14%減の7,800億円にとどまる。」と見通しを示したあと、「自動化に対する潜在ニーズは大変強く、5G関係でも半導体関連の投資も上昇しており、ひとたびきっかけが得られれば、これらの投資が一気に加速することも期待される。このようなことから、本年のロボット受注額は対前年度比6%増の8,700億円、そして生産額も6%増の8,300億円と、昨年からの回復を期待している。」とした。

経産省 高田 製造産業局長
経産省 高田 製造産業局長
 続いて来賓を代表して高田修三 経済産業省製造産業局長が、「今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年になる。1964年は、これが戦後復興を進める日本を象徴する場にもなった。ぜひ今年も日本のよいところを世界に示していける年にできたらと思っている。」と述べ、地政学的情勢に触れた。その中で高田局長は、「なかなか先が見通せない面もあり、確実に不確実性と背中合わせに過ごしていく時節柄だが、このような中で、大切なことは、変化に対して迅速に対応し、危機を乗り越えていくことだろう。この大きな流れの底流がデジタル化であり、しかも変化のスピードは非常に速い。このデジタルの力を使って製品をパワーアップしていく、あるいはこれを用いて環境問題やイノベーションに取り組んでいくといったニーズに応えていくというトレンドはますます進んでいくと思う。私どもはぜひそういうことを心得て、このデジタル化にふさわしい税制その他を通じた環境整備、皆さまの支援につながるように取り組んでいきたい。」と声援を送った。

 小笠原 浩 副会長(安川電機社長)の乾杯の発声で開宴した。宴もたけなわの頃、散会した。

 

「ONE TEAMとなってよい年に!」日本金型工業会 東部支部 新年懇親会を開く

鈴木 日本金型工業会東部支部長
鈴木 日本金型工業会東部支部長
 日本金型工業会東部支部(支部長=鈴木教義 鈴木社長)が、1月17日、都内の上野精養軒で新年懇親会を開いた。

 第一部では、講談師の神田すみれ氏が「日本躍進の立役者“資本主義の父”渋沢栄一伝 ~誕生180周年を記念して~」をテーマに特別講演を行い、続いて、第二部では懇親会が開催された。

 開催のあいさつに立った鈴木支部長は、「昨年は、中国とアメリカの問題や、香港、韓国、北朝鮮の問題など、世界的な問題で仕事の影響もあったのではないか。自動車の販売台数も落ち、携帯電話関係の量も落ちたが、今年度はオリンピックもあり、前向きな年。先ほど東部支部の理事会があったが、決算の内容を見ても、大変、各会が活発に会合や研修会、視察を含めて行事を行っている。先行き不透明な経済ではあるが、ぜひ東部支部の皆様と日本金型工業会がONE TEAMとなって、この一年を良い年にしていきたい。」とあいさつをした。

経産省 松木 素形材産業室長
経産省 松木 素形材産業室長
 続いて来賓を代表して、松本真太郎 経済産業省製造産業局 素形材産業室長が、「金型産業は日本のものづくりの中でも材料から加工をして、世界に例のない素晴らしい製品をつくっていく結節点になる非常に重要なもの。今年のオリンピックイヤーにおいて、金型産業を含めた素形材産業、ものづくり産業、ひいては日本の産業競争の強化というところをさらに確固たるものにしていけるような一年になればと思っている。」とあいさつをした。



小出 日本金型工業会会長
小出 日本金型工業会会長
 工業会を代表して小出 悟 日本金型工業会会長(小出製作所社長)があいさつをした。この中で小出会長は、「情報管理の認定団体になるため1年間、努力をしてきた。2020年も変わらず認定団体になり得る努力をしていく。ハッキングがあるなど予測だにしないことが、今後、自分たちの身に起こることも考えておかなければならないと同時に、自分たちの事業継続計画の中でもこれらに対応するということが必要だ。」と情報管理の必要性を訴えた。

 木下易之 三井ハイテック金型事業部 金型生産技術部長が黄綬褒章受章の表彰を受けたあと、新入会員の紹介があった。

 乾杯の発声を、井上真一 牧野フライス製作所社長が行い開宴した。宴もたけなわの頃、散会した。

「品質管理ニーズの高まりに期待」日本精密測定機器工業会 日本光学測定機工業会 合同賀詞交歓会を開く

中川 日本精密測定機器工業会会長
中川 日本精密測定機器工業会会長
 日本精密測定機器工業会(会長=中川 徹 ミツトヨ会長)と、日本光学測定機工業会(会長=浜田智秀 ニコン常務)が、1月17日、都内の霞山会館で新年賀詞交歓会を開いた。

 あいさつに立った中川日本精密測定機器工業会会長は、「中国の成長率が鈍化しているところへ、貿易摩擦が足を引っ張り、そのあおりを受け、中国経済の依存度が高い欧州、特に自動車業界を中心に低迷した。比較的良いと言われていたアメリカも、製造業に関する限りは、夏以降、陰りが出ている。私ども工業会の販売額は、まだ確定はしていないが、一昨年比で10%弱ぐらいのマイナスの1,050億円ほどではないか。年始の1、2月は比較的順調で、前年を上回っていたが、それ以降、は先述の景況を受けてしまった。しかしながら、1,050億円は、私どもの工業会で言えば、過去3番目に高い数字である。品質問題が経営に与える影響が強く認識され、間違えの起こらない品質管理ニーズが高くなっている。さらには世界的に人手不足を受けて、自動化ニーズが非常に高まっている。測定計測器需要が底上げしている証左であると感じている。」と述べた。

浜田日本光学測定機工業会会長
浜田日本光学測定機工業会会長
 続いて浜田日本光学測定機工業会会長が、「当工業会は、昨年11月で60周年を迎えた。今年は産業界の技術分野においては、5Gへのシフトが既に加速度的に始まっており、至る所でデジタルトランスフォーメーションは上昇する一途だという認識をしている。またそれらをつなげるIoTなどのプラットフォームは既になくてはならないものになってきた。電子機器の需要は、今後ますます増える方向へ進んでいくだろう。技術革新のスピードが加速をしていく中において、この品質を支えるために、リアルタイムでかつ多くの計測を瞬時に可能とする光学測定機は核となり得ると考えており、その重要性もますます高まっていくと感じている。過去より度々繰り返される品質問題は、より顕在化する可能性があり、歩留まり向上やコストダウンといった、狭義での品質保証の領域をはるかに越えて、問題を起こしてしまった製品の評価を単に下げるだけではなく、企業価値そのものを大きく棄損されるリスクがあることを、われわれは強く認識しておく必要がある。当工業会では、見えないものを見えるようにするだけではなくて、定性的なものを定量化できるように活動を続けていく。これまで見逃していた現象、事象の把握だけでなく、評価方法の確立おも推し進めている。加えて、検査、測定、計測の自動化、省力化をなお一層進化させて、製品、部品の良否を単に判定するだけではなくて、工程をスピーディーに改善するためのフィードバックに役立てていただくことを目指している。」とあいさつをした。

経産省 池田 産業機械課 課長補佐
経産省 池田 産業機械課 課長補佐
 来賓を代表して、池田秀俊 経済産業省製造産業局産業機械課 課長補佐があいさつをした。この中で池田課長補佐は、「今年は東京オリンピック、パラリンピックが開催される年。経済産業省では、先進技術で社会の課題に挑戦する、あるいは課題を解決するといったコネクテッドインダストリーズを推進している。安倍内閣が今年で8年目を迎えるが、安倍総理は一貫してこれまでの間、経済対策を第一の政策を実行してきた。年譜のGDPが史上最高、1割以上上がり、有効求人倍率についても、初めて47都道府県全てで1割以上を記録した。その一方で、米国、中国の経済競争やブレグジットの問題など、不透明感があり、大変危惧している。われわれとしては、国際経済貿易、自由で公正な貿易を日本が世界にリードして引っ張っていく意気込みである。」と述べた。

 

「明るい光が見え始めた」 日本フルードパワー工業会 賀詞交歓会を開く

あいさつをする石川会長
あいさつをする石川会長
 日本フルードパワー工業会(会長=石川 孝TAIYO社長)が1月15日、都内の東京プリンスホテルで賀詞交歓会を開いた。

 あいさつに立った石川会長は、昨今の経済情勢に触れ、「地政学リスクは引き続き大きなリスク要因だが、アメリカの経済は引き続き堅調であったように思う。順調な雇用環境に支えられて、穏やかに成長を続けているという状況だ。フルードパワー工業会の昨年の油圧出荷額は、足元の推定値で、一昨年比でマイナス4.4%の3,800億程度。一方、空気圧は、同じく一昨年比マイナス9.8%の4,300億程度で、あまり芳しい結果ではなかったが、今年は工作機械業界も年の半ばから後半にかけて底を打ち反転してくる、あるいは半導体製造装置の業界では既に穏やかながら回復を始められ、今年は対前年で8%程度の成長と予想されている。まだら模様ながらも明るい光が見え始めたというような状態にあるのではないか。」と期待を滲ませた。

経産省 上田 大臣官房審議官
経産省 上田 大臣官房審議官
 続いて来賓を代表して上田洋二経済産業省大臣官房審議官が、「前回の東京オリンピック・パラリンピックで、われわれは戦後復興を見事に成し遂げた日本の姿を強烈に世界に発信をした。それから56年が経過したが、先進技術でさまざまな課題を解決するSociety 5.0のもと、次なるイノベーションをどれだけ生み出せるかが問われる年になるだろう。安倍内閣が発足して今年で8年目を迎える。その間、一貫して経済最優先で政策に取り組んできており、確実に経済の好循環が生まれている。他方、昨今の中東情勢の不安定化など、世界の経済、社会情勢が不確実性を増しているが、わが国は自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく国際経済体制を主導していく必要がある。経済発展の鍵を握るデジタル市場のルール整備や5G時代の情報通信技術の確立など、これまでの発想にとらわれない大胆な施策を講じ、日本のイノベーションの創出を強く後押しをしていく。」と声援を送った。

東京都が実施する最大5億円の補助金事業への採択決定 アストロスケール

 宇宙ゴミ除去サービスに取り組むアストロスケールは、このほど、東京都が実施する「未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクト」令和元年度の採択企業として選出されたことを発表した。 このプロジェクトは、東京都が昨年度より実施する都内ベンチャー・中小企業の革新的なサービスや製品を対象に、開発・改良・実証・販路開拓等に要する経費の一部について、1/2(最大5億円)を上限として補助するもの。事業総額として約10億円の申請を行ったアストロスケールは、東京都より約3年間拠出される補助金を活用し、グローバルでの販路拡大、共同研究開発の推進の他、顧客や顧客衛星の安全性審査・リスク調査や財務・人材強化に取り組む。また、大手損害保険会社と協働し、デブリ除去事業に係る販路の提供や同事業専用の保険開発及び運用も見据えている。

【ミニレポート】「2019国際ロボット展」 おっ! と思った技術はコレ!

 「2019国際ロボット展」(主催=日本ロボット工業会、日刊工業新聞社)が、12月18日~21日までの4日間、東京ビッグサイトで開催され多くの来場者で賑わった。現在、ロボットを活用した製造ラインの自動化・省人化がトレンドだが、「おっ!」と目を引いた技術を掲載する。

(順不同:不二越、東芝機械、DMG森精機、トライエンジニアリング、ミツトヨ、ジェイテクト)






1㎏可搬ミニロボットは世界最小6軸設計
1㎏可搬ミニロボットは世界最小6軸設計
 不二越で注目したのは、新製品の「MZ01」。これは、クラストップレベルの高速・高精度を誇り、1㎏可搬のミニロボットだ。1㎏可搬クラスでは世界最小6軸設計となっている。こうしたロボットは、電子基板の部品など、非常に小さい小型電子部品の組み立てにはもってこい。小さいので作業者1人分のスペースに2台設置可能であることも嬉しい。







バリ取りセル
バリ取りセル
 不二越は、多彩な事業・技術をあわせ持つ総合機械メーカーという強みがあるが、この強みを存分に生かしたバリ取り・面取りなどの仕上げ加工を自動化する「ロボットバリ取りセル」が展示してあった。ワンパッケージにして売り出した、というのはおそらく不二越が初めてだろう。ティーチングもあっという間で簡単だった。コンパクトボディなうえ、ロボット、スピンドル、回転テーブルを標準装備し、押し圧を柔軟に変えられるため、ダイカストや樹脂など幅広いワークに適応する。そして、バリ取りセルとともに幅広い用途で活躍する超硬ドリル「アクアドリルEX スターティング」も展示してあった。食いつきがよく、高精度な位置決めが可能であり、切れ味のよい刃先形状は良好な加工面をもたらせてくれる。また、同社では中期スローガンに「世界のものづくりを先進のFAシステムとメカトロニクスで革新する」を掲げており、ロボット事業に注力している姿勢と気合がひしひしと伝わる展示だった。



重いものでも細かくスピーディーに動く!
重いものでも細かくスピーディーに動く!
 東芝機械も、自動化ニーズに対応していた。同社の目玉となったのは、新製品のスカラロボット「THE600」とロボットコントローラ「TS5000」。スカラロボットのキモとなる点は、細かい動きや重いものをもってもしっかりと早い搬送ができることだ。長年にわたりスカラロボットをつくっている同社としても、今回のモデルは力を入れてつくったモデルだという。注目点は、基本的な部品の全てを見直して剛性の高いボディをつくり制御をしっかりしたこと。

 「TS5000」はIT機能を強化している。今までは通信ポートはメインのCPUで処理をしていたが、今回、専有のポートで独立して処理をしている。メリットはほとんど性能の低下がないこと。制御周期を従来機比3倍に高速化したことで周期制御追従性度が向上した。制御周期の1ミリセカンドのサーボのトルクや速度やIEOの状態まで全部データをとることができ、標準でフルタイムのフィードフォワードを搭載している。PTP制御で荒い動作や速度が速いときも遅いときもほとんど経路誤差がない。これも剛性の高い同社のスカラロボットTHEシリーズだからできたこと。自動化機構や生産ラインの効率向上、品質向上、投資回収の早期化に貢献するとしている。

システム全体を一元的に構築
システム全体を一元的に構築
 DMG森精機は工作機械とともに展示。搬送ロボットアームがワークを直接掴んで搬送する自動化システムをPR。計測装置などの周辺装置との連携が高いところも魅力だった。柔軟性の高いソリューションが得意な同社ならではの展示で来場者を魅了しており、セル生産や工程削減に興味を示す来場者が足を止めていた。注目したい点は、自動化システムを導入するには、工作機械メーカーだけでなく、周辺機器メーカーとの連携をユーザー自身が行う必要があったことだが、DMG森精機ではこれらの連携も含め、システム全体を一元的に構築する「シングルソースターンキープロバイダー」としての機能を果たしていること。簡単にいうと、ユーザーは同社に連絡するだけでOKという、まったく煩わしいことがないうえ、納品後の立ち上げもスムーズ。高度な自動化ソリューションを提供していた。

塗装面に光る蛍光灯の光をよく見てほしい。赤マル左はロボット研磨+手補修研磨面、右は従来の研磨で塗装面に映る蛍光灯にゆがみが!
塗装面に光る蛍光灯の光をよく見てほしい。赤マル左はロボット研磨+手補修研磨面、右は従来の研磨で塗装面に映る蛍光灯にゆがみが!
 トライエンジニアリングでは、非常に画期的な研磨ソリューションを展示していた。このソリューションは、半導体研磨で培った精密研磨材技術を提供しているフジミインコーポレーテッドと、トライエンジニアリング独自のロボット技術をベースにしたもの。研磨に必要な繊細な圧力制御機構を搭載したロボット研磨システムは、自動化やシステム化、そして圧力制御がものをいうが、これが非常に難しい開発であることは製造現場ドットコムの読者ならお分かりになるだろう。

 写真にあるのは車のボンネットを鏡面加工し、蛍光灯を当てたものだが、蛍光灯の光の歪み具合がまったく違うことがお分かりいただけるだろうか。同社のロボット制御で加工したものは、蛍光灯も歪みがない。従来の鏡面加工だと、ボンネットにうつる蛍光灯の光にユラユラとゆがみが生じている。従来はこうした鏡面加工は職人が手磨きをしており、この技術は超高級車しか使われていなかったが、この作業をロボット化することで、大衆車にも使える可能性がある。これに使うロボットは、今回、ファナックの緑色ロボットである“協同ロボット”が研磨作業を実行していた。最も注目すべき点は、協同ロボットは、“人にぶつかると止まる”機能が付いていることである。研磨作業はそもそも製品にドンとぶつかって研磨するので、それが人にぶつかったのか、製品にぶつかって研磨しているのか、見分けなければならない。そんな難しいことを、安全を確保しながら、研磨作業をロボットにさせる技術を確立していたのだから、非常に画期的だ。この技術は製造現場に新たな新風を巻き起こす予感がした。

同一システムでの多品種少量生産は製造現場のトレンド
同一システムでの多品種少量生産は製造現場のトレンド
 ミツトヨの小物部品自動搬送計測システムも画期的だった。乱雑なワーク位置を自動認識し、小物部品の自動測定がノンストップで行われるソリューションを展示していた。ロボットハンドにビジョンセンサを搭載し、ベルトコンベヤで流れてくる部品の種類や角度の判別を行い、ピッキングして測定機に自動搬送することができるというシステム。メリットは同一システムでの多品種生産により設備投資を削減でき、手作業による作業スピードのバラつきやポカミス発生という作業者の負担を抑えて安定運用を実現するといったもの。






体力に自信のない方でもこれがあれば幅広い作業環境に対応できる!
体力に自信のない方でもこれがあれば幅広い作業環境に対応できる!
 ジェイテクトは、「パワーアシストスーツ」を展示。近年、様々な年齢の方が作業現場で働いているが、重たいものを持つと、身体のあちこちに負担がかかり、ちょっと無理な姿勢でもしようものなら、肉体に負担がかかる可能性がある。腰痛、肩痛、膝痛を防ぐためにも、自然な姿勢動作を機器がサポートしてくれたらどんなに良いだろう。そんなありがたい製品が展示されていた。この「パワーアシストスーツ」は、幅広い作業環境にも対応し、雨天時でも使用できるからうれしい。重作業での肉体にかかる負担が楽になる。また、左右独立に作動するため、幅広い作業姿勢へ対応するのも魅力だ。装着も簡単で、ベストやベルトが洗えていつでも清潔を保つことができる。

「なすべきことをやり遂げる時期」 日本工作機械工業会 賀詞交歓会を開く

 日本工作機械工業会(会長=飯村幸生 東芝機械会長)が1月9日、都内のホテルニューオータニで賀詞交歓会を開いた。

「世界の工作機械産業を巡る環境は大きな技術的変革期を迎えている」

あいさつをする飯村会長
あいさつをする飯村会長
 あいさつに立った飯村会長は、日頃のお礼を述べたあと、「昨年は令和という新時代の幕開けを迎えたが、世界では中国をはじめ米国や欧州でも経済が減速した。米中対立やブレグジッド問題への対処が長期化し、中東を始め世界各地域での地政学的リスクも顕在化し、世界的な自国中心主義の高まりが感じられた。日本国内では自然災害が相次ぎ、令和時代は波乱の船出となった。」と昨年を振り返った。

 工作機械産業を取り巻く環境についても触れ、「世界の主要各国で高齢化が進展し、労働生産性は伸び悩んでいる。潜在成長力が低下していく中で、世界のものづくりを担う製造業は技術面、需要面で大きな変化の時期を迎えている。IoT関連では、AI技術の発展と5Gの普及に伴い、技術革新がさらに加速していくだろう。自動車業界におけるCASEやMaaSといった電動化、自動化、サービス化の潮流がサプライチェーンに大きな影響を与えていくのは必然。多くの国では製造業における人材不足の問題から省人化技術の高度化が求められている。2015年の国連総会で採択されたSDGg(持続可能な開発目標)の理念が世界各国で取り入れられ、企業活動の指針ともなりつつある。」と述べたうえで、「工作機械業界関係者は、IoTを活用したスマート・マニュファクチャリング技術、AI技術、三次元積層造形技術、少子高齢化時代に適応した自動化技術、ターンキー技術など、各方面にわたって持続可能な開発に資する技術の進化と発展に努める必要がある。競争軸はいまや加工精度、剛性、IoT対応などの単なる機械性能から、工程集約や自動化、生産体制の構築、あるいは地域特性に合わせたカスタマイズなど生産設備全体のエンジニアリングの提案力にシフトしつつあり、激しい変化の時期は、競争環境が激化する優勝劣敗の局面でもある。技術革新や競争軸の変化をビジネスチャンスとして、世界市場でプレゼンスを向上させることが求められている。」との見方を示した。

 2019年の工作機械受注額については、「一昨年は1兆8000億円をこえる空前の受注額を記録し、太陽の沈むことのない極北の白夜を思わせる体験だった。昨年の受注環境に、1年前の賀詞会では、山から次の山へ尾根伝いに歩いているところ・・・と申し上げたが、世界各地の景気後退に加え、米中貿易摩擦の長期化が設備投資の下押し圧力となって尾根道は急な下り坂となり、白夜から一転して寒さが募る中で、日暮れを迎える思いだが、2019年の受注総額は年間修正見通し1兆2500億円に届かず下回る水準に留まったと見込まれる。」とした。

2020年の受注額見通し

 2020年の受注見通し額については、「世界経済・社会を形作っている枠組みに対する国家間の齟齬が予見される中、中国経済の動向や秋の大統領選に向けた米国の政治・経済状況、欧州情勢、地政学的緊張感等、世界の政治経済の行方が見通しづらい状況にある。」としたうえで、内需については、「政府の経済対策による景気下支え効果や、自動化・省力化投資の発現が見込まれ、また、半導体製造装置では5G関連の投資が一部期待される。」とし、外需についても、「欧米では米中貿易摩擦の影響や先行き不透明感から総じて軟調に推移するものと見込まれる。アジアでも中国経済と関係の高い諸国・地域では停滞感が続くが生産拠点が中国からシフトしている国や中国経済への依存度が比較的低い国からの受注は持ち直していくと見込まれる。」と期待感を滲ませた。

 飯村会長は、「今は目先の受注に一喜一憂せず、各社のありたい姿に向けて、なすべきことをやり遂げる時期。」と感想を述べ、2020年の日工会受注額ついて、1兆2000億円の見通しを示した。

「新たなイノベーションを」

宮本 経済産業大臣政務官
宮本 経済産業大臣政務官
 来賓を代表して宮本周司 経済産業大臣政務官があいさつをした。この中で宮本政務官は、「いよいよ東京オリンピックまで200日を切り、前回の大会においては戦後復興を成し遂げた日本の姿を強烈に世界に発信をした。あれから56年が経ち、今回、この東京で再び開催される大会を前にAI、IoTといった先進技術を核として様々な課題に挑戦をするソサエティ5.0のもと、新たなイノベーションを生み出していかなければならない。今、われわれはそこに向かって突き進んでいるところである。安倍内閣が発足をして8年が経つ。確実に経済の好循環が生まれていると認識をしている。ただ、一方で日本を取り巻く世界の政治、また、経済の環境は様々な変化を遂げている。われわれは、ものづくりを核としてしっかりとした経済の基盤をもう一度つくっていかなければならない。」と意気込みを述べた。

「今年は50周年」日本工作機械販売協会が賀詞交歓会を開く

あいさつをする依田会長
あいさつをする依田会長
 日本工作機械販売協会(会長=依田智樹 三菱商事テクノス社長)が1月9日、都内の第一ホテル東京で賀詞交歓会を開いた。

 あいさつに立った依田会長は、「工作機械業界は非常に速い速度で変化している。自動車業界はCASE関連の新技術の対応といった流れが出てきており、業界そのものの再編が加速されるのではないか。また人手不足を背景に自動化、AI、IoTを使った工場の見える化、予防保全といったような生産向上のニーズがますます高まっていくだろう。加工も切削だけではく、積層造形の需要も拡大すると予測される。最近では5G、あるいは半導体の一部で多少大きい兆しが出てきており、本格的な回復を期待しているところだ。過度に悲観せず、楽観せず、しっかりとやるべきことはやっていきたい。日工販は今年で50周年を迎える。引き続き会員のネットワークを強化して、業界諸団体ならびにメーカーとの連携を強めていきたい。」と述べた。

経済産業省 玉井 産業機械課長
経済産業省 玉井 産業機械課長
 来賓を代表して経済産業省製造産業局 玉井優子 産業機械課長が、「少子高齢化による人手不足、エネルギー制約といった乗り越えるべき課題がさまざま山積みになっている。こうした状況の中で、従来の枠にとらわれない柔軟な発想やスピード感を伴ったイノベーションが一層重要になってくるだろう。さまざまな業種や企業、人、機械がデータを介してつながるコネクテッド・インダストリーズを加速させ、さまざまな社会課題を解決していくSociety5.0を、世界に先駆けて実現していきたい。こうした中で、従来のサプライチェーンの構造を越えて、ものづくりの競争が激化するとともに、デジタル化が製造業や企業の位置付けを大きく変える時代が来ている。経済産業省も5G時代のインフラ整備、デジタル市場のルール、整備など、わが国のイノベーションの創出環境整備をしっかりやっていきたい。」とあいさつをした。

日本工作機械工業会 飯村会長
日本工作機械工業会 飯村会長
 業界を代表して、日本工作機械工業会の飯村幸生会長があいさつをした。この中で飯村会長は、「昨年は非常に苦しい年度であったが、今年は2年に一度のJIMTOFが開催される。工程集約自動化を含めて、物への投資よりもソフトへの投資が非常に多いように感じる。工作機械は物といっても物だけではなく、ソフトが入り、事への融合が始まった。こうした機会を明確に今年のJIMTOFに打ち出して、大きな成果を得たいと思っている。世界のものづくりの貢献を通して、日本の工作機械産業が一段と成長できるように、日工販と共に車の両輪となって進んでいきたい。」と意気込みを述べた。

 乾杯の発声を日本工作機械輸入協会 中川貴夫会長が行った。宴もたけなわの頃、散会した。