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大澤科学技術振興財団 平成24年度助成課題②(国際交流助成)

大澤科学技術振興財団(理事長=大澤輝秀オーエスジー会長)が、9月28日オーエスジー グローバルテクノロジーセンター(愛知県豊川市一宮町)で、「平成24年度助成費贈呈式」を開いた。2012年(平成24)年度、トップ記事に続いて、国際交流助成11件をここに紹介する。

K-1 2012年MRS秋季学術講演会(アメリカ)

・松室 昭仁 愛知工業大学・工学部 教授発表課題:Fabrication of Nanostructures of Low-Resistivity Silicon Wafer with High-Aspect-Ratio Using Carbon Nanotube Probe of Scanning Tunneling Microscopeナノテクノロジー、新材料応用、半導体デバイス開発等の先端開発技術の国際会議として最も権威があり最大規模である当該会議において、カーボンナノチューブ(CNT)を加工工具として捜査型トンネル顕微鏡によるトンネル電流により応用上重要なシリコンウエハへ創成されたナノスケールかつ高アスペクト比を有する構造体の特徴と、さらに透過型電子顕微鏡を用いて加工部周辺の組織の時間経過に伴う原子レベルの変化を観察できるその場観察手法を確立し、本方法による加工原理の解明につながる重要なせいかについて発表を行う。発表の要点は以下である。従来のタングステン探針に、CNTを1本その先端に付着固定できる電気泳動と表面張力を利用した簡便な引き上げ法を開発しCNT加工工具の高い生産性を有する作製技術を確立した。本CNT工具を用いて従来の8倍程度の高アスペクト比のナノメートルスケール3次元加工(点、線、面加工の凹凸加工)を実現できた。加工原理として、凹加工に関しては電界蒸発、凸加工に関してはCNT工具の局所的温度上昇と電界に伴う原子拡散のマイグレーションが示唆された。

K-2 2012年機械産業工学に関する国際会議(ドイツ)

・和田 任弘 奈良工業高等専門学校 教授発表課題:Tool Wear of Titanium/Tungsten/Silicon/Aluminum-based-coated End Mill Cutters in Milling Hardened Steel本年9月にドイツのベルリンで開催されるInternational Conference on Mechanical and Industrial Engineering(ICMIE 2012)(機械・産業工学に関する国際会議(ICMIE 2012))は、今年で第33回目になります。本国際会議は、機械・産業工学のあらゆる部門についての研究者および技術者が有する研究、技術成果を交換し、実践的な課題について議論することが目的です。本年も表面のコーティング技術に関する分野で活躍している研究機関、学界などの研究者、科学者や産業界の技術者が出席し、情報交換が行われます。主なトピックの一つに、製造技術に関するテーマがあり、申請者は、このセッションで、Tool Wear of Titanium/Tungsten/Silicon/Aluminum-based-coated End Mill Cutters in Milling Hardened Steel(焼入れ鋼のフライス切削におけるTi/W/Si/Al基コーテッドエンドミルの工具摩耗)のテーマで発表するとともに、世界有数の研究者、科学者や産業界の技術者と意見交換をし、切削技術分野の先端科学技術に触れることを主目的とします。

K-3 2012年アジアの鉄鋼に関する国際会議(中国)

・長坂 明彦 長野工業高等専門学校 教授発表課題:Effect of Carbon Content on Burring and Tapping in Ultrahigh Strength TRIP Sheet Seels2012年アジアの鉄鋼に関する国際会議(Asia Steel 2012)は、、2012年9月24日~9月26日、中国北京市にある北京国際コンベンションセンターにおいて、中国金属学会等の共催により組織される。アジアの鉄鋼に関する国際会議は2000年に中国で開催されて以来、今回が第5回と続く国際会議である。発表者は『超高張力TRIP鋼板のバーリング・タッピングに及ぼす炭素添加量の影響』と題して口頭発表を行う。これまでに、自動車用超高張力TRIP鋼板の伸びフランジ性に関する研究報告はあるが、極めて成形の厳しい980MPa超級高張力TRIP鋼板のバーリングおよびタッピング加工に関する報告はほとんどない。そこで本研究では、超高張力TRIP鋼板をフロードリル(Flowdrill)でバーリング加工することで、車体軽量化と部品点数を削減することを目的として、ナットレスを実用化し、その高サイクル疲労特性等を検証し、実用部位を検討した。供試鋼には、600MPaから1100MPaと強度レベルの異なる(0.1-0.4)C-1.5Si-1.5Mn(Mass%)を有するTRIP鋼板(板厚1.2mm)を用いた。バーリングにはWC合金製のフロードリルを、タッピングにはOSG製の転造タップをMCにそれぞれ装着し、加工した。また、バーリング後およびタッピング後の高サイクル疲労試験(応力被:0.1、引張り-引張りの片振荷重制御)を行い、TRIP鋼板の疲労特性に及ぼすタッピングのメカニズムを解明した。

K-4 第15回先端的材料と処理技術に関する国際会議(オーストラリア)

・古谷 克司 豊田工業大学・工学部 教授発表課題:Prototype Design of Wire-sawing Machine for Preliminary Experiments to Lunar and Planetary Exploration(月惑星探査を目指した予備実験のためのワイヤソー切断装置の背計・試作)本口頭発表では、まず、次世代月惑星科学探査で、岩石のその場観察の前処理として試料表面を平滑化する方法としてワイヤソー切断法の適用を提案する。次に、高真空環境における加工実験を行うための加工装置構成および加工結果の例について紹介する。真空である月では、加工中に発生する熱や凝着などによる工具損傷が大きいため、ソーワイヤのように新しい切刃が常に供給される工具が有効であると期待できる。長尺ワイヤが搭載できるように、2つのボビン間でソーワイヤを往復させる構成とした。玄武岩を試料として切断した結果、真空中の方が加工量が少なかった。ソーワイヤ表面に静電気により切りくずが付着したことが原因の一つと考えられる。本会議は、機械加工以外の、たとえば材料物性やトライボロジー等の様々な分野の研究者が集まるため、多方面からの活発な討論が行えることが期待できる。これを基にして、本研究をさらに発展させる。

K-5 第13回プラズマ表面工学国際会議(ドイツ)

・野瀬 正照 富山大学・芸術文化学部 教授発表課題:A Nobel Technique of Fabricating Nitride/Oxide Nanocomposite Coatings(Using Differential Pumping Co-Sputtering System)プラズマを利用した表面改質技術、薄膜、表面・界面の分析など、プラズマ利用技術と表面全般に関した伝統ある当会議において、窒化物と酸化物からなるナノコンポジット膜の新しい成膜技術について発表を行う。切削工具に用いられる従来の硬質膜は、窒化物膜が主流であるが、耐酸化正は不十分である。窒化物微結晶を非晶質酸化物が覆う構造のナノコンポジット膜ができれば耐酸化製に優れた保護膜が実現するのではないかと考えられる。このために、窒素雰囲気と酸素雰囲気の異なる成膜雰囲気が互いに混合せずに成膜できる差動排気型同時成膜装置を開発した。本装置では左右のチャンバー間の雰囲気相互流入は無視できる程度に小さいことを明らかにした。また、AlNとSiO2やAl2O3などとの複合膜では、一定割合の複合化で硬度がピークを示すことが分かった。またこれらの膜では、窒化物を取り囲む酸化物のネットワーク構造が成形されていることを高分解能電子顕微鏡で確認した。大学や研究所だけでなく、成膜装置・工具等の企業研究者・技術者も多数参加する本会議で発表し、上記成果について真摯な議論を行うとともに関連分野の最新知見を得る。

K-6 加工プロセスと工作機械の相互作用に関する第3回国際生産加工アカデミー会議(日本)

・社本 英二 名古屋大学・大学院 教授助成対象の国際会議の概要本国際会議は、CIRP(国際生産加工アカデミー)に正式に認められた会議であり、びびり振動や熱変形など、加工プロセスと工作機械との相互作用が重要となる研究トピックスに焦点を絞って、ドイツのハノーバー大学Denkena教授2008年に組織したものである。第1回会議を2008年にハノーバーで開催し、その後、カナダのブリティッシュコロンビア大学Altintas教授が委員長となってバンクーバーで第2回会議を開催した。これらの会議には、両氏を初めとして、ドイツのアーヘン工科大学Brecher教授およびKlocks教授、カリフォルニア大学Dornfeld教授、ノースカロライナ大学Smith教授など、工作機械と機械加工プロセスの分野において世界を代表する研究者の多くが参画しており、極めて質が高い会議である。第3回目となる今回は、日本で開催したいとの要望が多く、名古屋大学において計画するに至っている。具体的には、2012年10月29-30日に名古屋大学豊田講堂の会議室にて開催する計画である。主催団体が本分野の国際的な権威であるCIRPであることから、前回までと同様に、質の高い研究発表と技術交流が行われるものと期待できる。

K-7 第62回国際生産加工アカデミー総会(中国)

・細川 晃 金沢大学・理工研究域 教授発表課題:Cutting Characteristics of PVD-coated Tools Deposited by Unbalances Magnetron Sputtering Method(UBMS法によるPVDコーティング工具の切削特性)生産加工技術研究の分野では唯一の国際的な組織であるCIRP(国際生産加工アカデミー)において、「UBMS法によるPVDコーティング工具の切削特性」に関する研究の口頭発表を行う。現在、ほとんどの切削工具に用いられているPVDコーティングは、アークイオン・プレーティング法(AIP法)によるものである。これは母材に耐熱性を付与することを主眼においている。本研究では発想を変え、潤滑性を付与することを目的として、フリーカーボンを含有させたコーティング膜の開発に挑戦した。本研究は、アンバランスド・マグネトロン・スパッタ法(UBMS法)によるコーティング技術を高度化し、耐熱性を確保した上で潤滑性を有するフリーカーボンを含有させたPVDコーティング工具の開発を目的としている。開発したUBMS法による工具、特にUBMS-TiCNコーティング膜は摩擦係数が極めて小さく、代表的な難削材であるSUS304ならびにTi合金のエンドミル加工において切削抵抗および切削温度が低く、かつ、平滑な仕上げ面が得られ、工具逃げ面への被削材の凝着も抑制されることを明らかにしている。

K-8 材料と加工に関するアジアンシンポジウム(インド)

・越水 重臣 首都大学東京・産業技術大学院大学 准教授発表課題:Micro-grooving of Glass Using Small-Diameter Diamond Grinding Stone with Ultrasonic Vibration(超音波振動を援用した小計ダイヤモンド砥石によるガラスの微細溝加工)マイクロチャネルデバイスと呼ばれるガラス基板上の小型リアクターを製造するためには、ガラス基板上に微細な溝(流路)を加工する必要がある。本研究では、小径のダイヤモンド砥石(直径0.6mm~1.8mm)を用いてガラス板上に高能率かつ高精度な溝研削加工を実現することを目的としている。研削による機械的な材料除去加工は能率がよく複雑形状の加工制御ができるものの、脆性材料であるガラスの加工面にチッピングを生じさせてしまうといった問題点がある。そこで本研究では、回転する小径ダイヤモンド砥石のスラスト方向に超音波振動(20kHz、10µm)を援用しながら研削加工を行うことで、高能率かつ高精度なガラスの微細溝加工を実演した。The 3rd Asian Symposium on Materials & Processing(ASMP2012)は、2006年に第1回をタイで開催して以来、新素材とその加工プロセスに関する先端的研究の発表・議論の場として、アジアで開催され、今回3回目を迎える。各国の技術者/研究者たちと意見・情報の交換を行いたい。

K-9 材料と加工に関するアジアンシンポジウム(インド)

・廣田 健治 九州工業大学・工学部 准教授発表課題:Accuracy of Multiple Micro-holes Pierced by Using Press Indenting and Chemical Etching機械材料・加工・評価等に関する研究者との討論とよび国際交流を目的とした当該会議において、発表者はプレス成形とエッチングを併用した多数微細孔加工の加工精度について口頭発表を行う。微細孔はノズルやフィルターなどの高機能化に不可欠で、効率的かつ高精度な加工技術が求められている。発表者は塑性加工により金属薄板に微細な圧痕を成形し、裏面をエッチングにより一様に溶解除去して圧痕の横断面形状に沿った微細孔を加工する手法について検討を行っている。本研究では複数の孔を近接させて加工した場合の加工精度に関して検討した。板厚100µmの銅合金箔に本工法で30µm程度の寸法の丸孔と矩形孔が得られたが、圧痕の隣接距離に関しては丸孔では圧痕縁が接するまで近接させても孔寸法に影響しなかったのに対し、矩形圧痕では圧痕幅の2倍程度の間隔でも加工後の孔が隣接方向にゆがんでしまった。その要因について圧痕成形時の材料流動から考察した。また、エッチング量の誤差による孔寸法のばらつきについても明らかにした。当該会議では広く研究成果を周知するとともに、関連分野の最新の研究発表を聴講しアジア諸国の研究者との交流をはかりたい。

K-10 国際先端砥粒加工シンポジウム2012(シンガポール)

鈴木 清 日本工業大学・工学部 教授発表課題:Surface Finishing of Electrically Conductive Diamond Tools by Electrolytic MachiningISAAT(先端砥粒加工国際シンポジウム)は最先端の砥粒加工技術を専門に扱う世界で唯一の研究会議であり、世界中の砥粒加工関連研究者や技術者が最新の砥粒加工技術を発表し、意見を交換し合っている。申請者は当該シンポジウムの設立者(Emeritus Chairman)として出席するとともに、財団の平成23年度研究助成に採択された。「電解加工による伝導性ダイヤモンド工具の表面仕上げ法」の研究成果について発表する。伝導性ダイヤモンドの電解仕上げは世界初の試みであり、航空機部品に用いられるCFRP加工陽ダイヤモンドコーティング工具の表面仕上げへの適用が期待できる。世界的な会議で論文を発表し、各国の技術者、研究者と討論することで、日本初の新たなダイヤモンド工具の加工技術を世界に広めることができる。(発表論文要約)This Paper deals with a new surface finishing method of electrically conductive diamond materials by making efficient use of an electrically conductive nature of the workpiece material, instead of mechanical methods. The authors focused on the electrolytic chemical finishing method for the two advantageous features such as a better surface roughness and only a slight increase of heat at the machining point. This can eliminate a risk of the film delamination in the case where a workpiece is the CVD diamond coated tool. The other is that a wider machining gap is available between an electrode and a workpiece. This was thought to allow the electrolytic machining to be applied to a tool with a complex shape such as a drill and an endmill. Based on these concepts, electrolytic machining experiments were conducted on the electrically conductive diamond materials. From the results, it was found that the surface of the electrically conductive diamond could be smoothened enough by electrolytic machining though relatively long period of time was required.

K-11 国際先端砥粒加工シンポジウム2012(シンガポール)

・二ノ宮 進一 日本工業大学・工学部 准教授砥粒加工技術発展のために日本の(社)砥粒加工学会が幹事団体となって創設したISAAT(International Symposium on Advances in Abrasive Technology)は、今年で第15回目を数え、世界中の砥石加工技術に携わる謙従者が集い、技術交流を行う学会に発展している。申請者らは研削か工事に循環利用する水溶性加工液中に浮遊する微細な遊離砥粒粉や切屑を浄化するため、少量のポリグルタミン酸凝集剤とマイクロバブルを利用した新しい清浄化技術を提案した。既存の加工液の浄化法と比較して、ペーパーフィルタを使用せずに遊離砥粒、切屑および腐敗要因である細菌類の高精度浄化が可能である。マグネットセパレータや遠心分離機などの効果な付帯装置を必要としないため経済的である。本研究によって、この技術は日本(軟水地域)だけでなく、硬水地域での適用が可能であることを明らかにしている。この研究成果を国際会議で論文発表し、各国の技術者、研究者と討論することで、日本の新しい環境対応加工技術を世界に広め、国内外の技術発展に寄与できると期待できる。

メカトロテックジャパン2013(MECT2013)が出展募集を開始!

前回の様子
前回の様子
ニュースダイジェスト社(社長=岩波 徹氏)は、中部圏で開催される最大級の工作機械見本市、メカトロテックジャパン2013(MECT2013)の出展募集を10月1日から開始した。

MECT2013は、名古屋で開催するJIMTOFに次ぐ国内2番目の規模の工作機械・技術の専門見本市。通算13回目となった2011年展では、365社・団体(1,490小間)が参加、約8万人が来場した。前回でも話題を呼んだ会場での加工実演コーナー「コンセプトゾーン」(※注1)を今回でも開催予定のほか、前回から新設した中小企業を支援するために設けた低料金のパッケージ小間「中小企業支援ブース」(※注2)も引き続き募集する。前回でも好評を博した日本工作機械工業会の主催する「工作機械トップセミナー」(※注3)の開催も決定した。

(注1)コンセプトゾーン
工作機械にまつわる最新加工技術を会場で披露することで、来場者に少しでもヒントをつかんでもらい、国内製造業を活性化するのが狙い。前回展では「中小でもできるCFRP加工」と題し、航空機産業などで注目を浴びる新素材CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の加工を会場内で実演した。2013年展では「医工連携」をテーマにさまざまな製品・技術を展示する予定。

(注2)中小企業支援ブース
中小企業を支援するために設けた低料金の専用パッケージ小間。(限定30社、従業員30人以下で、過去にMECTに出展経験がない企業に限る)。出展料金は1社1小間限定で84,000円(税込)、小間寸法は間口2m×奥行2m=4㎡。

(注3)工作機械トップセミナー
製造業の中核を担う工作機械の重要性や、工作機械に用いられる様々な先端技術、そして工作機械業界で働くことの面白さを多彩な講師が学生に紹介する。また、工作機械の研究に携わる大学の研究者、第一線で活躍している工作機械メーカ技術者も交えての懇親パーティも開催。前回は、会員企業の人事担当者の集うPRコーナーも設けた。

■出展申込方法
所定の申込用紙(『出展のご案内』添付の申込用紙またはホームページmect-japan.comからダウンロード)に必要事項を記入し、捺印の上、MECT事務局まで郵送すること。
送付先MECT事務局/株式会社ニュースダイジェスト社
〒464-0075愛知県名古屋市千種区内山3-5-3

■料金について
基本単位1小間(3m×3m)¥273,000(税込)

■申し込み関連のスケジュール
出展申し込み受付開始2012年10月1日(月)

出展申し込み受付締切2013年4月26日(金)
※ただし満小間になり次第締切

出展者説明会
2013年6月中旬

各種届け出用紙申し込み期限
2013年7月下旬

搬入期間
2013年10月19日(土)~22日(火)4日間

開催期間
2013年10月23日(水)~10月26日(土)

搬出期間
2013年10月26日(土)閉幕後~27日(日)

「第15回国際工作機械技術者会議」の焦点は基盤技術!

第15回国際工作機械技術者会議が11月2日(金)・3日(土)の2日間、東京ビッグサイト・会議棟(レセプションホールA)で開催される。これは日本工作機械工業会が世界の工作機械技術の向上に資することを目的としてJIMTOF会期中に開催しているもので、世界から工作機械関連の研究者、技術者、ユーザーが集い技術交流を行う産業界主導の国際会議で、今回で15回目を迎える。今回は工作機械の基盤技術に焦点をあて、「工作機械に確信をもたらす基盤技術」を総合テーマとして開催する。オーラルセッションでは「工作機械の明日を考える」をキーノートセッション、「工作機械の精度評価と補償技術」、「びびり振動フリー技術」、「工作機械と新素材加工における高効率化技術」の3つのテーマをテクニカルセッションとして議論を深める。また、ポスターセッションでは、11月1日(木)~6日(火)まで東京ビッグサイト「東3展示ホール」で、これらの総合テーマ、各セッションテーマに関連するものを含めて、工作機械本体とその要素技術から、加工技術、計測・評価技術、ツーリング技術まで、工作機械関連の幅広い研究成果が発表される予定だ。Ⅰ オーラルセッション【開 催 日】2012年11月2日(金)・3日(土)【会  場】東京ビッグサイト・会議棟「レセプションホールA」(1階)【参加定員】250名(先着順で参加定員になり次第締め切り)【テ ー マ】総合テーマ「工作機械に確信をもたらす基盤技術」キーノートセッション「明日の工作機械を考える」テクニカルセッション①「工作機械の精度評価と補償技術」テクニカルセッション②「びびり振動フリー技術」テクニカルセッション③「工作機械と新素材加工における高効率化技術」■参加料・日工会会員(1名)1日のみ参加=10,000円、2日間通して参加=20,000円。・後援団体会員(1名)1日のみ参加=15,000円、2日間通して参加=30,000円。・一般(1名)1日のみ参加=20,000円、2日間通して参加40,000円。・海外(1名)1日のみ参加=10,000円、2日間通して参加=20,000円。・学生(1名)1日のみ参加=1,000円、2日間通して参加=2,000円。*なお別売りの論文集は学生は5,000円、それ以外は10,000円。■申し込み及び問い合わせ先(一社)日本工作機械工業会 技術部 国際工作機械技術者会議事務局〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館電話:03-3434-3961 FAX:03-3434-3763E-mail:imec15@jmtba.or.jp URL:http://www.jmtba.or.jp/

医療分野に的を絞った機種の展示と複合化が目立った「IMTS2012」

日本工作機械工業会(会長=横山元彦氏)が9月10日~15日の5日間、シカゴで開催された「IMTS2012(International Manufacturing Technology Show)」の概況をまとめた。

(1)今回の主な出展物は、従来と同様、市場に受け入れられやすい「実用化された製品の出展」が中心。多数の実機が展示され、加工の実演も多くみられた中で、複合化や自動化の提案が目立ったほか、医療分野に的を絞った機種の展示も多く見られた。他方、環境や省エネを意識した展示については、散見された程度。

(2)海外メーカーでは韓国の現代、ドゥーサン、サムスン等の多数のメーカーが大きなブースで出展しており、性能の向上もうかがわれた。他方、中国メーカーでは大連机床や瀋陽机床の大きなブースでの出展があったが、前回に比べて出展者数は減少した模様。

(3)会場は、初日から各ブースとも、大勢の来場者で混雑して、熱気に溢れ、入場者数は前回比の大幅増。東西南北に分かれた広大な各館に、世界格好のメーカーの出展ブースが並び、いずれも多くの来場者で賑わって、IMTSの復活ぶりを印象づけた。

(4)現地では、米国の景気がここ2~3年は好調に推移すると見込まれており、一般機械、自動車、航空機など、主要業種の設備投資も活発。会員各社の商談も、中身の濃いものが多かった模様。

(5)学生の見学者も多数来場。

日立建機がダンプトラック自律運転の技術開発を推進 -2013年度から稼働試験開始-

日立製作所製ACドライブ搭載のダンプトラック
日立製作所製ACドライブ搭載のダンプトラック
日立建機(社長=辻本 雄一氏)は、このほど世界の露天掘り鉱山業界の顧客に対し、今後2017年度にかけて5年間にわたり、ダンプトラックの自律運転に関する包括的な各種技術を開発し、提供していくと発表した。同社は、日立製作所製ACドライブを搭載したダンプトラックの開発で既に日立製作所と強力なシナジーを発揮しており、自律運転の技術開発においても、共同での取り組みを進めていく。

ダンプトラックの自律運転とは、車両に搭載した各種車体制御システムと管制システムを通信技術でつなぎ、走行や荷の積み下ろしなど、鉱山現場で必要な作業を運転手が乗っていない状態でも可能にするもの。これにより、高い安全性の確保と鉱山運営の高効率化を実現する。鉱山業界の顧客からは、現場がどのような稼働条件であっても、高い安全性、生産量および生産効率を得たいという要望があり、運転手が乗った状態と同等の運行を可能とする技術開発は、この要望に応えたもの。

同社は、日立製作所の先進技術を取り入れたACドライブダンプトラックシステムや、多くの実績を持つカナダの子会社ウェンコ・インターナショナル・マイニング・システムズ社(Wenco International Mining Systems Ltd.)の鉱山運行管理システムなどをベースとして、顧客が満足するソリューションを、今後段階的に提供するとしている。自律運転の現場での稼働試験は、2013年度から開始する予定。

8月分工作機械受注総額は962.6億円 日工会

日本工作機械工業会がまとめた8月分の受注実績は以下の通り。2012年月8月分工作機械受注総額は962.6億円(前月比△9.0%・前年同月比△2.7%)となった。受注総額は、本年1月以来、7ヶ月ぶりの1,000億円割れ。季節要因のほか、スポット受注の剥落の影響により前月比減少。【8月分内需】294.5億円(前月比△9.2% 前年同月比△21.6%)■内需総額・前月比2カ月連続減少。前年同月比3カ月連続減少。・7カ月ぶりの300億円割れ。・季節要因もあり、主要業種をはじめ多くの業種で前月比減少。①一般機械  131.6億円(前月比△11.0% 前年同月比△20.1%)  うち金型   17.6億円(前月比△20.4% 前年同月比△16.8%)②自動車   90.4億円(前月比△8.8% 前年同月比△29.6%)  うち部品   57.7億円(前月比△0.5% 前年同月比△38.5%)③電気・精密 26.9億円(前月比△0.6% 前年同月比△21.2%)④航空機・造船・搬送用機械 7.8億円(前月比△47.6% 前年同月比△21.6) 【8月分外需】668.2億円(前月比△8.8% 前年同月比+8.9%)■外需総額・前月比2カ月連続減少。前年同月比8カ月連続減少。・7カ月連続の700億円割れ。・前月から北米は増加したが、アジア、欧州で減少。①アジア:369.0億円(前月比△17.0% 前年同月比+15.4%)・東アジア:274.8億円(前月比△17.6% 前年同月比+19.1%)〈中国〉:236.4億円(前月比△22.2% 前年同月比+19.5%)・その他アジア:94.1億円(前月比△15.2% 前年同月比+5.7%)〈タ イ〉:46.2億円(前月比+49.2% 前年同月比+144.7%)〈インド〉:24.8億円(前月比△28.4% 前年同月比△45.0%)②欧州:78.4億円(前月比△10.7% 前年同月比△35.9%)〈ドイツ〉:28.6億円(前月比△4.1% 前年同月比△42.1%)③北米:212.9億円(前月比+13.0% 前年同月比+37.6%)〈アメリカ〉:180.1億円(前月比+9.8% 前年同月比+25.6%)

オーエスジーとセスクワのコラボレーションセミナー「WorkNC Lab.」 120人を超える聴講者で賑わう

オーエスジーとセスクワのコラボレーションセミナーである「WorkNC Lab.」が9月14日、オーエスジーグローバルテクノロジーセンターで開催され、120人を超える聴講者で賑わった。

毎年1回開催しているこの研究会は、顧客に新しい加工方法の紹介、提案をする会として2008年にスタートした。過去4回のセミナーで延べ350人以上が集まった実績のあるセミナーである。

今回の「Lab.4」では“コスト競争に勝ち抜く=生産コストを下げていかに受注増に繋げるか”をテーマに5軸加工機、モデルには形状加工とスライドコアをイメージし、工具・CAMだけでなく割り出しを使用した段取り短縮、またいかに効率よくフライス、タップ、ドリルを使って生産コストを下げるかを考慮した内容のセミナーとなった。

併せてオーエスジー グローバルテクノロジーセンターの見学会も実施し、参加者は「HERMLE C30」 でのサンプル同時5軸加工を体験した。

日立ツールが鋼一般ミーリング加工用材種「GX2140」を発売

日立ツール(社長=田中啓一氏)がこのほど鋼一般ミーリング加工用材種 「GX2140」を発売した。

自動車産業をはじめとして広く使用される金型は、目的に応じた様々な硬度の鋼材が用いられおり、プラスチック金型材に代表されるSC材・SCM材や硬度35HRC未満の工具鋼が多く使用されており、このような鋼種のミーリング加工は、コーティング膜の酸化や逃げ面摩耗が進行することで、工具寿命が決定付けられる。

同社が開発した「GX2140」は、このような逃げ面摩耗の進行で工具寿命に至る本金型材料加工分野だけでなく、類似の鋼材種が使用される部品加工分野において、CVD法を用いた耐摩耗性に優れる新開発の微細化柱状組織硬質皮膜と、膜密着性に優れる厚膜のαアルミナを適用することによって、インサート工具の耐摩耗性と耐熱性を改善する。また、熱衝撃によるヒートクラックの進行を低減した靱性の高い超硬母材を採用することにより、安定した工具寿命が得られる。

特長は以下のとおり。

(1)耐摩耗性に優れる微細化柱状組織硬質皮膜の採用 
コーティング膜の結晶粒径を微細化した柱状組織を有する微細化柱状組織硬質皮膜の採用により、皮膜硬度が向上し耐摩耗性が優れ、工具の損傷を低減させている。

(2)高温環境下で長寿命
耐熱性に優れるαアルミナ膜を厚膜化することにより、耐熱性を従来比の2倍に高めている(同社評価基準において)。そのためクレーター摩耗や逃げ面摩耗の発生を抑制することで高能率加工に対応できる。

(3)平滑αアルミナの採用
耐溶着性に優れるαアルミナ膜の膜表面を平滑にし、被削材の溶着を低減する。そのためコーティング膜の剥離が抑制され、膜剥離に伴う工具損傷を抑制している。

(4)高能率加工に対応、長寿命化
靱性が高く、熱衝撃による工具刃先のヒートクラック発生を抑えたM40相当の超硬母材を採用し、刃先のチッピングや欠損が抑制され、安定した工具寿命が得られる。

(5)寿命
鋼一般ミーリング加工の場合、従来品と比較して乾式切削にて1.5倍以上の寿命を実現しました(当社評価基準において)。

価格は966~1,943円(消費税込み)。

型技術協会が「もう一度基礎から学ぶ金型加工」の受講者を募集

型技術協会が型技術の設計製作に携わる技術者を対象とした基礎講習会を9月28日(金)に新大阪丸ビル新館で開催する。この講習会は入社1~2年程度の若手技術者や技術はわかっていても理論を理解したい、もう一度基礎を固めたいといった中堅技術者に適した構成となっている。基礎講習会では、金型加工に不可欠な「切削加工」をメインテーマとして、基本的な原理や事例を含む応用的な基礎技術について3つの講義で紹介する。また、工具メーカと工作機械メーカの方々を講師に迎え、基礎技術と最新技術の関連性を学びながら、最新技術の特徴や導入のメリットを考える加工現場に役立つ豊富な内容となっている。・日時 9月28日(金) 13:00~17:30・場所 新大阪丸ビル新館 3階 307号室(大阪市東淀川区東中島1-18-27)●13:00~14:20  「切削加工の基礎」 日本大学  松田 礼 氏 【講義の概要】「切削とはどのような物理現象なのか?」、「切れ味が良いとはどのような状態を指すのか?」等のような切削加工(金属切削)の基礎について説明する。切削加工の特長や二次元切削モデルを使った切削現象の基礎理論、切削温度や工具の摩耗・損傷、表面粗さ等、工学系大学で学習する内容をベースに講義をする。●14:35~15:55 「エンドミル加工の基礎」 オーエスジー 今泉 英明 氏【講義の概要】エンドミルの各部の名称、エンドミルの種類、切削速度、1刃当りの送り量の求め方と言いった基礎知識をはじめ、切削条件と工具寿命および加工品位の関係、刃長(突き出し長さ)と切削性能、ねじれ角ならびに刃数の違いに見られる切削特性などエンドミル加工の基礎を切削事例や身近な体験事例をもとに解説する。●16:10~17:30 「工作機械の仕組みと最新の加工事例」 牧野フライス製作所  石田 修也 氏【講義の概要】近年のマシニングセンタは高速化、高精度化、高品位化をターゲットにさまざまな技術革新が図られ、数年前のそれと比べ大きく様変わりしている。しかしながら、加工現場に対する要求もいっそう厳しくなっているため、この状況を打破するためには機械の性能ならびに特徴を理解し、持てる能力を最大限に発揮させることが必要である。本講演では、機械加工及びマシニングセンタの進化・発展の歴史をたどりながら、これからの金型加工に対する要求を考え、これに答える同社のマシニングセンタにおける最新技術と最新加工事例を紹介する。■参加費■いずれもテキスト1冊を含む ・会員  15,000円 (会員の対象は主催・協賛団体会員です) ・一般 25,000円 ※ 個人会員A入会申込付き 27,000円(希望者は事務局まで問い合わせること) 内訳:参加費15,000円+入会金3,000円+8月入会時月割年会費9,000円。■申込締切日■2012年9月21日(金)※申込締切日後のキャンセルは不可。定員は30人。■申込方法■下記にオンラインで申し込むこと。http://www.jsdmt.jp/14kiso/jsdmt-kiso11.cgi■問い合わせ先■一般社団法人 型技術協会〒231-0011 横浜市中区太田町6-79 アブソルート横濱馬車道ビル201号室電話:045-224-6081  FAX:045-224-6082  Eメール:info@jsdmt.jp

人の両腕のような複雑作業に対応! 「アスタコNEO」を発売 日立建機

日立建機(社長=辻本 雄一氏)は、双腕仕様機ZX135TF-3(呼称:アスタコNEO〔ネオ〕)をこのほど発売した。

アスタコNEOは、ベースとなる13t級油圧ショベルと同等のパワーを持つ主腕と、それを補助する副腕の組み合わせにより、単に2つのアタッチメントを同時に使用できるだけでなく、主腕でつかんだ対象物を副腕で切るなど、人の両腕のように、より複雑な作業にも対応することができる。

この双腕仕様機「アスタコNEO」を使用することにより、今まで複数の重機を用いて、あるいは人手作業に頼っていた産業廃棄物の中間処理作業など、複雑な仕分け作業を安全かつ効率的に行えるようになる。

生まれたばかりのアスタコNEOの活用方法はアイデア次第で、将来に向けて無限大の可能性を秘めており、まさに油圧ショベルの歴史を変えるロボット化への挑戦といえよう。

<主な特長>
1.安全性向上
今まで人手作業に頼っていた産業廃棄物の中間処理作業など、複雑な仕分け作業に対して、機械化が図れる。

2.作業効率向上
対象物を機械で所定場所までハンドリングし、人手による加工作業を行った後、再び機械で戻すような作業に対して副腕に適応するアタッチメントを用いることで、機械だけで一連の作業が行えるようになる。

3.経費削減
重量物ハンドリング用と細かい作業用の2台の重機を使用していた作業に対して、アスタコNEOで置き換えられれば、2台分の維持費が1台分で済む。

4.省スペース
作業スペースが限られた現場においても、1台分のスペースさえあれば、2つのアタッチメントを用いた作業を行うことができる。

5.多様な作業が可能
2つのアタッチメントが必要な作業や片方で支えて他方で切る、あるいは片方で押さえて他方でつまみ出すなど、様々な作業に対応することができる。

*なお、 写真の主腕と副腕に装着している解体用アタッチメントはオプションであり、
製品には含まれない。