【取材こぼれ話】田島軽金属の技術がPRADAに採用されていた!

田島軽金属の取材記事のこぼれ話と補足です。

(取材記事はコチラ→ https://seizougenba.com/node/12803

田島軽金属の本社に置かれていた複雑な模様。大きさは畳1畳分以上にみえましたが、結構な大きさです。これが世界的な高級ブランド店の内装に使用されたということは聞いていました。

これです↓

田島軽金属 材料

難しさは、消防法をクリアしなければならないうえ、複雑形状のため加工が難しいことにありました。引き受け手がいなくて困っていたイタリアのデザイナーが田島軽金属を見つけた時は嬉しかったと思います。材料の耐久性や加工性などからデザイナーのニーズに沿ったものを実行してつくるのは難しいものです。

今回、モノのイメージが湧きませんでしたので、記事ではこの件については触れませんでした。

ところが、先日、渋谷にあるミヤシタパークのPRADA前を通ったところ――――。

あらっ! この模様は――――!? 

PRADAミヤシタパーク

うーん、見たことがある・・・見たことがあるぞ~~~。思い出すんだナオミ!

あっ! 最近取材をした田島軽金属のアレじゃないですか! いや、きっとそう! 

高級店の前でじーっと粘着質な目で中を見つめる私を不審者扱いせず、店員さんが「気になるものがあれば店内へどうぞ」と声をかけてくれました。あらやだ! もう少しマシなカッコをしていれば良かったわ・・・と貧乏くさい己の姿が恥ずかしかったのですが、お言葉に甘え、店内に入れてもらいました。

でもね、店員さん、ごめんなさい。目的は商品じゃなくて、内装なのよ~~(←心の声)

PRADAミヤシタパーク2

森の中をイメージさせたつくり。PRADAでは珍しくアウトドアをイメージしたレイアウトが斬新でした。カメラを持っていなかったので、許可を取ってスマホでパチリと撮りました。

やだもうっ! 店内を見ていたら、物欲に着火! 欲望の炎がメラメラと燃えてきたじゃないのよ。飛んで火に入る夏の己とはこのことですね(笑)

PRADAミヤシタパーク3

最先端技術! ハイブリッド砂型低圧鋳造法とは

ところで話はクルリンパと変わりますが、田島軽金属が得意とする次世代型のハイブリッド砂型低圧鋳造についてお話しをしたいと思います。

注目すべき点は、従来は上部の湯口から重量法によりアルミニウムを投入していましたが、低圧鋳造法は、溶解炉の上に台を設置しこの上部に砂型を置いて、下から低圧により反重力方向の上部砂型にアルミニウムを投入する点です。この手法により、溶解炉は真空壁に囲まれ、また、真空ポンプで減圧されます。その結果―――。

(1)巣の減少
(2)複雑形状・薄肉化
(3)鋳肌の向上

―――の3つが実現するメリットがあるんですね。

応用例として、同社では〝高SiC含有アルミ複合材鋳物〟(SiCセラミックス含有量40Vol%のアルミ複合鋳物)を開発しています。

アルミの軽さと高熱伝導はそのままに鉄により近い高剛性と低熱膨張が特長で、鉄やアルミに変わる軽量・高剛性の高機能鋳物として、用途が広がります。


材料は日本が得意とする分野のひとつであり、国際競争力もあります。

今回、田島軽金属がつくる製品が掲載しきれなかったので、ほんの一部ですが、ここで紹介したいと思います。

これは、スポーツカー用クラッチケースですが、複雑なつくりです。

田島軽金属 クラッチケース

もうひとつ――――。

記事の中で資生堂の外観に活用されているアルミシェードのアップをご覧下さい。

この複雑模様は資生堂のアイコンでもある「未来唐草」をイメージしているとのこと。

なかなか複雑です。

210906アルミシェード

砂型は砂の粒度も安定していなければ、高い品質のものは生まれません。

田島軽金属からますます目が離せなくなりました。

コロナ禍で現在、若干しょぼくれている日本ですが、このように〝世界から必要とされる企業〟が存在することを未来を担う若い方にも知っていただけたら嬉しいです。