【取材こぼれ話】日本機械工具工業会 業界功労表彰のスピーチに感動

221201b1
日本機械工具工業会 田中会長から表彰を受ける増田氏(右)

 製造現場ドットコムのニュースに掲載しましたが、先日開催された日本機械工具工業会賞表彰式で「業界功労賞」のスピーチに感動しましたので、じっくりご紹介したいと思います。

 2022年度の「業界功労賞」受賞者は、元三菱マテリアル常務であり、MOLDINO(元三菱日立ツール)の社長だった増田照彦氏です。

 日本機械工具工業会は、2つの歴史ある工業会(日本機械工具工業会と超硬工具協会)が統合した組織であり、増田氏はこの2つの工業会の理事長を務めたという経歴があります。

 増田氏は受章スピーチのなかで、この件について「2つの工業会はともに日本のものづくりに長年貢献し続けてきたプライドがあり、とりわけハイスには先輩としての風格があり、超硬には後輩としての躍動感がありました。工具の刃先がハイスなのか超硬なのか、たったそれだけで所属する工業会が分かれていました。作る人、使う人がものに宿っている心を深く感じ、愛おしむ。まして人がお互い認め合って敬愛する気持ちがあれば何が生まれるか分からない。ものづくりに懸命に打ち込む姿、そして目指す未来は同じ夢を追い求めていたならば一緒になればいいじゃないのと統合を提案させていただきました。」と話しました。

 増田氏は、『ものに真ありて まして人』という実践哲学をお持ちだと言うことは、当時社員だった皆様のほか、この業界を専門的に動き回っている記者の間では知らない人はいないほど。ざっくりというと、ものにはつくる人の真心がこもっているから大切なのだ、ましてや人がいないとものはつくれない、と説いている言葉なのです。

 「工業会が統合して7年絵が過ぎました。世界中で経験したことのない出来事が次々と起こっています。地球規模でみるなら、今から国を超えて人と人が手を繋ぎ合うことの大切さを教えてくれています。」と増田氏。ここで東工大と東京医科歯科大の統合に触れましたが、「異質な者同士が繋がることでひとつの大学ではなしえなことがなしうる。そこに哲学、優しさが入れば新たなものが生み出せる大きな可能性に満ちている。」と、未来へ向けてエールを送っているようにも見えました。

221201b2 最期に増田氏はこう述べました。

 「皆様のつくり出す工具は、人に優しさを表現し伝えることができます。そして今、その優しさを多くの課題を抱えた世界に届けることが本日ご参集のひとりひとりに託された責務だと思っています。まだ見ぬ子孫の笑顔のために、いままでにない視点を持って新たな大きな一歩を踏み出しましょう。」