【是州が行く!】TMTS2026、台中市の新展示ホールで初開催 景気回復局面で5軸・複合加工とDXが前面に
台湾の工作機械専門見本市「TMTS(Taiwan Machine Tool Show) 2026」が、2026年3月25日から28日までの4日間、台湾中部の台中市に新設された展示施設「TITEC(台中国際会議展示センター)」で開催される。主催は台湾工作機械・部品工業同業公会(TMBA)。TMBAが長年悲願としてきた新ホールでの初開催となり、展示規模と内容の両面で節目の開催となる。
台湾経済は、半導体関連を中心とする輸出の持ち直しを背景に、緩やかな回復基調にある。製造業全体では在庫調整が一巡しつつあり、設備投資についても慎重姿勢を残しながらも、更新投資や自動化投資を中心に回復の兆しがみられる。工作機械は、主要市場とする中国との関係悪化や、台湾元相場の相対的な高止まりが輸出に不利に働き、昨年の輸出額は約20億米ドルにとどまり、世界金融危機の影響があった2009年以来の低さとなった。
こうした環境下で、台湾工作機械業界は量から質への転換を進めている。汎用機を中心とした価格競争から脱し、5軸加工機や旋削・ミーリング複合加工機といった高付加価値機種、さらには工程集約や省人化を実現するシステム提案型のビジネスへと軸足を移しつつある。
TMTS2026では、同時5軸加工や複合加工を核に、段取り削減、加工集約、リードタイム短縮といった生産性向上を訴求する展示が主流となる見通しだ。加えて、稼働監視や予知保全、加工データの可視化など、DX(デジタルトランスフォーメーション)を前提としたスマートマニュファクチャリングの提案が各社から示されるとみられる。
会場となる台中市は、台湾最大の工作機械産業の集積地で、完成機メーカーから部品加工、制御装置、周辺機器メーカーまでが高密度に集積している。短いサプライチェーンを背景に、顧客仕様への柔軟な対応力やスピード感ある製品改良を実現してきた点は、台湾メーカーの競争力の源泉となっている。
新ホールは、床耐荷重や天井高、電源・通信インフラが大幅に強化されており、大型5軸加工機や自動化セル、無人運転ラインの実機展示が可能となった。これにより、加工精度や工程集約効果、DXによる運用改善を、来場者が現場感覚で確認できる展示環境が整う。
日本メーカーや日本人技術者にとってTMTS2026は、台湾工作機械業界の技術水準が景気回復局面でどこまで引き上げられているのかを見極める場となる。価格帯や機能構成、DX対応レベルを把握することで、競合分析だけでなく、調達や協業、補完関係構築の可能性を探る実務的な視察機会となりそうだ。詳細は後日、製造現場ドットコムでリポートする。(文:是州煩太)
プロフィール

業界新聞社の取締役編集長を経て、インダストリー・ジャパンを設立。製造現場は日本の底力!をスローガンに製造業専門ニュースサイト「製造現場ドットコム」を運営している産業ジャーナリスト兼フリーライターです。霞ヶ関から錦糸町まで守備範囲が広いのが特長。現場取材は数知れず。些細なことや泥臭いことに真実が隠れているのを知り、今では何より本当のことを言うのが大好き。いつも働く女性と頑張るオヤジたちの味方よ。
ブログでは取材のこぼれ話やお知らせのほか、日常のことを綴っています。拙著「機械ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)が全国の書店、amazonなどのオンラインで好評発売中。月刊ベルダ(ベストブック)でコラムを連載中。
機械振興会館 記者クラブ加盟
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