航空宇宙好き、集まれ!(後編) ~独断と偏見の国際航空宇宙展(JA2012)レポート~
皆さんこんにちは。
航空宇宙好きにはたまんない下村栄司氏のマニアなレポートの後編が届いたわよ!
私のところにも、「後編はまだか」のお問い合わせがチラホラあって、ふふっ、さすがに製造現場ドットコムファンの読者だわ☆ この手のレポートが好物なのね(●∀●)☆キラリン☆
では、『航空宇宙好き、集まれ!(後編) ~独断と偏見の国際航空宇宙展(JA2012)レポート~』いってみましょー!
(文・写真=下村栄司)
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後編はセントレア(中部国際空港)会場のレポートです。
ここは10月12日金曜日から14日の日曜日までの3日間のみの開催でした。筆者はできれば土日のどちらかで行きたかったのですが(両日共ブルーインパルスの飛行展示がありました)、金曜日にせざるを得ませんでした。というのは、後述する「セントレアまるわかりツアー 滑走路見学コース」に参加したくて申し込もうとしたら金曜日しか空きがなかったのです。
しかし、土日は合わせて11万人もの来場があったそうで、会場の混雑度は想像に難くなく名古屋駅から発車するセントレア行きの電車も超満員(で乗り切れない?)だったらしいです。結局金曜日は空いていて良かったのかもしれません。
ブルーインパルスは見られませんでしたが、筆者は既に何度も見ていますので、まあ仕方ないかと簡単に諦めがつきます。
ブルーインパルスはこんな感じで飛んでます。見事です。(入間基地航空祭にて筆者撮影)
セントレアまるわかりツアー
JA2012とは直接関係ないのですが、セントレアには他の空港にないユニークな企画があります。
それは、バスに乗って滑走路の周囲を見学できるツアーがあるってことです。
普通は遠くからしか見られない航空機を間近で見られるという航空ファンには(多分)たまらないツアーです。もちろん写真撮影OK。要所要所でバスが止まってくれます。
でも、空港内なのでセキュリティは非常に厳しく、基本的にはバスから降りられません。一箇所だけ特別にバスから降りて外に出られるところがあるのですが、フェンスで囲った檻のようなところに「閉じ込められ」ます。
ツアー参加者が不審な行動をしないか、常に監視されているとの説明もありました。
身元確認、持ち物検査(空港のセキュリティチェックと同様)を終えて、バス(緑色の)に乗車。
席は自由席なので、筆者は真っ先に右側の窓側をゲットしたまでは良かったのですが、バスは左回りで滑走路内を走るため、走りながら滑走路内の景色を見ることができませんでした・・・トホホ。
これは、ツアー参加前に空港ビルの展望デッキから撮ったものです。この空港では国内線の機材はB737(写真)などの小型機が多いように感じました。
ツアーのバスの中から。頭上を大韓航空機のB747-400が離陸していきます。すごい迫力。突然だったので、あまりうまく撮れませんでした。
バスから降りられる場所が1箇所だけあります。但し、「檻の中」です。ここからは離陸、着陸する航空機が比較的間近に見られます。写真のジャルエクスプレスのB737は450mm相当の望遠レンズで撮りました。一部トリミングしてます。
バスの中から。迷彩色の航空機は航空自衛隊のC-1輸送機。国産です。
これは「ドリームリフター」。後ほど詳しくお話します。緑のフェンスで囲まれている内側がJA2012の地上展示エリアです。バスの中の我々がフェンスの中を見ているのか、フェンスの中から我々が見られているのか、ちょっと不思議でちょっと優越感を感じた一瞬でした。
ボーイング747LCF「ドリームリフター」
この不恰好な航空機は何者?Boeing747LCF”Dream Lifter”・・・世界でたった4機しかありません。日本ではここセントレアでしか見ることができないレアな航空機です。
ボーイングが787を開発する際に、世界中の協力企業でつくった部品をエバレット(787の組立工場がある場所)に運ぶためにわざわざ747を改造してつくりました。実際に改造を行ったのは台湾の長榮航太科技Evergreen Aviation Technologies (EGAT)です。
「えっ、何で台湾なの」って意外に思いますか? 筆者もそう思いましたが、台湾もかなりの実力を持っているということです。
写真左:後ろからの眺めです。胴体のお尻の部分がぽっかり開いています。ちょうど左方向からカーゴローダーに載せられた荷物がやってきました。
写真右:左斜め後ろからのショット。このカーゴローダーもドリームリフターのために特別につくられました。ドリームリフターが訪れる空港には必ず設備されています。787をつくるために、膨大な初期投資をする必要があったんですね。本日の荷物は富士重工業がつくっている中央ウィングボックス(背の低い方)と川崎重工業がつくっている前部胴体(筒状の方)です。ちなみに三菱重工業がつくっているCFRP製の主翼も、もちろんこれで運びます。
写真左:無事荷物が機内へと運び込まれました。この後、胴体のお尻の部分を閉じます。
写真右:お尻が閉じた状態。これで完了です。
ところでこのドリームリフター、大きな胴体や主翼をどこから出し入れするのかということが開発時に問題となりました。いくつかの案が出されましたが最終的にこのお尻の部分から出し入れする案が採用されました。
写真からわかるように2箇所のヒンジを中心に開閉します。
しかし、このヒンジだけではお尻の部分の重量を支えきれないため、大きなフォークリフトみたいな車(移動尾部支援車両と言うらしいです)の助けが必要です。
この車両はコンピュータ制御の誘導システムにより扉の開閉軌道に合わせて自動的に走行するという賢さです。カーゴローダーもそうですが、地上支援設備にもすごくお金をかけてます。
ドリームリフターの話が長くなってしまいました。写真だけではわかりにくいかもしれないので当日撮影したビデオをYoutubeにアップしました。ぜひ見て下さい。
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デジカメを手持ちで撮ったのと風がものすごく強かったのとで、かなり見苦しいのですが、様子はわかります。
地上展示機たち
主催者側としてはそれなりに努力したのでしょうが、正直言って筆者は地上展示してある航空機にはトキメキませんでした。滑走路見学ツアーやドリームリフターの積み込み作業の方が面白かったです・・というわけで、地上展示機の方は駆け足での紹介になります。
このハデでクラッシックな複葉機は米国WAKO社のYFMという1930年代に生産されていたもので、1986年に機体仕様を最新のものにして再生産が開始されました。「飛行機のサラブレッド」と呼ばれているらしいです。
空港用の消防車。モリタのMAF-125Aで12,500Lの水と800Lの薬液を搭載し車両重量が43トンもあるにもかかわらず約31秒で時速80kmまで加速し、最高時速は105kmだそうです。お値段は2~3億円!展示してあった飛行機よりも、むしろこちらの方が筆者にはカッコ良く見えました。
陸上自衛隊のOH-1観測ヘリコプター。要は偵察ヘリコプターです。コックピットは前後1人ずつの配置になっていて胴体幅は約1mです。そのため、普通のヘリコプターは「でっぷり」していますが、これは精悍な感じです。細身な体の理由は、レーダー反射面積を抑え、目視被発見を避けるとともに、前方から射撃された際の被命中率を下げるためだそうです。
航空自衛隊のC-1輸送機です。国産機です。1970年に初飛行した古い機種ですが今だ現役で活躍中です。後継機種としてC-2が開発され、初飛行しています。
でかいズータイにもかかわらず、飛びはなかなか俊敏です。この写真は入間基地航空祭で筆者が撮影しました。
このショー、次回の開催は場所も次期も未定だそうです。必ずしも同じ場所で開催されるとは限らないし、また4年に1回の開催では「間が空きすぎる」との意見もあり流動的です。筆者はせめて2年位1回程度の開催にしてほしいと思います。
プロフィール
業界新聞社の取締役編集長を経て、インダストリー・ジャパンを設立。製造現場は日本の底力!をスローガンに製造業専門ニュースサイト「製造現場ドットコム」を運営している産業ジャーナリスト兼フリーライターです。霞ヶ関から錦糸町まで守備範囲が広いのが特長。現場取材は数知れず。些細なことや泥臭いことに真実が隠れているのを知り、今では何より本当のことを言うのが大好き。いつも働く女性と頑張るオヤジたちの味方よ。
ブログでは取材のこぼれ話やお知らせのほか、日常のことを綴っています。
機械振興会館 記者クラブ加盟
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