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アマダグループ 「MF大賞」をはじめ各賞を受賞

アマダとアマダプレスシステムは、このほど日本鍛圧機械工業会が主催する「MF技術大賞2024-2025」にて、最高賞である「MF技術大賞」をはじめ「MF技術優秀賞」、「MF奨励賞」、「MF新技術賞」を受賞した。
「MF技術大賞」は、鍛圧塑性加工技術の発展に寄与することを目指して、Metal Forming(MF)に不可欠な鍛圧機械、製品加工、金型、システム、素材、製品組立、研究の7つの項目を組み合わせた「ものづくり総合力」が顕彰される。鍛圧機械の良さを最終製品の良さで証明するため、鍛圧機械メーカーと加工メーカーなどの連合体が表彰される。また、今回からは鍛圧機械工業会会員が単独で応募できる「MF新技術賞」が設けられた。
アマダグループの「MF技術大賞」の大賞受賞は、7 回目( 2010-2011 、2012-2013 、2014-2015、2018-2019、2020-2021、2022-2023、2024-2025)となる。
MF技術大賞 「4軸ハイブリッドプレスを用いた複動加工製品の製造」
受賞会社: アマダ、アマダプレスシステム
デジタル電動サーボプレス「SDE-iⅢ」「SDEW-iⅢ」シリーズ
三陽製作所

加工プロセス: 絞り加工において、プレススライド内の油圧を用いて材料に背圧を加えながら成形することで材料の破断を抑制。通常2工程必要な加工を1工程で可能とした。まがりばかさ歯車において、冷間分流鍛造工法を行うことで低い荷重のまま材料の充填率を上げることができ、品質の向上、金型寿命の向上を実現した。
【受賞理由】
デジタル電動サーボプレスと油圧3軸を組み合わせ、冷間分流鍛造工法を実現。従来の1軸による工法では、プレス機と金型が大型化してしまうのに対して、4軸プレス機にすることで小型化した。従来工法では3,000kNが必要だったが、本工法では2,000kNと、加工荷重も低減し金型寿命にも貢献している点が評価され、受賞につながった。
MF技術優秀賞 「精密圧潰冷間プレス工法による高放熱性金属加工部品」
受賞会社:アマダ、アマダプレスシステム
デジタル電動サーボプレス「SDE-iⅢ」「SDEW-iⅢ」シリーズ
大貫工業所

加工プロセス: 従来、切削加工の代替は絞り加工が主流だったが、部分的に厚さの異なる製品の加工は難しく、寸法精度にも問題があった。今回新たに、潰し工程のみで製品を造る精密圧潰冷間プレス工法を開発。半導体パッケージ用放熱リッドやハイパワーLED用アルミニウムリフレクタの量産を可能にした。
【受賞理由】
新たに、切削加工の代替方法とされる深絞り加工に対して、潰し加工のみで製品を造る工法である精密圧潰冷間プレス工法を開発。本工法に替えたことによりコスト5分の1、加工速度約30倍とコスト低減や生産性向上が顕著である点が評価され、受賞につながった。
MF奨励賞 「車載用各種モーターフレームの製造」
受賞会社:アマダ、アマダプレスシステム
デジタル電動サーボプレス「SDE-iⅢ」「SDEW-iⅢ」シリーズ
髙橋金属

加工プロセス: サーボプレス3台を連結したタンデムラインを使用し、最大17工程でプレス加工を行う。プレス加工後に、連結した電解イオン水洗浄機により洗浄を行い完成品となる一貫プレス加工システムで、自動車車載用各種モーターフレームの製造を行う。
MF新技術相【新技術製品部門】ファイバーレーザ溶接システム「FLW-ENSISe」シリーズ
受賞会社: アマダ
【受賞理由】
熟練技術者の確保や育成が困難な中、AIによるティーチングレス化が高く評価された。さらに、グラインダー仕上げを低減するなど現場作業者の労働負荷を軽減し、労働環境の改善も実現。作業工程削減による労働生産性を約6倍改善する点が評価され、受賞につながった。
MF新技術賞【新技術環境部門】 電動サーボベンディングマシン「EGB-e」シリーズ
受賞会社: アマダ
【受賞理由】
サーボと油圧のハイブリッド方式から、プレスブレーキの動作に最適化された専用のサーボモータを開発し、オイル使用量を大幅に削減したことが評価された。また、突き当てモニター、曲げ角度センサー、加工ガイダンスなどの各種表示機能やY3軸バックゲージ、金型自動交換装置、音声操作の導入など、作業環境と安全性が大幅に向上している点が評価され、受賞につながった。
ブルーム-ノボテスト 新社長に朝尾信之氏
ブルーム-ノボテストは本年1月1日付けで代表取締役に朝尾信之(あさおのぶゆき)氏が就任した。なお、前代表取締役である山田亨(やまだとおる)氏は2024年12月31日をもって退任した。
就任にあたり朝尾社長は、「ご提案する製品やサービスを通じて、お客様のお困りごとを解決することが私にとっての働く喜びです。山田がこれまで日本市場で広めてきた機上測定ソリューションとその価値をより広くお客様にご紹介し、生産効率の向上を通じて、日本のものづくり発展の一助となれればと考えております。お客様の生産課題の聞き取りを強化し、ソフトウェアを含めたソリューション提案によってこれまで以上に皆様にお役立ちができるよう、従業員と共に努力して参ります。」とコメントしている。
■朝尾伸之氏 プロフィール――――
1981年生まれ、2003年福井工業高等専門学校機械工学科を卒業後、岐阜大学工学部機械システム工学科に編入。2005年同大学を卒業後、オークマ株式会社やサンドビック株式会社にて機械加工分野でのキャリアを積む。2023年ブルーム-ノボテストに入社、経営企画室に所属。
〈ブルームノボテスト株式会社〉
ドイツ、グリューンクローに本社を構えるBlum-Novotest GmbHの日本法人。1999年に設立し、レーザ式工具測定機、タッチプローブ、ボアゲージなど主に機上測定器の日本市場向け販売&サービスを行っている。全社スローガンは「Focus on Productivity」であり、顧客の生産効率向上に貢献することを事業の基軸としている。より幅広い製品提案、迅速なサービス対応の具現化に向け、主軸管理用のテストベンチのご紹介や、世界4拠点で現在建設中の「ブルームーノボテスト・コンピテンスセンター」との連携なども進めている。
ダイジェット工業 製品価格改定
ダイジェット工業は世界的なインフレによる物価の上昇、人件費、エネルギー費、物流費の高騰等のなか、製造のみならず営業、物流等あらゆる部門において効率化を行い、コスト低減に努めていたが、企業努力だけでコストアップを吸収する事が難しいと判断し、製品の安定的な供給ならびにサービスの一層の向上をはかるため、このほど価格改定を実施すると発表した。■価格改定〈切削工具〉 標準品:現行価格+5~8%(ただし、10月に価格改定を実施したレンチについては対象外とし、特殊品にカンしては都度見積もりとする。■実施時期 2025年4月1日受注分より
【令和7年 年頭所感】日本ロボット工業会/日本フルードパワー工業会/日本工作機械輸入協会
「ロボット・イノベーションの加速化が急務」
●日本ロボット工業会 会長 橋本康彦
新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
さて、昨年を振り返りますと、パリ・オリンピック、パラリンピックでの日本人選手の活躍や大リーグでの大谷選手の活躍など、スポーツでの明るい話題が多くあった一方、国内での能登半島地震や豪雨災害をはじめ、世界各地でも大水害や森林災害など大きな自然災害が多発し、非常に多くの方々が被災されました。また、日本を含め約80の国・地域で選挙が行われ、今後の政治流動化への不安を抱かせた一年となりました。
一方、長引くロシア・ウクライナ情勢やますます複雑化する中東情勢等の地政学的リスクが更に不安定化しつつあります。国際経済もこれら要因に加え、中国経済の低迷や欧米でのインフレ圧力などから回復軌道が見通せない状況にあります。直近の国際通貨基金による世界経済の見通しをみても、一昨年が3.3%の伸びであったのに対し、昨年は3.2%、そして今年も3.2%の伸びに留まるとの観測もあり、様々な懸念を抱えたなかでの年明けとなりました。
このような状況の下、2024年の我が国のロボット産業は、先に挙げました中国市場の低迷や世界経済の諸リスク、更に米国大統領選前での投資の先送りなどから、受注額で対前年比 1.6%減の約8,300億円、生産額では12.3%減の約7,820億円と、当初見通しを下回ることとなりました。
そして、今年のロボット市場におきましては、次期トランプ政権での通商政策の行方や米中摩擦の再燃等の不透明感があるものの、米国景気拡大への期待やAIへの大規模投資による半導体や電子機器への需要回復が見られるなど、根強い自動化投資需要の回復をベースに、受注額は対前年比4.8%増の8,700億円を期待するとともに、生産額は6.1%増の8,300億円と見通しております。
さて当会の今年の活動については、業界活性化のさらなる推進に向け、昨年に引き続き以下の3点を重点項目として取り組む所存です。
第一は「市場拡大に向けた取組」です。当会では、一昨年より経済産業省が実施する「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業(通称・ロボフレ事業)」の「施設管理」及び「食品」の2分野における、ロボットフレンドリーな環境構築に必要な研究開発の支援事業に参画しており、今年度がその最終年度にあたりますが、その開発成果普及に努めることとします。また、政府では、「中小企業省力化投資補助事業」での省力化投資支援において、「カタログ注文型」に加え、新たに「一般型」を設けることで、ロボットのシステム設備に対する導入支援が拡充されることとなり、それらの施策を通じたロボットの利活用拡大に努めるほか、日本ロボットシステムインテグレータ協会はじめ、関係団体との連携を通じ一層の市場拡大に努めてまいります。
第二は「イノベーションの加速化に向けた産学連携の推進」です。ロボット分野における国際競争は益々激化しており、グローバル市場での我が国の優位性確保や潜在市場の顕在化に加え、様々な社会課題解決に向けても、ロボット・イノベーションの加速化が急務となっています。その対応に向け、引き続き日本ロボット学会をはじめ関係学会及び関連業界との連携に努めることとします。
第三は「国際標準化の推進、国際協調・協力の推進」です。国際標準については、欧米が市場獲得の手段として戦略的に取り組んでいますが、引き続き我が国も官民挙げての取り組みが重要です。特に、ロボットの国際標準化について審議しているISO/TC299では、本年2月に東京会議として、5つのワーキンググループが開催されることとなっており、国際標準化活動に対して、ロボットのリーディングカントリーとして引き続き積極的に取り組むこととしております。また、国際ロボット連盟を通じた活動並びに国際交流を積極的に推進していく所存です。
加えて、本年4月13日から10月13日まで、「2025大阪・関西万博」が開催されますが、その開催に併せ、当会が2023年度にスタートした2050年に向けての「ロボット産業ビジョン」の最終版を現在、鋭意取り纏め中です。
そして6月4日~6日にかけ「第26回実装プロセステクノロジー展」を、また、12月3日~6日にかけて「2025国際ロボット展」の2つの展示会を東京ビッグサイトで開催します。両展示会を通じて技術情報の発信とともに、様々な分野へのロボット利活用拡大への意欲を喚起することに加え、市場調査、技術振興等の各事業を意欲的に展開する所存です。
引き続き関係各位の一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様のご活躍とご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
「若手技術者の育成に注力」
●日本フルードパワー工業会 会長 川瀬正裕
2025年の年初にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
昨年は、国内外で多くの選挙が行われ、大きな変化が起こる年となりました。我が国では、岸田内閣から石破内閣へ政権交代が行われ、衆議院の与野党逆転が起きました。米国では、次期大統領にトランプ氏が決定し、各国がその対応に追われています。東アジアでは、韓国で戒厳令が一瞬発令されるなど、政治的混迷が深まりました。中国では住宅関連産業の低迷や若者の就職難などが続いており、デフレの懸念が高まる中で、成長鈍化が懸念されております。また、ロシア・ウクライナ戦争が続く中、シリアのアサド政権崩壊というニュースも入り、世界情勢はますます厳しさを増しています。
今年1月には米国で第二時トランプ政権が発足します。米国は対中、メキシコ、カナダに一律関税を課すとの話もあり、中国からの部品調達や海外に進出する中国企業からの部品調達にも影響を及ぼすことが懸念されます。このような状況下で、サプライチェーンの再構築と「経済安全保障」の確保が求められています。
さて、我が国の経済状況についてですが、昨年12月に発表された日銀短観では、業況判断DIが大企業・製造業で+14%と若干改善しました。特に生産用機械や化学、自動車などの業種が改善し、効率化投資やデジタル化、脱炭素化、サプライチェーン強靭化への投資の必要性が高まっていることが示されています。当業界の2024年の出荷額(推定値)は、油圧機器が約3千6百億円、空気圧機器が約5千3百億円となり、対前年比約4.2%減の約8千9百億円となりそうです。このような、厳しい経済環境下、工業会としては、効率的な会議の推進や海外関連団体との交流強化、新しい課題への対応などを進めていきます。また、カーボンニュートラルやデジタル社会への対応、若手技術者の育成にも力を入れてまいります。
今年は巳年です。蛇は再生や永遠の象徴と言われ、我々にとっても、これまでの努力が実を結び、新たな成長や変革の年となることを期待しています。
「海外の最新の技術による、最良のソリューション提供していく年」
●日本工作機械輸入協会 会長 金子一彦
2024年は、ウィズコロナの下で社会経済活動の正常化が進んでいる中で、世界的な景気後退の懸念が高まっていると指摘されていました。
そんな中、11月にJIMTOF2024が開催され、多くのビジネスチャンスが生まれたと認識しており、本年はそれらが具体的になっていくことと思います。
特にスマートファクトリーの分野では大きな進化がみられ、これに伴い、製造業においては、ロボットを活用した革新的な技術など、さらなる自動化が加速していくことで生産性の向上が大いに期待されます。
本年は当協会創立70周年の記念すべき節目の年であります。70年前に先人たちがビジネスの基礎を築いていただいたことに感謝と敬意を表すとともに、これを未来に向けて引き継いでいくことが重要であると考えます。
円安という輸入ビジネスにとっては、難しい状況ではありますが、本協会の使命である、海外の最新技術を紹介するということをもう一度が見つめなおし、最良のソリューションの提供を促進していけるような年になると考えております。
【令和7年 年頭所感】芝浦機械/DMG森精機
「社会的課題の解決と企業価値向上の両立を目指す」
●芝浦機械 取締役社長 坂元繁友
2025年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、世界経済は緩やかな回復基調で推移いたしましたが、中国の景気低迷の長期化、アメリカ大統領選挙の行方に関する動向、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化などの影響による厳しい環境も継続いたしました。
本年も経済環境はEV市場の減速、中国の景気低迷、地政学リスクなど、更なる不透明な状況が継続すると考えられますが、当社グループにおきましては、中期経営計画「中計2026」(2025年3月期~2027年3月期)で掲げている事業ポートフォリオの組み替え、顧客の生産性向上に寄与するシステムエンジニアリング装置販売・直販への軸足シフト、2030年度 3,000億円企業へジャンプアップするための経営基盤の準備、事業ポートフォリオ組み替えにリンクした人材戦略、ESG経営の推進等の基本方針に基づき、脱炭素社会、EV、再生可能エネルギー、労働生産性向上などに関連した商品の開発と提供、DX戦略の推進などの諸施策を遂行し、中期経営計画の達成に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。
また、「長期ビジョン2030」で掲げるグローバル製造業が直面するメガトレンド(気候変動と資源不足・人口構造の変化・テクノロジーの進歩)に卓越した技術革新で応え、社会的課題の解決と企業価値向上を両立することを目指してまいりますので、引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
「サステナブルな未来の実現に向けて邁進」
●DMG森精機 取締役社長 森雅彦
新年明けましておめでとうございます。
お客様のニーズの多様化に伴う変種変量生産や複雑・高精度加工への対応、最新技術の活用による生産性向上、環境負荷の低減に向けた社会的な責任への対応など、製造業は大きな変革期を迎えています。DMG 森精機株式会社(以下、当社)は、マシニング・トランスフォーメーション(MX)を積極的に推進し、最新技術を 駆使して、高度で持続可能な製造プロセスの実現に取り組んでまいりました。
当社は2028年に創立80周年を迎えますが、長期目標として、2030年には現在のビジネスモデルの拡大によるオーガニック成長で売上収益8,000億円、営業利益率15%を掲げています。工作機械業界の需要環境は調整局面にありますが、グローバルでの直販・直サービス、エンジニアリング体制の下、高付加価値提案を行うことで、MXは着実にお客様に浸透しています。
昨年11月に東京ビッグサイトで開催されたJIMTOF2024では、グループ会社が一堂に会し、当社の最新の製品・技術からDMQP(DMG森精機認定周辺機器)パートナー企業の展示を通して、DXにより工程集約・自動化を促進し、GXを実現するMXに向けたトータルソリューションをご紹介しました。また、2010年に販売を開始したベストセラー機NLX 2500シリーズをお客様の声を反映して一新した、当社史上最高の次世代ターニング センタ「NLX 2500|700 2nd Generation」を世界初公開しました。
当社のこれまでの品質管理と改善活動の成果を評価いただき、グループ最大の生産拠点である伊賀事業所(三重県)が2024年度のデミング賞を受賞しました。お客様に高品質な製品・サービスを提供するため、今後さらにグローバルでTQMを展開していく大変重要な機会となりました。さらに、社員の健康維持・増進の取り組みが評価され、健康経営に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄2024」に初めて選定されました。今後も「よく遊び、よく学び、よく働く」の経営理念のもと、決められた総労働時間の中で高いアウトプットを発揮し、品質を徹底的に向上させ、持続的な成長を実現してまいります。
環境面では、SBT「ネットゼロ目標」の認定を取得しました。Scope3のCO2排出量削減の取り組みの一つとして、DMG森精機CIRCULAR株式会社にて廃却機や機械加工時の切りくずを回収し、鋳物の原料として 再利用しています。現在、全世界で約500万台の工作機械が稼働しており、そのうち20年以上稼働が1/3、 10〜20年が1/3、10年未満が1/3です。当社のミッションは古い機械を更新して、工程集約することです。工程集約によって自動化が促進し、CO2排出量の削減だけでなく、中間在庫削減によるネットワーキングキャピタルへの貢献、オペレータ不足の解消にも寄与します。工作機械事業の深化を追求することが、気候変動という グローバルな課題に貢献するものと考えています。
本年も、さらなる技術革新と生産性向上を追求し、お客様と共にサステナブルな未来の実現に向けて邁進してまいります。引き続き変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2024年11月分工作機械受注総額は1,193.3億円
日本工作機械工業会がこのほどまとめた2024年11月分の受注実績は以下の通り。
2024年11月分工作機械受注総額は、1,193.3億円(前月比△2.6% 前年同月比+3.0%)となった。受注総額は、内需で前月比増加も、外需の大型受注が縮小し、1200億円にわずかに届かず、3カ月ぶりの1,200億円割れ。
内需は343.3億円(前月比+2.7% 前年同月比+5.0%)で、展示会高価は一部で見られるも、自動車、航空機関連等で弱含み。2カ月連続の350割れ。底這い状態が続く。
外需は850.0億円(前月比△4.6% 前年同月比+2.2%)で、3カ月連続の800億円超。大型受注の規模縮小により、850億円にはわずかに届かないものの、。中国、インド、アメリカ等で底堅い動き。
11月の受注は大型受注が継続し堅調水準を維持も、受注回復を実感するほどの勢いはなく、今後の動向を引き続き注視。
11月分内需
343.3億円(前月比+2.7% 前年同月比+5.0%)。
・2カ月ぶりの350億円割れ。
・前月比2カ月ぶり増加。前年同月比27カ月連続増加。
・一部展示会効果により、前年同月比増加も横ばい圏内の動きで力強さに欠ける。
(出所:日本工作機械工業会)
11月分外需
850.0億円(前月比△4.6% 前年同月比+2.2%)。
・850億円にはわずかに届かずも、3カ月連続の800億円超。
・前月比3カ月ぶり減少。前年同月比2カ月連続増加。
・アジアを中心に大型受注が縮小も、北米が前月比増加し、堅調水準を維持。
(出所:日本工作機械工業会)
【令和7年 年頭所感】経済産業省製造産業局/産業機械課
「『GX』『DX』『経済安全保障』の3軸に基づく取組が重要」
■経済産業省製造産業局
製造産業局長 伊吹英明
令和7年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
いま、世界は大きな転換期を迎えています。保護主義の台頭やウクライナ侵攻の長期化等による地政学リスクの高まりや、AI等の技術革新の加速化、気候変動をはじめとした地球規模課題に対する各国政府の関与の強まりなど、様々な構造的変化が生まれています。
こうした中、日本経済も、これまでのコストカット型のデフレ経済から、持続的な賃上げや活発な投資でけん引する成長型経済への転換局面を迎えています。昨年は、1991年以来の高水準の賃上げや、過去最高の設備投資が実現するなど、日本経済に明るい兆しが見られました。他方、足下の物価高を背景に、消費は未だ力強さを欠いています。
本年は、この成長型経済への転換を確実なものとするため、物価高に負けない持続的な賃上げを実現し、これを更なる投資の拡大へと繋げていかなければなりません。そのためには、「GX(グリーントランスフォーメーション)」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「経済安全保障」の3軸に基づく取組が重要であり、経済産業省製造産業局は、製造業の皆様のこれらの取組を支援してまいります。
脱炭素社会への移行は「待ったなし」の状況であり、産業界にも変革が求められています。昨年末に案が示されたGX2040ビジョンでは、「GX産業構造」、「GX産業立地」、「GX加速に向けたエネルギー分野」などの取組を総合的に検討し、事業環境の変化が激しい中でも企業の予見可能性を高めてGX投資につなげるべく、より長期的視点に立ち、GX実現に向けた見通しを示しました。
日本全体のCO2排出量の20%以上を占める鉄鋼・化学・紙パルプ・セメントといった産業部門は、“Hard-to-abate”、すなわち排出削減が困難なセクターと言われているように、GXの実現は容易ではありません。そこで、令和2年度補正予算にて造成した「グリーンイノベーション(GI)基金」では、水素還元製鉄技術や、CO2を用いたプラスチック、コンクリートの製造技術等を開発するプロジェクトを進めています。
また、Hard-to-abate 産業だけでなく、自動車や航空機などを含んだ重点16分野についても、GX経済移行債を活用した先行投資支援の方針を示すとともに、個別分野ごとの支援を進めています。既に、大型革新電炉の設備投資支援に向けたプロジェクト選定や電動車普及に向けた車両導入支援、充電インフラの整備支援などが進んでいます。我が国が世界に先駆けて支援を実施してきた水素についても、技術開発から社会実装まで、引き続き推進してまいります。
グリーン市場の創造のための取組も加速しています。電動建機の購入補助を公共調達の場面で推進する取組が進んでいます。さらに、すでに多くの企業にご参画頂いているGXリーグのもとで試行的に実施してきたGX-ETS(排出量取引制度)の本格稼働やGX製品の価値の「見える化」の取組を契機として、グリーン市場の創造が加速することを期待しています。
昨年に開催された第2回AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)首脳会合では、日本のリーダーシップのもとで、脱炭素化、経済成長、エネルギー安全保障の同時達成や、多様な道筋によるネット・ゼロの実現というAZEC原則が合意されたところです。今後も、昨年末に素案が提示されたエネルギー基本計画や地球温暖化対策計画に基づき、必要な政策措置を講じつつ、業界の取組を後押ししてまいります。
近年の生成AIの技術革新と社会受容の加速、そして半導体の高性能化による産業界への影響はより一層大きなものとなり、企業経営や産業構造までもが変化する可能性が開かれています。
政府全体としては、世界市場の大きな成長が見込まれるAI・半導体分野について、今後2030年度までに10兆円以上の公的支援を行うこととしています。今後、ターゲット材やPFA樹脂等、半導体を形づくる部素材の製造基盤強化支援をさらに進めてまいります。
現状、我が国製造事業者のDXは個別工程の最適化が中心となっていますが、より一層競争力を高めていくには、企業全体、さらにはサプライチェーンや産業全体での最適化を志向する必要があります。こうした課題を踏まえ、各企業が経営課題起点で全社最適なDXを推進するための手引きとして、NEDO・経済産業省は昨年6月、「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」を公表しました。本年は、企業・業界を横断したデータの利活用を促進し、産学官が連携して企業・産業競争力の強化を目指す「ウラノス・エコシステム」の推進等に取り組んでいきます。
ドローンや空飛ぶクルマといった先進技術導入による「事業機会の拡大」も重要です。ドローンについては、1対多運航技術、運航管理システム(UTM)等への支援により、物流問題や災害対応など様々な分野での利活用を推進しています。空飛ぶクルマについては、機体OEMや部品サプライヤーの技術開発を支援することにより、新たな市場獲得を目指しています。
省力化や生産性向上の切り札となるロボットについては、スタートアップ等の多様な主体による開発を促すオープンな開発環境の構築に取り組み、人手不足という社会課題への対応や産業DXを推進してまいります。また同様に、DXを活用した建材・住宅設備のサプライチェーンの物流効率化や、3Dプリンタの活用による「ものづくり」の変革にも取り組んでいきます。
宇宙は日本が潜在的な強みを持つ産業分野の一つです。2040年までに約140兆円規模の成長が予測される宇宙ビジネス市場での国際的な競争力を獲得するため、昨年、経済産業省は宇宙産業室を「宇宙産業課」に改組し、宇宙関連政策を実施する体制を強化しました。宇宙戦略基金の活用を通じて、衛星・ロケットの打上げや、そこから得られるデータの利活用を加速する技術開発を強力に後押ししてまいります。
GXとDXが競争力を規定する製造業分野の一つに、自動車産業があります。GX分野に関しては、日系メーカーが多様な選択肢を持ちつつも、「EVでも勝つ」競争力を獲得するために、充電インフラの整備や電動車の購入補助、蓄電池やモーターの開発を支援していきます。DX分野に関しては、昨年5月に策定された「モビリティDX戦略」にて、SDV(Software Defined Vehicle)の2030~2035年グローバル販売台数における「日系シェア3割」実現を目指し、民間の技術研究組合の取組やOEM横断のAPI標準化推進、ロボットタクシーの早期実装等を支援してまいります。
また、極めて高い複雑性を有し、高度な安全認証試験を要求される航空機産業も、そうした分野の一つであり、機体・エンジン・MROの領域で取組を進めています。機体については、機体軽量化に資する複合材の開発支援を実施することで、次期単通路航空機事業への参画を目指しています。エンジンについては、電池やモーターといった次世代電動航空機のコア技術の開発支援を推進しています。さらに、MRO、すなわち製造以外の整備(Maintenance)、修理(Repair)、分解して清掃し新品時の状態に戻すオーバーホール(Overhaul)については、海外主要OEMの動向も踏まえつつ、MRO拠点の整備や整備データの製品開発への反映等を推進してまいります。
GXやDXに不可欠な蓄電池やAI、半導体、ロボット及びこれらの製造に使われる部素材や装置は、世界的に覇権争いが激化しており、経済安全保障の観点からも重視されています。政府としては、2022年に成立した経済安全保障推進法を踏まえ、重視すべき物資・技術を「破壊的技術革新が進む領域」、「我が国が技術優位性を持つ領域」、「対外依存の領域」の3つに整理し、それぞれに対して取組の方向性を規定しています。
破壊的な技術革新が進む領域、すなわち先端半導体や量子コンピュータ等に対しては、産業基盤強化策による技術優位性の確保が必要です。また、企業経営の戦略においても、これまでにないサプライチェーン全体を意識した競争優位性・不可欠性と自律性を強化する取組が求められており、企業間の連携がカギとなっています。経済産業省では、こうした企業間の連携を促すため、産業界との戦略的対話の深化・拡大を図っています。
我が国が技術的優位性を持つ領域、すなわち製造装置や部素材等に対しては、包括的な技術流出対策を講じる必要があります。経済産業省では、安全保障の観点から管理を強化すべき重要技術の移転に際して、事前報告を義務づける制度を構築することにより、官民の対話の機会を確保し、国益を損なう技術流出やそれによる予期せぬ軍事転用の防止を図っています。制度を施行した昨年末時点で、他国の関心や我が国の優位性を踏まえながら10の技術を告示しました。今後、事前報告を義務づける対象技術を適時追加していく方針です。
対外依存の領域、すなわちレアメタルや銅といった重要鉱物に対しては、過剰依存構造の是正を図る必要があります。経済産業省では、昨年7月、鉱物課を製造産業局に移管することで、資源戦略と産業戦略を統合させた施策を講じるための体制を構築しました。今後、代替輸入先の確保や、輸入措置への備えとしての備蓄確保、既製品からのリサイクル等を通じて、産業界にとって必要な資源の確保に努めてまいります。特に銅については、導電性や熱伝導性、加工性に優れており、GX・DXの進展により世界的な需要が増大しています。今後、製造産業局としては、アフリカなどのフロンティア地域を中心に、新たな上流権益確保を通じた供給源多様化を支援していく方針です。また、国産海洋資源の資源量調査や生産技術開発等の取組もより加速してまいります。
このような3つの取組を円滑に進めるために、同志国との連携による国際経済秩序の維持にも取り組んでまいります。あり得る経済的威圧に対する備えとして、G7各国をはじめとする同志国と個別プロジェクトを進めるとともに、実際に威圧を受けた場合は、その影響を緩和するための措置や国際ルールに沿った対応を進めてまいります。
産業界が今直面する課題は、官も民も一歩前に出て取り組まないと解決できないため、国内外で活躍されている産業界の皆様との日々の対話を通じ、将来につながる日本の経済基盤をともに形作っていきたいと考えております。
本年は大阪・関西万博の開催年であり、開催まで約3ヶ月となりました。「未来社会の実験場」として、最先端の技術が集結し、新たな産業の誕生・成長の機会になることを期待しています。ぜひ、ご家族やご友人と一緒に足を運んでいただきますようお願い申し上げます。
最後に、皆様の益々の御発展と、本年が素晴らしい年となることを祈念して、年頭の御挨拶とさせていただきます。
「我が国の製品や技術力の優位性を確保」
■経済産業省製造産業局 産業機械課
課長 須賀千鶴
令和7年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年は、年始の能登半島地震をはじめとして、台風や豪雨など、多くの予期せぬ自然災害が発生した一年でした。被災された方々に、改めて心よりお見舞いを申し上げます。特に能登半島地震で被害を受けた地域では、復旧・復興はいまだ半ばです。経済産業省として、引き続き復旧・復興に全力を尽くしてまいります。
世界が激動する中で、我が国の経済と社会の安定をいかに守り抜くかが問われた一年でもありました。依然として中東やウクライナにおける戦争は収束の兆しを見せず、我が国のエネルギー政策や産業政策も大きな影響を受けています。また、アメリカではトランプ新政権が発足しようとしており、経済・外交政策がどう変化するか、その一挙一動に世界が注目しています。
こうした中、産業政策については、近年のDXやGXなどの成長分野への積極的な国内投資が実を結び始めています。実際、30年ぶりとなる水準の賃上げ、100兆円を超える積極的な設備投資、史上最高水準の株価、そして名目GDPが初めて600兆円を超えるなど、顕著な成果が現れました。しかし、現在の物価高の影響を受け、消費は依然として力強さを欠いています。このような状況を踏まえ、長年続いたコストカット型経済から「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への確実な転換を実現するためには、物価高に負けない持続的な賃上げの実現と、これをさらなる消費と投資へと結びつけていく必要があると考えています。
大企業だけではなく、地元の中小企業においても「稼ぐ力」をつけるため、イノベーション促進のための量子や宇宙分野への大規模投資や、スタートアップの事業化、海外展開への支援をしていきます。また、人手不足という社会的課題に対処するため、ロボット等で省力化や生産性向上を実現する技術の開発を促進するオープンな環境を整備し、産業のDXを推進していきます。
取引適正化に向けて、「価格交渉促進月間」における取組をはじめ、産業界の皆様には多大な御協力を賜り、感謝申し上げます。今後もサプライチェーン全体で適正な価格転嫁を定着させるため、様々な取組を進めてまいります。
GXでは、昨年末にとりまとめた「GX2040ビジョン」と「エネルギー基本計画」にもありますように、電力需要が増加する中、徹底した省エネに加え、再エネや原子力などの脱炭素電源の最大限の活用を進めてまいります。GXの推進にあたっては、アジアの同志国との連携も強化していきます。昨年の第2回AZEC首脳会合では、日本のリーダーシップのもとで「今後10年のためのアクションプラン」が合意され、今後、ルール形成を含む政策協調とプロジェクトの実施が進んでいきます。
経済安全保障の確保に向け、技術革新への投資や需要側の取組を含めたサプライチェーンの強靱化といった政策により、我が国の製品や技術力の優位性を確保してまいります。そのために、技術流出対策や重要物資の安定供給のための支援にも引き続き取り組んでまいります。
日本の製造業は、急速に変化し続ける環境の中で、複雑で困難な課題に多く直面しています。しかし、それらに果敢に取り組みイノベーションを続けることで、成長を続けられると確信しています。引き続き、皆様の現場の生の声をお伺いし、それらを政策に活かしてまいります。
福島復興と東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉は、引き続き経済産業省の最重要課題であり、今後もこれらに全力で取り組みます。
さて、大阪・関西万博の開催までいよいよ3ヶ月を切りました。「未来社会の実験場」のコンセプトにふさわしい最先端分野の技術が国内外から集結いたします。ぜひ、会場まで足を運んでいただき、新たな産業の誕生と成長の可能性とそれがもたらす未来社会を間近で感じていただきたいと思っています。
本年が、皆様方にとって実りの多い一年となりますよう祈念して、新年の挨拶とさせていただきます。
【令和7年 年頭所感】 日本産業機械工業会/日本工作機械工業会/日本機械工具工業会
「GXに関する技術の開発・実証・社会実装を後押し」
■日本産業機械工業会
会長 金花芳則
2025年という新しい年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
皆様には、気分も新たに新年を迎えられたことと思います。
昨年は世界中がポストコロナ経済再生の実質的スタートの年となりました。政治的には、台湾の総統選挙に始まり、ロシアの大統領選挙、インドの総選挙、日本の総理交代及び総選挙、米国の大統領選挙と選挙イヤーでありました。さらに、米中対立の常態化や東アジアの緊迫化、ロシアのウクライナ侵攻の継続、中東での緊張の高まりなど、地政学的リスクはいや増し経済安全保障の徹底・強化の必要性の認識が強まりました。
こうした中、世界経済を振り返りますと、経済協力開発機構(OECD)が昨年12月に公表した世界経済予測では、インフレ率低下、雇用拡大及び金利引下げなどを背景に、世界経済は今後2年間安定的に成長するとの見通しが示されました。一方で、貿易摩擦と保護主義の高まりでサプライチェーンが混乱し、消費者物価を押し上げ、成長に悪影響を及ぼす恐れも懸念されており下振れのリスクを感じるところであります。
日本経済動向を見ると、昨年12月の内閣府月例経済報告では「一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」と5ヶ月連続で景気判断が据え置かれ、設備投資や輸出、個人消費の各項目についての判断も同様となりました。一方で、企業収益については21ヶ月ぶりに下方修正されるなど、景気回復のテンポは緩やかになってきているとのことです。
産業機械業界の状況ですが、当工業会の受注統計では、昨年4月~9月(年度上半期)の受注総額が前年同期比1・7%増の2兆8162億円となり、年度上半期の受注金額としてはコロナ禍以降で最高を記録しました。官公需と外需が伸びており、官公需は環境装置およびポンプ等の増加、外需は中東や北アメリカがけん引役となりました。
さて、2025年ですが、我々産業機械業界が更なる成長を遂げ、また、日本経済の活性・発展に貢献するため、次の課題に対し、より積極的な取り組みが必要と考えます。まず、GX(グリーントランスフォーメーション)への対応です。次期エネルギー基本計画の着実な実行を支えるためにも、当工業会会員の皆様が製造・供給する製品・サービスは不可欠なものであります。原子力発電の活用、更なる再生可能エネルギーの導入拡大の他、徹底した省エネの推進や、CCUSの導入、次世代エネルギーである水素・アンモニアの社会実装の加速が不可欠です。産業機械業界は、グリーン産業を目指し、GXに関する技術の開発・実証・社会実装を後押しします。
本年は第30回を数える海外貿易会議の実施年となっており、スウェーデンとイタリアでの開催を考えています。水素利用の取り組みが目覚ましくイノベーションの盛んな北欧と、スマートファクトリーへの転換が進む一方で新エネルギーにかかる取り組みも積極的なイタリアについて、その実情を調査し現地関係者との意見交換を実施します。
次に、我が国の経済安全保障への対応です。世界規模でのサプライチェーンの再整備は、日本経済を支える根幹に当たります。我々産業機械業界は、サプライチェーンを構成する製造装置・部素材・原料等の製造能力の強化に資する技術を開発し、生産設備の提供に取り組んでいく必要があります。
日本産業機械工業会は、こうした社会の変化や課題に応え、地球環境保全、国際交流、標準化などの各種事業を推進し、また、政策提言を積極的に行うなど、産業機械業界並びに会員企業の皆様の事業発展に向けた活動に力強く取り組んでまいります。
政府におかれましては、昨年12月に成立した補正予算に盛り込まれた「日本経済・地方経済の成長」などへの対応を速やかに実施していただくとともに、水素・アンモニアなどの新エネルギーの活用を含むGX事業の推進・実装に取り組まれますことを期待しております。
年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましてはなお一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
「世界の産業界はDX・GXを核とする技術革新を加速」
■日本工作機械工業会
会長 稲葉 善治
2025年の新春を迎え、謹んで年頭の御祝詞を申し上げます。
さて、昨年を振り返りますと、ロシアのウクライナ侵攻の行方が益々深刻化する中で中東での軍事衝突もパレスチナから周辺諸国へと拡大の様相を呈するなど、地政学的リスクが世界各地域で懸念されております。また、欧米の高金利による経済活動の低迷や中国での不動産不良債権問題に端を発した経済の混迷などが続いており、世界情勢は混沌とした中で不透明・不確実な状況が続いた1年でした。
一方で、日本の工作機械業界は日工会を中心に、デジタル・グリーン・レジリエンスをキーワードに新製品・新技術の開発を力強く進めて参りました。この結果、工作機械の受注総額は昨年の年初に発表した1兆5千億円には僅かに届かなかったものの、高水準を維持する事が出来ました。
さて、昨年11月には「技術のタスキで未来へつなぐ」をコンセプトに、我が国工作機械業界最大のイベントであるJIMTOF 2024を東京ビッグサイトで開催し、日本が誇る最先端の工作機械技術・製品を世界に向けて発信致しました。来場者数は前回比13.0%増となる12.9万人、うち海外からの来場者数は前回比2倍強の1万人余を記録する盛況でした。また、今回のJIMTOFでは南展示棟において、特別併催展としてAdditive Manufacturing Area in JIMTOFを催しました。更に、同館において出展者と学生を繋ぐアカデミックエリアを設置する事により学生と現役世代の交流の場を設け、来場者参加型の企画展示も実施致しました。また、国内外の技術者が集う「国際工作機械技術者会議」や全国の学生を招待して実施する「工作機械トップセミナー」など、盛り沢山の併催行事を開催することにより、モノづくりの醍醐味、工作機械産業の魅力を学生諸君に力強く発信致しました。こうした数々の企画を通して、来場者の皆様に工作機械と製造業の明るい未来を感じていただけたと存じます。
本年につきましても、世界各地の地政学的リスクや、国際社会の分断により、通商環境は一層不安定かつ複雑化していくと思われます。そのような状況の中でも、世界の産業界はDX・GXを核とする技術革新を加速させております。日本の工作機械業界としても、世界の先頭に立ってIoT・環境・自動化等の技術を搭載した高付加価値な工作機械を開発して参ります。一方で、我が国においては、ビンテージの古い老朽設備の更新、少子高齢化による労働力人材の不足といった課題を抱えており、その対応を進めて行かねばなりません。
日本の工作機械業界は、世界最高の性能と信頼性を誇るモノとしての工作機械の供給を通じてコトづくりを支え、社会課題の解決に貢献する活動を積極的に展開して参ります。関係各位には当工業会の事業に対する一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。
「万博で新たに発表される技術や製品に期待」
■日本機械工具工業会
会長 松本克洋
令和7年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
平素から、関係各位のご支援、ご協力に対し、心から感謝申し上げます。
昨年秋の衆院総選挙において、政権与党が過半数を下回り、野党勢力が議席を増やしました。また、米国でも今月には、第二次トランプ政権が発足する予定です。現在、報道により言われているのは米国政府による関税の引上げ政策で、円安ドル高の状況が続くと思われます。この状況下で、昨年度の当工業会の生産額は4,641億円であり、一昨年度の4,915億円を超える事ができませんでした。
今年度生産額の当初見通しを約4,950億円としておりましたが、昨年10月の秋季総会で、4,703億円への改訂をご報告いたしました。昨年度比で増加しておりますが、一昨年度実績を超える事ができない状況です。これは、国内の電機・情報通信機器等ハイテク関連向け工具の生産増加と、世界的な半導体需要の回復により関連工具が伸びたものの、国内自動車関連の回復遅れによる為と推測します。そこで、令和7年度の目標としましては、冒頭の米国の政策で厳しい状況ではありますが、生産額5,000億円の達成です。
昨年9月に3社の会員企業の方々が、初めてIMTSの工業会共同ブースにて出展されました。3社の皆様がどの様にお感じになられたかは、興味深いところですが、米国でのお客様との会話から生まれた種は、必ずや実を結ぶと思っております。今年も次の市場として期待される、インドのIMTEXへの視察ツアーや、前回同様にEMOでの共同出展を工業会としても企画しております。皆様がそれらに参加し、そこから販路を見つけ、それにより生産がアップし、少しでも5,000億円に到達する為に努力される事を期待しております。
ところで、今年の干支は巳(蛇)です。巳年は復活と再生を意味する年であり、金運上昇、商売繁盛、また蛇はしばらく食べなくても生きていられる事から忍耐強く、長寿、子宝でも良い年と言われています。まずは、景気の浮揚に伴い、我々の業界の生産額が復活する事を切に願っております。
また、今年は4月13日~10月13日にかけて、大阪・関西万博が開催されます。前回大阪で開催された日本万国博覧会大阪が、約半世紀以上前の1970年に開催されております。その当時、動く歩道、モノレール、リニアモーターカー、電気自転車、電気自動車、テレビ電話、携帯電話等、21世紀の現代社会で普及している製品やサービスが初めて登場しました。
当時、夢の製品と思われていたものが50年後には、もはや当たり前のものとなり、それが無くては生活に支障が出るものになっている事に少なからず驚きを隠せません。今年の万博でも新たに発表される技術や製品が、50年後にはどの様な形で世界に浸透しているのか、また、どの様に発展するのか楽しみで仕方ありません。
空飛ぶクルマや、人工多能性幹細胞(iPS細胞)技術を応用した、生きる心臓モデルなど、私達のイマジネーションが及びもつかないようなインフラや、医療における治療技術など50年後の世界を垣間見る事ができるかもしれません。そういった意味では、先日、JIMTOFの寄稿文でも書きましたが、工具の刃先が石器、青銅器、鉄器、特殊鋼、超硬、セラミックと変化してはいるものの、約3,000年以上基本的には回転して切削する事自体は変わっていないと記載しました。加工はこのまま、回転し切削し続けるのか、そうであればどの様に進化していくのか、万博で技術の種が見つかるかもしれません。
最後になりましたが、皆様の一層のご活躍と、巳年に復活の年となり、商売繁盛となるよう祈念いたしまして、年初のご挨拶とさせていただきます。
【令和7年 年頭所感】日本工作機器工業会/日本精密機械工業会/日本フルードパワー工業会/日本工作機械販売協会
「積極的果敢なリスクテイクが必要」
■日本工作機器工業会
会長 寺町彰博
昨年の世界経済は、ウクライナや中東情勢をはじめとする地政学リスクの高まり、インフレの進行、そして不動産不況などに揺れる中国経済の低迷など、多くの懸念材料がある中で、先行きに対する不透明感がさらに増すこととなりました。日本においては元日に能登半島地震が発生し、そこから復興途上にあった能登地方を記録的な豪雨が襲い甚大な被害に見舞われました。
一方、夏にはパリオリンピック・パラリンピックが開催され、パリオリンピックでは日本勢が海外開催としては過去最多となるメダルを獲得し、米国MLBにおいては、大谷翔平選手をはじめとする日本人選手が活躍するなど、多くの人々に勇気と感動がもたらされた年でもありました。
当工業会に関連する動きを見ると、半導体関連においては需要の牽引役が多様化する中で、生成AIなどの新たな成長ドライバーや自国生産拡大の動きなどを背景に今後も大きな拡大が見込まれます。さらに先進国を中心とする自働化・ロボット化の進展、自動車業界における環境対応車へのシフトや再生可能エネルギー関連の投資の拡大など、私たちのビジネスチャンスは大きな広がりを見せています。
そのような中、私たちがこれらのチャンスをしっかりと掴み、大きな成長を成し遂げるには「積極果敢なリスクテイク」が必要だと感じています。日本は高度成長期において、どちらかというとリスクヘッジよりリスクテイクによって成長してきたといえるでしょう。しかしながら、その後のバブル崩壊により財務の健全性がより重視される中、企業はリスクヘッジへと走り、リーマン・ショックでさらにその傾向に拍車がかかったと思われます。その過度な慎重さの表れとして、これまでの当工業会に関連する需要の拡大期には欧米や中国が先行し、日本が追いつく頃には需要のピークを迎えてしまっているように感じます。さらに、日本において今まさに人手不足が深刻化しているにも関わらずロボットの販売が振るいません。
しかしながら、日本において産官学が一体となってこのテーマに真摯に取り組み、再びリスクテイクを積極化させることができれば、必ずや私たちはグローバル競争の中で打ち勝ち、世界の製造業をリードしていくことができるものと考えております。
従いまして、このように環境が激変する中で、当工業会といたしましても、会員の皆様と強い信念を共有するとともに、各社の積極果敢なリスクテイクを後押しできるような工業会となるべく引き続き尽力してまいりたいと存じます。
結びになりますが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
「若者取り込みに知恵を出し合う」
■日本精密機械工業会
会長 北井正之
明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては輝かしい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
今年は2025年。「2025年問題」が起こる年です。いわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上、つまり後期高齢者となり、超高齢社会が訪れることで生じるさまざまな影響が出てくることが予想されております。
我々の業界でも、高齢化、若者離れが進んでおります。高齢化につきましては、非常に技術力のある方がこの業界にはたくさんいらっしゃいますので、健康の続く限り一緒に働いていただきたいと思いますが、若者につきましてはなかなか門戸を叩いてくれません。
弊工業会では、昨年のJIMTOF2024で学生対象のスタンプラリーを行いました。弊社のブースにも学生が来ました折りに、ものづくりの楽しさ、奥深さを楽しく語ったところ、目を輝かせて聞いてくれました。その時に感じたことは、日本のお家芸であり、この国になくてはならない工作機械業界について、学生に対して、楽しくやりがいがあり、誇りの持てる業界ということをうまく発信できていないのではないかということでした。
今年は巳年。ギリシャ神話で、医療と知恵の神であるアスクレピオスの杖には、蛇(へび)が巻き付いています。これは蛇(へび)の再生能力や知恵を象徴しているとの事。知恵を出し合い、大手企業だけではなく中小企業にも若者を取り込める仕組みづくりを考え、工作機械業界全体の活性化に繋げていければと思います。
また、蛇(へび)は弁財天の使いとされています。巳年が皆様にとりましてたくさんの福をよび込む年になりますよう心よりお祈り申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。
「海外関連団体との交流を強化」
■日本フルードパワー工業会
会長 川瀬正裕
2025年の年初にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
昨年は、国内外で多くの選挙が行われ、大きな変化が起こる年となりました。我が国では、岸田内閣から石破内閣へ政権交代が行われ、衆議院の与野党逆転が起きました。米国では、次期大統領にトランプ氏が決定し、各国がその対応に追われています。
東アジアでは、韓国で戒厳令が一瞬発令されるなど、政治的混迷が深まりました。中国では住宅関連産業の低迷や若者の就職難などが続いており、デフレの懸念が高まる中で、成長鈍化が懸念されております。また、ロシア・ウクライナ戦争が続く中、シリアのアサド政権崩壊というニュースも入り、世界情勢はますます厳しさを増しています。
今年1月には米国で第二時トランプ政権が発足します。米国は対中、メキシコ、カナダに一律関税を課すとの話もあり、中国からの部品調達や海外に進出する中国企業からの部品調達にも影響を及ぼすことが懸念されます。このような状況下で、サプライチェーンの再構築と「経済安全保障」の確保が求められています。
さて、我が国の経済状況についてですが、昨年12月に発表された日銀短観では、業況判断DIが大企業・製造業で+14%と若干改善しました。特に生産用機械や化学、自動車などの業種が改善し、効率化投資やデジタル化、脱炭素化、サプライチェーン強靭化への投資の必要性が高まっていることが示されています。
当業界の2024年の出荷額(推定値)は、油圧機器が約3千6百億円、空気圧機器が約5千3百億円となり、対前年比約4.2%減の約8千9百億円となりそうです。このような、厳しい経済環境下、工業会としては、効率的な会議の推進や海外関連団体との交流強化、新しい課題への対応などを進めていきます。また、カーボンニュートラルやデジタル社会への対応、若手技術者の育成にも力を入れてまいります。
今年は巳年です。蛇は再生や永遠の象徴と言われ、我々にとっても、これまでの努力が実を結び、新たな成長や変革の年となることを期待しています。
「教育事業の充実を図る」
■日本工作機械販売協会
会長 髙田研至
皆様、新年明けましておめでとうございます。
健やかに新春を迎えられました事、謹んでお慶び申し上げます。
昨年を振り返りますと、元旦に能登半島を中心に大きな地震が発生し、多くの方が被災され復興道半ばの被災地で9月には集中豪雨により、またしても多くの尊い人命が失われました。早期に社会を挙げての支援により復興される事を願っております。
世界情勢はロシアのウクライナ侵攻はまだまだ着地点が見えない現状、中東でのイスラエルの戦闘、米国の大統領がトランプ氏に代わるなど、自国第一主義の台頭、米中の覇権争い、中国経済の失速、円安、物価上昇、人件費高騰など、多くの問題が山積しております
昨年11月JIMTOF、7月にはロボットテクノロジージャパンが大盛況の内に開催され、自動化、高効率化、知能化、デジタル化といった技術革新、工程集約や同時5軸複合加工機など構造的な大変革が求められている中、日本の製造業は生産性を向上させ世界で競争力を回復させることが緊急の課題となっております。
しかし、残念ながら日本の製造業は理解をしながらも遅々として変化を嫌い、将来に向けての展望が開けていない状況であります。とくに中小の製造業においては、現状のままでは多くの会社が淘汰されるのではないかと危惧しております。この様な中、国のバックアップの元、需要の喚起と共に生産性向上、生産現場の改善など商社は積極的に関与できるスキルを身につける事の重要性を感じており、教育事業の充実を図ってまいります。
さて、日工販における最大ユーザーである自動車業界様ですが、昨年は認証問題により生産台数が上がらない上に、一昨年にはBEV(電気自動車)に自動車業界全体が大幅に移行される様な状況で有りましたが、世界の自動車メーカーは一変し、投資の見直しが発表されております。トヨタ自動車様においても新たにエンジン開発がされ、BEV(電気自動車)を2026年に150万台と計画されていましたが2027年に100万台と変更される事により、設備投資がされるかと期待していましたが、現実は既存の設備の改造が中心であり、また、BEVの遅れにより新たな投資が先延ばしとなり非常に厳しい一年となってしまいました。では、本年が期待できるかですが、現実的には、トランプ大統領の再登板により、世界のどこに投資をするかの判断が難しくBEVの遅れにより昨年同様に非常に厳しい一年になることが予想されます。
この様な状況の中、期待できる投資は、自動化、DX化、生産性向上、カーボンニュートラルなど、現場での改善活動を中心に現場主義に徹した活動が重要な営業活動となってまいります。
最後になりますが、日工販として昨年、日工会様の受注予測の⅓以上を内需で受注したいと5,500億円を目指しましたが、残念ながら昨年も5,000億円に達しない状況です。是非、本年は1/3以上を目指して参ります。
【令和7年 年頭所感】日本建設機械工業会/日本光学測定機工業会/日本金型工業会/全日本機械工具商連合会
「社会の持続的発展に貢献」
■日本建設機械工業会
会長 山本 明
新春を迎え謹んでお慶びを申し上げます。
会員各社ならびに関係省庁、関係団体の皆様には平素より、日本建設機械工業会の活動に格別のご支援とご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年は元日の能登半島地震、8月の日向灘地震及び南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」の発令、9月の能登半島豪雨と全国各地で大規模な災害が発生いたしました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、現在まで復旧・復興に向けご尽力されているすべての方々に感謝申し上げます。当工業会としても被災された方々が一日でも早く日常を取り戻されるよう力を尽くしていくことをお誓い申し上げます。
本年も工業会の設立理念である「調和と発展による世界への貢献」ならびに「共生と競争」のもと、工業会の活動の変革・発信を通じ、社会の持続的発展に貢献して参りたいという思いを新たにしております。
こうした中、建設機械の市場動向に目を転じますと、当工業会が昨年8月に公表した需要予測では、令和6年度(2024年度)の需要は、国内が微減、輸出は減少に転じ、2024年度通年の出荷金額は3兆1,610億円(前年度比5%減)となり、4年ぶりの減少を見込んでおります。また、令和7年度(2025年度)については、国内、輸出ともに底堅く推移し、2025年度通年の出荷金額は過去2番目の出荷金額となる3兆2,033億円(前年度比1%増)を見込んでおります。
この数年の好調の背景には、アフターコロナによる経済活動の再開・活発化や、停滞していた部品・部材の納品の改善、船舶需給の緩和などの影響が考えられますが、他方で、為替水準の急激な変動や、米国の政治経済動向、ロシア・ウクライナ紛争、イスラエル・中東情勢など直面する懸念材料も山積しております。
また、中長期的にも自然災害の激甚化・頻発化への対応、GX対応、DX対応、国際的な環境規制強化、サプライチェーンの不安定化、人材の確保・育成、取引適正化、物流問題など課題も数多くあるため、担当の委員会・部会を中心に業界を挙げ検討を行い、関係省庁への働きかけを含め実行に移しています。
我々工業会の使命は世界のインフラを担う日本の建設機械産業を支えることでありますが、従前に増して、上記の課題に対し積極的に取り組んでまいりますので、ご支援・ご協力の程よろしくお願いいたします。
最後になりますが、令和7年が皆様にとって安全で素晴らしい一年となりますように
祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。
「光学式ならではの利点を生かした測定ソリューションを迅速に開発」
■日本光学測定機工業会
会長 濱谷 正人
明けましておめでとうございます。
謹んで新春のご挨拶を申し上げます。平素より関係者の皆様には日本光学測定機工業会の活動に、ご理解とご支援を賜り、厚くお礼申し上げます。
昨年は、前半、半導体や電子部品業界において設備投資が抑制される動きがあり、光学測定機の出荷額もスローなスタートとなりましたが、後半から盛り返し、通期ではほぼ前年並みの水準を維持しました。
現在、光学測定機の市場は、自動車の電動化需要拡大やパワー半導体開発の進展および生成AI向けチップをはじめとした先端パッケージ技術の進化に伴い大きな変化点を迎えています。測定のアプリケーションも多様化し、より複雑な形状や高精度な測定が求められるようになっています。それゆえ、高速・非接触という光学式ならではの利点を生かした測定ソリューションを迅速に開発・提案することが肝要と考えております。
一方で、日本国内では労働人口の減少が進む一方、海外では人件費の高騰が課題となっています。このような背景から、製造プロセスでは省力化や自動化が不可欠なものとなっており、作業現場において、サンプルの形状や寸法、表面性状を高速に取得するニーズも高まっています。光学式の測定機は、この点においても有効な技術として注目されています。
今年秋に東京ビッグサイトにて開催する測定計測展2025には、「計測で創る、ものづくりの未来 ― 測定のDX化、省人省力化、高精度化、最新計測ソリューションで未来を創る!―」をキャッチフレーズに、産業界の生産性向上に資する次代の検査・計測装置や関連サービスを多数出展します。是非、足をお運びくださいますようお願い申し上げます。
ダイナミックでスピード感のある大きな時代変化の流れの中、それに呼応する形で、光学に基づく切り口を武器に非破壊・非接触型測定機を主としたリアルタイムな光学測定技術を深化させます。
あらゆる課題を見える化・顕在化させることによって素晴らしいモノづくり、コトづくりを実現し、価値の共創へ貢献して参りますので、今年もよろしくお願い申し上げます。
「『稼ぐ力』と『ワンボイス』で積極的に仕掛ける」
■日本金型工業会
会長 山中雅仁
令和7年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
会員の皆様ならびに関係省庁、関係団体の皆様には平素より、日本金型工業会の活動に格別のご支援とご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年は、大規模地震や極端な気象による豪雨や洪水などの気象災害が発生し、高まる自然災害リスクを改めて認識させられる一方で、ウクライナ、イスラエル・パレスチナの紛争状況や変貌する政治体制や国際秩序など 先行きが見通せない地政学・政治的リスクが露になった一年でした。これらの環境変化に加えて、産業界では、グローバル化、デジタル革命、少子高齢化の進行による労働力不足、生産性と賃金水準向上の両立など まさに大転換期を迎えており、そのトレンドに素早く、かつ柔軟に先回りして対応できる企業が生き残れる時代と痛感しております。
工業会では、そのような厳しい環境にあっても、「金型業界は、多くの社会課題やお客様のお困りごと解決のツールを提供できる持続可能な企業集団」として、社会的な使命感を胸に、会員相互のネットワークとシナジーを高め、研鑽を深めてまいりました。
さて、今年の干支は、乙巳(きのとみ)です。「乙」は未だ発展途上の状態を表し、「巳」は植物が最大限まで成長した状態を意味し、この組み合わせは、これまでの努力や準備が実を結び始める時期を示唆しているそうですが、転じて、実りの時期はさまざまなことから、常に発展途上である意識を持って、絶えず仕掛けることの重要さを述べたものと解することもできます。
報道などを見ると、令和7年もメガトレンドは変わらず、主要顧客の自動車産業の構造変化など 企業を取り巻く環境は、依然厳しいものがありますが、このようなVUCA時代を生き抜くためには、積極的に仕掛けることがとても大事と思う次第です。
そこで、私の新年の抱負として、“「稼ぐ力」と「ワンボイス」で積極的に仕掛ける” を掲げました。
「稼ぐ力」は、付加価値を生み出す力とされるのが一般的ですが、それを「成長戦略」と置き換え、「商品企画開発力アップ」「業界の魅力度アップ」「価格交渉力アップ」「市場拡大施策の推進」などのキーワードから、皆さまと議論を進めていければと考えています。たとえば、商品企画や開発面では、ビックデータの収集・分析の活用、個社の技術力強化にとどまらない産学・数社連携のオープンイノベーションやシナジー連携などもこれにあたります。
また、一昨年に日本金型工業会より発信した「金型取引ガイドライン」は、公正取引の政府指針もあり、関係先様から理解を得られるものになりました。これを緒とした「ワンボイス」活動ですが、今年は、更に時代の流れに則したコンプライアンスや経済安全保障の観点、関係先様との共存共栄・イコールパートナーシップの考えの基、引き続き推進していく所存です。
一方で、これからも金型業界が変わらぬ社会的使命を果たす企業集団であり続けるには、何よりも人財力の結集があっての賜物です。一人ひとりが、ワクワクする魅力ある業種でヤリガイ感、働きがいをもって仕事に従事している、こんな姿を目指していきたいと考えています。そこで、工業会では、教育プログラムの更なる充実や個性ある支部活動を通じて「人づくり」に尽くしてまいります。
最後になりましたが、本年も会員企業の皆様ならびに関係省庁、関係団体の皆様のなお一層のご指導、ご鞭撻を賜ります様、お願い致しますとともに 皆々様の益々のご発展、ご健勝を祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。
「新時代に適応した発展を」
■全日本機械工具商連合会
会長 坂井俊司
新年、明けましておめでとうございます。
昨年を振り返りますと、世界は引き続き大きな変化と不安定な状況に直面しました。地政学的な緊張、気候変動による異常気象、そしてエネルギー価格の変動が、私たちの日常生活や経済に多大な影響を及ぼしました。これらの世界的な不安定要因がある中で、国内の製造業においては①DX化の加速、②カーボンニュートラルへの取り組み、③サプライチェーンの再構築、④労働生産人口減少への取り組み、⑤グローバル競争力への維持・強化を進めてきています。困難に直面する中で技術革新とDXへのさらなる取り組みが日本のものづくり企業の新しい成長の機会を見出す鍵となっているのではないでしょうか。
そのような状況の中で昨年度は全日本機械工具商連合会としては大きな行事はありませんでしたが、各地区、各組合の中で個別に展示会、講演会また見学会等の行事に意欲的に取り組んでいただきました。また、組合員の情報交換や懇親を深めるだけでなく仕入先各社様との交流も活発に行っていただきました。
先に述べました我が国の製造業が5つのポイントの取り組みを引き続き強化する中で我々機械工具業界もその大きな潮流に追従していかなければならず、各組合の会社様においても取り組みの強化が必要であります。仕入先各社様とも情報交換、情報共有のご協力をお願いするとともに、全機工連としてもできる限りの情報発信をしていきたいと思います。
さて今年は11月4日(火曜日)に東京国際フォーラムにて全国大会を開催いたします。東京都機械工具商業協同組合様を中心に関東ブロックの組合の皆様のご協力もいただきながら検討いただいています。皆様にとって実りある大会となるように願っております。会員の皆様、仕入先・賛助会員の皆様のご出席を是非ともよろしくお願い申し上げます。
最後になりますが、会員各社、メーカー会員、賛助会員の皆様がこれからの新しい時代に適応して、ますますご発展されることを祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。