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ユキワ精工 QC サークル新潟地区大会 「新潟県知事賞」を受賞 同全国大会も「QC サークル感動賞」のダブル受賞
ユキワ精工(社長=酒巻弘和氏)は、改善能力の向上と人材の育成を目的にQCサークル活動を実施しているが、昨年の全社発表大会の最優秀サークルである「メカニカル工機」サークルが、今年開催されたQCサークル新潟地区大会にて「新潟県知事賞」、さらに、QCサークル全国大会において「QC サークル感動賞」を受賞しました。
QCサークル活動とは、現場で働く従業員・スタッフを小集団に分けて、品質管理・品質改善について自主的に話し合い、意見を出し合って、実際に行動に移していく活動のことで、QC サークル活動のQC(英語:Quality Control の略)は、「品質管理」を表している。QC サークル活動は、主に製造現場の工場などで品質管理を目的に取り入れられており、小集団改善活動とも呼ばれている。
一般的にこの活動は、自ら考え、自ら学び、自ら行動することで無限の可能性を引き出し、さらなる能力の向上へとつなげ、活力ある職場造づくりに有効な活動でるとともに、品質向上、原価低減、効率化などの成果を上げることにより、企業への貢献、新規業務への適応が期待されている活動とされている。
同社のQCサークルは、改善能力の向上と人材の育成を目的に1985(昭和60)年に活動を開始している。現在のサークル数は32サークルで4部門に分かれて活動している。毎年11月に各部門の代表による全社QCサークル発表大会が開催され、最優秀サークルが決まる。この最優秀サークルが翌年の新潟地区大会へ参加する。
受賞した「メカニカル工機」サークル
今回受賞したのは工機グループと設計グループのメンバー6名で構成。
【発表テーマ】ドリルチャック内研工程のチョコ停削減
【発 表 者】星雄太、青柳豪、戸田早苗
■受賞履歴
・2023 年11 月18 日 全社QC サークル発表大会で最優秀賞を受賞
・2024 年06 月26 日 QC サークル新潟地区大会にて新潟県知事賞を受賞
・2024 年07 月12 日 QC サークル全国大会 新潟大会にてQC サークル感動賞を受賞
第6543 回QC サークル新潟地区大会は、2024年6月26日にオンラインで開催し、同社は、新潟県知事賞を受賞した。新潟県知事賞は同社として2度目の受賞(前回の受賞は2015年5月)
第6550回QCサークル全国大会 新潟大会は、2024年7月11日~12日に新潟市朱鷺メッセにて開催。新潟県内では初の全国大会の開催となった。同社は、「QC サークル感動賞」を受賞した。同賞は、全発表の中から「自分はあのような活動に共感できる」、「仲間に感動を与えるあのような活動をしてみたい」など、共感と感動を受けた発表サークルが参加者全員からの投票で選出される賞。
同社では、「今後ともQCサークル活動を通して改善能力の向上と人材育成を進めていく。」としている。
三菱マテリアル 高硬度鋼旋削加工用CBN材種「MB8210」「MB8220」を新発売
三菱マテリアル 加工事業カンパニーがこのほど、高硬度鋼旋削加工用CBN材種「MB8210」「MB8220」を発売した。
高硬度鋼の旋削加工では、加工中にクレータ摩耗が進行しやすく、衝撃でチッピングや欠損が発生することがある。高硬度鋼旋削加工用CBN材種「MB8210」「MB8220」は耐熱バインダーを採用し、耐熱性を向上させることでクレータ摩耗の進行を抑制する。また超微粒バインダーによりクラックの進展を抑制し、安定した加工で長寿命を実現する。
高硬度鋼旋削加工用CBN材種「MB8210」「MB8220」の主な特長は、以下の通り。
① CBN基材に“超微粒バインダー”と微粒cBNを分散することで、クラックの進展を抑制し、切削時の突発欠損を防止。
② 耐熱バインダーの採用によりクレータ摩耗の進行を軽減し、チッピングや欠損を抑制。
■標準価格(税抜き)
・NP-CNGA120404GA2 MB8210:5,310円
・NP-DCGW070204GA2 MB8220:5,920円
・NP-VBGW160404FS2 MB8210:5,920円
(MB8210:43アイテム MB8220:37アイテム 計81アイテム)
オーエスジーが昨年に続き本年も「修造チャレンジ」を支援
オーエスジーは、このほど、昨年に引き続き本年も日本テニス協会男子ジュニア強化プロジェクト(富士山プロジェクト)の一環である「修造チャレンジ」を支援すると発表した。
「修造チャレンジ」とは、日本テニス協会理事 兼 強化育成本部副本部長の松岡修造氏が、将来世界のトップレベルで活躍できる男子選手を育成することを目的とし、技術および戦術、フィジカル、メンタルなどの各専門分野のスタッフと共に指導を行う男子ジュニア選手強化合宿のこと。
本年は新たな試みとして、2024年4月29日から5月1日にかけて、オーエスジー運営(豊川市内)のテニスコートで強化合宿が開催された。今回の合宿には、世界大会への出場経験や、優勝経験がある中学2年生および3年生のジュニア選手6名が参加した。日本テニス協会のコーチ指導のもと、今後行われる世界大会への準備を目的とし、オーエスジーの宿泊施設を利用して充実した強化合宿となった。
オーエスジーはスポーツ振興を通して、社員ひとりひとりが「明るく」「楽しく」「元気よく」日々仕事に取り組む環境づくり、そして「企業は社会の公器である」を理念に、豊かな未来を目指して地域、社会、地球の持続な貢献に取り組んでいく方針。
DMG森精機 3年間、低額・定額のアフターケアサービス「DMG MORI TOTAL CARE」を8月から開始
DMG森精機は、機械の故障を未然に防止するプリベンティブメンテナンスと、事故・故障時に修理費用を補償するアフターケアサービスをセットにした「DMG MORI TOTAL CARE」の提供を本年8月より開始した。
プリベンティブメンテナンスは、同社の熟練のエンジニアが顧客先を訪問し、12種類の精密計測器を使用して各種精度を可視化することにより、機械状態を診断するサービス。定期的に実施することで、機械の 不具合を早期発見し、さらに診断結果に応じて適切なメンテナンスの提案を行う。
DMG MORI TOTAL CAREでは、本診断サービスを年に1回(計3回)提供する。また、機械の不具合や、操作ミス等の事故が起きた際の修理費用を、基本のメーカー保証終了後、1年間 延長し、3年間補償するアフターケアサービスをセットにしており、加入料を支払うと、納入後の高額な修理でも「低額・定額」の負担(1回6万円の免責の負担にて税込み製品購入価格を限度に保証)のみで、提供する。(部品代/出張費の両方が対象。顧客自身で部品を交換する場合は対象外)。
同社は、DXを用いて、工程集約・自動化し、グリーン・トランスフォーメーション(GX)を実現する仕組みをMX(マシニング・トランスフォーメーション)と位置づけ、推進している。DMG MORI TOTAL CAREは、工作機械単体だけではなく、同社が販売する自動化装置を含めたシステム全体を保障する。顧客のDX導入をサポートするソフトウェアやサービスをご提供するCELOS Clubとセットで加入することで機械の安定稼働を実現し、生産性向上とMX導入をサポートする。
KELK 世界初500mデータ送信可能な熱電発電センサーデバイスを発表
コマツの100%子会社であるKELKは、このほど工場などで生産設備のモニタリングに用いるセンサーデバイスに関し、電源・電池が不要なセンサーデバイスとして世界で初めて通信距離 半径約500mを達成した新製品「KSGD-SV10」と専用のソフトウェアである「KELGEN swift」を10月より販売を開始すると発表した。
「KSGD-SV10」は、熱電素子を用いた熱電発電により、設備機器に設置したデバイス自体の底面と空気に接する上面の温度差がわずか3℃から動作するため、電池交換や配電などの手間が不要。また、旧製品「KSGD-SV8」に比べ発電効率の向上と低消費電力化を実現したことで、熱電発電を用いたセンサーデバイスにおいて世界で初めて920MHz帯無線通信に対応した。これにより、通信距離が旧製品の50mから10倍の約500mへと伸長した。
障害物が多く、通信距離が必要な工場やプラント、社会インフラなどでも電池レス・無給電で設備機器の振動の状態を測定しデータを無線で送信できる。
同時発売のソフトウェア「KELGEN swift」は、オンプレミスのパソコン上で「KSGD-SV10」のデータをすばやく分析して設備の状況をグラフやマップで表示したり、長期間のデータから設備の故障予兆を解析できる。
日本工作機械工業会 2024年6月分工作機械受注総額は1,338.2億円
日本工作機械工業会がこのほどまとめた2024年6月分の受注実績は以下の通り。
2024年6月分工作機械受注総額は、1,338.2億円(前月比+7.5% 前年同月比+9.7%)となった。受注総額は、3カ月ぶりの1,300億円超で2カ月連続の前年同月比増加。中国中心に増加が見られ、3、9月の期末を除くと1年以上ぶりの高水準。
内需は408.1億円(前月比+17.1% 前年同月比△0.1%)で、主要業種を中心に前月比で増加した。まとまった受注が寄与し3カ月ぶりの400億円超となるも、前年比でみると横ばい展開となるなど慎重姿勢が続く。
外需は930.1億円(前月比+3.7% 前年同月比+14.6%)で、主要3極は、北米のみ前月比減少も14カ月ぶりの900億円超。アジアのうち、中国 国務院の政策投入効果もあってか大幅増加。
6月の受注は増加傾向がみられるものの、局地的な増加であり、本格的な受注の回復時期等について今後の動向を注視。
6月分内需
408.1億円(前月比+17.1% 前年同月比△0.1%)。
・3カ月ぶりの400億円超。
・前月比3カ月ぶり増加。前年同月比22カ月連続減少。
・まとまった受注により前月比増加も全体として力強さに欠ける状況が継続。
(出所:日本工作機械工業会)
6月分外需
930.1億円(前月比+3.7% 前年同月比+14.6%)
・2023年4月(909.7億円)以来、14カ月ぶりの900億円超。
・前月比2カ月連続増加。前年同月比2カ月連続増加。
・欧州、北米が横ばい圏内の動きの中、アジアの特に中国で増加傾向が顕著。
(出所:日本工作機械工業会)
日本ロボット工業会 2024年4~6月期 マニピュレータ ロボット統計 受注・生産・出荷実績まとまる
ロボット工業会がこのほどまとめた2024年4~6月期のマニピュレータ ロボット統計 受注・生産・出荷実績は次のとおり。■業況 2024年4~6月期は、受注額が対前年同期比8.6%の減少、生産額が同12.9%の減少となった。受注状況をみると、実装機は底打ち感が出てきており、一部用途向けでも復調の兆しがあることで、受注の減少割合は6四半期ぶりに10%を下回った。その一方で、垂直多関節ロボットを中心に依然として低迷している状況下にあるが、世界的な自動化需要が益々高まる中で、今後の受注回復が期待される。 出荷実績をみると、国内向けは、電気機械製造業向けが主要用途で減少した一方、自動車製造業向けは主要用途で増加した。輸出はマテハン用やスポット溶接用がアジア、欧米含めて大幅に減少したものの、実装用がアジア向けで中国向け中心に増加となった。同用途での輸出額が増加となったのは10四半期ぶりとなる。半導体用も5四半期ぶりに増加に転じている。受注・生産・出荷の各状況は以下の通り。■受注 ・受注台数(台) : 41,696(前年同期比▲13.1%) 【7四半期連続の減少】 ・受注額(億円) : 1,798(同▲8.6%) 【7四半期連続の減少】■生産 ・生産台数(台) : 39,081(前年同期比▲27.5%) 【6四半期連続の減少】 ・生産額(億円) : 1,763(同▲12.9%) 【5四半期連続の減少】■出荷 ・総出荷台数(台) : 37,777(前年同期比▲29.4%) 【6祖半期連続の減少】 ・総出荷額(億円) : 1,669(同▲18.3%) 【5四半期連続の減少】 ―国内出荷台数(台): 8,665(同▲3.2%) 【5四半期連続の減少】 ―国内出荷額(億円): 416(同▲1.6%) 【2四半期連続の減少】 ―輸出台数(台) : 29,112(同▲34.7%) 【6四半期連続の減少】 ―輸出額(億円) : 1,253(同▲22.6%) 【5四半期連続の減少】■国内出荷内訳[業種別]電気機械産業向け ・国内出荷台数(台) : 2,831(前年同期比▲10.7%) 【4四半期連続の減少】 ・国内出荷額(億円) : 133(同▲12.3%) 【4四半期連続の減少】[業種別]自動車産業向け ・国内出荷台数(台) : 2,759(前年同期比+25.1%) 【5四半期ぶりの増加】 ・国内出荷額(億円) : 129(同+14.7%) 【2四半期ぶりの増加】■輸出内訳[用途別]電子部品実装用 ・輸出台数(台): 3,327(前年同期比+11.0%) 【11四半期ぶりの増加】 ・輸出額(億円): 529(同+10.2%) 【10四半期ぶりの増加】[用途別]溶接用 ・輸出台数(台): 4,976(前年同期比▲52.1%) 【3四半期連続の減少】 ・輸出額(億円): 126(同▲52.4%) 【3四半期連続の減少】
日本機械工具工業会 2024年6月分 会員統計生産額まとまる
日本機械工具工業会がこのほどまとめた2024年6月分の機械工具生産額は次のとおり。〈( )内は対前年比〉。■生産額 切削工具 347.7億円(95%)、耐摩耗工具 31.4億円(99%)、総合計 387.5億円(95%)。■ドリル生産額 特殊鋼工具 11.5億円(71%)、超硬工具 37.1億円(100%)、ダイヤ・CBN 1億円(108%)、総合計 49.6億円(92%)。■エンドミル生産額 特殊鋼工具 4.3億円(107%)、超硬工具 34.3億円(91%)、ダイヤ・CBN 1.3億円(97%)、総合計 39.9億円(93%)。■カッタ生産額 特殊鋼工具 1億円(119%)、超硬工具 4.9億円(91%)、ダイヤ・CBN 0.4億円(75%)、総合計 6.2億円(93%)。■ギヤカッタ生産額 総合計 6.6億円(96%)。■ブローチ生産額 総合計 7.8億円(106%)。■ねじ加工工具生産額 特殊鋼工具 29.6億円(99%)、超硬工具 3.7億円(110%)、総合計 33.3億円(100%)。■バイト生産額 特殊鋼工具 0.1億円(114%)、超硬工具 8.3億円(83%)、総合計 8.4億円(84%)。■リーマ生産額 特殊鋼工具 1.2億円(90%)、超硬工具 2.1億円(80%)、総合計 3.3億円(83%)。■鋸刃カッタ生産額 特殊鋼工具 1.1億円(87%)、超硬工具 0.4億円(71%)、総合計 1.6億円(82%)。■インサート生産額 超硬工具 140.5億円(96%)、ダイヤ・CBN 21.1億円(95%)、総合計 161.6億円(96%)。■ボディ関係生産額 総合計 16.6億円(92%)。■超硬合金生産額 切削用 118.4億円(93%)、耐摩耐触用 15.5億円(105%)、総合計 135.7億円(94%)。
経産省・2024年5月度機械統計 機械工具生産動態調査
経済産業省の2024年5月度 機械工具生産動態調査(機械統計)は以下のとおり。
*機械工具(機械統計)との差はダイヤモンド工具のダイヤモンドドレッサー、グライディングホイール、カッティングソー、セグメント工具、その他ダイヤモンド工具。
*耐摩工具の一部はその他超硬工具に含まれる。
(表出所:日本機械工具工業会)
中部最大の産ロボ展に4.6万人が来場 240超の企業・団体が出展、最新技術を愛知で披露
産業用ロボットの展示会「ロボットテクノロジージャパン2024」が7月4日から6日までの3日間、愛知県常滑市の愛知県国際展示場で開催された。開催は2022年に次ぐ2度目で、前回から2割増の240を超える企業や団体が出展し、国内外から4万6,000人が来場した。産業用ロボットの展示会としては中部地区最大で、東京で隔年開催される国際ロボット展に次ぐ規模。製造業や物流の現場で人手不足が課題となるなか、各社が省人化につながるロボットや周辺機器を披露した。(文・写真=是州煩太)
ロボット各社が最新技術を披露
展示会には産業用ロボットメーカー各社の展示のほか、ロボットのシステム構築などを担うシステムインテグレーター(SIer)のブースや、自動化システムを構成する機器、ソフトウェアなどが出展された。ロボットメーカーの“東の雄”ファナックは年内に発売予定の塗装現場で使用する世界初の防爆協働ロボットを目玉に据え、来場者の注目を集めた。対する“西の雄”安川電機は生産現場の複数のロボットが作業に応じて場所や作業内容を変えながら、製品を組み立てる自動化コンセプト「i³(アイキューブ)メカトロニクス」の実演に人だかりができた。
ヤマハのブースではロボットはもちろん、モビリティーメーカーとしての本領を発揮し、自動運転技術を持つティアフォーとの合弁会社イヴ・オートノミーが開発した自動搬送サービス「eve auto」を出展して実際に走行させた。工場の敷地内を自動運転で資材などを無人搬送できる。デンソーウェーブは、工場で使われる「通い箱」にカンバンを挿入するデモを披露。特許出願中のロボットハンドで通い箱を搬送し、その通い箱のカンバンを差し替え、上ぶたをかぶせる作業を協働ロボット「COBOTTA PRO」1台で担う。Mujinは工場内の物流業務をテーマにシステムを展示した。
工作機械各社は現場想定の実演
ロボットテクノロジージャパンは生産現場や物流拠点の自動化や省人化をテーマ掲げており、工作機械メーカーの大規模な出展が目を引く。DMG森精機は自律走行ロボット「WH-AMR10」を出展。変種変量生産への対応や、既存の工場や設備への対応をアピールした。
ヤマザキマザックは協働ロボットセル「Ez LOADER 30」と複合加工機「INTEGREX i-200H S」と組み合わせ、多品種少量生産向けの自動化ソリューションを提案し、径が違う大小2種類のワークの加工を実演した。自社製コントローラー「MAZATROL」からロボットの動作設定ができるソフトウェア「イージーローダー アプリケーション」の使い勝手も来場者に訴えた。オークマは5軸制御立型マシニングセンタ(MC)「mu-500VⅢ」と移動式協働ロボット「omr20」と組み合わせ、工程集約とフレキシブルに対応できる自動化システムを実演した。omr20はプログラミングが不要で必要な時に最大10台まで加工機を自動化できる。幅広いワークに対応したストッカーを採用したのも特徴だ。
牧野フライス製作所は5軸制御立形MC「DA300」と同社エディションのツールプリセッターとの間を製造支援モバイルロボット「iAssist」が行き来し、ツールやワークの交換を実演した。またiAssistの体験コーナーを設けて使いやすさをアピールした。
芝浦機械は双腕の協働ロボット「RIDRSシリーズ」を出展。ヒト型のRIDRS-Hは全16軸あり、前かがみの姿勢が可能で既存の双腕ロボットに対し作業の自由度を高めた。ブースでは2台のロボットが共同で作業する実演を披露した。最新型のロボットと比べ動作性を高め、作業の一連の動作にかかる時間を3分の1程度にまで短縮したという。
安田工業は実機を展示せず、大型モニターを使ったプレゼンテーション方式で、金型向けでは同社の微細加工向けマイクロセンターとジグボーラー、部品加工向けには同社のプレシジョンセンターを例に、現場の自動化に向けた解決方法を紹介した。
機器メーカーは自動化と省人化を訴求
ロボットを使った自動化システムの構築には、用途に応じた機器や装置も欠かせない。周辺機器メーカーのブースを周ってみた。北川鉄工所はロボットを使った自動ジョー交換システム「BR-AJCシステム」を今回展の目玉にした。旋盤のチャックで、実際にワークをつかむジョー(爪)部分を自動交換するというもの。標準のBRチャックと標準タイプのジョーがそのまま使え、従来の人の手による脱着では装着後の精度調整が必要だったが、システムでは把握精度を0.01mmT.I.R.以下に抑え、ジョーの再成形も不要になった。時間とコストの削減になり、長時間の無人運転にも対応できる。
大昭和精機は切削工具やゲージなどの在庫と寿命の管理システムを搭載した工具収納棚「Tool Cellar GENESIS/SWEEP」を展示した。一見するとごく普通の工具収納棚だが、棚のロック機能はもちろん、棚の上に設置したモニター画面を操作し、必要な工具を指定すれば、該当する工具が収納された引き出しだけロックが解除される仕組み。モニター画面に搭載されたカメラで、引き出しのロックを解除した人物を録画するため、誤って別の工具を取り出した場合にも、誰がどの工具と間違えたのかが特定できる。操作法はシンプルで、収納棚内の工具やゲージの在庫管理も可能で、在庫が少なくなったものの発注や棚卸し機能も備える。データを一元管理することで、現場の自動化や効率化につながる。
工具各社も提案さまざま
工具メーカーからもシステムの提案があった。イワタツールとトライエンジニアリングのブースでは、ロボットを使った複数の切削加工を実演した。一つはロボットで付加製造したワークを、もう一台のロボットで切削加工して仕上げるシステムで、宇宙産業での導入事例もあり、サンプルワークも展示した。もう一つは切削工具を交換しながら複数の切削加工を可能にしたシステムで、ロボットの先端軸を回転させてワークに穴開けやねじ山を切るタップ加工など、複数の加工ができる。両社は開幕日の7月4日に記者会見し、ロボット加工技術研究会の発足を発表した。
オーエスジーはめねじの合否判定をする協業ロボットを参考出品した。
新東工業との協業により搭載した力覚センサーはワーク形状に合わせてねじ穴位置を検知し、ねじゲージを挿入する。今後、製品化につなげられるか実証実験を重ねていく。
MOLDINOは、高性能な工具を使う事で加工能率を高め、長寿命の特徴を生かし、加工コストの削減や短納期化、コスト削減によるユーザーの競争力強化を掲げる。ロボットを使った自動化システムを導入した加工現場でこそ、MOLDINOの切削工具の強みが発揮できるとして、来場者にアピールした。
愛知での開催に納得の理由
ロボットテクノロジージャパンの会場となった愛知県国際展示場は、人工島の中部国際空港島内にある。知多半島の中ほどに位置する常滑市からは鉄道と自動車の連絡橋で結ばれており、一部の船便を除き、連絡橋を使わなければ島内に入れない。その連絡橋で会期中、普段では見られない異様な光景を見た。連絡橋を通行するための自動車道料金所のひとつが、来場者が運転するクルマで埋まったのだ。
つまり、愛知県国際展示場の駐車場への入場を待つクルマが、信号のある交差点を超え、セントレア東インターチェンジ(IC)を超え、長さ1.4kmの連絡橋をも超え、料金所を超えるまでの5kmほどで、数珠つなぎの渋滞が発生したのだ。一部の来場者はこの渋滞に業を煮やし、空港の駐車場を利用する来場者もみられた。同展示場ではこれまでにも多くの展示会を取材したが、これほどまでの渋滞は初めて目にした。いかに多くの来場者が詰めかけたのかが分かる。会期3日で4.6万人の来場者の多くが、作業着姿でやって来た。
意外に思われるだろうが、自動車産業や鉄鋼業など、第2次産業の印象が強い東海地方だが、第1次産業(農林漁業)も盛ん。愛知県の農業産出額は全国8位(農林水産省2021年農業産出額と生産農業所得)。愛知県は、自動車産業を中心とした工業県のイメージが強くあるが、農業でも全国有数の地域で、産出額が毎年トップ10に入る農業県でもある。仮に、東京で開催される国際ロボット展のように、出展の対象を製造業に絞らなかったら、空港島と連絡橋の渋滞は、この程度では済まなかったはずだ。
日本ロボット工業会は今年6月、2024年の受注額と生産額の見通しを今年1月の公表値から400億円引き下げ、いずれも8,600億円とした。設備投資の環境は、一部で回復の兆しを見せているものの、未だ調整局面にある。しかし、生産現場での自動化と省人化への要望は強く、冷めていないのが、今回の取材でも垣間見えた。
昼どきに立ち寄った会場内のフードコートでは、2台の券売機で食券を買い求める長蛇の列があった。食券を買うと次は注文の列、番号が印字された半券を持って次は調理を待つ列に並ぶ。注文した料理を受け取り、空席を探す…と、ここまで20分ほどかかった。厨房では10人ほどが調理し、カウンターでは女性が血相を変え、大声で番号を呼ぶ。「あそことあそこにロボットを入れて、配膳をこう。ドリンクはセルフに変えて、モニター画面で番号を表示したら、最低限必要な人員は……」と、自動化と省人化に向けたプランを妄想する自分がいた。