ニュース

「価値創造で激動の時代を切り拓く」日本金型工業会 総会を開く

 日本金型工業会(会長=山中雅仁 ヤマナカゴーキン社長)が6月3日、ホテル インターコンチネンタル東京ベイ(東京都港区海岸1-16-2)で第14回定時総会を開いた。議事終了後、第二部は講演会が開かれ、スズキ 生産本部 ものづくり推進部 に務める組谷智之 主幹が『「金型熟練者から五感のデジタル伝承」実質、残された時間は5年』をテーマに講演した。総会終了後には懇親会が開かれ、会員企業や関係者らが交流を深めた。
 

「率直な意見交換を」と松岡副会長

 懇親会場であいさつに立った松岡寛高副会長(中部支部長、七宝金型工業社長)は、「総会では事業報告や今後の方針について活発な議論が行われた。懇親会では業界の未来について率直な意見交換をしてほしい。」と呼びかけた。

 松岡副会長は、金型業界について「自動車や家電製品などの製造を支える縁の下の力持ち。」と位置付けた上で、原材料価格の高騰や人手不足など厳しい経営環境に言及。一方で、「日本の金型技術は世界トップレベルであり、海外からも高い信頼と評価を得ている。」と強調した。

 また、DXやAIの活用が進むなか、「現場で培われた職人の勘や経験、微細加工を追求する技術は容易に代替できるものではない。」と述べるとともに、「変化の時代だからこそ企業同士のつながりや情報交換が重要になる。」と語った。

43年にわたり事務局を支えてきた中里専務理事

 続いて、43年にわたり同工業会の事務局を支えてきた中里専務理事が退任のあいさつを行った。

 中里専務理事は、「日本の金型業界はこれまで幾度もの不況を乗り越えてきたが、今後はこれまでとは異なる荒波が待ち受けているかもしれない。新たな時代には新たな船で挑まなければならない。」と述べ、関係者への感謝を伝えた。

 

「挑戦を続け新たな時代を切り拓いていきたい」と山中会長

 最後にあいさつをした山中会長は、業界を取り巻く環境の変化について「かつては顧客企業の成長に合わせて市場も拡大し、仕事も自然と増えていく時代だった」と振り返った。

 その上で、「当時は顧客が次々と椅子を並べてくれる『椅子取りゲーム』のような時代だったが、現在はその椅子自体が減っている。」と表現。「市場が自然に膨張する時代は終わった。これからは各社が自ら価値を創造しなければならない。」と訴えた。

 さらに、「工業会としても様々な活動を進めているが、海外市場への挑戦も重要な選択肢になる。リスクや課題はあるものの、厳しい時代だからこそ挑戦を続け、新たな時代を切り拓いていきたい」と述べ、業界のさらなる発展に期待を寄せた。

 乾杯の発声は牧野フライス製作所の宮崎正太郎社長が行い、参会者は親睦を深めた。

 

 

オーエスジー 両面高送りラジアスカッタシリーズ「PHCW」新発売 

 

 オーエスジーがこのほど、人気製品のインデキサブルツール〝OSG PHOENIXシリーズ〟から、新製品「PHCW」を発売した。

 この製品は、圧倒的な「刃先強度」による高い耐欠損性により、金型の荒加工時間を大幅に短縮する両面高送りラジアスカッタ。多刃ボディにより加工能率を向上し、耐欠損性と低抵抗を両立したインサートにより、加工難易度の高い断続加工や突出しの長い加工においても安定した高能率な荒加工を実現する。

 加えて両面4コーナ仕様を採用することで、優れた経済性を備え、ランニングコストの低減にも貢献。ラインナップは、ストレートシャンクタイプφ16~φ32、ねじ込み式φ16~φ40の2種類。ねじ込み式は専用シャンクホルダとの組み合わせにより、長い突出しが求められる加工にも対応する。

〈特長〉

(1)耐欠損性を向上する大きな疑似R
(2)高豪勢な厚みのあるインサート
(3)低抵抗化を実現する大きなすくい角のブレーカ
(4)ランニングコストを低減する経済的な両面4コーナ仕様
(5)切りくず排出性を向上するオイルホール付きボディ ~加工能率を向上可能にする多刃仕様をラインナップ~

■サイズラインナップ
 PHCW SS ストレートシャンクタイプ:φ16~φ32 6サイズ
 PHCW SF ねじ込みタイプ:φ16~φ32 8サイズ

 

アマダ 回収機を自社製品へ 金属加工機械業界初の循環体制を構築

富士宮事業所

 

 アマダは、板金加工機械の回収・再生ビジネス(リバースビジネス)において、同社の強みである直販・直サービス体制を生かし、マシンの回収から資源化、再調達までを一貫して行う独自の資源循環(サーキュラーエコノミー)の取り組みを6月から本格的に開始した。

 同社は2026年度にスタートした「中期経営計画2030」のサステナビリティ戦略で、サーキュラーエコノミーをマテリアリティ(重要課題)に位置付けている。今回の取り組みは、その具体策の一つとして実施するもので、資源リサイクルパートナー企業および電炉鉄鋼メーカーと連携し、国内における資源循環体制を金属加工機械業界で初めて構築した。

 アマダはこれまでも、下取りなどで回収した自社製マシンを整備し、中古再生機として市場へ供給するリバースビジネスを展開してきた。高品質な整備と全国サービスネットワークによる保守体制を強みに、多くのユーザーから支持を得ている。

 今回、新たに構築した資源循環モデルでは、回収マシンの資源化をさらに高度化した。従来は、保守が困難な旧型機などについて、市場への再流通を避けるためリサイクル資源として処理していたが、今後は自社製品の原材料として再利用することで、回収マシンの資源価値を最大限に生かしていく。

 初年度は年間約1,000トンの鉄資源を調達する計画。同社が再生困難と判断したマシンは、パートナー企業による解体・選別を経て、電炉鉄鋼メーカーの電気炉で高品質な鋼材へと再生される。その鋼材を再び自社製品の製造資材として調達することで、自社製品を原材料として循環利用する資源循環の仕組みを国内で実現した。

 今後は、このモデルを板金加工機械以外の製品にも展開するほか、非鉄金属や周辺機器の資源回収・循環についても検討を進め、アマダグループ全体で持続可能なモノづくりを推進していく方針だ。

■資源循環モデルの概要
・開始時期:2026年6月
・開始エリア:首都圏および東海地域を中心に回収済みマシンから開始(順次拡大予定)
・初年度調達量:年間約1,000トン(鉄資源)
 

2026年5月分工作機械受注総額は1,770.1億円 

 日本工作機械工業会がこのほどまとめた2026年5月分の受注実績は以下の通り。

 2026年5月分工作機械受注総額は、1,770.1億円(前月比△6.3%、前年同期比+37.5%)となった。3カ月連続で1,700億円を超え、歴代では本年3月(1,935億円)、同4月(1,890億円)、2018年3月(1,829億円)に次ぐ4位に相当する。中東情勢が世界経済に影響を及ぼす懸念がある中でも、北米及びアジアでは引き続き需要が旺盛で、日本についても春先以降前向きな動きが広がりつつある。

 先行きは、内需では政策的支援効果、外需では、AI・ロボット関連需要の活況が国際情勢による不透明感を払拭し、さらなる設備需要の伸長が見込まれる。一方、インフレ懸念が設備投資に影響を及ぼす可能性に留意。


受注額の月別推移 
 


(出所:日本工作機械工業会)

5月分内需453.3億円(前月比△8.0% 前年同月比+37.3%)

 内需は前月比で2カ月連続減少(△8.0%)、前年同月比で5カ月連続増加(+37.3%)の453億29百万円となった。上旬に大型連休があり営業日数が少なかったが、3カ月連続で400億円を超えた。

 業種別に見ると、前月比(+89.7%)・前年同月比(+149.6%)と共に大きく伸び、初めて70億円を上回った「航空機・造船・輸送用機械」(72億円)の増加がまず目を惹く。民間航空機のエンジン部品、構造体等で複数のまとまった案件があった他、造船関連も含め、防衛関連の設備投資も含まれていると見られる。「自動車」(93億円)は前月比で4カ月ぶりに減少(△17.1%)したが、前年同月比 (+95.0%)は4月に続いて高く、HV関連を中心に完成車・部品メーカとも春先からの回復傾向が持続している。「一般機械」(145億円)や「電気・精密」(51億円)、金属製品(41億円)では、引き続きデータセンターや発電、半導体製造装置関連等に関する需要の高まりが窺える。

 中小企業のユーザにおいては、年央に採択が予定される省エネ補助金への関心が感じられるが、全体的に繁忙感が高まる中で、補助金を待たず早めに設備投資に踏み切る動きも一部に窺える。

 ・⼀般機械は、需要が⼀進⼀退で推移も、前年同期比よりやや高い水準(26年平均は150億円)。
 ・建設機械は3カ月ぶりの10億円割れも、海外需要を受けて引き続き堅調に推移。
 ・⾦型は、2カ⽉ぶりの15億円超えと堅調に推移、半導体製造装置関連でも積極的な投資が窺える。
 ・⾃動⾞向けは、前月比で4カ月ぶりに減少も、前年同月比は2カ月連続で90%を超え好調が続く。
 ・自動車部品、完成車ともに前年同月比の伸びが大きく、今後に期待。
 ・ICE関連投資がここ数ヶ月持続しており、25年平均の73億円を一段高いレベルに押し上げている。


(出所:日本工作機械工業会)

5月分外需 1316.8億円8前月比△5.7% 前年同月比+37.6%)


(出所:日本工作機械工業会)


 外需は、前月比で2カ月連続減少(▲5.7%)、前年同月比で+37.6%(20カ月連続増加)の1,316億77百万円となった。外需は昨年12月以降の各月が歴代1~6位を占めるなど歴史的な高水準で推移しており、5月の受注額は3位に相当する。

 主な地域別にみると、北米(374億円)は「一般機械」(125億円)が12カ月ぶりに120億円を超えたほか、「航空機・造船・輸送用機械」(76億円)も高水準での受注が継続、3カ月ぶりに400億円を下回ったものの、引き続き好調が持続している。

 欧州(168億円)は「商社・代理店」(23億円)が前月比で4割強減少するなど全体的に軟調で、3カ月ぶりに200億円を下回った。アジア(750億円)も前月比で3カ月ぶりに減少したが▲1.6%と僅少で、3カ月連続で750億円を上回るなど活況が続いている。「一般機械」(230億円)は前月比で5カ月ぶりに減少したものの3カ月連続で200億円超の水準が持続、「電気・精密」(210億円)は、中国の他、台湾やベトナムでも特需があり、3カ月連続で200億円を超えた。また「自動車」(209億円)は中国での受注増加が著しく、初めて200億円を超えた。

 ・⼀般機械は、前月比、前年同月比ともに5カ月連続増加、2カ月連続の400億円超え。
 ・⾃動⾞は、前⽉⽐で2カ月連続減少も、前年同⽉⽐では16カ⽉連続増加し、3カ⽉連続250億円超え。
 ・電気・精密は、前月比で2カ月連続減少も、前年同月比では7カ月連続増加し、3カ月連続250億円超えと高い水準で推移。
 ・航空・造船・輸送⽤機械は、前月比3カ月ぶり減少も、前年同月比では3カ月連続増加で、2カ月連続の100億円超えと高い水準で推移。

① アジア
アジア計は、3カ月連続750億円超え、750.3億円
 ・東アジアは、7カ⽉連続400億円超え、先⽉次ぐ歴代2位の581.6億円。
 ・中国は、7カ⽉連続350億円超え、歴代3位の512.5億円。
 ・その他アジアは13カ⽉連続の100億円超え
 ・インドは前⽉⽐で2カ⽉連続⼤きく減少も、前年同⽉⽐では25%超の増加と堅調な推移

② 欧州
欧州計は、3カ月ぶりの200億円割れ
 ・ドイツは、3カ月ぶりの40億円割れ
 ・イタリアは、3カ月連続の25億円超え
③ 北米
北米計は、歴代4番目の373.6億円
 ・メキシコは、5カ⽉ぶりの30億円超え


 


(出所:日本工作機械工業会)

今後の見通し

 6月上旬に会員企業を対象に実施した、本年第3四半期に関する受注動向見通し調査のDI値が+8.7ptと増加するなど、年後半も高水準での受注が見込まれる。

 設備投資の周辺環境を見渡すと、恒常的に自動化・高効率化、環境対応に関する需要が見られ、長らく設備投資を抑制してきたユーザを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。その上で、技術革新に対応するための投資、様々な動機から生産拠点を見直す動きが強力なドライバーとなり、これまで抑制されていた反動もあって、設備投資の大きな流れを生み出しつつある。

 全体的に見て、データセンターや半導体製造装置に関する需要が、多くの地域で目につく。更に地域別に見ると、北米は、ジョブショップ、エネルギー、建設機械、自動車、航空・宇宙関連等で、引き続きハイレベルな需要の喚起が見込まれる。

 アジアは、中国で引き続き、輸出向け自動車、通信機器、発電、ロボット等で需要の更なる高まり或いは高原状態の持続が予想される他、インドも高水準での受注推移、その他の国・地域でも生産拠点の分散化を図る動きが見込まれる。内需(日本)は、自動車関連需要が今後も持続的に増加した場合、「一般機械」など他分野での設備投資にも波及していくものと期待される。

 こうした状況を踏まえ、坂元繁友会長は、当会第17回定時総会後に催した懇親会(6月5日)での冒頭挨拶にて、2026年の受注見通しを年初に表明した1兆7,000億円から2兆円に改めた旨を表明した一方で、国際情勢を受けた調達事情の悪化やインフレが設備投資に影響を及ぼす可能性があり、今後も状況の推移を注視していく。

2026年の工作機械受注修正見通し 

受注総額を2兆円に上方修正(前年実績比:+24.7% 2026年6月5日公表)


 ・年初見通し(2026年1月8日公表)の17,000億円を2割弱の上方修正。
 ・受注総額は2年連続増加し、過去最高額が視野に入る。
 

日本機械工具工業会 2026年5月分 会員統計生産額まとまる 

 日本機械工具工業会がこのほどまとめた2026年5月分の機械工具生産額は次のとおり。〈( )内は対前年比〉。■生産額 切削工具 388.4億円(113%)、耐摩耗工具 44.2億円(138%)、総合計 441.9億円(115%)。■ドリル生産額 特殊鋼工具 13.2億円(111%)、超硬工具 47.8億円(116%)、ダイヤ・CBN 0.9億円(100%)、総合計 62億円(115%)。■エンドミル生産額 特殊鋼工具 4.4億円(105%)、超硬工具 38億円(104%)、ダイヤ・CBN 1.5億円(115%)、総合計 43.9億円(105%)。■カッタ生産額 特殊鋼工具 1.2億円(81%)、超硬工具 6.7億円(126%)、ダイヤ・CBN 0.4億円(94%)、総合計 8.3億円(115%)。■ギヤカッタ生産額 総合計 5.6億円(113%)。■ブローチ生産額 総合計 7.7億円(110%)。■ねじ加工工具生産額 特殊鋼工具 31.3億円(105%)、超硬工具 4億円(120%)、総合計 35.3億円(106%)。■バイト生産額 特殊鋼工具 0.1億円(123%)、超硬工具 8.6億円(95%)、総合計 8.7億円(95%)。■リーマ生産額 特殊鋼工具 1.1億円(103%)、超硬工具 2.6億円(123%)、総合計 3.7億円(117%)。■鋸刃カッタ生産額 特殊鋼工具 1.3億円(99%)、超硬工具 0.5億円(97%)、総合計 1.7億円(98%)。■インサート生産額 超硬工具 149.6億円(112%)、ダイヤ・CBN 21.1億円(108%)、総合計 170.7億円(112%)。■ボディ関係生産額 総合計 14.8億円(95%)。■超硬合金生産額 切削用 136.1億円(123%)、耐摩耐触用 24億円(161%)、総合計 162.7億円(127%)。  

経産省・2026年4月度機械統計 機械工具生産動態調査

経済産業省の2026年4月度 機械工具生産動態調査(機械統計)は以下のとおり。

 

*機械工具(機械統計)との差はダイヤモンド工具のダイヤモンドドレッサー、グライディングホイール、カッティングソー、セグメント工具、その他ダイヤモンド工具。
 *耐摩工具の一部はその他超硬工具に含まれる。
(表出所:日本機械工具工業会)
 

マザック財団 研究助成・優秀論文表彰・国際会議助成の対象が決定 表彰式を開く

 マザック財団(理事長=片瀬裕文氏)は5月26日、2025事業年度(2025年4月~2026年3月)の研究助成・優秀論文表彰・国際会議助成の対象が決定したことに伴い、ヤマザキマザックマニュファクチャリング 美濃加茂製作所 第一工業 ワールドテクノロジーセンタ(岐阜県美濃加茂市)で表彰式を開いた。

 今回は2025年9月1日~11月30日の募集期間に大学や研究機関などからの応募を受け付け、審査を得て研究助成21件を研究対象に選定した。下記に代表例を示す。

 

〈研究助成〉
 ・申請総数39件の中から21件を選定。

■代表例:東京大学 准教授 道畑正岐
 ・研究テーマ
 「プログラマブル光周波数コムと〝点〟-〝面〟次元変換原理を用いた高精度空間位置計測原理の研究」

 【内容】パルス光を用いた三次元の空間位置を計測するシステムを開発する研究で、まず空間的に周期的な光のパルス列を形成するプログラマブル光周波数コムを開発し、光周波数コムが形成した光を、測定光と参照光に分岐する。測定光は高精度な角度制御により吸収型ターゲットに向けて照射され、測定光が吸収型ターゲットに入社すると、参照光と位相を比較し、測定光の距離を計算する。その際、測定光の照射角度と距離から三次元位置を高精度に導く。

〈優秀論文表彰〉
・応募総数23件の中から18件を優秀論文表彰に選定

■優秀論文特別賞:東京農工大学 准教授 大和 駿太郎
・論文のテーマ
「Cutting force reconstruction in milling by multi-sensor fusion with hybrid aid of process and data-driven models」
(日本語訳:プロセスモデルとデータ駆動型モデルをハイブリッドに活用するマルチセンサー融合のミリング加工切削力再構築)

【内容】これまでの切削力推定方法は、機械学習で切削力の波形そのものを学習させるもので、様々な加工条件における大量の教師データが必要であった。そこで本研究では、切削シミュレータを活用することで学習データが限られている場合でも、様々な切削状況に対する汎用性を備えた機械学習モデルを効率的に構築でき、さらに複数センサーからのデータを統合することで、機械学習モデルの精度とロバスト性が容易に向上することを提案し、小型マシニングセンタで実証した。

〈国際会議助成〉
 ・4件の申請の中から、3件を国際会議助成対象に選定。

 表彰式では、ヤマザキマザック 清水紀彦副会長から歓迎のあいさつがあった。

 清水副会長は、同財団が1981年の設立以来45年にわたり、生産システムに関する研究への助成や協力を通じて世界のものづくりを支援してきたと説明。そのうえで、「今年度は研究開発助成として21人を採択し、このうち8人が初めての助成となった。切削、研削、ロボットをはじめ幅広い分野から応募が寄せられた」と述べた。

 また、優秀論文賞については18人を表彰したとし、「今回も若手研究者から多くの応募があり、AM(アディティブ・マニュファクチャリング)関連を含む多彩な研究テーマが集まった。生産加工分野における研究の深化と広がりを実感している」と語った。

 さらに、国際会議助成については3件の国際会議を支援したことを述べ、今後も研究者の活動を積極的に後押ししていく姿勢を示した。

 表彰式を終了後、場所を移してクレセントバレーカントリークラブにて交流会が開かれ、懇親を深めた。
 

「フィジカルAIが市場拡大の追い風に」日本ロボット工業会が従業員功労表彰式および通常総会を開く 

あいさつをする小川新副会長

 日本ロボット工業会が5月29日、東京プリンスホテル(東京都港区芝公園)で、従業員功労表彰式および通常総会を開いた。今回は改選期にあたり、安川電機の小川昌寛副会長が第28代会長として就任した。

 総会終了後の懇親会に先立ち従業員表彰が行われた。従業員功労表彰は、①技術開発や研究開発を通じ、自社の業績向上などにとどまらず、ロボット関連産業の発展に成果を上げた方、②長年にわたる、ロボット生産現場、ロボットシステムの構想、設計、製造、販売及び全てのロボット産業に関わる職務を通じて自社のみならずロボット関連産業の発展に成果を上げた方、③団体業務に長年にわたり協力し、その運営に著しく貢献した方ーーーを対象にした表彰制度で、今回は、14名が表彰された。

表彰式の様子

 懇親会であいさつに立った小川会長は、「中東情勢の緊迫化や地政学的分断、貿易摩擦の再燃などにより、世界経済の先行き不透明感が高まっている。」との認識を示した一方で、2025年の国内ロボット産業については、「米国の関税政策を巡る不透明感があったものの、受注額が前年比25.7%増の1兆456億円、生産額が同21.0%増の9452億円となり、当初の見通しを大きく上回る結果となった。」と報告した。

 2026年の市場見通しについては、中東情勢の悪化に伴うエネルギー関連の供給不安や保護主義の拡大など懸念材料があるとしながらも、「フィジカルAIへの世界的な関心の高まりを背景に、半導体や電子機器分野での大型投資による需要回復が期待される。」とし、加えて、「幅広い産業分野で続く自動化投資需要や政府の政策効果も追い風になる。」との見方を示した。

 その結果、2026年の受注額は前年比16.7%増の1兆2200億円、生産額は同11.2%増の1兆500億円を見込んでいるという。

 また、同工業会では、市場拡大に向けた取り組みやイノベーションの加速、国際標準化の推進、国際協調・協力の強化を重点施策に掲げ、業界のさらなる活性化に取り組む方針を示した。

 さらに、政府が3月に公表したAI戦略に触れ、「AIロボティクス」が社会課題の解決や産業競争力の強化、経済安全保障への貢献、市場拡大を担う重要分野として位置付けられたことを紹介。そのうえで、「本戦略の策定を好機と捉え、本年度は『AIロボティクス産業ネットワークの構築』をテーマに、政府や関係機関との連携を強化しながら、具体的な課題にスピード感を持って取り組んでいく。」と意欲を示した。

 続いて来賓を代表し、経済産業省製造産業局の田中一成審議官があいさつした。

あいさつをする経済産業省 田中審議官

 田中審議官は、「中東情勢をはじめとする国際情勢の不確実性が高まっている。」との認識を示したうえで、「政府の使命は、エネルギーや原材料の安定供給を確保し、国民生活や経済活動への影響を最小限に抑えることだ」と述べた。

 また、ナフサなどの石油化学製品については「国内で必要量を確保している一方、一部で供給の偏在や物流の停滞が生じている。」と指摘。「こうした課題の解決に向け、政府として最大限取り組んでいる」と説明した。

 さらに、「人手不足の深刻化や自動化ニーズの拡大を背景に、ロボット産業への期待が一段と高まっている。」と強調。世界的に開発が加速するフィジカルAIについて、「ロボットのティーチレス化や多品種少量生産への対応を可能にし、これまで自動化が進みにくかったロングテール領域での活用拡大が期待される」と述べた。

 こうした動向を踏まえ、政府が策定・公表した「AIロボティクス戦略」にも言及。「AIロボティクス分野で米国、中国に並ぶ第三極となり、世界シェア3割超の獲得を通じて2040年に20兆円規模の産業創出を目指す。」と目標を示した。

 そのうえで、「戦略の実現には業界との連携が不可欠だ。引き続き関係者の協力を得ながら取り組みを進めていきたい。」と述べ、ロボット産業への期待を示した。

 乾杯の発声は山口賢治副会長(ファナック社長)が行い、参会者は親睦を深めた。