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タンガロイ 焼き入れ鋼旋削加工用セラミック「LX10」材種とヘッド交換式ドリル「DrillMeister」シリーズ 汎用ヘッドDMPφ6.0~25.9mmにAH9130材種を追加
タンガロイがこのほど、焼き入れ鋼旋削加工用セラミック「LX10」材種とヘッド交換式ドリル「DrillMeister」シリーズの汎用ヘッドDMPφ6.0~25.9mmにAH9130材種を追加した。
焼入れ鋼加工用セラミック「LX10」材種
セラミック材種は、CBNよりも安価で、超硬合金よりも硬度が高く耐摩耗性に優れていることから、焼入れ鋼の旋削加工用工具の一つの選択肢として使用されている。今回、同社では、酸化アルミニウム(アルミナ)にTiCNを添加し、より曲げ強度を高めた焼入れ鋼加工用セラミック「LX10」材種を発売した。
セラミックは靭性が低く、一般的には主に連続加工に使用されるが、「LX10」材種は、微粒の結晶を高密度に焼結することで耐欠損性も向上している。
インサートの単価メリットに加え、中切削速度領域(50-150m/min)でのHRC55以下の焼入れ鋼旋削加工においてCBNよりも優れた耐摩耗性を発揮し長寿命を実現するセラミック「LX10」材種と、焼入れ鋼の200 m/min以上での高速旋削加工を実現するCBNのラインナップで、加工内容に合わせた工具選択が可能になる。
■主な形番、標準価格
・CNGA120408 LX10: 940円
・RNGN120400 LX10:890円
・TPGN160308 LX10:1,050円
(いずれも税抜価格)
ヘッド交換式ドリル「DrillMeister」シリーズ 汎用ヘッドDMPφ6.0~25.9mmにAH9130材種を追加
ヘッド交換式ドリル「DrillMeister(ドリル・マイスター)」シリーズの汎用型ヘッドDMPの工具径φ6.0~25.9mmに、耐摩耗性を強化したPVDコーティング材種AH9130を追加した。φ6.0~9.9mmは本年7月30日に販売をスタートしたが、φ10.0~25.9mmは8月30日より全国で発売を開始する。
「DrillMeister」シリーズは、超硬ソリッドドリルの切削性能と刃先交換式ドリルの利便性を兼ね備えた画期的なヘッド交換式ドリル。汎用性の高いDMPヘッドをはじめ、高精度加工用ヘッドDMC、刃先強化型ヘッドDMH、座繰り穴加工用ヘッドDMF、非鉄金属加工用ヘッドDMN の5種類のヘッドをラインナップし、工具径はφ6.0~φ25.9mmをカバーしている。
DMPヘッドは140度の先端角を持ち、ソリッドドリルのような切れ刃と溝形状で、幅広い被削材に対して安定した切りくず処理性能を示している。今回は、汎用ヘッドDMPに耐摩耗性を強化したAH9130材種を工具径φ6.0~25.9mmにも追加拡充した。
AH9130材種は、穴あけ加工用に最適化された最新PVDコーティング材種。従来の第一推奨材種AH725に比べ耐摩耗性が非常に優れており、特に炭素鋼、合金鋼の加工に驚異的な寿命性能を発揮する。
このAH9130材種を汎用ヘッドDMPにラインナップすることで、鋼の様々な穴あけ加工に対して選択肢を増やし、その中から最も長寿命で最適な工具を選ぶことができる。
■主な形番、標準価格
・DMP068 AH9130:8,090円
・DMP146 AH9130:9,050円
・DMP259 AH9130:18,300円
(いずれも税抜き価格)
DMG森精機 4000本大容量工具マガジン「CTS(セントラルツールストレージ)」を開発
DMG森精機がこのほど、多品種生産の自動化に最適な4000本大容量工具マガジン「CTS(Central Tool Storage:セントラルツールストレージ)」を開発した。これにより、工作機械技術の進歩とともに量産加工だけでなく、多品種生産の自動化が可能となった。
近年、労働人口の減少や生産形態の多様化に伴い、多品種生産の自動化へのニーズがより高まっている。さまざまな形状を加工する多品種生産では、加工形状に応じて多種多様な工具が必要となるが、使用する工作機械ごとに工具登録や工具交換などの段取り作業や、工具寿命の管理を行う必要があり、自動化システムの課題の1つとなっている。
このような時流を受けて同社が開発した「CTS」は、ラック型の工具マガジンを備え、搬送ロボットが各工作機械の工具マガジンに工具の搬入・搬出を行う自動化システム。
CTS 操作盤で工具情報の一元管理を行い、加工計画と連携した工具の搬送を行うことで、計画通りの生産を実現する。
使用する工具を「TSS(ツールセットアップステーション)」に搬入すると、ロボットが自動で工作機械のマガジンに工具を搬送するため、加工を停止することなく、工具の段取り作業を行うことができる。モジュール方式を採用したラック型の工具マガジンには、1モジュールあたり最大400本の工具が収納可能。工具マガジンの数やシステム構成など、顧客の様々な生産形態に合わせて柔軟なレイアウト設計を実現する。また、工作機械の上部に設置するガントリ構造により、省スペースで導入可能である。
同社では、「近年、自動化システムの需要が高まっており、今後さらに効率的な運用、管理が必要になると考えています。当社の自動化システムは、ワークを直接把握して搬送する“ワークハンドリング”、ワークをパレットごと搬送する“パレットハンドリング”をラインアップしていますが、今回新たにCTSを開発したことで、工具を搬送する“ツールハンドリング”も加わり、自動化システムのさらなる生産性向上を強力にサポートします。」としている。
↓Webサイトに動画を公開している。↓
https://www.dmgmori.co.jp/movie_library/movie/id=5780
主な特長
■加工に合わせてジャストインタイムで工具を搬送
・工具の寿命切れなく、計画通りの生産を実現。
・柔軟な工作機械の選択による稼働率、リードタイムの向上。
・工作機械のメンテナンスの際、他の工作機械に切り替えて生産を継続。
・工作機械間の工具共用によるコストの低減。
■導入時に柔軟なレイアウト設計が可能なモジュール方式を採用。導入後も用途に合わせて拡張やレイアウト変更が可能
■ガントリ構造により、フロア設置方式と比べて約22%の省スペースを実現
■1モジュールあたり最大400本(#40仕様)の工具を収納可能
■60本の工具を一度に搬入・搬出できるTSS(ツールセットアップステーション)を搭載
・TSSから自動でCTSマガジンや機械に工具を搬送。
・TSS工具着脱作業の自動化により、作業効率を向上。
・工具逆挿し検知機能により、作業者による工具着脱ミスを防止。
■ポット搬送システムにより、異なるツールシャンク規格を混在させた運用が可能(特許出願済)
・対応ツールシャンク: HSK、BT、CAT、DIN、CAPTO、KM
■ビジョンセンサを用いたクイックセットアップ
・手動では12日以上かかる工具のティーチング作業を1日で完了。(工具4000本を1シフト8時間の3交代シフト、工具1本あたりのティーチング時間を5分とした場合)
■ビジョンカメラによるモニタリング機能。
・工具の有無をビジョンカメラで毎回確認し、工具の2度置きによる事故を防止。
・工場の温度変化によるレールの伸びをビジョンカメラで監視し、定期的に位置補正(特許出願済)。
■工具搬送ロボットにエアブロー装置を標準装備し、工具の格納時にクリーニングして切りくずを除去(特許出願済)。
■工場全体で使用する工具の保管庫としても使用可能
■顧客の工具管理ソフトと連携して、工場内の工具情報を一元管理
■操作盤2台を使ったリアルタイムバックアップにより、工具データベースの破損を半日で復旧可能
ジェイテクトが日立ソリューションズと協業 生産計画ソリューション「SynPLA」と連携
ジェイテクトは、IoEソリューション強化と顧客の付加価値向上を目的とし、かねてより日立ソリューションズと協業を推進してきたが、このほど日立ソリューションズグループの生産計画ソリューションである「SynPLA」との連携を開始した。
「SynPLA」は、製造現場が実現可能な生産日程計画を立案するための多彩なスケジューリングロジックを搭載したパッケージソフトウェア。今回の連携により、SynPLA利用企業は、ジェイテクトの稼働アップNaviシリーズを導入することで簡単に実績データを取得し、SynPLA上で最適な生産スケジュールを行えるようになる。同様にIoEソリューション利用企業は、SynPLAを導入することで、設備や作業員の実績情報を活用した生産スケジュールを行えるようになった。
ジェイテクトと日立ソリューションズは、運用技術(OT)と情報技術(IT)を融合したスマートファクトリーの領域で協業を合意し、2019年12月から協創活動を進めてきた。
なお、「SynPLA」は日立ソリューションズ東日本の商標。
コマツ 東南アジア地域に油圧ショベルCEシリーズ「PC200-10M0」を新発売
コマツはこのほど、東南アジア地域に宅地開発や道路工事などの都市土木作業向けCEシリーズの20トン油圧ショベル「PC200-10M0」の販売を開始した。インドネシアおよびタイを皮切りに導入を進め、標準シリーズ「PC210-10M0」とあわせ、2機種を東南アジアにおける2モデルライン戦略と位置づけ商品展開する。
CEシリーズ「PC200-10M0」は、従来機の品質と耐久性を継承しつつも、エンジンを4気筒にするなど都市土木等の作業に特化して仕様を最適化することにより、低燃費化および本体価格を低く抑えることを実現した。競争力のある商品を展開することで中期経営計画の重点活動の一つである「アジアダントツNo.1」を目指す。
DMG森精機 業績予想再度増額修正・増配予定!
DMG森精機(社長=森 雅彦氏)は、8月5日、オンデマンド配信で2021年上半期(1月~6月)の連結決算を発表し、会見を開いた。
同社グループの当上半期の業績は、売上収益1,782億円(前年同期比16%増)、営業利益102億円(同4.2倍増)、営業利益率5.7%(前年同期1.6%)と大幅に改善した。また、連結受注額は2,184億円(前年同期比61%増)となった。これは同社が強みとする5軸加工機、複合加工機などの工程集約機に加え、周辺装置、ソフトウエアを組み込んだ自動化、フルターンキー需要の増加によるものだ。なお、機械本体の受注残高は、2020年12月末の960億円から2021年6月末には1,420億円と460億円増加した。
受注動向で注目すべきは、当第2四半期(3カ月間)の連結受注高が1,170億円と前年同期比2倍増になったことだ。これを地域別でみると、国内が前年同期比66%増、欧州が同3.2倍増、米州が同67%増、中国が同71%増、アジアが同74%増となった。ちなみに、海外の地域別受注比率は、欧州が53%(同45%)、米州が18%(同24%)、中国が12%(同10%)、アジアが6%(同7%)と欧州の回復が顕著となった。
産業別では、半導体製造装置・通信関連、EV関連部品、宇宙、医療機器、金型、脱炭素に絡む超精密部品など工作機械の需要増は広範囲にわたっている。民間航空機向け需要についてもようやく引合いが出はじめ、ほぼ下げ止まった。
今年度の見通しについては、受注は世界市場でエネルギー、内燃系自動車関連を除くほぼ全産業に広がっていること、中小企業向け需要も拡大していることなどから、当面、好調に推移するものと期待し、受注見通しを4,000億円から4,200億円、売上収益を3,450億円から3,650億円、営業利益を140億円から200億円、税引前当期利益を95億円から165億円、親会社の所有者に帰属する当期利益60億円から110億円、普通株主に帰属する当期利益39億円から89億円に再度上方修正した。また、年度配当金も増額予定であるという。
アストロスケール 経済産業省より宇宙船外汎用作業ロボットアーム・ハンド技術開発を受託
アストロスケールホールディングスの子会社で人工衛星の製造・開発を担うアストロスケールはこのほど、経済産業省より、令和2年度補正宇宙開発利用推進研究開発(宇宙船外汎用作業ロボットアーム・ハンド技術開発)を受託した。
人工衛星の寿命延長や燃料補給を含む「軌道上サービス」は、衛星運用コストの削減やデブリ発生抑止などの観点より、世界的に需要の拡大が見込まれている。同サービスの提供には、複雑な作業が多数必要であり、遂行のための宇宙船外汎用作業ロボットアーム・ハンドの技術は、軌道上サービスの中核をなす要素技術でもある。米国政府が主導する月面探査・拠点建設活動(アルテミス計画)における要素技術としての波及も期待されている。
受託契約は令和2年度配分額として最大2.7億円を予算に、軌道上や月面の船外環境で複雑な作業を自律的に遂行できる、宇宙船外汎用作業ロボットアーム・ハンド技術の開発を支援するもの。アストロスケールを含む二社が採択され、具体的には、①汎用作業ロボットアーム・ハンド技術、②高度かつ低負荷な自律制御技術、③ロボット手先の転換を可能とするインターフェイス技術を含むロボットシステムの研究開発を3カ年度以内に行い、④軌道上サービスの市場動向や標準化動向等を継続的に把握・分析し、開発計画に反映させるとともに、開発成果を標準化活動機関へインプットすることを主な内容としている。
2021年4~6月期 ロボット統計受注・生産・出荷実績まとまる 日本ロボット工業会
日本ロボット工業会がこのほどまとめた2021年4~6月期のロボット統計受注・生産・出荷実績は次のとおり。
■業況
2021年4~6月期は、受注額が対前年同期比56.5%の増加、生産額が32.7%の増加と、それぞれ前年同期を大きく上回り、四半期として過去最高となった。
出荷実績をみると、国内向けは自動車製造業向け中心に依然勢いは弱いものの、一部業種、用途で下げ止まり傾向を示し、需要回復が遅れる国内向けに一定の期待を持たせる結果となった。輸出は、引き続き中国向け中心にアジア向けで好調、欧米向けも回復基調となった。出荷額における輸出比率は8割を超えた。実装用は昨年からの大幅な需要増が主要国向け全体で継続しており、溶接用も地域差あるものの、大幅に増加した。
一部過熱感が懸念され、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響や地政学的リスクなど、先行きに依然不透明さが漂うものの、中国向けが需要を強く牽引する構図が継続している。受注・生産・出荷の各状況は以下の通り。
1.受注
・受注台数:71,650(台)(前年同期比+59.9%) 【3四半期連続の増加】
・受注額 :2,502(億円)(同+56.5%) 【4四半期連続の増加】
2.生産
・生産台数:59,457(台)(前年同期比+37.4%) 【3四半期連続の増加】
・生産額 :2,098(億円)(同+32.7%) 【3四半期連続の増加】
3.出荷
・総出荷台数:59,693(台)(前年同期比+34.8%)【3四半期連続の増加】
・総出荷額 :2,089(億円)(同+31.6%) 【3四半期連続の増加】
-国内出荷台数: 9,021(台)(同+21.8%) 【9四半期ぶりの増加】
-国内出荷額 : 389(億円)(同+12.4%) 【7四半期ぶりの増加】
-輸出台数 : 50,672(台)(同+37.4%) 【3四半期連続の増加】
-輸 出 額 : 1,700(億円)(同+36.9%) 【3四半期連続の増加】
3.1 国内出荷内訳
電気機械製造業向け
・国内出荷台数:2,975(台)(前年同期比+57.5%)【2四半期連続の増加】
・国内出荷額 :123(億円)(同+39.6%) 【7四半期ぶりの増加】
自動車製造業向け
・国内出荷台数:2,477(台)(前年同期比▲1.8%)【7四半期連続の減少】
・国内出荷額 :111(億円)(同+0.0%) 【7四半期ぶりの増加】
3.2 輸出内訳
電子部品実装用
・輸出台数: 5,363(台)(前年同期比+40.0%【6四半期連続の増加】
・輸出額 : 776(億円)同+35.3%) 【6四半期連続の増加】
溶接用
・輸出台数: 10,076(台)(前年同期比+59.3%)【3四半期連続の増加】
・輸出額 : 190(億円)(同+34.5%) 【3四半期連続の増加】
日本建設機械工業会 2021年6月度建設機械出荷金額統計まとまる
日本建設機械工業会がこのほどまとめた2021年6月度建設機械出荷金額は次のとおり。
6月の建設機械出荷金額は、内需は1.6%増加の818億円、外需は67.4%増加の1,624億円となった。その結果、内需は2カ月連続の増加、外需は8カ月連続の増加となった。総合計では37.6%増加の2,442億円となり、8カ月連続の増加となった。
内需について機種別にみると、トラクタ8.5%増加の81億円、ミニショベル9.7%増加の87億円、コンクリート機械58.2%増加の28億円、油圧ブレーカ・圧砕機22.1%増加の20億円、その他建設機械3.5%増加の62億円の5機種と補給部品0.4%増加の113億円が増加し、内需全体では1.6%の増加となった。
外需について機種別にみると、トラクタ61.2%増加の174億円、油圧ショベル96.1%増加の676億円、ミニショベル63.2%増加の283億円、道路機械180.9%増加の38億円、コンクリート機械29.3%増加の1億円、基礎機械35.0%増加の3億円、油圧ブレーカ・圧砕機81.1%増加の9億円、その他建設機械58.0%増加の191億円の8機種と補給部品36.8%増加の189億円が増加した。
地域別にみると、オセアニアが11カ月連続の増加、欧州が9カ月連続で増加、北米が6カ月連続で増加するなど8地域で増加し、外需全体では67.4%の増加となった。
新生MOLDINOの展望を報告 「MOLDINO Vision2021」を開催
去る6月22日、MOLDINO(社長=鶴巻二三男氏)が、オンラインで業績報告会「MOLDINO Vision2021」を開催した。同社は昨年4月、三菱日立ツールからMOLDINOに社名を変更し、コロナウイルス感染拡大の影響により業績報告会を実施することができなかったが、今年は新生MOLDINOの展望を報告する運びとなった。
鶴巻社長から、社長就任のあいさつと経営方針の報告があった。この中で鶴巻社長は、「一変した世の中、コミュニケーションに対して試行錯誤の中、以前から人を大切に、人間関係を基軸に考えている当社の姿勢は変わらず、より皆様と深く結びついていきたいと考えている。昨年4月に新社名でスタートしたが、皆様方からこの社名とブランドに一刻も早くなじんで頂きたいという気持がある。」と思いを述べた。
業績についての説明では、「昨年度は前半に新型コロナウイルスの波をかぶったが、後半の回復で前年比、大幅な減販減益であるものの、売上高163億円、経常利益10億円を確保した。」とした。また、魚津工場の再稼働、復活について触れ、「主力の成田、野洲の両工場に加え、最近の設備投資や自動化設備などで両工場がかなり手狭になっており、将来の事業展開や、メイド・イン・ジャパンへのこだわりを考え、魚津工場の再稼働に至った。最新の空調システムや加工高精度安定化に向けた新しい工場となっている。」と説明した。
次に、三菱マテリアルグループが全員の価値基準、行動判断の優先順位として全社員に浸透を図っている「SCQDE」について説明があった。これは、〝安全と健康は全てに優先する〟を基軸にコンプライアンスや品質管理等を徹底して、意識付けを優先していくもので、「グループ全体、会社全体にて優先順位の意識付けを徹底している。」と強調した。
また、開発商品力や商品の性能を高め、コスト競争力や製造業としての体力強化を徹底するとしたうえで、「納期遵守と供給責任を果たしていく。」との姿勢を示した。
「顧客価値創造を徹底的に追求していく」
後藤 治 営業本部長から営業本部の方針について報告があった。これによると、足元の4月、5月の受注において、2019年のコロナ禍前とほぼ同等の受注を確保する見込みとした。国内外の比率については、現状では国内45%、海外55%の受注比率となった。また、「超硬ドリル、インサート、超硬エンドミルは順調に推移している。」と述べ、海外受注については、「ヨーロッパと中国の2つのエリアが海外受注の大きな柱となっている。」とした。
21年度営業本部方針では、先述のSCQDEの徹底を挙げ、「安全、法令、質にこだわった営業を積極展開し、ウェビナー、ウィズコロナの〝顧客接点ミックス〟を徹底追求する。皆様と寄り添い、課題を共有し、課題解決に展開する。顧客価値創造をわれわれは徹底的に追求したいと考えている。」と強調した。
また、日本のものづくり力強化についても触れ、「切削工具を学ぶ機会を若者にも分かりやすく提供し日本力強化に傾注していきたい。」と述べた。
続いて、国内営業部の活動や取り組みについて、小桜一孝 国内営業部長から説明があった。これによると、国内営業部は、これまで国内、東部、中部、西部3つのグループに区分けをしていたが、東日本ブロック、西日本ブロック2つへ改編した。決済や判断の迅速化を図るのが狙い。また、緊急事態宣言などの際でも、商品の供給、顧客との関わりを途絶えないようにするため、業務サポートグループを新設した。
木野晴喜 ソリューション営業部長が、MOLDINOカスタマーサポートについて説明をした。この中で業界を取り巻く状況に触れ、「グローバル市場の対応に向け、さらなるコストダウンを進める必要がある。人材不足、働き方改革、それぞれによる制約がのしかかっている状況の中、お客様は生産性効率の向上、無駄の排除、アウトプットの向上などを実現していくためにも加工の全体最適化を進めなければならない。」と述べた。
同社では、加工全体での改善取り組みを推進しているが、設計、CAM、加工、磨き、組み付け、出荷、メンテナンス、修繕に至るまで、切削加工だけでなく、全体を視野に入れた『PRODUCTION50』の考えに基づいて、トータルの加工改善に取り組んでいる。これは、同社の最新かつ最適な工具と加工方法によってトータルの製造費削減を目指すことを目的としている。また、このコンセプトの中に『Hi-Pre2』のメソッドがあるが、これは後工程の工数削減を考慮した全体最適の加工方法を検討していくというもの。
磨きや調整の時間を短縮するためには、高精度な仕上げ、高品位な加工面を実現し、高精度な荒加工、中仕上げを行う。これらをトータルコーディネートすることによって、全体の工数を削減していくことを狙いとしている。
牧野フライス製作所 KDDI5GとAWS Wavelengthを使い5G ネットワークを構築
牧野フライス製作所はこのほど、被切削物、工具、電極などの積載・搬送、作業の自動化により工場の自動化を推進する同社で開発した製造支援モバイルロボット「iAssist」を安定的、効率的に運用するため、事業所内5Gネットワークを構築すると発表した。
これにより、通信キャリアKDDIが提供する5Gサービス(以下「KDDI5G」)とAmazon Web Services(AWS)が提供するAWS Wavelengthを利用することにより、iAssistに求められる先進的な超低遅延アプリケーションを実現するだけでなく、5Gに必要な設備を自社で用意する「ローカル5G」と比較して大幅に高いコストパフォーマンスを達成する。なお、AWS Wavelengthとは、KDDI5G網内に構築したAWSのインフラストラクチャで、iAssistなどのIoTデバイスがインターネットを介さずKDDI5G 網から直接AWS Wavelength 上の仮想サーバにアクセス出来るため、超低遅延が実現するものである。5G ネットワークは本年12 月に完成予定としている。
5G ネットワークの構成は下図の通り。
12月からiAssistの運用環境をAWS Wavelength上に構築し、①マシニングセンタの連続稼働を実現するiAssistによる「工具搬送自動化」、②ユニット自動組立ロボットへの部品入庫、完成品払出しをiAssistで自動化した「ユニット組立自動化システム」、③iAssistの稼働状況を5G対応のiPhoneでモニターする「iAssist 運用管理システム」の3つのソリューションを開発する。
通信キャリアが提供する5Gサービスとクラウドサービスを組合わせた仕組みを活用することで、開発した各ソリューションを顧客へ安価に提供できるようになる。なお、ローカル5Gでは2021年7月現在、iPhone はじめスマートフォンが接続できない。KDDI5Gでは複数の5G対応スマートフォンが利用できるのもローカル5G に対して有利な点である。
iPhoneはiAssist運用管理だけでなく、現在工場内で使われているPHSの後継として電話で使用する。構築当初、5GはNSA(Non Stand Alone)という4G の基地局を制御用に、5Gの基地局をデータ送受に使う方式。4G基地局は5Gの制御だけでなくVoLTEによる高品質な電話に活用する。5G は2022 年にSA(Stand Alone)サービスが始まるとされているが、SAになっても4G基地局は電話で継続利用する。また5G基地局はSAでも同じ設備を使う。
同社では自社内で5GネットワークによるiAssistの運用実績を積んだ後、顧客のiAssist運用に適用する計画。安価で先進的なサービスを顧客に提供できるよう、さらなるソリューションの充実と運用効率化を図る方針。
■補足説明はブログにて↓