ニュース

アマダ 多関節ロボット・プレス高速ラインシステム「ARPAS」販売開始

220510アマダ

 アマダプレスシステムが、このほど、プレスマシン間における加工製品の搬送スピードが大幅に向上した多関節ロボット・プレス高速ラインシステム「ARPAS(アルパス)」の販売を開始した。

 新商品の「ARPAS」は、プレス加工とワーク搬送において、2軸サーボロボットラインでの協調制御を応用し、6軸多関節ロボットを活用したWAVE協調制御運転を実現したことで、生産タクトが飛躍的に向上している。従来の多関節ロボットプレスラインでは、プレスの加工スライドの上部到達を待ってから規則的にワークを搬送する交互運転であったため、ムダな時間が生じていたが、「ARPAS」の WAVE 協調制御運転は、プレスマシンと搬送ロボットの動作をオーバーラップさせながらワーク搬送を行うことが可能なため、加工までの時間を最短化する。これにより、生産タクトを上げることが可能となった。

 近年、プレス加工の現場では少子高齢化に加え熟練技能者の引退などの人手不足を背景に、自動化や、段取り・操作の簡易化に対するニーズが高まっている。このような課題に対して同社では、「人手不足を解消する自動化システムの『ARPAS』は、視認性・操作性に優れた「iⅢ」制御搭載のサーボプレスを活用しているため、オペレーターによる段取り操作の簡易化や作業負担の削減が可能となり、生産性の向上に貢献します。当社は、これからも経営方針『グローバルに最適なプレスシステムを提供できる企業を目指す』をもとに、お客さまの製造現場を総合的な視点で捉え、課題解決をサポートすることにより、広くモノづくりに貢献してまいります」と意気込みを示している。

主な特長

(1)高速搬送とラインの省スペース化を実現 
 従来、プレスマシンの側面に配置している制御盤を後面に配置することもでき、プレス間のピッチを約20%短縮する。これにより、ラインの省スペース化だけでなく高速搬送に貢献する。6軸多関節ロボットラインシステムのWAVE協調制御運転により、従来の交互運 転に比べて生産性が約50%向上する。顧客の加工製品やラインレイアウトに合わせ、柔軟に対応する。

(2)自動ハンド交換システムによる長時間連続稼働(オプション)
 6軸多関節ロボットの持ち手となる搬送ハンドの交換を自動化した。段取り時間を短縮 し省力化に貢献するだけでなく、ラインの長時間連続稼働が可能になった。長年好評を博している、顧客のニーズにあわせた多種多様な同社独自の搬送ハンドを選択可能。

(3)カメラ監視による稼働支援を実現(オプション)
 搬送状態とラインを監視するカメラを設置することで、加工時の映像を記録する。異常や停止が発生した際、作業者はその前後の映像と内部デバイス情報から原因を確認でき、早期 復旧が可能。

仕様

220510アマダ図


 

ヤマザキマザック ワークサイズを拡大し重切削能力を向上した立形マシニングセンタ「VCN-460/VCN-600」を新発売!

220510マザック1

 ヤマザキマザックは、このほど、金型や自動車部品をはじめとした幅広い加工分野において、より大型で高精度な部品加工のニーズが高まっていることを受け、最新CNC装置を搭載し、基本性能を高めて生産性を向上した立形マシニングセンタ「VCN-460/VCN-600」の販売を開始した。

 「VCN-460/VCN-600」は、Y軸ストロークとテーブルサイズの伸長により積載可能なワークサイズを拡大。毎分12,000回転の高トルク主軸を採用し、重切削における加工能力を大幅に高めている。さらには毎分18,000回転の高速主軸(オプション)の対応により、アルミニウム加工や金型加工の高効率加工を実現した。

 「VCN-460/VCN-600」に搭載するCNC装置は「MAZATROL SmoothEz」と「MAZATROL SmoothG」の2タイプを用意しており、顧客のニーズに合わせた選択が可能。最新CNC 装置「MAZATROL SmoothEz」は表示画面のカスタマイズ機能などによる優れた操作性に加え、CAMソフトウェアとの高度な連携機能も備えており、工場内実機での段取り時間を削減する。

 高まる自動化ニーズに応えるため、自動化オプション対応も大幅に強化。協働ロボット自動化セル「Ez LOADERシリーズ」との接続をはじめ、顧客の工場レイアウトや生産数量に合わせた最適な自動化システムの構築を可能としている。また、顧客の環境経営の取り組みを支援するため、「VCN-460/VCN-600」は従来機と比較して潤滑油材の消費量や消費電力の削減を実現している。

 なお、「VCN-460」をロボットテクノロジージャパン(会期:6月30日~7月2日、場所:愛知県国際展示場)に出展する。

VCN-460、VCN-600の特長

●基本性能の向上
Y 軸ストロークとテーブルサイズの伸長

 従来機よりも大きなワークの積載が可能。金型に使われるモールドベースなどの高効率加工に対応。

【Y軸ストローク、テーブルサイズ】
 ・VCN-460:Y軸ストローク460mm(従来機430mm)、テーブル奥行き460mm(従来機430mm)
 ・VCN-600:Y軸ストローク600mm(従来機530mm)、テーブル奥行き600mm(従来機550mm)

重切削能力の向上
 ・標準主軸に毎分12,000 回転の高トルク主軸を採用により、高い重切削能力を実現。従来の主軸と比較して、切削能力を約50%向上。

220510マザック2
毎分12,000回転の標準主軸による重切削能力比較 被削材:S45C

 

 ・毎分18,000回転の高速主軸(オプション)の選択により、アルミニウム加工や金型加工の高効率・高精度加工が可能。

●高い操作性の実現

220510マザック3
MAZATROL SmoothEz

・CNC装置は「MAZATROL SmoothEz」もしくは「MAZATROL SmoothG」より選択可能。
 ・最新CNC装置「MAZATROL SmoothEz」は、15インチタッチスクリーンによる直感的な操作を実現。PC上に仮想工作機械を構築するCAMソフトウェア「Smooth CAM Ai」との連携により、オフィスでのデジタル段取りを実現、工場実機前での段取り作業を大幅に削減可能。

●幅広い自動化対応
 協働ロボット自動化セルや産業用ロボットとストッカからなる自動化システムとの接続など、顧客の工場レイアウトや生産数量に合わせたさまざまな自動化システムに対応可能。

●グリース潤滑の消費量削減
 各位同軸に高性能なグリース潤滑システムの採用により潤滑油材の年間消費量を最大46%削減。

●消費量電力の削減
 インバータ制御のリアーユニットの搭載によりチラーユニットの年間消費電力を最大30%削減。

主な仕様

220510マザック4


 

DMG MORI Boston グランドオープン

220510DMGMORI1
DMG MORI Boston外観

 

 DMG森精機(社長=森 雅彦氏)が、このほど研究開発、およびアメリカ北東部の販売・サービスの新たな拠点として、マサチューセッツ州サマービルにDMG MORI Bostonをグランドオープンした。

 森社長は現地時間4月12日(火)に開所式を行い、サマービル市長 Katjana Ballantyne氏、Tulip Interfaces共同創業者のCEO Natan Linder氏とCTO Rony Kubat氏、DMG MORI USAの太田圭一社長とともにテープカットを行った。

 DMG MORI Bostonは、経済発展が著しいアメリカ北東部のBoston近郊に位置する。この地域には、現在成長を続ける医療や航空宇宙、ハイテク関連企業が拠点を構えている。また、マサチューセッツ工科大学やウェントワース工科大学などの技術系大学にも近く、シカゴやデービスの拠点と同様に、同社が注力する自動化とデジタル化の研究開発において重要な役割を果たす。

 また、同じ建屋にTulip Interfacesの本社とショールームが入ることから、同社と密接に連携することで、「TULIP」を活用し、実践的な方法で工程のデジタル化をさらに推進し、製造現場の課題解決を支援していく。

 DMG MORI Bostonには、研究開発者やアプリケーションエンジニア、営業、サービスエンジニアなど約140名の社員が勤務している。テクノロジーセンタに設置する最新の機械やシミュレーターは、顧客が見学できるうえ、顧客のオペレータおよび社員の研修にも活用できる。さらに今後も競争力を維持し、革新的な技術を推進するために、デジタル化、人工知能、AM(積層造形)などの最先端技術に関する知識を持つ人材を採用する。

 今後、DMG MORI Bostonは、アメリカ北東部に販売・サービスを提供するだけでなく、世界中の顧客に新しいデジタル化ソリューションとプロセスを提供する拠点として、さらなる生産性向上に貢献していく方針。

220510DMGMORI2
テープカットの様子
左から、DMG MORI USA社長 太田圭一氏、DMG森精機 社長 森雅彦氏、サマービル市長 Katjana Ballantyne氏、Tulip Interfaces 共同創業者 兼CEO Natan Linder氏、共同創業者 兼CTO Rony Kubat氏

 

■DMG MORI Boston
【所 在 地】77 Middlesex Ave, Suite B. Somerville, MA 02145, USA
【建   物】1F建て(DMG MORIのテクノロジーセンタ、Tulip Interfacesのショールーム、 Tulip Interfaces本社、研究・開発、オフィス、会議室)
【展示内容】NTX 1000、NHX 4000、DMU 60 eVo linear、DMP 70、TULIP、Messenger、my DMG MORIを含むデジタルソリューション
【社   員】約140名(Tulip Interfacesの社員を含む) 
 

2022年3月分工作機械受注総額は1,662.6億円 日工会 

 日本工作機械工業会がこのほどまとめた2022年3月分の受注実績は以下の通り。

 2022年3月分工作機械受注総額は、1,662.6億円(前月比+19.6% 前年同月比+30.0%)となった。受注総額は、2018年4月(1630.6億円)以来、47カ月ぶりの1,600円超で単月として過去2番目の受注。1,000億円超は14カ月連続。
    
 内需は602.4億円(前月比+23.3% 前年同月比+48.8%)で、2018年9月(664.1億円)以来、42カ月ぶりの600億円超。半導体関連等を中心に堅調さが続く中、期末効果により大幅増加。

 外需は1060.2億円(前月比+17.6% 前年同月比+21.3%)で、2018年3月(1073.1億円)以来、48カ月ぶりの1,000億円超で過去2番目。欧米は前月比減少したものの、アジアや北米で増加。

 3月時点で、部品不足や地政学リスク、中国のロックダウン等のリスク要因による影響は顕在化していないものの、今後の動向を注視。

3月分内需

 602.4億円(前月比+23.3% 前年同月比+48.8%)。

 ・2018年9月(644億円)以来、3年6カ月(42カ月)ぶりの600億円超。
 ・前月比2カ月連続増加。前年同月比13カ月連続増加。
 ・3月は半導体関連や部材不足関連需要に加え、自動車等も前月から増加。

220510日工会内需

(出所:日本工作機械工業会)

3月分外需

 1060.2億円(前月比+17.6% 前年同月比+21.3%)

 ・2,018年3月(1073.1億円)以来、4年(48カ月)ぶりの1,000億円超。
 ・前月比2カ月ぶり増加。前年同月比17カ月連続増加。
 ・アジアと北米で前月から大きく増加し、単月で過去2番目の高水準を記録。

220510日工会外需
(出所:日本工作機械工業会)


 

2022年3月分 機械工具生産額まとまる 日本機械工具工業会

 日本機械工具工業会がこのほどまとめた2022年3月分の機械工具生産額は次のとおり。〈( )内は対前年比〉。

■生産額
 切削工具 398.7億円(114%)、耐摩耗工具 33.5億円(100%)、総合計 439.4億円(112%)。

■ドリル生産額
 特殊鋼工具 16億円(128%)、超硬工具 40.9億円(122%)、ダイヤ・CBN 1億円(120%)、総合計 58億円(124%)。

■エンドミル生産額
 特殊鋼工具 4.5億円(130%)、超硬工具 39.7億円(102%)、ダイヤ・CBN 1.3億円(92%)、総合計 45.6億円(104%)。

■カッタ生産額
 特殊鋼工具 0.8億円(108%)、超硬工具 6.2億円(129%)、ダイヤ・CBN 0.6億円(103%)、総合計 7.6億円(124%)。

■ギヤカッタ生産額
 総合計 7.5億円(104%)。

■ブローチ生産額
 総合計 8.3億円(106%)。

■ねじ加工工具生産額
 特殊鋼工具 35億円(115%)、超硬工具 3.7億円(125%)、総合計 38.6億円(116%)。

■バイト生産額
 特殊鋼工具 0.3億円(130%)、超硬工具 10.6億円(132%)、総合計 10.9億円(132%)。

■リーマ生産額
 特殊鋼工具 1.2億円(84%)、超硬工具 2.5億円(101%)、総合計 3.8億円(95%)。

■鋸刃カッタ生産額
 特殊鋼工具 1.3億円(108%)、超硬工具 0.8億円(105%)、総合計 2.1億円(107%)。

■インサート生産額
 超硬工具 159.2億円(112%)、ダイヤ・CBN 22.9億円(112%)、総合計 182.1億円(112%)。

■ボディ関係生産額
 総合計 19.3億円(124%)。

■超硬合金生産額
 切削用 158億円(107%)、耐摩耐食用 17.1億円(109%)、総合計 178.3億円(108%)。
 

経産省・2022年2月度機械統計 機械工具生産動態調査

経済産業省の2022年2月度 機械工具生産動態調査(機械統計)は以下のとおり。

220510機械工具(経産省)

(表出所:日本機械工具工業会)

2022年1~3月期 マニピュレータ、ロボット統計 受注・生産・出荷実績まとまる 日本ロボット工業会

 日本ロボット工業会がこのほどまとめた2022年1~3月期 マニピュレータ、ロボットの受注・生産・出荷実績は次のとおり。

■業況
 2022年1~3月期は、受注額が対前年同期比4.3%の増加、生産額が4.2%の増加と、それぞれ前年同期を上回った。受注額、生産額はそれぞれ四半期では過去最高となった。

 出荷実績をみると、国内向けは自動車製造業向け中心に依然として勢いは弱いものの、半導体用などの好調さが継続し、全体として回復傾向を示した。輸出は、欧米向けが伸長する一方で、これまで市場を強くけん引してきた中国向け中心に落ち着き、アジア向けは昨年より減少傾向となった。

 各産業での需要回復・拡大は継続しているものの、今後の見通しには新型コロナウイルス感染症や地政学的リスクなどが及ぼす多面的な影響が不透明さを伴わせている。

1.受注
 ・受注台数:70,772(台)(前年同期比+5.8%)【6四半期連続の増加】
 ・受注額 :2,567(億円)(同+4.3%)【7四半期連続の増加】

2.生産
 ・生産台数:63,189(台)(前年同期比+7.0%)【6四半期連続の増加】
 ・生産額 :2,162(億円)(同+4.2%)【6四半期連続の増加】

3.出荷
 ・総出荷台数:63,886(台)(前年同期比+5.3%)【6四半期連続の増加】
 ・総出荷額 :2,199(億円)(同+2.6%)【6四半期連続の増加】
  ー国内出荷台数:11,580(台)(同+13.8%)【4四半期連続の増加】
  ー国内出荷額 :    548(億円)(同+8.9%)【4四半期連続の増加】
  ー輸出台数   :52,306(台)(同+3.6%)【6四半期連続の増加】
  ー輸出額     :1,651(億円)(同+0.7%)【6四半期連続の増加】

3.1 国内出荷内訳
〈電気機械製造業向け〉
 ・国内出荷台数:3,371(台)(前年同期比+11.5%)【5四半期連続の増加】
 ・国内出荷額 :152(億円)(同+14.2%)【4四半期連続の増加】
〈自動車製造業向け〉
 ・国内出荷台数:3,550(台)(前年同期比+2.1%)【3四半期連続の増加】
 ・国内出荷額 :163(億円)(同▲8.1%)【4四半期ぶりの減少】

3.2 輸出内訳
〈電子部品実装用〉
 ・輸出台数:3,662(台)(前年同期比▲27.6%)【2四半期連続の減少】
 ・輸出額 :588(億円)(同▲19.4%)【9四半期ぶりの減少】
〈溶接用〉
 ・輸出台数:11,388(台)(前年同期比+9.1%)【6四半期連続の増加】
 ・輸出額 :260(億円)(同+19.6%)【6四半期連続の増加】
 

2022年3月度 建設機械出荷金額まとまる 日本建設機械工業会

 日本建設機械工業会がこのほどまとめた建設機械出荷金額は次のとおり。(増減は前年同月比)

 3 月の建設機械出荷金額は、内需は0.8%増加の1,222 億円、外需は29.7%増加の2,189 億円となった。その結果、内需は5カ月連続の増加、外需は17カ月連続の増加となった。総合計では17.7%増加の3,411億円となり、17カ月連続の増加となった。

〈内需〉
 機種別に見ると、油圧ショベル3.3%増加の355億円、ミニショベル0.3%増加の84億円、建設用クレーン12.1%増加の322億円、油圧ブレーカ・圧砕機20.2%増加の27億円、その他建設機械5.3%増加の91億円の5機種と補給部品5.2%増加の131億円が増加となった。

〈外需〉
 機種別に見ると、トラクタ33.2%増加の269 億円、油圧ショベル13.3%増加の854億円、ミニショベル48.9%増加の371億円、建設用クレーン35.8%増加の98億円、道路機械19.8%増加の42億円、コンクリート機械33.8%増加の1億円、基礎機械47.8%増加の7億円、油圧ブレーカ・圧砕機58.3%増加の11億円、その他建設機械60.4%増加の299億円の全9機種と補給部品34.6%増加の237億円が増加となった。

 地域別に見ると、北米が15カ月連続で増加、アジアが13カ月連続で増加するなど、全9地域中、中国、中南米を除いた7地域で増加した。
 

 日本工作機械工業会が創立70周年記念式典を開催

220415日工会

 日本工作機械工業会(会長=稲葉善治氏)が、3月18日、都内のホテル ニューオータニで「創立70周年記念式典」を開催した。稲葉会長のあいさつは次のとおり。

創立70周年を迎えて

 当工業会は、1951年12月に任意団体として創立されて以来、1978年の社団法人への改組、2012年の一般社団法人への改組を経て、昨年2021年12月1日をもって、創立70周年を迎えました。70年間を振り返りますと、日本工作機械工業会が設立された1951年はまさに戦後の復興期でした。先達たちは不自由を強いられながらも工作機械製造に邁進し、自動車や家電製品をはじめ多くの産業の発展に貢献致しました。

 1982年には日本は生産額世界一の工作機械供給国に躍進しましたが、通商摩擦やプラザ合意後の急激な円高も経験致しました。1990年代にはバブル経済とその崩壊、2000年代にはITバブルとその崩壊、アメリカ同時多発テロがあり、さらにはリーマンショックの影響を受け、2009年の日工会受注は4,118億円で1970年代の水準まで急激に低下しました。

 日工会60周年時以降の10年間につきましては、2011年に東日本大震災が起きた際「100年に一度の大不況の後、1000年に一度の災害に襲われた」といわれ、1ドル80円を割る円高、法人実効税率の高さ、自由貿易協定の遅れ、電力価格問題などを含め日本経済は「6重苦」に直面しました。さらに、製造業では日本を代表する企業による検査結果の不正が相次いだほか、外国資本へ事業や企業を売却する例もみられました。米中関係は通商摩擦問題に端を発し安全保障に関わるレベルへと対立が先鋭化しています。2020年には新型コロナウイルス感染拡大による世界経済停滞と、そこからの回復局面を経験しました。2022年に入っては、ウクライナ情勢の緊迫化で世界が大きく不安定化しております。

 我が国工作機械産業は、このように経済環境が急激に変化する局面、地政学的リスクや大規模な自然災害・疫病の脅威が高まる局面を経験し、決して平坦ではない道を切り開き、困難を乗り越え、今日という日を迎えられたと実感しております。

 世界の工作機械市場について目を向けますと、2000年代に入り製造業のグローバル化が一気に加速しました。日工会受注は、世界各地におけるインフラ・エネルギー関連投資や自動車・航空機需要等の増加により、2006年に1兆4,370億円を記録し、1990年に記録した史上最高額1兆4,121億円を16年ぶりに更新しました。2010年以降は自動車の電動化、半導体製造装置関連の投資も受注拡大を牽引した結果、日工会受注は2017年から2年連続で史上最高額を更新し2018年に1兆8,158億円を記録しました。

 日本の工作機械産業は、ユーザーニーズに向き合い、高速・高精度、5軸・複合加工、知能化、自動化・省人化技術を進化させ、金属積層造形やIoTといった新技術にも対応して参りました。この日工会受注額の拡大によって裏付けられるとおり、絶えず高付加価値製品を市場に供給して、世界の製造業の発展に貢献して参りました。

 当業界を取り巻く現下の情勢につきましては、新型コロナウイルス感染症、米中対立、ウクライナ情勢等世界各地域の地政学リスクは収束には至っておりません。また、部品不足、エネルギー・資源価格の高騰や海運輸送等ロジスティクスの手配難に見舞われております。
世界情勢は依然として不透明・不確実な状況にあり、2020年代は順風満帆には程遠い荒波の中での船出となり、現在に至っております。そのような状況にあっても、日本の工作機械に対する根強いニーズに支えられ、工作機械受注は活況を呈しております。2020年代においても、付加価値の高い最先端の工作機械・サービスの供給を通じて、世界の製造業の発展に貢献して参りたいと存じます。

 これからの時代、製造業のニューノーマルは、カーボンニュートラルに対応していくグリーン、IoT・AI等を活用して自動化生産システムを実現していくデジタル、サプライチェーンを強靭化していくレジリエンス、この3点を軸に展開されていきます。難しいかじ取りが迫られる経営環境が続きますが、会員各社におかれては、「需要はそこにあるものではなく、自らの努力で創り出していくもの」という気概を持って、未来に向かって邁進して頂きたいと存じます。

 日工会としても、日本の工作機械産業が環境変化に対応し、将来に亘って国際競争力を更に強化していくための取組みを、業界一丸となって進めて参ります。少子高齢化時代にあって、工作機械技術は高度化・多様化しております。工作機械業界の未来を担う人材を確保してくための周知活動、育成事業にも一層注力して参りたいと存じます。

主な表彰状・感謝状贈呈者

〈経済産業大臣表彰状並びに記念品贈呈〉
(役員歴順)

 ・樫藤 達郎 (株)カシフジ社長  
 ・森 雅彦 DMG 森精機(株)社長   
 ・山岡靖幸 (株)神崎高級工機製作所前社長

〈製造産業局長表彰状並びに記念品贈呈〉
(役員歴順)

 ・稲葉善治 ファナック(株)会長
 ・佐野泰治 ジェービーエムエンジニアリング(株)相談役
 ・北村彰浩 キタムラ機械(株)社長
 ・髙松喜与志 高松機械工業(株)会長

〈会長感謝状並びに記念品贈呈〉

(学識経験者・五十音順)
 ・青山英樹 慶應義塾大学教授
 ・国枝正典 東京大学教授
 ・厨川常元 東北大学教授
 ・小島輝一 元東京理科大学非常勤講師
 ・笹原弘之 東京農工大学教授
 ・白瀬敬一 神戸大学教授
 ・田中文基 北海道大学准教授
 ・広田紘一 元青山学院大学・千葉経済大学兼任講師
 ・松原 厚 京都大学教授
 ・松村 隆 東京電機大学教授
 ・割澤伸一 東京大学教授

(役員)
会長歴任者(就任順)
 ・横山元彥 (株)ジェイテクト元会長 
 ・花木義麿 オークマ(株)相談役    
 ・飯村幸生 芝浦機械(株)会長

永年役員(役員歴順)
 ・山崎智久 ヤマザキマザック(株)会長
 ・竹尾啓助 (株)唐津プレシジョン社長
 ・曽我信之 (株)FUJI 会長
 ・鴫谷憲和 (株)シギヤ精機製作所社長
 ・西嶋尚生 (株)ツガミ会長
 ・安田拓人 安田工業(株)社長
 

日本金型工業会、ドイツ金型工業会、ドイツ機械工業連盟がWebで意見交換会を開催

220415日本金型工業会

 去る3月22日、日本金型工業会、ドイツ金型工業会、ドイツ機械工業連盟がWeb会議方式で「意見交換会」を開催した。昨年開催した第1回ドイツとの意見交換会に引き続き、ドイツの金型事情をドイツ金型経営者が説明した。

 今回のパネルディスカッションは「SDGs,カーボンニュートラルについてどのような取り組みを行っているか」、「SDGs,カーボンニュートラルに起因すると思われる顧客からの要求の変化はあるか」、「EV化への対応は」をテーマに行われた。

 出席したパネラーは以下の通り。

■ドイツ金型工業会・ドイツ機械工業連盟
 ①Mrs Sabine Kellermann, CEO 
 Kellermann社(プラスチック用金型)
 ②Mr. Joerg Teegen, CEO 
 TEEGEN社(プラスチック用金型)
 ③Mr. Henning Kollner, CEO
 GEZEA社(射出成型用金型コンポーネント製造(機械加工)
 ④Professor Wolfgang Boos (CEO)
 WBAアーヘン・ツールメイキング・アカデミー(コンサルティング・研究・教育機関)
 ⑤Dr. Thorsten Hickmann (CEO)
 Eisenhuth社(プラスチック用・ゴム用金型)
 ⑥Mr.Stefan Zecha (CEO) 
 ZECHA社(工具メーカー)

■日本金型工業会
 ・㈱ヤマナカゴーキン 代表取締役社長 山中雅仁氏(鍛造用金型)
 ・昭和精工㈱ 代表取締役 木田成人氏(プレス用金型)
 ・㈱エムアイモルデ 代表取締役 宮城島俊之氏(プラスチック用金型)