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日立建機 脳波を活用した疲労検知技術を有する豪州のスマートキャップ社を買収
日立建機のカナダにある連結子会社WencoInternational Mining Systems Ltd.(以下ウェンコ社)は、5月1日、ダンプトラックなどのオペレータの脳波を分析して疲労を検知する技術を有する豪州のSmartCap Technologies Pty Ltd(以下スマートキャップ社)を買収したと発表した。この買収により、ウェンコ社は、スマートキャップ社の脳波を活用した疲労検知技術を自社の鉱山運行管理システムに適用し、鉱山の安全性向上に寄与するソリューションを強化する。
安定した稼働が求められる鉱山現場において、超大型油圧ショベルやリジッドダンプトラックのオペレータは周囲環境に留意しながら、長時間にわたり運転操作を繰り返す必要がある。オペレータは、適切なシフト管理により運転操作に従事しているが、疲労度には個人差があり、また、その日の体調などにも左右され、オペレータの疲労による集中力の低下や居眠りが発生した場合は、重大な事故につながる可能性がある。
スマートキャップ社の技術は、ヘルメットなどの内部に疲労検知デバイスを装着し、オペレータの脳波の変化から疲労度をリアルタイムに検知する。疲労検知デバイスはスマートフォン用のアプリと連携し、警報によりオペレータの居眠りを抑制するほか、運行管理者に注意喚起を促すこともできる。
日立建機とウェンコ社は、今回の買収により、疲労状態を考慮した人員交代のタイミングや負担の少ない走行ルートを、鉱山運行管理システムが自動的に作成してオペレータに指示することができるようになった。
コマツ 創立100周年記念活動 「こまつの杜」リニューアル
コマツは、本年5月13日に創立100周年を迎えたが、このほど100周年記念活動の一環として、石川県小松市の「こまつの杜」をリニューアルした。
「こまつの杜」は、創立90周年記念事業の一環として、コマツ発祥の地におけるコマツグループのグローバルな人材育成の拠点とともに地域社会と一緒になり子どもたちを育む場所として2011年より開園した。創立100周年記念活動の一環として、持続的に地域社会へ貢献し、また同社の歴史を振り返るきっかけとなる拠点として、歴史を展示する「わくわくコマツ歴史館」を設置するとともに、これまで展示してきた世界最大級のダンプトラック「930E」の横に、新たに超大型油圧ショベル「PC4000」を設置した。
また、子ども向けに建機の仕組みを学べる展示や、天候に左右されずに楽しめるミニ建機体験スペース、理科教室などを開催する多目的ホールなどもリニューアルした
「INTERMOLD2021」をレポート!
日本金型工業会、日本金属プレス工業協会が2021年4月14日(水)~17日(土)の4日間、東京ビッグサイト・青海展示棟にて金型・金属プレス加工の専門見本市「INTERMOLD2021/金型展2021/金属プレス加工技術展2021」(運営=インターモールド振興会)が開催された。出展した注目メーカーの趣向を凝らした展示内容と新技術をレポートする。
(あいうえお順:イワタツール、キタムラ機械、芝浦機械、大昭和精機、ダイジェット工業、日進工具、牧野フライス製作所、三井精機工業、MOLDINO、安田工業、碌々産業)
お客様は加工速度を求めている! 日本初披露のisd工具も展示
●イワタツール
人気のトグロンシリーズを展示していたイワタツール。同社の岩田社長によると、「最近のお客様は加工速度を求めています。その理由のひとつには働き方改革があり、加工を早く終わらせなければならない流れを感じています。」とのこと。中でも精密・高速面取りの「トグロン®マルチチャンファー」は面取り速度を2~3倍アップできることから人気が高い。同社では機能をひとつに特化しているマニアックな製品で、加工現場のコストダウンに応えるための工具を提供するとしている。
もうひとつ、同社で目を引く展示があった。イワタツールの中国工場〈岩田精工(大連)有限公司〉で生産している「THE NEXT-GENERATION TOOLS」だ。日本でも売りたいと初披露していた。ただし、これは日本のイワタツール製品ラインナップとは違うタイプのものなので、岩田精工(大連)有限公司の製造・販売(通称:isd)で営業展開するという。岩田社長は、「日本のイワタツールは特殊な用途に活用する工具が多いが、これらは一般的な用途に使うものが多い。材料は中国製だが品質管理については日本の品質管理と全く同じ方法で実行している。」と説明してくれた。今回の展示は日本においてリサーチ目的で展示したとのこと。日本におけるisdの活動に期待したい。
この1台で集約加工が実現!
●キタムラ機械
製造現場のニーズは高付加価値製品を低コストかつ短納期で生産し、経済効果を高めることだが、今回同社が展示していた「MTSENTER® SUPER MICRON®」は材質や工程ごとによる加工機の使い分けを無くすことを実現するマシンだ。快削材から難削材までワーク材質にかかわらず、荒加工から仕上げ加工までこの1台で集約加工が可能になる。しかも設置面積2,040mm×2,065mmと省スペース設計であることもポイント。さらに細かな点に気付く同社らしい設計はこれだけではとどまらず、工具段取りスペースと定期メンテナンス箇所を本体側面に集中配置することで作業者の負担を軽減している。
最も注目したいのは、低速から高速行きまで幅広い回転レンジで高精度加工が可能な40,000回転主軸(HSK-E32)搭載であること。この40,000回転の高速主軸には転がり軸受けを採用したことにより主軸剛性の向上を実現している。温度調節された冷却油を常に主軸の内部・外部に循環させる同社独自の〝主軸冷却システム〟による主軸の振れや伸びを最小限に抑える技術が搭載され、精密金型など長時間加工においても抜群の安定性を確保する。
新開発の「FormEye(フォームアイ)」に大注目!
●芝浦機械
超精密マシニングセンタ「UVMシリーズ」が展示されていた。このマシンは自社製の高精度空気静圧軸受け主軸に特長がある。標準主軸は「ABC-40M」だが、新しくオプションで高剛性・高トルク主軸「ABC-50M」が登場。重切削条件はメーカー推奨値の3倍! さらに今回、最新のソフトウェア技術も新登場していた。特に加工ターゲットに合わせた機上測定機能に注目したい。これは工具の形状を正確に測る技術である。
今回新開発された撮像式工具形状測定器「FormEye」について、同社の工作機械技術部に所属する室伏主任は、「工具の形状を測定するだけではなく、測った形状データをどう生かすかが重要です。形状誤差が出てくるものですが、実加工のときに補正する開発し、摩耗した工具でもどれだけ摩耗したかを測り直すことによってそれに合わせて加工が進むようになっています。」と説明をしてくれた。これは製造現場のトレンドである自動化を睨んだものであり、ボタン一つで実行できる簡単操作も魅力のひとつ。これにより工具切れ刃の輪郭誤差に起因する形状不良は寸法不要を回避! 面倒臭いNCデータ再作成作業を回避してくれるありがたいシステムだった。
BIGの心遣いを感じる製品群が目白押し
●大昭和精機
ファンの多いBIGらしく豊富な製品群で来場者を魅了していた同社。好調な小型旋盤を意識してかスイス型自動旋盤用「ハイドロチャック レースタイプ」が展示されていた。この製品は小型NC旋盤用のコンパクト設計で、省スペースでも簡単に工具交換ができることが特長。狭い箇所でもホルダ外径が小さく、隣接する工具との干渉を抑えられる仕組み。レンチ1本で簡単着脱できることが嬉しい。ホルダを外さず、男性の大きな手でも狭い機内において工具交換ができるという、BIGならではの心配り溢れる製品であり、重宝するだろう。
同社の広いブースで目立っていたのはツールプリセッタ。「STPマジス」は、非接触式の高精度カメラ画像処理方式でありながら、正確・確実な工具の測定が出来る製品で、操作性に優れているのも優位性のひとつ。非接触なので小径工具やダイヤモンド工具の測定も刃先を痛めず、自動認識のため、素早く測定できる(最小測定工具径φ1mm)。ツールの機外測定により、マシニングセンタの稼働率を向上させることを狙いとした商品だ。このほかにも、微細加工機用ツーリング用の中に、焼きばめチャック「SRMタイプ」と焼きばめ装置「スマートヒート」が展示されており、こちらも見逃せない!
自動化に貢献! 加工の段取りまで提案していた!
●ダイジェット工業
高剛性〝6コーナ〟仕様の高能率肩削りカッタ〝エクストリームシリーズ〟より新製品「ショルダー6」が展示されていた。軸方向切り込み量最大10mm可能の高能率さが特長で、平面削り・溝削り・プランジ加工など幅広い用途で使用できる工具だ。高能率・高精度な立壁加工の鍵を握る仕組みは、外周切れ刃奇跡を円弧状にすることで大きな軸方向切込み量でもカスプハイトが小さく押さえられる設計によるもの。独自の3次元インサート形状により、本体アキシャルレーキがポジの角度を有するため、切削抵抗の低減を実現している。
もうひとつ興味深かったものは、同社のブースにて機械段取りを革新的にするTMWの「FCS System」が展示されていたこと。これは、ワークを固定するためのクランプ治具で段取り工程のシステム化を推奨するもので、1回の段取りで5面加工が可能であり、段取り回数の削減が実現するという。専用ソフトウェアを活用することで、簡単に段取りを設計でき、干渉チェックもできるので、製造現場のトレンドでもあるスマートファクトリーを構築し、工場のオートメーション化に貢献する。
6月発売予定の5軸MC加工用3枚刃ボールエンドミルが新登場!
●日進工具
多くのファンを獲得している同社が展示していたのは、今年6月発売予定の5軸マシニングセンタ加工用3枚刃ボールエンドミル「MSBSH330-5X」。3枚刃・高剛性形状により5軸加工機の特長を活かした高精度・高能率加工に貢献する製品だ。60HRC以上の高硬度鋼にも適応できる。(全8サイズR0.1からR1)。この工具は不等分割のため、5軸加工でも嫌なびびりを防止している。また、5軸マシンに最適な工具なので、5軸加工のメリットを最大限に活かすことができるよう、切削速度ゼロを回避した剛性の高い刃形状になっている。
また、同社の工具が入っているケースにQRコードがついているが、これを読み取れば、加工事例が分かる「NSコネクティッドサービス」を展開している。工具の特長や規格表、加工切削条件、加工動画を見ることができ、便利なサービスとなっている。
美しいブースの中で金型加工のDX化を推進
●牧野フライス製作所
今回は金型加工のDX化をパッケージにして提案しており、時代にマッチした展開をしていた。デジタルマーケティング部の長友部長は、「リアル展示会はお客様からご意見をいただくチャンスです。」とリサーチに目を光らせつつ、「今回は皆様から認知されているVシリーズに、現在持っている技術を全てつぎ込んで追求しました。」と話してくれた。機械構造を見直し、高精度な位置決めやクオリティの高い加工面などはもちろん、時代に合致した3軸機のニーズに応えて開発されたコンセプト機だ。
最も注目したいのは新しいソフトウェアを追求した点だ。初心者でも操作できるインターフェース「ATHENA(アテナ)」は、音声でマシンを制御できるシステム。ざっくりいうとiPhoneなどにある「Siri」と同じ感覚で話しかけると対話ができるので、経験の浅い方がマシンの操作方法を忘れた時でも、ATHENAに話しかければ教えてくれる。また、マシニングプロセッサの活用で、CADデータを入れるだけで加工ができる機能もあった。自動で工具のパスを出して、干渉の有無もシミュレーションができ、すぐにプログラムができるという。長友部長は、「お客様はオリジナルのノウハウや熟練の神業を持つ技能をお持ちですが、現在、こうした最高の財産をどうやってデジタル化していくかが問われています。加工ノウハウをクラウド上のデータベースに蓄積できればそのノウハウを継承したパスを出すこともでき、経験の少ないオペレータの方でも熟練の方と同じような品質を出せる可能性を秘めているのです。」と説明してくれた。熟練者が減少している今、加工の道筋をつけてくれるシステムは心強い!
世界最大の砥石自動切り込みストロークを実現!
●三井精機工業
真っ直ぐ動く、直角に交わる、平面が出ている―――-同社では工作機械の基本精度をしっかりつくり込むことを重要と考え、主要部品はきさげによる徹底的な作り込みをしている。今回は新製品のプレシジョンセンター「PJ303X」に注目が集まっていた。このマシンは徹底的に熱変位対策をしている点に注目したい。最新の主軸熱変位補正機能を標準装備し、特殊熱変位キヤンセル機構による主軸・ヘッドの熱変位の大幅抑制、さらに左右対称門形コラム構造は、熱変形を考慮した設計である。また、主軸ヘッドを極力重心位置に近づけ、確認作業の視認性が良いというメリットを生み出している。
他にも、世界最大の砥石自動切り込みストローク(U軸)-3~+50を実現したジグ研削盤「J350G」を展示。1本の砥石で異形穴を連続自動加工することが可能なマシンだ。また、研削プログラム作成支援「G-MAP」は同社独自開発のもの。必要なデータを入力するだけで加工プログラムを自動生成してくれるうえ、最新のHMIを搭載した15インチのタッチパネルの採用で操作性も抜群である。
面倒だったねじ切り加工もNC自動化に!
●MOLDINO
新商品は、人気の超硬ねじ切りカッターシリーズに長いタイプ「ET/EDT」が登場! 同社の事業戦略本部の三枝氏は今回のラインアップ追加について、「この製品は、隅のねじ加工の時に干渉することなく綺麗にねじ穴が加工できるものです。また、面取り工具「DN2HC」と、ねじ切り工具「ET/EDT」を使うと、従来、手作業で行っていたねじ切り加工もNC自動化を実現することができます。」と教えてくれた。
そして今回、目をひいたのは参考出品で展示されていたL/D50のロングドリル、超硬ノンステップボーラーシリーズ「50WHNSB」だ。三枝氏によると、「ダイカスト金型の冷却穴用のニーズがありますが、冷却穴はクロスをしているなどの形状から加工が難しい。折損や不具合も多いと聞いており、お客様の悩みに対応するための製品として展示しています。ものすごく綺麗に加工ができます。」とのことで、市場投入が待ち遠しい一品だった。
フラッグシップ機がさらなる進化を遂げてた!
●安田工業
今回は立形5軸マシンのフラッグシップモデルである「YBM Vi40」が「YBMVi40 Ver.Ⅲ」としてバージョンアップ! BC軸にDDモータ駆動と高回転精度軸受けを採用し、B軸連続運転時の熱変位を1/3に軽減していた。また、ワーク積載時の変化量を従来機の1/2に削減している。細かいところをみると、機械後部のステップを廃止したことにより設置面積を20%削減することに成功(標準タンクの場合)し、ワーク下部の制限廃止を実施したことでφ500ワークの搭載も可能になっている。正面や右側面からのアプローチが可能になったことで接近性がアップ。より作業がしやすくなり、ユーザーフレンドリーなマシンとなっていた。
さらにより使いやすくなったインターフェイスにも注目したい。FANUC iHMIを採用し、操作性の向上と高機能化を実現している。高精度加工機能FAS-4には荒加工モード・仕上げ加工モードなど基本になる5つのモードを準備し、加工時間の短縮や、加工精度を向上させることができる。また、嬉しい加工支援画面では、5つの基本加工モードを選択することや加工条件に合わせてモード毎の加工パラメータを微調整することができる。これらにより、面品位と加工精度向上、演算速度が速くなる点から、より高速高精度加工が可能になった。
実加工精度±1μm以下の追求
●碌々産業
展示していた「AndroidⅡ」は、ユーザーからの要望に応えて進化した次世代マシン。熱変位量を極限まで抑えてさらなる高精度加工を達成するために改良した製品だ。具体的には、主軸と各軸(X,Y,Z軸)リニアモータまわりの換気効率を強化することでY軸方向熱変位を低減し、発熱の元であるガイド部の冷却により長時間の高精度維持を実現。これにより、熱変位対策を徹底強化していた。さらに完全自動化連続運転を可能にする独自の切屑処理対策も構築しており、時代に合致したマシンとなっている。なお、「AndroidⅡ」に、最上級の加工面品位を追求した特殊主軸搭載機〝Type-s〟もラインナップしている。このタイプは、金型の鏡面加工を切削加工のみで実現し、飛躍的な面粗度の向上とともに工程短縮に貢献するもの。
また、同社では微細加工機専用に開発されたIoTプラットフォーム「RCMS(ROKU-ROKU Cloud Monitoring System)」に接続し、監視・管理・予防保全などを行う「AI Machine Dr.」も提案していた。「RCMS」につなげることでネット経由にて機械の状態が遠隔地からでも確認できる。
OKK ワークの心出し作業の省力化を図る「3Dマイスター」を商品化
OKKがこのほど、オペレータが普段行っている「ワークの心出し作業」の省力化を図る機能「3Dマイスター」(特許出願中)を開発し、商品化した。近年、製造業界において自動化・省力化機能が急速に拡がっている一方、多品種少量生産のユーザ層に提供できる機能は多くない。同社ではこうした製造現場の課題を受け、今回の開発に至った。
3Dマイスターの機能 ~簡単操作でオペレータ作業の標準化を推進~
実物のワークを機内カメラで撮影することで、ワーク形状を3Dモデリングする。得られた3Dモデルデータは機械座標系と紐付けられているため、位置や寸法データを持っている。データは付属のタブレット端末で確認することができ、タッチセンサシステムと連動させることで、ワークの心だし作業に必要な自動計測プログラムの実行が可能。3Dマイスターを用いることで、ワークを設置したあとは、加工プログラムのサーチを含めたほとんどの操作をタブレット端末で行うことができる。
TOFカメラとは、Time Of Flightの略で、スマホにも搭載されている技術。対象により赤外線を照射し、その反射されてくるまでの時間により、対象との距離を測定することができる。
撮影はタブレット端末での操作で行い、自動撮影するだけで3Dモデルの構築が可能。Z軸原点位置での撮影であり、対象物に接近する必要はない。また、カメラは防水構造を持ったBOXで保護されており(レンズ側:防水ガラス)、パージエアより機密性の向上を図っている。
左側に通常カメラモードでの撮影画像、右側にモデリング形状が表示される。撮影するおおよその位置を事前に指定することで、より正確なモデリングを行うことができる。また、連続撮影の指定により、さらにモデリング精度の向上が図れる。3Dモデルは画面上で視点変更や拡大と縮小をすることができる。スマホの直感的操作性が実現しているのも魅力だ。
計測パターンを画で確認して指定するため、計測プログラムの選択が簡単だ。計測位置の指定では、モデリングで得られたおおよその寸法が表示される。ワーク座標系、シフト量の設定なども指定することができる。手動モードでの機械操作や、NC画面での数値設定操作なども必要ないので経験の浅いオペレータでも簡単操作で作業の標準化、マニュアル化を推進できるメリットがある。モデリング時の寸法からワークの最終確認としても利用可能だ。ワーク違いによるポカ避けにも貢献する。
送信するまでは、何度でも設定内容の変更や確認が可能。計測動作指令と同様に、加工プログラムサーチも実行できる。送信後の計測プログラムサーチや計測動作などは、サイクルスタート押しボタンで起動。機械動作を伴う操作では機械操作盤を用いるため、安全に使用することができる。なお、オペレータは機械のモード変更や、手動運転、Nキーボード入力などの操作が不要である。
管理用PCは1台で複数の機械に接続が可能だが、複数のカメラと同時通信は不可。WiFi通信を用いてるが、ローカルネットワーク環境なので情報流出の危険はないとしている。
対象機種は、「VM-Rシリーズ」、「VB53α」。対象制御装置は、「FANUC 30iシリーズ」、「三菱N700/N800シリーズ」。
上記対象であれば、後付けでの対応も可能。なお、現地での取り付け作業は1日程度である。
キタムラ機械 「Mycenter-SUPER MICRON(スーパーマイクロン)」を新発売
キタムラ機械がこのほど、高精度微細加工機「Mycenter-SUPER MICRON」(スーパーマイクロン)を新発売した。精密金型、医療、光学、電子・半導体製造装置用機器の部品加工分野の旺盛な需要増に対応する。
主な仕様は、テーブルサイズ400×500mm、各軸移動量(X軸×Y軸×Z軸)は450×350×300mm、テーブル積載重量125kg、最高主軸回転数は毎分4万回転、工具収納本数18本。集塵機や防塵構造を備え、グラファイト加工や微細加工時の細かい切粉にも対応している。
最大の特長は、クロスレールと一体鋳造のダブルコラム構造を採用しており、コラムには独自開発の温度制御媒体を封入していること。加工中の温度変化の影響を抑制し、姿勢変位影響を極限まで抑えることのできる左右対称構造となっている。優れた剛性と振動減衰性能を併せ持ち、安定した高精度加工が実現した。
また、全軸オーバーハングの無い独自の角形摺動面とテーブル低重心構造により、加減速の激しい高速加工時の振動を抑制する。クラス最大径で最小リードの駆動ボールネジを採用して追従性を高め、超高精度・高分解能光学式リニアフィードバックスケールにより、実測値で位置決め精度±10000分の5mm/フルストローク、直角度1000分の4mm、真円度10000分の15mmを達成し、従来比50%以上の高精度加工を可能にした。
主軸回転毎分4万回転の連続運転を可能とした高性能セラミック軸受主軸は、工具最大長さで先端の振れが1.7ミクロン(実績値)、±0.1℃制御の高精度オイルコントローラーによる主軸内部とジャケット冷却により、暖機運転を必要としないコールドスタートからの連続加工においても熱変位の影響を抑え、髪の毛の細さ60分の1である1ミクロン単位の安定した加工精度を実現した。
2008年に世界で初めてアイコン制御を可能とした独自開発のCNC装置「Arumatik-Mi」を搭載。高解像度CCDカメラ、マイク、スピーカーを標準搭載し、インターネットを介したIoTアプリケーション「Anywhere-Remote」は、メール通知やリアルタイムのモニタリングシステムから生産管理システムまで幅広く対応し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する革新的な機能を搭載している。
イスカルジャパン 「NEODO (ネオドゥー)」を発売開始
イスカルジャパンがこのほど、新開発8コーナー使い、90°肩削り&正面フライス「NEODO (ネオドゥー)」の発売を開始した。
この製品は、独創的な両面8コーナー使いチップを採用し、トータル加工コストの低減を可能にした高生産性と高経済性の両立を実現した工具。
高剛性ダブテイル構造によりチップを強固に固定することで、加工の安定性を高め、高精度90°肩削り加工を実現する。断続切削を含む、高負荷な条件での加工に対応し、高生産性を実現。NEODOは粗加工を含む、全ての加工に対応する。
内部クーラント対応のカッターは、刃先への適切なクーラント供給により、チップの長寿命化と良好な切屑処理を実現。切削抵抗を低減するポジ切刃と相まって軽快な加工が実現した。
カッターは、標準タイプと多刃タイプの2種類をレパートリーしている。多刃タイプカッターは、テーブル送りをアップし、生産性を向上させる。
■レパートリー
・フェースミル:S890 FSZ-R08 φ40mm~φ125mm
・チ ッ プ :S890 SZMU… PNRMM 鋼加工用/S890 SZMU… PNTR 鋳鉄加工用
マザック Mazak iCONNECT™「WEB サービス」の無料提供を開始
ヤマザキマザックは、Mazak iCONNECT™(マザックアイコネクト)の「WEB サービス」を開始し、同社製NC搭載機を所有する全ての顧客に無料提供する。
2019年4月にサービス提供を開始したMazak iCONNECT™は、顧客、同社製工作機械、マザックのサポートセンタをクラウドネットワーク技術でつなぎ、設備の遠隔診断など各種サポートを提供する総合サービス。
昨今、クラウドサービスによる遠隔サポートに加えて、操作マニュアルをはじめとした設備機の各種情報をデジタルデータ化し、一元管理するニーズが高まっていることを受け、同社はMazak iCONNECT™の新たなサポート機能として、設備機のさまざまな情報を集約・提供する「WEB サービス」を開始するに至った。
対象は同社製のNC 搭載機(工作機械・レーザ加工機)を所有する全ての顧客が対象。同社の専用サイト上で会員登録することにより、PC やスマートフォンでWEB サービスを無料で使用することができる。
顧客はWEBサービスのサイトにアクセスすることで、設備機の仕様や操作マニュアル、サービス訪問履歴、パーツ注文履歴など、効率的な工場運営に役立つ情報を容易に確認することが可能。さらにはプログラミングトレーニングの動画視聴や生産支援ソフトウェアの無料トライアルなど、オペレータの技能や設備機の生産性を高める充実したサポートをいつでも利用することができる。
また、今回のWEBサービス開始に合わせて、従来提供してきたMazak iCONNECT™クラウドサービスの料金体系を変更する。複数年契約時や、複数機でサービス利用する際の料金体系を用意するなど、個々の顧客の使用状況に最適なプランを選択可能としている。
同社では、今後もMazak iCONNECT™ を通じて、お客様の工場のデジタル化と生産性向上に貢献するとしている。
▼Mazak iCONNECT™専用サイト▼
http://iconnect.mazak.jp/
Mazak iCONNECT™ 「WEBサービス(無料)」の主な内容
NEW 〈所有機械一覧〉
顧客が所有している機械の一覧を表示。
(表示内容)機械名、機盤、納入日、保守機嫌など
NEW〈マニュアルダウンロード〉
顧客が所有する機械のマニュアルをダウンロードできる
(表示内容)取扱説明書、保守説明書、プログラミングマニュアル、パラメータ一覧表など
NEW〈パーツ注文履歴〉
顧客が注文したパーツの履歴を確認することができる
(表示内容)パーツの発送日、品番、数量、品名など
NEW〈サービス訪問履歴〉
顧客に訪問して提供したサービスの履歴を確認することができる
(表示内容)サービス提供日、サービスの内容など
〈ダウンロードセンタ〉
購入したソフトウェアや試用版ソフトウェアなどをダウンロードすることができる。無償トライアル版で導入効果を事前検証し納得した上でソフトウェアを購入できる
〈マザックeラーニング〉
プログラミング、段取り・各種設定、機械操作などのトレーニング動画を観覧できる。テクノロジーセンタで受けられるトレーニング内容を配信しているので、トレーニング受講者の予習・復習や顧客の社内でのトレーニングにも活用できる
〈マシンFAQ〉
過去に多く寄せられた機械の使い方やプログラミングに関する問い合わせとその解決方法を掲載する。研削・絞り込み・並べ替えの機能で簡単に検索することができる
Mazak iCONNECT™「M2Mサービス(有料)」の主な内容
〈ミル主軸パフォーマンス診断〉
機械に搭載されたスムースAi主軸の診断機能を使って、定期的にミル主軸の診断を行うことができる。異常検出時はマザックのサポートセンタから遠隔でさらに詳細な診断を受けられる(スムースAi主軸〔本機オプション〕搭載機に対応)
〈CNCバックアップ〉
加工プログラムや工具データ、パラメータなどをクラウド上へ自動的にバックアップする機能。機械毎にバックアップスケジュールの設定やデータの管理を行うことができる
〈稼働ダッシュボード〉
各機械の稼働ステータスを一覧で確認できる機能。表示更新秋期を設定することが可能であり、常に最新のステータスを表示できる
〈稼働履歴報告〉
日・週・月毎の平均稼働率と過去の推移や、機械停止の原因となったアラーム履歴を確認することができる
〈メンテナンスマネージャ〉
機械の定期点検を実施したかどうかを簡単に入力・管理できる。入力された内容はCNC装置の定期点検画面にも反映され、点検忘れの防止に役立てられる
Mazak iCONNECT™ 「M2Mサービス」の利用料
複数年契約時や、複数機でサービスを利用する際の料金体系を用意。個々の使用状況に最適なプランを選択可能としている。
※契約時に機械内蔵型の通信機器の購入(253千円)が別途必要
※CNC装置「MAZATROL SmoothAi」搭載機は、M2Mサービス利用料(通信機器含む)が3年間無料
※契約時に外付型の通信機器の購入(356千円)が別途必要
※外付型の通信機器1つあたり、最大10台の機械が接続できる
アマダプレスシステム デジタル電動サーボプレス「SWE-6040iⅢ」を新発売
アマダプレスシステムがこのほど、ダブルクランクのデジタル電動サーボプレス「SWE-6040iⅢ(アイスリー)」の販売を開始した。この製品は、同社初となる加圧能力6000kNのサーボプレスマシン。同社のダブルクランクのデジタル電動サーボプレスは、2015年の発売開始以来、自動車部品メーカーの顧客を中心に、高剛性構造による安定した加工で好評を博していた。今回販売を開始する「SWE-6040iⅢ」は、新開発のフレームを採用したことにより、マシンを新しい「タイロッドサイド挿入方式」にて組み立てることができ、組み立てに必要な工場天井高さを従来機比で 30%低減できる。また、設置高さ制限を抑えたため、設備導入がしやすい。
現在、自動車製造業界では、車体の軽量化のため、従来材料より薄くて硬い高張力鋼板(ハイテン材)へと置き換える動きが進んでおり、ハイテン材を加工するための加圧能力が高い大型のプレスマシンの需要が高まっている。同マシンは、高い加圧能力をもちながらも、重い負担となる天井の付帯工事を最小限に抑える画期的なサーボプレス。
同社では、今後も経営方針「グローバルに最適なプレスシステムを提供 できる企業を目指す」をもとに、製造現場を今回発売するマシン単体だけでなく、周辺装置などを含めた自動化システムとして総合的な視点で考え、顧客の価値創造を支えていく方針。
「SWE-6040iⅢ」の主な特長
(1)新開発のフレームとタイロッドサイド挿入方式:導入の容易化
特許申請中の新しいフレーム構造により、マシンの能力は維持しつつ、組み立てに要する 高さを大幅に削減したため、高さ制限のある工場でも導入しやすい。従来のフレームでは、マシンの組み立てにあたって、フレームを3分割した状態で工場に搬入し、それらを積み重ねた後、マシンの四隅に棒状のタイロッドを上から挿入し、ボルトで締結して固定していた。新しいフレームは、タイロッドを横から差し込むため、組み立てに要する天井高さを12.5mから9.0mに低減できる。
(2)サーボモーターを3基搭載:高生産性と高付加価値成形を実現
同社独自の制御で小型のサーボモーター3基同期運転することで、機敏なスライド動作が 可能となり、振り子モーション時の高生産性を実現する。また、スライド動作の応答性が高 いため、同社独自の多彩なスライドモーションを生かした高付加価値成形が行える。
(3)高剛性フレーム構造:安定した加工精度と金型長寿命化を実現
駆動部に「ダブルクランククロスシャフト機構」を、スライド摺動部に「8面ギブガイド構造」を採用したため、高い耐偏心荷重と耐集中荷重を両立する。
※1 サイドオープニングはボルスター上面高さからの寸法。
※2 マシン高さは、ピット深さおよび防振装置の高さを含んでいる。
DMG森精機 デジタルコミュニケーション「サービスリクエスト」提供開始
DMG森精機はこのほど新たなデジタルコミュニケーションサービス提供の一環として、顧客の同社製工作機械に係わる情報を網羅的に提供するポータルサイトmy DMG MORI上に、新機能「サービスリクエスト」の提供を開始した。
「サービスリクエスト」とは、顧客から同社修理復旧センタに対して、画像、ビデオ、プログラム等の多様なデジタルデータの形で顧客の状況を連絡、連携するシステム。これまで顧客からの問合せや相談は、基本的に電話で行っており、情報が断片的であったり、言葉での説明に依存していたため相互の理解に乖離が生じたりすることがあった。
「サービスリクエスト」では、顧客の見た工作機械の状況、支援要請をデジタルデータの形で同社に連携し、これらを対象工作機械のデータベースとともにデジタルプラットフォーム上で統合して可視化することが出来るようになっているため、単に修理復旧依頼だけではなく、顧客の工作機械上のプログラムに関する相談や、顧客の工作機械に確実に適用できる周辺装置の選択等の要望にも応えてくれる。現時点で、機械不具合、部品注文、プログラム関連等のメニューが用意されており、見積、発注、納期確認など顧客の利用用途に合わせた問合せをサポートする。
また、サービスの受付後も、対応ステータスを常に伝える機能を整備しており、出張修理、部品発送の予定や実績を確認頂できる。スマートフォン、タブレットからでも利用でき、工作機械の前からリクエストすることや対話をすることも可能で、迅速な修理復旧に貢献する。
同社では、過去の工作機械の修理履歴について、顧客情報を特定できないように処理をほどこした上でデータベース化し、故障原因特定用AIを同社、修理・復旧センタ内限定で活用している。
今後はサービスリクエストによる修理復旧要請にも適用する予定。AI診断能力を高め、修理復旧への対応速度をさらに向上させるとともに、AIの問題解決提案に基づく、顧客自身によるセルフ解決力の強化を目指していく。
タンガロイ アルミの超高速加工用カッタ「TungSpeed-Mill(タングスピード・ミル)」シリーズにアイテムを拡充
タンガロイがこのほど、アルミの超高速加工用カッタ「TungSpeed-Mill(タングスピード・ミル)」シリーズに、PCDインサートとカッタボディのアイテムを拡充し、販売を開始した。
「TungSpeed-Mill」は、日刊工業新聞社主催2019年超モノづくり部品大賞「機械・ロボット部品賞」を受賞しており、PCDインサートと超多刃仕様のカッタボディを組合わせ、アルミの高速高能率加工を実現している実力工具。今回、PCDインサートタイプを増やし、同時に刃数違いのカッタボディも拡充することで、より適用範囲が拡大した。
■インサート
従来のチャンファタイプに加えて、以前から要望の多かったコーナRタイプを標準化したことにより、立壁の隅にR指定のある加工物等への対応が可能となった。同時に切れ刃長を長くしたLDタイプを設定。これは湯口や鋳造ゲート等、切込みが極端に大きくなる部位の加工などに適している。このLDタイプインサートは主切れ刃(外周切れ刃)とチャンファ部に刃先処理(ホーニング)を施して切れ刃を強化しており、大きな切込み部の加工でもチッピングや欠損が起きにくくなる。
■カッタボディ
超多刃PCDカッタボディシリーズに、刃数を少なくした仕様を追加した。これによって多くの選択肢から、加工幅やワーク剛性等の違いにより変動する加工状況に応じた最適な工具を選べるようになった。
〈特長〉
(1)PCDインサートを使用し、アルミの超高能率加工を実現
PCDインサートと超多刃仕様のカッタボディを組合わせた、アルミの超高速・高能率加工用カッタシリーズ。輝きのある高い加工面品位を実現するさらい刃インサートや、バリの発生を最小限に抑えるバリ取りさらい刃も設定しており、幅広いアルミ部品の超高能率加工を実現する。
(2)新刃先調整機構「カムアジャスト」でセッティング時間を短縮
新刃先調整機構「カムアジャスト」を採用。専用レンチ1本で刃先高さ調整、インサートの締付けが可能で、調整時間を大幅に短縮できる。この専用レンチに刃先高さ調整機構を組込むことでボディ構造を簡素化。φ100mm工具で22切れ刃という超多刃仕様を実現した。
■主な形番と標準価格
●インサート
・YDEN060304PDFR-D DX110:9,295円
・YDEN060308PDFR-D DX110:9,295円
・YDEN0603PDCR-LD DX110:11,110円
●カッタボディ
・EPYD06M050C32.0R06 :129,030円
・TPYD06J080B25.4R10:180,620円
・TPYD06J125B38.1R14:272,250円
(計13アイテム:全て税込価格)