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【年頭所感】「Society5.0の実現に向け努力」日本機械工業連合会 会長 大宮英明

220118日機連 新年明けましておめでとうございます。

 年頭に当たり、平素より当会にお寄せいただいている皆様方の温かいご支援とご協力に、改めて深く御礼申し上げます。本年は寅年となりますが、「寅」の年は景気において良いか悪いか、はっきりしている傾向があるようです。また、「虎」は山々の岩をも登り勇猛果敢に前進していくことから、「寅」には「動く」という意味もあるとのことです。新型コロナウイルス感染拡大については昨年夏以降、沈静化の兆しがあるものの、新たな変異種オミクロン株の世界的流行や、国内における第6波到来の懸念もあり、明るい話題が未だ少ない状況ではありますが、「動きのある年」「今まさに始まる年」として、機械産業において、皆様において、本年が変化と進展の年となることを心より祈念いたします。

 当会が、昨年11月に発表した2021年度機械工業の生産見通しでは、生産額全体が前年度比8.9%増の70兆5,371億円でありますが、この水準は、未だコロナ前の2019年度には達しておらず、また、感染状況の再拡大懸念に加え、半導体供給不足や東南アジアのサプライチェーン等の不安要素もあり、景気の不透明感は継続しております。今後、新型コロナウイルス感染状況の減少により、経済活動が活発になることを期待しておりますが、まずは、感染防止対策を第一優先とし、健康、安全を十分に心がけ、この難局を乗り切りたいと存じます。

 昨年からの当会の活動状況についてご紹介いたします。昨今、会合実開催が困難な状況の中、会員の皆様へ、コロナ対応含む必要な情報を発信し、会員サービスの質を落とすことのないよう努めて参りました。今後もWEB等を活用した事業の運営を積極的に行い、引き続き、会員の皆様に必要な情報や、意見交換の場を提供して参ります。

 これまで我が国製造業は、自由貿易と国際分業を基礎に発展してきましたが、近年の環境変化は急速であり、迅速・適切な対応が求められています。特にグローバルにおけるバリューチェーンは、 新型コロナウイルス感染拡大がもたらす生産要素の移動に関する様々な制約や産業構造の変化、米中間の覇権争いによる貿易・投資・技術・ヒトの移動に関する規制と障壁等により、産業に本質的な対応を要求しています。加えて、第4次産業革命に代表するデジタル化とサービス化の社会転換、更には、地球温暖化対策として日本政府が掲げる2050年CO2排出ゼロ目標への対応等、環境変化はバリューチェーン全体に大きな影響を与えています。

 以上の問題意識を踏まえ、当会では2021年度から公益財団法人JKA補助を得て、関連する委員会との連携のもと、特に、通商、セキュリティ、デジタル化、環境の4点に着目し、今後の製造業の課題と対応に関する検討を始めております。2021年度に中間報告を取りまとめ、2年目となる2022年度に調査結果を公表予定でございます。

 次に、税制改正についての取り組みをご紹介いたします。
 当会では、機械業界の要望内容の策定、およびその実現に向けた要望を中心に税制に関する活動を行っております。「令和4年度税制要望」については、「ポストコロナの経済回復、カーボンニュートラル実現のための基盤構築等に資する重要税制」として、以下4点の重点要望項目に関する要望を行いました。

 ①持続可能な地球温暖化防止対策の推進 - カーボンニュートラルの実現に向けて
 ②デジタル化、カーボンニュートラル対応等に向けた設備投資促進税制の整備
 - ポストコロナの新たな経済成長に向けて
 ③経済の電子化に伴う課税上の課題への対応
 ④研究開発税制の拡充

 また、製造業関連8団体連名にて、「ポストコロナの企業変革およびカーボンニュートラル実現のための令和4年度 税制改正共同要望」を策定し、要望項目の実現に向け、共同で陳情活動を展開いたしました。その結果として、オープンイノベーション税制や5G投資促進税制の適用期限延長等、研究開発や設備投資促進において有意義な成果を実現いたしました。一方、企業負担の増大により、温暖化対応への大きな制約となり得るため反対した炭素税の導入は、今回見送りとなりました。

 次に、表彰関連についてご紹介いたします。当会は、「ロボット大賞」と「優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰」という2つの表彰事業を行っております。

 「ロボット大賞」は、今年度、第10回の開催に向け鋭意準備を進めております。「優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰」は、国内唯一の産業機械における省エネ表彰として、日本の省エネ推進に貢献して参りました。また、昨年度より新たに、CO2排出抑制という表彰分野を加え、JKAの補助を受けながらスタートを切りました。CO2削減については、産業技術環境局局長賞が新設されており、まもなく受賞者が決定されますが、本表彰が省エネ並びにCO2削減に寄与することを期待しております。皆様にも是非、両表彰事業に応募いただきたくお願いいたします。

 次に「ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)」への活動支援についてご紹介いたします。

 RRIは、成長戦略の一環である政府策定「ロボット新戦略」に基づき2015年に発足し、7年が経過いたしました。現在の会員数は約560となり、当初の226から2.5倍に増加しております。当会は、インダストリアルIoTおよびロボティクス関連の取り組みが、機械産業全体において重要な課題であるという認識のもと、今後もRRIを全面的に協力支援して参ります。

 当会の2021年度「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」においては、RRIのロボット事業(ロボットフレンドリーな環境構築に関する取り組み)と連携しながら、業務管理事業を実施しており、施設管理や食品製造等の領域におけるロボット実証事業、また学校教育への産業界からの支援事業等に取り組んでおります。そして、RRI ロボット利活用推進ワーキンググループのロボット実装モデル構築推進タスクフォース活動では、施設管理、小売、食品の3つのTC(テクニカルコミッティ)に加え、2021年9月に物流倉庫TCを新設しました。更には、高校・高専等におけるロボット教育の推進も、RRIが事務局を務める「未来ロボティクスエンジニア育成協議会(CHERSI・ チェルシー)」と共に、積極的に展開していく所存です。

 IoT関連においては、国際連携協力の一環として、2021年4月12日から16日にオンラインで開催された「ハノーバーメッセ2021」に参加いたしました。RRIはバーチャルブースを出展し、欧州へのプレゼンスアピールや、「Plattform Industrie 4.0(PI4.0)」と国際連携パートナーとしての登壇、報告書『ハノーバーメッセ 2021を読み解く~転換期を迎える産業エコシステム~』の発行等、活動を行いました。

 2021年10月には、国際シンポジウム「ロボット革命・産業IoT国際シンポジウム 2021~全ての産業の基盤としての製造業~」と題し、経済産業省とドイツ経済エネルギー省共催のもと、オンラインにて開催いたしました。RRIでは、従来の日独連携を深化すると共に、CESMII(Clean Energy Smart Manufacturing Innovation Institute)等、米国との連携にも着手しており、欧州におけるデータ流通基盤「GAIA-X」の動きにも対応し、データ連携やデータ品質の問題にも積極的に取り組んでおります。

 昨年、新たにデジタル庁が創設されましたが、日本の競争力低迷の要因の一つとして、企業内、企業間および産業間のデジタル化の遅れとデータ連携の遅れがあると考えております。第4次産業革命がドイツによって主唱されて以来、10年が経過しますが、日本の製造業の多くは未だ第3次産業革命を完遂できない状況にあります。RRIは、従来支援している政府の戦略の一つであるConnected Industriesのもと、今後も、製造業のデジタル化とデータ連携および競争力向上と生産性改革を促進し、Society5.0の実現に向け努力して参ります。

 当会は、引き続きRRIと共に、新しいデジタル社会の構築に向け、日本の機械産業に貢献し更なる発展を実現できるよう誠心誠意努める所存ですので、今後とも関係各位の引き続きのご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。最後となりますが、皆様の一層のご健勝とご活躍を心からお祈り申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。
 

日本機械工具工業会 田中会長がビデオメッセージを配信

 日本機械工具工業会(会長=田中徹也 三菱マテリアル常務)が、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点により新年賀詞交歓会を中止したことに伴い、田中会長のあいさつをビデオメッセージとして、同工業会のホームページより配信した。

↓日本機械工具工業会 HPはこちら↓
http://www.jta-tool.jp/
 

【年頭所感】「体質強化さらに前進」ジェイテクト 取締役社長 佐藤和弘

220118ジェイテクト 新年明けましておめでとうございます。

 昨年においては、新型コロナウイルス感染症や半導体供給問題なども起こり、当社を取り巻く環境は先行き不透明であり、将来予測が困難なものでした。このような状況の中、全社一丸となっての体質強化の取り組みを行ったことにより、今期の通期業績予想では黒字を見込むことができました。

 コロナウイルスの脅威や半導体供給といった環境要因の変化だけでなく、脱炭素社会の実現、生産設備の自動化など、お客様そして社会のニーズは高度化、多様化しています。こうした状況において、旧態依然の体制を維持したままでは、持続的な成長の実現できないと考え、2021年をジェイテクトリボーン元年と位置付け様々な活動を行ってきました。

 具体的には、一昨年の本社機能移転に続く本店登録の愛知県刈谷市への移転。迅速な意思決定を行うために経営役員制の導入し、事業間の連携体制を築くことができました。

 こうして事業間の壁がなくなったこともあり、各事業の技術と経験を融合させたギヤビジネスを立ち上げることができ、ギヤサプライヤーでありギヤラインビルダーでもある市場でもOnly Oneの存在になることができました。

 また、アフターマーケット事業本部を立ち上げ、これまで軸受中心に行っていたアフターマーケット対応を、自動車部品やグループ会社の商品にも商材を広げました。アフターマーケット事業はその事業の採算性だけでなく、製品ライフサイクルを支える循環型社会に貢献することも期待しています。

 事業体制のリボーンに加えて、営業のリボーンも行い、これまでできていなかった、グループ各社の商材を幅広く扱う営業体制を築き、お客様への提案の幅を広げています。加えてグループ会社の統廃合も行い、ジェイテクトセールス、ジェイテクトファインテックといったグループ会社の統合なども行いました。

 さらには、DX推進室とカーボンニュートラル戦略室を新設し、これから解決すべき課題に対し、前向きに本気で取り組むために、ロードマップを描きあるべき姿に向けて活動をしています。

 これら数々の全社的な取り組みに加えて、各工場、事業場でジェイテクトの基本理念に基づいた「地球のため」「世の中のため」「お客様のため」に本気で考え抜かれ、情熱を持って取り組まれた数々のリボーンが全員参加で行われてきました。これらの絶え間ない改善の積み重ねによって、ジェイテクトは少しずつ生まれ変わり始めています。

 2022年も感染症再拡大や資材高騰などが懸念され、先行きが不透明です。しかしながら、全員参加で対話を積み重ね行ってきた、数々のリボーンがさらにレベルアップすることで、ジェイテクトの体質強化をさらに前進させていきます。

 2022年は、数々のリボーンの成果を出し、次の未来へ進みはじめたジェイテクトにご期待ください。

日立建機が油圧ショベルとの接触事故低減に寄与する「AERIAL ANGLE STEPⅣ」を発売

220118日立建機

 日立建機は、このほど「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」2014年基準に適合した新型油圧ショベルZAXIS-7シリーズのオプションとして、機体と障害物の接触被害低減に寄与する運転支援システム「AERIAL ANGLE STEPⅣ(エアリアルアングル ステップフォー)」を日本国内向けに2022年4月より発売すると発表した。標準小売価格は290万円(税抜き)。

 厚生労働省の統計によれば、建設業での労働災害事故件数は、全産業の約3割を占めており、建設・土木業界において「安全性向上」は最大の課題となっている。建設機械による労働災害事例のなかでも、機体の動き始めや稼働時の接触事故が多くなっている。

 「AERIAL ANGLE STEPⅣ」は、機体周辺で検知した物体の位置や機体の動作状況に応じて、警報を発報、エンジン回転数を下げて動力低減し、走行・旋回動作を制限する「Aerial Angle STEPⅢ」の従来機能に加えて、機体を停止させる機能を新たに追加している。動作制限機能を強化することで、機体との接触事故低減を図る。

 さらに、ZAXIS-7シリーズに「AERIAL ANGLE STEPⅣ」を装備した場合の専用オプション「Solution Linkage Alert Viewer(ソリューション リンケージ アラート ビューワー)」は、機体周辺の物体を検知すると、管理者はクラウド経由で事務所にいながらリアルタイムに物体の検知位置やカメラ映像を確認し、検知時の現場内の状況を把握できる。
 

コマツ 国内市場向け建設機械とフォークリフトの販売価格を改定

 コマツは、このほど国内市場向けの建設機械およびフォークリフトの全製品を対象に、販売価格を平均10%改定(値上げ)した。 

 同社は世界的な鋼材不足による鋼材価格高騰や物流費の上昇などの影響があるなか、コスト低減活動や中期経営計画の成長戦略を着実に実施するなど、最大限の努力を重ねてきたが、継続的な鋼材価格および物流費の上昇の影響は、すでに企業努力のみで吸収可能な範囲を超えており、やむを得ずこのほど販売価格の改定を実施した。

 

HCIが本社移転

 HCI(社長=奥山剛旭氏)が、このほど本社を移転した。なお、旧本社(泉大津市)は式内工場として運営する。

【新住所】
〒595-0021
大阪府泉大津市東豊中町3-14-10
【新TEL】
0725-90-6206
【新FAX】
0725-90-6207

〈式内工場新電話・新FAX番号〉
TEL:0725-20-6275 FAX:0725-20-6276
 

【令和4年 年頭所感】経済産業省 藤木俊光 製造産業局長/安田 篤 産業機械課長

「官民一体となった取り組みが必要」
●経済産業省 製造産業局 局長 藤木俊光

220101経産省藤木局長■はじめに
 明けましておめでとうございます。令和4年の年頭に当たり、一言御挨拶申し上げます。

 まず、新型コロナウイルス感染症で健康面や生活面などで影響を受けておられる方々に、心からお見舞い申し上げます。また、産業界の皆様には、テレワークの推進や時差出勤、職域接種によるワクチン接種の加速など、様々な形で御協力をいただき、改めて感謝申し上げます。

 昨年は、先進国を中心にワクチン接種が進み、経済活動の回復の兆しが見えた一方で、東南アジアでロックダウンによるサプライチェーンの混乱が生じるなど、コロナの影響が残る1年でした。こうした中、経済産業省としては、中小・中堅企業の経営支援に全力で取り組むとともに、生産拠点の集中度が高い製品・部素材や国民が健康な生活を営む上で重要な物資の国内生産拠点等整備を促すべく、令和2年度補正予算等において措置した「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」により、これまでの二度の公募で合計約350件、約5,100億円を採択するなど、蓄電池や半導体を含む重要物資のサプライチェーン強靭化を進めてまいりました。

 こうした足下の措置を着実に進める一方で、ポストコロナも見据えた対応も進めていかなければなりません。特に、国際的な脱炭素の流れや人権への関心の高まりなど、サステナビリティに対する認識が強まっているほか、経済安全保障をめぐる国際情勢の変化や、更なるデジタル化の加速など、製造業を巡る環境変化は速度を増しており、官民一体となった取組が必要です。

■2050カーボンニュートラルの実現
 国際的な脱炭素の流れが加速しています。こうした中一昨年、我が国も「2050カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言し、昨年には、2030年度の新たな温室効果ガス削減目標として、2013年度からの46%削減、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けるという新たな方針を示しました。

 これを実現するためには、エネルギー関連分野に留まらず、自動車、航空機、鉄鋼、化学などの様々な産業分野においてチャレンジをしていかなければなりません。そのため、昨年には、「グリーン成長戦略」を具体化し、産業・運輸部門を含む14の重要分野について実行計画を策定しました。

 例えば、自動車分野においては、「2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%を実現する」という野心的な目標を設定しました。今後、この目標の実現に向け、充電・水素インフラの整備や購入支援を通じた電動車の普及促進、蓄電池の大規模製造拠点の立地や研究開発の推進、さらにはサプライヤー等の業態転換支援など、総合的に取り組んでまいります。また、電動化だけでなく、水素、e-fuelを含む合成燃料などあらゆる技術の選択肢を追求し、幅広くイノベーションを促してまいります。

 さらに、我が国のCO₂排出量の約1/4を占める鉄鋼、化学などの基礎素材産業分野における脱炭素化推進に向けた研究開発・調査事業等の支援や、水素航空機・電動航空機といった次世代航空機で求められる技術開発の促進など、個別産業分野の脱炭素に向けた取組についても、グリーンイノベーション基金をはじめとしたあらゆる予算措置を活用しながら、強力に推進してまいります。

■人権尊重に向けた取組
 近年、国際社会において人権問題への関心が高まる中、企業による人権尊重に向けた取組がより一層求められております。昨年10月に開催されたG7貿易大臣会合においては、グローバル・サプライチェーンにおいて強制労働が行われないよう取り組んでいくとの共同声明がとりまとめられました。日本企業は、その原料の調達をはじめとするサプライチェーン全体について、自らの事業における人権に関するリスクを特定し、対策を講じる必要に迫られております。

 こうした中、我が国政府においても、一昨年10月には「ビジネスと人権」に関する行動計画を策定し、「人権デュー・ディリジェンス」の導入を期待する旨を表明しました。さらに、製造業における先行的取組として、繊維産業においてサステナブルな取組を促進すべく、昨年、「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」を設置し、ビジネスと人権への取組を含む「持続可能性」に関する取組についての報告書をとりまとめました。

 この通り、経済産業省としては、関係省庁や産業界とも連携しながら、企業の人権尊重に向けた取組を引き続き推進してまいります。

■経済安全保障
 昨今、AI・量子といった安全保障上のインパクトを有する新興技術や、それを支える先端半導体等の基盤技術を巡る覇権争いが激化しています。さらに、米中をはじめとする主要国・地域が戦略的物資の確保や重要技術の獲得に向けて、巨額の産業政策を打ち出すなど、経済と安全保障が密接不可分な領域における対応が重要になっています。

 このような状況を踏まえ、我が国としては、経済安全保障政策の大きな方向性として、経済構造の自律性の向上、技術優位性ひいては不可欠性の確保、基本的価値・ルールに基づく国際秩序の維持・強化を掲げ、政府を挙げた対応を進めているところです。経済産業省としては、半導体・重要鉱物などのサプライチェーン強靭化や重要技術基盤の強化、輸出・投資管理による機微技術管理、エネルギーなどの基幹インフラにおける脅威の低減等の取組を進め、我が国の経済安全保障に貢献していきます。

■デジタル社会の実現
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、リモートワークといった日常生活におけるデジタル化が浸透したことに加え、行政においてもデジタル庁が設置されるなど、社会全体のデジタル化への取組が進んでおります。こうした中、我が国製造業においても、非接触や非対面といった「新たな日常」への対応、そして新たな付加価値の創出に向けて、より一層デジタル技術を活用していくことが求められています。例えば、既に自動車産業は「CASE」と呼ばれる潮流の中にあり、自動運転やシェアサービスなどデジタル技術を生かした価値創造が進んでいます。

 また、昨今は、製造業のみならず、小売り・サービス分野等でのデジタル化の進展も顕著になっております。例えば、これまで工場への導入が主だったロボットについても、小売業や物流分野等での普及が進んでおり、生産性の向上や省人化につながっています。これをより一層進めるため、経済産業省では、ユーザー側がロボットを導入しやすい環境、いわゆる「ロボットフレンドリー」な環境の構築に向けた研究開発や実証実験に取り組んでおります。その取組の一環として、昨年11月、経済産業省内においても、コンビニエンスストアにバックヤード作業を行うロボットを導入しました。こうした成果も活用しながら、引き続き、更なる環境整備に努めてまいります。

 さらに、ドローンについては、昨年に国土交通省が航空法を改正し、本年中に、第三者上空での目視外飛行、いわゆるレベル4が実現可能になる予定です。経済産業省としても、複数のドローンの同時運航を支えるための運航管理システムの研究開発を実施しており、ドローン運航のための基盤整備を進めているところです。また、セキュリティの確保が求められる政府機関や重要インフラでのドローン活用に向けては、高い安全性や信頼性を確保した安全安心なドローンの開発を推進しており、昨年12月には政府や企業向けに機体販売も開始されました。こうした取組により、インフラ点検や離島物流、そして災害対応など様々な分野でドローンの利活用が進むことを期待しています。

 「空飛ぶクルマ」については、2025年の大阪・関西万博での商用運航開始を目標とし制度整備を進めるとともに、来年度より社会実装に向けた研究開発プロジェクトを開始する予定です。経済産業省としては、こうした取組を通じて、未来の豊かなモビリティ社会を構築してまいります。

■賃上げ・下請等取引適正化
 成長と分配の好循環を生み出す、新しい資本主義を実現していくためには、民間部門による分配の強化が重要です。政府としては、民間企業の賃上げを強力に支援するため、税額控除率を大企業で最大30%、中小企業で最大40%に拡充するなど、思い切った税制措置を講ずることを決定しました。産業界の皆様におかれましても、是非御協力を頂きたいと思います。

 また、取引先も含む多様なステークホルダーへの分配を実現するためには、サプライチェーン全体での取引適正化や、取引条件の改善も重要な課題です。昨年は、9月を価格交渉促進月間と設定し、セミナーや講習会、広報活動などを通じて、発注側企業に対する取引環境の改善に向けた取組の普及・啓発を進めました。

 さらに、各業界団体の皆様には、昨年改正した下請中小企業振興法・振興基準の内容等を踏まえた、自主行動計画の策定・改定を実施いただき、取引適正化に向けた自主的な取組を進めていただきました。加えて、2020年に導入した、企業が取引先との新たな連携や望ましい取引慣行を遵守することを宣言する「パートナーシップ構築宣言」の仕組みにおいては、目標としていた2000社を大きく超える企業の皆様に宣言いただきました。この場を借りて、産業界の皆様の御尽力・御協力に心より感謝申し上げます。

 今後とも、適正価格での取引の実現やサプライチェーン全体での共存共栄関係の構築を目指し、「パートナーシップ構築宣言」の取組の更なる拡大、実効性の向上に向けて、皆様と連携させていただきながら取り組んでまいりたいと思います。

 ■福島
 福島の復興は経済産業省の最重要課題です。一昨年開所した福島ロボットテストフィールドは、「福島イノベーション・コースト構想」の中核となる施設であり、ロボットに加えて、ドローン、空飛ぶクルマといった次世代の空モビリティの研究開発・実証や制度整備等を推進する上で極めて重要な拠点となっています。

 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により延期となっていた「World Robot Summit 2020」を9月に愛知県、そして10月には福島ロボットテストフィールドにて開催いたしました。これはロボットの研究開発及び社会実装を加速するための国際大会であり、福島では3日間で4000名近くの来場者数を記録、盛況のうちに終了いたしました。今後、同大会の成果も活用しつつ、日本のロボット研究開発拠点としての福島の存在感を国内外に発信してまいりたいと考えています。

 また、福島の復興に向け、経済産業省や復興庁では、福島浜通りへの企業立地や福島浜通りでの実用化開発への補助金、税制等の支援策を用意しています。こうした支援策を活用し、新たなロボット、ドローン、空飛ぶクルマ、更にはスマートモビリティの開発などが進んでいます。皆様におかれましても、御活用とともに、福島浜通りへの進出を御検討いただければ幸いです。

■おわりに
 新型コロナウイルスの感染拡大についてはまだまだ注視が必要な状況ではありますが、経済産業省としては、これまでに述べたような様々な施策を総動員し、産業界の皆様とも連携しながら、我が国製造業の成長のために全力を尽くしていく所存です。

 最後に、産業界の皆様の益々の御発展と、本年が素晴らしい年となることを祈念して、年頭の御挨拶とさせていただきます。

「ポストコロナの時代に向けた取組を皆様と進めていく」
●経済産業省 製造産業局産業機械課 課長 安田 篤

220101経産省安田課長 令和4年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルスとの厳しい戦いを余儀なくされた1年でした。新型コロナウイルスにより健康面や生活面などで影響を受けておられる方々に心よりお見舞い申し上げます。足下では、新たに報告されたオミクロン株が多くの国で確認されるなど、新型コロナウイルスとの戦いは続いておりますが、2050年カーボンニュートラル、経済安全保障、人権デュー・ディリジェンスなど、ポストコロナの時代に向けた取組を、引き続き皆様と進めてまいりたいと思います。

 昨年10月には、第6次エネルギー基本計画を閣議決定し、2050年カーボンニュートラル、2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標の実現に向けたエネルギー政策の道筋を示しました。徹底した省エネルギーの推進や、再生可能エネルギーの最大限の導入、非効率石炭火力のフェードアウト、水素・アンモニア、CCUS等を活用した脱炭素型の火力への置き換えを進めるなど、この計画を実行していきます。

 新型コロナウイルスの影響もあり、リモートワーク等日常生活におけるデジタル化が幅広く浸透しました。従来の工場の人手不足や生産性向上に対応したロボット等のデジタル技術の活用のみならず、物流や小売業等でのロボット導入や、インフラ点検や離島物流、災害対応でのドローン活用など、新たな技術の活用の場が拡大しています。昨年11月には、ユーザー側がロボットを導入しやすい環境、いわゆる「ロボットフレンドリー(ロボフレ)」を実現するための取組の一つとして、経済産業省内においても、コンビニエンスストアのバックヤード作業を行うロボットを導入しました。こうした成果も活用しながら、引き続き、更なる環境整備に努めてまいります。

 米中対立の激化や新型コロナウイルスの影響で明らかになったサプライチェーン上の脆弱性に対処するため、重要な生産・技術基盤の強靱化等を通じて、我が国の自律性・技術優位性の確保を強力に進めます。特に、「産業の脳」とも言われる先端半導体の製造拠点の、我が国への立地促進に向けて、「半導体産業基盤緊急強化パッケージ」を打ち出し、他国に匹敵する形で、複数年度にわたる支援の枠組みを構築します。

 サプライチェーン全体での競争力強化を図る上では、企業間の取引適正化も重要な課題です。産業機械業界では、約束手形の利用等廃止も盛り込んだ業種別の自主行動計画の改定に御協力いただきました。この場をお借りして業界の皆様の御尽力に深く感謝を申し上げます。引き続きサプライチェーン全体で付加価値を生み出せるよう、望ましい取引習慣の遵守を宣言する「パートナーシップ構築宣言」の拡大に御協力いただくとともに、取引の適正化に向けて、幅広い業界の方々との議論を深めながら取り組んでまいりたいと思います。

 また、福島の復興は、経済産業省の最重要課題です。経済産業省では、福島県とともに、「福島イノベーション・コースト構想」の中核となる「福島ロボットテストフィールド」を拠点として、ロボットに加えて、ドローン、空飛ぶクルマといった次世代空モビリティの研究開発・実証や制度整備等を推進しております。昨年は、新型コロナウイルスの影響により延期となっていた「World Robot Summit 2020」を9月に愛知、10月に福島ロボットテストフィールドで開催いたしました。引き続き福島をロボットや次世代の空モビリティのイノベーションの中核地とすべく、取り組んでまいります。

 2025年には大阪・関西万博を迎えます。「未来社会の実験場」をコンセプトに、空飛ぶクルマの飛行実現も含めた最新の技術や、その技術を活用した、様々な課題解決の具体的事例を集めて、世界中に発信していきます。日本の、そして、世界の課題解決につながる万博のレガシーを作ることができるよう、政府のみならず、自治体や経済界と一致団結して取り組んでまいります。

 これからも皆様の現場の声をお伺いし、それを産業政策に生かしていきたいと考えております。何かお困りごとや御提案などがございましたら、どうぞお気軽にお声を掛けてください。

 本年が、皆様にとって更なる飛躍の1年となることを祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。
 

【令和4年 年頭所感】日本産業機械工業会/日本工作機械工業会/日本機械工具工業会/日本工作機器工業会

「アフターコロナを見据えた社会経済活動の実現に向けて」
●日本産業機械工業会 会長 斎藤 保

220101産業機械斎藤会長 2022年を迎えるに当たり、新年のご挨拶を申し上げます。

 皆様には、気分も新たに新年を迎えられたことと思います。

 昨年を振り返りますと、コロナ禍で開催した東京オリンピック・パラリンピックでは、多くの日本人選手が活躍し、世界中の人々に感動や希望を与えることのできた歴史に残る大会となりました。また、米国大リーグでの大谷翔平選手の活躍に世界中の人が胸を熱くし勇気をもらった一年だったと思います。なお、年初から全国で感染が拡大した新型コロナについては、8月下旬以降、新規感染者数が減少傾向に転じております。9月末には全国の緊急事態宣言及びまん延防止など重点措置がすべて解除され、行動制限も段階的に緩和しておりますが、新たな変異株「オミクロン株」が確認されるなど、先行きを楽観視できない状況が続いております。

 経済面では、12月に発表した日銀短観によりますと、全産業の業況判断指数が新型コロナ感染拡大後、はじめてプラス圏になったものの、大企業製造業の同指数では6期ぶりに改善が止まるなど、エネルギーや原材料の高騰、感染の再拡大の影響によっては、今後業況が下ぶれる可能性もあります。

 一方、世界経済は、国や地域によってばらつきはあるものの、ワクチン接種が普及したことで社会経済活動が徐々に再開し、欧州や米国を中心にコロナ危機による落ち込みから回復しつつありますが、引き続き感染の再拡大などが懸念され、先行きは不透明な状況が続くと予測されております。

 私ども日本産業機械工業会としては、政府や自治体の要請・指示を受け、会員各社の協力により、感染防止対策を徹底しつつ、事業活動の維持・継続に努めました。なお、2021年度上半期の産業機械受注については、国内では製造業向けの受注が堅調だったのに加え、外需も中国を中心に新型コロナ感染症の影響からの持ち直しがみられたことから、受注額が2兆2,687億円、前年同期比107.2%と3年ぶりに前年同期を上回る結果となりました。新型コロナの感染再拡大などの影響が懸念されるものの、今後も受注環境の改善が続くと思われます。

 さて、2022年は、新型コロナ感染拡大による経済への影響が徐々に緩和され、世界経済が回復に向かう復興の年になることを願いますが、欧米を中心としたインフレリスク、エネルギー・原材料価格の高騰、半導体不足、米中の政治・経済的対立の長期化に加え、変異株の感染拡大など世界経済の回復を妨げる要因が存在しております。また、世界規模の気候変動問題に対する国際的な関心の高まりを受けて、全世界でサステナビリティを重視する流れが加速しています。

 こうした中、我々産業機械業界としては、引き続き感染拡大防止に細心の注意を払いながら、事業活動の継続を最優先に努力していくとともに、台風や豪雨など多発する自然災害に対応して、社会インフラの老朽化対策に資する新技術やシステムを創出するなど、防災・減災と国土強靱化に貢献していきます。併せて、たゆまぬ技術革新やこれまで培った経験により、他国をしのぐ高付加価値製品・サービスを追求し、デジタル化の推進、カーボンニュートラルの実現、強固なサプライチェーンの構築、イノベーションの促進、さらにはイノベーションを担う人材の育成など、社会や企業が直面している課題の解決に貢献していきます。

 特に、カーボンニュートラルについては、産業機械業界にとってネガティブなものとして捉えるのではなく、ポジティブなもの、むしろイノベーションのチャンスとして捉えていきたいと考えます。更なる省エネを推進するとともに、水素、アンモニア、CCUSなどのグリーン・イノベーションの加速により、新たなビジネス機会を獲得し、わが国のみならず、世界全体のCO2削減に貢献していくことが益々重要になってくると考えます。

 政府におかれましては、新型コロナ感染の再拡大に備えて、医療提供体制の確保、ワクチンや治療薬の国内開発などに万全を期していただくとともに、ウィズコロナの下、一日も早く安全・安心を確保した社会経済活動の実現を目指していただきたいと思います。さらに、アフターコロナを見据えた経済構造の転換と好循環の実現に向けて、2050年カーボンニュートラルに向けたクリーンエネルギー戦略の推進、官民一体となったデジタル化の推進、企業の生産性向上といった重要課題に対して、スピード感を持って取り組んでいただくことを期待しております。

 年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

「あらゆる技術を進化・発展させ製造業の発展に貢献」
●日本工作機械工業会 会長 稲葉善治

220101日工会稲葉会長 2022年の新春を迎え、謹んで年頭の御祝詞を申し上げます。

 さて、昨年を振り返りますと、米中が対立を深める中、新型コロナウイルスの感染拡大が続いたものの、先進国を中心にワクチン接種の進展から経済活動を取り戻し、世界経済は緩やかな回復傾向に転じました。設備投資は回復の足取りを強め、工作機械受注は半導体関連が堅調に推移した他、コロナ禍にあって抑制されていたペントアップ需要が世界の各地域で顕在化しました。当会は2021年の工作機械受注について、9月に1兆4,500億円前後に達すると見通しを上方修正致しましたが、内外市場において工作機械ユーザーの設備投資意欲は大変力強く推移しており、2021年の受注額はこれを上回り、1兆5,000億円を上回る勢いです。

 工作機械業界を取り巻く環境では、技術面においてはAIの進化による音声認識や温度補正などの機能の実現や、5Gの普及により高速・大容量通信によるDX活用が期待されます。また、Additive Manufacturing技術の進化、ロボット技術との融合による自動化・省人化技術による生産技術革新も加速しております。環境分野では、COP26で産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑えるよう努めるとの決議が採択され、わが国製造業においても2050年カーボンニュートラルへの対応が求められます。一方で、通商環境は複雑化しており、経済安全保障への対応が必要となっております。日本の工作機械産業はこれらの変化に柔軟に対処し、あらゆる技術を進化・発展させて、世界の製造業の発展に貢献して参ります。

 JIMTOFは我が国工作機械産業の最大のイベントです。今回で60周年を迎えるJIMTOF 2022は、11月に東京ビッグサイトにて、東・西展示棟に加え新たに南展示棟を加え過去最大規模で開催致します。ユーザーの皆様に向けて世界最先端の工作機械技術・製品を発信して参ります。また、企画展示や全国から学生を招待して工作機械産業の意義や役割りを講義する「工作機械トップセミナー」の開催を通じて、工作機械産業の魅力を社会に伝えて参ります。ぜひご来場頂きたいと存じます。

 当会は、昨年12月1日に創立70周年を迎えました。2022年は、未来に向けて業界一丸となり次の一歩を踏み出して参ります。関係各位には当工業会の事業に対する一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 本年が、新型コロナに負けず、皆様にとって更なる飛躍の年となることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。

「ものづくり産業全体の活性化に期待」
●日本機械工具工業会 会長 田中徹也

220101機械工具田中会長 新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては恙なく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。また、平素からのご支援、ご協力に対して心より感謝申し上げます。

 昨年もコロナ禍により様々な制約を受けた一年となりました。東京都では2021年1月から9月までの273日間のうち緊急事態宣言が発出されていた期間は211日間にも上り、まん延防止法等重点措置を含め何も発出されなかった期間はたったの28日間でありました。10月以降は新規感染者数も減少してきましたが、欧州や中国などでの感染の再拡大のニュースも聞かれ、まだまだ予断を許さない状況の様です。 

 日本機械工具工業会(JTA)は2020年の8月を底に順調に右肩上がりの回復を続け、2021年4月から9月までの上半期累計生産金額は2,308億円(対前年同期比136%)、下半期の見込みは2,242億円(対前年同期比112%)、年度見通しは4,550億円(対前年比123%)となっております。2021年下半期見込の数字はコロナ禍以前の2019年下期レベルをキャッチアップするレベルにまで回復する見通しとなっています。

 2022年の我々を取り巻く経済環境は引き続き回復基調であり、またコロナ禍による行動制限が緩和されリアルなビジネスが昨年以上に進むと思います。11月には第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)も4年ぶりにリアルで開催される見込みで、ものづくり産業全体の活性化が期待されます。しかしすべてがコロナ前に戻るのではなく、コロナ禍の中で進んだデジタル化技術については今後も進化させ、ビジネススタイルも変化していく必要があると考えます。一方で今年は半導体の供給問題、資源・エネルギー価格の上昇、物流の停滞、中国における電力供給問題、世界各国での急激なインフレ率の上昇など多くのリスク要因があり、楽観視は出来ないものと思います。

 また昨年11月に英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、改めて世界の温度上昇を1.5℃に抑える事の重要性を再認識することが示され、我が国も2050年カーボンニュートラルを表明しています。まずは2030年に向けた国の政策対応のポイントとして、我々産業部門はエネルギー消費原単位の改善を促すベンチマーク指標や目標値の見直し、「省エネ技術戦略」の改定による省エネ技術開発・導入支援の強化などに取り組むこととなっています。当業界としても重要な社会的使命として認識し実行していく必要があると考えます。

 最後になりますが今年は寅年です。寅年は「春が来て根や茎が生じて成長する時期、草木が伸び始める状態」だとされています。一昨年から続いていたコロナ禍が私たちの生活や仕事に大きな影響を与え、一方では新しい生活様式や新しいビジネスモデルが生まれました。今年はこれらの新しい芽が「成長する」、新しい日常が「始まる」年になって欲しいものです。そしてJTA、会員の皆様にとりまして、一層の飛躍の年になりますよう祈念し、年初のご挨拶とさせていただきます。

「ベストよりモアベター」
●日本工作機器工業会 会長 寺町彰博

220101工作機器寺町会長 あけましておめでとうございます。    

 年頭に際し、所見を述べさせていただきます。

 昨年の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響が続く中、各国におけるワクチン接種が進むとともに回復の動きが見られました。一方、経済活動が活発化し需要が急回復する中、世界的な物流の混乱や半導体をはじめとする部品不足、そしてインフレの進行などが、コロナ禍から回復へと向かう世界経済の懸念材料となりました。日本においては感染力の高い変異株が流行する中、緊急事態宣言の発出と解除が繰り返されましたが、年の後半にかけてワクチン接種が順調に進捗するとともに感染者数は急減しました。

 しかしながら、第6波が懸念される中、引き続き油断せず慎重な運営が求められています。一方、そのような中でも夏には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、東京オリンピックでは日本勢が過去最多のメダルを獲得し多くの人々に勇気と感動がもたらされた年でもありました。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、通常であれば5年程度かけて起きる変革を一気にもたらしたように感じています。例えば、リモートワーク・オンライン学習の広がりによる半導体関連の需要の拡大、非対面のニーズの高まりによる自動化関連の需要の裾野の拡大、そして環境面では自動車業界がEV化へと本格的に舵を切るなど、私たちの事業を取り巻く環境に劇的な変化をもたらすとともに、ビジネスチャンスは拡大しています。

 したがって、私たちは急激な変化に怯むことなく対応し、これらの新たなチャンスをしっかりと掴む努力をしなくてはなりません。さらに、インダストリー4.0やIoT、そしてそれらを支える5Gが着実に進展する中、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進め、会社の組織形態や制度、人材育成、そして製品やサービスまであらゆる領域を見直していかなければならないと考えます。

 このように事業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する時代において、私たちに求められることは、変化に即応し、ベストよりモアベターを優先し実行するスピードを上げること、これに尽きるのではないでしょうか。良いと思ったら早く実行に移して結論を出し、修正点があればより良くする、これを繰り返してこそ、激しい変化に即応しチャンスを掴むことができると考えます。

 これらを実現できれば、必ずや私たちはグローバル競争の中で打ち勝ち、世界の製造業を牽引していくことができるものと考えております。従いまして、当工業会といたしましても、会員の皆様と強い信念を共有するとともに、新たなものを徹底的に開発、提案し、業界の発展に寄与してまいる所存です。

 最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
 

【令和4年 年頭所感】日本精密機械工業会/日本ロボット工業会/日本フルードパワー工業会/日本工作機械輸入協会

「新しい年を迎えて」
●日本精密機械工業会 会長 髙松 喜与志

220101精密機械髙松会長 明けましておめでとうございます。

 皆様には健やかに新春を迎えられた事と、心よりお慶び申し上げます。

 一昨年に続き昨年もコロナ感染症の影響が続き、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令され、大変な年でありました。昨年10月頃から第5波も落ち着き飲食業、観光業などもようやく活動出来る環境になって来ました。しかし12月には新たな変異種であるオミクロン株の患者が日本でも確認されて海外からの人の流入は停止、再開と混乱が続き、まだまだ予断を許さない状態になっています。

 そんな中、昨年の夏には、1年延期された東京オリンピック・パラリンピックが、世界的なコロナ感染のパンデミックにより開催自体を危ぶむ声も聞かれた中で、史上初の無観客により無事開催されました。連日、日本人選手の活躍が報じられ、史上最多のメダル数を獲得するなど、コロナ禍の日本に“勇気”と“元気”と“感動”を与えてくれたことが昨日の事のように思い出されます。

 昨年は私の属する製造業では半導体など部品の不足、鉄をはじめとする原材料の高騰、輸出のコンテナ不足高騰、原油の高騰など、値上がりと原料不足が続きました。色々な原因があるのでしょうが基本的には、〝需要と供給〟の需要が多いからでしょう。実感はありませんが、景気は良かったと言うことだと思います。

 なぜ実感が無いのか? 私は、給与が上がらないからだと思います。我が社には海外に子会社が8社ありますが、どの国でもGDPの伸び以上に給与は上がっており、日本との違いを痛感しています。原材料の値上がりを改善で吸収する事はとても大切ですが、価格転嫁して改善の努力分は利益と社員の給与UPに使えばどうでしょうか? 

 政府は安倍政権の時代からデフレ脱却を謳っていました。岸田総理は企業に3%程度の給与UPをお願いしています。原料価格の上がっている今が価格転嫁、デフレ脱却、そして日本の低い生産性を上げるチャンスだと思います。これを機会に私も生産性向上に頑張って行こうと思います。

 今年の干支は壬寅(みずのえとら)で込められている意味を調べて見ると『厳しい冬を越えて、芽吹き始め、新しい成長の礎となる』とありました。コロナ禍で疲弊した社会を乗り越えた知恵で今後益々素晴らしい社会を築き上げていける様に努力していきたいものです。本年も皆様にとってより良い一年となりますように心からお祈り申し上げまして、新年のご挨拶といたします。

「ロボティクスがもたらす持続可能な社会がテーマ」
●日本ロボット工業会 会長 小笠原 浩

220101ロボット小笠原会長 新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 さて、新型コロナウイルス禍は、我が国ではワクチン接種の促進等でその感染状況に大幅な改善がみられるものの、世界的には新たなオミクロン株により再び感染拡大の状況にあり、3年目となる今年においても未だ収束の兆しが見られず、引き続き予断は許されない状況にあります。

 一方で、このようなパンデミックにあっても世界経済は回復の状況にあり、国際通貨基金の見通しでは、2021年の成長率は世界全体では対前年比5.9%、日本については同2.4%の伸びとみられています。また、2022年の見通しにおいては、世界全体での成長率を4.9%とするものの、インフレ加速リスクを挙げており、インフレ率の急激な上昇が懸念材料となっています。

 このような状況の下、2021年の我が国ロボット産業は、半導体をはじめとする部品不足の影響が大きく見られましたが、堅調な中国を中心とする外需増が輸出市場を牽引するとともに、国内市場での回復基調も見られたことで全体として2桁台の大きなプラス成長となりました。これにより2021年は、受注額で対前年比27.7%増の約1兆970億円と初めての1兆円超えとなるとともに、生産額では26.5%増の約9,700億円となると見込まれます。

 そして、本年のロボット市場は、部品不足の問題は徐々に改善されることを期待するとともに、従来からの引き続き高い自動化需要に支えられ受注額は対前年比3%増の1兆1,300億円、そして生産額は5.2%増の1兆200億円と生産額においても初の1兆円超えを期待しております。

 このような中、本年10月1日をもって創立50周年を迎えます。この50年を節目に、当会及び我が国のロボット産業の歩みを回顧するとともに、「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」を統一テーマに、次の半世紀に向け広く社会において実現が期待されるロボットの有り様について展望・発信するための各種記念事業をこの1年間で実施致します。

 具体的には、①記念ロゴの制作、②主催展示会でのパネル展示(ロボット技術及び産業の変遷、工業会の歴史等)、③10月13日の記念式典・表彰式と祝賀会、④10月13日~14日での記念シンポジウム、⑤ロボット産業ビジョン2050の策定、そして⑥50年史の編纂の各事業を実施致します。これら記念事業を通じて更なるロボットの健全な普及とロボット産業の発展を目指すこととしています。

 記念事業に加え、当工業会の活動の柱となっている「市場拡大に向けた取組」、「イノベーションの加速化」、そして「国際標準化の推進、国際協調・協力の推進」の三つを重点項目として業界活性化のさらなる推進に向け、活動を行うこととしています。

 特に本年は、3月9日~12日にかけ「2022国際ロボット展」を、6月15日~17日には、昨年、一昨年と2年続けて中止となっていた「2022実装プロセステクノロジー展」を、そして10月19日~21日には「Japan Robot  Week 2022」と3つの展示会を開催致します。これらの展示会を通じて技術情報の発信とともに様々な分野へのロボット利用拡大への意欲を喚起するとともに、市場調査、技術振興等の各事業についても意欲的に展開する所存です。

 引き続き関係各位の一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様のご活躍とご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

「競争と協調の中で知恵を結集」
●日本フルードパワー工業会 会長 安藤 毅

220101フルードパワー安藤会長 新年、あけましておめでとうございます。
 
 昨年は、日米で政権が代わり、世界を見ると米軍のアフガン撤退、中国化が加速する香港やウイグルの人権問題、ミャンマークーデター、また、経済に目を向けると、世界的な原油・資源の高騰、半導体不足による自動車産業を始めとした多くの工場での減産、加えて米中貿易摩擦から経済・軍事両面での覇権争いへと移行しつつある大国間の新たな緊張関係が引き起こされました。今年の北京冬季オリンピックの開催に向けて、外交的ボイコットなどの動きも出ており、今年も一層緊張が続く気配もあり、これが経済動向に波及していくのかも注視して行く必要があると思います。
 
 さて、今年は、脱炭素社会、デジタル社会に向けての動きが加速すると思われます。昨年縦割り行政の弱点を排除し国のデジタル化を推進するためにデジタル庁が発足し、マイナンバーカードの活用なども含め、デジタル・トランスフォーメーションの社会実装に向かった動きが出てきております。当業界では、特に、無人化・省人化に向けた「デジタル」の取り組みの重要性が増しています。AIを活用した工場の無人化稼働や遠隔監視の導入などのデジタル・トランスフォーメーションの推進は、生産性の向上や競争力強化に資するのみならず、効率的なデータ収集や有事の際の企業間・工場間の連携を通じたレジリエンス強化といった観点からも、大変重要な取り組みと考えており、工業会としては、これら課題に取り組んでいくため、昨年新たに、IoT推進部会を発足させたところであります。

 カーボンニュートラルに関しましては、当業界では、省エネ化製品の一層の開発に努めておりますが、昨年開催したIFPEX2021で、今後のカーボンニュートラル社会を見据え、「新たな時代に向けた挑戦」と題し、「地球環境とものづくりに貢献するフルードパワー」を広く紹介しました。国内外に向けて日本のフルードパワー業界の新たな時代に向けた挑戦を広く発信出来たと確信しております。

 このような状況下、業界の中でも解決すべき様々な課題が出てきております。それを乗り越えていくには、競争と協調の中で皆の知恵を結集していくことが大切だと考えます。最後に、本年が良い年になるよう祈念して、年頭の所感とさせていただきます。

「コロナ禍からの復活」
●日本工作機械輸入協会 会長 井元英裕

220101輸入協会井元会長 新年明けましておめでとう御座います。2022年の年頭に当たりご挨拶させていただきます。旧年中は当協会の事業運営にご支援を頂き厚く御礼申し上げます。

 2021年輸入工作機械は、後半こそ受注は回復基調となりましたが、売上では元々長めである納期に加えて、半導体不足による納期遅延、輸送コストの高騰、又海外取引先との人的交流が皆無となりサポートが受けられない状況などが重なり、スムーズな納入検収が出来ない状態でした。工作機械輸出入の業界には本当に厳しい一年で有ったと思います。こういった状況下でも、力強く前進する関連企業、会員企業様の姿には感銘し、力付けられました。

 2022年、コロナ禍の影響は国内において限定的になったとしても、世界中でコロナ禍が収束しなければ従来と同じ環境に戻る事は無いと思われます。

 我々はこの状況のマイナス面ばかりを見るのではなく、コロナ禍で否応なく使われ始めたWEBのコミュニケーション、VRを使った情報伝達技術、ビジネスのデジタル化などを積極的に進めてプラスに転化して行く必要が有るかと思います。

 すなわち、海外との技術の交流が仕事である我々が、実際の人の動き無くしてもそれを補い、もしくはさらに先に進めて行かなくてはならない年となる事と思います。本年も皆様の御理解とご協力を頂きながら、会員一同チャレンジしていく所存です。

 最後になりますが、皆様の益々のご多幸とご健勝を祈念申し上げて、年頭の
ご挨拶とさせていただきます。


 

【令和4年 年頭所感】日本工作機械販売協会/日本歯車工業会/日本光学測定機工業会/日本建設機械工業会

「新しい成長の礎になる年に」
●日本工作機械販売協会 会長 依田智樹

220101日工販依田会長 2022年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 昨年は丑年で文字通り「我慢の年」になりました。コロナをはじめ様々な困難への対応に明け暮れた1年でした。

 コロナ感染拡大は年初の第3波に始まり、春に第4波、夏に第5波が到来、8月のピーク時には1日の感染者が26,000人程になり、秋には急減しましたが、最近新たな変異株が世界的に流行の兆しを見せ始めています。コロナとの闘いは未だ収束しておらず、今年も引続き対策を講じながらうまく共生して行く途を辿るしかなさそうです。

 コロナが後押ししたところもありますが、我々の働き方や生活様式も大きく変わりました。Web会議やテレワークでデジタル技術の利便性を認識した一方で、リアルの価値にも気付かされた1年で、これからは両方を使い分けるハイブリッド社会となるでしょう。

 一方資源価格の高騰、半導体や部品・部材のサプライチェーン混乱、米中対立や中国の景気減速等の世界的な政治・経済・社会の不安定要因が顕在化して来ました。また、世界中が地球温暖化に危機感を抱き「脱炭素」に向けて舵を切り始め、EV化や再生可能エネルギー等の「グリーン投資」に目を向け、SDGs経営が企業の持続的成長に必須な世の中になって来ました。これまで経済成長路線一筋だったのが環境への配慮や富の分配が大事との考え方に変わりつつあります。日本はこうした世の中の潮流にうまく乗り、成長と分配を適正に達成する舵取りが求められます。

 日本工作機械販売協会もお陰様で半世紀の歴史を経て新しい時代に入りました。会員各社は日本が誇るものづくり業界の更なる発展の為モノ売りだけでなくコト売りの機能を高め、お客様のニーズに応える提案力を益々磨いて行かねばなりません。
今年は壬寅(みずのえとら)。虎は決断力と才知の象徴であり、寅年は古い時代から新しい時代への転換点になると言われています。2年間続いたコロナ禍から復元し、新たな変化に対応し、芽吹き始め、新しい成長の礎になる年になることを願い、新年のご挨拶とさせて頂きます。

「原点復帰、新たなる挑戦」
●日本歯車工業会 会長 植田昌克

220101歯車工業会植田会長 新年あけましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 旧年中は日本歯車工業会の事業運営に格別のご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 一昨年に続き昨年も、新型コロナウィルスの感染拡大に翻弄された一年となりました。年末には新たな変位型「オミクロン型」が世界的に猛威を振るいはじめ、緊急事態宣言の解除後、感染者が激減し、感染終息も間近と安堵していた矢先、3回目のワクチン接種が急がれる事態となっています。水際対策の強化で日本では感染者の急拡大に至っていませんが、他国との人流が抑えられた状態では完全なる経済復興までにはまだ険しい道のりが続きます。晴れやかな新年を迎え、少しでも早く感染拡大前の活況に戻ることを心より願うところです。

 さて、昨年は一年に渡り歯車の基礎並びに応用を学ぶ教育支援事業「ギヤカレッジ」を、全面的にオンラインによる講義に変更して再開しました。受講生同士の交流の場が持てなかったことは非常に残念ですが、著名な講師の講義を画面越しではありますが目前で受講できたことは、受講生にとって新鮮かつ充実した学習スタイルになったようです。また、チャットを利用した質問も数多く出され、従来の形式とは異なる良さも生まれています。

 一方、開校以来16年が経過した当事業も、カリキュラムの編成も含め、全体を見直す時期に来ています。日本を担う若き歯車技術者の育成に向けて、引き続きこの教育支援事業の内容充実に取り組んでまいります。

 同カレッジ修了者を対象とした「フォローアップ研修会」、次世代の若手経営者の育成及びネットワーク構築のための「若手経営者研究会」も、オンラインを活用した内容に変更しました。経営研修会、歯車関連規格(ISO,JIS)の対応など他の事業においても、オンラインに移行しました。対面とは違い戸惑うことも多々ありましたが、回数を重ねるごとに相互に慣れ、オンラインならではの効果も出ています。コロナ禍にあっても地道に事業を継続することが、歯車業界を牽引する次なる人材養成に繋がると確信しています。

 弊会は「国際競争力強化を視野に事業推進」「会員にとって魅力ある企画の実行」「次世代経営者・技術者育成事業」を柱として事業展開しております。“歯車”はこれまでも、そしてこれからも重要な機械要素の一つとして各種産業機械に使われ続けます。これにはグローバル化の推進、若きエンジニアの育成が必須で、弊会の各種事業を通して歯車業界を下支えしていく所存です。

 今後も、経済産業省、各教育機関、諸団体の方々と密接に連携しながら、歯車産業ひいては日本の機械産業の発展を願い、皆様のお役に立てる工業会をめざし努めて参りたいと存じます。

 今年が皆様にとって飛躍の年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

「高速・非接触にて更なる高品質へ寄与」
●日本光学測定機工業会 会長 浜田智秀

220101光学測定機浜田会長 明けましておめでとうございます。謹んで新春のご挨拶を申し上げます。平素より関係者の皆様には日本光学測定機工業会の活動に、ご理解とご支援を賜り、厚くお礼申し上げます。

 昨年は、米中貿易摩擦などの保護主義的な流れが経済へ影響を及ぼし、下降局面でスタートしました。更には、想定外の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、産業界全体が冷え込み、リーマンショック以来の環境悪化となりました。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症により働き方の改革を迫られ、昨年も触れたデジタルトランスフォーメーションは、前倒しされながらより一層加速されてきました。5Gはサービスが開始され、AIの応用も着実に身近なものとなってきました。

 一方、モノづくりそのものに目を移しますと、その手法自体は大きく変わってきています。種々雑多な材料を前提とした多品種少量製品へ適用するための3Dプリンターなどが生産へ寄与する領域の拡大が顕著となっています。このようなアディティブ・マニュファクチャリング領域に於いても最終部品・製品の高品質を保証することが重要となっています。形になれば良いのではなく、目的とする機能・性能を安定的に実現することが求められます。

 過去より度々繰り返される品質問題は益々顕在化する可能性を含んでおり、歩留り向上やコストダウンという狭義での品質保証の領域を遥かに超え、問題を起こした製品の評価を単に下げるだけでなく、企業価値そのものを大きく毀損させるリスクがあることを強く認識しておく必要があります。

 当工業会では見えないものを見えるようにするだけでなく、定性的なものを定量化できるよう活動を続けております。光学測定機が得意とする可視光領域に加え、近赤外や紫外線、更にはX線などの不可視光を使用することによってこれまで検出困難であったものを数値化し、更に高速かつ大量な計測データを瞬時に取得することを可能としており、これまで見逃していた現象・事象の把握だけでなく評価方法の確立をも推し進めてきています。加えて、検査・測定・計測の自動化、省力化をなお一層進化させ、製品・部品の良否判定だけでなく、スピードディに工程改善へのフィードバックなどを可能とし更なる高品質をも具現化します。

 人間の恣意やバラツキ、不確かさの入る余地がない品質保証、信頼性、ひいては安全、安心を実現する世界へ向けて今後も新たな提案を継続していき、皆様の企業価値向上に繋げるためのお役に立てると確信しています。厳しい競争に勝ち抜き社会へ貢献する企業の皆様と共に、更に成長するため精進して参ります。

 劇的に変わりゆくこのような時代にめぐりあえたことを幸せだと感じ、産業の発展へ寄与できることをこの上ない喜びと考えております。これまで以上に関係各位の皆様との連携を深め、皆様方の課題解決を図るだけでなくイノベーションのお手伝いができるよう取り組みます。

 ダイナミックでスピード感のある大きな時代変化の流れの中、それに呼応する形で、光学に基づく切り口を武器に非破壊・非接触型測定機を主としたリアルタイムな光学測定技術を深化させ、あらゆる課題を見える化・顕在化させることによって素晴らしいモノづくり、コトづくりを実現してゆきますので、今年もよろしくお願い申し上げます。

「調和と発展による世界への貢献」
●日本建設機械工業会 会長 数見保暢

220101建機工数見会長 新春を迎え謹んでお慶びを申し上げます。会員各社ならびに関係省庁、関係団体の皆様には平素より、日本建設機械工業会の活動に格別のご支援とご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。

 昨年は新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、世界中で多くの方が感染し、また亡くなられました。ここに亡くなられた方々に謹んでお悔みを申し上げます。新型コロナウイルス感染につきましては、医療体制が逼迫する程の急拡大後、しばらく新規感染者の発生が低位で推移しました。しかし昨年後半には変異株の感染拡大が懸念されるなど、今後も感染症はかたちを変えて続くものと想定されます。引き続き適切な感染対策を実施し感染リスクを低減させていくしか無いと思っております。

 さて建設機械の市場動向については、昨年8月に当工業会から令和3年度(2021年度)、令和4年度(2022年度)の建設機械需要予測を発表致しました。令和3年度(2021年度)全体の通期需要予測は、国内は微増、輸出が大きく牽引し全体では前年度比15%増加という、前年度からの回復が鮮明と想定されています。実際に月次金額ベースの出荷統計では、国内市場は4月から微増・微減を繰り返し、輸出は毎月連続しての大幅増加、10月までの出荷金額合計では前年比38%増加と大幅な回復状況です。このように昨年末時点での世界需要は、大幅に回復傾向にありますが、新型コロナウイルス変異株の感染拡大懸念や、部品調達難、海外市場間物流の停滞と、それらに起因する物価上昇などが影を落としています。

 このような新たな事象が発生し、市場への供給対応に不足や遅延が想定される状況にありますが、建設機械産業は社会資本の整備に資する建設機械本体や部品、サービスを安定して提供することが使命であり、市場からの要求に対応できるよう引き続き注力していかなければなりません。さらに益々要請の強まるカーボンニュートラル社会の実現に向けて、製品面では環境負荷の低い建設機械が求められ、施工プロセス面では労働力不足や熟練労働者の減少による生産性の維持をはかるための、ICTを活用した情報化施工の普及もはかる必要があります。

 当工業会では激しい外部環境の変化に対応するため、昨年はコロナ禍においてもWEB会議などのツールを最大限活用し、各委員会や部会は精力的に活動を致しました。具体的にはカーボンニュートラル社会の実現にむけて、会員各社の製品開発面、製造プロセス面での活動推進を支援するため勉強会を関係各省のご協力を頂き開催致しました。また各種説明会や講演会で過去最高の聴講者数を記録するなど、WEBツールの特性を活かした成果を出し、当工業会ホームページも全面リニューアルを実施し、情報の発信力や利便性を向上させております。

 本年も見通しの難しい時期において、昨年度の事業計画の仕上げと新たな事業計画を策定する重要な年となります。当工業会の設立理念である「調和と発展による世界への貢献」ならびに「共生と競争」のもと、新しい工業会の事業活動を考え、変革して社会に貢献して参りたいと思います。

 最後になりますが、新型コロナウイルスの感染症が早期に収束し、安心して生活できる社会を回復すること、そして皆様にとって良い一年となりますように祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせて頂きます。