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碌々産業 牧野フライス精機の荒木氏に『Expert Machining Artist』を授与

碌々産業(社長=海藤 満氏)が、微細加工機をあやつるオペレータを「Machining Artist(マシニングアーティスト)」と呼び、普及活動を行っているが、さらに微細加工分野で卓越した技術をもって活躍している技術者を「Expert Machining Artist(エキスパート・マシニングアーティスト)として認定している。
このほど牧野フライス精機(社長=清水大介氏)の技術部に所属するシニアスペシャリストの荒木裕二氏が「Expert Machining Artist」に認定され、牧野フライス精機内で表彰式が行われた。
荒木氏は、「微細加工のイメージは、半導体に使用される金型のイメージが強くあり、われわれの関係している工具の世界でもこの業界に牽引されていると思っている。R寸法でいえば100分の1、製品の寸法公差は±1ミクロンだが、ここにきて中国をはじめR精度、寸法公差も追いつきを見せてきた。微細加工はニッチな世界。好調な半導体産業などで必要とされる工具も増えており、ますます努力していかなければならないと感じている。」と述べ、感謝の意を表した。

牧野フライス精機の清水社長はあいさつの中で荒木氏を推薦したことに触れ、「長年加工をやられ、新しいことにも果敢にチャレンジするとともに後輩の育成にも貢献して頂いた。Expert Machining Artistにふさわしいと思い推薦するに至った。おめでとうございます。」とコメント。同社の安西貞司常務も、「ここにいる皆様も荒木さんのようにExpert Machining Artistに認定してもらえるよう頑張ってください。」と社員に声援を送った。
今回で3期目を迎えたこの活動は、毎年30人ほどが認定されている。碌々産業の技術委員会が策定した「Expert Machining Artist」認定基準は下記の通り。
(1)ミクロン台の超精密加工でかつ美しく繊細(高品位)な微細加工を深く追求する人
(2)自分の仕事に強いこだわりを持ち、常人では真似のできない微細加工を行っている人
(3)微細加工に対し、常に向上心と進化を求める人
(4)加工技術を見えるか(数値化=デジタルデータ化)し、論理的に分析する人
(5)自分の得たスキルを公認へ伝承することにためらいのない人
なお、この「Expert Machining Artist」に認定された方々の登録証は、碌々産業のショールーム『MA―Lab』(Machining Artist’s Laboratoryの略)に飾られている。
碌々産業の海藤社長は、微細加工機を操るオペレータについて、「実際は恒温室でCAM等のデジタルデータを駆使し、アーティスティックな感性をフルに発揮できるかっこいい職業。マシニングアーティストという名称を認知して貰い、工業系若者の憧れの職業にしたい。」としている。
キタムラ機械 「SUPERCELL-800G」をリリース

キタムラ機械が、このほど同時5軸制御横形マシニングセンタの新製品「SUPERCELL-800G」を発売した。 1984年以来900セット以上販売実績がある「SUPERCELLシリーズ」の人気機種「SUPERCELL-300G」、「SUPERCELL-400G」に続く最上位機種となる。
パレットサイズは630×630mm、最大ワークサイズは直径900㎜×高さ700mm、最大積載重量は1200Kg、主軸回転速度は毎分2万回転、工具収納本数122本。
このマシンの最大特長は、傾斜軸中心と回転軸テーブル上面が直線上に配置された5軸原点共有構造。パレット交換や工具交換の際の工具長補正等の各種補正値の変更が不要となり、自動化が容易で加工時間の短縮と生産性の向上を実現する。
新規設備時だけでなく、機械納入、稼働後であっても、21パレット仕様等のFMS対応や工具マガジン拡張が可能であり、生産状況の変化に応じていつでも完全無人化対応を構築できる。
高追従性と高品位な加工面を実現する両端支持のトラニオンテーブル構造の持つ高剛性と主軸剛性により実現される従来比60%アップの切削能力に加え、毎分130回転の回転軸(B軸)が実現する旋削加工(工程集約)などにより生産性の向上を図っている。
全駆動軸には同社独自のツインボールネジ・ツインサーボモータ同期制御を採用。軸心冷却と超高精度・高分解能光学式スケールフィードバックを標準装備し、位置決め精度±0.002mm/フルストロークを実現した。1/1000°割出が可能な回転軸は割出精度が業界最高レベルの±2秒で高精度加工を可能する。
また、2008年に世界で初めてアイコン制御を可能とした独自開発のCNC装置「Arumatik-Mi」を搭載している。作業者の習熟度の違いによって起こり得る5軸制御MCの稼働率のバラツキ、操作ミスによる機械停止や作業負担を軽減するため、作業者を顔認証で識別し、簡単に作業者ごとに操作制限をかけられる個人認証システム(特許取得済、文部科学大臣賞受賞)が搭載可能であり、DX(デジタルトランスフォーメーション)にも対応可能。同時5軸制御MCを安全・安心に稼働管理することができる。
航空機、半導体製造装置、電力・エネルギー関連、建設機械・車輛関連の構造部品加工等の市場をターゲットにしている。
タンガロイが2製品を発売 ~鋼加工用新PVD材種「AH6225」、「ISO-EcoTurn」大幅拡充~
コーティング材種「AH6225」と、標準サイズのインサートと同等の切削性能を発揮する高経済性旋削加工用工具「ISO-EcoTurn(ISOエコ・ターン)」シリーズを大幅に拡充させ、発売を開始した。
あらゆる加工形態に対応するシリーズへと進化したステンレス鋼加工用新PVD材種「AH6225」

この製品は、ステンレス鋼の旋削加工において、安定した寿命性能と驚異的な信頼性を発揮し、従来材種よりもさらに幅広い加工形態に対応できる汎用性の高いPVDコーティング材種。
新しい「AH6225」材種には、Ti高含有(チタンリッチ)で耐熱性の高い厚膜PVDコーティング膜を専用に開発している。このコーティングは特にすくい面のクレータ摩耗の抑制に高い効果がある。また、最外層に新開発のチタン高含有ナノ積層膜を採用。硬度が高く、ち密な微粒組織によって、優れた耐摩耗性を発揮する。
耐欠損性に優れ、熱伝導率の非常に高い専用超硬母材を組合わせている。これによって切れ刃近傍の切削熱を素早く拡散させ、刃先の温度上昇を抑制することで塑性変形を大きく低減させることが可能となる。
ステンレス鋼の旋削加工では被削材の種類や硬度、加工条件のわずかな変化によって、工具寿命が大きく変化することがあるが、「AH6225」材種は、新開発のコーティング膜と専用超硬母材の組合せによって高い信頼性を獲得し、ステンレス鋼の旋削加工において汎用性の高さが最も必要とされる加工領域で、非常に安定した寿命性能を発揮する。
■主な形番と標準価格
・CNMG120408-SM:1,034円
・VNMG160404-SF:1573円
・TCMT16T304-PS:1463円
(いずれも税込価格)
経済性工具シリーズ「ISO-EcoTurn」~インサート設定を大幅拡充~

同シリーズは、標準サイズよりも小型のインサートでありながら、同等のインサート厚みにより耐欠損性を維持しながら、特に切込み3mmまでの領域で同等の切削性能を確保できる高経済性旋削加工用工具シリーズで、今回、新たなインサートを設定し、より幅広い加工に対応できるシリーズへと進化している。
●材種
鋼の仕上げ加工用として好評のサーメット材種NS9530、コーテッドサーメット材種GT9530/AT9530の設定を強化した。単純外径から複雑な倣い加工まで様々な仕上げ加工で威力を発揮する。また、鋼旋削用CVD材種T9200シリーズもアイテムを拡大し、選択肢が広がった。
●チップブレーカ
仕上げ加工用として評価の高いTS形を新たに設定。切込みの小さな仕上げ加工でも抜群の切りくず処理性を発揮する。また、サーメット材種との組合せで安定した工具寿命を実現した。さらに、複雑な倣い加工など切りくず処理が難しい加工で優れた性能を発揮しているZF形、ZM形の設定アイテムやコーナRサイズを拡大し、様々な加工に対して選択の幅が広がった。
■主な形番と標準価格
・CNMG090412E-ZM T9215:825円
・DNMG110412E-ZM T9215:1,177円
・VNMG120404E-ZF T9215:1,221円
計63アイテム(全て税込価格)
DMG森精機 自動化システムを制御するソフトウェア「LPS 4th Generation」を開発

DMG森精機は、このほど同社の自動化システムの制御を行うソフトウェア「LPS 4th Generation(以下、LPS Gen.4)」を開発したと発表した。
工作機械技術の進歩に伴い、量産加工の自動化だけでなく、多品種少量生産の自動化が可能となり、また省人化、効率的な生産、品質の維持、労働環境の改善などのさまざまな目的から、製造現場で自動化システムを導入する企業が増加しているが、同社の受注における自動化システムの搭載比率も20%強となっている。同社では2030年にはその比率が80%程度になると予測しており、今後さらに自動化システムの効率的な運用、管理が必要との見通しをしている。
「LPS Gen.4」は同社の自動化システムの制御を行うソフトウェアで、複数の工作機械、ロボット、計測、洗浄など、工作機械を中心とした自動化システムの全オペレーションを完璧にコントロールするもので、生産計画の作成、管理だけでなく、工具管理システムの制御など、生産の自動化をサポートする拡張性のある機能を搭載している。
デザインを新しくしたタッチパネル式の自動化システム専用操作盤に搭載しており、堅牢な構造で耐防塵性、耐水性に優れ、さまざまな工場の環境にも対応できるように設計している。また、事務所のPCからも操作できるので工場と事務所での同時作業が可能となった。ソフト面だけでなくハード面でも同社が顧客を強固に守り、顧客の自動化を強力にサポートする。
↓下記のWebサイトに動画を公開している↓
https://www.dmgmori.co.jp/movie_library/movie/id=5649
主な特長

(1)自動化システムの一元管理
・加工プログラム、パレット、治具、加工機、加工工程など、ワークごとの加工情報を ジョブとして登録し、いつでも呼び出して生産が可能。
・ジョブは対話形式で簡単に設定が可能。
・登録したジョブを呼び出し、オーダー登録画面で数量と加工する優先順を入力して実行するのみで、自動で搬送スケジュールを計算して自動化システムが稼働開始。
・1パレットに最大32ヵ所のワーク取り付け位置を設置可能。複数のワークをセットできるため、多品種ワークの段取り作業を集約して生産効率向上。
(2)工具管理システム(オプション)
・工具管理ソフトMCC-TMSと組み合わせて工具を一元管理。工具状態を把握して、最適なシステム稼働を行い、多品種少量生産や長時間の無人運転をサポート。
・工具寿命や工具の消耗予測を確認できる工具レポート機能を搭載。
(3)生産をサポートする革新的な機能
・マルチクライアント機能
+ 工場では操作、事務所では加工計画の設定や稼働状況の確認のように同時作業が可能。
・治具管理機能
+ パレットに使用する治具を管理。
・素材管理機能
+ 在庫情報を管理し、最適な素材を供給。
・キャパシティプランニング機能
+ 設定したジョブが納期に間に合うかを計算し、最適なスケジュールや加工機を設定。
・ダイナミックスケジューリング機能
+ オーダーの優先順位と機器の状態をもとに、リアルタイムに搬送スケジュールを コントロール。
・オペレーションスケジュール機能
+ 有人/無人運転の切り替えや休日登録など、システムの稼働スケジュールを設定。
・E-mail機能
+ LPS Gen.4から稼働状況を直接メールで送信し、外出先からでも稼働状況を確認。
・レポート機能
+ 加工時間、機械稼働実績などのさまざまな履歴を最大1年分閲覧が可能。
(4)セキュリティ機能
・ホワイトリスト型のセキュリティ対策ソフトを搭載。
・ホワイトリストに搭載したプログラムのみ実行できるため、不正プログラムの実行を防止。
・不正プログラムの実行を防止できるため、機械本体からのウィルス感染も防止。
・定義ファイル更新等が不要なメンテナンスフリーのセキュリティソフト。
(5)新デザインのタッチパネル式専用操作盤
・防塵、防水の専用きょう体を使用し、さまざまな工場の環境にも対応。
・パレットや加工機の状態、加工の進捗などを大画面のタッチパネル式22インチモニタでリアルタイムに表示。
・信頼性の高い専用のハードウェアや電気部品を搭載し、工作機械本体と同じ長期保守対応。
・耐熱性、耐衝撃性に優れたSSD(ソリッドステートドライブ)を搭載し、高速なデータ処理を実現。
・UPS(無停電電源装置)を搭載し、停電時でも安全にシャットダウンすることでデータ保護。
・段取りステーション用の操作盤を増設可能(オプション)
(6)拡張性
・旧システムMORIC-AC、CAPS-LPS、MCC-LPS II、MCC-LPS IIIからのアップデートが可能(使用中の旧システムには操作盤の置き換え対応の提供を予定している)
・Webベースのソフトウェアにより、PCやタブレットなどのデバイスから画面操作可能。

組み合わせた大規模自動化システムを制御
天田財団 2020年度後期国際交流・技能検定受検手数料助成先を決定
天田財団(理事長:末岡愼弘氏)は、公益事業として、金属等の塑性を利用した加工および高密度エネルギー(レーザ等)下での諸特性を利用した、①加工に必要な技術に関する国際交流に対する助成、ならびに、②加工に従事する者の技能と地位の向上を目的とした資格取得に対する助成を行っているが、このほど2020年度後期の助成先を決定したと発表した。
国際交流助成
助成先総数は2 件、助成金総額は173万円となった。2020年度後期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により国際会議への参加および国際会議の開催の多くが延期または中止となり、申請数が激減した。

2020年度前期に採択した研究開発・国際交流助成を含めると、2020年度の助成先総数は90件、助成金総額は2億4,602万円となった。1978年の設立以来、33年間で累計助成先件数は1,919件、累計助成金は32億762万円となった。
資格取得助成(技能検定受検手数料助成)
助成対象の資格として、職業能力開発促進法施行令で指定され都道府県職業能力開発協会が実施する国家検定「工場板金」の技能検定受検手数料に助成を行った。助成先人数は366 名(115 団体:364 名、個人:2 名)、助成金総額は541万円となった。2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、前期技能検定が全国で中止となった。また、後期技能検定も一部の都道府県で中止となり受検者が減少した。

なお、技能検定受検手数料助成は2019年後期より開始した。累計助成者数は794名、累計助成金額は1,249万円となった。
2021年度第13回レーザー学会産業賞 貢献賞を受賞 天田財団
天田財団(理事長=末岡愼弘氏)は、このほどレーザー学会が主催する「2021年度第13 回レーザー学会産業賞」において、貢献賞を受賞した。
産業賞は、レーザーに関する製品・技術の開発、実用化、普及などにおいて、国内のレーザー関連産業の発展に貢献しうる優秀なものに授与される。なかでも、貢献賞は優れた基礎的技術を有するもの、あるいは累積的貢献に対して贈られる。
今回の受賞は、社会実装に主軸を置いたレーザープロセッシング分野への研究助成、およびレーザー加工に関する若手研究者への支援などを通じた継続的な貢献が高く評価されたもの。
天田財団は、1987年の設立以来、2020年度までに累計で1,925件、32億762万円の助成を行っており、そのうちレーザープロセッシング分野への助成については2007年より開始し、その累計は425件、8億7,905万円となった。
同社では、今後も、時代のニーズに合わせてレーザープロセッシング分野における技術の向上を支援し、広く産業界および経済の発展に寄与していくとしている。
コマツ 「KOM-MICS」をクオリカより一般販売開始

コマツは、このほど、生産現場で培った技術とノウハウを活かした生産プロセスにおける課題解決と生産性向上を実現する「KOM-MICS」を2021年4月よりクオリカを通じて販売を開始したと発表した。
コマツは、中期経営計画「DANTOTSU Value – FORWARD Together for Sustainable Growth」において気候変動に対応した環境負荷低減の取り組みや、安全に配慮した高品質・高能率な商品・サービス・ソリューション提供に取り組んでおり、日本の製造業の発展、特に中小企業の生産現場のDX化促進に寄与することを目的として、「KOM-MICS」を他企業にも販売し、クオリカを通して提供していく。
「KOM-MICS」 は、工作機械やロボットから稼働データおよび加工データなどの各種データを収集し、それを分析することで、工場の稼働状況の可視化や最適化に向けた施策立案を支援するプラットフォーム。前中期経営計画よりコマツは「つながる工場」活動を推進し、その一環として生産ラインを見える化・改善する「KOM-MICS」を自社開発した。当プラットフォームは国内外のコマツグループ生産工場および協力企業に展開され、これまでに機械加工機約1,000台、溶接ロボット約500台に接続され、サプライチェーン全体の生産性を飛躍的に向上させている。さらに、顧客が使用している様々なメーカーの既存の工作機械やロボットに対しても安価かつ容易に後付けが可能であり、ICTに関する特別なリテラシーが要求されないことから、様々な生産現場への適用が期待できる。
日立建機日本 建設機械の本格生産開始から70周年記念企画でギネス世界記録™を達成

日立建機の連結子会社で、国内の建設機械の販売や部品・サービス事業などを担う日立建機日本は、2020年度に建設機械の本格生産から70周年を迎えたことを記念して、折り紙の油圧ショベルによるモザイクアートを制作した。このモザイクアートは、「折り紙で作ったショベルカーの最多展示数/Largest Display of Origami Excavators」(5,204個)として、3月10日にギネス世界記録™の認定を受けた。
今回のギネス世界記録™への挑戦にあたり、日立建機日本の全従業員(246拠点、約3,000人)に呼びかけを行い、コーポレートカラーのタキシーイエローをイメージしたオレンジ色のほか白、黒、青、緑など10色の折り紙で約5,800個の油圧ショベルを制作した。それらを日立建機日本の本社(埼玉県草加市)にて1つ1つ丁寧に特製パネル(縦2,940mm×横8,260mm)に貼り付け、1枚のモザイクアートを完成させた。
3月10日にギネス世界記録™の公式認定員による厳格な審査を経て、5,204個が認定された。完成したパネルは、日立建機日本の本社のエントランスに、2022年3月まで展示する予定。
2021年3月分工作機械受注総額は1278.8億円 日工会
日本工作機械工業会がこのほどまとめた2021年3月分の受注実績は以下の通り。
2021年3月分工作機械受注総額は、1278.8億円(前月比+21.1% 前年同月比+65.1%)となった。受注総額は、2019年3月(1306.6億円)以来、24カ月ぶりの1,200億円超。年度末効果もあり、内外需とも前月から2カ月連続増加し、回復が継続。
内需は404.9億円(前月比+32.9% 前年同月比+18.2%)で、18カ月ぶりの400億円超。前年同月比は28カ月ぶりの増加で、幅広い業種で動きが見られ、全11業種中9業種で前月比増。
外需は873.9億円(前月比+16.3% 前年同月比+102.3%)で、29カ月ぶりの800億円超。主要3極全てで前月比、前年同月比とも増加し、好調な中国以外でもコロナ禍以前の水準に戻りつつある。
全地域的に回復が進みつつあり、今後のさらなる回復に期待する一方、感染拡大状況について引き続き注視。
3月分内需
404.9億円(前月比+32.9% 前年同月比+18.2%)。
・2019年9月(460.7億円)以来、18カ月ぶりの400億円超。
・前月比2カ月ぶり増加、前年同月比28カ月ぶり増加。
・年度末効果もあり、幅広い業種で動きが見られ、2019年半ば頃の水準に回復。
(出所:日本工作機械工業会)
3月分外需
873.9億円(前月比+16.3% 前年同月比+102.3%)
・2018年10月(819.3億円)以来、29カ月ぶりの800億円超。
・前月比2カ月連続増加、前年同月比5カ月連続増加。
・アジアがさらに伸長、欧米も2019年央の水準まで増加し、前年同月比は2倍の増加。
(出所:日本工作機械工業会)
三井精機工業 ユーザー向けの工場見学会を開催

三井精機工業(社長=加藤欣一氏)が、3月17日(水)~19日(金)までの3日間、工作機械ユーザー向けの工場見学会を本社工場内精機棟Eラインで開催した。今回は、来場者会場内・出入り口付近に消毒液を設置したうえ、来場者全員に体温検査を実施するなど万全なコロナウイルス感染対策を実施した中での開催となった。加藤社長にお話を伺うとともに、工場見学会をレポートする。
カーボン・ニュートラルの普及による新技術開発に期待

コロナ禍の影響で、約1年ぶりにリアル展示会となった今回の工場見学会は、従来のプライベート展示会とは違い、開会式、セミナー、コンプレッサ工場の見学、協賛メーカーの展示、軽食の提供などの実施はなく、来場者も密を避けるために人数を制限したうえでの開催となったが、その分、じっくりとマシンを見学することができた。
今回展示されていたのは、プレシジョン・プロファイル・センタ『PJ812』、ジグ研削盤『J350G』、横形マシニングセンタ『HU80EX』、5軸立形マシニングセンタ『Vertex55XⅢ』、『Vertex100X』、5軸横形マシニングセンタ『HU80A-5X』、『HU100-TS』、ねじ研削盤『GSH200A』など。そして注目の新製品は、プレシジョンセンタ『PJ303X』と大型ジグ研削盤『J750G』の2機種。
加藤社長は、「昨年は行動が制限されましたが、機械を実際に見て頂きたかった。」と話す。1人の営業担当者がこの見学会で対応するのは1日に2組ほどとのこと。本気で同社のマシンに惚れ込んでいる来場者が見学している様子を感じた。

航空機産業にも貢献している同社では、コロナ禍による影響は大きかったようだが、加藤社長は、「今後はワクチンが行き届いてくれるので、人の往来が出てくるはずです。米国では新型コロナワクチン接種を加速させると発表し、5月末までに成人分のワクチンを確保するとしています。欧州もワクチンの生産を拡大する方針なので、ヨーロッパとアメリカが自由に行き来できれば、航空機産業の需要は出てくるでしょう。現在、航空機産業の回復の遅れが懸念されていますが、実際にはもう少し回復が早いだろうという印象です。」と率直な感想を述べてくれた。さらに明るい材料としては、「現在、カーボン・ニュートラルの普及に向け、様々な取り組みがなされています。航空機はエンジン開発が加速すると思うので試作に動きが出ると見ています。なぜならエアラインは損益の中で燃料費の存在が大きいこともあり、省エネの飛行機は今後の需要が期待されます。企業の根本的な利益創出の面にも貢献できると見込んでいます。」との認識を示した。
注目機種は2機種! プレシジョンセンタ『PJ303X』と大型ジグ研削盤『J750G』

目玉のひとつであるプレシジョンセンター『PJ303X』の主な特長は最新の主軸熱変位補正機能を標準装備していること。特殊熱変位キャンセル機構による主軸・ヘッドの熱変位の大幅な抑制もでき、左右対称門型コラム構造で熱変形対策をしている。回転式2段扉で正面操作扉の開口幅が広くなり、操作性もさらに良くなっている。
一方の大型ジグ研削盤『J750G』を見学。『J750G』の特長は、なんといってもX軸1530mm、Y軸1020mmで、同社調べによると、カタログにある世界の主要なジグ研削盤の中でも最大のストロークをもっていることだろう。U軸ストロークは-3~+50mm。さらにATCで砥石を交換することで、1本の砥石で異なる穴径の連続自動加工が可能なのだ。また、(オプション)主軸自動計測装置、研削プログラム作成支援画面(G-MAPS)、15インチタッチパネル式の操作盤により、作業性、操作性が向上しジグ研削加工の自動化を実現している。


また、同社では〝きさげ〟による徹底的な作り込みでも有名だが、同社のジグ研削盤は、同社でも〝きさげ〟が一番細かいという。その細かな〝きさげ〟により、X軸はV-Flatきさげ修道面に精密ニードルローラを入れ、微細送りに正確に追従している。また、自動化も実現しており、自動加工で穴径誤差は1μm以内を達成しているというから驚きだ。

さて、工場見学会だけあって、工場内には普段は見ることのできないマシンも展示されているが、X軸ストローク2.5mの大型機にもかかわらず、ミクロン台の加工精度を実現した次世代大型ジグボーラー『J1625』が展示されていた。大きなマシンなのに、扉の開け閉めは至ってスムーズ。力が弱い方でも安心して作業ができる嬉しい点を発見した。

人気の5軸制御立形マシニングセンタ『Vertex100X』も展示されていた。このマシンは、最小の設置スペースで最大の加工エリアを実現しており、温度センサーの増設・補正アルゴリズムの改善により、Z軸方向の熱変位が従来機の1/3に減少している。
さらに、ここでは自動的に切削工具の先端にクーラントノズルが追随する画期的な仕組みを拝見(オプション)。切削工具が長ければ切削油も当然、掛ける位置が変わらなければならないが、プログラムによってノズルの向きを自動で調整することを実現し、吐出方向を手動で調整する手間を省ける。しかも、クーラントのみならずエアの吐出にも利用可能であるというから嬉しい。
↓ノズルが動く様子はコチラの動画へ↓

ジグボーラーの高精度位置決め加工とマシニングセンタの高精度輪郭形状加工の2つを兼ね備えたPrecision Profile Center『PJ812』が展示されていた。同社が〝究極のマザーマシン〟と自負しているだけあって、加工サンプルからもマシンの魅力が伝わってくる。
ボーリングの仕上げは通常、径がバラついてしまうので最後はオペレータが寸法を測って、ボーリングをセットし直して加工をするという手間がかかるイメージがあるのだが、 このマシンは、高いコンタリング精度がエンドミルでの真円切削による高精度穴加工の自動化を実現している。これにより、エンドミル加工で代替が可能になったのだ。工具長自動測定装置や主軸タッチプローブとの組み合わせで穴径寸法の管理が可能になり、高精度な穴加工の自動化を実現している。また大型プレートの穴ピッチ精度は±2.5ミクロン以内というから頼もしい。
なお、同社では、4月14日(水)~17日(土)の4日間、東京ビッグサイト青海展示棟にて開催される「INTERMOLD2021」に、今回見学した新機種プレシジョンセンタ『PJ303X』と、ジグ研削盤『J350G』の2台に加え、トップランナー規制対応モータを採用しインバータ制御で省エネ・高効率のオイル式コンプレッサ『ZV22AX-R』を展示する。