ニュース
「潜在需要をいかに実需に結びつけるかが課題」 日工会が新年賀詞交歓会を開催

新年のあいさつに立った横山会長は、「昨年開催されたJIMTOFでは、工作機械トップセミナーが開催されましたが、全国82の大学、高専等から過去最高となる608人の学生諸君に参加いただき感動いたしました。人材確保や育成の面で大きな成果があったと思っています。昨年の工作機械を取り巻く環境は欧州の信用不安、中国経済の減速、超超円高等々厳しいものがありました。昨年の今日、“月1000億円は確保したい”と申し上げましたが、その水準は間違いなく維持できたのではないかと思っています。その結果1兆2千億円は確保するに至りましたが、この数字が意味することは、世界のお客様、ユーザーの皆様が日本の工作機械に大きな信頼を寄せている証だということです。工作機械の根幹は、品質、信頼、行き届いたサービス、そしてユーザーの皆様にソリューションサービスをいかにしていくかですが、これこそが、わが国の工作機械が世界に誇る強さの源であると自信をもって確信を深めています。しかしながら、世界経済の減速の余波を受けまして、年後半には受注は弱含みで推移をしています。今後の受注動向については余談を許さない状況ではありますが、エネルギー開発、インフラ投資、新興国ではますます自動車投資が増えるでしょうし、新型航空機や医療関連の成長産業の台頭など工作機械をとりまく環境は期待するものがあります。工作機械産業はグローバルからみても成長産業であると思っています。このような大きな潜在需要をいかに実需に結びつけるかがわれわれにとって取り組むべき課題であります。また、近年、製造業の設備年齢が近年上昇していることが問題として挙げられますが、わが国製造業の国際競争力を維持強化するためには、設備の若返りを図り、品質の確保と生産性の向上に努めることが喫緊の課題であります」と述べた。

この中で菅原局長は、「日本の製造業が生き残っていくためには、先端分野で日本の工作機械の良さをいかに伸ばしていくか、国内の立地にかかるコストを下げる努力をいかに行っていくかに加え、工作機械の国内需要をいかに伸ばしていくか、ということも課題になります。製造業が設備の更新投資をどれだけ加速することができるかは重要であり、ビンテージ調査を実施することになりました。ここ20年の日本の製造設備のビンテージはほぼ倍になり、以前は平均設備年齢が約7年だったのに今では約13年。アメリカ、ヨーロッパは若返りつつあるのに日本だけが古い設備を使い回しているという実態があります。本格的には法人税の減税や研究開発税制の抜本的強化も重要であり、設備資産に対する固定資産税がかかっているのは日本だけですので、これらの問題点を踏まえ、設備の性能向上に焦点を絞った対策をしていきたいと思っています」とあいさつをした。
「ひとつひとつの積み重ねとおびただしい努力が実ことによって得る成果がある」工具工業会が賀詞会を開催

新年のあいさつに立った増田理事長は、「元旦の夜、フジテレビの『ほこ×たて』が放映され、当工業会の堀副理事長率いる不二越チームアクアが奮闘している様子を拝見しました。『ものづくりというのは、正しいプロセスをたゆまない努力で重ねることによって必ずブレイクスルーはあるんだ、そしてブレイクスルーがなければものづくりは進歩していかないんだ』、ということを熱く静かに語っておられました。そのとき、『ものにも心ありて、まして人』という言葉がよぎった次第ですが、私たちの商売は、商品を開発してものをつくって販路を開拓し、お客様に価値を認めて頂いて信頼を得る。そしてリピートの注文を頂く・・・というものですが、どうもそれだけではないなということを教えてもらった気がします。将来、私たちの業界に入るであろう若者達にとっても大いなる刺激になるでしょう。さて、4カ月後には世界切削工具会議2013が開催されますが、私たちの業界は、ひとつひとつの積み重ねによるおびただしい努力が実ることによって得る成果・・・というものを訴えていけるのではないかと思っています」と述べた。

堀功副理事長の発声で乾杯をした。
日機連が年始会を開催 「市場の需要動向を捉え、自らの構造改革を進めることも必要」

伊藤会長の挨拶の概要は以下のとおり。
「昨年末には衆議院議員選挙が行われ、自民党を中心とする新政権が誕生しました。安部新総理が景気不要策を拡大する決意を内外に表明されたこともあって、株価はやや持ち直し、円安の基調も出て参りました。機械業界にとっては非常に好ましい動きであり、今後、一段の株高と円安が進むことを期待したいと存じます。
さて、昨年のわが国経済を顧みますと、春先には東日本大震災からの復興需要の本格化に伴い、景気の回復が期待されましたが、欧州債務危機の再燃と中国等新興諸国の経済原則で輸出が急速に鈍化したことから、昨年7-9月期の実質濃く兄総生産(GDP)は3四半期ぶりに-となり、10-12月期も引き続き減少する見通しであります。今後は、復興需要は底堅いものの、海外経済の回復は不透明であり、また、エコカー補助金等の政策効果が薄れて個人消費も減速感が見え始めており、景気は後退期に入ったとの見方が強まっています。新政権には日銀と協調して景気の後退が長期化せぬよう、補正予算の早期執行も含めた実効性のある経済・金融政策を早急喝確実に実行して頂きたいと思います。
わが国を取り巻く社会経済環境は大変厳しい状況にあります。少子高齢化の進行、デフレの長期化、公的債務の増大、そして東日本大震災からの復興と原発事故に伴う今後のエネルギー確保など、数多くの問題が山積しています。わが国が現在の困難を乗り越え、今後の反映を確保するためには、政府、企業、国民が一丸となり、諸課題の解決に全力で取り組んでいくことが必要です。先日の衆議院議員選挙では、消費税増税、脱原発、TPPなど、わが国の今後を左右する重大な問題が争点となりましたが、新政権には将来に決して禍根
を残さぬよう、正しい方向を選択し、速やかに実行に移されることを期待いたします。
「社会保障と税の一体改革」は、持続可能な社会保障制度の構築と長期的な財政健全化のために早期に実現されねばなりません。電力供給の安定かも国民生活や産業活動のために是非確保しなければならず、全電源の約3割を占める原子力発電は長期的には依存度を減らして行くにしても、まずは安全性を十分確保下上で再稼働を実現し電力の安定的な供給を確保すべきものと考えます。また、自由貿易を一層加速させ、アジア等の新興諸国の需要を取り組むためにはTPPは非常に重要であり、政府には国益という「全体最適」の視点から交渉参加に向けて早急な決断をお願いしたいと存じます。わが国はものづくり立国であります。しかし、近年のわが国の事業環境は国内でものづくりを続けていくことが困難な状況となっており、製造業の活力を取り戻し、国内雇用を十分確保するためには、国際水準の事業環境が整備されることが必要です。政府には大幅な円高の是正、規制緩和、法人税率のヒット期下げ、研究開発税制における控除限度額の引き上げ等の有効な政策を講じていただきたいと存じます。
われわれ機械工業はわが国産業の中核として、イノベーションによる新技術や新製品の開発などにより国際競争力にひいでた製品を作り上げ、輸出し、わが国の繁栄を牽引してきました。しかし新興諸国を巻き込んだグローバル競争は年々厳しさを増しております。われわれがそれらに対抗し、打ち克ち、わが国経済の未来を切り開くためには、従来以上に研究開発に力をいれるとともに、競争を勝ち抜く戦略を構築し、実践することが重要であります。また、変化する市場の需要動向を的確に捉えて成長分野に取り組むなど自らの構造改革を進めることも必要と考えます」

「コア事業を確保しつつ、新規分野に挑戦する」NaITOが新年賀詞交歓会を開催

新年のあいさつに立った南雲社長は、「今年に入ってから円安に振れており、期待が持てそうなよいスタートだと思っています。2012年度の状況と2013年の方針についてご報告させていただきたいと思います。昨年12月25日に第3四半期の発表をしましたが、売上げが277億7300万円、前年同期比101.8%、営業利益は1億4900万円、前年同期比93.1%になります。経常利益は3億9700万円で前年同期比103.7%となっております。当社は従来から提案営業に注力しており、技術セミナーを開催しています。これは最新の加工方法や新商品のご紹介、ユーザーさんの問題解決などを行い、3月から9月まで130回ほど開催しています。2013年は、コア事業を確保しつつ、新規分野に挑戦する、を目標にしています。今年は60周年ということで、拡販のための販売企画も計画しておりますので、何卒、よろしくお願いいたします」とあいさつした。
続いて中川 徹ミツトヨ社長があいさつ及び乾杯の発声を行った。この中で中川社長は、「60周年を迎えるとのこと、おめでとうございます。この60年の間、決して順風満帆ばかりではなかったとは存じますが、こうして歴史を積み重ねられた結果今日があると思います。さて、ミツトヨと貴社のおつきあいは古くからあると聞いておりますが、私共の製品の拡販に尽力してくださいました。現在、足下の景況は決して良いとは言えませんが、われわれもここは自らの力でしっかり踏ん張っていかなければと心しているところです」と述べた。
年頭所感(経済産業省製造産業局産業機械課/日本機械工業連合会/日本産業機械工業会)
「時代認識に立った骨太の取り組みを」
●経済産業省製造産業局 産業機械課長 須藤 治
平成25年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
さて、世界経済は、引き続き欧州政府債務危機やアメリカの「財政の崖」といった景気の下振れリスクを抱えつつ、以前より懸念されていた中国景気が目に見えて成長テンポを鈍化させているという予断を許さぬ状況で新年を迎えました。また、昨年は、中国における反日デモが、日本の産業機械メーカーの中国ビジネスにも少なからぬ影響を与え、中国ビジネスの難しさについて改めて考えさせられる機会となりました。
このように不安定な時こそ、短期の景気認識を超えた、中長期の時代認識に立った骨太の取組を、我々は進めていかなければならないと思います。
先進国の少子高齢化が進む一方で、途上国は人口が増加しており、世界人口は70億人を突破し増加を続けています。中国、ASEAN、インドは、テンポが緩まっているとは言え引き続き数%台の成長率を続けており、こういった新興国におけるインフラ開発、都市開発、資源・食料への需要増が世界経済を牽引することは間違いありません。また、エネルギーでは、需要面では新興国を中心にエネルギー消費が増加し、供給面では非在来型天然ガス開発だけでなく豪州等における在来型天然ガスの開発が進められており、天然ガスが石炭と並ぶ主要な一次エネルギーの地位を占めていくでしょう。
経済産業省は、この数年、「世界経済の成長を日本の成長に取り込む」ということで、戦略分野を策定して、その促進に取り組んでまいりましたが、上述の世界の中長期的構造変化を踏まえて、これまで以上に、関連産業の振興を強力に進めたいと思います。
一方、国内に目を転じますと、人口減少と経済成長鈍化による国内市場の縮小、高齢化や労働力人口の減少、エネルギー供給不安、製造業における新興国企業との競争激化といった諸課題に囲まれております。こういった課題を解決しながら新しいビジネスを創出しようというのが、今後も変わらぬ経済産業省の基本方針だと考えています。
産業機械課は、昨年11月、厚労省と連名で「ロボット技術の介護分野における重点分野」を策定・発表しました。今や団塊の世代が65歳以上となり、今後10年間で日本の総人口に占める高齢者の割合は30%に達します。介護を巡る様々な課題に対して有効な手段を講じていくことが急務となっており、課題解決の一端をロボット技術が担っていきたいと考えております。
製造業の国内維持も、引き続き我々の重要な課題と認識しています。今年は平成23年度補正予算による国内立地補助金を措置しました。今後に向けても、法人税引き下げや研究開発減税といった税制改正要望を行っておりますが、企業が恒久的に工場や研究拠点の立地先として日本を選択してくれるような国内立地環境について、広い視点から考えていきたいと思います。
産業機械課は、これからも、皆さんの生の声を聞き、それを産業政策に反映させていきたいと思いますので、良いアイディアやお困り事があったら、気軽にお声を掛けてください。
最後になりましたが本年が皆様方にとって更なる飛躍の年となりますよう祈念いたしまして、新年の挨拶と代えさせていただきます。
「成長分野を取り込むなど自らの構造改革を進めることも必要」
●日本機械工業連合会 会長 伊藤源嗣
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様におかれましては、お気持ちも新たに新年を迎えられたことと存じます。
年頭にあたり、平素より日本機械工業連合会にお寄せ頂いております皆様の暖かいご指導とご支援に対し、心より御礼申し上げます。
さて、我が国の経済は、昨年は東日本大震災からの復興需要の本格化に伴い、景気の回復が期待されましたが、欧州債務危機の再燃と中国等新興諸国の経済減速で輸出が急速に鈍化したことから、昨年7-9月期の実質国内総生産(GDP)は3四半期振りにマイナスとなり、10-12月期も引き続き減少する見通しであります。今後は、復興需要は底堅いものの、海外経済の回復は不透明であり、政策効果が薄れて個人消費も減速感が見え始めており、景気は後退期に入ったとの見方が強まっています。自民党を中心とする新政権には景気の後退が長期化せぬよう、実効性のある経済対策を迅速に実行して頂きたいと思います。
我が国を取り巻く社会経済環境は、大変厳しい状況にあります。デフレからの脱却は容易ではなく、経済成長の低迷に伴う税収減少と高齢化による社会保障費の増加で政府・地方の債務は20年間で3倍に増大しています。また、新興諸国を含めた厳しいグローバル競争が加速する中、超円高や世界一の法人税率など6重苦と言われる我が国の事業環境の改善は遅れており、企業の国際競争力の低下と海外進出の加速、海外からの投資抑制の要因となっています。加えて、東日本大震災からの復興や原発事故に伴う今後のエネルギー確保など、難題が山積しています。
我が国が現在の困難を乗り越え、今後の繁栄を確保するためには、政府、企業、国民が一丸となり、諸課題の解決に全力で取り組んで行く必要がありましょう。
とりわけ政府の役割は重要であります。昨年末の衆議院議員選挙では、消費税増税、脱原発、TPP(環太平洋経済連携協定)など、我が国の今後を左右する重大な問題が争点となりましたが、新政権には将来にけっして禍根を残さぬよう、正しい方向を選択し、速やかに実行に移されることを期待致します。
企業活動を後押しし、新しい需要を生み出す成長戦略は経済再生のために非常に有効であり、確実な実行が求められます。少子高齢化が急速に進む中、持続可能な社会保障制度の構築と中長期的な財政健全化のために「社会保障と税の一体改革」の早期実現も欠かすことができません。また、我が国の事業環境は企業が国内においてものづくりを続けていくことが困難な状況となっており、これらが早急に改善されなければ、我が国からものづくりの基盤が失われてしまう懸念があります。実際、製造業の就業者数は20年前より3割近く減少しています。製造業の活力を取り戻し、国内雇用を十分確保するためには、国際水準の事業環境を整備することが必要であり、政府には大幅な円高の是正、規制緩和など有効な政策を講じて頂きたいと存じます。
資源に乏しい我が国にとってエネルギーセキュリティへの対応も極めて重要であり、電力供給の安定化は国民生活や産業活動のために是非確保せねばなりません。そのため全電源の約3割を占める原子力発電は欠かすことが出来ず、安全性を十分確保した上で再稼働に向けて検討すべきと思います。また、我が国の国是である自由貿易を一層加速させ、アジア等新興諸国の需要を取り込むためには、交渉開始が決まった日中韓及び東アジア全域との自由貿易協定、対EUとの経済連携協定に加えて、TPPへの交渉参加も進めるべきであり、政府には国益という「全体最適」の視点から早急な決断をお願い申し上げます。日機連と致しましても各国・地域の関係団体と協力しつつ、国際連携強化のための努力をして参りたいと存じます。
我々機械工業は我が国産業の中核として、イノベーションによる新技術や新製品の開発、コストの削減などにより国際競争力に秀でた製品を作り上げ、輸出し、我が国の繁栄を牽引してまいりました。しかし、近年、新興諸国等の技術力は飛躍的に向上しており、その国際競争力は大幅にアップしております。我々がそれらに対抗し、打ち克ち、我が国経済の未来を切り開いていくためには、従来以上に研究開発に力を入れるとともに、厳しいグローバル競争を勝ち抜く戦略を構築し、実践していくことが重要であります。また、メーカーの知見やシーズを活かして新たな需要を創出するとともに、変化する市場の需要動向を的確に捉えて成長分野を取り込むなど自らの構造改革を進めることも必要と考えます。
日本機械工業連合会では、我が国機械工業の競争力を維持、発展させていくための課題に鋭意取り組んでおります。本年も、理数系グローバル人材の育成・教育調査、ドイツ機械工業連盟と協力した模倣品対策調査、レアメタル等資源制約に対応する材料再資源化の調査研究、機械の安全対策や標準化など会員各位の企業経営にとって密接なテーマを取り上げ、調査研究を進めるとともに、税制面での改善方策など機械業界の事業環境改善に向けた要望や政策提言などを行って参ります。また、折にふれてホットイシュなどについての情報提供を行うため、会員講演会、セミナー、シンポジウム等を適宜適切なテーマにて開催しており、昨年は計12回実施しましたが、本年は昨年以上の会合を開催し、機械業界への情報提供に務める所存です。
皆様には大変厳しい事業環境が続く中、ご苦労が多いことと存じますが、日本機械工業連合会は、新たな時代に求められるニーズに対応し、皆様と産業界の利益のために誠心誠意努力を続けたいと存じます。皆様の一層のご活躍とご健康を心から祈念申し上げます。
「日本再生 出発の年に」
●日本産業機械工業会 会長 佃 和夫
平成25年を迎えるにあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
皆様には、気持も新たに新年を迎えられたことと思います。
昨年を振り返りますと、わが国経済は、国内総生産(GDP)が4~6月、7~9月と2期連続でマイナスとなるなど、世界経済の減速や復興需要の息切れ等を背景に弱い動きが続き、4月頃からの景気後退局面入りが浮き彫りになったとみられます。なお、12月に内閣府が発表された景気動向指数では、数ヶ月先の状況を映す先行指数が改善に転じるなど、わが国経済に「ほのかな灯り」も見えつつあるようですが、歴史的な円高水準の長期化や、長引くデフレ、電力の供給不足などが続く中、企業の皆様にはご苦労が絶えなかったのではないかと推察いたします。
私ども産業機械業界の昨年の受注は、内外需とも悪化し厳しい状況が続きました。年初には海外で大型LNGプロジェクトを受注するなど、外需を中心とした持ち直しの動きが拡大するものと期待しておりましたが、世界経済の減速を背景にアジアを始め殆どの地域で需要が減少した他、内需も製造業・非製造業とも低調に推移するなど、先行き不透明感が高まっております。
今後、業界全体が活性化し更なる発展を目指すためには、国内外の需要を喚起するため、新たな技術やシステムの開発等を通じて、社会に貢献していくことが益々重要であると考えます。
また、円高や諸外国企業との競争激化等を受けて日本全体が悲観的な気分に傾いておりますが、これに流されることなく、自らの得意分野を冷静に見極め、生産性をさらに高めると共に、海外への事業展開についても国内事業との役割分担や共存を念頭に置いた上で推し進め、世界の成長センターであるアジア地域の経済社会の発展に貢献しながら、共に成長していくことが必要になっていると思われます。
さらに、地球環境保全と経済発展の両立を図ることが世界共通の課題として認識される中、わが国産業界が世界に誇る高い技術力を有している省エネルギー・再生可能エネルギー・環境保全の分野を強化・育成していくことは、日本再生に必要な新しい需要や雇用を創出することに繋がると共に、日本企業の技術や製品、サービスを結集し、海外に普及させることは、地球規模での低炭素社会の実現という国際貢献にも繋がるものであります。
以上のような認識のもと、我々産業機械業界は、東日本大震災により被災された地域の経済社会の再生に引き続き取り組むと共に、わが国産業のものづくり力・国際競争力をより一層強化するため、高い技術力のもと高品質で信頼のおける製品の提供に取り組んでいく所存です。
同時に、わが国の強みであるエネルギー・環境保全分野に関する技術やサービスにさらに磨きをかけ、関連産業と連携しながら新たな市場を創造し、地球環境保全と日本経済の再生に引き続き貢献してまいります。
昨年末に誕生した新政権におかれては、震災復興と成長戦略の一体的推進や円高是正に向けた各種施策の機動的・戦略的展開、EPA・TPPの取り組み強化、エネルギー価格の安定と供給体制の整備等、日本再生に向け、成長と競争力の強化を重視した政策の一刻も早い実現を強く期待しております。
年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
年頭所感(日本工作機械工業会/日本工作機器工業会/日本精密機械工業会)
「新たな価値づくりを目指す」
●日本工作機械工業会 会長 横山元彦
平成25年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年の工作機械業界は、超円高の逆風にもかかわらず、堅調な海外需要を背景に、月次で概ね1千億円台の受注水準を維持することができました。この結果、2012年の工作機械受注額は、当初の見通し通り、1兆2千億円程度に達したものと見込まれます。
本年の工作機械受注動向につきましては、世界経済減速の余波を受けて、予断を許さない状況にありますが、エネルギー開発、インフラ投資、新興国での自動車投資、新型航空機や医療関連等の成長産業の台頭など、工作機械需要の背景には、大いに期待すべきものがあります。
この大きな潜在需要を実需とするには、複合化や難削材・新素材加工への対応など、日本が得意とする技術にさらに磨きをかける一方、欧州が先行するソフトウェア分野において、自らの弱点を良く分析し、効率的な研究開発に取り組むことが重要です。
また、マーケティング面では、機械単体のみの営業から、ユーザーが必要とする生産技術の提案にまで踏み込んだ、総合的ソリューションを通じた新たな価値づくりを目指すとともに、日本が誇る優れたサービス力のブラッシュアップが求められます。
これらの諸課題に対し、業界各社が努力を惜しまず、競合国との差別化を一層明確にすることで、本年は、昨年の「1兆2千億円程度」の水準を上回る受注額を目指していきたいと存じます。
併せて、本年は、中長期的な視点から、「産官学連携による研究開発の推進と有為な人材の確保・育成」、「JIMTOFの求心力強化」、「標準化戦略の強化」など、当工業会が昨年5月に取りまとめた、「工作機械産業ビジョン2020」で示された諸課題への対応に注力して参ります。
他方、製造業全体を俯瞰致しますと、その根幹である設備年齢が、近年とみに上昇していることが大きな問題となっております。日本の製造業の国際競争力を維持するためには、設備の若返りを図り、生産性の維持・向上に努めることが喫緊の課題であります。当業界では、常に最新鋭かつ最高の工作機械を供給し、日本経済の根幹である製造業の再生を支援しつつ、世界のものづくり産業の繁栄に貢献して参る所存です。
本年も関係各位には、ご指導、ご鞭撻とさらなるご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、平成25年が皆様にとってさらなる飛躍の年になることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
「ひたむきに努力することが必要」
●日本工作機器工業会 会長 寺町彰博
あけましておめでとうございます。
年頭に際し、所見を述べさせていただきます。
昨年は、欧州政府の債務問題が続く中、年の半ばから世界経済は停滞しました。さらに、先進国経済が低迷する中で、消費マインドが高い新興国においても大きな影響を受け、世界経済の減速感はより一層強まりました。
このように新興国が世界経済を牽引するためには先進国経済の安定が前提条件であるという構図が明らかとなりましたが、欧州債務問題は未だに解決を見ないままに先進国経済の安定の前に立ちはだかり、世界経済の不安要素となっています。この解決に立ちはだかる大きな障害は、私たち先進国の慢心、すなわち今までと同じことさえしていれば現状の生活が維持される権利を持っているという錯覚ではないでしょうか。多くの人口を抱える新興国がマーケットに参加する事により、新たな世界経済の枠組みでの競争を余儀なくされているにも関わらず、権利ばかりを主張する風潮は現状認識を遠ざけ、慢心を増幅し、大きな危機をもたらしているように感じます。さらにその問題は新興国経済へと波及し、世界経済に大きな影を落としているのです。
このような中、私たちはこの状況を素直に受け止め、ひたむきに努力することが必要です。そのためにも本来日本の製造業が持っている強みであった「ハイクオリティ」、「ホスピタリティ」、「リーズナブル・プライス」を今一度呼び起こし、これらの強みをさらに磨いていくことが必要だと思います。「ハイクオリティ」とは市場にあわせて機能は選別しつつも、最高品質の製品を提供し続けることです。「ホスピタリティ」とは、相手の期待するものを察して行動するおもてなしの心です。そして、ハイクオリティとホスピタリティによって付加価値が向上した製品を、飽くなき生産性の追求により実現したのが、顧客にとっての「リーズナブル・プライス」です。部品製造業においても本格的なアジアメーカーとの競合時代に突入していますが、これら3つの強みをバランスよく実現し、革新的且つ創造的な製品を世に送り出すことができるならば、必ずや日本の部品製造業は世界の製造業の発展を牽引していくことができると信じて疑っておりません。従いまして、当工業会といたしましても、会員の皆様とともに強い信念を共有し、日本の製造業の発展に寄与できますよう、積極的な活動を展開してまいる所存です。
最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
「多岐に亘るコラボレーションの実現を第一に」
●日本精密機械工業会 会長 長瀬幸泰
明けましておめでとう御座います。
旧年中は日本精密機械工業会に対しまして、格別なるご厚情を賜りまして衷心より厚く御礼を申し上げます。
日本精密機械工業会は昨年6月の総会に於きまして日本小型工作機械工業会より改称を致しました。併せて中期ビジョンの策定も致しました。一連の作業には約2年の歳月を費やしました。全会員の皆様にも厚く御礼申し上げます。目まぐるしく変化する市場環境に即応し続ける会員企業にとって有益な工業会であり続ける進化の試みの一つであります。
先進国も、途上国もこの地球上で、同じ自然環境、経済環境、エネルギー環境のなかでそれぞれに同じ原因に起因する問題を抱えていることは明白です。表面的に起こる現象は全く違うように見えても根底にあるのは人の心の問題のように感じます。宗教、風俗、習慣の異なる世界各国に展開しておられる様々なモノづくり企業の皆様の逞しくも高邁で且つ過酷な日常的活動や御取り組みにはまさに敬意の念を禁じ得ません。
こうした状況の中、日精工は、日本発世界標準のモノづくりとグローバルマーケットへの対応に寄与できるように活力ある「モノづくり人」の血の通った暖かい交流、懇親を通じて有機的な絆を深め、有益な情報の交換・共有と多岐に亘るコラボレーションの実現を第一に考えています。3年・5年中期ビジョンの実現に向けて、他の工業会様や大学、研究機関、行政の皆様とも積極的に交流を深めて幅広い連携をさせて頂きたいと念願致しております。
本年も倍旧のご厚情を当工業会に賜りますようにお願いを申し上げます。
年頭所感(日本工具工業会/超硬工具協会/日本工作機械輸入協会)
「夢を持って皆で同じ心持で進んでゆく」
●日本工具工業会 理事長 増田照彦
昨日の空とちっとも変らないのに初御空を見上げると、新鮮で特別な空のように感じます。これから始まる様々な物語を予感して、それがどんな展開や結末であってもすべてが自分の心根を清らかにしてくれたり、人生の学びのテキストであると考えると、清々しい新春に思えて、心がわくわく致します。この暦の一巡りは自然に身を委ね、煤払いをしながら、新たな希望を託す人間の知恵だなぁとしみじみ感じる歳になりました。
鏡餅を「切る」という言葉を忌み、「開く」と表現して「鏡開き」とするぐらい、新年には言葉や物語の内容に気を配る日本人ですが、昨秋のこんな話をさせて下さい。
それは、お天気にも恵まれ入場者数も前回比13%アップの15.5万人にお出掛け頂きました「匠の技と先端技術の融合」をテーマにしたJIMTOFの直前でありました。
突然、腰に痛みを感じ、即まったく動けなくなりました。5日間、布団の上の生活を余儀なくされました。その5日間には世界から責任者を集めた大きな会議、大切なお客様の周年式典などが詰まっていました。リーマン、震災、洪水と翻弄されたここ数年。今度は自身にやってきたというわけです。
それぞれに起こった現象を恨むのではなく、それぞれに意味を見出して納得してきたのですが、自分に降りかかった時にはなかなか意味を見出せませんでした。気持ちが焦りました。しかし、痛みには抵抗することができません。そのうち痛みで動けないなら、ゆっくり休ませてもらおう、腹を括り部下に任せることにしました。それにしても、このことによって何を学ばせようとしているのだろうか。
JIMTOF開幕までには杖をつけば、なんとか立ち、歩くことができるようにはなりました。杖をつく姿は、現在の置かれた環境、課題、業績を象徴しているようで、情けない思いで連日ブースに立ちました。ところが、杖をついて立ったことで、元気なときには見えなかったことが見えてきたのです。私に教えようとしていることがおぼろげながら分かり始めました。いろんな励ましやアドバイスを頂くなかで、お客様と心のキャッチボールがむしろ出来たのです。
自分が、という「我」をなくすこと。多くの周りの方々に助けて頂くこと。結果、大いに皆が育つこと。そのことに感謝の意を尽くすこと。
腰が痛いなら、「あ、腰が痛い」とだけ口にすること。その原因はあの日のアレ、この日のソレに違いないなどと余計なことを考えても意味がない。どうしようもないことは断ち切ること。余計なことばかり考えたり、見ようとしたりするとホントの部分が見えなくなること。
無理やり治そうとしないこと。疲労が蓄積した期間だけ、回復に掛る期間は必要だと覚悟すること。そして大切なのは、痛みにとらわれないこと。痛みはあっても心までは病まないこと。私の尊敬する方がよく書にかかれます。「人は心で生きるもの。舞いたる衣に光受けつつ」
がむしゃらに自分が動くのではなく、腰痛で実際動けなくさせられた結果、周りが動くことになった。そういうことを教えてくれているということで、ある種の明らかに極めるという意味での「諦め」に包まれたら、とたんに呼吸が楽になった。
年があらたまっても、現在の私たちを取り巻く事業環境は六重苦とか八重苦とか表現され続けています。考えてみますと、今までも苦労が重なっていない時期などなかったのですし、世の中は変化するに決まっていますから、ことさら言うまでもないのでしょう。
与えられた条件下で、ピンチにこそ私たちはあれこれ知恵を絞りながら、この経過を見事に通り抜けたときの姿を生き生きと思い描きながらそれに向かって、ときを見失わず味方に付けて夢を持って皆で同じ心持で進んでゆく、ということが大切なことじゃないかと思い始めています。
水温む兆しを見逃さず、足元の山菜の芽を踏みつぶすことなく、遠景の山が笑うときには共ににんまり出来るように、できれば見上げる桜をその地「点」だけでなく、桜前線とともに自らも移動して多くの感動を「面」にして、日本工具工業会の会員各社の自信作である、かけがえのない新製品に「陽」をお付けして、お客様に届けて参りたいものだとあらためて初春に願っています。
「経済の継続的成長を支えるのは製造業」
●超硬工具協会 理事長 田中啓一
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
年頭所感にあたり、昨年の今頃はどのようなことを予想していたのかを顧みますと、東日本大震災からの復興と日本企業が多くの生産拠点を置くタイでの大洪水の終息などにより、緩やかながらも景気は回復するものと予想しておりました。しかしながら、大震災からの復興は各方面の努力にもかかわらず思うように進まず、期待していた復興需要も予想を下回る効果しか及ぼせないでいる状況です。また、日本を取り巻く東アジアでの外交問題は製造業だけに止まらず、小売業も含め日本の産業全体に大きな経済的損失を引き起こし、今後の見通しが難しい状況になっています。昨年の経済環境から本年を考えてみますと、外交問題も沈静化したとはいえ火種が消えたわけではなく、新興国が昨年以上の率で成長する要因も今のところ見当たりません。また、国内のエネルギー問題も産業に大きな不安を残す要因となっております。
このようなことを列挙してまいりますと本年も日本経済に明るい材料がないように感じますが、第二期を迎えるオバマ大統領のもとで、アメリカ経済は、今後急速ではないにしても回復の基調に入り世界経済に良い影響を及ぼすものと思われます。また、東南アジアもまだまだ伸長の可能性を持っている訳で、具体的にはミャンマー、ベトナムを含む新興国への進出は一層進む状況にあり、今後の経済発展とともに成長していく余地は十分にあると考えています。
当協会においては、2012年度上期の出荷額は1,436億円と昨年同期に比べ98.8%と残念ながらマイナスとなりました。また、通期の予想は当初の3,040億円から2870億円と下方修正せざる得ない状況にあります。しかしながら、昨年行われましたJIMTOF(第26回日本国際工作機械見本市)は前回以上の来客数となり、日本の技術力の高さを示す格好のチャンスとなり、今後の需要に大きな期待を抱かせる結果となったと確信しております。また、本年はアジアで初の世界切削工具会議(WCTC)を5月に京都で行うことを予定しております。ヨーロッパ、アメリカをはじめ、世界各国の切削工具メーカーによる情報交換の場として、情報の収集と発信を行うことで、業界全体として新たな発展が望めるものと期待しております。
時代の変化するスピードは年々早く、しかも大きく広がっております。グローバルという言葉を使う必要が無いほどに経済の世界では、ひとつの大きな地域になったと捉えることが出来ると思います。経済の継続的成長を支えるのは製造業であることは、豊かさの基準が変わったとしても変わることはありません。新たな価値に敏感に反応できる日本産業界であり、協会であり続けるためには、昨年もお願いしましたが【コンプライアンス】を最優先した経済活動を行わなければなりません。各企業の皆様には改めて、このことをお願いしたいと存じます。
今後も超硬工具協会の一員として、業界の発展のため尽力する所存でございますので、皆様方にはなにとぞご支援のほど宜しくお願い申し上げます。最後になりましたが、皆様方のご多幸とご発展を心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
「海外メーカーと一体になったサービス体制を構築」
●日本工作機械輸入協会 会長 千葉雄三
平成25年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、当協会の事業活動にご支援・ご協力を賜りまして誠に有難うございました。
昨年の工作機械業界を取り巻く環境は、超円高の定着、欧州の財政危機、中国の景気減速などの要因から不透明感を増しておりましたが、更に、中国および韓国との領土問題から発生した自動車を中心とする日本製品の不買運動が激化し、年度後半に於ける日本メーカーの中国での自動車販売は激減いたしました。
そのような種々の向かい風の中、日本工作機械工業会の発表によれば、日本の工作機械メーカーの受注額は、年初予想の年間受注額1兆2千億円を達成できると予測されております。外需、内需の割合は概ね7:3となっていて、新興諸国に於ける急激な経済成長、日本企業の海外生産加速による外需増大が顕著であります。
当協会会員各社の状況はといいますと、内需不振の影響で、超円高による輸入工作機械価格の低下は販売の追い風とはならず、輸入統計数値には回復の兆しが現れているとは言えません。昨年1年間の切削型工作機械の輸入額は、520億円程度になったと思われ、大震災の年でありました前年に比べ約2割弱の増加に留まっております。過去最高であった平成18年の輸入額770億円からは3割強の減少ということになります。一方で、コンポーネント機器・工具・ホルダー等の周辺機器は、いずれも過去のピーク値の90%程度まで回復してきております。
年頭にあたり、当協会としましては本年の内需の力強い回復を願わずにはいられません。
昨年末からの超円高の是正傾向、新興諸国に於ける政情不安や賃金の高騰、等が国内での物造りへの回帰を促すことになれば、という思いがあります。
昨年9月には、米国・シカゴで開催された「IMTS2012」へ例年のように輸入促進ミッションを派遣致しましたが、大変に活気が感じられ、米国に於いては物造りの国内への回帰が既に始まっているように感じられました。また、昨年11月の「JIMTOF2012」には当協会会員35社が455小間に出展いたしましたが、予想を超える来場者数があり商談も活発だったことから、国内の潜在需要が活性化されつつあるのではないか、との思いも致しました。
今年は、9月16日(月)から21日(土)まで、ドイツ、ハノーバーにて「EMOハノーバー2013 」が開催されます。当協会では今年も恒例の輸入促進ミッションを派遣いたします。新しい工作機械の需要分野とされるエネルギー・医療・環境対応・航空宇宙関連産業における加工方式に対応した、優秀な工作機械が多数展示されております。
多数の皆様のご参加をお待ちしております。
厳しさの続く市場環境において、私共は優秀な輸入工作機械と周辺機器を発掘してその導入を図ると同時に、海外メーカーと一体になったサービス体制を構築することによって工作機械の輸入拡大を図り、バランスのとれた業界の発展と日本のものづくりに貢献できるように努力して参ります。
最後に皆様にとって、今年が最良の年となりますように祈念いたしまして新年のご挨拶とさせていただきます。
年頭所感(日本建設機械工業会/日本フルードパワー工業会/日本金型工業会)
「スピード感覚をもって活動を推進」
●日本建設機械工業会 会長 竹内紀行
新年あけましておめでとうございます。
昨年の世界の建設機械需要は、一昨年までの情勢から急変し、欧州での債務問題拡大、中国での金融引き締め政策、鉱山用建設機械分野の減速等により、多くの地域で減少となりました。本年においても、引き続き欧州債務懸念や米国の財政の崖といった不確実性はあるものの、各国政府および中央銀行の政策等により、世界経済全体は緩やかに回復基調に移るものと考えています。建設機械は、今後とも世界の発展のために不可欠なものであり、世界中のお客様に建設機械をお届けするのはわが国建設機械業界の使命であります。今後とも一層のグローバル化が進む環境下において、わが国新政権には円高是正を始めとした各種政策への一層の取り組みを期待する一方、会員各社の不断の努力により建機産業力を強化していくことが重要であると考えております。
また、国内では、昨年は復興需要を中心に需要が伸張し、本年においても復興工事がさらに本格化していけば、相応の需要増が見込まれます。復興に必要な建設機械の供給およびその保守・サービスについては最優先に対応していく所存です。
こうした事業環境のもと、持続可能な社会の実現に向け、環境・省エネルギーといった社会的要請に積極的に取り組むとともに、情報通信技術を始めとするさまざまな最新技術の導入を推進し、より高品質で利便性の高い製品・サービスの提供に努め、ひいては安心・安全な施工の普及に貢献していきたいと考えています。
さて、当工業会では、設立理念として「調和と発展による世界への貢献」ならびに「共生と競争」を掲げ、さらに①良き企業市民としての社会への貢献、②ステークホルダーとの共存共栄、③公正・透明な競争と適正な取引の推進、④世界の一員としてのグローバル化の推進、⑤安心・安全の追求と人間中心の経営の志向、⑥環境保護、省エネルギー、省資源の推進、⑦新しい商品および分野の開拓の7項目からなる「経営パラダイム」を策定しております。
本年も、この理念・パラダイムの実現に向け、あらゆる変化に柔軟かつ機敏に対応できるよう、スピード感覚をもって活動を推進してまいります。
本年が、皆様にとりまして、健康で幸多き一年となりますよう祈念し、新年の挨拶といたします。
「景気の回復を待つのではなく、自ら需要を創出すること」
●日本フルードパワー工業会 会長 脇 憲一
新年明けましておめでとうございます。
平成25年(2013年)の年頭に当たり一言ご挨拶を申し上げます。
一昨年の3月に「東日本大震災」が発生してから早くも2年の歳月が過ぎようとしておりますが、原発問題は依然として出口が見えないなど、被災地が復旧し復興するまでには未だ遠き道程が残されております。兎角、日本人は熱しやすく冷めやすいと揶揄されますが、「千里同風」、即ち遠く離れていても被災地に吹いている逆境の風を忘れることなく、被災した人々が希望を捨てずに生き抜いていけるよう、復旧・復興事業を些かでも加速させることが強く求められております。
所で、昨年の我が国経済を顧みますと、前半は復興関連需要などを背景に堅調に推移してきた「内需」が牽引し、景気は緩やかに持ち直してきました。一方、米国の「超金融緩和策」の導入、欧州の南欧国債の無制限購入などが市場の動揺を抑え、世界経済が最悪の事態に至ることは回避されました。然し、中国などの新興諸国の景気が減速し、「尖閣問題」を巡る日中関係の悪化も重なって「外需」は不振となり、昨年10月の実質輸出は6ヶ月連続で前月を下回りました。私どもの業界でも年央頃から出荷の鈍化傾向が顕著になり、2012年度上期の期初予想を下方修正するに止まらず、通期の業績予想も下方修正する会員企業が相次ぎました。
昨年11月に、内閣府が発表した2012年7‐9期の実質GDPは、年率換算でマイナス3.5%と3四半期振りにマイナス成長になり、景気の基調判断も「足踏み」から「下方への局面変化」へと修正されました。また、政府が公表した月例経済報告でも、景気の基調判断を「世界経済の減速などを背景として、このところ弱い動きとなっている」と4ヶ月連続で下方修正されたことから、景気は既に後退局面に入ったとの見方が強まりました。
このような経済情勢の中で、政府・日銀は景気の下振れに備え、補正予算の編成、資産買い入れ基金の増額などの景気対策を実施してきましたが、エコカー補助金の終了などが個人消費、雇用、設備投資などを低迷させ、内需の先行きにも厳しさが増してきております。従って、現在は世界経済の減速により不振な外需の好転を期待せざるを得ません。2016年までに製造業で100万人の新規雇用を創出することを掲げた2期目のオバマ政権、2020年のGDPを2010年比で倍増することを掲げた習近平総書記をトップとする新指導部などによる強力な景気対策が求められるところですが、米国は減税失効と歳出削減が重なる、所謂「財政の崖」、中国は権力の腐敗や貧富の格差に対する不満、そして欧州は依然として燻ぶる債務問題などの影響が懸念され、未だ先行きの不安は払拭されておりません。実際に、経済協力開発機構(OECD)は2013年成長率の予測を日米欧全てで下方修正しております。
また、デフレ脱却が遠退く我が国経済の再生には、19年振りに越年編成となった2013年度予算の執行、円高の是正、強力な経済政策、国家戦略の大転換などが新内閣に強く望まれるところですが、「決定できない、実現できない」政治に依存し過ぎても決して難局は克服できません。君主論の著者であるマキアヴェリが述べているように、「見たい現実だけ見ている」のではなく、下手をすれば滅びかねないような厳しい現実を直視し、冷徹に環境を見つめる必要があります。何故ならば、見つめて得られた事実こそが難局を克服する「知恵」を生み出すからであります。即ち、生還できないような死地を彷徨し、絶体絶命の状況に追い込まれたときに初めて、本当に役立つ「知恵」は生まれてくるのであります。飽食し平和惚けした状況からは、不満や愚痴しか出てきません。況してや逆境に負けない「知恵」など生まれてくるはずがありません。ケネディ元大統領は就任したときに、「あなたがたが国に何を求めるかではなく、あなたがたは国に何ができるかを問いなさい」と演説しております。イギリスの著述家であるサミュエル・スマイルズも自助論で、「天は自ら助くる者を助く」、即ち自ら逆境や試練を乗り越え、勤勉と努力を忍耐強く重ねることが成功に至る唯一の道であると「自助」の精神の大切さを唱えております。また、日本には関東大震災、敗戦など、過去幾多の困難をも結束し連携して乗り越えてきたという「共助」の精神があります。今こそ、フルードパワー産業は、生き残るための「知恵」、自らの強靭さを養う「自助」、そして健全な競争をしながらも結束して助け合う「共助」とで、グローバル化への対応をしながら、更には地球温暖化への課題を省エネ技術などで解決しながら、景気の回復を漫然と待つのではなく、自ら需要を創出することで発展していくことが望まれていると存じます。
また、フルードパワー産業は日本の「経済」と「ものづくり」を支える重要な産業であります。資源のない日本はオーストラリアやブラジルのような資源立国には成り得ませんし、金融ノウハウもない日本は欧米のような金融立国になることもできません。これからも、日本は「ものづくり」立国としての産業を維持・発展させていく他に道はありません。従って、「ものづくり」が復活しない限り、日本経済の復活はありえないと私は信じて疑いません。
各需要業界の皆様方には更なるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げ新年のご挨拶とさせていただきます。
「若手の活動に期待」
●日本金型工業会 会長 牧野俊清
平成25年の新春を迎えるに当たり、謹んで会員の皆様、関連感官公庁、関連業界の皆様にお慶び申し上げます。
世界金融危機、東日本大震災、タイの洪水の爪痕が今なお後遺症として癒やされずにいます。そのような環境下で、国内・国外とも政局主導の政治の混迷に振り回されています。国内の政局に関しては、政治家の就職・失業対策でポピュリズムに走っており、速く沈静化することを願っています。
円高が日本のものづくりを直撃しています。2007年6月に1ドル124円が、昨年11月末で81円(2月76円)となり、150%の上昇です。成長著しい中国が1元16.26→12.99円(125%)、韓国が100ウォン13.38円→7.44円(180%)ですから、どう考えても以上です(07~10年の平均消費者物価指数は中国3.3%、韓国3.2%、日本0.2%)。
日本の電器メーカーなど日本のものづくりが業績を悪くしている最大の要因です。阿部首相の金融緩和の発言もあり、最近若干改善されていますが、まだまだ円高といえます。金型の昨年10月までの1年間の生産額は、一昨年より8%上昇しましたが、リーマンショック前2007年の7割しか回復しておりません。アジア諸国への生産移転の影響もありますが、円高・大震災等により大企業の新製品開発が停滞していることも原因かと考えられます。日本のものづくりが危機です。
現在、経済産業省で「素形材ビジョン」の見直しが進められ、工業会でも「金型ビジョン」の見直しを来年度行う予定です。前年、前段階として、東京経済大学の山本専任講師に依託し、金型工業会緊急対策事業「金型企業の5年後を想像するための基礎資料」を発行いたしました。事例も多くご参考になるかと思います。
見直しをする「金型ビジョン」の骨子は、①営業力(提案力)、②海外展開、③金型技術を活かした新分野への事業展開、④人材(経営者・社員)、⑤技術研究開発、が検討されています。会員の皆様に有益なものを作成したいと思います。
金型ジャパンブランド活動として、展示会を含めた海外ビジネスミッション(ヨーロッパ、米国、インドネシア、シンガポール、タイ、中国、韓国等)を積極的にしておりますが、若手が中心となり、日本インダストリアルデザイナー協会と連携し、商品デザインコンペ(第一回はキッズデザイン)も新たにスタートしました。
これからの金型業界の中核となり試練を受ける若手の活動には、大変期待するものです。金型工業会は、昨年事務局員の縮小をいたしましたが、心機一転して工業会一体の認識のもと、ウェブ環境を活用することにより、3区域連携して、サービスの劣化ではなく拡充を進めております。
緊急事態が続く今年においても、会員、賛助会員、顧客、経済産業省素経済産業室はじめとした監督官庁、学会の大きな覆えんにより、この難局を乗り越えていきたく思う所存でございます。皆様のご理解ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせて頂きます。
年頭所感(オーエスジー/森精機製作所/日立建機)
「立ち位置を見失わずに前進する」
●オーエスジー 代表取締役社長 石川則男
2013年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
また、東日本大震災、福島原発事故からの復興も、なかなか進展せず、被災された方々のご苦労を思いますと一日も早い復興を今年こそはと心より祈念申し上げます。さて、世界経済は欧州金融問題が需要を大きく減退させ、欧州地域のみならず新興国の輸出産業にも大きな影響を与え世界的に減速しています。また、尖閣問題に事を発した日中関係の悪化は、政治的関係ばかりか経済を含めて両国の将来を混沌たる状況に陥れました。
このような状況下、企業は、顧客のニーズの変化、グローバル経済の行方を大局的な視野に立った上で、自らの立ち位置を見失うことなく、次の変化に備えることが肝要であると考えます。混沌の中にも、成長地域、分野もまだまだ多く見受けられ、自社の強みをさらに強化し、新たなニーズを取り込めば、さらなる成長が期待できると考えています。当社は穴加工用切削工具では世界一になることを長期ビジョンとしていますが、自らの立ち位置をしっかりとしたものにするために品質、サービス、対応力、新製品開発など、成長を推進するための投資は2013年も惜しまない考えです。世界経済は混沌たる状況の中でも、自らの立ち位置を見失わずに、そして時代の変化に敏感に対応できる企業体質を目指してまいります。
最後になりますが、日本経済の益々の発展と皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。
「品質をキーワードに社内外のイノベーションに取組んでいく」
●森精機製作所 取締役社長 森 雅彦
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、欧州の金融不安や中国の経済成長鈍化、歴史的円高などわが国の工作機械業界を取り巻く環境は厳しい状況にありました。また、アジア・中東での外交問題も経営環境を不安定なものにする要因になりました。
しかし、アメリカ シカゴで開催されたIMTSや、ドイツでのAMB、イタリアでのBIMU、東京でのJIMTOF、といった国際工作機械見本市においては大変多くのお客様にご来場いただき、目標を上回る成果を上げることとなり、改めて工作機械に対する需要と期待の大きさを認識いたしました。本年は、新政権の政策運営にも注目が集まりますが、当社としても、引き続き予想される厳しい状況を乗り越えるべく努めてまいります。
本年は、品質をキーワードに社内外のイノベーションに取組んでまいります。お客様に向けては、製品本体の品質だけでなく、適切な機械加工のご提案や、迅速確実なサービスのご提供も重要な品質として提供してまいります。また社内においては、部品加工一つ一つの品質を向上させることで最終製品の品質も確保することができます。各工程の品質を確保することで後戻り作業を減らし、工場全体の生産性を向上させていきます。さらに、生産性の向上により、お客様へ製品をお届けするリードタイムを短縮いたします。
ギルデマイスター社との協業においては、さらに連携を深めてまいります。昨年は、ギルデマイスター社との共同出資のもとDMG MORI SEIKI Europe AGを設立し、欧州全域で販売・サービス事業の共同展開を開始いたしました。さらに、初めて共同開発した次世代コンパクトマシニングセンタ“MILLTAP700”の製造販売も開始し、ご好評をいただいております。本年は、両社の工場での相互生産をさらに進めるとともに、協業の範囲を広げ、お客様にとってよりよいサービスを提供するグローバル体制を強化してまいります。
ギルデマイスター社との協業や、今後のさらなるグローバル展開を鑑み、人材教育にもより注力する必要があります。英語をはじめとする語学力はもちろんのこと、グローバルなビジネスには語学力を基礎とした交渉力や対話力の向上が欠かせません。社員一人一人が考え実行に移すことができる企業人となり、卓越した交渉力と対話力を持って、社内外のグローバル展開を推し進めていく所存です。
世界中のお客様に、最適な製品を最適な納期とサービスでお届けするべく、工作機械の新しい価値と無限の可能性を追求してまいります。
本年も、変わらぬご支援、ご愛顧を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
「種々施策をスピードを上げて実行し、新たな飛躍を図っていく」
●日立建機 執行役社長 辻本雄一
新年明けましておめでとうございます。2013年の年初に当たりご挨拶申し上げます。
昨年の経済情勢は日本の災害復興需要、米国の緩やかな回復はあるものの欧州の金融危機、中国・インド等の成長鈍化など不透明な状態でした。一方、政治の世界ではロシア・米国の大統領選挙や中国の指導体制の交代、我が国の総選挙・政権交代等があり変化の年であったと思います。
このような状況下、新しい年2013年を迎えました。世界経済は依然として不透明な状態ですが、各国の政治指導体制の確定もあり必ず回復してくるものと確信しています。
建設機械業界を展望しますと、現状、総体的な需要は下振れ局面にありますが中長期的には成長していくことは間違いありません。ただし、グローバルな競争環境はますます激しくなっていきます。また、世の中は急速に変化しています。変化に乗り遅れた企業は退場を余儀なくされます。我々は販売サービス、研究開発、生産調達、経営基盤の各分野においていかなる変化にも素早く対応できる体制を創り、この激しい競争に打ち勝っていきます。
今年2013年は十二支に中では巳年に当たります。巳年は新たな命が芽生える新生の年と言われています。我々も新生を期し、種々施策をスピードを上げて実行し、新たな飛躍を図っていきたいと思います。
最後になりますが、2013年が平和な明るい年になることを祈念しご挨拶とさせていただきます。
大型旋盤の加工能力と小型旋盤の精度を持つ新しい「NLX4000」が発売開始! 森精機
森精機製作所は、高剛性・高精度CNC旋盤NLXシリーズの新たなラインアップとして、大径ワークの加工に対応する大型旋盤「NLX4000」の販売を開始した。
NLXシリーズの最大機種「NLX4000」は、クラス最大の主軸貫通穴径と摺動面幅を有する高剛性なCNC旋盤。高剛性な構造体に加え、最高出力37 kWの高出力主軸(標準)と最大トルク100 N・mの高トルク回転工具主軸(オプション)によって大径ワークの重切削加工に対応する。また、機体クーラント循環など高精度加工を実現するNLXシリーズのコンセプトも受け継いでいる。「NLX4000」は、大型旋盤の加工能力と小型旋盤の精度を併せ持った全く新しい大型のCNC旋盤だ。主な特長は以下のとおり。
①高精度
機体クーラント循環をはじめとした様々な技術による森精機独自の熱変位制御を施した。クーラントタンクには、加工精度に影響を及ぼすクーラントの温度を安定させるため708 Lの大容量タイプを採用している。熱変位をコントロールすることで熱変位量を従来機の1/3以下に抑制し、また、C軸の位置決めには周期誤差補正(特許出願中)を行い、位置決めの誤差を従来機の半分にしている。
②高剛性
全軸集動面案内のNLX4000は、面幅を最大で従来機の2倍に拡大することで、大型ワーク加工時の切削反力に耐えうる高い剛性と減衰性を実現している。主軸軸受内径にはφ200 mmの大径ベアリングを採用し、太く剛性の高い仕様である。高剛性な構造と主軸により、最高出力37 kW、最高回転速度2,000 min-1(Aタイプ)、1,500 min-1(Bタイプ)の高出力主軸の能力が最大限に発揮する。
③熟成と進化を遂げたBMT
刃物台に搭載している独自技術BMT(ビルトインモータ・タレット)は“進化”させることで、最高回転速度10,000 min-1を達成した。従来の6,000 min-1から大幅に回転速度を向上しながらも、10,000 min-1までの加速時間がわずか0.45秒という圧倒的な速さを実現している。また、12,000基以上の納入実績を元に“熟成”することで、ギヤ駆動の刃物台に比べて振動を1/3以下、刃物台の温度上昇は1/10以下にまで抑え、精度面でも大きな進化を遂げている。

ほかにも作業性の向上を考慮した構造や、多様なバリエーション、そして省エネルギーなど豊富な魅力が満載のマシンである。