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不幸箱

ミナロの緑川社長を取材しましたが、興味深いお話がありますので、ここでご紹介するとしましょう。

この箱の中身をご覧ください↓↓↓

一見するとゴミのようですが、中には様々な半端モノのケミカルウッドが入っております。
半端ものなのでゴミ同然の扱いを受けても当たり前のシロモノですが、緑川社長は考えました。

「ゴミが詰まった箱を貰った奴は不幸だ。だが世の中にはいろんな奴がいる。この半端モノのケミカルウッドが詰まった“不幸箱”を欲しいという変わった奴がいるかもしれない。よし、インターネットで募集をしてみよう」

というわけで、緑川社長はこのゴミ同然のケミカルウッドの引き取り手をネットで募集しました。するとどうでしょう!
「ぜひ欲しい!」という人物が何人も名乗り出て来るではありませんか。
そのほとんどが芸術家とのことですが、さすがは緑川社長! ゴミも見方によればゴミではなくなる。つまり、ゴミのような嫌われる存在を羨望の姿へと変化させることができたのです。これは素晴らしいことだと思います。

無駄と思えば無駄になる。活用しようと思えば、いくらでも活用できるモノが皆様の周囲にもあるかもしれません。

え? 私の無駄はなんだって?
一番の無駄はこの腹部についた贅肉でしょう。無駄に太るとはこのことです。つまり、無駄に食欲があるということですね。しかも洋服がキツくなるなど、私の財布にダメージを与える生産性のまったくない腹部肉。なんとか活用法を考えていますが、今のところは、水難事故に遭った場合、腹部についた脂肪・・・すなわち肉浮輪のお陰で水面に浮きやすい・・・ということしか思いつきません。

朝晩の冷え込みがキツくなりつつあります。みなさま風邪には十分にご注意くださいね。

驚異のスピード! 不二越の産業ロボット

ネタを探しにロボット展をブラブラしていた私の瞳に映った不二越の産業ロボット群。驚いたのは驚異のスピードでした。未知の生き物のようにうごめいていたそれは、まさに“世界と差をつけるスピード”といっても過言ではありません。

同社のロボット事業は創業より培ってきた工作機械の自動化技術と油圧制御技術を背景に1968年にスタートしてからというもの、今では自動車の製造ラインに欠かせないパートナーとして世界中のものづくり現場から絶大な評価と信頼を得るまでに至っています。

写真左はパワフル&コンパクトな多目的ロボットで、最大リーチ2050㎜はクラス最大。強力な手首で多種多様なワークを自在に搬送するロボット↓↓↓

スポット溶接用ロボットSRAもサイクルタイム短縮に貢献するロボットとして注目です。加速性と制振性を追求し、軽量化、高剛性、高速制御の3つを進化させることで同社従来比のサイクルタイム30%短縮を実現したのです。さらに定期点検や部品交換作業の負担も軽減したうえ、軽量化と最新モータドライブ制御により消費電力を従来より15%削減しました。

ロボット導入に際して不二越ではシステム、ソフトを含め全てをサポート体制も万全だから信頼できます。どんな工程にもオールインワンで設計・製作するから煩わしいことはなく、安心して導入できますね。

さようならテープ

私は若い頃、テープおこしのバイトをしたことがあります。
録音した座談会やインタビューを、そのまま文字にする・・・というアレです。

もちろん新聞社時代も雑誌時代もこのテープおこしはお仕事の一環でした。お陰さまでテープおこしをさせたら、そのスピードに誰もが追随できない速さを誇ります。
テープに録音した会話を文字にして、そこから原稿を起こすという律義なやり方も時には必要ですが、通常、このような“録音装置”は原稿を書くため、記憶を呼び起こすツールとなっています。残念ながらメモだけじゃ字が汚すぎて読めない場合が多く、しかも己の記憶がまったくアテにならないのですから、このようなシロモノに頼るしかありません。

今ではすでに記者のほとんどがICを利用していますが、時代に取り残されたテープタイプを私はこの上なく愛していました。というのも、ICレコーダーが市場にお目見えした当初、新しいモノ好きの私は真っ先に飛びついて購入したのですが、流れるように原稿が進まず苦戦したのです。今のように再生スピードを切り替えるという仕組みもありません。指先ひとつで巻き戻しのキュルキュル音を判断し、会話の流れが瞬時に分かるのもテープタイプならでは。このお陰で流れるように仕事を処理することができていたのです。

♪ 邪魔する奴は指先ひとつで~、ダウンさ~(←北斗の拳のオープニング曲)って感じでしょうか。

ところがこのICには巻き戻しや早送りが指先ひとつというわけにはいきません。ちょっと戻したいのがドバーっと戻ったりと・・・・あああ、もう、イライラするっ! という理由がテープタイプに執着した理由のひとつですが、今ではとうとう記者会見場でテープタイプを持つ記者は私一人しかいなくなりました。

何度も過去、「本当に一人で原稿書いてるの?」と尋ねられたことがありますが、私は営業でもあり記者でもあります。素早く大量の原稿を処理しなければ、営業には回れません。本当にテープタイプはいい仕事をしてくれました。私は常にテープと片時も離れず、そしてカッコいい最新型に乗り換えるような浮気心も起こさず、真面目な仕事ライフを送っていたのです。

ところがとうとう来る日が来てしまいました。
もうご老体ですので、鈍いうえ、急に動かなくなってしまうこともしばしばありました。そんな時、私は「ほらっしっかりせんか!」と、こともあろうにこの老体テープを叩いたりして無理やり動かしていたのです。鬼のような私の仕打ちにテープは怒り出したように急激に大音量を放出して私の耳を困らせましたが、なんとか動いてくれていました。きっと頑張っている私の期待に応えようと最後の力をふり絞っていたに違いありません。

ある日、いつものように机にご老体を置き、スイッチを入れてみても動きません。私はいつものようにテープをペシペシと叩きました。

「どうした! テープ! 起きて! 起きてよ~、もうちょっと頑張ってよ!」
テープはとうとう私の問いかけに応えてくれることはなくなりました。

最後の最後まで力の限りを振り絞り、私に貢献してくれた録音テープ。
私は、長年連れ添ったパートナーを亡くし、悲しみに暮れたままビッグカメラへ向かいました。そうして新しいパートナー、“IC男(アイシーオーと命名)”を見つけ出しました。
まだ慣れないのですが、うんと可愛がってやろうと思います。

目の下の悩みを軽減するアイテム

不規則な生活と睡眠不足続きで最もダメージを受けるのは、“肌”です。

最近の暴飲暴食も拍車をかけており、顔はむくみっぱなし、ブツブツもできちゃうし、化粧のノリが悪くて鑑を見るのもやんなっちゃう。

まぁ、このような悩みは特別なことでもなく、働く女性にとって共通の悩みといえるでしょう。

私の場合ですが、営業や取材がない日は机上で目を酷使します。ずーっと汚い姿でパソコンに向かい、独りごとをブツブツ言いながら一日中パソコンに向かっています。徹夜に近い状態になることもしばしばあります。そうなると目の下は三國連太郎そっくり。一刻も早く、なんとか回復しなければ爽やかに元気よく人様にお会いすることができません。

でね、以前から安くて(←ここが重要)効果のあるアイテムを探しまくっていたの。特に目の下に効くやつをね。

それでようやく出会った一品がこれよ。

ダイヤフォースね。↓↓

プルンプルンのコラーゲンシートは60枚も入っているのよ

このゲル状のシートを目元に貼り付けて15~20分くらい放置すれば、あらっ不思議! 目の下がプルプルになるのよ。まさに疲れた目元の救世主!

私はセコイので、このプルプルコラーゲンシートを使用したあとは、お湯に溶かしてしまいます。それをコットンに染み込ませて手やデコルテにペタッと貼り付け、痛々しいほど貪欲に最後の最後まで使用してやります。

もう手放せない一品になってしまいました。

でもね、化粧品って私が合ったからといって他の人が合うとも限らないし、化粧品が合わない人もいるから購入には注意が必要です。

 

ドキドキっ! 初めて取材される側に! 

先日、初めて取材される側を経験いたしました。

海鹿島海斗さんが放送しているネットラジオが来月15周年を迎えるのです。この輝かしい番組に、なんとなんと私がお呼ばれいたしました。キャーッ!(←ちょっと興奮している)

来月8日に放送される特別番組には、活躍されている様々なクリエーターの方がゲストで参加します。これまた楽しみですね。というのも、海鹿島さんが世の中に落ちている「おっ!」っという事柄に目をつけるのが上手なんです。ネタ元も実に豊富であり、音楽ネタや時事ネタはもちろん社会問題から風俗までを取り上げ、独特の喋りでわれわれを十分に楽しませてくれます。

え? あたしが何を喋ったか気になるですって? 
私はドリフターズを観て育った世代です。あのTV番組は私の人格形成に大いに役立ち、今日に至っていますが、決して子どもが喜ぶような単語の羅列、例えば、う○こ、ち○○ん等の言葉は口にしておりません。うちの親に海鹿島さんから頂いた有難いお話しを打ち明けた時、「調子に乗って(上記に示してあるような)“危険な単語“を口にしないように」と釘を刺されました。まったく子どもじゃあるまいし、そんな恥ずかしい単語を喋るわけないだろう、と思いますが、緊張しすぎると、突拍子もないことをやらかす癖があるのを心配したのでしょう。

製造現場ドットコムを背負ってるんですもの、きちんと産業ネタを喋りましたよ。ほんとよ、ほんと。現在、有識者の中には、「日本の製造業は終わった」とか、「すり合わせの技術はもう古い」との認識を示してる方もいらっしゃいますが、私はこの意見に否定的です。世界経済の先行き不透明感はぬぐえませんが、考え方を変えればまだまだ勝機はあると睨んでいます。

ところで、喋りのプロである海鹿島さんのリードのお陰で、喋ってるうち、どんどん楽しくなってきちゃった。つまり、どんどん興奮しちゃったってこと。

と、いうことは―――――――。
いつの間にかオスマシしていた私もついつい本性が・・・。

というわけで、詳しいことはまた後日ご報告いたします。

ちゃんとお話できたかちょっと心配だわ

電動「エチケットカッター」鼻毛切りの実力と工法

以前、大垣精工の上田社長から身だしなみに使う電動「エチケットカッター」を頂いた。
この重要なカッター部は大垣精工が製造しているもので、鼻や眉、耳の穴などのフェイスグルーミングがこれ1台で賄える優れモノである。カッター部位はディアルエッジ刃搭載! 
コレね↓↓↓


おっと、鼻毛が男性だけ伸びるものと思ったら大間違いよ。
鼻毛は女性だって伸びる。普段はオスマシ顔の私だって伸びる。どこぞの受付にいるキレイなお姉さんの鼻の穴から数本元気よく飛び出ていたのだって目撃したこともある。

このように鼻毛は男女問わず鼻の穴に密着しながらも、鼻の穴から出ているという理由だけで、威厳が消滅するという不思議な魔力を秘めている。たった1本の鼻毛でも、その存在感は大きく、ついうっかり「鼻毛の処理をし忘れてしまった」だけで、その日一日、自信が持てず、ついつい消極的になってしまうことだってあり得るのだ。

つまり、鼻毛処理はわれわれのモチベーションを左右するほど重要な役割を秘めているといえるだろう。

そんな鼻毛を処理するありがたい大垣精工のカッター部が活躍するパナソニックの「エチケットカッター」を使用してみた。

恐る恐る鼻の穴にエチケットカッターを入れてみる。初めての経験なのでちょっとドキドキした。
(痛かったらどうしよう・・・・・)
覚悟を決めていちにぃのさん! でスイッチをオンする私。

この部位を恐る恐る鼻の中に入れてみる


(あれっ?)
まったく痛くない。本当に切れているのだろうか?
鼻の穴に差し込んでいるエチケットカッターをゆっくり時計回りに回転させてみると、ジジ・・・ジ・・ジジ・・ジ・・・と、セミが地面にポトリと落ちたあと命が尽きる寸前に出す羽そっくりな音が鼻の穴から聞こえた。私はエチケットカッターが確実に鼻毛を捉えていると確信した。

「な、なんて優しい鼻毛切りなんだ!」
デリケートな鼻の穴を優しく、しかもあっという間に処理するなんて、さすが大垣精工の技術ね。
というわけで、この技術のどこが凄いのか「製造現場ドットコム」ファンの皆さまに、ちょっとだけ説明をしましょう。

下記の写真は男性の身だしなみに重宝されている電気鼻毛カッターの重要なカッター部。

材料:SUS304L 板厚:t0.6


すごいのは工法です。
この製品の従来工法は、焼結+溝研磨+外形矯正(単発)+パレル研磨と4工程でした。それを、プレス成形(順送金型)+パレル研磨のみの新工法で60%の大幅コストダウンを実現したんです。60%とは素晴らしいですね。従来の加工を進化させ、工程短縮に結びつけた開発力がこの部位に詰まっているのです。

このように、われわれの生活を豊にする製品の中に、キラリ☆と光る各社の技術があります。目立たないけれど、注目しなければならないと思っています。

なんと! 「787」の2機揃い踏み!

思わずためいきが出ちゃうほど素敵な写真でしょ。でしょ、でしょ! 
なんと、「787」の2機揃い踏み! 撮影したのは下村栄司氏。
飛行機好きにはたまらないですなあ。

写真は9月28日に羽田に到着した機体番号JA801A(奥)と今月16日に到着したばかりのJA802A(手前)で、1,2号機限定の特別塗装色だそうです。

26日に成田-香港間で初フライト、28日と29日に遊覧飛行を、30日には被災地の子供たちを招待しての遊覧飛行を行うとのこと。

この写真があまりにも素敵だったので、ちょいとTwitterやFBで一足早くアップしたのですが、写真を拝見した方々から、「いいな~。乗りたいな~」の声が多数あがりました。

11月1日からはいよいよ羽田-広島と羽田-岡山線にデビューするらしいですよ。

ああん、私も乗りたいです。はい。

三井精機のPVがメチャクチャかっこいいゾ!

工業製品をPRするためのPVをよく拝見しますが、中でも実に良くできているな、と感心メーカーがあります。

それは―――――――。

ジャーン! 三井精機さんです↓↓↓

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この小さな
モンスターマシンが
切り拓くのは
モノづくりの
新たな可能性と
大いなる希望だ
Small Machine, Big Dream
Vertex550-5X ―――――――。

どうです! このキャッチコピー! そして異様に盛り上げるBGM! 
なお、岩倉社長が専務になっていますが、このPVは2006年に製作されたものということで、ご愛敬よろしく。

ちなみに3:15分あたりにお遍路さんが、いい具合に登場しますが、この方が企画から製作まで携わった同社のS氏です。

もうひとつご紹介するのは、私が最も絶賛するPVです。これは2003年のものですが、「The U. S. International Film And Video Festival」において銀賞を受賞しています。この年、金賞は該当作なしで、この作品とメルセデス・ベンツが銀賞を受賞しました。

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前出のS氏は製作費について、「おそらくベンツの1/100くらいの予算でできたでしょうね」と話していました。三井精機さんのマシンは剛性が優れており、よりハイクオリティな加工を求める世界中の顧客から評価も高いのですが、このPVは「品位」を見事に表現されているとため息すら出てしまいます。
2003年のものなのに、古さをまったく感じさせない優れた作品のひとつですね。

ご質問にお答えします

田中智様からご質問がきましたので、お答えいたします。
質問内容は、以下のとおりです。(原文ママ)

「恐らく同じような内容の問い合わせが複数あると思いますが、正直なところをお伺いしたくメールしたします。

ほこたての記事読みました。
もちろんテレビも見ました。結果引き分けとのことですが、あれはどう見ても日本タングステンの勝ちです。

理由は穴が開く以前に完全に超砥粒が剥離してしまってるからです。
ワークが割れたのは完全に剥離して研削できない状態なのに、マシニングのZ軸が降下し
ワークの芯をピンポイントで加圧していた為オーバーロードにて停止とほぼ同時にワークが割れた。

つまりワークが割れたのは、対決の決着がついた後のことです。
これは金属加工に関わる人ならば、テレビの映像を見ているだけでわかるはずです。

そして大沢氏自身もこれに気づいていたから一旦は潔く負けを認めた。
そして更には現場で見ていたOSGの社員さんも、同じことを思っている人が数多くいると推測します。

なのに結果は引き分け???考えられません。
この記事には真相が書いてあるかと、多少は期待していたんですがやはりテレビと違うことは書けないですかね???。

私が思うに番組を盛り上げるためのテレビ的演出の片棒を活がされたのでは???
とも思ってしまいます。正直なところをお聞かせ願います」

***************************************

田中智 様へ

今回の結果については、テレビ放映のとおり、オーエスジーさんは穴を開けるのが目的なので、穴が開かなかったために負けを認めました。一方、日本タングステンさんも被削材が割れたので負けを認めました。

この引き分けの判定はヤラセでもなんでもありません。
その判定も私が決めることではありませんし、妥当だと思います。

テレビと違うことは書けないですかね・・・とありましたが、私は見たことを正直に書いておりますし、現場にいた状況も含め、事実だけをお知らせしただけです。貴殿のおっしゃるようなテレビ的演出の片棒を担がされたわけではありません。非常に心外です。

いい加減なことを平気で口にする輩は、世間で信用に値しない人物とされていますので、根拠のあることしか言えません。今回の件は、工具が剥離しても、しなくても被削材が割れていた可能性も十分に考えられます。

しつこいようですが、テレビ的演出の片棒は担いでおりませので、あしからず。
正直なところをお聞かせ願います・・・とありましたが――――。

「あたしゃペン乞食じゃねぇぞ!」
これが正直なところです。

「ほこ×たて」緊急解説

すでに切削加工業界に身を置く方々にとって、フジテレビの「ほこ×たて」の人気企画、“絶対に穴の開かない金属”VS“どんな金属にも穴を開けられるドリル”は有名ですが、とうとう日曜日のゴールデンタイムに放映されることになり、先ほど、日本タングステンに切削工具メーカーOSGが挑戦した様子がお茶の間に流れました。

皆さん、今までにない衝撃の結末に度肝を抜かれたと思います。冷静に考えれば、十分あり得る結果ですが、対決を見守っていたわれわれ業界専門記者軍団も驚きました。この対決、1㎜削るために要した時間はなんと4分以上! 1度目は13分を過ぎたころに材料が乾いた音を立てて割れました。今までにない展開にザワつく現場。再度、撮り直しをしたのですが、2度目も13分を過ぎたころにパシッという衝撃音が響きました。

結果は引き分けです――――。

そこで!
「材料を制するものは加工を制す」を口癖に、製造現場を追い求めて早十数年の私。放映が終わって「すごかったね~面白かったね~」だけじゃ済まされない・・・ということで、「製造現場ドットコム」ファンの皆さまに大サービスよ。解説をいたしましょう。

日本タングステン(通称:ニッタン)の中川内氏が今回持参した超難削材料はサーメットでした。よって超硬合金とは一味違います。超硬合金の材料はタングステン等の金属の炭化物で出来ていますが、サーメットは簡単にいうと、この超硬合金にセラミックを加えた複合材料です。

コレね↓

OSGは切削工具メーカーですので、材料の研究にも余念がありません。おそらくニッタンの得意とするブツを想像しながら工具の開発を進めてきたはずです。
「思ったよりも軽い」
これが対戦相手であるOSG執行役員デザインセンター長の大沢二朗氏の言葉でした。

さて、数々の挑戦相手を叩きのめし、加工不能とまで言わしめた超難削材に挑んだ、OSGの対決用工具が気になりますね。この工具の名称は、テレビでも流れましたが、『クロスエンドドリル』(特殊品)。工具径はφ20 #40(粒度)のもので、工具先端にダイヤモンドの粒子を電着させた特殊工具です。そもそも過去3回の戦いを拝見する限り、被削材は超硬合金と考えられていました。超硬合金の弱点はサーメット同様、割れやすい点が挙げられます。超硬合金もサーメットも超が付くくらい硬いのは変わりませんが、サーメットは耐熱性と耐摩耗性に優れています。

今まで放映された対戦相手(タンガロイ、アライドマテリアル、古河ロックドリル)も数分で機械が止まりました。これはモノが悪いというわけでなく、ぶっつけ本番、しかもこのような対決に前例があるはずもなく、材料に合った加工条件を満たすことができなかったわけですが、やはり硬い焼結材を加工するには世界一硬いと言われているダイヤモンドが有効のようです。ただしダイヤモンドは熱に弱いという弱点があります。加工中の高熱はダイヤモンドの硬さを失わせるうえ、およそ800℃あたりで炭化してしまいます。

中川内氏はおそらく従来通り、“高硬度難削材”で工具が摩擦熱で先にくたばるのを狙ったブツを開発し、持参したのだと思われます。

このあたりの弱点をどう補うかが最大の課題になるわけですが、今回、東京工科大学の福井教授と共同開発し、その技術の集結がこの工具に活かされました。

この戦った後の工具をご覧ください。
底面の十字スリットで切削油材を十分に供給できるような形状です。工具中心のオイルホールで、切りくず排出性を高めていますね。

形状はこんな感じです。きっちり数ミリ色が変わっていますね

工作機械で高速加工を行うとどうしても加工物の表面と工具表面に熱を持ちますから、せっかくコーティングされたダイヤモンドの利点が失われないよう、クーラントの利用を最大限活かす造りになっています。また、コーナー部をR形状にすることで切削時の負荷を分散しているのも見事ですね。この形状は硬い材料への穴開けに威力を発揮します。

また工具自体が螺旋を描くヘリカル加工をすることによって、切りくず排出性を良好にし、切削油材の供給を容易にしています。この加工法のメリットは、周速ゼロポイントでの加工を避けることにより、工具損傷を低減することです。

これからも対戦したOSGはダイヤモンドの弱点である熱対策を徹底的に行ったと言えるでしょう。

その結果、被削材は割れ、切削工具はこのような状態に・・・・・。互いの腹を探りながら開発したものは、互いに良いトコロを突いていたわけです。さすがですね。

割れちゃった・・・・・

ところで、私は常々申し上げていることがあります。
それは金属加工というのは工具、剛性の高いマシン、工具をしっかり保持するチャックがなければ、クオリティの高い加工はできないということです。どんなに良い切削工具があっても剛性のないマシンではビビリが発生し工具摩耗が激しくなりますし、工具を保持するチャックが甘いと、これまた振れて工具があっという間にお陀仏になってしまいます。

というわけで、この熱い戦いに挑んだ、陰の実力マシン及び周辺機器をご紹介いたしましょう。

工作機械はオークマの立形マシニングセンタ「MB-46VAE」。回転速度は50~15,000min₋¹(標準仕様)。このマシンを選んだ理由は、剛性はもちろんのこと、“内部給油が可能”だということでした。

オークマ「MB-46VAE」

しっかり工具を保持していたチャックは、高い品質で世界中から好評を博している大昭和精機のものです。

さすがは高品質がウリの大昭和精機さん↓

この見事な戦いですが、加工不能と言わしめた材料が中心から放物線上に割れてしまいました。材料にかかった力の逃げ場所がなくなり割れてしまったのですが、先述のとおり、サーメットの欠点は割れやすい、ということです。割れ方から推測すると、この穴開け対決に使用したマシンもチャックもビビらない、振れない、という優れモノだということが分かります。

次回は、何が出てくるか分からない不気味な超難削材の特性を想像しながらさらなる工具開発をして見事に穴をあける工具か、今まで以上にまったくビクともしないシロモノを持参するニッタンか、もう一度熱い対決を期待したいですね!

でもね、今度は柔らかくて粘っこい難削材を持って来たらどうしましょう!?
そのうち、硬いものも柔らかいものも、どんな材料でも加工ができる夢のような工具が開発されるかもしれませんね。

余談ですが、あのダイヤモンドコーティングが施された「クロスエンドドリル」で、働く女の勲章ともいえるガサガサの足の裏を擦ってみたい衝動にかられてしまいました。

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