注目記事 2011年分

躍進する切削工具! 「2011年“超”ものづくり部品大賞」受賞工具はコレだ!

 日本モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が共催する「2011年“超”ものづくり部品大賞」。本年大賞に選ばれたのはJX日鉱日石エネルギーの「パラフィン系潜熱蓄熱材エコジュール」。
 切削工具業界からは日本力(にっぽんぶらんど)賞に日進工具の「極微細ねじ加工用エンドミル マイクロねじ切り工具 MMTS」が、機械部品賞 に日立ツール/日立製作所の「AVアーバ(防振アーバ)」が、奨励賞にオーエスジーの「超硬油穴付きWDOドリルシリーズ」がそれぞれ受賞した。ハイクオリティな加工に貢献する切削工具メーカーの受賞工具を紹介する。

「確かなもの・間違いのないものをつくる」 親子3人で顧客の要望を形に変えるカシワミルボーラ

 国内製造業を取り巻く環境は2008年のリーマンショック以降、“円高”、“法人税”、“労働コスト”、“環境制約”、“交易条件”、“電力供給制約”といった問題に直面し、産業の空洞化なども懸念されている。海外に目を向けても世界企業が成長著しい新興国市場を狙い熾烈な競争を展開しているのが現状だ。多くの中小企業が存在する国内市場は過当競争を強いられており、鋳造や金型といった素形材産業の利益率をみても他の産業に比べ非常に低いことも問題である。
 このような厳しい環境下でも、「確かなもの、間違いのないものをつくる」ことをポリシーに掲げ、親子3人で奮闘している町工場があった。
 カシワミルボーラ(東京都大田区東糀谷5-8-2)の柏 良光社長を訪ねた。

起業7年で取引先が2500件以上に増加した町工場 “ミナロ”

 起業わずか7年で取引先が2500件を超えた町工場が横浜市にある。
木型・モデル加工を得意とするミナロ(社長=緑川賢司氏)だ。ケミカルウッドやアクリル、ABS等の樹脂、アルミや真鍮等の材料をCADデータ、図商、スケッチをもとにマシニングセンターで削り出す。
「一生のうち人間がやれることは知れている。だから自分がどこまでやれるかチャレンジしていきたい」と力強く語る緑川社長。
 今を生き抜く町工場の姿がここにはあった。

「グローバル時代を勝ち抜く!」セスクワ ブルーノ・マルコ社長が来日

 操作が簡単で信頼性の高いソフトウエアとして多くの企業で使用されているセスクワのソフトウエア。セスクワ支社は日本の他に、アメリカ(デトロイト)、ドイツ(フランクフルト)、スペイン(バルセロナ)、インド(プネ)、中国(上海)に置かれ、その他多くの国の販売代理店とともに直販または販売代理店経由で、ヨーロッパ、北米、アジア諸国への拡販、テクニカル・サポートのネットワークを整えている。都内港区虎ノ門にあるセスクワ日本法人はアジアの拠点として、韓国、タイを中心に、アジア地域への拡販、サポートを行う。
 精力的に世界中を飛び回るブルーノ・マルコ社長の来日に伴い、お話を伺った。

生産加工システムの自動化に貢献する研究者!

電気通信大学情報処理工学部知能機械工学科・機械システムコースに森重研究室がある。
「日本の製造業は今大きな岐路に立たされている。海外へ企業の生産拠点が移り、これまで培ってきた生産技術の流失も急速に進んでいる。この流れに対抗するためには“流出するものに代わる新たな高付加価値産業の創出”と、それを実現するための“高付加価値生産技術”の確立が不可欠です」と力強く話す森重功一准教授は、コンピュータと各種ロボット(加工ロボット、計測ロボット、多関節ロボット)を活用して、生産加工システムの自動化、効率化、高精度化、知能化に関する研究を精力的に行っている―――。

ねじ工場の底力、ここにあり!

 東武東伊勢崎線谷塚駅を降りて商店街を抜けると大きな通りに出る。歩道橋を渡ると、風景が一変した。きんもくせいの香りが漂うのどかな風景の中、しばらく歩いて行くと、“ねじや”の垂れ幕を見つけた。映画「ガール・スパークス」の舞台にもなった浅井製作所(社長=浅井英夫氏、本社:埼玉県草加市谷塚上町449-7)である。
たった1人で生産するねじは、1日に約50万本。
工場の中の機械は可動部が剥き出しであり、まさに工場全体が命を持って活動をしているようにも見える。
 どんな極小ロット品でも機械的に出来ない形状を除きロット数にて断ることはなく、製作可能か否か値段等々の回答も問合せがあれば、即、回答できるフットワークの軽さがウリの浅井社長を訪ねた。

「メカトロ」で見た各社のイチオシ製品はこれだ! 

ニュースダイジェスト社(社長=黒田嘉幸氏)が主催する「メカトロテックジャパン2011」が9月29日(木)~10月2日(日)の4日間、名古屋のポートメッセなごやで開催され、盛況のうちに幕を閉じた。国内のFA専門店としては今年最大規模の展示会に多くの来場者が訪れた。
各社の最新技術が一堂に集結した中で、目立ったのは複合機等で工程集約を狙うものや、省エネに貢献する製品であった。
各社選りすぐりの製品を紹介する。

(イワタツール/宇都宮製作所/オーエスジー/大阪機工/ジェイテクト/住友電気工業/ソディック/ダイジェット/大昭和精機/日進工具/日立ツール/不二越/牧野フライス製作所/三井精機/三菱マテリアル/森精機/安田工業)

長い突き出し時のビビリを防止! 「スマートダンパー」が加工時間を短縮!

加工現場でよく聞く悩みにビビリがある。ビビリは工具寿命を悪化させ、面品位を落とすやっかいなものだ。
高速高能率加工でクオリティの高い製品をつくるためには、このビビリをなんとしても排除しなければならないのだが、ビビリをなくすためには切削速度も重要であり、現場では回転数を下げて時間をかけて加工を行っているのが現状である。
高能率加工で時間を短縮し、利益を出すための工夫とは―――。・
今回、大昭和精機(本社=東大阪市西石切3-3-39)が製造している防振機構内蔵の「スマートダンパー」に注目し、その魅力を記載する。

丸いモノはなんでも削る! イケメン兄弟の製造現場は凄かった!

都内にイケメン兄弟旋盤工がいるという噂を聞きつけた。
イ・・・イケメン・・・!
しかも削りの技術が素晴らしいという。ううむ、これは行かねばならぬ―――。
カバンに期待とカメラを詰め込み、いそいそと向かった先はイワキ精工(社長=鈴木匠氏、東京都大田区)。工場の入り口付近には飼っているキジ柄の可愛い猫が出迎えてくれた。子猫もチョロチョロしている。一見、のどかな光景だが、ドアの向こうからヘヴィなメタル音楽、デスメタルが溢れ出ていた―――。「丸いものはなんでも削る」というイワキ精工を取材した。

チタン加工における工具の特性を考える

航空機の設計、製造にとってチタンは、軽く硬く強度があり熱や金属疲労に対する耐性が高く多くの特性をもたらす。チタンの加工は合金鋼を加工することよりも困難だが、インコネルのようなニッケル合金の加工よりも挑戦的なものではない。チタンと鉄鋼では、熱の逃がし方が被削材・切削工具を通じてか切粉を通じてかという点において大いに異なり、鉄鋼系の部品の場合には切削工程において発生する熱の75%以上が排出される切粉を通じて発散される。チタン系の部品ではたった25%の熱が切粉に伝わるだけなので、工具の切刃先端に熱が蓄積・滞留する―――今回、チタン加工における工具の特性に注目し、水野正男ノガ・ジャパン社長に執筆を依頼した。