注目記事 2020年分

【最新加工技術】三菱マテリアル 自動盤加工向け工具『MS9025』が満を持して登場! その舞台裏を拝見! 

 加工現場の市場ニーズに応えるべく、日々奮闘している三菱マテリアル・加工事業カンパニー。近年、難削材の増加と高い加工精度が要求されるケースが増えていることを受け、同社では、小物高精度加工向けインサート材種『MS9025』の開発を行っていたが、この製品開発が最終段階に入り、自動盤加工に適したインサートの市場投入を行っていく姿勢を打ち出した。一般的に自動盤といえば、困るのは、〝切りくず処理〟だが、この問題をクリアする新しい技術に〝振動切削〟による切りくず処理の向上が挙げられる。同社は兼ねてより、従来の加工方法は基より振動切削を使用した条件下でも最適なインサート材種を模索していた。なぜならこの分野は、どの工具メーカーも未開発だったからである。

 営業企画部が捉えた市場の背景と、それに応える開発本部の精鋭たち。振動切削に対応し、安定した性能を発揮する最新工具が満を持して今、市場投入される―――。
 

【オンライン】かながた小町座談会 ~女性が活躍しやすい職場環境を~

 日本金型工業会(会長=小出 悟・小出製作所社長)が昨年発足した「かながた小町」プロジェクト。これは近年における働き方の多様化により、女性就業者が増加していることを受け、金型業界の職場環境改善や長時間労働の是正を期待し、立ち上がったものだ。

 同工業会の川田明美事務局長は、「一般的に金型業界は男性の職場と思われていますが、多くの女性が活躍しています。技術者や技能者、営業、会社の運営を支える事務職など比較的女性が活躍しやすい業界でもあるのです。」と話す。

 今回は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、それぞれの仕事が終わった夜の7時からオンラインシステムを使用し、金型業界で活躍する「かながた小町」たちに活動や近況をゆる~く語って頂いた。

〈出席者:アサヒダイテック 総務課 課長 小川朋加さん、七宝金型工業 営業部 松岡咲希さん、名古屋精密金型 営業部長 渡辺祐子さん、ムツミ工業 取締役総合統括本部長 近藤紗也子さん、日本金型工業会 事務局長 川田明美さん〉
 

大平工具製作所 水谷社長に聞く「未来のために削り続けていく」 

 大平工具製作所(社長=水谷秀樹氏、本社:三重県松阪市大平尾町)は、今年で創業68年を迎え、長い歴史の中で、工具製作から培われた加工技術・技能で様々な苦難を乗り越えて、常に新しい分野へと挑戦してきた従業員数12名の会社だ。数物部品加工と金型製作技術に高い評価を得ており、信頼も厚い。現在、新型コロナウイルスの悪影響が暗い影を落としているが、3代目にあたる水谷社長は、「私が経営者となって初めての苦難であり、弊社の本質が試される時ですが、導入した新設備が打破してくれるはずです。」と、勢いがいい。
 
 水谷社長に時短に成功した加工事例を含め、会社の歴史や、導入した新設備への思い入れ、現在の様子についてお話を伺った。

金型加工特集 「切削工具・周辺機器」編

 われわれの生活を豊かにする生活用品の数々――――。
 高付加価値商品の自動車やデジタル家電などを生み出すための基礎には品質の高い金型製作が必要不可欠である。金型の善し悪しが商品の品質を左右するのだから金型メーカーが大きな使命を背負っていっても過言ではない。ところが、現在、労働時間の制限や作業者の不足といった悩ましい現実に直面しつつ、仕事量が増えても短納期やコストダウンの要求が厳しい現状がある。これらの課題を解決しつつ、経済効果を上げるための〝金〟を生む〝型〟の製作において利益向上の鍵を握るのは、ものをつくるモト―――すなわち、「工作機械」、「切削工具・周辺機器」などの設備である。

 前回の工作機械編に引き続き、「切削工具・周辺機器」編を掲載する。
 (イスカルジャパン、イワタツール、オーエスジー、キタガワ鉄工所・キタガワグローバルハンドカンパニー、住友電気工業、タンガロイ、大昭和精機、ダイジェット工業、日進工具、不二越、ブルーム-ノボテスト、MOLDINO、ユキワ精工)

金型加工特集 「工作機械編」

 われわれの生活を豊かにする生活用品の数々――――。
高付加価値商品の自動車やデジタル家電などを生み出すための基礎には品質の高い金型製作が必要不可欠である。金型の善し悪しが商品の品質を左右するのだから金型メーカーが大きな使命を背負っていっても過言ではない。ところが、現在、労働時間の制限や作業者の不足といった悩ましい現実に直面しつつ、仕事量が増えても短納期やコストダウンの要求が厳しい現状がある。これらの課題を解決しつつ、経済効果を上げるための〝金〟を生む〝型〟の製作において利益向上の鍵を握るのは、ものをつくるモト―――すなわち、「工作機械」、「切削工具・周辺機器」などの設備である。今回は、金型加工をテーマに、前編を「工作機械」、後編を「切削工具・周辺機器」として、注目各社の最新動向を掲載する。

(アマダ、OKK、岡本工作機械製作所、キタムラ機械、黒田精工、芝浦機械、ナガセインテグレックス、牧野フライス製作所、三井精機、安田工業、ヤマザキマザック、碌々産業)

トレンドはロボットを活用した自動化! ~ キタガワグローバルハンドカンパニー 自動化システムチームの力強さとは ~

 北川鉄工所(会長兼社長=北川祐治氏、本社:広島県府中市)は、2018年に創業100周年を迎えたことを機に、事業のさらなる成長と専門組織として対応力の強化を狙い、各事業分野のカンパニー制を導入した。これにより一層グローバルな事業基盤確立し、積極的に新たな展開を見せている。その中でも、目覚ましい飛躍を遂げているのが、キタガワグローバルハンドカンパニーだ。

 現在、製造業における自動化の進展に伴い、産業用ロボットの需要が伸びている。ここで必需品となるのが〝産業用ロボットハンド〟だが、チャックで培った〝モノを掴む技術〟を存分に活かして工作機器分野にイノベーションをもたらした商品製品の数々を市場投入しているのは、発足して丸1年が経過した同社の〝自動化システムチーム〟である。製造現場の自動化や省人化を推進し、現場の効率化に貢献する専門部隊だ。妥協のない品質と性能でkitagawaブランドを牽引している。

独立時計師 浅岡 肇 氏の製造現場を拝見! ~工作機械が洒落て見える不思議空間~

 2009年に日本で初めて難易度の高いトゥールビヨン機構を搭載した超高級機械式腕時計を発表し、世界中に大きなインパクトを与えた独立時計師 浅岡 肇氏。過去には広告や雑誌の世界でも手腕を発揮し、その個性的な発想は創造性に富んだ時計製作にも表れている。世界でたった29人しか存在しない独立時計師で構成された独立時計師アカデミーの正会員でもある浅岡氏が設計、加工、組み立てまでの全工程を手がけている希少性の高い時計の数々はもはや美術品。精度の高さと美しさを兼ね備えた時計として世界中から高い評価を博しておりファンの心を掴んで離さない。

 浅岡氏は昨年、作業現場(アトリエ)を都内に増設し、新たに工作機械を導入した。世界中のファンを魅了するラグジュアリーな超高級腕時計の製作現場を見学するとともに、製造業界への思いを語って頂いた。

ものづくりに感動を与える 星製作所 ~デジタルなものづくりで高能率・高生産を実現~ 

 従業員数5名でありながらパワフルな経営展開をしている星製作所(社長=星 肇氏:東京都八王子市美山町)。主な事業内容は産業機器向け板金筐体・部品、板金ケース、自作ケース、エフェクターケースの製作だ。ウェブサイトを活用した「板金ケース.com」、「自作ケース.com」、「筐体設計.com」では、1個からカスタマイズ、セミオーダーで全国からケースを受注する画期的なビジネスモデルを展開している。

星社長の経歴もユニーク。工場を経営していた両親の影響もあり、幼少の頃からモノをつくることが好きだったが、就職した先は製薬会社。ここで学んだことが、その後の工場経営に大いに役立ったという。現在、同社で依頼される製品は多種多様だが、板金加工に必要な加工ノウハウをデジタル化し、工場内のマシン・ソフト・人を繋げて高い生産性を誇っている。

北海道住電精密 ~高度な粉末冶金技術と最新テクノロジーによる一貫生産で刃先交換式インサートを製造~

 世界40カ国、約27万人企業として多彩な事業を展開している住友電工グループ。現在、“自動車”、“情報通信”、“エレクトロニクス”、“環境エネルギー”、“産業素材”の5つの事業分野を確立している。その中で、今回、注目したのは産業素材分野だ。同社の源流でもある銅電線の伸線技術を応用した特殊金属線、伸線に必要な線引きダイスの内製化を機に“超硬合金”の開発が行われ、粉末冶金技術を活かした切削・研削工具の数々は、あらゆる領域で世界のものづくりを支えている。

 同グループの超硬工具イゲタロイ基幹工場として常にトップレベルの製品と技術を創造しているのは、北海道住電精密(北海道空知郡奈井江町:社長=大屋敬雄氏)だ。最先端の技術と品質管理で、超硬合金の“粉末原料”を製造し、世界へ広がる関係会社へ供給するに加え、“刃先交換式インサート”(スローアウェイチップ)の量産製造をメインとした専門工場である。最新システムとテクノロジーによる一貫生産が特長で、高度な粉末冶金技術とファクトリーオートメーションの融合により原料から製品まで高効率生産を行っている。大屋社長にお話しを伺うとともに工場内を取材した。

不二越 工具事業部 「もっと加工に革命(Revolution)を!」 ~最新工具の強みとは~

 多彩な事業と技術で世界のものづくりに貢献している不二越の強みといえば、なんといっても“総合機械メーカー”だということだろう。1928年の創立より培われた生産ノウハウを有する強みのもと、世界中の製造現場に独自性の高い商品やシステムを提供し、生産ラインの高能率化に貢献している。

 「もっと加工に革命を!」のスローガンを掲げている同社工具事業部。切削加工条件の多様化から、超硬工具の需要が拡大する中で、2015年には超硬材料開発プロジェクトを立ち上げ、2018年に超硬素材を内製化した。材料開発、製造設計技術開発に注力し、現在、1本の工具でなんでも加工できる汎用工具、用途に合わせてダントツの性能を誇る専用工具を有する『アクアREVO』ブランド工具を次々と進化させてラインナップを拡充しており、その勢いは止まらない。工具の生産拠点である富山事業所(富山市不二越本町)にある工具事業部を訪ね、お話を伺うとともに、新商品群のデモ加工や優位性を取材した。