航空機の設計、製造にとってチタンは、軽く硬く強度があり熱や金属疲労に対する耐性が高く多くの特性をもたらす。チタンの加工は合金鋼を加工することよりも困難だが、インコネルのようなニッケル合金の加工よりも挑戦的なものではない。チタンと鉄鋼では、熱の逃がし方が被削材・切削工具を通じてか切粉を通じてかという点において大いに異なり、鉄鋼系の部品の場合には切削工程において発生する熱の75%以上が排出される切粉を通じて発散される。チタン系の部品ではたった25%の熱が切粉に伝わるだけなので、工具の切刃先端に熱が蓄積・滞留する―――今回、チタン加工における工具の特性に注目し、水野正男ノガ・ジャパン社長に執筆を依頼した。