直目

研削盤メーカー担当者が見た世界三大工作機械見本市 『EMO Hannover 2017』

 ドイツで開催されたEMOが盛況のうち終了しました。
 現場で働く方の生の声が聞きたい!
 今回は研削盤メーカーの岡本工作機械製作所のマーケティングを担当する西上和広氏にEMOの様子を執筆していただきました。

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岡本工作機械製作所のブース
岡本工作機械製作所のブース
 2017年9月18日~2017年9月23日迄の6日間、世界三大工作機械見本市と呼ばれるEMOショーがドイツ・ハノーバーにて開催されました。世界三大工作機械見本市とはEMO(2年に1度ドイツのハノーバーorイタリアのミラノ)、IMTS(アメリカのシカゴ)、JIMTOF(日本・東京)の3つがあり、EMOの特徴としては日本国内では見ることのできない、欧州の小さな工作機械メーカー等を見ることができるというものがあります。

 もちろん日本の工作機械メーカーも多く出展、欧州・欧米・アジアのワールドワイドな展示会ですが、やはり欧州の感覚でデザインされた工作機械を見ることができるというのが最も魅力的な展示会です。(研削盤メーカーだけで30社を超える展示会は筆者にとって初めてでした)また地方の小さな展示会とは異なり、来場メーカー数・来場人数・小間数を含めて圧倒的な規模です。

会場間をバスで移動
会場間をバスで移動
 会場の建物が違うため、敷地内はバスの運行があり、バスに乗って施設間を移動します。初日は使いませんでしたが、2日目からは大変お世話になりました。また会場内ではビールを出すお店、ソーセージの販売、パンの歩き売り等もあり、日本では考えられない展示会でした。(当社もですが、各ブースでは歓迎としてビールと軽食をブースで振舞っていました)

 ちなみに当社ブースでは5台の研削盤を展示、複雑な形状の研削を可能とするCNC精密平面研削盤PSG106CA3、簡易ソフトによる使いやすさを重視したNC精密平面研削盤PSG104CA-iQ、高能率研削(1パスで100μmの切込み)を実現するCNC門形精密平面研削盤PSG208CH-iQ、ヨーロッパで主流の複合円筒研削加工を実現するCNC精密複合円筒研削盤UGM360NC、リニアモータ駆動採用により高速反転を実現するCNC超精密成形研削盤UPZ52Liの展示を行いました。

写真左:PSG106CA3 ワーク 右:UMG360NC ワーク

工作機械を見て感じたこと

商談中
商談中
 筆者も学生時代に勉強をしたドイツ語を活用してアテンドを行いましたが、欧州ユーザーの方は国内ユーザーの方とはまったく違う箇所に興味を持つことに驚いてしまいました。(一概には言えませんが、欧州ユーザーはじろじろと工作機械を3分くらい見て、数値に関する質問をし、なぜその数値が可能かを質問してきました。そしてフムフムという顔をしてカタログを持っていきました。国内では1から10まで質問をされて機械の説明をする流れですが、どこか違う空気を感じました)。

 
 欧州の研削盤に限らず工作機械は、下記の特徴が見受けられました。

 ① 工場内いっぱいに機械を並べることをしないため、機械専有スペース・設計にゆとりがある。
 ② 自動化を好む。
 ③ CEマーク対応もあり、人がけがをしないような設計をしているor外部に汚れが飛ばないような設計。
 ④ 電気・配線関係を床を這わないように、また電源ボックスから出さないように設計。
 ⑤ 操作画面関係に関して、欧州勢は多少苦手?
 
 また町中がEMO歓迎ムードでした。
 どこに行ってもEMOの看板が出ており、町中の歓迎を感じることができる非常に良い展示会でした。現地のドイツ人の方も非常に良い人が多かったです。

 ドイツと言えばパン・ソーセージ・ビール!!
 筆者はオクトーバーフェストの洗礼に合い、机の上でビールをもって踊っていたそうです。。。ヨーロッパ支社ではクレイジーボーイと呼ばれていたそうです。(写真はありましたが、記憶は御座いません)

(文・写真:岡本工作機械製作所 西上和広)

中年の「っす」

 まあさ、赤坂界隈って、メディア関係者がわんさかいるイメージがあるんだけど、その筋気取りの偉そうな男性が悪目立ちしている。大声で偉そうに「〇〇(←誰もが知ってるタレント)がよぉ~」、「D通の〇〇さんてマジやべぇの!」とか、さらりと大声で芸能関係者であることを周囲に匂わせ、言葉遣いが乱暴なのも特長のひとつだけれど、このようなステレオタイプの輩の全てがその筋の関係者か、といえばそんなことは全くなく、実際、ご活躍されている方の多くは表向き、公の場では礼儀正しい・・・と思われる(笑)

 ところで、いかにもギョーカイ人を気取る男の悪目立ちをしている言葉使いでダントツ気になるのは、「――っすよ」ってアレよ、アレ。若いならともかく、「っすよ」を連発する中年男のこれがもう―――気になってしょうがないのよね。

 先日、外出していたところ、ちょいと久々に赤坂界隈に寄り道をしてランチを食べたわけ。わたしのテーブルの横には、「――っすよ!」、「マジすか!」を連発するチャラそうな中年男2人。

 まぁ、そのうちの1人が大声で喋る喋る。しかも、会社名や名前をモロ出ししている。こんな公の場で、ものすごく偉そうに相手の素性を口にしても平気な中年男が、本当にまともな仕事をしているのか気になって仕方がない。仕事関係者のことは、通常であれば、噂話をしているのがバレたら怖いので誰が聞いているかワカラナイ公の場では話さないよう気を遣うだろう。しかも、案外、世間ってのは狭いもんだしね。

 「なんっすかね、あれなんっすよー、あの話、マジヤバイっすよー、テレビジョンがさあー、すぐに結果を出すオーラが出てるじゃないっすかー(←結果を出すオーラってどんなオーラだよ!)、そうっすかー、個人事業ってたいしたことないじゃないっすかー(←ひどい!)。でも独立したいんすよー、世の中いい会社ないしー、〇〇さんの企画ってなんかイケてないっすよねー、よくやってけると感心してるんっすよ―、プロダクトは介入じゃないっすか〜(←意味不明)、マジっすかー、俺の友達ハンパないんっすよー、ヤバいっすよマジ、デキル男なんっすよー、D通の〇〇さんと仲が良いみたいっすよー、すげーんっすマジ! 」って、っす、っす、っす、っす、すすすすすすすすすす―――。

 あああああうるさいっ! 
 それにアンタ、もういい熟男だろう、そんな言葉遣いをしちゃダメよ! と思わず説教をしたくなる。言わないけどね(笑)

 2人組のひとりはお友達なのか、ずっと聞き役に徹しており、ときおり相づちを打っては、もくもくと食事を口に運んでいた。

 勝手な憶測だけれど、どうやらメディアをあやつるIT関連関係者らしい。要は、自分を取り巻く知人たちは活躍している凄い人たちばかりだ、だから俺も優秀なのだ――といいたいのだろう。

 ところが、だ。
 大声で喋る中年男の口からは、なぜか、すごい人たちと一緒に仕事をした、という内容には至らない。どうも怪しい(笑)

 ふーーーーーん。
 他人のカッコイイと思われる点を利用して、自分と同一化させ、そんな俺もカッコイイと勘違いしている幼稚な思考を嗅ぎつけたわよ。

 そもそも他人様を牽引するような仕事をしている大人の男性は、誰が聞いているか分からない公の場で、仕事の話にかこつけた噂話はしないもんだ。それよりなにより、デキル男は、こんな言葉はまず使わないんだよ―――と、心の中で毒づいた。

 続いてこんな言葉が耳に入ってきた。

 「いやね、わかってくれないんっすよ、まあ、どうせそんな会社だからたいしたことないし、落とされてよかったっんすけどねー―あ――独立してぇ――!! で、そちらも忙しそうっすけど、片腕いないんすか?」だと。

 ああ、おじさんは就職活動中だったわけね。
 いやね、わたしがいうのもなんだけど、独立するのは大変だし、その前に中年男が「っす」を連発すると、小物感、というか、はっきりいうと、使いっ走り感が拭えなくなるからやめたほうがいいわよ。それよりなにより、公の場でありながら、大声を張り上げて社名が特定できるような人様の噂話をするのはよくありません。大人のマナーだと思うけれどね。

メガトン級のディープインパクト! 

「このはげーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

耳をつんざく、モモヒキを引き裂いたような金切り声。

女性暴言議員のニュースに目が釘付けになったわたし。
久々にメガトン級のディープインパクトではないか!

止まらない抜け毛の恐怖をイメージすることもできない。
せいぜい働く男達の死滅した毛根の呪いを受けるがいい――と思っちゃったわよ。

暴言議員の眩しい経歴をみると、記憶力は良いかもしれないけれど、想像力に致命的な欠落が見て取れた。こんなことをしたら、逆恨みされるかもしれん・・・・と通常ならばイメージするはず。ましてや暴力は反社会的なことなので、この事実がバレたら大問題になる。

感情をコントロールする術も知らず、まったく関係のない秘書のご家族までに話しがおよび、その内容は、残酷すぎて文字に出来ないほど。即興の歌であんな気持ちの悪い言葉がスラスラ出てくるんだもん、おそらく日常的にそんなことを考えているのか、こういうことが平気な環境に長らく身を置いていたとしか思えない。ひぃ~~怖いわ。

しかしまぁ、暴言議員のような中年女が「公人」として堂々と存在しているから、わたしのように善良な中年女でも、男社会にいるとちょっと怒っただけで「やっぱり女は」って言われやすくなっちゃうんだよね。働く女性たちがあらぬ誤解を受けるから、困っちゃう。

取り柄が学歴だけ―――せっかく勉強したのに、学んだことが活かせないというのは罪なことだ。こんな結末を迎えるなら、わざわざ勉強することもなかっただろうに。

暴言議員の言葉は全て不愉快なのだけれど、さらに引っかかったのは、

「わたしの評判を下げるなぁぁあああ! オマエを叩くよりよっぽど痛いよーー!」ボコッ(←殴)

という台詞。

つまり、怒らせるオマエが悪い。という他罰的思考ね。
自分が怒ったからといって、不当な暴言・暴力も許されるというのは、己に正当性を持たせるための言い訳にしか過ぎない。この類いの思考は、正直いうと日本でもまだ蔓延っている感じがしている。

たとえば、若い女性がスカートを履いて電車内で痴漢にあったとしたら、「そんなカッコするから悪いんだ」っていうアレに感覚が似てると思ったのよ。

若い女性がスカートを履こうがなんだろうが、勝手に触っていい、ってことにはならないだろう。
そこには己の都合に合わせた勝手な解釈に基づく行動理念が見て取れるわけ。
つまり、この女性議員は、電車の痴漢となんら変わらない思考の持ち主といってもいいでしょう。

運転中は身体の自由がきかない。そんな秘書をボコるなんて、運転操作を誤って事故に遭う可能性も大きいはず。万が一事故にあったとしても、きっとこの議員は、「怒らせるオマエが悪いんだから、責任はオマエにあるーーーーーー! このはげーーーーーーーーっ! こののろまーーーーーーーーーーー!」って言うんだろうなと、勝手に想像しちゃった。

しかしながら、業務がいっぱいいっぱいで、心の余裕がなくて治療を必要とするほどのダメージを精神的に喰らっているとしたならば、人ごとではないわ! 「こんな風に絶対にならない」、と言い切れない自分がいます。女性ホルモンの減少も気になるお年頃だもん、わたしも気をつけなければいけません。

健全な精神は健全な肉体から! とはよくいったもんです。
やっぱり仕事をするなら楽しく――ですね。

DVもパワハラも行き着く先は、犯罪です。

働き方改革

 「働き方改革」が議論されている。以前、月刊ベルダでも書かせていただきましたが、現在の働き方は週休二日制がベースになっている。これは‘80年代から大企業を中心に経営効率化を目指して導入されたことから始まる。‘89年には銀行窓口業務は土・日が休日になり、その数年後には公官庁が、立て続けに公立学校も土・日が休日になった。

 今では週休二日制が当たり前のような風潮があるけれど、ところがどっこい、週休二日制の普及率は厚労省の「2015年就労条件総合調査」によると、隔週など含む「何らかの週休二日制」を採用している企業割合は85.2%、「完全週休二日制」を実施している企業割合は50.7%と、辛うじて半分を超えているのが実情なんですね。日本企業が本格導入を始めてから35年が経過しているにもかかわらず、この数字は予想外に低いもので驚いた。これじゃあ、プレミアムフライデーどころじゃないわ! 

 要は、この数字から、なんとなく労働政策の矛盾をうっすら感じるということ。個人的にはバブル経済崩壊後が実は大きなターニングポイントで、この時に、働き方の改革について本腰を入れてやるべきだったと睨んでいる。

 働き方改革は、従来の生活を変えることに等しい。現在、「月末の金曜日は豊かな週末を過ごそうじゃないか」という消費喚起や働き方の改革を促すキャンペーンのプレミアムフライデーも、製造現場からみると、「ええっ!? 月末の金曜日に休んじゃたらウチは大変! 納期は月曜日だ!」って感じ。営業だって、売上げを伸ばすのに追い込みをかけられて必死よ、もう。

 というわけで、現実をみると、当たり前のように見えている完全週休二日制も、いまだ完全とはいえず、まずはその普及を加速することが最初の一歩だ。そのためには、大胆さも必要で、従来のやり方、風土を見直さなければならないと思う。

 最近は、大手宅配会社が改善に乗り出したが、企業にはまだまだ過剰な業務が多々あるようで、これらは育児や家事と仕事のワークライフバランスにかかわる課題なので、こちらも併せて議論すべきだろうと感じている。

ものづくりという言葉をなるべく使わない理由

 ものづくり、という言葉が悪いというわけではないのだけれど、ものづくり、という言葉をなるべく使わないようにしている(←本文を分かりやすくしたり、依頼した原稿を掲載したとき、屋号や製品名等で使うことはある)。
 
 確かにものづくりというのは、ものをつくること、という意味なのでイメージしやすいかもしれないが、ここ数年、ものづくりがカオス状態だ。とにかく、ものづくりと言えば、汗を流して製品をつくる=正義、と連想しやすく悪いイメージがない。こうしたことから、最近はブームのようにものづくりの言葉が溢れている。現在起こっている課題や問題をぶっ飛ばして、「なんだかよく分からないんだけど、頑張ってるし、いいんじゃね?」的な気分にさせてしまう“ものづくりマジック”すら感じている私。もうね、「ものづくりで10才若返る」、「ものづくりで痩せる」というタイトルの書籍があってもおかしくない勢いだもの。ああ、そういえば「リケジョでモテ女」的なものもあったわね(笑)

 こうしたものづくりブームの中で使われているワードの多くに、女子力、逆襲等がある。長年(←本当は5年ほどと言いたいところだが)製造業の取材をしているなかで、どうもピンと来ない。

 高度成長期の良い時代を思い出して「あの時代は良かったな」と、その大量生産でたくさん儲かった時代を懐かしんでも、すでに時は流れている。今や地球上を人・もの・金が自由に行き来できる時代だ。本当に考えなければならないのは世界情勢にみる政治的リスクだったり、グローバリズムを背景とした企業格差等の拡大だったり、製造業を取り巻く環境のほうに注目しなければならないのではないか。そんな時代でありながら、女子力がものづくりを変える、元気にするっていうのも、いまいちセンスが感じられない。男子はものをつくることを変えられないのか、女子にしかできないものなのか、という話にも繋がる。逆差別にもなりかねない。ましてや優秀な人材に性別は関係ないわけで、製造業が元気になるには、儲かることが1番である。なんだか良く分からない生っちょろいカラ元気よりも、受注量増加で笑みがこぼれるのが現実なのだ。

 常日頃しつこく言っているが、これは人間の多様性を尊重したダイバーシティの考え方が普及している中において、時代錯誤も甚だしく嘆かわしい話だ。老人だって子どもだって、中年だって、どんな方でも製造現場を変える力を秘めている。製造現場である近年の工場革新は目覚ましい進歩があり、その進歩の元にあるのは人間の知恵。知恵はいつの時代も必要だ。こうしたことに疑問を持たずに、注目させることにやっきになっていると、なんのための女子力だか、なにに訴求しているのかよく分からない。とにかく注目させれば良い、という考え方の蔓延は、混沌としたものづくりのイメージを増幅させる一因であると考えている。女性が活躍して成功した事例も多くあると思うが、それは性別うんぬんよりも、ご本人の能力の高さとニーズが合致したことで成し遂げたことであり、女性だからうまくいったわけではない。こうしたことから、〇〇女子といって騒いでいるうちは、まだまだ社会が時代についていっていない証拠だと感じている。

 さて、ものをつくる方がどこから攻撃されているのかよく分からないのが、逆襲だ。過去に良い思いはしなかった、という皮肉を込めて方々で使われているように感じるが、そこには製造業が弱者であるという前提がつきまとう。もちろんビジネスは先述のとおり環境に左右されやすいが、製造業を取り巻く環境が絶好調の景気でも、悪い景気でも、万年「製造業の景気が悪い」と主張する方がいるならば、それは製造業でも社会の問題でもなかろう。

 多くのメディアも近年“ものづくり”を捉えており、トレンドに乗っかればなんとなく、賢明さを装える、という安易な考えが、世の中に蔓延しているのではないか、と感じることもある。製造業は国の政策にも影響を受ける上、多くの知識が要求される場合もあるから、簡単に旗幟を鮮明にできない。注目されるのはいいが、旗幟を鮮明にしたところ、ひょんなことから、「こいつ、あまり勉強していないな」と批判にさらされる場合がある。それを避けるために有効なのは、女子だったり逆襲だったりするのではないか。なぜなら、この言葉からは、弱い、嫌な思いをさせられた、という人間が持つ感情に訴えることができるからだ。こうなるとなんのために訴求しているのかさっぱり分からなくなる。

 物事が間違いだろうが正しかろうが概念を植え付けやすいツールでもあるメディア(書き手)は、“無意識”に価値観を植え付ける効果がある。したがって、書き手は間違った認識が垂れ流されぬよう細心の注意が必要であり、その努力を怠ることをしてはならないと思っている。

 なにをつくるか、それがどんなところで役立つのか、という部分に重要性を感じているので、一般ウケをしないことも充分承知をしているが、製造業の重要部はマニアックなのでそれでいいと思っている。全く使わない、ということはないが、なるべく“ものづくり”という言葉を使わないようにしているのはこうした理由からである。

 

他人巻き込み型の身勝手な大人が増えている

昨日起きた杉並の火炎瓶事件。不特定多数を狙った事件にもかかわらず、速報が流れなかったのは不思議だが、その後数時間を経過して、おおまかな概要が報道された。ニュースによると、数年前に奥様を亡くされた60をとっくに過ぎている初老の男が自暴自棄になり、祭りの音がうるさい! という理由から火炎瓶をつくって、人の集まっている場所をめがけて放り投げたという、実に身勝手な犯行だった。最近、不気味に感じるのは、大人の他人巻き込み型の凶悪犯罪が増加傾向にあるのではないか・・・ということだ。

すっかり成人しきった大人ならば、時には煮え湯を飲まされたり、理不尽かつ不当な扱いを受けたり、と、世の中が思い通りにいかないことのひとつふたつはあろうが、その一方で、不快なものをから身を守る術も経験から学ぶ。

「不健全なもので自分が振り回されたら本末転倒だ」

若い頃、理不尽でものすごく嫌なことがあったとき、そう思うようにした。全てが呪わしいと考えたこともあったが、結局は、今までの生き様の延長に自分を取り巻く環境があり、その環境に嫌気をさしたなら、まずは自分を変えるしかない。そうしたらおのずと自分をとりまく環境も変わってくる。

世間も自分の環境もそう簡単に変わらない。にもかかわらず、今回のように、こうした身勝手かつ凶悪な犯行に及ぶ輩は、ふがいない自分を認めるのが嫌なのか、視点を他人に向ける傾向がある。自分を変える努力もせずに、周囲を変えようとするのだ。相模原で起きた残酷な事件もそうだった。

大人になれば「自分の責任」で解決しなければならないことがほとんどなので、私の場合、不快な問題に遭遇しそうな予感がある、あるいは危険を孕んでいると確信した場合、①対象を視界から消す&関わらない、②その場からサヨナラする、という方法を取る。他人になにを言われようと、自分がモンモンとするよりよっぽどいいじゃないか。世間様は自分が思っている以上に、自分を見てくれないことがあるわけで、それを思えば、なんてことない。たとえ失敗しても諦めがつくし、気持ちの切り換えも早い。「世間に振り回されてたまるか」、という感じだ。この環境をつくるまで、長い年月がかかったが、お陰で、今ではほとんどストレスがなくなった。

初老の男が放った火炎瓶で、夏の祭りを楽しくご家族で見学していた人々、幼子までもが負傷した。本当に腹立たしい。なんら落ち度のない人間が、こうした身勝手な輩の放った狂気に巻き込まれるのはいたたまれない。

配慮があってもいいんじゃない?

 己商売の身体が資本なのは重々承知しているけれど、度重なる不摂生と不規則な生活の日々を送っているので、それなりに健康管理には気を遣っているつもり。今年に入ってからは、筋肉を強化しようと、あれこれ健康グッズを仕入れて頑張ってるわけ。女性の平均寿命まで働くつもり満々だもん(というより、おそらく老体にムチ打って働いていくしかないだろう)、そりゃある程度、努力は必要よね。大嫌いな運動も、それなりにこなしている毎日よ。お陰様でこの半年の間に約7kg落としたわ。

 という前置きはさておき、机仕事を集中するときは、長時間椅子に座りっぱなしでパソコンに向かっているので、どうしても背中が丸くなる。どんなに素敵なお洋服を着ても背中を丸めて歩いていたとすると、あんまりキレイに見えない。どうせならいくつになっても颯爽とヒールを履いて歩きたい。腰痛もあるので、どうしたもんか―――と悩んでいたところ、ネットで見つけたのは、“骨盤底筋群を鍛えて綺麗な背筋を取り戻そう!” という、うたい文句の商品。商品名は「ひめトレ」。このとき、商品名になんの不安を抱くこともなく、以下の文言に心が震えていたわたし。

 ①毎日パソコンで仕事をしている
 ②お腹が出ている
 ③猫背
 ④運動不足
 ⑤腰痛持ち

 んまあああああっ! こ、これは、まさにわたしのためにあるような商品じゃないの! 

 ちょっとしたブームなのか、ネット上では、トレーニングの方法も親切丁寧に分かりやすく説明しており、使用された方のたくさんの喜びの声が上がっている。綺麗な有名モデルさんも愛用しているとのことで、もう、これはゲットするしかないだろう。ひょっとしたら、神経と比例した太さの胴回りにもクビレができるかもしれない・・・と期待に胸を躍らせて、商品到着を待ったわけ。

 そう―――。
 そのときは、なーんにも考えてなかった。
 まさか、あんなに恥ずかしい思いをしようとは―――。

 注文をして2日が過ぎたころ、チャイムが鳴った。
 出ると「お荷物でーす」の声。宅配便だった。このあたりを担当しているのは男性だが、今まで、特別に意識したことはない。

 が!
 受け取りのサインをするとき、愕然とした。

なんてことでしょう!

 透明プチプチに包まれた謎の荷物。
 箱類「ひめトレ」って・・・・。
 よくみると御丁寧に色までオレンジと記載してある。しかも【新仕様製】だと・・・。
 こんな梱包にするなら、せめて健康機器とかストレッチグッズとか書きようがなかったのか(怒) 
 ものすごく淫靡な感じがするじゃないの!

 「お兄さん、違うの、違うのよ――――ッ! これ、買ったのはお母さんよ! わたしじゃないわ!」と人のせいにしたくなるほど、恥ずかしい。まるで痔を痛めた年頃の娘が薬を買う際に言う台詞、「父に頼まれたんですが・・・」みたいな心境よ、まったく。

 商品名まで気が回らなかったわたしも鈍感だけど、そんなことよりも、こうした雑な梱包のせいで、いやらしい感じがするじゃない。うっすら透けて見える商品の卑猥さといったら! 
 一瞬、なんの嫌がらせだよ、と思ったよ。

微妙な大きさの商品にこの商品名。中が透けて見える雑な梱包が羞恥心を刺激する。
写真以上にヤらしくみえます。

商品はこれ。

 女性向けの商品を扱っているというのに、こうしたことを誰も指摘しないのだろうか。一瞬、苦情の電話を入れようと思ったけれど、「それはあたなの主観です。考えすぎですよ」と言われたらミもフタもないので、やめた。

 ネット販売が盛んになったこのご時世、会社は梱包に相当気を遣っているはずなのに。これじゃあ、商品の大きさといい、商品名といい、あらぬ誤解を受けてもおかしくない。

 ちなみに、考えすぎかどうか確認をしたく、至って真面目な友人数人に写真を見せたところ、一同苦笑しており、わたしの言わんとしていることが伝わった模様。もう少し配慮があってもいいんじゃないかしらね。これじゃ若い女性だと苦情が言いたくても、どこが、どうして、アレなのか、と、説明をするのすら困難だと思うわよ。

 なお、商品自体はなんら問題はないどころか、思った以上に重宝しそうな予感。しばらくこれで骨盤まわりを鍛えようと思っています(笑)

本気の改善がみたい

ご承知のとおり、三菱自動車問題が大きな問題となっている。自動車は裾野が広いので、この影響は計り知れず、だ。関連して、TVニュースで、同社社長の父親(賢太郎氏)も取り上げられているのを拝見した。現在、大手マスコミで報道されているとおり、国民や関係者の怒りや不安、残念感といった感情に触れ、どうしてこうなったか、という原因と結果について議論されることもある。

VW問題が勃発した時、一同、「まさか! 想像すらしなかった!」と、大騒ぎしたのはつい最近の出来事。今度は、日本の信用を落とす出来事がおき、とても残念に思う。

実は、今から11年ほど前、相川賢太郎氏を取材したことがあった。たびたび会合でもお会いしていたので、己の仕事人生の中でも、とても思い出に残っている。押し入れにしまっておいたものを引っ張り出して、もう一度、読んでみた。かなり長い文章だが、内容が赤裸々だ。改めて読んでみたところ、新鮮に感じる。原爆投下と終戦、お母様の死、飢え、就職――その人生は波瀾万丈だった。たまたま、原爆を免れたという強運も持っていた。

生まれ育った環境から、サラリーマン時代、社長時代――聞けば聞くほど、前のめりになり、言葉を逃がさないよう、必死でメモをしたことを記憶している。そこで最も印象にあるのは、賢太郎氏が設計課長時代(昭和45年)に、大きな事故が起きてしまったときのこと。スペイン向け35kWのタービンを毎分3600回転で試運転中に、タービンローターが破裂してしまった。ローターの中心部見えざる欠陥があったとのことだった。この破片は検証後、縁起も悪いので、すぐ処分されてもおかしくないシロモノだが、賢太郎氏は、この大事故を、2度と繰り返してはならぬことだと将来に語り伝えるために「いつかどこかに展示したい」と考え、とっておいた。事故から15年後、賢太郎氏が長崎造船所の所長になったとき、資料館をつくり、この破片を展示した。いわゆる、技術者の恥を展示したわけだ。(しかも15年後!) このときのことを、「この事故は技術者として恥ずべきことですが、将来への戒めでもあり、その破片は破壊力学的には大変貴重な資料でもあるので、あえて展示しました」と述べている。また、「物語り」と言うが、「モノが無ければ語り継がれない」と、そのときの気持ちを語ってくれた。

「恥を晒す」ということは勇気のいることだ。
近年、企業がよく使う言葉に「改革」、「イノベーション」があるが、その手段のほとんどは、問題点をあぶり出し、「改善すること」だと思われる。間違ったことが蔓延し、不利益を生まぬよう、組織の仕組み等を改善していくことは、当たり前のように行われているが、組織が大きくなればなるほど、困難なことが出てくる。会社は、人間の集団ではあるが、人間ではない。人間が人間の集団をコントロールする難しさもあるだろう。

いずれにせよ、本気の改善を目指すのであれば、その場しのぎの“臭いモノにはフタ”的発想ではなく、臭いモノを完全に臭いが取れるまで晒してもいいんじゃないか。失った信用は取り戻すのは並のことではないが、今度こそ本気の改善をみたいものだ。だって、本当に良い技術、持ってるんだもんね。もったいない。

ハートと技術で考える谷村先生が紹介して下さいました。視点が専門的です↓
http://subal-m45.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-869f.html

働く女性が直面すること「ホテルにエロチャンネル」

100円から漂う昭和臭(笑)
100円から漂う昭和臭(笑)
 出張の多い私。日々、カメラを引っさげ働く意欲満々なのですが、その一方で、どうしたもんか・・・・・・と常々モンモンとしていたことがある。世の中では、「女性が働きやすい環境を!」なーんて言いつつも、誰も注意しないので私が注意してやろう。

 女性活躍推進法では、従業員300人を超える企業・団体は、女性採用比率、女性管理職割合、男女勤続年数差異などの数値目標を設定し公表しなければならない――これは、ざっくりいうとアベノミクスの成長戦略の一つ、「女性が輝く日本」をスローガンに、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を引き上げましょう、というのが狙い。

 数値目標を設定することは良いことだけど、数値ばかりにスポットを当てた取り組みを義務づけることにならないか、はたまた女性を悪用したPRがまかり通って本質を見失うことになりはしないのか、と懸念を抱いちゃうのが正直なところ。こんな立派な法案がありながら、どういうわけか小さな現実はこうだ―――。

 ホテルのTV横にあられもない姿の女性達が並ぶ刺激的なエロチャンネル表。
 どうぞお好きなものを選んでちょうだいな、とばかりにチェーン店の居酒屋メニューのように堂々と置かれている。

 こういう破廉恥なことがまかり通っていることから、女性の働きやすい環境づくりに社会風土がついて行っていないのがまるっと丸分かりなのよっ!

 ビジネスでホテルに泊まるのは男性ばかりじゃないわけ。こんなもん、働く女性が泊まるホテルに置かれたって嫌悪感しか出てこない。こういうことを恥ずかしいと思わない風土はいかがなものか。小学生でも立ち寄ることが出来るコンビニにはエッチな本が置かれ、電車の中吊りには面積の少ない水着を着用した少女の姿。やっぱりどこかおかしい。 

 こうした公共の場所ですらこうだもの。日本女性の社会進出は欧米に比べて大きく遅れているのも分かるわよ。世界経済フォーラムがまとめた14年度の男女平均指標ランキングでは、142カ国中、日本は104位だったものね。1986年に男女雇用機会均等法、99年には男女共同参画社会基本法を施行し、担当大臣まで付けて推進していたのにトホホだわよ。あれから時は流れているというのに、こうした社会風土はちっとも変わっていない。

 数値目標もいいけれど、現実問題として、まず社会の風土をなんとかしなければならないと思うのよね。

 ところで、別の議論になっちゃうけれど、大阪堺市はコンビニのエロ本に目隠しをするというニュースを拝見したけど、目隠ししてまで売るってのはさ、みみっちい。だったら売らなきゃいいのに、と思うのよ。売っておきながら、内容を確認できなくするのも、どーしたもんかねぇ、と思う。

 今はネットもあるし、大人が買えるところはいっぱいあるわけ。足を運んで、こそこそと本屋のアダルトコーナーでチョイスしたっていいじゃん。
 
 というわけで、エロいことの否定はしないけれど、せめて引き出しの中にあるとか、奥ゆかしさが欲しいわ。こうした男性目線のエロさが社会に溶け込み、当然のように蔓延っていることに、疑問を感じる今日この頃でした。

今年の賀詞交歓会は記憶に残ることがいっぱいだ!

 現在、新年賀詞交歓会ラッシュも一段落し、たまった原稿を一気に片付けているわたし。年末年始の暴飲暴食のツケである脂肪細胞も増大したようで、皆様に「あれ? でかくなったね」と褒められもせず、苦にもされず、本当のことを指摘されるという新年の幕開けを迎えたわけだが、今年は、どこの会場内も人口密度が濃く、動くのも精一杯。いつもより2割ほど参会者が増えている団体もあった。通常、こういう場合は“経営者の顔色が良い”とされるが、今年はちと違う。アベノミクス効果で企業体力の回復と着実な投資拡大の好循環がありながら、那須リサーチによると、ほとんどの経営者が先行きに若干の難色を示しているのだ。その理由は、皆様ご承知の通り、新興国経済、特に中国経済の減速や原油価格の暴落によるエネルギー産業関連等の投資に陰りが見られるなど、各企業が世界経済の下ぶれリスクを警戒していることが挙げられるのだが、経済動向を予測するというのは、占いと似ているところがあって、よく分からない部分もある。「良いんだか悪いんだかよく分からない・・・」というグレーな感情をフトコロに隠したまま、会場内で会話をしつつ時流を確認するような、そんな印象を受けた。

 さて、今年の賀詞交歓会で印象にあるのは「機電再融合」、「挑戦」の言葉。これにはIoT時代到来の流れとして、すでにメディアでも取り上げられていると思うが、印象に強く残ったことをいくつか紹介しようと思う。

 この業界でご活躍の皆様はおそらくピンとくるだろうが、製造業界のトレンドワードどいえばインダストリー4.0だが、昔日本でやっていたIMS(IMS=Intelligent Manufacturing Systems)と考え方がほぼ一緒である。以前、「ドイツが日本に追いついてきたんだよ」のテーマで、ベストブックス社が発行している月刊ベルダ(コラム:無造作女の独り言)にも書いたのだが、インダストリー・4.0は、ITを利用して変種変量生産を目指し、工場間や企業間の通信ネットワークを介して最も有利で効率的な生産を行う、ざっくりいうと「産業のインテリジェンス化」が狙いだが、すでに20年ほど前から日本が取り組んでいた国際プロジェクトであるIMSの考え方だ。しかも当時は、いつでもどこでもありとあらゆる場所で通信技術を利用する環境づくりを「ユビキタス」(←死語)と呼んでいたはず。これらの取り組みとインダストリー4.0とどこが違うのか、どうして日本は続けてこの提案が出来なかったのか、という疑問がある。この点について、糟谷経済産業省製造産業局長はあいさつの中で「現在ヒヤリングしながら調べている」と述べた。「2004年ほどの報告書の中では、協調領域と競争領域のバランスが取れていない、という報告があった。おそらくこのあたりの問題が10年以上経過しても大きく変わっていないのではないか。またハード面での技術等をさらに磨いていくことは基礎体力として必要。新興国のハード技術の追い上げもある。ものもコモディティ化していく流れもある。このようなことにどう対応していくか」という課題についても触れていた。

 これは、非常に重要なことで、今、製造業界では世界規模で新しいことがどんどん起きてきているけれど、国が過去の経緯をヒヤリングし、具体的な方向を持って取り組んでいるという事実を聞けたことで大層印象が変わった。「今の時流である、IoT、ビッグデータ、人工知能等の技術を如何に活用して繋げ、日本型の対応をどのように行っていくのかが鍵である」と話した糟谷局長の言葉の中に、「例えばドイツがやっているから日本はどうだ、という視点だけで捉えるのではなく試行錯誤しながらでも考えたことを行動に移していかなければならない」ということを含んでいた。おそらくIoTもインダストリー4.0もまだ曖昧な部分がある。つまり、実現していないことは、まだ想像の域なわけで、「言ってるだけじゃダメよ」、ということなのだろう。商売は「なにに貢献して利益を得るか」が基本なので、まずは徹底してその目的は何かを明確にすること。目的を達成するために行動していくことができなければ、どんな素晴らしいシステムをつくったとしても先に進めない。大切なことは「ものづくりの本質とはなんぞや?」ということなのだ、と改めて感じた。

 もうひとつ。
 今回の賀詞交歓会で、製造業界が大注目していたのは、モノをつくるモトの業界、マザーマシンを生み出す日本工作機械工業会の数字だ。花木会長が発表した2016年の受注見通し額は1兆5,500億円程度。2015年と同じ数字であった。2015年の前半は勢いが良かったものの、後半にやや一服感が見られた理由に、補助金効果の剥落や補助金の様子見が挙げられたが、注目すべきは、受注総額として史上最高を記録した2007年の1兆5,900億円、2004年の1兆5,094億円に次ぐ史上3番目の高水準が維持できたこと。

 それよりもなによりも、わたしは2016年の受注見通しの数字を前回と同じ1兆5,500億円程度、としたことに驚いた―――というよりも、花木会長はオークマの社長だが、経営者としてのエンターテインメント性を垣間見た気がした。この数字を話すときの間の取り方が本当にうまくて、会場内がどよめき立ったくらいだ。

 花木会長ははじめに日頃の感謝の意を表し、そして工作機械業界を取り巻く環境などを述べたり、ひととおりお話しをしたあと「・・・さて、このあたりで、そろそろ皆様が気にされております2015年の受注額と2016年の受注見通しでありますが・・・」と口にしたととたん、前列で占領している記者達も若干前のめりになり、その数字を漏らさぬよう、ノートとペンを持つ手に力が入るのが分かった。緊張の一瞬である。数字に至る説明が続く。

「――このような経済、工作機械市場見通しを踏まえ・・・本年2016年の工作機械受注額は1兆5,500億円程度を見込みたいと存じます」

 参会者も「おーっ!」、記者連中も「おーっ!」。大人だというのに、「おーっ!」と思わず声を漏らしたくらいだから、この発表が人々の心をいかに鷲掴みにしたか、ということを想像していただきたい。数字を発表したあとに、「昨年の見通しに再挑戦したい。この達成において各社とも精一杯努力していく」と背筋をピンとしたまままっすぐ前を向いて述べたあたりも、この強固な意志を会場内に浸透させるには十分だった。わたしはこの時、やっぱり経営者だなぁ、と率直に思った。

 ものをつくることは、国力そのものである。「再挑戦」という言葉の中に、いろんな魔法がつまってる気がするねぇ!

 さぁ、2016年もはりきっていってみよう!

【レポート】二番煎じの入間航空祭

(写真・文=下村栄司)

 2年前にも一度書いているので、ご存じの方も多いかと思います。「二番煎じじゃねえかよ」というご批判覚悟で2年前と同じイベントを再度レポートします。入間航空祭は毎年11月3日に開催と決まっています。この日はちょうどJIMTOF開催期間の真っ最中なので、筆者はJIMTOFのない奇数年にしか行けません(でも、来年のJIMTOFは11月17日から22日なので、3日は大丈夫です!)。2年に1度のチャンスの年にはいつも天気が気になります。やはり、飛んでいる飛行機を撮影するには背景が真っ青な空に限りますから。

 11月3日は「晴れの特異日」なんて言われているようですが、確かに晴れの確率は高いものの、ここ最近はそれほどでもないようです。また、たとえ晴れたとしても雲が多いと写真も映えません。「快晴」じゃなくてはダメなんです。前日から遠足を控えた小学生のように、筆者はこの日が快晴となることを祈っていました。

航空祭当日は朝から雲ひとつない快晴・・やった~。カメラを握る手にも気合が入ります。

 まずは地上展示の端から見て行きましょう。最初に目に飛び込んできたのは空港用の消防車です。今回はエライかっこいい新型車がありました。調べてみると米オシュコシュ(OSHKOSH)社製のストライカー(STRIKER)3000って機種です。消防班(?)のお兄さんが防火服を着てポーズをとってくれました。手前のぬいぐるみがカワイイ。






 初の国産旅客機YS11はとっくに民間路線から引退しましたが、航空自衛隊だけ現役で頑張っています。この機体はYS11-FCと言って飛行点検用として3機保有しているそうです。

 「何?MRJだって?知らねーなー。俺なんかなぁー、50年も飛行機やってんだぞ!まだまだ生まれたてのMRJなんぞにゃ負けねーよ。」老体に鞭打って(?)、アクロバティックな飛行を披露してくれました。



C-1輸送機です。翼の生えたクジラのようです。こちらも40年選手です。




C-1から次々に落下傘部隊が飛び降りてきました。その間隔は1~2秒ほどでしょうか。飛び降りるのを躊躇している暇などないでしょうね。



クライマックスはブルーインパルス!




本日のクライマックス、ブルーインパルスがお出ましになりました。ランディングギアを出し、前照灯を点灯させて、まずは観客にご挨拶です。




かなりの高度(2500mくらい)まで上昇して、きりもみ状態で急降下。目が回っちゃう。




一糸乱れぬダイヤモンド体型。きれいです。




高高度まで急上昇して一気に転回。しかもダイヤモンド体型を保ったまま。すごい。




背面飛行です。しかもお互いの距離はぴったりくっついて離れません。




高度2500mで6機が同時にダイナミックに旋回。




急降下の後、急上昇。筆者としては、これがベストショット。




大空に巨大なハートマーク(しかも天使の放った弓矢付き)や星マークが描かれました。観客からは大きな拍手が沸き起こりました。




航空自衛隊のUH-60J救難ヘリコプター(左)と海上自衛隊のSH-60K対潜哨戒ヘリコプター(右)。

演技終了

 ブルーインパルスの演技が終わり大半の観客が帰り始めて、会場の熱気も冷め始めてきました。この航空祭は実質ブルーインパルスが「トリ」で、この後の飛行展示はありません。それでもかなりの観客が残っているのは、帰りの混雑を避けてゆっくりしていこうかと考えている人たちと、F15戦闘機とF2戦闘機の帰投を見てからじゃないと帰れないという熱心な人たちに分けられると思います。

 F15もF2もただ単に離陸して本拠地へと帰っていっただけでした。F15は離陸後に一旦会場上空を通過してサヨナラの挨拶だけしてくれました。上の写真はF15J戦闘機の帰投の様子です。

 続いてF2戦闘機の帰投。こちらは離陸してさっさと帰って行きました。

 この航空祭が行われる航空自衛隊入間基地は、東京都内からも近く、しかも交通のアクセスが最高です(何と電車の最寄り駅が基地内にある!ちなみに筆者の住まいからも近く、今年は自転車で行きました。)。そのため、毎年殺人的な人出(今年も20万人と発表されました)で、これだけはいつ行っても閉口します。

ラバーの壁

久しぶりにコラムを更新します。
コラムといえば、別件ですが、不肖那須直美、ただいまベストブック社の月刊「ベルダ」で「無造作女の独り言」というコラムを連載していますので、興味のある方はぜひご覧下さいませ。

ま、己のPRはこのくらいにして、今回のコラムはちょっとシモネタが入っています。おとなしそうな顔に似合わず、結構エゲツない言葉が散りばめられておりますので、ご飯中の方は要注意―――という前置きはさておき、先日、初めて北陸新幹線に乗りました。最近の寒暖の差で肉体にダメージを受けており、疲労もピーク。ものすごく混雑していたこともあって、意を決して普段は滅多に乗らないグリーン車に乗りました。

初めて乗る北陸新幹線に心ウキウキのわたし。いつもの缶ハイボールもなんだか高級品に感じます。なによりわたしの心をトキめかせてくれたのは、女性専用トイレがあったこと。

なんて綺麗なの! と驚きました。しかもちゃんと着替えができるよう、配慮されているではありませんか。これはビジネスで利用する女性にとっても、ありがたい! 

さて、北陸新幹線のトイレの快適さをご理解いただけたと思いますが、実は昔から走っている新幹線のトイレには、いつも気になることがある。おそらく出張の多い皆様のほとんどが、「ラバーの壁」にブチあたったことでしょう。そのたびに奥歯を噛みしめ、苦々しい思いをしたと推測します。

ラバーの壁――――それは銀色の便器奥深くに佇んでいる真っ黒いゴムで出来ているビラビラ。

あれが気になって気になってしょうがない。正式にいうとビラビラゴムが気になるのではなくて、そこにベッタリ付着しているウ〇コが気になる。あれを見るたび、うんざりする。

しかも大抵、どんなに水を流してもンゴォォォォオオオ――、スピュッ! と、大げさに激しい音を響かす割には、ウ〇コが惨めったらしく、すがるようにゴムにこびり付いて離れない。

(こ、このっ! ラバーの壁め!)←心の声。

次にトイレに入る人が、「あの女の人、ウ〇コしたくせに流さないなんてヒドイ女だ」って思ったらどうするんだよ―――と怯えながら用を足すわたし。たとえ、見ず知らずの他人にでも、ウ〇コを流さない疑惑をかけられるのはイヤだ。

女のプライドを脅かす他人のウ〇コが憎い。ラバーの壁さえなければ―――と何度思ったことか。

だいたいね、銀色の便器に黒いゴムと茶色いウ〇コのコントラストが最悪。余計目立つと思うんだけどね。汚らしさに加え、絶望感さえ感じるあの佇まいに、センスをまったく感じないだもん。なんとかしてよ、と愚痴のひとつでもこぼしたくなる。

普段は活動的なわたしも元気いっぱいトイレに入ってさ、このラバーの壁にブチ当たると、急に仕方なく生きている感じがしちゃって、労働意欲が一気に蒸発しちゃうのよね。

銀色便器はウ〇コとゴムの摩擦現象についてもうちょっと研究してもいいと思うんだよね。
滑りを良くする工夫とかね。そう思わない?

と思ったところ――――ヨーグルトのフタのツルン構造を適用すべきだ、との声をききました。
それよそれそれ!

ヨーグルトとウ〇コは違うかもしれませんが、あの構造さえあれば、ひょっとしたらひょっとすると、ラバーの壁を突破できるかも!

淡い期待を込めて、製造現場ドットコムからのお願いです!
メーカーさん、開発してください! 

女心を逆手にとる悪巧みか


(写真はイメージです)

メイクの必須アイテムであるアイシャドウが切れた。
こいつがなくなるとお目々が小目々になる。困るので化粧品売り場へと向かったけれど、化粧品(メイクアップ)を購入するときに、毎度フに落ちないことがある。

それはなにかというと、アイシャドウはたくさん使う色とほとんど使わない色があるのに、自分の好きな色をチョイスしてパレットに組み込む仕組みを持たないメーカーが多いこと。

自分に合った色をやっと見つけたかと思っても、ロングセラー的に使えるモノが少ないし、せっかく合うモノに巡り会っても、「限定品」だったり「新色」に入れ替わってしまう。
限定品も新色も自分に合えば欲しいと思うけれど、いつも大量の無駄をパレットに残したまま新しいものを購入しなければならない仕組みってどうなのよ。

メーカーによって発色が違うし、肌質によって馴染むものと馴染まないものもある。
しょっちゅうメイク直しができる環境があれば、多少崩れても直せるからまだいい。わたしのように時間から時間へと移動するタイプの人間は、メイク直しをする時間がない場合が多いので、機能的かつ自分の肌に合った色を探さなければならず、これがまた至難のワザなのだ。

自分に合ったアイシャドウをせっかく見つけても、シーズンが終わると商品がなくなっている場合は少なくない。いつも使う色を使い切ったら、使わない色を残したまま、新しいパレットを買わなければならないという理不尽極まりない思いに吠えたくもなるわけ。

「そんな化粧品なんか要らないわっ!」とタンカを切りたいところだけれど、メイク有りとメイク無しを比較すると、顔面ギャップは計り知れず、だ。あぁ、恐ろしい。恐ろしいので、世の多くの女性達は無駄を承知で財布の中身へのダメージを受け入れざるを得ない状況にある。無慈悲な事実だ。

工業系は製造工程の短縮等を提案し、いかにユーザーの無駄を省くかを訴求する。
工業系に限らず、ほとんどの業界は顧客側に選択の幅を持たせているというのにね。

まったく、こんなに消費者の無駄をつくって利益を上げるアコギな仕組みって化粧品業界しかないんじゃないか。消費者の無駄を意図的につくり上げ、利益を確保しているとしたならば、この省エネ時代に時代錯誤もいいとこ。女心を逆手にとった業界挙げての悪巧みなのかとおねえさん、眉毛がつり上がっちゃうわよ、まったく。

ところで、アイシャドウが切れるたび、化粧品売り場であれこれ自分に合ったものを探しまわっているわたしは先日、まさに化粧難民化してしまった。以前とほぼ同じような色をチョイスしたと思ったんだけど、結局、色が濃過ぎて、元気さがまったくなくなってしまったのだ。鏡に映ったわたしはどうしようもない男に殴られながら仕方なく生活をしている女のようだった。こんなツラで外に出るなんて、と思うと一気にモチベーションが蒸発したわけね。で、1度使ったパレットなので返品交換もできるわけがなく、泣く泣く新しい商品を購入するハメになったわけよ。ちきしょう。

メイクは女性をイキイキさせるツールのひとつだ。
もう少し化粧品業界は考えて欲しいわ、と切に願う今日この頃でした。

爆笑! 「CIMT2015 レポート」番外編

さて皆様、「CIMT2015 レポート」には番外編があります。

この展示会、入場前の検査時には、安全のためかライターを持っていると没収されると聞きました。タバコを吸われる方は、自分の分身が取り上げられたと等しいですね。

ところが!
展示場内ではなぜかライターが売っているとのことで、これじゃあ、なんのために没収されたか全く理解できません(笑)

このカオス的な中国展示会の現状を、注目記事で執筆してくださった下村栄司氏が番外編としてレポートしてくださいました。もう、笑いすぎて涙目です。

車に轢かれそう! クラクションとブーイングの嵐がお出迎え

展示会場前の道路は慢性的な渋滞。ここで素早く降車しないと後ろからブーイング。
展示会場前の道路は慢性的な渋滞。ここで素早く降車しないと後ろからブーイング。

私は今回のCIMT 訪問は3 回めで、ベテラン(?)の域になりました。

今更驚くまでもなし、という感もなくはありませんが、やはり日本の展示会と比較し、「これでいいのか?」と思ってしまうことがいくつかありました。

展示会場に入る前から会場内まで、順番に紹介していきます。






●車で会場についたなら・・・・・
展示会場である中国国際展覧中心(新館)は立派な建物で、国際的にも充分通用すると思います。しかし、建物の周辺は国際レベルには程遠いと言わざるを得ません。

北京市内中心部から展示会場へのアクセスは地下鉄15 号線の「国展」駅から徒歩、または車となります。地下鉄の場合は特に問題ありません。問題なのは車の場合です。なぜかと言うと、降車する場所がないのです! 日本の展示会場は少なくとも降車場所くらいはあります。ここには「車寄せ」のようなものが一切ありません。

じゃあ、どうやって降車するか?・・・展示会場の前の道路(いつも渋滞している)で、後続車から激しいクラクションを浴びせられながら、素早く降りるのです。南ゲート建物の前には無駄に広く、そして何もない広場があります。こんなに広い場所があるのなら、せめて降車場所くらい(それにタクシー乗り場)は作ってもらいたいと思うのは私だけではないはずです。



この国では完全に車が優先。青信号でも平気で車が曲がってくるので、気を付けていないと轢かれます。その代わり、人も赤信号でも車の間隙を縫って道路を渡ります。日本の常識は通用しません。奥に展示会場が見えます。




●えっ、これが入口?
建物にふさわしい周辺環境があってしかるべきと考えるのが我々の常識ではないでしょうか。しかし、ここでは違います。下の写真を見て下さい。裏口や通用門じゃありません。

これが、国際展示場のゲートなのです。ここに来るたびに会社のM君と「今回のゲートは進歩したかなぁ」という話題でちょっとだけ盛り上がります。その予想が微妙に的中しました。なにせ、前回は人一人通るのがやっというレベルだったのが、今回はいっぺんに7~8 人は通れる!



写真左=今回 右=前回(2013年)

たくましい商売根性にたまげる

●ゲートの前の路上にて
中国では、人が集まるところ「ビジネスチャ~ンス」ということで、ゲートの前の路上には色々な人達が登場してきます。下の写真右のおばさんのペットボトル入り水の路上販売はギリギリ理解できる範囲ですが、写真左のパイナップルを売っているおじさんにはぶったまげました。買う人がいるのでしょうか?

でも、このおじさん、おばさんたちはまだマシ(?)な方です。南ゲート建物前には凄い人がいました。写真を撮れなかったので(というか、撮ったら怖いことになりそうだったので)、イマイチ真実味に欠けるかもしれませんが、「それって詐欺じゃねぇの」と思われる行為をしている人です。

「詐欺行為」ってのは、つまり会場内で無料でもらえるガイドブック(厚い本で、立派に見える)を売っているのです。会社のM 君がいち早く発見し、私に教えてくれました。中国語ができるM君は詐欺氏(詐欺師ではない)にガイドブックの値段を聞いたそうです。60 元(約1200 円)とのこと。「こいつ馬鹿じゃねぇの」と憤慨したM 君、「安いね。会場内では100 元(約2000 円)で売ってたよ。」と詐欺氏に誘い水をかけると、「そうだろ~安いだろ~」だって。何も知らない人は買うのでしょうか?

中国は何でも商売にしてしまう、たくましさに満ち満ちています。また、ゲート前には数台のタクシーが客待ちをしています。ごく普通の光景ですが、「あれはボッタクリだから乗るな」と言われました。いわゆる「白タク」ではなく、ちゃんとしたタクシー会社の車であるにもかかわらずです。この辺がどうも理解に苦しみます。それでは会場からタクシーに乗るときはどうすればよいのかと言うと、流しのタクシーを捕まえるんだそうです。これならばボッタクられません。

●南ゲートにて
CIMT の開場時間は午前9 時です。我々は出展者なので、当然のことながら9 時前には会場に入って準備や朝礼があります。しかし、開場の30 分前にならないとゲートが開きません。

下の写真は4 月21 日の8 時32 分の状態です。この時点でまだ建物の扉が開いている様子はありません。ここだけで関係者は数百人はいるでしょうか。たとえ数百人いたとしても、ただ単に入場するだけならそれほど時間はかかりません。

しかし、扉が開いたとしても入場待ちの列はなかなか進まないのです。



みなさん騒然とならんでおり係員の誘導もきちんとしていた。




これは閉場後に撮ったもの。機動隊みたいな面々が整列して終礼みたいなことをやってます。この人達はセキュリティーゲートで来場者を監視するのが仕事です。ちなみに手前の迷彩服のようなものを着た人は会場の係員です




●チンドン屋?
日本の展示会と違い、会場内のいたるところで写真のような光景を目にします。チンドン屋のような鳴り物こそありませんが、これは出展者のPR なのです。3~5 人が一組となって会場内を歩いています。

下の写真の上段2 つはまだ普通ですが、着ぐるみも結構歩いていました。2 段目左のドラム缶君はモービル石油のPR。そして、私からグランプリを差し上げたいのが最下段の写真の組です。何のキャラクターなのか私にはよくわかりませんが、とにかくすごい。

そして、皆さんのやる気のなさそうな表情が印象に残りました。

仰天! ローラーブレードを履いた見学者も!

●見学するのもつかれる
見学者は当然のことながら歩いて回るしかありませんが、会場内は広いため結構疲れるのが悩みのタネだと思います。そんな悩みを解決した人が登場しました。写真の人の足元に注目。なんとローラーブレードを履いています。こんな人、初めて見ました。びっくりです。

平らな場所は問題なさそうですが、会場内は意外に段差もあるため、そこはちょっと苦労しそうです。人混みの中で危なくないのかな?





●カタログ集めてどうするの?
展示会見学者の中には、どう見てもその場にふさわしくなさそうな人が時々います。

前回、前々回のCIMT ではあちこちでそのような人を見かけましたが、今回は最終日でやっと発見しました(私がたまたま見かけなかっただけのことだと思いますが)。

大きな荷物をたくさん抱えていますが、中身は(たぶん)各出展者のカタログです。雰囲気からして絶対にこの業界の人ではありません。こんなにカタログを集めて一体どうするのでしょうか? 古紙としてKg いくらって感じで売るのでしょうか? おじさんと何か話をしているようですが、知り合いなのかな?

中国にはいろいろな人がいます。

(文・写真=下村栄司)

輝く女性って?

久々のコラム更新です。
働く女性として考えることがあったので、今回は自分の言葉で記載することにしました。

さて、国が「輝く女性応援を応援する」という趣旨のもと、ブログを開設しているんですが、そこでキャラ弁を紹介して軽~く炎上しているとのこと。先ほどそのブログを読んでみました。

ほほぅ、そりゃ炎上するわな―――と、まぁ、率直に思ったわけです。

今回のキャラ弁も、キャラ弁が悪いわけではないと思うのね。あれは可愛くていいとは思うよ。子どもも喜ぶでしょう。働くお母さんが頑張って子ども達のためにキャラ弁をつくる・・・。いいんじゃないの。

だけどさ、生活に追われて自分のご飯を食べる時間の余裕も持てない働くお母さんだっているってことを忘れちゃならないと思うのね。まるで当たり前のように「イキイキと働いて、しっかり子どもの要求にも応えられるお母さん像」を紹介する・・・というのに違和感を覚えるわけよ。本当に輝く女性を応援する・・・ってことはそんなことじゃないんだよね。

実際、わたしには子どもがいないんだけど、とても時間に追われることが多い。そういうときなんて、ご飯は食べ損ねるのが当たり前。冷蔵庫がすぐ側にある場合は、パッと冷蔵庫を開けて、漬け物や魚肉ソーセージをパクッと食して食事が終わるパターンもある。

これ以上、完璧を求められる女性って・・・・・と思うとさ、切ない。
世の中が求めるであろう輝く女性の定義を想像すると切ない。

わたしのようなバツイチ、子どもなし、仕事が趣味のような中年女が異議を唱えると「あぁ、あれじゃあ男はつかないよ」などと下品な返り討ちにあいそうな悪寒もするわけで、切ない。

あのブログには有名モデルの妹さんとか、タレントさんとか、度々登場していて華やかだ。それはまるでファッション誌を読んでいるような気分にさせた。

だけど、そこから放たれている輝く女性のイメージを当たり前のこととして鵜呑みにしていたら、なんとなく病気になりそうだ。頑張り屋さんだと、鬱病を発症する可能性があると思ったもの。女性は身体の仕組みが男性よりもデリケートだしね。まったく、どこまで輝けばいいんだよ。そのうちお星様が壮絶な最後を迎えるように爆発しちゃうじゃんか。それこそ、輝く「shine」どころか、「stardust」だよ。星屑になっちまう。

もちろん、タレントさんだって働いている女性には変わりないんだけど、結局、登場人物のPRに見えてしまうんだよね。つまり共感ができないわけ。一般論としては、女性は他人と共感する能力が男性より高いそうだから、それらを踏まえると、どうしてこのようなチョイスをするのか、ちょっと分からなかった。

働く女性の多くはキレイ事じゃ済まされない。
生活環境もそれぞれだし、今、本当に考えなければならないのは、働く女性のイメージ向上ではなく、働く女性が働きやすくするための環境整備だと思うのね。まずは日本の風土を見直さなければ、と思うの。なんでも完璧にこなせる女性なんてそう滅多にいないわけよ。

てか、もうすでに女性は素晴らしい! 女性が! 女性を活用!・・・・というよりも、“人材の有効活用”について、経営者の皆様は当たり前のように考えているわけで、そこにあるのは、“相手を尊重する”・・・という考え方なのね。取材をしていると、そういった企業が伸びているのは事実なんだよね。

ハナっから「女性だらけにするんだ」というのと「適正を見た結果、女性が多くなった」というのは全く違う。

いろんな捉え方があるんだろうけれど、人間の「多様性」と「可能性」を追求していくほうが、うまくいくと思うんだけどね。

ところで働く女性の深刻な問題として、ひとつ取り上げたいことがある。わたしは出張が多くて、新幹線であちこち行くんだけど、男性専用トイレあるのに、なぜ女性専用トイレがないのだろう、ということ。

これは非常に困ったことで、男性の飛び散りエラーがものすごく不衛生で洋服の離脱着がつらい。あえていいますが、特に女性特有の日はもう、最悪ですよ。なんでくたびれ果てたわたしが男性の放(ひ)り散らかした汚い便座に座らなければならないのか。しかも便座を上げないというテロに等しい行いをするフトドキモノもいるんだもん。新幹線ってビジネス目的で利用している方も多いわけで、少しは考えて欲しいわよ!!!

新幹線は乗り物だけど、ビジネス列車としての側面もあると考えると、それに準じて考慮してもいいんじゃないの? 安全衛生法の事務所衛生基準規則には男女のトイレは分けろ、という旨を記載してあるんだしさ。

目の前の働く女性が困っていることについてはあまり議論にならず、イキイキ働く女性とは―――の素敵なイカしているイメージばかりが先行している気がするわけね。本当はちっともイカしていないことばかりなのに。

このままいくと、輝き過ぎた女性達が星の壮絶な最後のごとく爆発する可能性があるから気をつけた方がいいわよ。

あたしゃ輝きすぎて星屑になるのなんかヤダね! 絶対にヤダね!

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